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元スレ嫁「あなたァ……生命保険入らない?」ゴリゴリ 男「毒の調合しながら言わないでくれる?」
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嫁「全部食べちゃった」ゲフッ
嫁「王様におかわり持ってきて。今度は“余計な調味料”入れないでね」
料理人「! ……は、はいっ!」
国王「う、うーむ……見事! ここまでされると、かえって感心してしまう」
国王「君はグッドフードファイターだ! 日本に来てよかった! アリガトウ!」
嫁「キヒヒ、どういたしましてぇ~」
嫁「王様におかわり持ってきて。今度は“余計な調味料”入れないでね」
料理人「! ……は、はいっ!」
国王「う、うーむ……見事! ここまでされると、かえって感心してしまう」
国王「君はグッドフードファイターだ! 日本に来てよかった! アリガトウ!」
嫁「キヒヒ、どういたしましてぇ~」
料理人「大丈夫ですか!? 早く病院に――」
嫁「平気よぉ~」
嫁「あたしが調合した猛毒ならともかく、あんな適当にその辺の毒を盛っただけの毒なんかじゃ」
嫁「あたしは死なないわ。かえって栄養になっちゃうくらいよ。キヒヒヒ……」
料理人「は、はぁ……」
嫁「それより……なんであんなことしたの?」
嫁「もしも毒を盛ったことが知られたら、あなた大変なことになってたわよぉ」
料理人「実は……妻と娘をさらわれて……脅されて……。散々迷ったんですが……」
料理人「やはり……家族が大事で……言われるがまま毒を……」
嫁「なるほどねえ」
料理人「あなたがいてくれなければ私は人殺しになるところでした……ありがとうございます!」
嫁「この前おいしい料理を食べさせてもらったお返しよ」
料理人「ですがこうなった以上、妻と娘の命はきっと……」
嫁「大丈夫よ! あたしには頼りになる夫と犬がいるんだから!」
嫁「平気よぉ~」
嫁「あたしが調合した猛毒ならともかく、あんな適当にその辺の毒を盛っただけの毒なんかじゃ」
嫁「あたしは死なないわ。かえって栄養になっちゃうくらいよ。キヒヒヒ……」
料理人「は、はぁ……」
嫁「それより……なんであんなことしたの?」
嫁「もしも毒を盛ったことが知られたら、あなた大変なことになってたわよぉ」
料理人「実は……妻と娘をさらわれて……脅されて……。散々迷ったんですが……」
料理人「やはり……家族が大事で……言われるがまま毒を……」
嫁「なるほどねえ」
料理人「あなたがいてくれなければ私は人殺しになるところでした……ありがとうございます!」
嫁「この前おいしい料理を食べさせてもらったお返しよ」
料理人「ですがこうなった以上、妻と娘の命はきっと……」
嫁「大丈夫よ! あたしには頼りになる夫と犬がいるんだから!」
男「……イマイチ状況がつかめないが、料理人さんの奥さんと娘さんを捜すことになってしまった」
男「二人の衣服を嗅いでくれ!」
犬「…………」クンクンクン
男「どうだ? 毒ドッグ」
犬「ワン!」
男「おお、さすが警察犬になるはずだっただけのことはある!」
男「よぉーし、いくぞ毒ドッグ!」
犬「ワンワン!」タタタタタッ
男「ちょっ、速い……! もっとゆっくり……!」ヨタヨタ…
男「二人の衣服を嗅いでくれ!」
犬「…………」クンクンクン
男「どうだ? 毒ドッグ」
犬「ワン!」
男「おお、さすが警察犬になるはずだっただけのことはある!」
男「よぉーし、いくぞ毒ドッグ!」
犬「ワンワン!」タタタタタッ
男「ちょっ、速い……! もっとゆっくり……!」ヨタヨタ…
― 倉庫 ―
黒マント「国王が死んだという知らせが入ってこない……」
黒マント「どうやら、お前たちの主人はしくじったようだな……あるいは怖気づいたか……」
黒マント「ならば気の毒だが、お前たちには死んでもらう」
妻「ひ、ひいいっ……」
娘「助けて……」
黒マント「俺の毒ガスでせいぜい苦しんで死んでいけ……」シュゥゥ…
ワンワン…
黒マント「――ん?」
黒マント「国王が死んだという知らせが入ってこない……」
黒マント「どうやら、お前たちの主人はしくじったようだな……あるいは怖気づいたか……」
黒マント「ならば気の毒だが、お前たちには死んでもらう」
妻「ひ、ひいいっ……」
娘「助けて……」
黒マント「俺の毒ガスでせいぜい苦しんで死んでいけ……」シュゥゥ…
ワンワン…
黒マント「――ん?」
犬「ワォンワォン!」
男「警察だ!」
黒マント「なぜここが……!? なんでこんな早く……!?」
黒マント「ちっ、さらばだ!」バサァッ
~
犬「ワン! ワン!」
男「大丈夫ですか!?」
妻「は、はいっ!」
娘「もう少しで殺されるところでした。ありがとうございます……」
男「警察だ!」
黒マント「なぜここが……!? なんでこんな早く……!?」
黒マント「ちっ、さらばだ!」バサァッ
~
犬「ワン! ワン!」
男「大丈夫ですか!?」
妻「は、はいっ!」
娘「もう少しで殺されるところでした。ありがとうございます……」
……
男「お手柄だったぞ、毒ドッグ!」ナデナデ
犬「アオ~ン!」
男「警察によると、あの黒マントの男はダークヒーロー気取りで事件を起こしてる危険人物らしい」
男「特に毒を使用して、何かをやらかすことが多いそうだ」
男「日本で他国の国王が毒殺されたなんてなったら大問題だからな……今回はそれを狙ったんだろう」
嫁「恐ろしい奴ねえ……社会にとっての猛毒だわ」
男「ああ、自分の力を誇示したくてたまらないんだろう。二度と関わりたくないもんだな」
嫁「でも……また出会いそうな気もするわねぇ」
おわり
男「お手柄だったぞ、毒ドッグ!」ナデナデ
犬「アオ~ン!」
男「警察によると、あの黒マントの男はダークヒーロー気取りで事件を起こしてる危険人物らしい」
男「特に毒を使用して、何かをやらかすことが多いそうだ」
男「日本で他国の国王が毒殺されたなんてなったら大問題だからな……今回はそれを狙ったんだろう」
嫁「恐ろしい奴ねえ……社会にとっての猛毒だわ」
男「ああ、自分の力を誇示したくてたまらないんだろう。二度と関わりたくないもんだな」
嫁「でも……また出会いそうな気もするわねぇ」
おわり
第八話『中毒になる毒』
― 自宅 ―
嫁「ふんふ~ん」ゴリゴリ…
男「なに作ってるんだ?」
嫁「中毒になる毒よ。ほら、“○○中毒”ってやつ」ゴリゴリ…
男「今風にいうと、依存症にする毒か」
嫁「そうそう、依存症」ゴリゴリ…
男「だけど、そんなもの何の役に立つんだ?」
嫁「たとえば、アル中の人を水の依存症にすれば、酒じゃなく水を飲むようになるわ」ゴリゴリ…
男「なるほど……そういう風に使うわけか」
男「でも、水も飲みすぎると、それこそ血が薄まって水中毒で死んじゃうから注意が必要だな」
嫁「そうねぇ、用法・用量は微調整しないといけないわね」ゴリゴリ…
― 自宅 ―
嫁「ふんふ~ん」ゴリゴリ…
男「なに作ってるんだ?」
嫁「中毒になる毒よ。ほら、“○○中毒”ってやつ」ゴリゴリ…
男「今風にいうと、依存症にする毒か」
嫁「そうそう、依存症」ゴリゴリ…
男「だけど、そんなもの何の役に立つんだ?」
嫁「たとえば、アル中の人を水の依存症にすれば、酒じゃなく水を飲むようになるわ」ゴリゴリ…
男「なるほど……そういう風に使うわけか」
男「でも、水も飲みすぎると、それこそ血が薄まって水中毒で死んじゃうから注意が必要だな」
嫁「そうねぇ、用法・用量は微調整しないといけないわね」ゴリゴリ…
ある日――
嫁「……なによぉ!」
男「なんだよ!」
嫁「そんな言い方ないでしょ!」
男「君こそ……もっと言い方があるだろう!」
男&嫁「フン!」プイッ
嫁「何よぉ……あの人ったら……」
嫁「あ……そうだわぁ……」キヒヒッ
嫁「……なによぉ!」
男「なんだよ!」
嫁「そんな言い方ないでしょ!」
男「君こそ……もっと言い方があるだろう!」
男&嫁「フン!」プイッ
嫁「何よぉ……あの人ったら……」
嫁「あ……そうだわぁ……」キヒヒッ
嫁「あなたァ、これ飲んでみて?」
男「なにこれ?」
嫁「仲直りの印よぉ」
男「……ありがとう」グビッ
嫁(キヒヒッ……飲んだわぁ~)
嫁(あたしの中毒になるよう調整した、“中毒になる毒”をね!)
嫁(あたし中毒になってしまうがいいわァ~)
男「なにこれ?」
嫁「仲直りの印よぉ」
男「……ありがとう」グビッ
嫁(キヒヒッ……飲んだわぁ~)
嫁(あたしの中毒になるよう調整した、“中毒になる毒”をね!)
嫁(あたし中毒になってしまうがいいわァ~)
男「今日のご飯は?」
嫁「チャーハンよ」
男「お、嬉しいなぁ。仲直りしてよかったよ」
嫁「…………?」
嫁(いつもと変化がないわね……たしかに飲ませたはずなのに)
男「うん、うまい。相変わらず色は毒っぽいけど」モグモグ
嫁(まったく変化が見られない……なんで!? どうしてよぉ!?)
嫁「チャーハンよ」
男「お、嬉しいなぁ。仲直りしてよかったよ」
嫁「…………?」
嫁(いつもと変化がないわね……たしかに飲ませたはずなのに)
男「うん、うまい。相変わらず色は毒っぽいけど」モグモグ
嫁(まったく変化が見られない……なんで!? どうしてよぉ!?)
男「じゃ、おやすみ……」モゾッ
嫁(なによぉ……すぐに寝ちゃって)
嫁(あたし中毒になってるはずなのに……)
嫁「カモン! カモン!」
嫁「……アホらし」
嫁「どういうことなのよぉ~!!!」
嫁(なによぉ……すぐに寝ちゃって)
嫁(あたし中毒になってるはずなのに……)
嫁「カモン! カモン!」
嫁「……アホらし」
嫁「どういうことなのよぉ~!!!」
数日後――
男「ごめん、また来たいってうるさくてさ」
同僚「いやー、すみませんね。またお邪魔しちゃって」
嫁「いえいえ、それより聞きたいことがあるの」
同僚「なんですか?」
嫁「実はあたし、あの人に“あたし中毒”になるよう毒を飲ませたんですけど」
嫁「なにも変わらないのよね」
嫁「どうしてかしら? あたしってそんなに魅力ない?」
同僚「ああ……そんなの決まってますよ」
男「ごめん、また来たいってうるさくてさ」
同僚「いやー、すみませんね。またお邪魔しちゃって」
嫁「いえいえ、それより聞きたいことがあるの」
同僚「なんですか?」
嫁「実はあたし、あの人に“あたし中毒”になるよう毒を飲ませたんですけど」
嫁「なにも変わらないのよね」
嫁「どうしてかしら? あたしってそんなに魅力ない?」
同僚「ああ……そんなの決まってますよ」
同僚「あいつはずっとあなたの中毒だからですよ!」
嫁「!」
同僚「あなたと喧嘩した時とあいつは、ずっと会社でも落ち込んでて……ヤバイくらいに」
同僚「会社にある薬品で自殺しちゃうんじゃないかと思うほどでしたよ」
嫁「…………」
男「おーい、二人して何話してるんだ?」
嫁「な、なんでもないわ、キヒヒ……」
男「?」
嫁(これだから……あたしもあなた中毒から抜けられないのね、きっと)
おわり
嫁「!」
同僚「あなたと喧嘩した時とあいつは、ずっと会社でも落ち込んでて……ヤバイくらいに」
同僚「会社にある薬品で自殺しちゃうんじゃないかと思うほどでしたよ」
嫁「…………」
男「おーい、二人して何話してるんだ?」
嫁「な、なんでもないわ、キヒヒ……」
男「?」
嫁(これだから……あたしもあなた中毒から抜けられないのね、きっと)
おわり
最終話『毒をもって毒を制す』
― 自宅 ―
嫁「いよいよ今日ねえ。あなたの会社の新薬発表会」
男「ああ、医学界の著名人や厚労省のお偉いさんも来るからな……緊張するよ」
嫁「テレビ放映もされるんだっけ?」
男「うん、そうみたい」
男「会場はこの近くだし、君も来たら? テレビに映れるかもよ」
嫁「あたしはいいわよぉ。薬の発表会に毒師が行ったら、変な化学反応起こりそうじゃない」
男「ハハッ、それもそうか」
― 自宅 ―
嫁「いよいよ今日ねえ。あなたの会社の新薬発表会」
男「ああ、医学界の著名人や厚労省のお偉いさんも来るからな……緊張するよ」
嫁「テレビ放映もされるんだっけ?」
男「うん、そうみたい」
男「会場はこの近くだし、君も来たら? テレビに映れるかもよ」
嫁「あたしはいいわよぉ。薬の発表会に毒師が行ったら、変な化学反応起こりそうじゃない」
男「ハハッ、それもそうか」
犬「ワン、ワン!」
嫁「あら、毒ドッグも行きたいみたい」
嫁「って、さすがに連れてけないわよねえ。いくらいい子だとはいえ」
男「うーん……」
男「いいよ、連れてってあげる。会場に犬をつないでおくスペースくらいあるだろ」
嫁「あら、あなた優しいのね」
男「うん……」
男(毒ドッグのこの吠え方……多分なにかを感じてるに違いない……)
嫁「あら、毒ドッグも行きたいみたい」
嫁「って、さすがに連れてけないわよねえ。いくらいい子だとはいえ」
男「うーん……」
男「いいよ、連れてってあげる。会場に犬をつないでおくスペースくらいあるだろ」
嫁「あら、あなた優しいのね」
男「うん……」
男(毒ドッグのこの吠え方……多分なにかを感じてるに違いない……)
昼過ぎ――
嫁「そろそろ発表会ね……」
嫁「“薬を食らわば皿まで”でも食べながら、愛する夫を見物見物」ボリボリ
テレビ『会場には大勢のマスコミと医療関係者が集まっています!』
テレビ『中には大臣の姿も……』
嫁「む~……大臣なんかどうでもいいのよぉ。あたしの夫を出して!」
嫁「誰を映すべきか分かってないんだから……」バリボリ
嫁「そろそろ発表会ね……」
嫁「“薬を食らわば皿まで”でも食べながら、愛する夫を見物見物」ボリボリ
テレビ『会場には大勢のマスコミと医療関係者が集まっています!』
テレビ『中には大臣の姿も……』
嫁「む~……大臣なんかどうでもいいのよぉ。あたしの夫を出して!」
嫁「誰を映すべきか分かってないんだから……」バリボリ
テレビ『さぁ、いよいよ新薬の発表会が始まります!』
テレビ『まずは製薬会社の社長からの挨拶です!』
嫁「あ、あの人が一瞬映ったわ! キャー、シビれちゃうぅ~! 社長はどうでもいいわ!」
テレビ『ザワザワ……』
嫁「?」
嫁(どうしたのかしら?)
テレビ『まずは製薬会社の社長からの挨拶です!』
嫁「あ、あの人が一瞬映ったわ! キャー、シビれちゃうぅ~! 社長はどうでもいいわ!」
テレビ『ザワザワ……』
嫁「?」
嫁(どうしたのかしら?)
テレビ『ブシュゥゥゥゥゥゥ…』
テレビ『なんでしょう? イベントでしょうか? 会場にガスのようなものが……』
テレビ『うっ、ゲホッ、ゲホッ! 体が……』
テレビ『会場の人達がバタバタと倒れ……ううっ!』
嫁(なにこれ!? 毒!?)
嫁「あなた……」ガタッ
嫁「あ、あなたァァァァァ!!!」
テレビ『なんでしょう? イベントでしょうか? 会場にガスのようなものが……』
テレビ『うっ、ゲホッ、ゲホッ! 体が……』
テレビ『会場の人達がバタバタと倒れ……ううっ!』
嫁(なにこれ!? 毒!?)
嫁「あなた……」ガタッ
嫁「あ、あなたァァァァァ!!!」
― 会場 ―
黒マント「クックック……新薬の発表会で、大物たちが毒でバタバタ死ぬ……」
黒マント「まさに喜劇だな」
黒マント「たとえ、すぐ救急車がやってきても、無能な医者どもではどうにもなるまい」
黒マント「せいぜい苦しんでから死ぬがいいさ」バサッ
黒マント「俺の力で世の中が変わっていくこの感覚……たまらんなァ!」
「ガルルルルル……」
黒マント「ん?」
黒マント「クックック……新薬の発表会で、大物たちが毒でバタバタ死ぬ……」
黒マント「まさに喜劇だな」
黒マント「たとえ、すぐ救急車がやってきても、無能な医者どもではどうにもなるまい」
黒マント「せいぜい苦しんでから死ぬがいいさ」バサッ
黒マント「俺の力で世の中が変わっていくこの感覚……たまらんなァ!」
「ガルルルルル……」
黒マント「ん?」
犬「ガルルル……ワンッ!」
黒マント「うおっ!? なんでこんなところに犬が!? どこのバカ飼い主だ……!」
犬「ガァウウッ!」
黒マント「ちっ!」
バキッ!
犬「ギャウッ!」ドサッ
黒マント「ついでに痺れガスも浴びせてやる!」ブシュゥゥゥゥゥ…
犬「グウウ……ガァァァァァッ!」ガブッ
ビリッ
犬「グルルゥ……」ドサッ…
黒マント「このクソ犬……マントに噛みついてから気絶しやがった!」
黒マント「とっとと退散せねば!」
黒マント「うおっ!? なんでこんなところに犬が!? どこのバカ飼い主だ……!」
犬「ガァウウッ!」
黒マント「ちっ!」
バキッ!
犬「ギャウッ!」ドサッ
黒マント「ついでに痺れガスも浴びせてやる!」ブシュゥゥゥゥゥ…
犬「グウウ……ガァァァァァッ!」ガブッ
ビリッ
犬「グルルゥ……」ドサッ…
黒マント「このクソ犬……マントに噛みついてから気絶しやがった!」
黒マント「とっとと退散せねば!」
タタタタタッ
嫁「あなたァァァァァ!!!」
男「……き、来てくれたのか」
男「うっ、ゲホッ、ゲホッ」
嫁「しっかりして!」
男「大丈夫だ……長く苦しめようって魂胆なのか、すぐ死ぬような毒じゃない……」
男「だが、手当てが遅れれば、会場の全員が死ぬだろう……」
同僚「うぅぅ……体がぁ……」
上司「う、うげぇ……」
「う~ん……」 「た、助け……」 「オエエッ!」
嫁「あなたァァァァァ!!!」
男「……き、来てくれたのか」
男「うっ、ゲホッ、ゲホッ」
嫁「しっかりして!」
男「大丈夫だ……長く苦しめようって魂胆なのか、すぐ死ぬような毒じゃない……」
男「だが、手当てが遅れれば、会場の全員が死ぬだろう……」
同僚「うぅぅ……体がぁ……」
上司「う、うげぇ……」
「う~ん……」 「た、助け……」 「オエエッ!」
男「でも大丈夫……毒を吸いながら……俺は分析して……」
男「毒の成分は、だいたい分かった……。ここにメモしてある……」サッ
嫁「すごいわ、あなた!」
男「あとは、解毒薬のレシピ、書くだけ……」プルプル…
男「そしたら、君が……調合してく、れ……」
男「うぅ……」ガクッ
嫁「あなた、しっかりして! ああっ……」
嫁(気を失っちゃってる……。この人が倒れちゃった今、あたしが……解毒しないと……)
男「毒の成分は、だいたい分かった……。ここにメモしてある……」サッ
嫁「すごいわ、あなた!」
男「あとは、解毒薬のレシピ、書くだけ……」プルプル…
男「そしたら、君が……調合してく、れ……」
男「うぅ……」ガクッ
嫁「あなた、しっかりして! ああっ……」
嫁(気を失っちゃってる……。この人が倒れちゃった今、あたしが……解毒しないと……)
嫁(どうしよう……解毒は得意じゃないのに……)
嫁(でも、やるしかないわ!)
嫁(あたしがやらなきゃ、みんな……死んじゃうんだから!)
ゴリゴリ…
嫁「あなた、これ飲んで!」ドロッ…
男「…………」ゴクッ
男「…………」シーン…
嫁(ダメだわ! 解毒できない!)
嫁(ううう……毒なら作れるのに、毒なら!)
嫁(……ん、毒なら?)
嫁(でも、やるしかないわ!)
嫁(あたしがやらなきゃ、みんな……死んじゃうんだから!)
ゴリゴリ…
嫁「あなた、これ飲んで!」ドロッ…
男「…………」ゴクッ
男「…………」シーン…
嫁(ダメだわ! 解毒できない!)
嫁(ううう……毒なら作れるのに、毒なら!)
嫁(……ん、毒なら?)
嫁「――そうだわ!」
嫁(毒を解く薬を作れないのなら、毒を制する毒を作ればいい!)
嫁(毒をもって毒を制すのよ!)ゴリゴリ…
ゴリゴリ… ゴリゴリ…
嫁「できた!」
嫁「あなた、これ飲んで!」
男「…………」
嫁(完全に気を失っちゃってる……)
嫁「しょうがないわね……口移しで……」ブチュッ
男「ううっ……」ゴクッ
男「ゲェボォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」
嫁(毒を解く薬を作れないのなら、毒を制する毒を作ればいい!)
嫁(毒をもって毒を制すのよ!)ゴリゴリ…
ゴリゴリ… ゴリゴリ…
嫁「できた!」
嫁「あなた、これ飲んで!」
男「…………」
嫁(完全に気を失っちゃってる……)
嫁「しょうがないわね……口移しで……」ブチュッ
男「ううっ……」ゴクッ
男「ゲェボォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」
男「ハァ、ハァ、ハァ……な、なんだ今の!?」ゲホゲホッ
嫁「やった、大成功!」
男「いったいなにを飲ませたんだ!? 死ぬかと思った!」
嫁「あたしが調合した猛毒よ」
嫁「猛毒を飲ませて、体内の毒を全部排出させたの!」
男「猛毒を……!」
男「相変わらずムチャクチャするなぁ、君は」
男「でも助かったよ……ありがとう。しばらくすれば動けるようになりそうだ……」
嫁「キヒヒヒ……」
嫁「さあ、他の人たちも助けてあげないとねえ」
嫁「やった、大成功!」
男「いったいなにを飲ませたんだ!? 死ぬかと思った!」
嫁「あたしが調合した猛毒よ」
嫁「猛毒を飲ませて、体内の毒を全部排出させたの!」
男「猛毒を……!」
男「相変わらずムチャクチャするなぁ、君は」
男「でも助かったよ……ありがとう。しばらくすれば動けるようになりそうだ……」
嫁「キヒヒヒ……」
嫁「さあ、他の人たちも助けてあげないとねえ」
「ゲボアァァァァァァァァァァッ!!!」
「ウゲェェェェェェェェェェェッ!!!」
「グボアァァァァァァァァァァッ!!!」
ウゲェェェェ… グゲアァァァァ… ガァァァァァ… オゲェェェェェ… ブハァァァァァ…
嫁「キヒヒヒ、みんなあたしの毒で回復してくわぁ~」
男「……とてもそういう光景には見えないけどね」
「ウゲェェェェェェェェェェェッ!!!」
「グボアァァァァァァァァァァッ!!!」
ウゲェェェェ… グゲアァァァァ… ガァァァァァ… オゲェェェェェ… ブハァァァァァ…
嫁「キヒヒヒ、みんなあたしの毒で回復してくわぁ~」
男「……とてもそういう光景には見えないけどね」
ピーポーピーポー……
男「死人が出ることはなさそうだ……君のおかげだよ!」
嫁「うん……だけど、毒ガスまいた奴に逃げられちゃったのは悔しいわねえ」
男(たしかに……次はもっと毒性の強いガスを使うだろうし、そうなったら大惨事になる)
犬「ワン!」
男「どうした、毒ドッグ? ……ケガしてる! 早く動物病院に――」
犬「ワンワン!」ピラッ
嫁「黒い布をくわえてるけど、まさか……犯人の遺留品?」
犬「ワオンッ!」
男「ってことは、毒ドッグの鼻を頼りにすれば……」
嫁「キヒヒ……毒をもって毒を制すのはこれからね!」
男「死人が出ることはなさそうだ……君のおかげだよ!」
嫁「うん……だけど、毒ガスまいた奴に逃げられちゃったのは悔しいわねえ」
男(たしかに……次はもっと毒性の強いガスを使うだろうし、そうなったら大惨事になる)
犬「ワン!」
男「どうした、毒ドッグ? ……ケガしてる! 早く動物病院に――」
犬「ワンワン!」ピラッ
嫁「黒い布をくわえてるけど、まさか……犯人の遺留品?」
犬「ワオンッ!」
男「ってことは、毒ドッグの鼻を頼りにすれば……」
嫁「キヒヒ……毒をもって毒を制すのはこれからね!」
― ホテル ―
テレビ『新薬発表会での毒ガス事件ですが、大勢が救急搬送されましたが、さいわい死者は出ず……』
テレビ『受け入れ病院の医師によると、現場での処置が適切だったと……』
黒マント「……なんだと!? 死者が出てない!?」
黒マント(信じられん……よほど優れた医者が現場近くにいたのか!?)
黒マント(テロをよりドラマチックなものにするため、より奴らを長く苦しませようと)
黒マント(毒性が弱めのガスにしたのは失敗だったか……)チッ
テレビ『新薬発表会での毒ガス事件ですが、大勢が救急搬送されましたが、さいわい死者は出ず……』
テレビ『受け入れ病院の医師によると、現場での処置が適切だったと……』
黒マント「……なんだと!? 死者が出てない!?」
黒マント(信じられん……よほど優れた医者が現場近くにいたのか!?)
黒マント(テロをよりドラマチックなものにするため、より奴らを長く苦しませようと)
黒マント(毒性が弱めのガスにしたのは失敗だったか……)チッ
黒マント「まぁいい、次はもっと強力な毒ガスで――」
シュゥゥゥゥゥゥゥゥ…
黒マント「――なんだ?」
黒マント(ドアの隙間から……ガス!? しまった、少し吸っちまった!)
黒マント(だが、体に異常はない……ただの目くらましか)
黒マント(早く外に出て……)ガチャッ
黒マント「!?」ズキッ
シュゥゥゥゥゥゥゥゥ…
黒マント「――なんだ?」
黒マント(ドアの隙間から……ガス!? しまった、少し吸っちまった!)
黒マント(だが、体に異常はない……ただの目くらましか)
黒マント(早く外に出て……)ガチャッ
黒マント「!?」ズキッ
ズキッ ズキッ ズキッ
黒マント「いたたたたたた!」ズキッ
黒マント「あだだだだだだだっ!」ズキッ
黒マント「な、なんだ!? 一歩動くたびに激痛が走る!」
スタスタ…
嫁「それ……TVゲーム風の毒よぉ」
嫁「ただし、あるオタク君に飲ませた毒よりずっと激痛にしてあるけど、ね」キヒッ
黒マント「なんだ貴様は……?」
嫁「毒師よ」
黒マント「毒師……!?」
嫁「あたしの夫を毒殺しかけた罪……体で償ってもらうわぁ」ポイッ
ボウンッ!
黒マント「煙幕!? 今度はなんだ!?」
黒マント「いたたたたたた!」ズキッ
黒マント「あだだだだだだだっ!」ズキッ
黒マント「な、なんだ!? 一歩動くたびに激痛が走る!」
スタスタ…
嫁「それ……TVゲーム風の毒よぉ」
嫁「ただし、あるオタク君に飲ませた毒よりずっと激痛にしてあるけど、ね」キヒッ
黒マント「なんだ貴様は……?」
嫁「毒師よ」
黒マント「毒師……!?」
嫁「あたしの夫を毒殺しかけた罪……体で償ってもらうわぁ」ポイッ
ボウンッ!
黒マント「煙幕!? 今度はなんだ!?」
黒マント「か……」
黒マント「かゆい、かゆい、かゆいぃぃぃぃぃぃぃ!」ボリボリボリ
嫁「キヒヒ……“かゆいところに手がと毒”ならぬ“全身かゆくなる毒”よ」
黒マント「こ……のっ! 俺の毒ガスでっ!」ブシュゥゥゥゥ…
嫁「キ~ヒヒヒ、無駄よぉ。あんたが調合したような毒じゃ、あたしは殺せないわ」
嫁「毒を悪用しかできないような輩は、しょせん三流なのよ」
黒マント「な、なんだとぉ……!?」
嫁「じゃ、次ね」ポイッ
ボウンッ! ボウンッ!
黒マント「うわっ! ゲホッ、ゲホッ!」
黒マント「かゆい、かゆい、かゆいぃぃぃぃぃぃぃ!」ボリボリボリ
嫁「キヒヒ……“かゆいところに手がと毒”ならぬ“全身かゆくなる毒”よ」
黒マント「こ……のっ! 俺の毒ガスでっ!」ブシュゥゥゥゥ…
嫁「キ~ヒヒヒ、無駄よぉ。あんたが調合したような毒じゃ、あたしは殺せないわ」
嫁「毒を悪用しかできないような輩は、しょせん三流なのよ」
黒マント「な、なんだとぉ……!?」
嫁「じゃ、次ね」ポイッ
ボウンッ! ボウンッ!
黒マント「うわっ! ゲホッ、ゲホッ!」
黒マント「うわぁぁぁぁぁっ! 鬼が見える! これは幻か!?」
黒マント「毒を、もっと毒をくれぇぇぇぇぇっ!」
嫁「キーヒヒヒッ! キーヒヒヒッ!」
黒マント「ぐ、ぐぞっ……!」
黒マント(まずい……! 早くここから脱出しないと――)ズリズリ…
男「大丈夫ですか?」
黒マント「誰だお前は!?」
男「あなたを助けに来た者です! すみません、家内がやりすぎてしまって……」
黒マント「家内ィ? 夫婦か、お前ら!」
黒マント「毒を、もっと毒をくれぇぇぇぇぇっ!」
嫁「キーヒヒヒッ! キーヒヒヒッ!」
黒マント「ぐ、ぐぞっ……!」
黒マント(まずい……! 早くここから脱出しないと――)ズリズリ…
男「大丈夫ですか?」
黒マント「誰だお前は!?」
男「あなたを助けに来た者です! すみません、家内がやりすぎてしまって……」
黒マント「家内ィ? 夫婦か、お前ら!」
男「この皿……結構CMでもやったんで、ご存じですよね?」
黒マント「これは……たしか“薬を食らわば皿まで”とかいう……」
男「その通り!」
男「これにはあなたが吸った毒の解毒作用があります」
男「さあ、食べて下さい! 俺は妻の暴走を止めにきたんです!」
黒マント「あ、ありがとう……!」ガブッ
ガチンッ
黒マント「……あ?」
黒マント「これは……たしか“薬を食らわば皿まで”とかいう……」
男「その通り!」
男「これにはあなたが吸った毒の解毒作用があります」
男「さあ、食べて下さい! 俺は妻の暴走を止めにきたんです!」
黒マント「あ、ありがとう……!」ガブッ
ガチンッ
黒マント「……あ?」
黒マント「これ……ただの皿じゃん! 本物の皿じゃん!」
黒マント「おかげで歯が……あああぁぁぁぁぁ~……」ボロッ…
嫁「あ、あなた……結構えげつないことするのね」
男「だって、王様の件の時、こいつのせいで君は毒を食うはめになったわけだろ?」
男「絶対許せるわけないだろ」
嫁(この人……ほとんど怒ったことないけど、怒らせると怖いのね)
嫁(良薬口に苦し、とはよくいったもんだわ……)
黒マント「おかげで歯が……あああぁぁぁぁぁ~……」ボロッ…
嫁「あ、あなた……結構えげつないことするのね」
男「だって、王様の件の時、こいつのせいで君は毒を食うはめになったわけだろ?」
男「絶対許せるわけないだろ」
嫁(この人……ほとんど怒ったことないけど、怒らせると怖いのね)
嫁(良薬口に苦し、とはよくいったもんだわ……)
黒マント「痛いし、かゆいし、幻は見えるし……ああああああっ!」
黒マント「…………」ギロッ
黒マント「なめるなァァァァァッ!!!」
ガシッ! ガシッ!
男「ぐえっ!」
嫁「きゃあっ!」
黒マント「俺が吸った毒は、どうせ致死性のない毒なんだろ? だったら怖くねえ!」
黒マント「お前らを絞め殺してから……ゆっくりと治療してやるよ!」ググッ…
嫁「キ、キヒヒ……」
黒マント「なに笑ってんだ!?」
男「残念だったな……。俺たちには最後の“毒”が残ってる」
黒マント「なに?」
黒マント「…………」ギロッ
黒マント「なめるなァァァァァッ!!!」
ガシッ! ガシッ!
男「ぐえっ!」
嫁「きゃあっ!」
黒マント「俺が吸った毒は、どうせ致死性のない毒なんだろ? だったら怖くねえ!」
黒マント「お前らを絞め殺してから……ゆっくりと治療してやるよ!」ググッ…
嫁「キ、キヒヒ……」
黒マント「なに笑ってんだ!?」
男「残念だったな……。俺たちには最後の“毒”が残ってる」
黒マント「なに?」
犬「ガァウッ!」バッ
黒マント「こ、この犬は!? さっきの――」
犬「ガァウッ!」グワッ
黒マント「や、やめっ!」
犬「ガアアアアアッ!」ガブッ
黒マント「ちょっ、どこに噛みつく……ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
嫁「さっすが、毒ドッグ! やっちゃえやっちゃえ!」
男「“毒をもって毒を制す”……大成功だな!」
黒マント「こ、この犬は!? さっきの――」
犬「ガァウッ!」グワッ
黒マント「や、やめっ!」
犬「ガアアアアアッ!」ガブッ
黒マント「ちょっ、どこに噛みつく……ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
嫁「さっすが、毒ドッグ! やっちゃえやっちゃえ!」
男「“毒をもって毒を制す”……大成功だな!」
嫁「じゃあ、久しぶりにやる?」
男「なにを?」
嫁「これよぉ」サッ
男「あっ、やろうか!」
男&嫁「イェーイ!」パシッ
犬「ワン、ワン、ワン!」
男「おっと、悪かった。毒ドッグも入れてもう一回!」
パシッ
…………
……
男「なにを?」
嫁「これよぉ」サッ
男「あっ、やろうか!」
男&嫁「イェーイ!」パシッ
犬「ワン、ワン、ワン!」
男「おっと、悪かった。毒ドッグも入れてもう一回!」
パシッ
…………
……
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