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    元スレ暗殺者「今日もナイフ舐めるぞぉ~!」女「……キモッ」

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    51 = 1 :

    首領「ああ、それと毒娘。人混みでの任務になるゆえ、お前はここで待機してもらう」

    毒娘「はーい!」

    首領「すまんな」

    毒娘「いえいえ! 首領のそのお心遣いに、あたしはうっとりでーす!」

    暗殺者「バ、バカな……! 首領が……謝った!?」

    「信じられないわ……!」

    青年「明日は雪ですかね!? それとも台風……。大地震……。世界の終焉……」

    首領「俺がこの世で最も嫌いなことは、ちょっと謝っただけで驚かれることだ」

    三人「す、すみませーん!」

    52 :

    昔見たのとは別の話か

    53 = 1 :

    当日――

    ― 大広場 ―

    ワイワイ… ガヤガヤ…

    「人が大勢集まってるねー」

    暗殺者「そりゃそうだろ。王様を見られるチャンスなんて、そうあるもんじゃない」

    「暗殺できるチャンスもってことね」

    青年「あ、誰か来ますよ」

    団長「これはこれは暗殺部隊の諸君、首領殿から話は聞いてる。今日はよろしく頼むよ」

    暗殺者「こちらこそ」

    団長「それにしても――」

    暗殺者「?」

    54 = 1 :

    団長「ナイフ使いに糸使い、それと吹き矢使い。ここにはいないが毒使いもいるらしいな」

    団長「暗殺部隊とは名ばかりの、とんだ色物集団じゃないか」

    暗殺者「色物集団だとォ……!?」

    暗殺者「くっ、返す言葉もない……」

    「うん……私たちのことを的確に表した言葉だわ……」

    青年「色物どころかゲテモノだったりして……」

    団長「そこは頑張って返して欲しかった」

    55 = 1 :

    団長「まぁいい。我らもプロだ。お前たちについてとやかく言わん。陛下を守れればそれでいい」

    団長「手柄を立てようと無茶な真似をして、我らの完璧な警備を邪魔することだけはやめてくれよ」

    ザッザッザッ…

    暗殺者「ふん、なーにが“完璧な警備”だ!」

    「ネズミ一匹通さないとかいって通しちゃう感じのやつよね」

    青年「色物なのは認めますが、負けてられませんよ!」

    暗殺者「俺たちも暗殺者としての視点から、敵ならどうやって王を狙うか考えながら警備しよう」

    「そうね」

    青年「分かりました!」

    56 = 1 :

    国王の演説が始まった。

    国王「親愛なる国民たちよ、君たちの前でこうして話せることを嬉しく思う」

    国王「君たちがいるからこそ、こうして王朝は成り立っているのである……」

    ワアァァァァァ……!



    暗殺者(ついに始まったか……)

    暗殺者(だが、いうだけあって護衛団の警備はマジで完璧だ)

    暗殺者(要所要所に屈強そうなのが配置してあって、まるっきりスキがねえ)

    暗殺者(もし暗殺部隊で国王を狙うとしたら、それこそ強引な方法取るしかないだろうな)

    暗殺者(俺がナイフで特攻するとか……)

    57 = 1 :

    暗殺者「どうだ?」

    「出来る限り、糸を張り巡らせてるけど……それらしき気配は感じ取れないわね」ピンッ

    青年「僕もです。怪しいのがいたら、すぐ吹き矢を発射するつもりですけど……」

    暗殺者「だよなぁ」

    暗殺者(警備がキツイから諦めたのか……? いや、とてもそうは思えねえ)

    暗殺者「なぁ、あんた」

    市民「ん? なんだよ? いいとこなのに……」

    59 = 1 :

    暗殺者「今日、王様は何をするんだ?」

    市民「今更なにいってんだよ! 演説と王冠の新調だっての!」

    暗殺者「王冠の新調ってのは、新しくするってことか」

    市民「そうだよ。新しく作られた王冠を、陛下がこの場で被るんだよ! 見てるのに邪魔すんなよ!」

    暗殺者「…………」

    暗殺者「もしかして、その王冠を手渡す奴が王様を襲ったりして」

    「そんな手が通用するような警備じゃないわよ」

    「それに、手渡すのは同じく壇上に立ってる大臣がやるでしょ?」

    青年「大臣が暗殺者だったり、王冠そのものが襲いかかるならともかく……」

    暗殺者「だよなぁ」

    60 = 1 :

    暗殺者「いや、ちょっと待てよ。王冠そのものが襲いかかる……?」



    『お、キャンディだ』 バチンッ! 『いでええええええ! なんだこりゃ!?』



    暗殺者「俺が青年にやられたイタズラ……もしああいう仕掛けが王冠に施されてたとしたら……」

    暗殺者「王のために作られた王冠を事前に誰か被るなんてありえないから……ノーチェックだろうし……」

    「あっ」

    青年「あっ」

    暗殺者「ヤバイ!!!」

    61 = 1 :

    大臣「ではこれより、職人から納入された新しい王冠を陛下にお被り頂く」

    大臣「どうぞ」

    国王「うむ、デザイン・装飾ともに、素晴らしい出来栄えだ」



    ワイワイワイ… ガヤガヤガヤ… オオッ…



    暗殺者「もう被っちまう! 一か八か、妨害するしかない!」

    「私の糸じゃ届かないわ!」

    暗殺者「俺のナイフも無理だ!」

    青年「じゃあ僕しかいないってことですね」

    暗殺者(そうか、こいつの吹き矢があった!)

    62 = 1 :

    暗殺者「だけど時間がない! 一発でも外したら終わりだぞ!」

    青年「外したら終わり?」

    青年「じゃあ――終わらないってことですね」

    青年は悠々と筒を口に咥えると――



    フヒュッ!

    カァーンッ!



    一矢で王冠を弾き飛ばした。

    63 = 1 :

    弾き飛ばされた拍子に――

    ガシャンッ!

    国王「うわっ、なんだこれは……!?」

    大臣「王冠から刃が……!」

    団長「どうされました!?」タタタッ

    大臣「王冠に仕掛けが施されておったのだ! 被ると刃が飛び出るようになっていた!」

    団長「なんですって!?」

    ザワザワ… ドヨドヨ…



    青年「ね?」

    暗殺者「…………」

    暗殺者「よくやった」ゲシッ!

    青年「痛い! なんで蹴るんですか!?」

    暗殺者「ごめん、なんか蹴りたくなった」

    「気持ちは分かるわ……」

    64 = 1 :

    無事、式典は終わり――

    団長「このたびは陛下の命を救ってくれてありがとう」

    団長「どうやら、王を狙う者たちが王冠職人を抱き込んで暗殺を謀ったらしい」

    団長「我らだけでは陛下を守れなかった。実力を侮るようなことをいって申し訳ない」

    暗殺者「いや、あんたらの警備が万全だったからこそ、他の可能性を考えられたわけだし、お互い様だよ」

    去っていく団長。

    暗殺者「イヤミでもいってやろうと思ったのに、あてが外れたな」

    「彼らもプロだったってことね」

    暗殺者「にしても、相変わらずすごい腕だな、お前の吹き矢は。百発百中だ」

    青年「…………」

    65 = 1 :

    ……

    …………

    青年(あいつを殺せば……大金をもらえる! 貧しい暮らしから抜け出せる……!)フヒュッ!

    首領『ん?』パシッ

    青年『え……!?(キャッチされた……!)』

    首領『あそこか』

    青年(場所もバレた!)

    首領『…………』ドドドドドッ

    青年(しかも追いかけてきた! は、速いっ!)タタタッ…

    首領『…………』ドドドドドッ

    青年『ひいいいいっ……!』

    66 = 1 :

    ガシッ!

    青年『ああ……ああああ……!』

    首領『いい腕だ。的確に俺の頸動脈を狙っていた』

    青年『…………!?』

    首領『お前をスカウトしたい』

    青年『は……!?』

    ……

    67 = 1 :

    青年「……百発百中とはいきませんけどね」

    暗殺者「そうなのか?」

    青年「だけど、もう外しません。僕はもう国を守る暗殺部隊の一員ですから!」







    ―おわり―

    68 = 50 :

    面白いな

    69 :

    首領のスカウト能力高いな

    70 = 1 :

    第四話『糸とナイフ』



    青年「僕らって、みんな順風満帆な人生なんて送れてませんよね」

    暗殺者「そりゃ、そんな人生送ってたら暗殺なんてやってねえよ。キャンディ屋になってる」

    青年「ってわけで不幸自慢対決でもしません?」

    暗殺者「いいぜ」

    毒娘「じゃああたしからー! あたしは赤ん坊の頃にヘドロまみれの川に捨てられて……」

    暗殺者「はい、優勝」

    青年「僕もそれなりに貧困を味わったけど、流石に敵わないよ……」

    毒娘「イェイ!」

    暗殺者「イェイじゃねーだろ」

    71 = 1 :

    青年「女さんはなにかないんですか? 自慢できるような不幸」

    「…………」

    青年「教えて下さいよ~」

    「青年君」

    青年「はい」

    ヒュルルッ

    首に糸が巻きつく。

    青年「え」

    「君はちょーっとデリカシーが足りないかな?」

    青年「すいませんでしたぁ!」

    毒娘「アハハ、絞めちゃえ絞めちゃえ」

    暗殺者(そういや、あいつの過去はあまりよく知らないんだよな……)

    72 = 1 :

    ……

    首領「今日の任務は二つ。標的Aは、暗殺者と女の二人で始末してこい」

    暗殺者「はい」

    「分かりました」

    首領「青年と毒娘は、標的Bだ」

    青年「じゃ、毒娘ちゃん、いつものように」

    毒娘「あんたの吹き矢の筒に毒を塗ってあげる!」

    青年「いやいやいや、筒に塗ったらダメだって! 矢に塗って!」

    73 = 1 :

    ペアで仕事にとりかかる二人。

    「逃がさないわ」ヒュルルルッ

    ガシッ!

    標的「ぐえっ……!? う、動けない……」

    暗殺者「ナーイス」

    グサッ!

    急所を突き刺す。

    標的「ぐおぉっ……!」ガクッ

    74 = 1 :

    暗殺者「始末しました」

    首領「ご苦労」

    首領「このところ、だいぶ手際がよくなってきたな」

    暗殺者「ありがとうございます!」

    「ありがとうございます」

    毒娘「ねえねえ、あの二人……」

    青年「なに?」

    毒娘「このところ、いい感じじゃない?」

    青年「確かに……縛ってから刺すコンビネーションも強力だし……」

    毒娘「ひょっとして、近々恋仲になるかも……」ムワァァァァ

    青年「好奇心で毒素出てる出てる!」

    75 = 1 :

    スタスタ…

    暗殺者「…………」

    「…………」

    暗殺者「今日はいい仕事ができたな」

    「そうだね」

    暗殺者「…………」

    「…………」

    暗殺者「この後、ちょっと飲みに行かないか?」

    「いいよ」

    76 = 1 :

    ― 酒場 ―

    マスター「ご注文は?」

    暗殺者「ナイフの味にマッチするやつを頼む」ベロベロベロ

    「ったく、こんなとこで舐めないでよ。ムード台無し」

    マスター「では……≪ナイフカットスレッド≫はいかがです?」

    暗殺者「なにそれ?」

    マスター「“ナイフで糸を切る”という意味のカクテルで、切れ味鋭い味が楽しめますよ」スッ

    暗殺者「ふうん」グビッ

    「いただくわ」クイッ

    「うん、辛めでおいしい!」

    暗殺者(ホントに鋭いなこれ! キッツイわ! 俺、甘党だし……)ゲホッ

    77 = 1 :

    「ところで、なにか聞きたいことでもあるんでしょ?」

    暗殺者「ん、まぁな……」

    暗殺者「昼間のやり取りで、そういや俺、お前の過去あまり知らないな、と思って」

    暗殺者「元々は服屋やってたんだろ? なんでこんな道に……」

    「…………」

    暗殺者「いや、話したくなきゃもちろん話さなくていいんだけどさ」

    「ううん、話してあげる。こんなおいしいカクテル、飲ませてもらったお礼」

    暗殺者(え、これ美味いかな……。正直、この一杯飲みきるのもキツイんだけど)

    …………

    ……

    78 = 1 :

    女は若くして、亡き両親から受け継いだ服屋を営んでいた。

    糸を紡ぐのが得意であり、その糸を用いた衣服は丈夫でデザインもよく、なかなかの評判であった。

    町娘『こんないいワンピース作ってくれてありがとう!』

    『どういたしまして』

    そして、常連客の一人が――

    『いらっしゃいませ!』

    紳士『コートのほつれを直してもらいたくてね』

    『はい、承ります!』

    (素敵な人だなぁ……いつかこの人に服を作ってあげよう)

    79 = 1 :

    ある日――

    『できた!』

    (紳士さんにこの服をプレゼントしよう! そして想いを伝えるの!)

    ギィィ…

    紳士『やぁ』

    『いらっしゃいませ!』ドキドキ

    紳士『君はいつ見てもキレイだね』ニコッ

    『そんな……キレイだなんて。お上手なんだから』

    紳士『いや、世辞なんかじゃないよ。だって私は……いつも君を襲いたかったんだからねェ!!!』

    『え!?』

    81 = 1 :

    バシッ! バキッ!

    『いやっ……! やめで……!』

    紳士『いいじゃないか……減るもんじゃなし。それに君だって私に惚れてたんだろォ?』

    紳士『紳士、色を好むとでもいうのか……。私はいい女を見ると、ムリヤリこうしたくなるんだよねェ!』

    (こんな人、だったなんて……!)

    『このっ!』シュルルッ

    紳士『えっ!?』

    『ぐうっ!』ギュッ

    紳士『ぐええっ……がっ……糸で首を……!?』

    『くううっ……!』ギュゥゥゥ…

    紳士『あ……が……』ガクッ

    『はぁ、はぁ、はぁ……』

    『殺し……ちゃった……』

    82 = 1 :

    女は糸で自ら首を吊ろうとする。そこへ――

    首領『待てい』

    『!』ビクッ

    首領『大したものだ』

    『へ……?』

    首領『この男は俺の標的だったのだが、先を越されてしまった』

    首領『この糸で絞めたのか……俺の力でも容易には切れんな。死なすに惜しい人材だ』

    『あ、あなたは……?』

    首領『どうしても死にたいのなら止めんが……お前には死以外に三つの選択肢がある』

    首領『一つ、こいつを始末したのは俺ということにし、このまま今まで通り店を続ける』

    首領『二つ、自首しありのままを全て打ち明ける。正当防衛になる可能性も高いだろう』

    『いえ……私はもう……』

    首領『そして、三つ目は……』

    83 = 1 :

    ……

    暗殺者「で、スカウトに乗ったわけか」

    「うん……。『国を守るため、お前の力を貸して欲しい』って言葉が効いたの」

    「それに、あの首を絞めた嫌な感触、死にゆく紳士さんの顔、とても忘れられそうになかったから……」

    「いっそ全然ちがう世界に飛び込んでみたくなったの……。たとえ、暗殺業でも……」

    暗殺者「そうか……」

    「服を作ってさ、プレゼントしようとした日に襲われるだなんて、とんだ初恋だったよ。アハハ」

    暗殺者「…………」

    84 = 1 :

    暗殺者「今でも服は作れるのか?」

    「うん、自分のは自分で作ってるし」

    暗殺者「だったら……俺の服を一着作ってくれないか?」

    「!」

    暗殺者「ちょうど……新しい服が欲しかったしよ」

    「……いいよ」

    暗殺者「ホントか!」

    「ただし、さっきのカクテルをもう一杯おごってね。二人で飲も」

    暗殺者(えっ、俺も飲むの……)

    85 = 1 :

    ……

    ― 暗殺部隊本部 ―

    首領「俺がこの世で最も嫌いなことは、いい加減な報告書を見せられることだ」

    青年「そんなにいい加減ですかね?」

    首領「『矢をフッとやったら、敵がバタリと倒れた』……こんな報告書があるか。今日中に書き直せ」

    青年「うう……」

    毒娘「吹き矢だけじゃなく、文章の訓練もしなきゃダメね~」

    暗殺者「さて、俺はそろそろ帰るか」

    「あ、ちょっと待って。渡したいものがあるの」

    暗殺者「ん?」

    86 = 25 :

    しえん

    87 = 1 :

    「はいこれ」

    暗殺者「これは……服?」

    「約束したでしょ?」

    暗殺者「あ、ありがとう……! 大切に着るよ……!」

    毒娘「あ、いーなぁ。あたしも新しい服欲しいなぁ」

    「オッケー、毒娘ちゃんに似合うの作ってあげる! 毒に強い素材でね!」

    毒娘「ありがとー!」

    青年「僕も!」

    「あなたはちゃんと報告書書けるようになってからね」

    青年「いつになるんだろう……」

    アハハハ…

    88 = 1 :

    さっそく服を着る暗殺者。

    暗殺者「ジャーン、どうだ?」

    毒娘「いいじゃんいいじゃん! 今時の若者って感じぃ!」

    青年「いいなぁ……僕もああいうの欲しい……!」

    「う~む、我ながらよくできたわね」

    首領「…………」

    首領(どうやら女を縛っていた糸を……暗殺者のナイフが切ったようだな)







    ―おわり―

    89 = 50 :

    いい話だな

    90 = 1 :

    第五話『首領』



    ― 訓練所 ―

    首領「…………」

    暗殺者「せやっ!」ダッ

    ビュンッ! ヒュンッ!

    巨体に似合わぬ軽やかな動きでナイフをかわすと――

    首領「ぬんっ!」

    ドゴォッ!

    暗殺者「ぐはっ……!」ガクッ

    首領「もっと虚を突け。暗殺者の攻撃が正直では話にならん」

    91 = 1 :

    (腕を――)ヒュルルッ

    糸を巻きつけようとするが、逆に掴まれてしまう。

    首領「武器を敵に利用される危険性も考慮しておけ」グンッ

    「きゃっ!」ドサッ

    青年「…………!」

    青年(あの二人に手こずってるところに矢を当てるってプランが……いきなり破綻してしまったぞ)

    青年「くそっ!」フヒュッ! フヒュッ!

    首領「ヤケクソの矢が当たると思うな」パシッ パシッ

    あっという間に接近され――

    ガンッ!

    青年「いだだだだだ……! ゲンコツだなんてひどい……!」

    首領「俺が敵だったらゲンコツでは済んでないぞ」

    92 = 1 :

    首領「残るは……」チラッ

    毒娘「ふ、ふふふ……あたしは三人のようにはいかないよ!」

    毒娘「毒素全開!」ムワァァァァァ

    毒娘「首領敗れたりィ! この状態のあたしに触ったら、いくら首領でも命の保証はないもんねー!」モワァァァ…

    首領「…………」

    首領はさっきキャッチした矢を投げた。

    ヒュッ

    チクッ

    毒娘「いだぁぁぁぁい! いだぁぁぁぁい!」

    首領「…………」

    93 = 1 :

    首領「今日の訓練はこれまで」

    首領「まだまだ未熟だが、ヒヤリとさせられる瞬間もあった。腕は上がっている」

    首領「今後も精進しろ」ザッザッ…

    立ち去る首領。

    暗殺者「いてて……今日こそ負かしてやると思ったけどやっぱつえーわ。化け物だわ」

    「四人がかりでこのザマだもんね」

    青年「もうあの人だけでいいんじゃないかな、ってたまに思いますよね」

    毒娘「首領はやっぱり強くてステキ……」キラキラ

    94 = 80 :

    首領強いな

    95 = 1 :

    青年「なんであの人はあんなに強いんですか?」

    暗殺者「そりゃこの暗殺部隊を創設したのは首領だし、強くて当然だろ」

    暗殺者「元々は首領ともう一人でやってたらしいが、そのもう一人がいなくなったから」

    暗殺者「手が足りなくなって俺らみたいなのをスカウトしたって経緯だし」

    「上司ながら、謎が多い人よねえ」

    青年「普段なにしてるのか全然想像つきませんしね」

    毒娘「そんなミステリアスな首領もステキ……」キラキラ

    暗殺者(このところ、首領も俺らのこと褒めてくれるようになったし、今度ダメ元で……)

    96 = 1 :

    ある日――

    ― 暗殺部隊本部 ―

    暗殺者「あ、あの……首領」

    首領「なんだ」

    暗殺者「首領はたまーに自分の家に帰られますよね?」

    首領「そうだ」

    暗殺者「今度の休日も?」

    首領「急用が入らなければそうするつもりだ」

    暗殺者「首領のご自宅に……俺も一緒に行っちゃダメですかね?」

    首領「別にかまわんが」

    暗殺者「え、いいの!? いや、いいんですか!?」

    97 = 1 :

    首領「断る理由もない。たまにはかまわんだろう」

    暗殺者「よっしゃ!」

    「それじゃ私も!」

    青年「僕も!」

    毒娘「あたしも行きたーい!」

    暗殺者「というわけで、よろしくお願いします!」

    首領「大したもてなしは出来んぞ」

    暗殺者「アハハ、おかまいなく……」

    暗殺者(首領のもてなしなんてむしろ受けたくないっての)

    98 = 1 :

    休日――

    首領「こっちだ、ついてこい」

    暗殺者「ワクワクするなぁ」

    青年「首領の奥さんってどんな人なんでしょうね?」ヒソヒソ

    「さぁ、想像もつかないわ。あの首領の奥さんだし、聖人みたいな人かも……」

    青年「あるいは首領の女バージョンみたいな人だったり……」

    毒娘「いずれにせよ、あたしにとっては恋のライバルね! 敵情視察しないと!」

    99 = 1 :

    ― 首領の家 ―

    夫人「いらっしゃいませ」ニコッ

    首領「部下たちだ。もてなしてやってくれ」

    四人(普通だ!!!)

    夫人「主人がいつもお世話になっています」

    暗殺者「いえ、こっちこそ……いつも……(恐れてます)」

    夫人「さ、リビングへどうぞ」

    毒娘「お邪魔しまーす!」

    100 = 1 :

    首領「さて、俺は出かけてくる」

    夫人「行ってらっしゃい」

    夫人「今料理をお出ししますから」

    息子「ごゆっくりどうぞー!」

    暗殺者「おお、息子さんもいたんだ」

    「可愛いわね」

    青年「首領に似なくてよかったね!」

    毒娘「なでなでしちゃいたい……」

    暗殺者「絶対しちゃダメ!」

    息子「?」


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