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元スレ嫁「あなたァ……生命保険入らない?」ゴリゴリ 男「毒の調合しながら言わないでくれる?」
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第一話『嫁は毒の達人』
嫁「ふんふ~ん」ゴリゴリ…
嫁「ベラドンナにトリカブト……それと毒キノコを数種混ぜて……」ゴリゴリ…
嫁「キヒヒ……出来てきたわぁ~……」ゴリゴリ…
嫁「ねえ……あなたァ」ゴリゴリ…
男「ん?」
嫁「生命保険入らない?」ゴリゴリ…
男「……毒の調合しながら言わないでくれる?」
嫁「ふんふ~ん」ゴリゴリ…
嫁「ベラドンナにトリカブト……それと毒キノコを数種混ぜて……」ゴリゴリ…
嫁「キヒヒ……出来てきたわぁ~……」ゴリゴリ…
嫁「ねえ……あなたァ」ゴリゴリ…
男「ん?」
嫁「生命保険入らない?」ゴリゴリ…
男「……毒の調合しながら言わないでくれる?」
>>4
あなたぁ…生命保険入らない?ニチャアァ
あなたぁ…生命保険入らない?ニチャアァ
嫁「違うわよォ、毒の調合はただの仕事だから」
男「分かってるよ。君ほど紫色のエプロンが似合う女性もいないよな」
嫁「キヒヒ、照れるわよ」
男「でも、なんでいきなりそんな話を?」
嫁「ほら、お隣の奥さん、ご主人を亡くされたでしょ?」
嫁「で、ご主人、保険とかに全く入ってなかったらしくて、奥さん苦労されてるらしいの」
男「そういうことか」
男「元気そうだったのに……突然だったもんな」
嫁「ホントよぉ……。奥さんと幼いお子さんを残して、さぞかし無念だったでしょうねえ」
男「分かってるよ。君ほど紫色のエプロンが似合う女性もいないよな」
嫁「キヒヒ、照れるわよ」
男「でも、なんでいきなりそんな話を?」
嫁「ほら、お隣の奥さん、ご主人を亡くされたでしょ?」
嫁「で、ご主人、保険とかに全く入ってなかったらしくて、奥さん苦労されてるらしいの」
男「そういうことか」
男「元気そうだったのに……突然だったもんな」
嫁「ホントよぉ……。奥さんと幼いお子さんを残して、さぞかし無念だったでしょうねえ」
男「まぁ、安心しろよ」
男「俺はとっくに生命保険に入ってる。受取人はもちろん君だ」
嫁「え、そうだったの?」
男「だから俺が今日死んでも、君が路頭に迷うことはないよ」
嫁「え、死ぬの!?」
男「え?」
嫁「いやぁぁぁぁぁ! あなたが死ぬんならあたしも死ぬぅぅぅぅぅ!」グビグビ
男「ちょっ! 調合してた毒を!」
男「俺はとっくに生命保険に入ってる。受取人はもちろん君だ」
嫁「え、そうだったの?」
男「だから俺が今日死んでも、君が路頭に迷うことはないよ」
嫁「え、死ぬの!?」
男「え?」
嫁「いやぁぁぁぁぁ! あなたが死ぬんならあたしも死ぬぅぅぅぅぅ!」グビグビ
男「ちょっ! 調合してた毒を!」
嫁「うへ……あへぇ……」ピクピク…
男「おい、しっかりしろ!」
嫁「あなたぁ……天国で会いましょ……ヒヒ」ピクピク…
男(ダメだ! 完全にイッちまってる!)
男「えぇと、今飲んだ毒の成分は、と……」
男「この薬草とこの薬品を混ぜて、調合すれば……」ゴリゴリ…
男「――できた!」
男「あとはこの解毒薬を飲ませれば……ほら、飲んで」ドロッ
嫁「……んん」ゴクッ
男「おい、しっかりしろ!」
嫁「あなたぁ……天国で会いましょ……ヒヒ」ピクピク…
男(ダメだ! 完全にイッちまってる!)
男「えぇと、今飲んだ毒の成分は、と……」
男「この薬草とこの薬品を混ぜて、調合すれば……」ゴリゴリ…
男「――できた!」
男「あとはこの解毒薬を飲ませれば……ほら、飲んで」ドロッ
嫁「……んん」ゴクッ
嫁「……あ」
男「ふぅ~、よかった……」
男「君が毒に強くて、俺が薬剤師じゃなかったら、危なかったぞ」
男「国にも認められてる“毒師”が毒で死んだら、笑い話にもならないだろ」
嫁「……どうせだったら口移しで飲ませてくれたらよかったのに」キヒヒ…
男「……おいおい」
男「ふぅ~、よかった……」
男「君が毒に強くて、俺が薬剤師じゃなかったら、危なかったぞ」
男「国にも認められてる“毒師”が毒で死んだら、笑い話にもならないだろ」
嫁「……どうせだったら口移しで飲ませてくれたらよかったのに」キヒヒ…
男「……おいおい」
翌日――
嫁「行ってらっしゃ~い」
男「行ってきます」
男(あ、お隣の奥さんだ)
男「おはようございます」
婦人「おはようございます……」ペコッ
男(やっぱり……。前はあんなに明るかったのに……)
嫁「行ってらっしゃ~い」
男「行ってきます」
男(あ、お隣の奥さんだ)
男「おはようございます」
婦人「おはようございます……」ペコッ
男(やっぱり……。前はあんなに明るかったのに……)
― 会社 ―
男「……なぁ」
同僚「ん?」
男「俺たちは薬剤師として、製薬会社社員として、日々新しい薬の開発に携わってるわけだけどさ」
同僚「どうしたんだよ、突然」
男「“人を生き返らせる薬”ってのはできないのかな?」
同僚「んー……結局のところ、人間だってものすごくよくできた機械みたいなもんだし」
同僚「人体や生死のメカニズムが完全に解析されれば、あるいは作れるかもな」
同僚「だけど、そんなもんが出来上がったら、人は生き返っても人口爆発で人類は滅亡するわな」
男「……だよなぁ」
男「……なぁ」
同僚「ん?」
男「俺たちは薬剤師として、製薬会社社員として、日々新しい薬の開発に携わってるわけだけどさ」
同僚「どうしたんだよ、突然」
男「“人を生き返らせる薬”ってのはできないのかな?」
同僚「んー……結局のところ、人間だってものすごくよくできた機械みたいなもんだし」
同僚「人体や生死のメカニズムが完全に解析されれば、あるいは作れるかもな」
同僚「だけど、そんなもんが出来上がったら、人は生き返っても人口爆発で人類は滅亡するわな」
男「……だよなぁ」
― 自宅 ―
男「…………」
嫁「どしたの、あなた?」
男「いや、お隣の奥さん、元気なかったからさ……」
嫁「そうねえ……」
男「せめて、ご主人と最後のお別れができてれば、まだ違ったんだろうけどな」
嫁「最後のお別れ……」
嫁「それよ、それだわァ~!」
男「へ?」
男「…………」
嫁「どしたの、あなた?」
男「いや、お隣の奥さん、元気なかったからさ……」
嫁「そうねえ……」
男「せめて、ご主人と最後のお別れができてれば、まだ違ったんだろうけどな」
嫁「最後のお別れ……」
嫁「それよ、それだわァ~!」
男「へ?」
嫁「さっそく……」ゴリゴリ…
男「調合? いったいどんな毒を?」
嫁「キヒヒ、決まってるでしょ?」
嫁「奥さんを旦那さんに会わせてあげるための毒よぉ……」ゴリゴリゴリ…
男「え!?」
男「調合? いったいどんな毒を?」
嫁「キヒヒ、決まってるでしょ?」
嫁「奥さんを旦那さんに会わせてあげるための毒よぉ……」ゴリゴリゴリ…
男「え!?」
数日後――
― 自宅 ―
婦人「お夕飯にお誘い下さり、ありがとうございます……」
男「こちらこそ突然お誘いしてしまって。お子さんはご実家に?」
婦人「はい、まだ小さいので……」
嫁「キヒヒ、料理はたっぷり用意してますからねぇ~」
ドンヨリ…
婦人「…………!」
婦人(どの料理も、なんて毒々しい色をしているの……!?)
婦人(まるで童話に出てくる“魔女の料理”のようだわ……。食べて大丈夫なのかしら……)
― 自宅 ―
婦人「お夕飯にお誘い下さり、ありがとうございます……」
男「こちらこそ突然お誘いしてしまって。お子さんはご実家に?」
婦人「はい、まだ小さいので……」
嫁「キヒヒ、料理はたっぷり用意してますからねぇ~」
ドンヨリ…
婦人「…………!」
婦人(どの料理も、なんて毒々しい色をしているの……!?)
婦人(まるで童話に出てくる“魔女の料理”のようだわ……。食べて大丈夫なのかしら……)
婦人「――あら、おいしい!」
男「でしょう? 家内の料理は見た目はともかく、味はいいんですよ~」
嫁「失礼ねぇ。見た目もいいってば!」
アハハハ… ウフフフ… キヒヒヒ…
男(さて、そろそろ……)
嫁(あたしが料理に混ぜた“毒”が効いてくるはず……)
婦人「あら……? なんだか、トロ~ンとしてきたわ……」
男「でしょう? 家内の料理は見た目はともかく、味はいいんですよ~」
嫁「失礼ねぇ。見た目もいいってば!」
アハハハ… ウフフフ… キヒヒヒ…
男(さて、そろそろ……)
嫁(あたしが料理に混ぜた“毒”が効いてくるはず……)
婦人「あら……? なんだか、トロ~ンとしてきたわ……」
婦人「……あら?」ボンヤリ…
旦那『やぁ』
婦人「あ、あなた! どうして!?」
旦那『突然逝ってしまって、すまなかった……』
旦那『どうしても君にちゃんと別れをいいたくて、少しだけ戻ってきてしまった』
婦人「ありがとう、会えて嬉しいわ……」
旦那『僕は君と出会えて、息子を授かって、本当に幸せだった』
旦那『しかし、あんな突然別れることになってしまって、本当にすまない』
婦人「私こそ、あなたを看取ることができずに、ごめんなさい……」
旦那『やぁ』
婦人「あ、あなた! どうして!?」
旦那『突然逝ってしまって、すまなかった……』
旦那『どうしても君にちゃんと別れをいいたくて、少しだけ戻ってきてしまった』
婦人「ありがとう、会えて嬉しいわ……」
旦那『僕は君と出会えて、息子を授かって、本当に幸せだった』
旦那『しかし、あんな突然別れることになってしまって、本当にすまない』
婦人「私こそ、あなたを看取ることができずに、ごめんなさい……」
旦那『だけど僕は、ずっとこちらから見守っているよ』
旦那『だから……どうか君も新しい人生を歩んでほしい』
旦那『まだ幼い息子を頼む……』
婦人「分かったわ、あなた!」
男「…………」
男(ずっと幻を見せていると、心身に害が出るし、戻ってこれなくなってしまう)
男(そろそろ解毒作用のあるパウダーを……)サラサラ…
旦那『だから……どうか君も新しい人生を歩んでほしい』
旦那『まだ幼い息子を頼む……』
婦人「分かったわ、あなた!」
男「…………」
男(ずっと幻を見せていると、心身に害が出るし、戻ってこれなくなってしまう)
男(そろそろ解毒作用のあるパウダーを……)サラサラ…
婦人「!」ハッ
男「どうかされましたか?」
婦人「あ、いえ……今ほんの少し、亡くなった主人に出会えたもので……」
婦人「って、いきなり変なことを……すみません」
男「もしかしたら、旦那さんがほんの少しだけ降りてこられたのかもしれませんね」
婦人「はい……」
男「どうかされましたか?」
婦人「あ、いえ……今ほんの少し、亡くなった主人に出会えたもので……」
婦人「って、いきなり変なことを……すみません」
男「もしかしたら、旦那さんがほんの少しだけ降りてこられたのかもしれませんね」
婦人「はい……」
婦人「今日はどうもありがとうございました」
嫁「キヒヒ、またいらしてね~」
男「…………」
嫁「…………」
男「これで奥さん、少しは元気を取り戻してくれるといいけど」
嫁「キヒヒ、大丈夫よ。きっと立ち直ってくれるわ」
男「それにしても、ぼんやりとご主人の幻影を見せるぐらいの毒だったのに」
男「ずいぶん具体的に話をしていたな」
嫁「そこはきっと、愛のなせるワザってやつじゃなぁい?」
『ありがとうございました……』
男&嫁「!?」
嫁「キヒヒ、またいらしてね~」
男「…………」
嫁「…………」
男「これで奥さん、少しは元気を取り戻してくれるといいけど」
嫁「キヒヒ、大丈夫よ。きっと立ち直ってくれるわ」
男「それにしても、ぼんやりとご主人の幻影を見せるぐらいの毒だったのに」
男「ずいぶん具体的に話をしていたな」
嫁「そこはきっと、愛のなせるワザってやつじゃなぁい?」
『ありがとうございました……』
男&嫁「!?」
嫁「い、い、今、旦那さんの声、聞こえなかった!?」
男「ああ、今のはたしかに……亡くなった旦那さんだった」
嫁「ど、ど、ど、どうして!?」
男「もしかして、幻覚作用を利用して、本当に降りてきて奥さんと話してたのかも……」
嫁「キヒーッ!!!」
おわり
男「ああ、今のはたしかに……亡くなった旦那さんだった」
嫁「ど、ど、ど、どうして!?」
男「もしかして、幻覚作用を利用して、本当に降りてきて奥さんと話してたのかも……」
嫁「キヒーッ!!!」
おわり
第二話『TVゲーム風毒』
ズガガーンッ ドゴーンッ ズガガガガッ
父「おい、いい加減ゲームやめろ! いったい何時間やってるんだ!」
オタク「うるさいな……」
オタク「ボクは今、ゲームキャラになってるんだ! ジャマしないでくれよ!」
オタク「おっ、ボスが出てきた! よ~し、超必殺奥義で……」
父「~~~~!」
父(何とかしないと……)
ズガガーンッ ドゴーンッ ズガガガガッ
父「おい、いい加減ゲームやめろ! いったい何時間やってるんだ!」
オタク「うるさいな……」
オタク「ボクは今、ゲームキャラになってるんだ! ジャマしないでくれよ!」
オタク「おっ、ボスが出てきた! よ~し、超必殺奥義で……」
父「~~~~!」
父(何とかしないと……)
― 自宅 ―
父「……というわけなのです」
嫁「ゲーム中毒ってやつね?」
父「毒師であるあなたに、何か息子に喝を入れるような毒を作ってもらえないかと……」
嫁「うーん……毒殺しちゃった方が早いんじゃない?」
父「いやいやいや! 仮にも息子ですし、さすがにそれは……」
嫁「冗談よぉ、冗談」
父「……というわけなのです」
嫁「ゲーム中毒ってやつね?」
父「毒師であるあなたに、何か息子に喝を入れるような毒を作ってもらえないかと……」
嫁「うーん……毒殺しちゃった方が早いんじゃない?」
父「いやいやいや! 仮にも息子ですし、さすがにそれは……」
嫁「冗談よぉ、冗談」
嫁「ふんふ~ん」ゴリゴリ…
男「毒師としての依頼があったようだけど、何を調合してるんだ?」
嫁「うーんとねぇ……“ゲームキャラの気分を味わえる毒”ってとこかしら?」
男「ゲームキャラの気分を味わえる……毒?」
嫁「そ、今度の相手はゲーム好きらしいから」
嫁「あ、そうだ。明日はあなた休日でしょ? 一緒に行かない?」
男「かまわないけど……」
男「毒師としての依頼があったようだけど、何を調合してるんだ?」
嫁「うーんとねぇ……“ゲームキャラの気分を味わえる毒”ってとこかしら?」
男「ゲームキャラの気分を味わえる……毒?」
嫁「そ、今度の相手はゲーム好きらしいから」
嫁「あ、そうだ。明日はあなた休日でしょ? 一緒に行かない?」
男「かまわないけど……」
翌日――
― 依頼人の家 ―
オタク「いけっ! いけいけっ!」カチッカチカチッ
男(一心不乱にゲームやってる……こっちを見もしない。すごい集中力ではあるけど)
嫁「ねえ……君」
オタク「なんだよ? 今いいとこなのに!」
嫁「お父さんに聞いたけど、あなたは自分がゲームキャラになったつもりで、ゲームやってるんでしょ?」
オタク「ああ、そうさ! その方が調子いいからね!」
嫁「だったら、これ……飲んでみない?」スッ
オタク「あっ、まるでゲームに出てくる回復薬みたいなボトルじゃないか!」
嫁「そうよぉ、気分出るでしょ~?」
― 依頼人の家 ―
オタク「いけっ! いけいけっ!」カチッカチカチッ
男(一心不乱にゲームやってる……こっちを見もしない。すごい集中力ではあるけど)
嫁「ねえ……君」
オタク「なんだよ? 今いいとこなのに!」
嫁「お父さんに聞いたけど、あなたは自分がゲームキャラになったつもりで、ゲームやってるんでしょ?」
オタク「ああ、そうさ! その方が調子いいからね!」
嫁「だったら、これ……飲んでみない?」スッ
オタク「あっ、まるでゲームに出てくる回復薬みたいなボトルじゃないか!」
嫁「そうよぉ、気分出るでしょ~?」
オタク「ちょうどノド渇いてたんだ!」
オタク「ありがたくいただくよ!」グビグビ
嫁「…………」キヒィ…
男(飲んだ……!)
男(しかし、“ゲームキャラの気分を味わえる毒”っていったいどんな毒なんだ?)
オタク「ありがたくいただくよ!」グビグビ
嫁「…………」キヒィ…
男(飲んだ……!)
男(しかし、“ゲームキャラの気分を味わえる毒”っていったいどんな毒なんだ?)
オタク「ちょっとトイレに行こうかな。よっと――」
オタク「!?」ズキッ
オタク「い、痛い!? なんだ今の!?」
オタク「トイレへ――」スタスタ
オタク「!?」ズキズキッ
オタク(どうなってんだ!? 一歩歩くごとに、鋭い痛みが!)
嫁「……キヒヒ」
オタク「あっ、お前! さてはなんか変なもの飲ませたなぁ!」
嫁「そうよぉ~、名づけて“TVゲーム風毒”!」
オタク「なんだよそれ!?」
嫁「そのまんまの意味よ」
オタク「!?」ズキッ
オタク「い、痛い!? なんだ今の!?」
オタク「トイレへ――」スタスタ
オタク「!?」ズキズキッ
オタク(どうなってんだ!? 一歩歩くごとに、鋭い痛みが!)
嫁「……キヒヒ」
オタク「あっ、お前! さてはなんか変なもの飲ませたなぁ!」
嫁「そうよぉ~、名づけて“TVゲーム風毒”!」
オタク「なんだよそれ!?」
嫁「そのまんまの意味よ」
嫁「ゲームの毒って、一歩歩くごとにダメージがあるでしょ?」
嫁「あれを再現したのよぉ」
オタク「ぐあっ!」ズキッ
嫁「安心して、痛いだけで体に全然害はないから……」キヒヒッ
オタク「なんでこんなことを!?」
嫁「だってあんた、ゲームキャラになりたかったんでしょ?」
嫁「嬉しいでしょ? 大好きなゲームキャラの気分を味わえるんだから……」
男(すごい……! こんな毒も作れるのか……!)
嫁「あれを再現したのよぉ」
オタク「ぐあっ!」ズキッ
嫁「安心して、痛いだけで体に全然害はないから……」キヒヒッ
オタク「なんでこんなことを!?」
嫁「だってあんた、ゲームキャラになりたかったんでしょ?」
嫁「嬉しいでしょ? 大好きなゲームキャラの気分を味わえるんだから……」
男(すごい……! こんな毒も作れるのか……!)
オタク「ふん! なんだ、こんな毒!」
嫁「あら?」
オタク「歩くたびに痛みがくるんだろ? だったら歩かなきゃいい!」
嫁「トイレはどうすんのよ?」
オタク「ペットボトルにでもするさ!」
嫁「残念だけど……」
オタク「!」ズキッ
オタク「なんで!? なんでぇ!? 動いてないじゃん!」
嫁「時間経過……ゲーム風にいうとターン経過でもダメージが来るようになってんのよぉ~」
オタク「ひ、ひいいっ!」
嫁「あら?」
オタク「歩くたびに痛みがくるんだろ? だったら歩かなきゃいい!」
嫁「トイレはどうすんのよ?」
オタク「ペットボトルにでもするさ!」
嫁「残念だけど……」
オタク「!」ズキッ
オタク「なんで!? なんでぇ!? 動いてないじゃん!」
嫁「時間経過……ゲーム風にいうとターン経過でもダメージが来るようになってんのよぉ~」
オタク「ひ、ひいいっ!」
オタク「どうすりゃいいんだ!?」
嫁「解毒薬を飲めば治るわ」
嫁「だけど、解毒薬を作れるのは優秀な薬剤師であるこの人だけ……」
男「え、俺!?」
オタク「飲みたぁい! どうすれば飲ませてくれるの!?」
嫁「ゲームは程々にする、と誓えば飲ませてあげてもいいわ」
オタク「誓う、誓う、誓うからぁぁぁぁぁ!」
嫁「ダ~メ、信用できない」
オタク「う……」
嫁「ま、しばらくはそのままでいることねえ。キヒヒヒヒヒ……」
オタク「うそぉぉぉぉぉ……!」
嫁「解毒薬を飲めば治るわ」
嫁「だけど、解毒薬を作れるのは優秀な薬剤師であるこの人だけ……」
男「え、俺!?」
オタク「飲みたぁい! どうすれば飲ませてくれるの!?」
嫁「ゲームは程々にする、と誓えば飲ませてあげてもいいわ」
オタク「誓う、誓う、誓うからぁぁぁぁぁ!」
嫁「ダ~メ、信用できない」
オタク「う……」
嫁「ま、しばらくはそのままでいることねえ。キヒヒヒヒヒ……」
オタク「うそぉぉぉぉぉ……!」
帰り道――
スタスタ…
男「いやー、驚いたよ。あんな毒を作れるなんて。たしかにTVゲーム風の毒だね」
嫁「キヒヒ、すごいでしょ~?」
男「だけど、解毒薬は俺に任せるってのはどういうことだよ」
嫁「だってあなたなら、成分さえ分かれば解毒薬を作れるでしょ?」
男「まあ、そうだけど……」
嫁「それにあたし、解毒剤作りはどうも苦手なのよねぇ……。毒を消すより毒を盛る方が楽しいわ」
男「毒師なのに解毒が苦手なのはどうにかした方がいいと思うよ……」
嫁「は~い」
スタスタ…
男「いやー、驚いたよ。あんな毒を作れるなんて。たしかにTVゲーム風の毒だね」
嫁「キヒヒ、すごいでしょ~?」
男「だけど、解毒薬は俺に任せるってのはどういうことだよ」
嫁「だってあなたなら、成分さえ分かれば解毒薬を作れるでしょ?」
男「まあ、そうだけど……」
嫁「それにあたし、解毒剤作りはどうも苦手なのよねぇ……。毒を消すより毒を盛る方が楽しいわ」
男「毒師なのに解毒が苦手なのはどうにかした方がいいと思うよ……」
嫁「は~い」
一ヶ月後――
― 自宅 ―
父「本当にありがとうございました!」
父「おかげで息子は、すっかり心を入れ替えまして……」
父「ゲームはほとんどやらなくなり、毎日運動をしたり、アルバイトまで始めて……」
嫁「そうですかぁ~」
男「あの毒……効果テキメンだったみたいだね」
嫁「じゃあ、そろそろ解毒してあげましょっか」
男「うん、解毒薬は作ってあるよ」
― 自宅 ―
父「本当にありがとうございました!」
父「おかげで息子は、すっかり心を入れ替えまして……」
父「ゲームはほとんどやらなくなり、毎日運動をしたり、アルバイトまで始めて……」
嫁「そうですかぁ~」
男「あの毒……効果テキメンだったみたいだね」
嫁「じゃあ、そろそろ解毒してあげましょっか」
男「うん、解毒薬は作ってあるよ」
― 依頼人の家 ―
オタク「いやぁ~、ありがとうございます!」
オタク「この痛みがすっかり快感になっちゃって、今ではウォーキングが趣味になってますよ!」
オタク「そしたらみるみる体も痩せて……」スラッ
オタク「!」ズキッ
オタク「あぁんっ! 動くたび、襲いくる、この痛み、たまらんっ! 癖になるっ!」ビクビクッ
男「…………」
嫁「…………」
男「……どうする?」
嫁「う~ん……もう少しこのままにしといた方がいいかもね」
おわり
オタク「いやぁ~、ありがとうございます!」
オタク「この痛みがすっかり快感になっちゃって、今ではウォーキングが趣味になってますよ!」
オタク「そしたらみるみる体も痩せて……」スラッ
オタク「!」ズキッ
オタク「あぁんっ! 動くたび、襲いくる、この痛み、たまらんっ! 癖になるっ!」ビクビクッ
男「…………」
嫁「…………」
男「……どうする?」
嫁「う~ん……もう少しこのままにしといた方がいいかもね」
おわり
第三話『かゆいところに手が届く毒』
― 自宅 ―
男「う~……かゆいかゆい。肌が弱いからか、しょっちゅうかゆくなる……」
男「あのさー」
嫁「なに?」
男「ちょっと背中かいてくれない?」
嫁「またぁ~? 自分でかけばいいのに」
男「俺はこの通り、体がかたいからさ……」ググッ
嫁「運動不足よォ。薬の開発もいいけど、たまには運動もしないとね」ポリポリ
男「あ~……気持ちいい!」
嫁(もう、いつもいつもあたしにかかせて……面倒ねえ)
― 自宅 ―
男「う~……かゆいかゆい。肌が弱いからか、しょっちゅうかゆくなる……」
男「あのさー」
嫁「なに?」
男「ちょっと背中かいてくれない?」
嫁「またぁ~? 自分でかけばいいのに」
男「俺はこの通り、体がかたいからさ……」ググッ
嫁「運動不足よォ。薬の開発もいいけど、たまには運動もしないとね」ポリポリ
男「あ~……気持ちいい!」
嫁(もう、いつもいつもあたしにかかせて……面倒ねえ)
嫁「よーし……」ゴリゴリ…
男「なに作ってるの?」
嫁「あなたのための“毒”よ」ゴリゴリ…
男「俺のための毒?」
嫁「よぉし、できた!」
男「なに作ってるの?」
嫁「あなたのための“毒”よ」ゴリゴリ…
男「俺のための毒?」
嫁「よぉし、できた!」
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