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元スレ勇者「俺が本物の勇者なの! 城でふんぞり返ってるあの野郎は偽者なの!」
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女剣士「あ、あの……」
勇者「ん?」
女剣士「お二人は……一体どういう関係なんですか?」
勇者「それはもう、とろけるようなあま~い……」
真勇者「気色悪いことをいうな!」
勇者「冗談だよ、冗談」
真勇者「よかろう。君たちには全て話してしまおう。私とこいつは……“二人”で魔王を倒したのだ」
女剣士「ええっ!?」
勇者「驚いてる、驚いてる」ニヤニヤ
少女「ホントに倒してたんだ……!」
勇者「ちょっと待って、少女ちゃん! そこは『分かってたよ』ってなるとこでしょ!
長年付き合ってるんだからさぁ!」
少女「剣の腕は認めてたけど、魔王倒してるってのはホラだと思ってた」
勇者「マジかぁ……」
勇者「ん?」
女剣士「お二人は……一体どういう関係なんですか?」
勇者「それはもう、とろけるようなあま~い……」
真勇者「気色悪いことをいうな!」
勇者「冗談だよ、冗談」
真勇者「よかろう。君たちには全て話してしまおう。私とこいつは……“二人”で魔王を倒したのだ」
女剣士「ええっ!?」
勇者「驚いてる、驚いてる」ニヤニヤ
少女「ホントに倒してたんだ……!」
勇者「ちょっと待って、少女ちゃん! そこは『分かってたよ』ってなるとこでしょ!
長年付き合ってるんだからさぁ!」
少女「剣の腕は認めてたけど、魔王倒してるってのはホラだと思ってた」
勇者「マジかぁ……」
1人で倒したってのは噂であって真実じゃなかったわけか
真勇者「私は国から命じられた“勇者”として――」
勇者「俺はこいつの“相棒”として、魔王を倒す旅に出た」
真勇者「知っての通り、我々はどうにか魔王を討ち取った。
我々の功績は国中に公表され、さまざまな恩賞を受けることができるはずだった。
ところが、陛下はこうおっしゃったのだ」
国王『魔王はあくまで勇者一人で倒したことにせねばならぬ。
そうでなければ、“勇者の伝説”に相応しくないのでな』
国王『もし、“二人で倒した”と公表するのなら……勇者を勇者とは認めぬ。
恩賞の話もなかったことにしてもらう』
勇者「ざっくりいうと『魔王は勇者一人で倒したことにしなきゃ、地位も名誉もやらねえぞ』と」
女剣士「ひどい話ですね……」
勇者「まあね。だけど、俺はそれなりに金もらえたし、別にかまわなかったんだ。
なのにこいつがカンカンに怒っちゃって……」
勇者「俺はこいつの“相棒”として、魔王を倒す旅に出た」
真勇者「知っての通り、我々はどうにか魔王を討ち取った。
我々の功績は国中に公表され、さまざまな恩賞を受けることができるはずだった。
ところが、陛下はこうおっしゃったのだ」
国王『魔王はあくまで勇者一人で倒したことにせねばならぬ。
そうでなければ、“勇者の伝説”に相応しくないのでな』
国王『もし、“二人で倒した”と公表するのなら……勇者を勇者とは認めぬ。
恩賞の話もなかったことにしてもらう』
勇者「ざっくりいうと『魔王は勇者一人で倒したことにしなきゃ、地位も名誉もやらねえぞ』と」
女剣士「ひどい話ですね……」
勇者「まあね。だけど、俺はそれなりに金もらえたし、別にかまわなかったんだ。
なのにこいつがカンカンに怒っちゃって……」
勇者『二人で魔王を倒したのに、国から“魔王を倒した”と認められるのは私一人だけとはどういうことか!
こんなバカげた話があるか!』
相棒『いいじゃねえかよ。俺は高い地位につくとか柄じゃねえし』
勇者『ふざけるな! もしお前の存在を世間に公表しないのならば、私とて地位や名誉などいらん!』
相棒『それじゃなんのために戦ったんだよ、お前は。
勇者として魔王を倒したら、重職について国をよりよいものに変えるとかいってたじゃん』
勇者『なんとでもいえ! 私は決めた! 全てを公表し、勇者の称号は捨てる!』
相棒『お前は一度いったら聞かないからなぁ……』
少女「うへえ、頑固だねえ」
勇者「ダイヤモンド並みに固いからな、頭が」
女剣士「それでどうなったんですか?」
勇者「だから、俺は……」
こんなバカげた話があるか!』
相棒『いいじゃねえかよ。俺は高い地位につくとか柄じゃねえし』
勇者『ふざけるな! もしお前の存在を世間に公表しないのならば、私とて地位や名誉などいらん!』
相棒『それじゃなんのために戦ったんだよ、お前は。
勇者として魔王を倒したら、重職について国をよりよいものに変えるとかいってたじゃん』
勇者『なんとでもいえ! 私は決めた! 全てを公表し、勇者の称号は捨てる!』
相棒『お前は一度いったら聞かないからなぁ……』
少女「うへえ、頑固だねえ」
勇者「ダイヤモンド並みに固いからな、頭が」
女剣士「それでどうなったんですか?」
勇者「だから、俺は……」
相棒『分かったよ。俺は俺で勝手に“勇者”を名乗る!』
勇者『!』
相棒『首都から遠く離れた町で、“俺は勇者だ”“お前は偽者だ”って主張しまくってやる。
活躍しまくって絶対有名になってみせる』
相棒『だからお前も気にせず“勇者”として恩賞を受けろ』
相棒『で、もし……俺の噂を聞いたら……会いに来てくれよ。そしたら酒でも飲もう』
相棒『――約束だ』
勇者『本当に……やるのか?』
相棒『ああ、俺が約束を破ったことがあるか?』
勇者「……ってわけだ」
女剣士「だから……ずっとこの町で勇者を名乗ってたんですね。約束を守って……」
勇者『!』
相棒『首都から遠く離れた町で、“俺は勇者だ”“お前は偽者だ”って主張しまくってやる。
活躍しまくって絶対有名になってみせる』
相棒『だからお前も気にせず“勇者”として恩賞を受けろ』
相棒『で、もし……俺の噂を聞いたら……会いに来てくれよ。そしたら酒でも飲もう』
相棒『――約束だ』
勇者『本当に……やるのか?』
相棒『ああ、俺が約束を破ったことがあるか?』
勇者「……ってわけだ」
女剣士「だから……ずっとこの町で勇者を名乗ってたんですね。約束を守って……」
真勇者「しかし、あれから五年……ずいぶん待たせてくれたものだ」
勇者「バカ、お前の耳が遠いんだよ」
ハッハッハ… アハハハハ…
女剣士「やっと分かりました。あなたに黒い噂がつきまとってた理由が」
真勇者「うむ、私がこいつと組んでたところを見た人間はそれなりにいる。
なのに、魔王を倒したのは私一人の手柄になっているのだからな。
私が手柄を独占したのでは、と考える人間が出るのは当然のことなのだ」
真勇者「しかし、いずれきちんと公表するつもりでいる」
勇者「いや、しなくていいよマジで。遠慮とかじゃなく」
少女「うんうん。歴史の陰に隠れた勇者様の相棒がこれじゃみんな幻滅しちゃう」
勇者「幻滅て」
アハハハハ…
勇者「バカ、お前の耳が遠いんだよ」
ハッハッハ… アハハハハ…
女剣士「やっと分かりました。あなたに黒い噂がつきまとってた理由が」
真勇者「うむ、私がこいつと組んでたところを見た人間はそれなりにいる。
なのに、魔王を倒したのは私一人の手柄になっているのだからな。
私が手柄を独占したのでは、と考える人間が出るのは当然のことなのだ」
真勇者「しかし、いずれきちんと公表するつもりでいる」
勇者「いや、しなくていいよマジで。遠慮とかじゃなく」
少女「うんうん。歴史の陰に隠れた勇者様の相棒がこれじゃみんな幻滅しちゃう」
勇者「幻滅て」
アハハハハ…
真勇者「ああそれと、女剣士さん」
女剣士「は、はいっ!」
真勇者「愚かな野心のために故郷を失ったと聞いている。私の力がまだまだ至らないばかりに……」
女剣士「いえ、そんな! 悪いのは実業家なんですから……」
真勇者「実業家殿は間違いなく極刑になるだろう。
そして、二度とこのような事件が起きぬよう、対策に努めていく」
女剣士「どうか……お願いいたします!」
少女「いやー、超真面目。同じ勇者でもここまで違うとはね」
勇者「くそう……剣の腕は五分五分だったのに……」
女剣士「は、はいっ!」
真勇者「愚かな野心のために故郷を失ったと聞いている。私の力がまだまだ至らないばかりに……」
女剣士「いえ、そんな! 悪いのは実業家なんですから……」
真勇者「実業家殿は間違いなく極刑になるだろう。
そして、二度とこのような事件が起きぬよう、対策に努めていく」
女剣士「どうか……お願いいたします!」
少女「いやー、超真面目。同じ勇者でもここまで違うとはね」
勇者「くそう……剣の腕は五分五分だったのに……」
酒の席は進み――
勇者「あん時、お前が逃げてよぉ~。一人でデビルと戦うはめになって……」
真勇者「違う! あれは戦略的撤退で……」
アハハハ…
少女「ねーねー、勇者様」
真勇者「なんだい?」
少女「魔王を倒した時のことを教えてよ! 自称勇者は教えてくれないから!」
女剣士「あっ、私も聞きたかったです! 教えて下さい!」
真勇者「…………」
真勇者「いいたくない」
少女「えっ、どうしてー!」
女剣士(勇者さんと同じ答えだ……)
勇者「あん時、お前が逃げてよぉ~。一人でデビルと戦うはめになって……」
真勇者「違う! あれは戦略的撤退で……」
アハハハ…
少女「ねーねー、勇者様」
真勇者「なんだい?」
少女「魔王を倒した時のことを教えてよ! 自称勇者は教えてくれないから!」
女剣士「あっ、私も聞きたかったです! 教えて下さい!」
真勇者「…………」
真勇者「いいたくない」
少女「えっ、どうしてー!」
女剣士(勇者さんと同じ答えだ……)
真勇者「理由は簡単だ」
少女「なに?」
真勇者「あんな化け物との戦いを……二度と思い出したくないからだ! 口にしたくもないッ!」
勇者「な? だよな!」
真勇者「魔王は本当に強かった……。いや、あれは、本当に……強すぎる……」
勇者「戦闘中、何度諦めたか分からないもんな……」
真勇者「倒した時感じたのは、感激や達成感ではなく、ただただ安堵だった……」
勇者「分かるゥ! 嬉しいとか感じる余裕もなかった!」
真勇者「私は断言できる」
真勇者「もし、また魔王が現れたとしたら……私は絶対戦わないと! 二度とゴメンだ!」
勇者「俺も! 次は他の奴に任す!」
少女「ものすごい問題発言が飛び出たよ……」
女剣士「それにこの二人がそれほど恐れるなんて……魔王はどれだけ強かったの……」
少女「なに?」
真勇者「あんな化け物との戦いを……二度と思い出したくないからだ! 口にしたくもないッ!」
勇者「な? だよな!」
真勇者「魔王は本当に強かった……。いや、あれは、本当に……強すぎる……」
勇者「戦闘中、何度諦めたか分からないもんな……」
真勇者「倒した時感じたのは、感激や達成感ではなく、ただただ安堵だった……」
勇者「分かるゥ! 嬉しいとか感じる余裕もなかった!」
真勇者「私は断言できる」
真勇者「もし、また魔王が現れたとしたら……私は絶対戦わないと! 二度とゴメンだ!」
勇者「俺も! 次は他の奴に任す!」
少女「ものすごい問題発言が飛び出たよ……」
女剣士「それにこの二人がそれほど恐れるなんて……魔王はどれだけ強かったの……」
翌日になり――
勇者「もう行っちゃうのか」
真勇者「ああ、これでも忙しい身なのでな」
勇者「また遊びに来てくれよ」
真勇者「もちろんだ。よければ、お前も城に遊びに来てくれ。そちらの二人もご一緒に」
勇者「国賓級の扱いで頼むわ」
女剣士「勇者様、お元気で!」
少女「じゃあねー!」
微笑むと、真勇者はマントをひるがえし、帰っていった。
勇者「もう行っちゃうのか」
真勇者「ああ、これでも忙しい身なのでな」
勇者「また遊びに来てくれよ」
真勇者「もちろんだ。よければ、お前も城に遊びに来てくれ。そちらの二人もご一緒に」
勇者「国賓級の扱いで頼むわ」
女剣士「勇者様、お元気で!」
少女「じゃあねー!」
微笑むと、真勇者はマントをひるがえし、帰っていった。
勇者「久々の再会も果たしたし、今日もはりきって仕事するか!」
少女「うん!」
女剣士「はい!」
勇者「ついにあいつに俺の名が届いたし、こりゃいよいよ俺が本物の勇者って、
みんなが認める日が近いかもな!」
少女「うん、近い近い。きっと千年後ぐらいには実現できるんじゃない?」
勇者「せ、千年!?」
女剣士「長生きしないといけませんね」クスッ
女剣士(この国には二人の勇者がいる。どちらもとても強くて……そしてステキな人だ)
― おわり ―
少女「うん!」
女剣士「はい!」
勇者「ついにあいつに俺の名が届いたし、こりゃいよいよ俺が本物の勇者って、
みんなが認める日が近いかもな!」
少女「うん、近い近い。きっと千年後ぐらいには実現できるんじゃない?」
勇者「せ、千年!?」
女剣士「長生きしないといけませんね」クスッ
女剣士(この国には二人の勇者がいる。どちらもとても強くて……そしてステキな人だ)
― おわり ―
読み終わった、お疲れちゃん
しっかり伏線も回収して丁寧で読みやすかった
しっかり伏線も回収して丁寧で読みやすかった
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