元スレ魔女「あなたも独りなの?」少年「…………」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ○
1 :
【森の奥】
少年「お前が緋色の魔女か?」
魔女「そうよ。あなたは?」
少年「お前を殺しにきたッ」カチャ
魔女「ふぅん。……でも、まだまだね。」スッ
少年「なっ……ク……ソ……」バタン
2 :
ほう
3 = 1 :
魔女(気を失っちゃった…… こんな棒切れで私を倒そうなんて……」
魔女(人間のくせにボロ雑巾みたいな格好ね……)
魔女(どれ、ここに置いて帰るとしましょ――なにこの傷……)
魔女(こんな小さい子になんでこんな傷が……)
魔女(仕方ないわね……)
4 = 1 :
*
【魔女の家】
少年「……!? ここは……?」
魔女「気づいた? 私の家よ」
少年「なっ!? 今すぐ殺してや――ウッ……」
魔女「痛むの? なにその傷? 私はあなたに傷がつくようなことはしてないはずなんだけど……」
5 = 1 :
少年「黙れ! 殺して――」ピキッ
少年(なんだこれは?……身体が動かない……)
魔女「金縛りの術よ。大人しくしてなさい」
少年「くっ……」
魔女「それでなんなの?、その傷は?」
少年「…………」
6 = 1 :
魔女「まあいいわ。傷が治るまでは大人しくしててよ」ガチャ
少年「……どこに行くんだ?」
魔女「薬草を採りに行くの。私、回復魔法は使えないから」バタン
少年「……!」
少年(…………)
7 = 1 :
*
【森】
魔女「ええと…… これと、これと、これか。まったく、人間の薬なんて普段は作らないからよくわからないわね」
魔女(それにしてもあの傷。魔獣の牙や爪につけられたような傷じゃなかった)
魔女(だとしたら……)
魔女「だから嫌なのよ。人間は」
8 = 1 :
*
【魔女の家】
魔女「大人しくしてたかしら?」バタン
少年「……! 金縛りの術をかけたのはお前だろ」
魔女「あら、解くのをすっかり忘れてた。それは悪い事をしたねぇ」ニヤッ
少年「わざとだろ」
魔女「ふふっ……」グツグツ
9 :
なに?Twitterのタグに触発されたの?
10 = 1 :
少年「何してるんだ?」
魔女「薬草を煮てるのよ。回復魔法は使えなくても、薬なら作れるから」
魔女「これを布にひたしてっと。できたよ。ほら、塗りなさい」
少年「…………」
12 :
続けてよいぞ、特に許す
13 = 1 :
魔女「あら、自分で塗れないの?」ニヤニヤ
少年「だから金縛――」
魔女「仕方ない。私が塗ってあげるわ」
少年「なっ…… 辞めろ!」
魔女「ふふっ」カチャ
少年「くっ……」
14 = 1 :
魔女「……それにしても本当にひどい傷だねぇ。誰がこんな……」
少年「…………」
少年「……目」
魔女「目?」
少年「俺の目。真っ赤だろ。だからみんなが人間じゃないって……」
17 = 1 :
魔女「その傷、村の人間たちにやられたの……?」
少年「ああ。鬼の子だって。バケモノだって。俺、母さんも父さんもいないんだ。生まれた時からずっと独りで……」
魔女(忌み子…… これだから人間は……)
少年「森の奥に悪い魔女が住んでるってみんな言ってて…… だから……だから、そいつを殺して、俺も人間だって村のやつらに認めさせようと……」
魔女「それで、ここまで来たと……」
少年「そうだ。だから絶対にお前を……」
18 :
>>16
やめい
19 = 1 :
魔女(独りねぇ……)
魔女「なるほどね」ナデナデ
少年「なっ…… 辞めろ!」
魔女「とにかく傷が治るまでは大人しくしてなさい。私を殺したかったからまずはその傷を治さないと駄目よ」
少年「くっ……」
20 :
>>15
魔女集会で会いましょう
21 = 1 :
*
【翌朝 魔女の家】
魔女「ほら、起きなさい。ねぼすけ」カ-ン
少年「……! な、何すんだ!」
魔女「大人しくしてなさいとは言ったけど、ここにいる以上少しは働いてもらわないと。ほら、早く起きて」
少年「や、辞め――」
23 = 1 :
魔女「はい、まずは朝ごはんよ。食べなさい」
少年「なっ…… 誰が魔女の作った飯なんか食べるか!」
魔女「もう…… 駄目よ、わがまま言っちゃ」
少年「くらえっ」ヒュン
魔女「あら、フォークは投げるものじゃないのよ、お行儀悪い。それにこんなもので私を殺せるわけないでしょ」
少年「クソ……」
24 = 1 :
魔女(まったく……)
魔女「あー、私、食料がなくなったら死んじゃうかもなー。全部食べ尽くされちゃったらどうしましょ……」
少年「……!」
少年「俺が食ってやる!」ガツガツ
魔女「ふふ……」
魔女(馬鹿な子…… 可愛いわね)
25 :
実年齢が高くても見た目が若ければ
26 = 1 :
*
【昼】
魔女「ほら、行くわよ」
少年「お前の言うことなんか聞か―― うわっ、なんだこれ!」
魔女「マリオネットの術よ」フフフ
少年「クソ! 辞めろ、離せ!」
魔女「ほら、早くしなさい」
27 = 1 :
*
【森の奥】
少年「なんだよ、これ!」
魔女「薬の材料よ。この森には魔獣に襲われる動物がたくさんいるからね。その子たちのための薬。ほら、早くあなたも探してきて」
少年「なんで俺がそんなこと!」
魔女「私には不死の呪いがかかってるけど、もしあなたに魔法の知識がついたら、それも解かれちゃうかも……」
少年「クソ…… 探してくる!」
魔女「ふふ……」
28 = 1 :
少年(絶対隙を見て殺してやる)
魔女「あったー?」
少年「おらぁぁぁ」ガチャン
魔女「あらあら、傷が治るまでは大人しくしなさいって言ってるのに……」パチン
少年「クソ、離せ!」
29 = 1 :
*
【夕方 魔女の家】
魔女「じゃあお風呂入りましょ」
少年「……!」
魔女「ほら、早く脱いで」
少年「一人でできる!」
魔女「駄目よ、怪我してるんだから」
30 :
なんやこの糞
気持ち悪い…
32 = 1 :
少年「くそ、辞めろ、辞めろって!」
魔女「言うこと聞かないと魔法かけるわよ?」キラ-ン
少年「うわぁぁ」
魔女「あなた魔法が効きやすいみたいね。ほら早く入って」
33 = 1 :
魔女「染みる?」ゴシゴシ
少年「別に!」ウッ
魔女「強がっちゃって。ほんと可愛いわね」
少年「黙れ!」
魔女(それにしても本当にひどい傷……)
35 = 1 :
*
【夜】
少年「…………」スヤスヤ
魔女「寝てるときは大人しいのよね……」
魔女「緋色の目…… 独り…… 私と一緒か……」
36 = 1 :
*
【数日後】
少年「くらえっ」
魔女「はいはい。すっかり元気ね」
少年「クソ! 絶対倒す!」
魔女「そう。楽しみ」
少年「くっ……」
38 = 1 :
魔女「じゃあ出かけましょうか」
少年「またか?」
魔女「今日は街に行くのよ」
少年「街?」
魔女「ええ。山を二つ越えた先にあるのよ。結構遠いけど魔法を使えばすぐよ。街で買いたいものがあるの。それに街ならあなたのことを知っている人もいないわ」
39 = 1 :
少年「……なあ?」
魔女「何?」
少年「お前、悪い事しないのか?」
魔女「なにそれ?」クスッ
40 = 1 :
少年「だってお前悪い魔女だって、村のやつらが…… それなのに悪い事なにもしないから……」
魔女「そんなの村の人間達が勝手に言ってるだけでしょ。私には関係ないわ」
少年「……!」
魔女「ほらそんなことより、早く行きましょ」
少年「……ああ」
41 = 1 :
*
【数日後】
魔女>2「邪魔するぞ」
少年「なっ、誰だ! お前」
魔女>2「ほぉ…… これが件の小童か」
魔女「あら、いらっしゃい。久しぶりね」
42 = 1 :
魔女>2「フン。お前が人間の童を召抱えたと聞いてな、見にきたんだが……」
少年「お前も悪い魔女なのか。まとめて殺してやる!」
魔女>2「随分な暴れ馬のようだな」
魔女「うふふ~ 可愛いでしょ」
43 = 1 :
魔女>2「人間を召抱えるなど……お前まさかあの事を忘れたんじゃないだろうな?」
魔女「…………」
魔女「まあいいじゃない。それよりちょうどご飯の時間なの。あなたも食べていってちょうだい」
魔女>2「ああ……」
44 :
好き
45 = 1 :
*
【夜】
魔女>2「じゃあお暇させてもらおう」
魔女「あら、もう帰るの? 君、悪いんだけどお見送りしてあげて」
少年「……!」
魔女>2「いらん、儂を誰だと思って……」
少年「……わかった」
魔女>2「なっ……」
魔女「いいから、ほら。またね」
46 = 1 :
*
【道】
魔女>2「童、どういうつもりだ? 素直について来るとは」
少年「聞きたいことがあるんだ」
魔女>2「ほぉ」
47 = 1 :
少年「どうして悪いことしないんだ?」
魔女>2「ハッ。なんだそれは?」
少年「魔女は悪い事をする奴らってみんな言ってたのに、それなのにアイツもアンタも何もしない。何故だ?」
魔女>2「くだらんな。そんなのは人間どもが勝手に言っているだけだ。中にはそういう魔女もいるかもしれんが、少なくとも儂たちは人間に危害を加えたことなど一度もない」
少年「……!」
魔女>2「童。お前村のやつらに迫害されてたそうだな。儂たちもそうさ。少し違うだけで人間たちはなにもしてない儂たちを魔女と呼び、攻撃するんだ」
48 = 1 :
魔女>2「なあ、お前は獅子と山羊どちらが強いと思う?」」
少年「はぁ? そんなの獅子に決まって……」
魔女>2「違うんだよ。本当に強いのは獅子じゃない。本当に怖いのは特別な力を持ったものじゃないんだ。本当怖いのはいつだって数だけ多くて声の大きい、力を持たない奴らだ」
少年「……どういう事だよ?」
魔女>2「言葉の通りさ。特別な力なんてなんの意味もない。特別な力を持った少数は、なんの力も持たない多数によって迫害されて殺されるんだ。力がないから殺されるんじゃない。数が少ないから殺されるんだ」
49 = 1 :
魔女>2「魔女も同じさ。どれだけ特別な力を持とうと数の前には無力だ。人間は力を持った私たちを恐れ、そして攻撃した」
魔女>2「だから儂たちは隠れて、できるだけ人間と関わらないように生きた。儂たちが、魔女が生きていくにはそれしかなかった」
魔女>2「それなのにアイツは人間を信じる事を辞められなかったんだ」
少年「アイツって……?」
魔女>2「ああ。お前のよく知る魔女さ」
50 = 1 :
魔女>2「アイツは優しい。だが儂たち魔女が生きるのにそれは仇となる。どれだけ酷い目にあっても、どれだけ儂らが止めても、それでもアイツは人間を信じることを辞めなかった。魔女と人間が分かり合えると本気で信じていたんだ」
魔女>2「昔アイツには人間の友がいた。他の誰に裏切られても、そいつだけは裏切らないと信じていたんだ」
魔女>2「だが所詮そんなものはまやかしだ。そいつは自分の立場が危うくなると、すぐにアイツを贄に差し出したよ。結局魔女と人間が分かり合えるわけがなかったってことだ」
みんなの評価 : ○
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