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元スレ嫁「あなたァ……生命保険入らない?」ゴリゴリ 男「毒の調合しながら言わないでくれる?」
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男「どんな毒?」
嫁「かゆいところに手が届く毒よぉ~」
嫁「名づけて“かゆいところに手がと毒”! なーんちゃって!」
嫁「キヒヒーッ! キヒヒヒヒヒヒーッ!!!」
男「…………」
嫁「どしたの? バカ笑いしてみっともないなとでも思ったァ?」
男「あ、いや、そうじゃなくて……笑顔が可愛いな、と思って」
嫁「ちょ、ちょっとやめてよぉ……!」
男(照れてるところもなかなか)
嫁「飲んでみてよ」
男「うん」ゴクッ
嫁「かゆいところに手が届く毒よぉ~」
嫁「名づけて“かゆいところに手がと毒”! なーんちゃって!」
嫁「キヒヒーッ! キヒヒヒヒヒヒーッ!!!」
男「…………」
嫁「どしたの? バカ笑いしてみっともないなとでも思ったァ?」
男「あ、いや、そうじゃなくて……笑顔が可愛いな、と思って」
嫁「ちょ、ちょっとやめてよぉ……!」
男(照れてるところもなかなか)
嫁「飲んでみてよ」
男「うん」ゴクッ
男「…………」
男(いったいどんな効果が……)
男(ん、いつもみたいに背中にかゆみが――)
男「あれ?」スー…
男「かゆみが消えた!」
嫁「すごいでしょ?」
男「すごいよ、これ! うちの会社で製品化したいぐらいだ!」
嫁「そりゃー無理ねえ。あたしじゃなきゃ扱えないヤバイ成分いっぱい入ってるから」
男「なるほど」
嫁「……って怒らないの? よくもそんなもん飲ませたなって」
男「別に。こと毒に関しては、君のことは100パーセント信頼してるから」
嫁「……んもう、そんなこといわれるとこっちがかゆくなっちゃうわ」
男(いったいどんな効果が……)
男(ん、いつもみたいに背中にかゆみが――)
男「あれ?」スー…
男「かゆみが消えた!」
嫁「すごいでしょ?」
男「すごいよ、これ! うちの会社で製品化したいぐらいだ!」
嫁「そりゃー無理ねえ。あたしじゃなきゃ扱えないヤバイ成分いっぱい入ってるから」
男「なるほど」
嫁「……って怒らないの? よくもそんなもん飲ませたなって」
男「別に。こと毒に関しては、君のことは100パーセント信頼してるから」
嫁「……んもう、そんなこといわれるとこっちがかゆくなっちゃうわ」
まだ読んでないけどもしかしてフードコート書いてた人?
……
男「いやー、あの薬……もとい毒のおかげですっかり快調だよ!」
嫁「そう……」
男「あっ、かゆい……」
嫁「!」ピクッ
男「おおっ……かゆみが取れた」スー…
嫁「…………」
男「いやー、あの薬……もとい毒のおかげですっかり快調だよ!」
嫁「そう……」
男「あっ、かゆい……」
嫁「!」ピクッ
男「おおっ……かゆみが取れた」スー…
嫁「…………」
嫁「ねえ」
男「ん?」
嫁「たまには背中かいてあげよっか?」
男「いや、いいよ。まだあの“かゆいところに手がと毒”が効いてるからね」
嫁「あ、そう……」
嫁「…………」ムラムラ…
男「ん?」
嫁「たまには背中かいてあげよっか?」
男「いや、いいよ。まだあの“かゆいところに手がと毒”が効いてるからね」
嫁「あ、そう……」
嫁「…………」ムラムラ…
男「あのさ、あの毒切れちゃったんだけど、新しいのくれない?」
嫁「もうないわ」
男「じゃあ調合してくれよ」
嫁「もう作れないわ」
男「え、なんで? 材料はあるはずだろ?」
嫁「作れないの! 今まで通り、あたしにかかせてくれればいいじゃない! ね、そうしましょ!」
男「……まぁいいけど。変な奴だなぁ」
おわり
嫁「もうないわ」
男「じゃあ調合してくれよ」
嫁「もう作れないわ」
男「え、なんで? 材料はあるはずだろ?」
嫁「作れないの! 今まで通り、あたしにかかせてくれればいいじゃない! ね、そうしましょ!」
男「……まぁいいけど。変な奴だなぁ」
おわり
第四話『毒を食らわば皿まで』
― 会社 ―
上司「よいか、我が社は製薬会社とはいえ、医薬品だけを売っているのではない」
上司「君たちも、たまには医薬品以外のことも考えてみろ! アイディアを出すのだ!」
男「…………」
男「どうしたんだ、突然?」ボソッ
同僚「きっとテレビの影響だろ。昨日“新事業に取り組む企業”なんて特集やってたし」ヒソヒソ…
上司「コ、コラーッ! 図星を突くな!」
上司「とにかく、たまには薬以外のことを考えることも必要だ!」
上司「今週中に何かしら、企画を提出するように!」
同僚「ちっ、面倒なことになったなぁ。こっちもヒマじゃないってのに」
男(企画か……)
― 会社 ―
上司「よいか、我が社は製薬会社とはいえ、医薬品だけを売っているのではない」
上司「君たちも、たまには医薬品以外のことも考えてみろ! アイディアを出すのだ!」
男「…………」
男「どうしたんだ、突然?」ボソッ
同僚「きっとテレビの影響だろ。昨日“新事業に取り組む企業”なんて特集やってたし」ヒソヒソ…
上司「コ、コラーッ! 図星を突くな!」
上司「とにかく、たまには薬以外のことを考えることも必要だ!」
上司「今週中に何かしら、企画を提出するように!」
同僚「ちっ、面倒なことになったなぁ。こっちもヒマじゃないってのに」
男(企画か……)
― 自宅 ―
男「うーん……」
嫁「企画ねえ……」
嫁「ようするに、売れる商品を提案すればいいんでしょ? 楽勝よ!」
男「たとえば?」
嫁「あたしが毒作ってバラまいて、あなたが解毒薬作ればいいのよぉ~! バカ売れ間違いなし!」
男「そりゃ犯罪だよ」
男「うーん……」
嫁「企画ねえ……」
嫁「ようするに、売れる商品を提案すればいいんでしょ? 楽勝よ!」
男「たとえば?」
嫁「あたしが毒作ってバラまいて、あなたが解毒薬作ればいいのよぉ~! バカ売れ間違いなし!」
男「そりゃ犯罪だよ」
― 会社 ―
同僚「なにか思いついたか?」
男「いや……全然」
同僚「だよなぁ。ったく、あの人も気まぐれでモノいわないで欲しいよ」
男「だけど……」
同僚「ん?」
男「日常業務をやりつつ、こうやってあれこれと新しい企画を考えるのも楽しいよ」
男「新薬開発はとにかく時間がかかるし、いい気分転換になる」
同僚「前向きだなぁ、お前は」
同僚「なにか思いついたか?」
男「いや……全然」
同僚「だよなぁ。ったく、あの人も気まぐれでモノいわないで欲しいよ」
男「だけど……」
同僚「ん?」
男「日常業務をやりつつ、こうやってあれこれと新しい企画を考えるのも楽しいよ」
男「新薬開発はとにかく時間がかかるし、いい気分転換になる」
同僚「前向きだなぁ、お前は」
― 自宅 ―
嫁「ねーねー、見て見て。ちょっと面白いこと思いついたの」
男「なんだい?」
嫁「まず皿に毒を盛るでしょ」ドサッ
男「うん」
嫁「これを皿ごと食べる!」バリボリバリボリ
男「うおっ!?」
嫁「これぞ、毒を食らわば皿まで! ……どぉう?」ペロリ
嫁「ねーねー、見て見て。ちょっと面白いこと思いついたの」
男「なんだい?」
嫁「まず皿に毒を盛るでしょ」ドサッ
男「うん」
嫁「これを皿ごと食べる!」バリボリバリボリ
男「うおっ!?」
嫁「これぞ、毒を食らわば皿まで! ……どぉう?」ペロリ
男「だ、大丈夫なのか!? そんなもん食べて……」
嫁「なーんてね」
嫁「この皿はあたしがチョコレートで作ったの。だからなんともないわァ~」
男「毒は?」
嫁「あーっ!!!」
嫁「なーんてね」
嫁「この皿はあたしがチョコレートで作ったの。だからなんともないわァ~」
男「毒は?」
嫁「あーっ!!!」
嫁「ハァ、ハァ……」
嫁「いやー、あたしの作った毒はやっぱりすごいわぁ。まだ気分悪いもの」オエッ…
男「なにやってんだか……」
男「にしても、チョコレートで皿をねえ……凝ったことするもんだ」
嫁「テレビで食べられる食器を紹介してて、ちょっとやってみたくなったのよぉ~」
男「……食べられる食器か」
男「これだ!」
嫁「へ?」
嫁「いやー、あたしの作った毒はやっぱりすごいわぁ。まだ気分悪いもの」オエッ…
男「なにやってんだか……」
男「にしても、チョコレートで皿をねえ……凝ったことするもんだ」
嫁「テレビで食べられる食器を紹介してて、ちょっとやってみたくなったのよぉ~」
男「……食べられる食器か」
男「これだ!」
嫁「へ?」
テレビ『新発売! 薬効成分がたっぷり入った皿を食べて、あなたも健康になろう!』
テレビ『“薬を食らわば皿まで”!』
嫁「キヒヒ……これものすごく売れてるみたいね。よかったじゃない」
男「君のあの皿がヒントになったよ」
嫁「あたしも一日一枚かじってるわぁ~」ボリッ
男「しかし世の中、なにが売れるか分からないもんだなぁ」
おわり
テレビ『“薬を食らわば皿まで”!』
嫁「キヒヒ……これものすごく売れてるみたいね。よかったじゃない」
男「君のあの皿がヒントになったよ」
嫁「あたしも一日一枚かじってるわぁ~」ボリッ
男「しかし世の中、なにが売れるか分からないもんだなぁ」
おわり
第五話『安楽死のススメ』
― 訓練所 ―
訓練士「あの犬です」
犬「ガウウウウッ! ギャオンッ! ギャオンッ! ガウアァッ!」
嫁「あらら~、すっごい凶暴! 狂犬病?」
訓練士「というわけではないのですが……」
― 訓練所 ―
訓練士「あの犬です」
犬「ガウウウウッ! ギャオンッ! ギャオンッ! ガウアァッ!」
嫁「あらら~、すっごい凶暴! 狂犬病?」
訓練士「というわけではないのですが……」
訓練士「警察犬として訓練してたのですが、全く懐かず、まともに飼育することさえ難しいのです」
嫁「とんだ毒ドッグねえ」
訓練士(毒ドッグて……)
訓練士「もはや矯正させるのも困難で、残酷な決断をせざるをえなくなってしまいました……」
嫁「安楽死ってわけね」
訓練士「……はい」
嫁「分かったわ。あたしが安楽死させてあげる!」
犬「ガウッ! ガウッ! ギャウウウッ!」
嫁「じゃ、始めましょうか」
嫁「とんだ毒ドッグねえ」
訓練士(毒ドッグて……)
訓練士「もはや矯正させるのも困難で、残酷な決断をせざるをえなくなってしまいました……」
嫁「安楽死ってわけね」
訓練士「……はい」
嫁「分かったわ。あたしが安楽死させてあげる!」
犬「ガウッ! ガウッ! ギャウウウッ!」
嫁「じゃ、始めましょうか」
嫁「今日は忙しくて他にいくつか仕事あったから、いっぱい毒を持ってきちゃったのよねぇ~」
嫁「えぇっと……安楽死させるのはどれだっけ?」
嫁「これかな?」ペロッ
訓練士「えっ!? なめちゃうんですか!?」
嫁「ん~……」
嫁「ぐぼえぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!! ぐおあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
訓練士「!?」
犬「!?」
嫁「えぇっと……安楽死させるのはどれだっけ?」
嫁「これかな?」ペロッ
訓練士「えっ!? なめちゃうんですか!?」
嫁「ん~……」
嫁「ぐぼえぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!! ぐおあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
訓練士「!?」
犬「!?」
嫁「これ違うわ……」
嫁「これは胃袋に焼けつくような痛みを与える毒だったわ。失敗、失敗」キヒッ
訓練士「え……!」
嫁「んじゃ、こっち?」ペロッ
嫁「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! いぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
嫁「違うわ、これは脳みそを溶解させる毒だったわぁ~。キヒヒ、いっけなぁ~い」
訓練士「だ、大丈夫ですか?」
嫁「平気よぉ。あたし毒師だから、毒に対する訓練受けてるの。摂取しすぎなきゃ平気!」
訓練士「そ、そうですか」
嫁「これは胃袋に焼けつくような痛みを与える毒だったわ。失敗、失敗」キヒッ
訓練士「え……!」
嫁「んじゃ、こっち?」ペロッ
嫁「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! いぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
嫁「違うわ、これは脳みそを溶解させる毒だったわぁ~。キヒヒ、いっけなぁ~い」
訓練士「だ、大丈夫ですか?」
嫁「平気よぉ。あたし毒師だから、毒に対する訓練受けてるの。摂取しすぎなきゃ平気!」
訓練士「そ、そうですか」
嫁「これ?」ペロッ
嫁「ぐえええええええええええええっ!!!」
嫁「これは脊髄を腐らせるやつか……」
嫁「こっち?」ペロッ
嫁「んぎゃああああああああああああっ!!!」
嫁「これは全身の細胞をズタボロにするやつ……」
訓練士「あわわ……」
嫁「どれだったかしら……あたしったらうっかりして」
嫁「あたし以外の人がなめてたら、とんでもないことになるとこだったわぁ~。キヒヒッ」
訓練士「ひええええ……」
嫁「ぐえええええええええええええっ!!!」
嫁「これは脊髄を腐らせるやつか……」
嫁「こっち?」ペロッ
嫁「んぎゃああああああああああああっ!!!」
嫁「これは全身の細胞をズタボロにするやつ……」
訓練士「あわわ……」
嫁「どれだったかしら……あたしったらうっかりして」
嫁「あたし以外の人がなめてたら、とんでもないことになるとこだったわぁ~。キヒヒッ」
訓練士「ひええええ……」
……
嫁「あ~、これだこれ! これが安らかに死なせる毒だわ! それこそ安眠するように永眠よ!」
嫁「じゃあさっそく毒ドッグに……」
犬「クゥ~ン……」フリフリフリ…
嫁「へ?」
訓練士「し、信じられん……!」
訓練士「我々訓練士でも懐かせられなかった犬が……! 尻尾を振って……!」
嫁「あ~、これだこれ! これが安らかに死なせる毒だわ! それこそ安眠するように永眠よ!」
嫁「じゃあさっそく毒ドッグに……」
犬「クゥ~ン……」フリフリフリ…
嫁「へ?」
訓練士「し、信じられん……!」
訓練士「我々訓練士でも懐かせられなかった犬が……! 尻尾を振って……!」
嫁「…………」ジーッ
犬「ワン、ワン!」フリフリフリ…
嫁「ねえ、訓練士さん」
訓練士「なんでしょう?」
嫁「この毒ドッグもらってもいい? 飼いたくなっちゃった」
訓練士「え!?」
犬「ワン、ワン!」フリフリフリ…
嫁「ねえ、訓練士さん」
訓練士「なんでしょう?」
嫁「この毒ドッグもらってもいい? 飼いたくなっちゃった」
訓練士「え!?」
― 自宅 ―
嫁「……ってことで、今日から飼うことにしたわ。いいかしら?」
男「まあ、かまわないけど……」
嫁「キヒヒヒ、やったぁ! よろしくね、毒ドッグ!」
犬「ワン!」
男(毒ドッグて……)
おわり
嫁「……ってことで、今日から飼うことにしたわ。いいかしら?」
男「まあ、かまわないけど……」
嫁「キヒヒヒ、やったぁ! よろしくね、毒ドッグ!」
犬「ワン!」
男(毒ドッグて……)
おわり
第六話『毒と薬の出会い』
― 会社 ―
同僚「昔ちょっと話してくれたけど、お前の奥さんって“毒師”なんだって?」
男「ああ、先祖代々毒師の家系らしい」
男「彼女の一族は毒師を名乗ることを、国から特別に認められてるんだって」
同僚「マジなんだ……」
男「俺も薬剤師のはしくれとして毒物に関して知識はあるけど、とても彼女には敵わないよ」
男「どこぞの秘境の毒草やら毒虫なんかも熟知してるぐらいだから」
同僚「へぇ~」
同僚「なぁ、一度会わせてくれないか? どんな人か見てみたいんだ」
男「まぁ、いいけど」
同僚「よっしゃ!」
― 会社 ―
同僚「昔ちょっと話してくれたけど、お前の奥さんって“毒師”なんだって?」
男「ああ、先祖代々毒師の家系らしい」
男「彼女の一族は毒師を名乗ることを、国から特別に認められてるんだって」
同僚「マジなんだ……」
男「俺も薬剤師のはしくれとして毒物に関して知識はあるけど、とても彼女には敵わないよ」
男「どこぞの秘境の毒草やら毒虫なんかも熟知してるぐらいだから」
同僚「へぇ~」
同僚「なぁ、一度会わせてくれないか? どんな人か見てみたいんだ」
男「まぁ、いいけど」
同僚「よっしゃ!」
― 自宅 ―
犬「ワン!」フリフリ…
同僚「犬飼ってるのか」
男「……毒ドッグっていうんだ」
同僚(毒ドッグて……)
男「妻が引き取ってきたんだけど、これでなかなか可愛いんだよ。おお、よしよし」
犬「ハッ、ハッ、ハッ」ペロペロ
同僚「へぇ~、よく懐いてるじゃん」
男「元々はすごく凶暴だったらしいんだけど、安楽死させようとしたら懐いたらしい」
同僚「まるで意味が分からんぞ……」
犬「ワン!」フリフリ…
同僚「犬飼ってるのか」
男「……毒ドッグっていうんだ」
同僚(毒ドッグて……)
男「妻が引き取ってきたんだけど、これでなかなか可愛いんだよ。おお、よしよし」
犬「ハッ、ハッ、ハッ」ペロペロ
同僚「へぇ~、よく懐いてるじゃん」
男「元々はすごく凶暴だったらしいんだけど、安楽死させようとしたら懐いたらしい」
同僚「まるで意味が分からんぞ……」
嫁「いらっしゃいませぇ~」
同僚「あ、どうも」
嫁「キヒヒヒ……」
同僚(ぱっと見怖いけど、愛嬌あるっちゃあるな)
嫁「料理はたっぷり用意してありますからねえ。さ、どうぞぉ」
ドヨーン…
同僚(うおっ……なんて毒々しい! 本当に食えるのか!? 食っていいのかこれ!?)
同僚「あ、でもうまい!」モグッ
男「家内の料理は見た目はまずいけど、中身はうまいんだよ」
嫁「見た目はまずい、は余計よぉ」
同僚「あ、どうも」
嫁「キヒヒヒ……」
同僚(ぱっと見怖いけど、愛嬌あるっちゃあるな)
嫁「料理はたっぷり用意してありますからねえ。さ、どうぞぉ」
ドヨーン…
同僚(うおっ……なんて毒々しい! 本当に食えるのか!? 食っていいのかこれ!?)
同僚「あ、でもうまい!」モグッ
男「家内の料理は見た目はまずいけど、中身はうまいんだよ」
嫁「見た目はまずい、は余計よぉ」
嫁「そろそろマムシ酒でもどぉう?」
同僚「え……!」
男「いや、普通でいいよ、普通で。ビールにしてくれ」
嫁「じゃ、マムシビールにするわぁ」
同僚(なんなんだ、マムシビールって……)
嫁「分かったわ」スタスタ…
同僚「そういや、奥さんとはどうやって知り合ったんだ?」
男「実は……合コンなんだ」
同僚「合コン!? へえ、ちょっと意外……」
男「当時俺はまだ薬学部の学生で、あいつは毒師見習いだった……」
…………
……
同僚「え……!」
男「いや、普通でいいよ、普通で。ビールにしてくれ」
嫁「じゃ、マムシビールにするわぁ」
同僚(なんなんだ、マムシビールって……)
嫁「分かったわ」スタスタ…
同僚「そういや、奥さんとはどうやって知り合ったんだ?」
男「実は……合コンなんだ」
同僚「合コン!? へえ、ちょっと意外……」
男「当時俺はまだ薬学部の学生で、あいつは毒師見習いだった……」
…………
……
~回想~
ウェーイッ!
学生「今日は飲んで騒ごうぜ!」
女子大生「お互い自己紹介してこうよ!」
ワイワイ…
……
男「えーと、薬学部に通ってます。将来は薬剤師になるつもりです」
女「あたしは毒師見習いやってます……キヒッ」
男(薄気味悪い女だ……。毒を擬人化したらこんな感じじゃないのかな)
女(自分の薬で世界中の人を救ってやるってツラしてるわねえ……気に食わないわ、こういう奴)
ウェーイッ!
学生「今日は飲んで騒ごうぜ!」
女子大生「お互い自己紹介してこうよ!」
ワイワイ…
……
男「えーと、薬学部に通ってます。将来は薬剤師になるつもりです」
女「あたしは毒師見習いやってます……キヒッ」
男(薄気味悪い女だ……。毒を擬人化したらこんな感じじゃないのかな)
女(自分の薬で世界中の人を救ってやるってツラしてるわねえ……気に食わないわ、こういう奴)
ワイワイ… ガヤガヤ…
男(結局みんなからあぶれて、話し相手がこの毒女だけになってしまった……)
男(忙しい中やってきたってのに、なんてザマだ……)
男「……あのさ」
女「んん?」
男「聞きたかったんだけど、毒師ってなに?」
女「よくぞ聞いてくれました。読んで字の如く、毒のエキスパートよ」
女「あたしの一族は、先祖代々毒師の家系でね」
女「昔は、政府筋からのヤバイ仕事も結構引き受けてたみたいなの」
女「だから国からも存在を認められてるのよぉ~、すごいでしょ?」キヒヒ…
男「ふうん……」
男(本当にそんな職業あるのかよ、うさんくせー……)
キャァァァ…
男「ん?」
男(結局みんなからあぶれて、話し相手がこの毒女だけになってしまった……)
男(忙しい中やってきたってのに、なんてザマだ……)
男「……あのさ」
女「んん?」
男「聞きたかったんだけど、毒師ってなに?」
女「よくぞ聞いてくれました。読んで字の如く、毒のエキスパートよ」
女「あたしの一族は、先祖代々毒師の家系でね」
女「昔は、政府筋からのヤバイ仕事も結構引き受けてたみたいなの」
女「だから国からも存在を認められてるのよぉ~、すごいでしょ?」キヒヒ…
男「ふうん……」
男(本当にそんな職業あるのかよ、うさんくせー……)
キャァァァ…
男「ん?」
酔客「なんだと、てめえ! やんのかコラァ!?」
学生「ひっ……!」
男「どうしたんだ!?」
女子大生「学生君が、あの酔っ払いの顔見て笑っちゃって……そしたら……」
ドヨドヨ…
男「…………」
男「よぉし、それなら……」ゴリゴリ…
女「あたしの出番ねぇ」ゴリゴリ…
女子大生「二人して、なにかの調合を始めたわ!」
学生「ひっ……!」
男「どうしたんだ!?」
女子大生「学生君が、あの酔っ払いの顔見て笑っちゃって……そしたら……」
ドヨドヨ…
男「…………」
男「よぉし、それなら……」ゴリゴリ…
女「あたしの出番ねぇ」ゴリゴリ…
女子大生「二人して、なにかの調合を始めたわ!」
むわわ~
女子大生「う……これはサリン……ぐふっ」ばた
男「ぐふ」ばた
女「ぐふ」ばた
終わり
女子大生「う……これはサリン……ぐふっ」ばた
男「ぐふ」ばた
女「ぐふ」ばた
終わり
女「ほら、少し大人しくしなさいな」パサッ
酔客「なんだこの粉!?」ゲホゲホッ
酔客「うっ! 体がシビれて……」ビクビクッ
学生「た、助かった……」
男「ほら、特製の酔いざましだ! これを飲め!」ポイッ
酔客「!?」ゴクッ
酔客「あ……」スーッ
酔客「あー、気分が落ち着いてきた……。す、すみませんでした」
男「…………」ホッ
女「キヒヒ、やったわねぇ」
男「うん!」
男&女「イェーイ!」パシッ
酔客「なんだこの粉!?」ゲホゲホッ
酔客「うっ! 体がシビれて……」ビクビクッ
学生「た、助かった……」
男「ほら、特製の酔いざましだ! これを飲め!」ポイッ
酔客「!?」ゴクッ
酔客「あ……」スーッ
酔客「あー、気分が落ち着いてきた……。す、すみませんでした」
男「…………」ホッ
女「キヒヒ、やったわねぇ」
男「うん!」
男&女「イェーイ!」パシッ
……
…………
男「というわけさ」
男「それから、何度も二人で色々調合したりして……」
同僚「へぇ~」
男「デートで、山に薬草や毒草を採取しに行ったり……」
同僚(どんなデートだよ)
男「やがて、俺が『毒と薬で一緒になりましょう』ってプロポーズして……」
同僚「ヒュー、やるじゃん!」
男「彼女のお義父さんはおっかなかったなぁ……」
…………
男「というわけさ」
男「それから、何度も二人で色々調合したりして……」
同僚「へぇ~」
男「デートで、山に薬草や毒草を採取しに行ったり……」
同僚(どんなデートだよ)
男「やがて、俺が『毒と薬で一緒になりましょう』ってプロポーズして……」
同僚「ヒュー、やるじゃん!」
男「彼女のお義父さんはおっかなかったなぁ……」
同僚「二人はまさに毒にも薬にもなる夫婦、だな」
男「お、うまいこというな」
嫁「キヒヒヒ……盛り上がってるわねえ」
嫁「二人とも~、マムシビール持ってきたわよぉ~」ドンッ
男&同僚「うおっ!」
おわり
男「お、うまいこというな」
嫁「キヒヒヒ……盛り上がってるわねえ」
嫁「二人とも~、マムシビール持ってきたわよぉ~」ドンッ
男&同僚「うおっ!」
おわり
線画が太いポップな絵柄で漫画化してほしい
嫁はあんまりかわいくないやつ
嫁はあんまりかわいくないやつ
第七話『嫁、フードファイターになる』
― 自宅 ―
嫁「ねえあなた、高級レストラン行かない?」
男「なんでまた、いきなり」
嫁「あたし、今度ある国の王様と食事するのよ。それで下見しておこうと思って」
男「ええっ!?」
嫁「ただし毒味役でね。その国は毒味の文化があるらしいから」
男「毒師として依頼を受けたってわけか」
嫁「そうそう。あ、お食事券もらってるからもちろんタダよぉ~」ピラッ
男「おおっ、じゃあ久しぶりに二人で外食しようか」
― 自宅 ―
嫁「ねえあなた、高級レストラン行かない?」
男「なんでまた、いきなり」
嫁「あたし、今度ある国の王様と食事するのよ。それで下見しておこうと思って」
男「ええっ!?」
嫁「ただし毒味役でね。その国は毒味の文化があるらしいから」
男「毒師として依頼を受けたってわけか」
嫁「そうそう。あ、お食事券もらってるからもちろんタダよぉ~」ピラッ
男「おおっ、じゃあ久しぶりに二人で外食しようか」
― レストラン ―
男(こういうところ来るのはじめてだから緊張するな……)
男(俺の嫁はどうかな?)チラッ
嫁「キヒッ、キヒヒッ……キヒッ……」
男(メチャクチャ緊張してらっしゃる!)
料理人「いらっしゃいませ。本日はコース料理となっておりますので、どうぞごゆっくり」
男「は、はい!」
モグモグ… パクパク…
男「うん、うまい!」
嫁「キヒッ、おいし~い!」
料理人「ありがとうございます」
男(こういうところ来るのはじめてだから緊張するな……)
男(俺の嫁はどうかな?)チラッ
嫁「キヒッ、キヒヒッ……キヒッ……」
男(メチャクチャ緊張してらっしゃる!)
料理人「いらっしゃいませ。本日はコース料理となっておりますので、どうぞごゆっくり」
男「は、はい!」
モグモグ… パクパク…
男「うん、うまい!」
嫁「キヒッ、おいし~い!」
料理人「ありがとうございます」
男「今度、海外の王様が来られるだけあって、素晴らしいレストランですね」
料理人「当店が選ばれたことは光栄に思っています」
料理人「あなたがたこそ、とてもいい夫婦でいらっしゃる」
料理人「一緒にお食事をされている姿がとても絵になっていましたよ」
男「どうも……」
嫁「キヒヒ、照れちゃうわぁ~」
男「いいレストランだったな」
嫁「ええ、とってもおいしかった!」
男「毒を盛られることなんかないだろうけど、毒味役頑張れよ」
嫁「うん!」
料理人「当店が選ばれたことは光栄に思っています」
料理人「あなたがたこそ、とてもいい夫婦でいらっしゃる」
料理人「一緒にお食事をされている姿がとても絵になっていましたよ」
男「どうも……」
嫁「キヒヒ、照れちゃうわぁ~」
男「いいレストランだったな」
嫁「ええ、とってもおいしかった!」
男「毒を盛られることなんかないだろうけど、毒味役頑張れよ」
嫁「うん!」
当日――
― 自宅 ―
嫁「じゃ、行ってきま~す」
犬「ワン、ワン!」
男「どうした、毒ドッグ?」
嫁「珍しいわねえ、こんなに吠えるなんて」
男「…………」
男「俺も行くよ。毒ドッグと一緒に、近くの公園で待ってる」
嫁「キヒヒ、あなたも心配性ねえ。まあいいけど。毒味が終わったら一緒に帰りましょ」
犬「ワォン!」
男(なんだか嫌な予感がする……)
― 自宅 ―
嫁「じゃ、行ってきま~す」
犬「ワン、ワン!」
男「どうした、毒ドッグ?」
嫁「珍しいわねえ、こんなに吠えるなんて」
男「…………」
男「俺も行くよ。毒ドッグと一緒に、近くの公園で待ってる」
嫁「キヒヒ、あなたも心配性ねえ。まあいいけど。毒味が終わったら一緒に帰りましょ」
犬「ワォン!」
男(なんだか嫌な予感がする……)
― レストラン ―
プルルルル…
料理人「はい、もしもし。レストラン○×ですが」
『毒を盛れ』
料理人「は?」
『今日国王が来たら、国王の食事に毒を盛れ。毒はレストランに届ける』
料理人「なにいってるんだ、あんた? イタズラなら切るよ! こっちは忙しいんだ!」
『イタズラなんかじゃないさ……』
料理人「!」ゾクッ…
『もし、やらなければ……』
プルルルル…
料理人「はい、もしもし。レストラン○×ですが」
『毒を盛れ』
料理人「は?」
『今日国王が来たら、国王の食事に毒を盛れ。毒はレストランに届ける』
料理人「なにいってるんだ、あんた? イタズラなら切るよ! こっちは忙しいんだ!」
『イタズラなんかじゃないさ……』
料理人「!」ゾクッ…
『もし、やらなければ……』
アハハハハ… キヒヒヒヒ…
国王「おぬしが今日の毒味役、ジャパンのポイズンレディか」
嫁「キヒヒヒ……今日はよろしくお願いします」
国王「あまり緊張せず、余と食事を楽しんでくれたまえ」
嫁「は~い」
料理人「…………」スタスタ
料理人「お、お料理を……お持ち、しました……」
国王「おお、ありがとう」
嫁(……ん?)
国王「おぬしが今日の毒味役、ジャパンのポイズンレディか」
嫁「キヒヒヒ……今日はよろしくお願いします」
国王「あまり緊張せず、余と食事を楽しんでくれたまえ」
嫁「は~い」
料理人「…………」スタスタ
料理人「お、お料理を……お持ち、しました……」
国王「おお、ありがとう」
嫁(……ん?)
料理人「…………」ガタガタガタ…
料理人「ど、どうぞ」コトッ
国王「オォ~、これはおいしそうだ!」
嫁「…………」
嫁「じゃあ毒味させてもらうわねえ」
国王「よろしく頼む。このレストランを疑うわけではないが、我が国の作法なのでね」
料理人「…………!」
料理人「あ、あのっ!」
国王「なにかね?」
料理人「ど、どうぞ」コトッ
国王「オォ~、これはおいしそうだ!」
嫁「…………」
嫁「じゃあ毒味させてもらうわねえ」
国王「よろしく頼む。このレストランを疑うわけではないが、我が国の作法なのでね」
料理人「…………!」
料理人「あ、あのっ!」
国王「なにかね?」
この料理人詰んでるよね
毒盛っても盛らなくても命の保証はないよね
毒盛っても盛らなくても命の保証はないよね
嫁「シーッ」
料理人「え……!?」
嫁「いただきます」モグッ
料理人(ああっ! あんなに食べたら!)
嫁「うん、おいしぃ~! おいしすぎるわぁ~!」
嫁「こうなったら全部食べちゃおっと!」パクパクムシャムシャ…
料理人「えっ!?」
国王「全部!?」
国王「あの……余の分は?」
嫁「ない!」
国王「ないの!?」
嫁「キヒヒ、どれもおいしいわぁ~」ムシャムシャ…
国王「オ~、ジャパニーズ・ポイズンレディは恐ろしい!」
料理人(どうして!? どうして平気なんだ!? 間違いなく毒は盛ったのに!)
料理人「え……!?」
嫁「いただきます」モグッ
料理人(ああっ! あんなに食べたら!)
嫁「うん、おいしぃ~! おいしすぎるわぁ~!」
嫁「こうなったら全部食べちゃおっと!」パクパクムシャムシャ…
料理人「えっ!?」
国王「全部!?」
国王「あの……余の分は?」
嫁「ない!」
国王「ないの!?」
嫁「キヒヒ、どれもおいしいわぁ~」ムシャムシャ…
国王「オ~、ジャパニーズ・ポイズンレディは恐ろしい!」
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