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    元スレ魔女「あなたも独りなの?」少年「…………」

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    1 :

    【森の奥】
    少年「お前が緋色の魔女か?」

    「そうよ。あなたは?」

    少年「お前を殺しにきたッ」カチャ

    「ふぅん。……でも、まだまだね。」スッ

    少年「なっ……ク……ソ……」バタン 

    2 :

    ほう

    3 = 1 :

    (気を失っちゃった…… こんな棒切れで私を倒そうなんて……」

    (人間のくせにボロ雑巾みたいな格好ね……)

    (どれ、ここに置いて帰るとしましょ――なにこの傷……)

    (こんな小さい子になんでこんな傷が……)

    (仕方ないわね……)

    4 = 1 :



    【魔女の家】
    少年「……!? ここは……?」

    「気づいた? 私の家よ」

    少年「なっ!? 今すぐ殺してや――ウッ……」

    「痛むの? なにその傷? 私はあなたに傷がつくようなことはしてないはずなんだけど……」

    5 = 1 :

    少年「黙れ! 殺して――」ピキッ

    少年(なんだこれは?……身体が動かない……)

    「金縛りの術よ。大人しくしてなさい」

    少年「くっ……」

    「それでなんなの?、その傷は?」

    少年「…………」

    6 = 1 :

    「まあいいわ。傷が治るまでは大人しくしててよ」ガチャ

    少年「……どこに行くんだ?」

    「薬草を採りに行くの。私、回復魔法は使えないから」バタン

    少年「……!」 

    少年(…………)

    7 = 1 :



    【森】

    「ええと…… これと、これと、これか。まったく、人間の薬なんて普段は作らないからよくわからないわね」

    (それにしてもあの傷。魔獣の牙や爪につけられたような傷じゃなかった)

    (だとしたら……)

    「だから嫌なのよ。人間は」

    8 = 1 :



    【魔女の家】

    「大人しくしてたかしら?」バタン

    少年「……! 金縛りの術をかけたのはお前だろ」

    「あら、解くのをすっかり忘れてた。それは悪い事をしたねぇ」ニヤッ

    少年「わざとだろ」

    「ふふっ……」グツグツ

    9 :

    なに?Twitterのタグに触発されたの?

    10 = 1 :

    少年「何してるんだ?」

    「薬草を煮てるのよ。回復魔法は使えなくても、薬なら作れるから」

    「これを布にひたしてっと。できたよ。ほら、塗りなさい」

    少年「…………」

    12 :

    続けてよいぞ、特に許す

    13 = 1 :

    「あら、自分で塗れないの?」ニヤニヤ

    少年「だから金縛――」

    「仕方ない。私が塗ってあげるわ」

    少年「なっ…… 辞めろ!」

    「ふふっ」カチャ

    少年「くっ……」

    14 = 1 :

    「……それにしても本当にひどい傷だねぇ。誰がこんな……」

    少年「…………」

    少年「……目」

    「目?」

    少年「俺の目。真っ赤だろ。だからみんなが人間じゃないって……」

    17 = 1 :

    「その傷、村の人間たちにやられたの……?」

    少年「ああ。鬼の子だって。バケモノだって。俺、母さんも父さんもいないんだ。生まれた時からずっと独りで……」

    (忌み子…… これだから人間は……)

    少年「森の奥に悪い魔女が住んでるってみんな言ってて…… だから……だから、そいつを殺して、俺も人間だって村のやつらに認めさせようと……」

    「それで、ここまで来たと……」

    少年「そうだ。だから絶対にお前を……」

    18 :

    >>16
    やめい

    19 = 1 :

    (独りねぇ……)

    「なるほどね」ナデナデ

    少年「なっ…… 辞めろ!」

    「とにかく傷が治るまでは大人しくしてなさい。私を殺したかったからまずはその傷を治さないと駄目よ」

    少年「くっ……」

    20 :

    >>15
    魔女集会で会いましょう

    21 = 1 :



    【翌朝 魔女の家】

    「ほら、起きなさい。ねぼすけ」カ-ン

    少年「……! な、何すんだ!」

    「大人しくしてなさいとは言ったけど、ここにいる以上少しは働いてもらわないと。ほら、早く起きて」

    少年「や、辞め――」

    22 :

    クルタ族!?

    23 = 1 :

    「はい、まずは朝ごはんよ。食べなさい」

    少年「なっ…… 誰が魔女の作った飯なんか食べるか!」

    「もう…… 駄目よ、わがまま言っちゃ」

    少年「くらえっ」ヒュン

    「あら、フォークは投げるものじゃないのよ、お行儀悪い。それにこんなもので私を殺せるわけないでしょ」

    少年「クソ……」

    24 = 1 :

    (まったく……)

    「あー、私、食料がなくなったら死んじゃうかもなー。全部食べ尽くされちゃったらどうしましょ……」

    少年「……!」

    少年「俺が食ってやる!」ガツガツ

    「ふふ……」

    (馬鹿な子…… 可愛いわね)

    25 :

    実年齢が高くても見た目が若ければ

    26 = 1 :



    【昼】

    「ほら、行くわよ」

    少年「お前の言うことなんか聞か―― うわっ、なんだこれ!」

    「マリオネットの術よ」フフフ

    少年「クソ! 辞めろ、離せ!」

    「ほら、早くしなさい」

    27 = 1 :



    【森の奥】

    少年「なんだよ、これ!」

    「薬の材料よ。この森には魔獣に襲われる動物がたくさんいるからね。その子たちのための薬。ほら、早くあなたも探してきて」

    少年「なんで俺がそんなこと!」

    「私には不死の呪いがかかってるけど、もしあなたに魔法の知識がついたら、それも解かれちゃうかも……」

    少年「クソ…… 探してくる!」

    「ふふ……」

    28 = 1 :

    少年(絶対隙を見て殺してやる)

    「あったー?」

    少年「おらぁぁぁ」ガチャン

    「あらあら、傷が治るまでは大人しくしなさいって言ってるのに……」パチン

    少年「クソ、離せ!」

    29 = 1 :



    【夕方 魔女の家】

    「じゃあお風呂入りましょ」

    少年「……!」

    「ほら、早く脱いで」

    少年「一人でできる!」

    「駄目よ、怪我してるんだから」

    30 :

    なんやこの糞
    気持ち悪い…

    32 = 1 :

    少年「くそ、辞めろ、辞めろって!」

    「言うこと聞かないと魔法かけるわよ?」キラ-ン

    少年「うわぁぁ」

    「あなた魔法が効きやすいみたいね。ほら早く入って」

    33 = 1 :

    「染みる?」ゴシゴシ

    少年「別に!」ウッ 

    「強がっちゃって。ほんと可愛いわね」

    少年「黙れ!」

    (それにしても本当にひどい傷……)

    35 = 1 :



    【夜】

    少年「…………」スヤスヤ
     
    「寝てるときは大人しいのよね……」

    「緋色の目…… 独り…… 私と一緒か……」

    36 = 1 :



    【数日後】

    少年「くらえっ」

    「はいはい。すっかり元気ね」

    少年「クソ! 絶対倒す!」

    「そう。楽しみ」

    少年「くっ……」

    38 = 1 :

    「じゃあ出かけましょうか」

    少年「またか?」

    「今日は街に行くのよ」

    少年「街?」

    「ええ。山を二つ越えた先にあるのよ。結構遠いけど魔法を使えばすぐよ。街で買いたいものがあるの。それに街ならあなたのことを知っている人もいないわ」

    39 = 1 :

    少年「……なあ?」

    「何?」

    少年「お前、悪い事しないのか?」

    「なにそれ?」クスッ

    40 = 1 :

    少年「だってお前悪い魔女だって、村のやつらが…… それなのに悪い事なにもしないから……」

    「そんなの村の人間達が勝手に言ってるだけでしょ。私には関係ないわ」

    少年「……!」

    「ほらそんなことより、早く行きましょ」

    少年「……ああ」

    41 = 1 :



    【数日後】

    女>2「邪魔するぞ」

    少年「なっ、誰だ! お前」

    女>2「ほぉ…… これが件の小童か」

    「あら、いらっしゃい。久しぶりね」

    42 = 1 :

    女>2「フン。お前が人間の童を召抱えたと聞いてな、見にきたんだが……」

    少年「お前も悪い魔女なのか。まとめて殺してやる!」

    女>2「随分な暴れ馬のようだな」

    「うふふ~ 可愛いでしょ」

    43 = 1 :

    女>2「人間を召抱えるなど……お前まさかあの事を忘れたんじゃないだろうな?」

    「…………」

    「まあいいじゃない。それよりちょうどご飯の時間なの。あなたも食べていってちょうだい」

    女>2「ああ……」

    44 :

    好き

    45 = 1 :



    【夜】

    女>2「じゃあお暇させてもらおう」

    「あら、もう帰るの? 君、悪いんだけどお見送りしてあげて」

    少年「……!」

    女>2「いらん、儂を誰だと思って……」

    少年「……わかった」

    女>2「なっ……」

    「いいから、ほら。またね」

    46 = 1 :



    【道】

    女>2「童、どういうつもりだ? 素直について来るとは」

    少年「聞きたいことがあるんだ」

    女>2「ほぉ」

    47 = 1 :

    少年「どうして悪いことしないんだ?」

    女>2「ハッ。なんだそれは?」

    少年「魔女は悪い事をする奴らってみんな言ってたのに、それなのにアイツもアンタも何もしない。何故だ?」

    女>2「くだらんな。そんなのは人間どもが勝手に言っているだけだ。中にはそういう魔女もいるかもしれんが、少なくとも儂たちは人間に危害を加えたことなど一度もない」

    少年「……!」

    女>2「童。お前村のやつらに迫害されてたそうだな。儂たちもそうさ。少し違うだけで人間たちはなにもしてない儂たちを魔女と呼び、攻撃するんだ」

    48 = 1 :

    女>2「なあ、お前は獅子と山羊どちらが強いと思う?」」

    少年「はぁ? そんなの獅子に決まって……」

    女>2「違うんだよ。本当に強いのは獅子じゃない。本当に怖いのは特別な力を持ったものじゃないんだ。本当怖いのはいつだって数だけ多くて声の大きい、力を持たない奴らだ」

    少年「……どういう事だよ?」

    女>2「言葉の通りさ。特別な力なんてなんの意味もない。特別な力を持った少数は、なんの力も持たない多数によって迫害されて殺されるんだ。力がないから殺されるんじゃない。数が少ないから殺されるんだ」

    49 = 1 :

    女>2「魔女も同じさ。どれだけ特別な力を持とうと数の前には無力だ。人間は力を持った私たちを恐れ、そして攻撃した」

    女>2「だから儂たちは隠れて、できるだけ人間と関わらないように生きた。儂たちが、魔女が生きていくにはそれしかなかった」

    女>2「それなのにアイツは人間を信じる事を辞められなかったんだ」

    少年「アイツって……?」

    女>2「ああ。お前のよく知る魔女さ」

    50 = 1 :

    女>2「アイツは優しい。だが儂たち魔女が生きるのにそれは仇となる。どれだけ酷い目にあっても、どれだけ儂らが止めても、それでもアイツは人間を信じることを辞めなかった。魔女と人間が分かり合えると本気で信じていたんだ」

    女>2「昔アイツには人間の友がいた。他の誰に裏切られても、そいつだけは裏切らないと信じていたんだ」

    女>2「だが所詮そんなものはまやかしだ。そいつは自分の立場が危うくなると、すぐにアイツを贄に差し出したよ。結局魔女と人間が分かり合えるわけがなかったってことだ」


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