元スレ嫁「あなたァ……生命保険入らない?」ゴリゴリ 男「毒の調合しながら言わないでくれる?」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ○
1 :
第一話『嫁は毒の達人』
嫁「ふんふ~ん」ゴリゴリ…
嫁「ベラドンナにトリカブト……それと毒キノコを数種混ぜて……」ゴリゴリ…
嫁「キヒヒ……出来てきたわぁ~……」ゴリゴリ…
嫁「ねえ……あなたァ」ゴリゴリ…
男「ん?」
嫁「生命保険入らない?」ゴリゴリ…
男「……毒の調合しながら言わないでくれる?」
2 :
夫ではなく男ということはつまり
3 :
5話のバレンタインの話はちょっと泣いた
4 :
笑いすぎて過呼吸になった
5 :
>>4
あなたぁ…生命保険入らない?ニチャアァ
6 = 1 :
嫁「違うわよォ、毒の調合はただの仕事だから」
男「分かってるよ。君ほど紫色のエプロンが似合う女性もいないよな」
嫁「キヒヒ、照れるわよ」
男「でも、なんでいきなりそんな話を?」
嫁「ほら、お隣の奥さん、ご主人を亡くされたでしょ?」
嫁「で、ご主人、保険とかに全く入ってなかったらしくて、奥さん苦労されてるらしいの」
男「そういうことか」
男「元気そうだったのに……突然だったもんな」
嫁「ホントよぉ……。奥さんと幼いお子さんを残して、さぞかし無念だったでしょうねえ」
7 :
ゴリゴリ男って強いのか弱いのかよーわからんね
8 = 1 :
男「まぁ、安心しろよ」
男「俺はとっくに生命保険に入ってる。受取人はもちろん君だ」
嫁「え、そうだったの?」
男「だから俺が今日死んでも、君が路頭に迷うことはないよ」
嫁「え、死ぬの!?」
男「え?」
嫁「いやぁぁぁぁぁ! あなたが死ぬんならあたしも死ぬぅぅぅぅぅ!」グビグビ
男「ちょっ! 調合してた毒を!」
9 :
毒嫁か
10 = 1 :
嫁「うへ……あへぇ……」ピクピク…
男「おい、しっかりしろ!」
嫁「あなたぁ……天国で会いましょ……ヒヒ」ピクピク…
男(ダメだ! 完全にイッちまってる!)
男「えぇと、今飲んだ毒の成分は、と……」
男「この薬草とこの薬品を混ぜて、調合すれば……」ゴリゴリ…
男「――できた!」
男「あとはこの解毒薬を飲ませれば……ほら、飲んで」ドロッ
嫁「……んん」ゴクッ
11 = 1 :
嫁「……あ」
男「ふぅ~、よかった……」
男「君が毒に強くて、俺が薬剤師じゃなかったら、危なかったぞ」
男「国にも認められてる“毒師”が毒で死んだら、笑い話にもならないだろ」
嫁「……どうせだったら口移しで飲ませてくれたらよかったのに」キヒヒ…
男「……おいおい」
12 :
毒師を公認している国とか物騒だな
13 = 1 :
翌日――
嫁「行ってらっしゃ~い」
男「行ってきます」
男(あ、お隣の奥さんだ)
男「おはようございます」
婦人「おはようございます……」ペコッ
男(やっぱり……。前はあんなに明るかったのに……)
14 :
危険物取扱者資格みたいなもんでしょ
15 = 12 :
なるほど毒劇物取扱者か
16 = 1 :
― 会社 ―
男「……なぁ」
同僚「ん?」
男「俺たちは薬剤師として、製薬会社社員として、日々新しい薬の開発に携わってるわけだけどさ」
同僚「どうしたんだよ、突然」
男「“人を生き返らせる薬”ってのはできないのかな?」
同僚「んー……結局のところ、人間だってものすごくよくできた機械みたいなもんだし」
同僚「人体や生死のメカニズムが完全に解析されれば、あるいは作れるかもな」
同僚「だけど、そんなもんが出来上がったら、人は生き返っても人口爆発で人類は滅亡するわな」
男「……だよなぁ」
17 = 1 :
― 自宅 ―
男「…………」
嫁「どしたの、あなた?」
男「いや、お隣の奥さん、元気なかったからさ……」
嫁「そうねえ……」
男「せめて、ご主人と最後のお別れができてれば、まだ違ったんだろうけどな」
嫁「最後のお別れ……」
嫁「それよ、それだわァ~!」
男「へ?」
18 = 1 :
嫁「さっそく……」ゴリゴリ…
男「調合? いったいどんな毒を?」
嫁「キヒヒ、決まってるでしょ?」
嫁「奥さんを旦那さんに会わせてあげるための毒よぉ……」ゴリゴリゴリ…
男「え!?」
19 = 1 :
数日後――
― 自宅 ―
婦人「お夕飯にお誘い下さり、ありがとうございます……」
男「こちらこそ突然お誘いしてしまって。お子さんはご実家に?」
婦人「はい、まだ小さいので……」
嫁「キヒヒ、料理はたっぷり用意してますからねぇ~」
ドンヨリ…
婦人「…………!」
婦人(どの料理も、なんて毒々しい色をしているの……!?)
婦人(まるで童話に出てくる“魔女の料理”のようだわ……。食べて大丈夫なのかしら……)
20 = 9 :
キヒヒ
21 = 1 :
婦人「――あら、おいしい!」
男「でしょう? 家内の料理は見た目はともかく、味はいいんですよ~」
嫁「失礼ねぇ。見た目もいいってば!」
アハハハ… ウフフフ… キヒヒヒ…
男(さて、そろそろ……)
嫁(あたしが料理に混ぜた“毒”が効いてくるはず……)
婦人「あら……? なんだか、トロ~ンとしてきたわ……」
22 = 12 :
幻覚か彼の世で会わせるか
23 = 1 :
婦人「……あら?」ボンヤリ…
旦那『やぁ』
婦人「あ、あなた! どうして!?」
旦那『突然逝ってしまって、すまなかった……』
旦那『どうしても君にちゃんと別れをいいたくて、少しだけ戻ってきてしまった』
婦人「ありがとう、会えて嬉しいわ……」
旦那『僕は君と出会えて、息子を授かって、本当に幸せだった』
旦那『しかし、あんな突然別れることになってしまって、本当にすまない』
婦人「私こそ、あなたを看取ることができずに、ごめんなさい……」
24 :
殺し屋SSの作者か
25 = 1 :
旦那『だけど僕は、ずっとこちらから見守っているよ』
旦那『だから……どうか君も新しい人生を歩んでほしい』
旦那『まだ幼い息子を頼む……』
婦人「分かったわ、あなた!」
男「…………」
男(ずっと幻を見せていると、心身に害が出るし、戻ってこれなくなってしまう)
男(そろそろ解毒作用のあるパウダーを……)サラサラ…
26 :
思ってたより面白い
27 = 1 :
婦人「!」ハッ
男「どうかされましたか?」
婦人「あ、いえ……今ほんの少し、亡くなった主人に出会えたもので……」
婦人「って、いきなり変なことを……すみません」
男「もしかしたら、旦那さんがほんの少しだけ降りてこられたのかもしれませんね」
婦人「はい……」
28 = 1 :
婦人「今日はどうもありがとうございました」
嫁「キヒヒ、またいらしてね~」
男「…………」
嫁「…………」
男「これで奥さん、少しは元気を取り戻してくれるといいけど」
嫁「キヒヒ、大丈夫よ。きっと立ち直ってくれるわ」
男「それにしても、ぼんやりとご主人の幻影を見せるぐらいの毒だったのに」
男「ずいぶん具体的に話をしていたな」
嫁「そこはきっと、愛のなせるワザってやつじゃなぁい?」
『ありがとうございました……』
男&嫁「!?」
29 :
暗殺者夫婦のSS書いてた人?
30 = 1 :
嫁「い、い、今、旦那さんの声、聞こえなかった!?」
男「ああ、今のはたしかに……亡くなった旦那さんだった」
嫁「ど、ど、ど、どうして!?」
男「もしかして、幻覚作用を利用して、本当に降りてきて奥さんと話してたのかも……」
嫁「キヒーッ!!!」
おわり
31 = 9 :
いい嫁じゃないか
32 :
完成度高いな
連載いけるはコレは
33 = 1 :
第二話『TVゲーム風毒』
ズガガーンッ ドゴーンッ ズガガガガッ
父「おい、いい加減ゲームやめろ! いったい何時間やってるんだ!」
オタク「うるさいな……」
オタク「ボクは今、ゲームキャラになってるんだ! ジャマしないでくれよ!」
オタク「おっ、ボスが出てきた! よ~し、超必殺奥義で……」
父「~~~~!」
父(何とかしないと……)
34 = 1 :
― 自宅 ―
父「……というわけなのです」
嫁「ゲーム中毒ってやつね?」
父「毒師であるあなたに、何か息子に喝を入れるような毒を作ってもらえないかと……」
嫁「うーん……毒殺しちゃった方が早いんじゃない?」
父「いやいやいや! 仮にも息子ですし、さすがにそれは……」
嫁「冗談よぉ、冗談」
35 = 1 :
嫁「ふんふ~ん」ゴリゴリ…
男「毒師としての依頼があったようだけど、何を調合してるんだ?」
嫁「うーんとねぇ……“ゲームキャラの気分を味わえる毒”ってとこかしら?」
男「ゲームキャラの気分を味わえる……毒?」
嫁「そ、今度の相手はゲーム好きらしいから」
嫁「あ、そうだ。明日はあなた休日でしょ? 一緒に行かない?」
男「かまわないけど……」
36 = 1 :
翌日――
― 依頼人の家 ―
オタク「いけっ! いけいけっ!」カチッカチカチッ
男(一心不乱にゲームやってる……こっちを見もしない。すごい集中力ではあるけど)
嫁「ねえ……君」
オタク「なんだよ? 今いいとこなのに!」
嫁「お父さんに聞いたけど、あなたは自分がゲームキャラになったつもりで、ゲームやってるんでしょ?」
オタク「ああ、そうさ! その方が調子いいからね!」
嫁「だったら、これ……飲んでみない?」スッ
オタク「あっ、まるでゲームに出てくる回復薬みたいなボトルじゃないか!」
嫁「そうよぉ、気分出るでしょ~?」
37 = 1 :
オタク「ちょうどノド渇いてたんだ!」
オタク「ありがたくいただくよ!」グビグビ
嫁「…………」キヒィ…
男(飲んだ……!)
男(しかし、“ゲームキャラの気分を味わえる毒”っていったいどんな毒なんだ?)
38 = 1 :
オタク「ちょっとトイレに行こうかな。よっと――」
オタク「!?」ズキッ
オタク「い、痛い!? なんだ今の!?」
オタク「トイレへ――」スタスタ
オタク「!?」ズキズキッ
オタク(どうなってんだ!? 一歩歩くごとに、鋭い痛みが!)
嫁「……キヒヒ」
オタク「あっ、お前! さてはなんか変なもの飲ませたなぁ!」
嫁「そうよぉ~、名づけて“TVゲーム風毒”!」
オタク「なんだよそれ!?」
嫁「そのまんまの意味よ」
39 = 1 :
嫁「ゲームの毒って、一歩歩くごとにダメージがあるでしょ?」
嫁「あれを再現したのよぉ」
オタク「ぐあっ!」ズキッ
嫁「安心して、痛いだけで体に全然害はないから……」キヒヒッ
オタク「なんでこんなことを!?」
嫁「だってあんた、ゲームキャラになりたかったんでしょ?」
嫁「嬉しいでしょ? 大好きなゲームキャラの気分を味わえるんだから……」
男(すごい……! こんな毒も作れるのか……!)
40 :
ちょっとこれ飲んでみたい
41 = 1 :
オタク「ふん! なんだ、こんな毒!」
嫁「あら?」
オタク「歩くたびに痛みがくるんだろ? だったら歩かなきゃいい!」
嫁「トイレはどうすんのよ?」
オタク「ペットボトルにでもするさ!」
嫁「残念だけど……」
オタク「!」ズキッ
オタク「なんで!? なんでぇ!? 動いてないじゃん!」
嫁「時間経過……ゲーム風にいうとターン経過でもダメージが来るようになってんのよぉ~」
オタク「ひ、ひいいっ!」
42 :
解毒薬は有料的な?
43 = 1 :
オタク「どうすりゃいいんだ!?」
嫁「解毒薬を飲めば治るわ」
嫁「だけど、解毒薬を作れるのは優秀な薬剤師であるこの人だけ……」
男「え、俺!?」
オタク「飲みたぁい! どうすれば飲ませてくれるの!?」
嫁「ゲームは程々にする、と誓えば飲ませてあげてもいいわ」
オタク「誓う、誓う、誓うからぁぁぁぁぁ!」
嫁「ダ~メ、信用できない」
オタク「う……」
嫁「ま、しばらくはそのままでいることねえ。キヒヒヒヒヒ……」
オタク「うそぉぉぉぉぉ……!」
44 = 1 :
帰り道――
スタスタ…
男「いやー、驚いたよ。あんな毒を作れるなんて。たしかにTVゲーム風の毒だね」
嫁「キヒヒ、すごいでしょ~?」
男「だけど、解毒薬は俺に任せるってのはどういうことだよ」
嫁「だってあなたなら、成分さえ分かれば解毒薬を作れるでしょ?」
男「まあ、そうだけど……」
嫁「それにあたし、解毒剤作りはどうも苦手なのよねぇ……。毒を消すより毒を盛る方が楽しいわ」
男「毒師なのに解毒が苦手なのはどうにかした方がいいと思うよ……」
嫁「は~い」
45 = 1 :
一ヶ月後――
― 自宅 ―
父「本当にありがとうございました!」
父「おかげで息子は、すっかり心を入れ替えまして……」
父「ゲームはほとんどやらなくなり、毎日運動をしたり、アルバイトまで始めて……」
嫁「そうですかぁ~」
男「あの毒……効果テキメンだったみたいだね」
嫁「じゃあ、そろそろ解毒してあげましょっか」
男「うん、解毒薬は作ってあるよ」
46 = 1 :
― 依頼人の家 ―
オタク「いやぁ~、ありがとうございます!」
オタク「この痛みがすっかり快感になっちゃって、今ではウォーキングが趣味になってますよ!」
オタク「そしたらみるみる体も痩せて……」スラッ
オタク「!」ズキッ
オタク「あぁんっ! 動くたび、襲いくる、この痛み、たまらんっ! 癖になるっ!」ビクビクッ
男「…………」
嫁「…………」
男「……どうする?」
嫁「う~ん……もう少しこのままにしといた方がいいかもね」
おわり
47 :
スレタイがピーク
48 = 12 :
解毒しなくても大丈夫なのか
49 = 1 :
第三話『かゆいところに手が届く毒』
― 自宅 ―
男「う~……かゆいかゆい。肌が弱いからか、しょっちゅうかゆくなる……」
男「あのさー」
嫁「なに?」
男「ちょっと背中かいてくれない?」
嫁「またぁ~? 自分でかけばいいのに」
男「俺はこの通り、体がかたいからさ……」ググッ
嫁「運動不足よォ。薬の開発もいいけど、たまには運動もしないとね」ポリポリ
男「あ~……気持ちいい!」
嫁(もう、いつもいつもあたしにかかせて……面倒ねえ)
50 = 1 :
嫁「よーし……」ゴリゴリ…
男「なに作ってるの?」
嫁「あなたのための“毒”よ」ゴリゴリ…
男「俺のための毒?」
嫁「よぉし、できた!」
みんなの評価 : ○
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