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元スレ勇者「俺が本物の勇者なの! 城でふんぞり返ってるあの野郎は偽者なの!」
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町長「実はあの木、≪キグサレ病≫に侵されてることが分かってのう」
勇者「キグサレ病……木にとっては致命的な病だな」
町長「あと数年もすれば木全体が腐って枯れてしまうじゃろう。
そうなれば倒壊する危険もある。だから、その前に伐採して……」
勇者「供養してやりたいってことか」
町長「うむ、そして木材として使ってやりたいんじゃ」
勇者「木材?」
町長「二週間後、実業家さんがこの町の顧問になるじゃろ。
その時演説をされるから、その台に使ってやりたいんじゃよ」
勇者「キグサレ病……木にとっては致命的な病だな」
町長「あと数年もすれば木全体が腐って枯れてしまうじゃろう。
そうなれば倒壊する危険もある。だから、その前に伐採して……」
勇者「供養してやりたいってことか」
町長「うむ、そして木材として使ってやりたいんじゃ」
勇者「木材?」
町長「二週間後、実業家さんがこの町の顧問になるじゃろ。
その時演説をされるから、その台に使ってやりたいんじゃよ」
勇者「分かった、町長!」
勇者「この俺が……勇者が! 町のシンボルである大木に……盛大なフィナーレを飾らせてやる!」
町長「ありがとう……!」
少女「やったれ!」
女剣士「…………」
女剣士(あの木は町の住民でない私も見たことがあるけど、とても大きかった)
女剣士(この勇者さんに本当にあれが切れるというの……?)
勇者「この俺が……勇者が! 町のシンボルである大木に……盛大なフィナーレを飾らせてやる!」
町長「ありがとう……!」
少女「やったれ!」
女剣士「…………」
女剣士(あの木は町の住民でない私も見たことがあるけど、とても大きかった)
女剣士(この勇者さんに本当にあれが切れるというの……?)
― 町の広場 ―
木の周辺には大勢の人が集まっていた。
ワイワイ…
勇者「いい木だ。この傷、今までに何人もの力自慢がチャレンジしたようだな」
町長「うむ、だがなにぶん丈夫な木でのう……。病気とは思えんほどに……」
勇者「それとこの傷。町長さん、あんたも包丁でチャレンジしたな?」
町長「! なぜ分かったんじゃ!?」
勇者「俺ほどの勇者になると、傷を見ればどんな奴がどんな刃物で切ったか分かるのさ」
女剣士「包丁はいくらなんでも無茶ですよ……」
少女「チャレンジャーだねー、町長さん」
町長「せめてノコギリにすべきじゃったわい」
木の周辺には大勢の人が集まっていた。
ワイワイ…
勇者「いい木だ。この傷、今までに何人もの力自慢がチャレンジしたようだな」
町長「うむ、だがなにぶん丈夫な木でのう……。病気とは思えんほどに……」
勇者「それとこの傷。町長さん、あんたも包丁でチャレンジしたな?」
町長「! なぜ分かったんじゃ!?」
勇者「俺ほどの勇者になると、傷を見ればどんな奴がどんな刃物で切ったか分かるのさ」
女剣士「包丁はいくらなんでも無茶ですよ……」
少女「チャレンジャーだねー、町長さん」
町長「せめてノコギリにすべきじゃったわい」
勇者「苦しみは味わわせない……せめて一太刀で決めてやろう。約束だ」
女剣士「こんな大きい木を……!?」
少女「…………」
女剣士(少女ちゃんは何もいわない……?
いつもだったら『あまり大きいこと言わない方がいいよ』っていいそうなのに)
勇者「――では」
息を整えると――
ズバァッ!
女剣士「こんな大きい木を……!?」
少女「…………」
女剣士(少女ちゃんは何もいわない……?
いつもだったら『あまり大きいこと言わない方がいいよ』っていいそうなのに)
勇者「――では」
息を整えると――
ズバァッ!
ズズズ…
ズシン……
約束通り、一太刀で木は切り倒された。
パチパチパチパチパチ…
勇者「……立派な台に生まれ変われよ」
勇者「大工さん、よろしく頼む!」
大工「はいっす! 任せて下さい!」
ズシン……
約束通り、一太刀で木は切り倒された。
パチパチパチパチパチ…
勇者「……立派な台に生まれ変われよ」
勇者「大工さん、よろしく頼む!」
大工「はいっす! 任せて下さい!」
ワアァァァァァ……!
「勇者さん、すげえや!」 「さっすが勇者!」 「あんたは俺たちの勇者だぜ!」
勇者「みんな、ありがとう! もっと称えてくれ! 褒めてくれぇ! ヒャッホウ!」
パチパチパチパチパチ…
少女「あーあ、みんな褒めすぎだよ。当分調子に乗るだろうな」
女剣士(この人はたしかに自称勇者に過ぎないのかもしれない)
女剣士(だけど町の人にとっては、間違いなく“勇者”なんだ……!)
― おわり ―
「勇者さん、すげえや!」 「さっすが勇者!」 「あんたは俺たちの勇者だぜ!」
勇者「みんな、ありがとう! もっと称えてくれ! 褒めてくれぇ! ヒャッホウ!」
パチパチパチパチパチ…
少女「あーあ、みんな褒めすぎだよ。当分調子に乗るだろうな」
女剣士(この人はたしかに自称勇者に過ぎないのかもしれない)
女剣士(だけど町の人にとっては、間違いなく“勇者”なんだ……!)
― おわり ―
第三話『女剣士と死刑囚』
勇者「今日の訓練はこれまで!」
女剣士「ありがとうございました!」
勇者「実業家の顧問就任式は三日後……君はだいぶ強くなった」
女剣士「はい。必ず……必ず“罪人”を倒してみせます!」
少女「よーし、それじゃ景気づけにみんなでご飯食べに行こうよ!」
勇者「そうだな。たまにはパーッとやるか!」
少女「いよっ、さすが勇者!」
勇者「……いつもの店でな。安いし」
少女「ブーブー!」
勇者「今日の訓練はこれまで!」
女剣士「ありがとうございました!」
勇者「実業家の顧問就任式は三日後……君はだいぶ強くなった」
女剣士「はい。必ず……必ず“罪人”を倒してみせます!」
少女「よーし、それじゃ景気づけにみんなでご飯食べに行こうよ!」
勇者「そうだな。たまにはパーッとやるか!」
少女「いよっ、さすが勇者!」
勇者「……いつもの店でな。安いし」
少女「ブーブー!」
少女「おいしかったー」
勇者「少女ちゃん、ちょっと食べすぎっすよ」
少女「子供は食べるのが仕事なの」
女剣士「ふふっ、きっと立派な大人になれるわよ」
少女「胸も立派になれるといいなー」
勇者「…………」ピクッ
女剣士「どうしました? 勇者さん?」
勇者「あそこに……誰かいる」
死刑囚「…………」
勇者「少女ちゃん、ちょっと食べすぎっすよ」
少女「子供は食べるのが仕事なの」
女剣士「ふふっ、きっと立派な大人になれるわよ」
少女「胸も立派になれるといいなー」
勇者「…………」ピクッ
女剣士「どうしました? 勇者さん?」
勇者「あそこに……誰かいる」
死刑囚「…………」
女剣士「誰でしょう……?」
勇者「俺のファンだな。仕方ない、サインでもしてやるか。どっちかペン持ってない?」
少女「絶対違うよ。だってあいつが着てるの……囚人服だよ」
死刑囚「…………」
女剣士「まさか……まさか!」ジャキッ
即座に構える。
死刑囚「!」
女剣士「脱獄した死刑囚かッ!」
死刑囚「ああ……そうだ」
女剣士「覚悟ォ!!!」ダッ
勇者「俺のファンだな。仕方ない、サインでもしてやるか。どっちかペン持ってない?」
少女「絶対違うよ。だってあいつが着てるの……囚人服だよ」
死刑囚「…………」
女剣士「まさか……まさか!」ジャキッ
即座に構える。
死刑囚「!」
女剣士「脱獄した死刑囚かッ!」
死刑囚「ああ……そうだ」
女剣士「覚悟ォ!!!」ダッ
――ギィンッ!
女剣士「はああっ!」
死刑囚「ま、待て……! 俺は――」
女剣士「誰が待つか! 殺してやる! 今この場でッ!」
キンッ! ギンッ! キンッ!
女剣士の猛攻を、死刑囚は全て受け切る。
少女「お姉さん!」
勇者(彼女もかなりレベルアップしたのに……あの死刑囚、出来る!)
勇者(それに、死刑囚のあの目――)
女剣士「はああっ!」
死刑囚「ま、待て……! 俺は――」
女剣士「誰が待つか! 殺してやる! 今この場でッ!」
キンッ! ギンッ! キンッ!
女剣士の猛攻を、死刑囚は全て受け切る。
少女「お姉さん!」
勇者(彼女もかなりレベルアップしたのに……あの死刑囚、出来る!)
勇者(それに、死刑囚のあの目――)
女剣士「どうした、なぜ攻撃してこない!? 私を侮辱してるのか!?」
死刑囚「……くっ!」ダッ
女剣士「待てッ!」
勇者「よせッ!!!」
女剣士「!」ビクッ
勇者「追うな! 奴は手強い!」
女剣士「でも!」
勇者「頭に血が上った剣で勝てる相手じゃない」
少女「そうだよ! こういう時こそ冷静にならないと!」
女剣士「……ごめんなさい」
死刑囚「……くっ!」ダッ
女剣士「待てッ!」
勇者「よせッ!!!」
女剣士「!」ビクッ
勇者「追うな! 奴は手強い!」
女剣士「でも!」
勇者「頭に血が上った剣で勝てる相手じゃない」
少女「そうだよ! こういう時こそ冷静にならないと!」
女剣士「……ごめんなさい」
少女「どう、落ちついた?」
女剣士「とりあえずは……」
女剣士「勇者さん、少女ちゃん。私は今すぐ実業家さんの元に戻ります」
女剣士「死刑囚が現れたことを……報告しなければ!」
勇者「……分かった」
少女「気をつけてね!」
女剣士「うん!」
タタタッ…
少女「いきなり仇が現れるなんて……とんでもないことになっちゃったね」
勇者「ああ……」
女剣士「とりあえずは……」
女剣士「勇者さん、少女ちゃん。私は今すぐ実業家さんの元に戻ります」
女剣士「死刑囚が現れたことを……報告しなければ!」
勇者「……分かった」
少女「気をつけてね!」
女剣士「うん!」
タタタッ…
少女「いきなり仇が現れるなんて……とんでもないことになっちゃったね」
勇者「ああ……」
勇者「…………」
少女「どしたの?」
勇者「彼女の事情は俺も聞いたけど……あの死刑囚に村を滅ぼされたんだったな?
その後、実業家に雇われたって……」
少女「うん、そうだよ」
勇者「その事件、この三日間でもう一度調べ直してみたい」
勇者「付き合ってくれる?」
少女「もっちろん! あたしとあんたの仲じゃん!」
勇者「ありがとう! で、まずどうしたらいいと思う?」
少女「いきなりあたし頼みかい。んー、やっぱり彼女の村に行くのがいいんじゃない?」
勇者「よし……明日一番で彼女の村に向かおう」
少女「どしたの?」
勇者「彼女の事情は俺も聞いたけど……あの死刑囚に村を滅ぼされたんだったな?
その後、実業家に雇われたって……」
少女「うん、そうだよ」
勇者「その事件、この三日間でもう一度調べ直してみたい」
勇者「付き合ってくれる?」
少女「もっちろん! あたしとあんたの仲じゃん!」
勇者「ありがとう! で、まずどうしたらいいと思う?」
少女「いきなりあたし頼みかい。んー、やっぱり彼女の村に行くのがいいんじゃない?」
勇者「よし……明日一番で彼女の村に向かおう」
次の日、馬車を借りて勇者たちは女剣士の故郷に向かった。
― 村の跡 ―
ワイワイ… ガヤガヤ…
勇者「おおっ、すっかり復興してるな」
少女「復興というより、村があった土地全体がショッピング施設になっちゃってる感じだね」
勇者「彼女の村がどんなだったかは知らないが、多分面影は残っちゃいないだろうな」
勇者「……にしても、店がたくさんあるな。どれ、買い物していこうか?」
少女「遊びに来たんじゃないんだよ」
勇者「うぐ……分かってるよ。当時の事情を知ってる人を探し出そう」
少女「うーん、いればいいんだけどね……」
― 村の跡 ―
ワイワイ… ガヤガヤ…
勇者「おおっ、すっかり復興してるな」
少女「復興というより、村があった土地全体がショッピング施設になっちゃってる感じだね」
勇者「彼女の村がどんなだったかは知らないが、多分面影は残っちゃいないだろうな」
勇者「……にしても、店がたくさんあるな。どれ、買い物していこうか?」
少女「遊びに来たんじゃないんだよ」
勇者「うぐ……分かってるよ。当時の事情を知ってる人を探し出そう」
少女「うーん、いればいいんだけどね……」
実業家は黒だろうな、村焼き払って責任を死刑囚に押し付けた感じかな
「ここがまだ村だった頃の生き残り? さあ……いないと思うよ。
悪いけど、オイラはよその土地から来たから……」
「実業家さんもすごいもんさ。色々なビジネスに手を出してしくじったようだが、
この村の復興を上手くやって、また盛り返したからな」
「たった一人の凶悪犯に、この村焼かれちまったみたいだねえ。
ってわけで、このポンプ買っていかない? ボヤぐらい簡単に消せるよ!」
勇者「やっぱりいないか……」
少女「そりゃそうだよ。お姉さん、生き残りは自分だけっていってたし」
勇者「他に……なにか聞いてない?」
少女「ちょっと待って。今思い出すから……うーん……」
少女「あっ!」
勇者「わっ!?」ビクッ
少女「なんで驚くのよ。お姉さん、たしかお父さんとお母さんの遺体を、
近くの教会に埋葬したっていってた!」
悪いけど、オイラはよその土地から来たから……」
「実業家さんもすごいもんさ。色々なビジネスに手を出してしくじったようだが、
この村の復興を上手くやって、また盛り返したからな」
「たった一人の凶悪犯に、この村焼かれちまったみたいだねえ。
ってわけで、このポンプ買っていかない? ボヤぐらい簡単に消せるよ!」
勇者「やっぱりいないか……」
少女「そりゃそうだよ。お姉さん、生き残りは自分だけっていってたし」
勇者「他に……なにか聞いてない?」
少女「ちょっと待って。今思い出すから……うーん……」
少女「あっ!」
勇者「わっ!?」ビクッ
少女「なんで驚くのよ。お姉さん、たしかお父さんとお母さんの遺体を、
近くの教会に埋葬したっていってた!」
― 教会 ―
神父「これはこれは……なんのご用ですかな?」
勇者「神父さんは一年前、近くの村で起こった殺戮をご存じですよね?」
神父「ええ、もちろんです。大変いたましい事件でした。
たった一人の凶悪犯によって、村人がほとんど殺されてしまいました」
勇者「今、俺たちはその事件の調査をしてるんです」
神父「ほう、それはそれは……」
少女「その時、一人の女性が埋葬を依頼したよね?」
神父「ええ、女剣士さんですね。私は遺体をそのままの姿で埋葬する技術を持っていますので。
おそらく、あまりのショックで通常の葬送というのは耐えられなかったのでしょう」
勇者「――で、ぶしつけなお願いなんですが、その遺体……見せてもらえませんか」
神父「遺体を……ですかな?」
神父「これはこれは……なんのご用ですかな?」
勇者「神父さんは一年前、近くの村で起こった殺戮をご存じですよね?」
神父「ええ、もちろんです。大変いたましい事件でした。
たった一人の凶悪犯によって、村人がほとんど殺されてしまいました」
勇者「今、俺たちはその事件の調査をしてるんです」
神父「ほう、それはそれは……」
少女「その時、一人の女性が埋葬を依頼したよね?」
神父「ええ、女剣士さんですね。私は遺体をそのままの姿で埋葬する技術を持っていますので。
おそらく、あまりのショックで通常の葬送というのは耐えられなかったのでしょう」
勇者「――で、ぶしつけなお願いなんですが、その遺体……見せてもらえませんか」
神父「遺体を……ですかな?」
神父「それはさすがに……遺族の許可がないと……」
勇者「お願いします! この通り! 悪いようにはしませんから!」
神父「うーむ……」
少女「お願い、神父様! どうしても見なきゃいけないの!」
神父「うむむむ……」
少女「この人が遺体を見れば……事件の真相が分かるかもしれないの!」
神父「…………」
神父「なにやら事情があるようですね。分かりました、特別に許可しましょう」
勇者「ありがとうございます、神様ぁ!」
少女「神父様ね」
勇者「お願いします! この通り! 悪いようにはしませんから!」
神父「うーむ……」
少女「お願い、神父様! どうしても見なきゃいけないの!」
神父「うむむむ……」
少女「この人が遺体を見れば……事件の真相が分かるかもしれないの!」
神父「…………」
神父「なにやら事情があるようですね。分かりました、特別に許可しましょう」
勇者「ありがとうございます、神様ぁ!」
少女「神父様ね」
女剣士の両親の遺体を見る。
神父「お二人とも、斬り殺されたようです。いたましいことです」
勇者「…………!」
少女「どう?」
勇者「一目で分かった。この事件の真相がな……」
少女「うーん、こういうとこだけはさすが自称勇者だね」
勇者「だーかーら、自称じゃなくモノホン勇者だから」
少女「で、お次はどういたしますか? モノホン勇者様」
勇者「お次は……あの死刑囚の素性を知っておきたい」
少女「となると、あいつが捕まってた監獄だね。監獄にGo!」
神父「お二人とも、斬り殺されたようです。いたましいことです」
勇者「…………!」
少女「どう?」
勇者「一目で分かった。この事件の真相がな……」
少女「うーん、こういうとこだけはさすが自称勇者だね」
勇者「だーかーら、自称じゃなくモノホン勇者だから」
少女「で、お次はどういたしますか? モノホン勇者様」
勇者「お次は……あの死刑囚の素性を知っておきたい」
少女「となると、あいつが捕まってた監獄だね。監獄にGo!」
― 監獄 ―
勇者「……なんだか、あわただしいな」
少女「そりゃそうだよ。死刑囚に逃げられてるんだもん。
もし、死刑囚がなにか事件起こしたら、監獄のお偉いさんみんな首が飛ぶんじゃない?」
勇者「死刑囚の首を切れず、首が飛ぶはめになるわけか」
少女「だから死刑囚捕縛のニュースを首を長くして待ってるんだろうねえ」
勇者「おかげで俺たちも首を突っ込むことになったと」
少女「でもだからこそ、死刑囚の情報も聞き出しやすいかもしれないよ!」
勇者「情報収集といきますか……勇者として!」
勇者「……なんだか、あわただしいな」
少女「そりゃそうだよ。死刑囚に逃げられてるんだもん。
もし、死刑囚がなにか事件起こしたら、監獄のお偉いさんみんな首が飛ぶんじゃない?」
勇者「死刑囚の首を切れず、首が飛ぶはめになるわけか」
少女「だから死刑囚捕縛のニュースを首を長くして待ってるんだろうねえ」
勇者「おかげで俺たちも首を突っ込むことになったと」
少女「でもだからこそ、死刑囚の情報も聞き出しやすいかもしれないよ!」
勇者「情報収集といきますか……勇者として!」
調査の末、一人の看守に話を聞くことができた。
看守「もう上は大騒ぎだよ。死刑囚を捕まえろ、二度と脱獄者を出すなって」
勇者「だよねえ」
看守「ま、俺みたいなペーペーには関係ないけど!」
少女「そこで、あたしたちも協力したいから、死刑囚について色々教えて欲しいの!」
看守「いいよ! ペーペーの俺が、きっちりあいつについて教えてやるよ!」
勇者「……なんだかやたら口が軽そうな奴がいて助かったな」
少女「日頃囚人の相手してるとストレス溜まるんじゃない」
看守「もう上は大騒ぎだよ。死刑囚を捕まえろ、二度と脱獄者を出すなって」
勇者「だよねえ」
看守「ま、俺みたいなペーペーには関係ないけど!」
少女「そこで、あたしたちも協力したいから、死刑囚について色々教えて欲しいの!」
看守「いいよ! ペーペーの俺が、きっちりあいつについて教えてやるよ!」
勇者「……なんだかやたら口が軽そうな奴がいて助かったな」
少女「日頃囚人の相手してるとストレス溜まるんじゃない」
勇者「まず……死刑囚の経歴を知りたいな」
看守「元々は腕のいい剣士で、用心棒や魔物退治で名をはせてたって聞くよ」
勇者「ふむふむ、俺ほどではないがなかなかの勇者だな」
看守「ガキの頃誘拐されて、買われた先で剣の才能を見出されて、用心棒になったんだと。
10人ぐらい相手にして勝ったこともあるらしい」
少女「ふーん。そんな奴、よく捕まえられたもんだね」
看守「いや……あいつは捕まったんじゃない。自首してきたんだ」
勇者「自首……?」
看守「ああ、『村を滅ぼしたのは俺です』ってね」
看守「村の事件の調査が本格的に行われる直前だったかな。
あいつが自首してきて……自白の内容も問題なかったから、事件解決になったらしい」
少女「ずいぶん乱暴だね」
看守「魔王が死んで五年、世界は平和になったが、まだまだ治安は悪く人手が足りないからね。
犯人が自分から名乗り出たら、解決にしちゃうってケースは多いのさ」
看守「元々は腕のいい剣士で、用心棒や魔物退治で名をはせてたって聞くよ」
勇者「ふむふむ、俺ほどではないがなかなかの勇者だな」
看守「ガキの頃誘拐されて、買われた先で剣の才能を見出されて、用心棒になったんだと。
10人ぐらい相手にして勝ったこともあるらしい」
少女「ふーん。そんな奴、よく捕まえられたもんだね」
看守「いや……あいつは捕まったんじゃない。自首してきたんだ」
勇者「自首……?」
看守「ああ、『村を滅ぼしたのは俺です』ってね」
看守「村の事件の調査が本格的に行われる直前だったかな。
あいつが自首してきて……自白の内容も問題なかったから、事件解決になったらしい」
少女「ずいぶん乱暴だね」
看守「魔王が死んで五年、世界は平和になったが、まだまだ治安は悪く人手が足りないからね。
犯人が自分から名乗り出たら、解決にしちゃうってケースは多いのさ」
看守「あいつはそのまま監獄にブチ込まれて、そのうち処刑されるはずだった……」
少女「だけど、逃げ出したんだね?」
看守「ああ、処刑当日、処刑人他何人かを叩きのめして、逃げちまったんだ」
死刑囚『実業家を必ず殺してやる! 奴が顧問とやらになる日になァ!』
看守「……って言葉を吐き捨ててね。あれにはペーペーの俺ですら小便チビりそうになったよ」
勇者&少女「…………」
少女「だけど、逃げ出したんだね?」
看守「ああ、処刑当日、処刑人他何人かを叩きのめして、逃げちまったんだ」
死刑囚『実業家を必ず殺してやる! 奴が顧問とやらになる日になァ!』
看守「……って言葉を吐き捨ててね。あれにはペーペーの俺ですら小便チビりそうになったよ」
勇者&少女「…………」
勇者「……最後に聞いておきたいんだが」
看守「なんでも聞いて? ペーペーの俺でよければ!」
勇者「監獄に勤めてる奴ってのは、どこぞの有力者の息がかかってる奴が多いのか?」
看守「そりゃ多いよ。貴族とか大商人とかが、自分の手下を勤めさせてることはね。
監獄では裏の情報もザクザク手に入るし……」
勇者「ふむふむ、なるほど」
少女「ちなみにあなたは?」
看守「俺? 誰の息もかかってないよ! でなきゃペーペーなんてやってないって!」
少女「看守さんが出世できることを祈ってるよ!」
看守「お、ありがとう! あんたらが捕まったらサービスしてやるよ!」
看守「なんでも聞いて? ペーペーの俺でよければ!」
勇者「監獄に勤めてる奴ってのは、どこぞの有力者の息がかかってる奴が多いのか?」
看守「そりゃ多いよ。貴族とか大商人とかが、自分の手下を勤めさせてることはね。
監獄では裏の情報もザクザク手に入るし……」
勇者「ふむふむ、なるほど」
少女「ちなみにあなたは?」
看守「俺? 誰の息もかかってないよ! でなきゃペーペーなんてやってないって!」
少女「看守さんが出世できることを祈ってるよ!」
看守「お、ありがとう! あんたらが捕まったらサービスしてやるよ!」
勇者「……ったく、ペーペーペーペーうるさい奴だったな」
少女「どこぞの勇者勇者うるさい奴といい勝負だね」
勇者「はぐ……」
少女「だけどおかげでいい情報が手に入ったじゃない!」
勇者「ああ……事件のことはだいたい分かった」
勇者「ここからは二手に分かれよう。俺は急いで町に戻るから、少女ちゃんは……」
少女「うん、分かった!」
…………
……
少女「どこぞの勇者勇者うるさい奴といい勝負だね」
勇者「はぐ……」
少女「だけどおかげでいい情報が手に入ったじゃない!」
勇者「ああ……事件のことはだいたい分かった」
勇者「ここからは二手に分かれよう。俺は急いで町に戻るから、少女ちゃんは……」
少女「うん、分かった!」
…………
……
顧問就任式、当日――
― 町の広場 ―
大勢の町民が集まり、賑わっていた。
町長「これより、我が町の顧問に就任して頂く実業家殿より……挨拶を頂戴したいと思います。
さ、どうぞ!」
実業家「はい」
パチパチパチパチパチ…
周辺は実業家の私兵が固めている。
隊長「もし死刑囚が現れたら……お前に手柄を立てさせてやる」
女剣士「ありがとうございます、隊長!」
女剣士(奴は必ず現れる……。絶対私の手で仕留めてみせる!)
― 町の広場 ―
大勢の町民が集まり、賑わっていた。
町長「これより、我が町の顧問に就任して頂く実業家殿より……挨拶を頂戴したいと思います。
さ、どうぞ!」
実業家「はい」
パチパチパチパチパチ…
周辺は実業家の私兵が固めている。
隊長「もし死刑囚が現れたら……お前に手柄を立てさせてやる」
女剣士「ありがとうございます、隊長!」
女剣士(奴は必ず現れる……。絶対私の手で仕留めてみせる!)
演説台に乗り、ゆっくり頭を下げる。
実業家「町民の皆さま、初めまして。
このたび町の顧問に就任させて頂くこととなりました実業家と申します」
実業家「私はこれまで、魔王亡き後の復興ビジネスで成功を収めて参りましたが……
ついに町の運営に携わるという名誉を頂くことができました」
実業家「私が顧問になったあかつきには、この町をさらに発展させ……
皆さまにさらなる豊かさと幸福をお届けすることを約束いたします!」
ワアァァァァァ……!
パチパチパチパチパチ…
沸き上がる町民たち。
実業家「さて、私が考えている経済政策といたしましては……」
実業家「町民の皆さま、初めまして。
このたび町の顧問に就任させて頂くこととなりました実業家と申します」
実業家「私はこれまで、魔王亡き後の復興ビジネスで成功を収めて参りましたが……
ついに町の運営に携わるという名誉を頂くことができました」
実業家「私が顧問になったあかつきには、この町をさらに発展させ……
皆さまにさらなる豊かさと幸福をお届けすることを約束いたします!」
ワアァァァァァ……!
パチパチパチパチパチ…
沸き上がる町民たち。
実業家「さて、私が考えている経済政策といたしましては……」
その時だった。
死刑囚「実業家ァァァァァッ!!!」
実業家「!」
死刑囚「殺してやる……!」チャキッ
ザワザワ… ドヨドヨ…
私兵たちが構える。
隊長「行け! ご家族と村人たちの仇を取るんだ!」
女剣士「はいっ!」
死刑囚「実業家ァァァァァッ!!!」
実業家「!」
死刑囚「殺してやる……!」チャキッ
ザワザワ… ドヨドヨ…
私兵たちが構える。
隊長「行け! ご家族と村人たちの仇を取るんだ!」
女剣士「はいっ!」
女剣士「死刑囚……覚悟しろ!」
死刑囚「…………!」
死刑囚「よせ……俺はお前と戦いたくない!」
女剣士「黙れ! “殺してやる”は私のセリフだ! 覚悟ォォォォォッ!!!」ダッ
死刑囚「くっ……!」
女剣士が猛然と斬りかかる。
ズバァッ!
死刑囚「…………!」
死刑囚「よせ……俺はお前と戦いたくない!」
女剣士「黙れ! “殺してやる”は私のセリフだ! 覚悟ォォォォォッ!!!」ダッ
死刑囚「くっ……!」
女剣士が猛然と斬りかかる。
ズバァッ!
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