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元スレ男「炭酸抜きコーラ屋?」店主「いらっしゃいませ……」
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≪炭酸抜きコーラ≫
男「今日も課長に叱られてばかりだったな……」
男「仕事は人一倍、一生懸命やってるつもりなのに……ん?」
男(こんなところに店が……なになに、≪炭酸抜きコーラ屋≫?)
男(こんなもん商売になるのか? どれ、入ってみるか……)
ギィィ…
男「今日も課長に叱られてばかりだったな……」
男「仕事は人一倍、一生懸命やってるつもりなのに……ん?」
男(こんなところに店が……なになに、≪炭酸抜きコーラ屋≫?)
男(こんなもん商売になるのか? どれ、入ってみるか……)
ギィィ…
―炭酸抜きコーラ屋―
店主「いらっしゃいませ……」
接客娘「空いてるお席へどうぞー!」
男(へえ、中はちょっとしたバーみたいになってるのか……)
男「ここでいいかな」ストッ
店主「……ご注文は?」
男(気が抜けたような喋り方する店主だな)
男「えぇと、炭酸抜きコーラを」
店主「かしこまりました。冷蔵庫からコーラ取ってくれ」
接客娘「はい、マスター!」
男(マスターって大げさな……まるでごっこ遊びだな)
店主「いらっしゃいませ……」
接客娘「空いてるお席へどうぞー!」
男(へえ、中はちょっとしたバーみたいになってるのか……)
男「ここでいいかな」ストッ
店主「……ご注文は?」
男(気が抜けたような喋り方する店主だな)
男「えぇと、炭酸抜きコーラを」
店主「かしこまりました。冷蔵庫からコーラ取ってくれ」
接客娘「はい、マスター!」
男(マスターって大げさな……まるでごっこ遊びだな)
店主「…………」シャカシャカシャカ
男(コーラの入った瓶をシェイクしてる……結構さまになってるな)
男「あのー」
接客娘「はい?」
男「炭酸抜きコーラ屋なんて、本当に商売になるんですか?」
接客娘「なりますよー! マスターの作る炭酸抜きコーラは絶品なんですから!」
男「はぁ……(誰が作っても味なんか変わらんだろ)」
店主「…………」シュワシュワシュワ…
男(うお、すごい泡だ)
トクトクトク…
店主「どうぞ」スッ
男(こうしてグラスに入れて出されると、たしかにかなりうまそうに見えてしまう)
男(コーラの入った瓶をシェイクしてる……結構さまになってるな)
男「あのー」
接客娘「はい?」
男「炭酸抜きコーラ屋なんて、本当に商売になるんですか?」
接客娘「なりますよー! マスターの作る炭酸抜きコーラは絶品なんですから!」
男「はぁ……(誰が作っても味なんか変わらんだろ)」
店主「…………」シュワシュワシュワ…
男(うお、すごい泡だ)
トクトクトク…
店主「どうぞ」スッ
男(こうしてグラスに入れて出されると、たしかにかなりうまそうに見えてしまう)
男「いただきます」ゴクッ
男「おお……うまい! 甘くて、ノドごし滑らかで、普通のコーラとはまた違ったおいしさだ!」
接客娘「でしょう?」
男「炭酸を抜いたコーラがこんなにおいしいものだとは知らなかった……!」
店主「お客さん」
男「は、はい」
店主「あなたは……少し力が入りすぎなんじゃないですか?」
店主「たまには力を抜いた方がいいですよ……このコーラのように」
男「あっ……!」
男「おお……うまい! 甘くて、ノドごし滑らかで、普通のコーラとはまた違ったおいしさだ!」
接客娘「でしょう?」
男「炭酸を抜いたコーラがこんなにおいしいものだとは知らなかった……!」
店主「お客さん」
男「は、はい」
店主「あなたは……少し力が入りすぎなんじゃないですか?」
店主「たまには力を抜いた方がいいですよ……このコーラのように」
男「あっ……!」
ゴキュゴキュゴキュ…
男「ぷはっ、うまかった!」
男「店主さんの言う通りですね! 今までの俺は力が入りすぎてたのかもしれません!」
男「じゃ、これコーラ代」サッ
接客娘「ありがとうございます!」
男「ごちそうさまでした、また来ます!」
接客娘「お待ちしてまーす!」
バタン…
店主「…………」
接客娘「…………」
男「ぷはっ、うまかった!」
男「店主さんの言う通りですね! 今までの俺は力が入りすぎてたのかもしれません!」
男「じゃ、これコーラ代」サッ
接客娘「ありがとうございます!」
男「ごちそうさまでした、また来ます!」
接客娘「お待ちしてまーす!」
バタン…
店主「…………」
接客娘「…………」
接客娘「あの人……“他の品”と必要としてくれなくて残念でしたね」
店主「だが、あの人はきっと常連になる」
店主「そうなれば、いつか必ず来るさ。他の品を欲する時が……この店の本当の姿を知る時が」
接客娘「ふふふ……そうですねえ」
― 終 ―
店主「だが、あの人はきっと常連になる」
店主「そうなれば、いつか必ず来るさ。他の品を欲する時が……この店の本当の姿を知る時が」
接客娘「ふふふ……そうですねえ」
― 終 ―
≪主人公抜き台本≫
―稽古場―
俳優「参ったな……本番まで時間がないってのに、主演のあいつが倒れてしまうとは……」
俳優「誰が代役をやるか、急いで決めないと……」
仲間A「だったら、俺が主演やるよ! やらせてくれ!」
仲間B「いや、このオレが!」
仲間C「ぼくがやる!」
俳優(今度の劇は、大勢の業界人の前で演るから、みんなチャンスをものにしようと殺気立ってる)
俳優(どうすればいいんだ……)
―稽古場―
俳優「参ったな……本番まで時間がないってのに、主演のあいつが倒れてしまうとは……」
俳優「誰が代役をやるか、急いで決めないと……」
仲間A「だったら、俺が主演やるよ! やらせてくれ!」
仲間B「いや、このオレが!」
仲間C「ぼくがやる!」
俳優(今度の劇は、大勢の業界人の前で演るから、みんなチャンスをものにしようと殺気立ってる)
俳優(どうすればいいんだ……)
―炭酸抜きコーラ屋―
店主「いらっしゃいませ……」
接客娘「空いてるお席へどうぞー!」
俳優(劇をどうするか悩んでるうちに、ふらふらと変な店に迷い込んでしまった)
俳優(ま、こういう時こそ甘い物が必要なのかもしれないな)
俳優「じゃあ、炭酸抜きコーラを」
店主「かしこまりました」
シャカシャカシャカ… シュワワワワ…
店主「いらっしゃいませ……」
接客娘「空いてるお席へどうぞー!」
俳優(劇をどうするか悩んでるうちに、ふらふらと変な店に迷い込んでしまった)
俳優(ま、こういう時こそ甘い物が必要なのかもしれないな)
俳優「じゃあ、炭酸抜きコーラを」
店主「かしこまりました」
シャカシャカシャカ… シュワワワワ…
トクトクトク…
店主「……どうぞ」スッ
俳優「…………」ゴクッ
俳優「ほう、うまいもんだなぁ」
店主「ありがとうございます」
店主「ところで……お客さんは演劇かなにかを?」
俳優「! ……よく分かりましたね」
店主「日頃から発声練習をしてるような、よく通った声をしてらっしゃいますから」
接客娘「どこか劇団に所属してらっしゃるんですか?」
俳優「ええ、まあ。小さな劇団ですがね」
店主「……どうぞ」スッ
俳優「…………」ゴクッ
俳優「ほう、うまいもんだなぁ」
店主「ありがとうございます」
店主「ところで……お客さんは演劇かなにかを?」
俳優「! ……よく分かりましたね」
店主「日頃から発声練習をしてるような、よく通った声をしてらっしゃいますから」
接客娘「どこか劇団に所属してらっしゃるんですか?」
俳優「ええ、まあ。小さな劇団ですがね」
俳優「しかし……今、ちょっと揉めていましてね」
接客娘「というと?」
俳優「私たちの劇団に、先日大きなチャンスが舞い込みましてね」
俳優「大勢のドラマや演劇関係の業界人の前で、一つ劇をすることになったんです」
接客娘「すごい! 大チャンスですね!」
俳優「みんな、一丸となってチャンスをモノにしようと盛り上がってたんですが……」
俳優「不運にも、主演の役者が倒れてしまいましてね」
俳優「そしたらみんな、ここぞとばかりに自分が主演をやる、と言い出し始めて」
俳優「せっかくまとまってた劇団が、すっかり殺伐としてしまって……」
俳優「こんなバラバラでは、チャンスをモノにするどころか、演劇どころではありません」
俳優「一体どうしたらいいのか……」
接客娘「大変ですねえ……」
店主「…………」
接客娘「というと?」
俳優「私たちの劇団に、先日大きなチャンスが舞い込みましてね」
俳優「大勢のドラマや演劇関係の業界人の前で、一つ劇をすることになったんです」
接客娘「すごい! 大チャンスですね!」
俳優「みんな、一丸となってチャンスをモノにしようと盛り上がってたんですが……」
俳優「不運にも、主演の役者が倒れてしまいましてね」
俳優「そしたらみんな、ここぞとばかりに自分が主演をやる、と言い出し始めて」
俳優「せっかくまとまってた劇団が、すっかり殺伐としてしまって……」
俳優「こんなバラバラでは、チャンスをモノにするどころか、演劇どころではありません」
俳優「一体どうしたらいいのか……」
接客娘「大変ですねえ……」
店主「…………」
店主「でしたら、この台本を使ってみては?」スッ…
俳優「なんですか、これ?」
店主「読んでみて下さい」
俳優「どれどれ……」ペラ…
俳優「ふむ……ほう……うん……。これは面白い……!」
店主「いかがです?」
俳優「これはすごい台本ですね!」
俳優「ストーリーが面白いだけでなく、登場人物全員がみんな同じぐらいの存在感になってる!」
店主「その通りです。その台本には、一人だけ目立つ“主人公”がいないのです」
店主「いうなれば全員主人公……いや、≪主人公抜き台本≫とでも申しましょうか」
店主「しかも、セリフや振り付けもそこまで多くないので、少ない練習でも十分演じられます」
俳優「≪主人公抜き台本≫……まさに今の私たちにうってつけだ!」
俳優「なんですか、これ?」
店主「読んでみて下さい」
俳優「どれどれ……」ペラ…
俳優「ふむ……ほう……うん……。これは面白い……!」
店主「いかがです?」
俳優「これはすごい台本ですね!」
俳優「ストーリーが面白いだけでなく、登場人物全員がみんな同じぐらいの存在感になってる!」
店主「その通りです。その台本には、一人だけ目立つ“主人公”がいないのです」
店主「いうなれば全員主人公……いや、≪主人公抜き台本≫とでも申しましょうか」
店主「しかも、セリフや振り付けもそこまで多くないので、少ない練習でも十分演じられます」
俳優「≪主人公抜き台本≫……まさに今の私たちにうってつけだ!」
俳優「ぜひこの台本を使わせて下さい! お願いします!」
店主「どうぞ……」
接客娘「これで一安心ですね!」
俳優「はい、この店に入ってよかった……」
店主「しかし……この台本の難しいところは、配役のうち一人でも目立とうとしてしまうと」
店主「劇全体のバランスが崩れてしまうところにあります」
俳優「たしかに……」
店主「くれぐれもそうならないように……」
店主「劇団の皆さんが、誰も主人公にならないように心がけて下さい」
俳優「分かりました。仲間にもそう伝えておきます」
店主「どうぞ……」
接客娘「これで一安心ですね!」
俳優「はい、この店に入ってよかった……」
店主「しかし……この台本の難しいところは、配役のうち一人でも目立とうとしてしまうと」
店主「劇全体のバランスが崩れてしまうところにあります」
俳優「たしかに……」
店主「くれぐれもそうならないように……」
店主「劇団の皆さんが、誰も主人公にならないように心がけて下さい」
俳優「分かりました。仲間にもそう伝えておきます」
―稽古場―
ワイワイ…… ガヤガヤ……
仲間A「≪主人公抜き台本≫? へぇ~、よくできてるな、これ」
仲間B「たしかにこれなら、配役で揉めることはないな!」
仲間C「しかも、この劇団の役者全員を平等にアピールすることができる!」
俳優「だろう?」
俳優「みんなが互いに目立とうとしなければ、最高の劇ができるはずだ」
俳優「さあ、≪主人公抜き台本≫をもとに練習だ!」
オーッ!
ワイワイ…… ガヤガヤ……
仲間A「≪主人公抜き台本≫? へぇ~、よくできてるな、これ」
仲間B「たしかにこれなら、配役で揉めることはないな!」
仲間C「しかも、この劇団の役者全員を平等にアピールすることができる!」
俳優「だろう?」
俳優「みんなが互いに目立とうとしなければ、最高の劇ができるはずだ」
俳優「さあ、≪主人公抜き台本≫をもとに練習だ!」
オーッ!
上演当日――
―劇場―
仲間A「いよいよだな……観客はみんな、名うての業界人ばかりだ」
仲間B「短期間とはいえあれだけ猛特訓したんだ、絶対上手くいくさ」
仲間C「そうだよね!」
俳優(私はあの店主さんに台本をもらってからというもの、シナリオを熟読した)
俳優(そして……あの台本の秘密に気づいた)
俳優(私の目論見通りにいけば……)
ワイワイ…… ガヤガヤ……
俳優「ただいまより、我が劇団の演劇を開演いたします! どうぞご覧下さいませ!」
―劇場―
仲間A「いよいよだな……観客はみんな、名うての業界人ばかりだ」
仲間B「短期間とはいえあれだけ猛特訓したんだ、絶対上手くいくさ」
仲間C「そうだよね!」
俳優(私はあの店主さんに台本をもらってからというもの、シナリオを熟読した)
俳優(そして……あの台本の秘密に気づいた)
俳優(私の目論見通りにいけば……)
ワイワイ…… ガヤガヤ……
俳優「ただいまより、我が劇団の演劇を開演いたします! どうぞご覧下さいませ!」
上演開始――
仲間A「ってことは……!」
仲間B「このコーラを飲んだのはお前か!」
俳優「その通りだよ! この私が飲んだのさぁぁぁ!」ビシッ
仲間A(こいつ……!?)
仲間B(さっきから自分一人だけ目立つように演技してやがる!)
俳優「私が……イッキ飲みしてしまったのさぁ!」グワッ
俳優(この台本は登場人物全員が絶妙なバランスで同じぐらいの存在感を持つようにできている)
俳優(しかし、隠された側面もあった)
俳優(もし誰かが他の人間を出し抜こうと、演技を過剰にすれば――)
俳優(その演者は普通の劇で主演をやる時以上に輝くことになると!)
俳優(他の奴が今から気づいてももう遅い。とっさに練習と違う演技はできないからな)
俳優(この劇の主人公はこの私だ!)
仲間A「ってことは……!」
仲間B「このコーラを飲んだのはお前か!」
俳優「その通りだよ! この私が飲んだのさぁぁぁ!」ビシッ
仲間A(こいつ……!?)
仲間B(さっきから自分一人だけ目立つように演技してやがる!)
俳優「私が……イッキ飲みしてしまったのさぁ!」グワッ
俳優(この台本は登場人物全員が絶妙なバランスで同じぐらいの存在感を持つようにできている)
俳優(しかし、隠された側面もあった)
俳優(もし誰かが他の人間を出し抜こうと、演技を過剰にすれば――)
俳優(その演者は普通の劇で主演をやる時以上に輝くことになると!)
俳優(他の奴が今から気づいてももう遅い。とっさに練習と違う演技はできないからな)
俳優(この劇の主人公はこの私だ!)
ワアァァァ…… パチパチパチ……
監督「君!」
俳優「はい?(おおっ、数々のヒットドラマを生み出してる名監督じゃないか!)」
監督「今の演劇、君だけ特異な存在感を放っており、非常に素晴らしかった!」
監督「ぜひ、今度私が作るドラマの主演になってくれたまえ!」
俳優「やらせて下さい!」
仲間A「あ、あいつ……!」
仲間B「裏切りやがった……」
仲間C「彼があんな演技したら、彼以外目立たなくなるに決まってる!」
俳優(みんな悪く思うなよ……こういうしたたかさも、この業界では必要なのさ)ニヤッ
監督「君!」
俳優「はい?(おおっ、数々のヒットドラマを生み出してる名監督じゃないか!)」
監督「今の演劇、君だけ特異な存在感を放っており、非常に素晴らしかった!」
監督「ぜひ、今度私が作るドラマの主演になってくれたまえ!」
俳優「やらせて下さい!」
仲間A「あ、あいつ……!」
仲間B「裏切りやがった……」
仲間C「彼があんな演技したら、彼以外目立たなくなるに決まってる!」
俳優(みんな悪く思うなよ……こういうしたたかさも、この業界では必要なのさ)ニヤッ
―ロケ現場―
スタッフ「では最初のシーンの撮影を始めます! スタンバイして下さい!」
俳優「はい!」
俳優(≪主人公抜き台本≫のおかげで、あのチンケな劇団からやっと抜け出すことができた)
俳優(このチャンス、絶対逃さん!)
俳優(一躍有名になって、一気にスターダムを駆け上がってやる!)
ギシッ…
俳優「――ん?」
スタッフ「では最初のシーンの撮影を始めます! スタンバイして下さい!」
俳優「はい!」
俳優(≪主人公抜き台本≫のおかげで、あのチンケな劇団からやっと抜け出すことができた)
俳優(このチャンス、絶対逃さん!)
俳優(一躍有名になって、一気にスターダムを駆け上がってやる!)
ギシッ…
俳優「――ん?」
ギシギシ…
「あぶないっ!」 「撮影機材が崩れるぞ!」 「逃げろーっ!」
グラァッ……
俳優「え?」
俳優「うわぁぁぁぁぁっ!!!」
ドガシャァァァァァン……
…………
……
「あぶないっ!」 「撮影機材が崩れるぞ!」 「逃げろーっ!」
グラァッ……
俳優「え?」
俳優「うわぁぁぁぁぁっ!!!」
ドガシャァァァァァン……
…………
……
―炭酸抜きコーラ屋―
テレビ『新作ドラマの撮影中に機材が倒れ……主演予定の俳優が……』
接客娘「あーらら、大変だ」
接客娘「マスター、この新作ドラマ、主人公がいなくなっちゃいましたねえ」
店主「あの台本で目立とうとしてしまったんだろうな……」
店主「ま……彼の代わりなんて、いくらでもいるさ。世の中そういうもんだ」
― 終 ―
テレビ『新作ドラマの撮影中に機材が倒れ……主演予定の俳優が……』
接客娘「あーらら、大変だ」
接客娘「マスター、この新作ドラマ、主人公がいなくなっちゃいましたねえ」
店主「あの台本で目立とうとしてしまったんだろうな……」
店主「ま……彼の代わりなんて、いくらでもいるさ。世の中そういうもんだ」
― 終 ―
≪空気抜き風船≫
―炭酸抜きコーラ屋―
女「ちょっとぉ、なにがお洒落なバーよ! お酒ないんだってよ! なにやってんのよ!」
青年「うるさいな! 君だって、入ろう入ろうっていってたじゃないか!」
女「なんですってえ!?」
青年「耳元で怒鳴るな!」
接客娘「いやー……すごいカップルですね。さっきからずっと喧嘩してますよ」
店主「…………」シャカシャカシャカ
―炭酸抜きコーラ屋―
女「ちょっとぉ、なにがお洒落なバーよ! お酒ないんだってよ! なにやってんのよ!」
青年「うるさいな! 君だって、入ろう入ろうっていってたじゃないか!」
女「なんですってえ!?」
青年「耳元で怒鳴るな!」
接客娘「いやー……すごいカップルですね。さっきからずっと喧嘩してますよ」
店主「…………」シャカシャカシャカ
店主「炭酸抜きコーラです、どうぞ」スッ
女「あ、どうも……」グビッ
青年「いただきます……」チビッ
女「あら、ふわっとした甘さでおいしいわ!」
青年「うん、うまい!」
接客娘(よかった、落ち着いたみたい)
女「なにがうまいよ! ホント、ボキャブラリーが貧弱なんだから!」
青年「そっちこそ、ふわっとした甘さって、適当こいてるだけだろ!」
ギャーギャーッ!
接客娘「あ~……もう」
店主「収まるのを待つしかないな」
女「あ、どうも……」グビッ
青年「いただきます……」チビッ
女「あら、ふわっとした甘さでおいしいわ!」
青年「うん、うまい!」
接客娘(よかった、落ち着いたみたい)
女「なにがうまいよ! ホント、ボキャブラリーが貧弱なんだから!」
青年「そっちこそ、ふわっとした甘さって、適当こいてるだけだろ!」
ギャーギャーッ!
接客娘「あ~……もう」
店主「収まるのを待つしかないな」
青年「すみません……恥ずかしいところをお見せしまして」
女「ごめんなさい……」
接客娘「いやー、お二人ともコーラの泡よりもハジけてましたよ」
青年「ボクたち……これでも恋人同士なんですけど、つい喧嘩しちゃうんです」
女「それも、一度喧嘩になるとなかなか止まらなくて……」
接客娘「それじゃ、まともにデートもできないでしょうに」
青年「その通りです……。デート時間の八割は喧嘩してるような気がします……」
女「どうしたらいいのか……」
店主「でしたら、これを使ってみてはどうでしょう」ヒョイッ
女「ごめんなさい……」
接客娘「いやー、お二人ともコーラの泡よりもハジけてましたよ」
青年「ボクたち……これでも恋人同士なんですけど、つい喧嘩しちゃうんです」
女「それも、一度喧嘩になるとなかなか止まらなくて……」
接客娘「それじゃ、まともにデートもできないでしょうに」
青年「その通りです……。デート時間の八割は喧嘩してるような気がします……」
女「どうしたらいいのか……」
店主「でしたら、これを使ってみてはどうでしょう」ヒョイッ
青年「なんだこれ?」
女「しぼんだ風船だわ!」
店主「そう、これは≪空気抜き風船≫というものです。二人分、差し上げましょう」
青年「これが、いったいなんの役に立つんです?」
店主「喧嘩したくなった時、これに息を吹き込んで下さい」
店主「すると、その気分を抑えることができるのです」
青年「へぇ~」
女「すごーい!」
青年「そういや、ドラえもんにこんな道具あったなぁ」
女「なにがドラえもんよ! いい年して!」
青年「ハァ!? 男はいつだってドラえもんに憧れてるんだよ! いつか来ないかなって!」
女「あんたみたいな奴のとこにドラえもんが来るわけないじゃん!」
店主「喧嘩はその辺にして、息を吹き込んでみて下さい」
二人「は、はい」
プーッ!
女「しぼんだ風船だわ!」
店主「そう、これは≪空気抜き風船≫というものです。二人分、差し上げましょう」
青年「これが、いったいなんの役に立つんです?」
店主「喧嘩したくなった時、これに息を吹き込んで下さい」
店主「すると、その気分を抑えることができるのです」
青年「へぇ~」
女「すごーい!」
青年「そういや、ドラえもんにこんな道具あったなぁ」
女「なにがドラえもんよ! いい年して!」
青年「ハァ!? 男はいつだってドラえもんに憧れてるんだよ! いつか来ないかなって!」
女「あんたみたいな奴のとこにドラえもんが来るわけないじゃん!」
店主「喧嘩はその辺にして、息を吹き込んでみて下さい」
二人「は、はい」
プーッ!
青年「あ……なんだかスッキリした」
女「ホント! ウソみたいに気分がやわらいだわ!」
接客娘「この風船を使えば、喧嘩せずにデートできますよ!」
青年「はい、ありがとうございます!」
女「ありがたく使わせてもらいます!」
店主「ただし、あくまで風船ですので……空気の入れすぎにご注意を」
女「ホント! ウソみたいに気分がやわらいだわ!」
接客娘「この風船を使えば、喧嘩せずにデートできますよ!」
青年「はい、ありがとうございます!」
女「ありがたく使わせてもらいます!」
店主「ただし、あくまで風船ですので……空気の入れすぎにご注意を」
……
…………
女「ごめん、待った?」
青年「遅いぞ、五分遅刻だ」
女「だからごめんっていったじゃん!」
青年「謝りゃいいってもんじゃないだろ! ……おっと」
青年「風船に息吹き込もう」
女「うん」
プーッ!
女「あー、スカッとした」
青年「スカッとしたところで、デートといこうか」
…………
女「ごめん、待った?」
青年「遅いぞ、五分遅刻だ」
女「だからごめんっていったじゃん!」
青年「謝りゃいいってもんじゃないだろ! ……おっと」
青年「風船に息吹き込もう」
女「うん」
プーッ!
女「あー、スカッとした」
青年「スカッとしたところで、デートといこうか」
女「さっきの映画、面白かったね~」
青年「そうか? ボクはイマイチだったな。クライマックスがご都合主義って感じで」
女「なによそれ! 評論家ぶって、水さすようなこといって!」
青年「ボクは正直に感想をいっただけだ!」
女「ちょっと待って、風船使いましょ」
青年「そうだな」
プーッ!
青年「そうか? ボクはイマイチだったな。クライマックスがご都合主義って感じで」
女「なによそれ! 評論家ぶって、水さすようなこといって!」
青年「ボクは正直に感想をいっただけだ!」
女「ちょっと待って、風船使いましょ」
青年「そうだな」
プーッ!
カチカチッ カチカチッ バキッ ドカッ ドカーンッ
青年「よっしゃ、ボクの勝ちだ! ざまあみろ!」
女「そんなハメ技で勝って嬉しい? 男らしくないんだから!」
青年「対戦ゲームに男らしいも女らしいもあるかよ!」
女「あぁ、そっか。自分に自信がないから、ゲームでムキになるしかないのね!」
青年「なんだとォ!? いけないいけない……風船を膨らまそう」
女「うん」
プーッ!
…………
……
青年「よっしゃ、ボクの勝ちだ! ざまあみろ!」
女「そんなハメ技で勝って嬉しい? 男らしくないんだから!」
青年「対戦ゲームに男らしいも女らしいもあるかよ!」
女「あぁ、そっか。自分に自信がないから、ゲームでムキになるしかないのね!」
青年「なんだとォ!? いけないいけない……風船を膨らまそう」
女「うん」
プーッ!
…………
……
―炭酸抜きコーラ屋―
接客娘「マスター」
店主「ん?」
接客娘「今までの傾向からいって、今日あたりじゃないですか?」
接客娘「あの二人の風船が破裂してしまうのは」
店主「おそらくな」
接客娘「いったいどんな“二人の溜め込んだもの”が飛び出すか、楽しみですねえ……」クスクス
店主「…………」
接客娘「マスター」
店主「ん?」
接客娘「今までの傾向からいって、今日あたりじゃないですか?」
接客娘「あの二人の風船が破裂してしまうのは」
店主「おそらくな」
接客娘「いったいどんな“二人の溜め込んだもの”が飛び出すか、楽しみですねえ……」クスクス
店主「…………」
青年「なんか……この風船、どんどんでかくなってないか?」
女「たしかに……そろそろヤバイかも」
青年「でもしょうがないよな。これ使わないとケンカになっちゃうんだから」
女「うん、あと一回ぐらい大丈夫よ」
青年「よし、空気を入れて落ち着こう。せーの」
プーッ!
パァンッ!!! パァンッ!!!
女「たしかに……そろそろヤバイかも」
青年「でもしょうがないよな。これ使わないとケンカになっちゃうんだから」
女「うん、あと一回ぐらい大丈夫よ」
青年「よし、空気を入れて落ち着こう。せーの」
プーッ!
パァンッ!!! パァンッ!!!
青年「破裂した……!?」
女「しかも同時に……!」
プシュゥゥゥゥゥゥ…
青年「中からなにか飛び出してきたぞ!」
女「ちょっとォ! どうにかしてよ!」
青年「ボクにいわれても困るっての!」
モワァァァァァ…
女「しかも同時に……!」
プシュゥゥゥゥゥゥ…
青年「中からなにか飛び出してきたぞ!」
女「ちょっとォ! どうにかしてよ!」
青年「ボクにいわれても困るっての!」
モワァァァァァ…
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