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    元スレ魔女「あなたも独りなの?」少年「…………」

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    51 = 1 :

    女>2「最後の頼みの綱を失って、とうとうアイツは壊れた。あの事件以来アイツは森の奥に引きこもって、人間どころか儂ら魔女とも滅多に関わろうとしない」

    女>2「だから驚いた。まさかアイツがお前のような人間を召抱えるとはな」

    少年「……俺は人間じゃないさ」

    女>2や「なに?」

    少年「バケモノだからな……」

    女>2「フン……」

    52 = 1 :

    女>2「見送りはここまででいいぞ。あとは魔法を使えば一瞬で帰れる」

    少年「ん、ああ」

    女>2「童」

    少年「……?」

    女>2「アイツを頼むぞ」ドロン

    少年「なっ……」

    少年(…………)

    53 :

    すき

    54 :



    【数年後】

    青年「てやぁぁぁぁ」カチャ

    「はいはい、暴れないの」ヒュッ

    青年「クソ…… いつになったらお前を殺せるんだ……」

    55 = 54 :

    「ふふ。随分強くなったじゃない。体もこんなに大きくなっちゃって」

    青年「おかげさまでな」

    「まあ、まだまだだけどね。私を見下ろすくらい大きくなったのに、ねぼすけは相変わらずだし……」

    青年「ほっとけ!」

    「ふふっ……」

    56 :

    >>1は女?

    57 = 54 :

    青年(こいつと暮らすうちに、気づけばいつも乗せられて飯を食わされたり、鍛えられたりしていた)

    青年(そうして気づけば、初めてここに来てからもう何年も経っている)

    青年(俺は一体何をしてるんだ……)

    青年(まあどうせ村に戻ったところで俺の居場所なんて……)

    58 = 54 :

    「それにしても、やっぱり人間ってすぐ成長しちゃうのね」

    青年「ああ?」

    「私はこの姿になるまでもっとたくさん時間がかかったわよ。それにもうこれ以上は歳もとらないし死にもしないわ」

    青年「不死の呪いってやつか?」

    「ええ。魔女には生まれつき不死の呪いがかけられてる」

    59 = 54 :

    青年「何が呪いだ。死なないなんていいことだらけじゃないか」

    「そうかしら…… 私はあなたと一緒に歳をとって、死にたかったわ……」

    青年「なぜだ? 死なないならなんだってできる。なんなら俺にその呪いをかけて欲しいくらいだ」

    「駄目よ。そんなの辛いもの……」

    青年「辛い?」

    「そうよ。だって寂しいじゃない。あなたも仲良くなった森の動物たちも、みんな私だけを置いてすぐに死んでいっちゃう。そんな辛い思いするのは私たちだけで十分よ」

    60 = 54 :

    青年「……フンッ。安心しろ。お前はすぐに俺が殺してやるよ」

    「あら、それは頼もしい。じゃあ頑張ってもっと強くなってね」

    青年「くっ……」

    61 = 54 :

    「ふふ。じゃあそんなあなたにお使いでも頼もうかな」

    青年「お使いだと……また俺を馬鹿にして――」

    「もう一人でお使いくらいできると思ったんだけど…… あなたにはまだ早かったかしら?」ニヤッ

    青年「チッ…… わかったよ。早く言え。何を買って来るんだ?」

    (本当この子は変わらないわね。可愛い……)

    62 = 54 :

    「じゃあ街に行ってこれとこれ買ってきてちょうだい。歩いて行くことになるけど大丈夫?」

    青年「当たり前だ! すぐ戻ってきて殺してやるよ」

    「ふふ、楽しみね。行ってらっしゃい」

    (バイバイ……)

    63 = 54 :



    【数日後 街】

    青年「ふぅ…… やっと着いた」

    青年(やっぱり魔法を使わないと結構遠いんだな)

    青年(えっと…… 店は……)

    女>2「おい!」

    青年「え……」

    女>2「やっと見つけたぞ。何をしてるんだ!?」

    青年「何って買い物に……あんたこそどうして?」

    64 = 54 :

    女>2「やはり知らんのか……」

    青年「知らないって、何を?」

    女>2「アイツが……緋色が勇者に倒された……」

    青年「!?」

    65 = 54 :



    【魔女の家】

    「…………」

    青年「なんだこれ……眠ってるのか?」

    女>2「ああ。魔女は不死だ。だから勇者は呪いの剣を使って呪いで倒したんだろう」

    青年「呪い?」

    女>2「眠りの呪いだ。おそらく緋色は千年はこのまま眠ったままだろうな」

    66 = 54 :

    青年「千年……! その呪いを解く方法はないのか!」

    女>2「わからん。先刻から目覚めの魔法を試してはいるが一向に目を覚ます気配がない…… 呪いをかけた勇者ならあるいは……」

    青年「そんな……」

    女>2「近頃人間どもが、魔女狩りに精力的だという噂はあった。だから儂たちも身を潜めていたのだが…… おそらく村のやつらが緋色の討伐を勇者に依頼して、それを察知した緋色は、お前を遠ざけるために街へ使いに出したのだろう…….」

    67 :

    続けて

    68 = 54 :

    青年「クソ……!」

    女>2「おい! どこに行く?」

    青年「勇者のところだ」

    女>2「待て! お前じゃ勇者には……」

    青年「そんなこと知るかよ! このまま千年眠ったままなんて、絶対に認めねぇ! それに……アイツを倒すのは俺の役目だ。それを勇者なんかにとられてたまるかよ!」バタン

    69 :

    普通に面白かったはよしろカス

    70 = 54 :



    【村】

    村人A「いや~ 勇者様、お見それいたしました」

    村人B「まさかあの魔女を倒してしまわれるとは。いやはや流石でございます」

    勇者「なに、なんてことはない。悪は滅びるそれだけのことだ」

    村人A「これはこれは。流石勇者様。あっぱれでございますな」

    村人B「あっはっは」

    71 = 56 :

    いいね

    72 = 54 :

    青年「おい!」

    勇者「ん? なんだ貴様。随分怪しい風体だな。そのフードをとるのだ」

    青年「……うして」

    勇者「おい、人の話を聞いて――」

    青年「……どうして、どうしてアイツを傷つけた!」

    勇者「なんのことだ?」

    73 = 54 :

    青年「魔女だ。森の奥の緋色の魔女のことだ! どうして……どうしてアイツを……」

    勇者「フッ。何かと思えば。悪事を働くものを成敗するのは勇者として当然のこと。貴様こそ何を言ってい――」

    青年「……見たのか?」

    勇者「ん?」

    青年「アイツが……魔女が悪さをしているところを見たのかと聞いているんだ」

    74 = 54 :

    村人A「何を言っているんだお前。あの魔女は昔から悪い奴だと言い伝えられて……」

    青年「だから! それを実際に見たことがあるのかと聞いているんだ!」

    村人B「そんなの見なくたって分かるさ。魔女なんて悪い奴にきまっているんだ!」

    青年「お前に……お前にアイツの何が分かる!」

    村人AB「ひっ……」ビクッ 

    75 = 54 :

    青年「この村がどうして魔獣に襲われないか知っているか? どうしてこの村の人間が魔獣に襲われないか知っているのか?」

    勇者「落ち着け。貴様何を言っているんだ」

    青年「この村が魔獣に襲われないように……魔法を使って守っているのが……自分を傷つけた人間を誰よりも憎んでいるはずなのに、それなのに長い間ずっと人間を守り続けているのが……それが誰なのか知っているのか!」

    青年「そんな優しい魔女がいるって誰か知っているのか! 人間にたくさん傷つけられて、迫害されて、それでも人間を愛することを辞めない魔女がいることを、誰か知っているのか!」

    青年「どうして……どうしてアイツばっかりこんな目に…… どうして!!!」バサッ

    76 = 54 :

    勇者「貴様……その緋色の目。もしや魔女のしもべか」

    村人A「……! アイツは鬼の子!」

    村人B「勇者様。アイツは数年前に姿を消した鬼の子でございます。どこかでくたばったとばかり考えていましたが、まさか魔女のしもべになっていようとは……」

    勇者「ふむ……」

    77 = 54 :

    村人A「アイツは化け物だ、人間じゃない! 直ちに退治を!」

    青年「……!」ピクッ

    青年「……人間? ……人間だって? じゃあ、お前らの言う人間ってなんだ?」ゴゴッ

    青年「徒党を組むことか? 徒党を組んで本当は弱くて……優しい魔女を……傷つけることか? それが人間なのか!」ゴゴゴ

    78 :

    続けて

    79 = 54 :

    村人A「ひっ…… 化け物……」ガクガク

    勇者「くっ、貴様。その禍々しいオーラ。ついに本性を現したな。この勇者アロガンス3世が退治してくれよう」

    青年「来いよ……お前ら全員……ぶっ殺してやる!」ゴゴゴ

    勇者「覚悟! たぁぁぁっ!」

    80 = 54 :



    村人A「…………」ピクピク

    村人B「…………」ピクピク

    勇者(くっ…… なんなんだこいつ…… 強すぎる……)

    81 = 15 :

    勇者弱すぎ

    82 = 54 :

    青年「……教……ろ」ハァハァ

    勇者「……?」

    青年「呪いの解き方だ! アイツにかけた呪いの解き方を教えろ!」

    勇者「ハッ。そんなものはないさ。一度かかった呪いが解けるのは、時間の経過でだけだ。千年後まであの魔女は眠ったままさ」

    青年「……ッ、クソ!」ガンッ

    83 :

    twitter魔女ハッシュのパクリやんけ

    84 = 54 :

    勇者「残念だったな」フッ

    青年「……!」ギロッ

    勇者「……ッ」ビクッ

    青年「…………」

    85 = 54 :

    青年「……失せろ!」

    勇者「……えっ?」

    青年「そいつらを連れて、さっさと俺の前から失せろと言っているんだ!」

    勇者「……! チッ……」スタコラサッサ-

    86 = 25 :

    ただのクズ勇者だった

    87 = 54 :

    青年(…………)

    青年(やっぱり俺は……)

    青年「化け物なのか……」

    88 = 54 :



    【魔女の家】

    女>2「おい、お前……その血……何があった?」

    青年「なあ、人間ってなんなんだ?」

    女>2「……ッ」

    青年「昔アイツが言ってたんだ。人間は愚かで哀れで醜くて、それでも……それでも美しいと」

    青年「本当なのか? 人間は美しいのか? アイツらは……人間たちはあんなに優しい魔女を……そんな奴らが本当に美しいのか……?」

    89 = 54 :

    青年「俺は殺せなかった……人間達が憎くて憎くて仕方ないのに……アイツを傷つけた人間達が憎いのに……それなのに……何をされても人間を愛し続けたアイツのことを思い出したら、殺せなかった……」

    青年「なあ、俺は人間なのか? それとも化け物なのか? どっちつかずの俺は……なんなんだ……」

    青年「人間の輪にも入れない。アイツを助けられもしない……そんな俺はなんなんだ……生きてる価値なんて……」

    90 = 54 :

    女>2「いいんだよ……お前はそれで……そんなお前を、そんな優しいお前を緋色は愛したんだ……」

    青年「…………」

    青年「うっ……なんで……なんでこんな出来損ないの弟子を……」

    女>2「…………」

    91 :

    早くしろ間に合わなくなっても知らんぞ

    92 = 54 :



    青年「なあ、俺に魔法をかけてくれ」

    女>2「魔法……だと?」

    青年「ああ。不死の魔法。いや呪いか。それを俺にかけてくれ」

    女>2「なっ…… まさかお前、緋色が目覚めるのを待つつもりか?」

    青年「俺はまだあの人にもらった恩を何一つ返せちゃいない。それを返せる日が来るまで俺は待ち続ける」

    93 = 56 :

    あげ

    95 = 54 :

    女>2「千年だぞ? お前が今まで生きてきた何十倍もの時間だ。それを一人で過ごすつもりか?」

    青年「いいさ。いつ魔獣や盗賊にこの屋敷が襲われるかわからないからな。あの人を置いて、ここを離れるわけにはいかない……」

    女>2「それがどれほどの覚悟がいることか……わかっているのか?」

    青年「それであの人にもう一度会えるなら、あの人の笑顔を見ることができるなら、そのためなら俺はどうなろうと構わない……!」

    96 = 54 :

    女>2「……わかった。後悔……するなよ?」

    青年「…………」コクッ

    女>2「緋色は幸せ者だな…… お前のような弟子を持てて…… 」

    女>2「いくぞ?」

    女>2「ハァァァァッ」キラ-ン

    97 :

    ありがちだけどヒロイン一人物だと好きな構造だわ

    99 = 78 :

    キラ-ンが間抜けだな

    100 = 54 :



    千年。
    それはどれほどの時間なのだろう。
    村は街となり、滅び、そしてまた新たな村が起こり、街となる。それが幾度となく繰り返される中、青年は一人生きた。
    気の遠くなるほどの永い時間を独り。


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