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元スレ透華「わたくし達の麻雀部をつくりますわ!!」
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オレが望んでいたのは変化だった。そこそこ経済的に余裕のある
家庭に生まれ、周りの親戚はいわゆる難関大学の受験から
大手企業への就職と皆進んでいく。
オレもそんな風に育てられたし、特に疑問に思うでもなかった。
商社勤めの親父の都合でドイツに来てからも、それは変わらなかった。
地元では有名な全寮制のギムナジウムに入り、気のいい学友たちと勉学に励む。
別に不満があったわけじゃない、むしろ自分は恵まれているんだろうなとも思う。
だが平穏で、どこか単調な日々に刺激を求めて大人たちの溜まり場に顔を出すようになった。
知り合いは色々と増えたが、おかげで最近は親との仲が疎遠になるばかりだ。
3日前、久しぶりに実家に帰省したときもそうだった。
―――――
――――――――――
家庭に生まれ、周りの親戚はいわゆる難関大学の受験から
大手企業への就職と皆進んでいく。
オレもそんな風に育てられたし、特に疑問に思うでもなかった。
商社勤めの親父の都合でドイツに来てからも、それは変わらなかった。
地元では有名な全寮制のギムナジウムに入り、気のいい学友たちと勉学に励む。
別に不満があったわけじゃない、むしろ自分は恵まれているんだろうなとも思う。
だが平穏で、どこか単調な日々に刺激を求めて大人たちの溜まり場に顔を出すようになった。
知り合いは色々と増えたが、おかげで最近は親との仲が疎遠になるばかりだ。
3日前、久しぶりに実家に帰省したときもそうだった。
―――――
――――――――――
純ママ「純、また連盟から招待状が届いているわよ。今度の州選抜に是非って」
純「あー、適当に無視しといてよ。学生同士の堅苦しいノリは苦手だ」
純パパ「まだ怪しげな盛り場に出入りしているのか?」
新聞をしかめっ面で読んでいた親父が口を挟んでくる。
純「別に非合法な場所に顔を出してるわけじゃないさ。それに学校の課題も、ちゃんとこなしてる」
純パパ「余計なことに割く労力を学業に費やせば、もっと効率的に己を高められると言っているんだ」
純「あー、適当に無視しといてよ。学生同士の堅苦しいノリは苦手だ」
純パパ「まだ怪しげな盛り場に出入りしているのか?」
新聞をしかめっ面で読んでいた親父が口を挟んでくる。
純「別に非合法な場所に顔を出してるわけじゃないさ。それに学校の課題も、ちゃんとこなしてる」
純パパ「余計なことに割く労力を学業に費やせば、もっと効率的に己を高められると言っているんだ」
純「やれやれ、親父は何かといっちゃそれだ。そんなに出世の上手い奴が偉いのかねえ」
純パパ「自らの努力の結果、周囲から認められ金銭を得て生活に潤いをもたらすのは良いことだ」
純パパ「それとも死んだ爺さんみたいな人生を送るつもりか?」
純「ああ。確かに毎日上司のご機嫌を気にして、
昨日のフットボールの試合がどうとかって人生よりは楽しそうだよな」
純ママ「純っ!」
純「・・・怪しげな盛り場で、人相の悪い奴らと遊んでくるわ」
純「せいぜい親の会社に迷惑かけないように気をつけるよ」
――――――――――
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純パパ「自らの努力の結果、周囲から認められ金銭を得て生活に潤いをもたらすのは良いことだ」
純パパ「それとも死んだ爺さんみたいな人生を送るつもりか?」
純「ああ。確かに毎日上司のご機嫌を気にして、
昨日のフットボールの試合がどうとかって人生よりは楽しそうだよな」
純ママ「純っ!」
純「・・・怪しげな盛り場で、人相の悪い奴らと遊んでくるわ」
純「せいぜい親の会社に迷惑かけないように気をつけるよ」
――――――――――
―――――
純「・・・ちっ、しくった・・・」
つい売り言葉に買い言葉で言い返してしまったが、
父親の言い分の正しさも理解してはいる。
ただ自分には、そんな生き方は難しいだろうなと思うだけだ。
3日前の口論を思い出し、いまいち出口の見えない
モヤモヤした気持ちを抱えながら、バーにやって来ていた。
以前は日本人の小娘がこんなところにいるのを珍しがり
勝負を吹っ掛けてくる奴もいたが、カード・ダーツ・ビリヤード・それに麻雀
どれもそのうち負けなくなった。
それは純の持つ”少し特別な力“もあるが、それ以前に
ここには自分と全てを賭けて勝負をするような気迫の奴がいなかったからだ。
そう、これまでは・・・
透華「龍門渕透華といいます!あなたを勧誘しにきましたわ!!」
ドイツでもここまでは珍しい輝くような金髪を揺らし、満面の笑みで仁王立ちするこの女。
まるでそれ自体が発光体かのように、エネルギーに満ちている。
純「・・・二度も言わなくても聞こえてるよ」
純「勧誘とか言ってたが・・・で、オレにどうして欲しいって?」
透華「あなたには日本に来て我が龍門渕の中等部に転入し、
そこでわたくしたちと麻雀を打ってもらいます!」
つい売り言葉に買い言葉で言い返してしまったが、
父親の言い分の正しさも理解してはいる。
ただ自分には、そんな生き方は難しいだろうなと思うだけだ。
3日前の口論を思い出し、いまいち出口の見えない
モヤモヤした気持ちを抱えながら、バーにやって来ていた。
以前は日本人の小娘がこんなところにいるのを珍しがり
勝負を吹っ掛けてくる奴もいたが、カード・ダーツ・ビリヤード・それに麻雀
どれもそのうち負けなくなった。
それは純の持つ”少し特別な力“もあるが、それ以前に
ここには自分と全てを賭けて勝負をするような気迫の奴がいなかったからだ。
そう、これまでは・・・
透華「龍門渕透華といいます!あなたを勧誘しにきましたわ!!」
ドイツでもここまでは珍しい輝くような金髪を揺らし、満面の笑みで仁王立ちするこの女。
まるでそれ自体が発光体かのように、エネルギーに満ちている。
純「・・・二度も言わなくても聞こえてるよ」
純「勧誘とか言ってたが・・・で、オレにどうして欲しいって?」
透華「あなたには日本に来て我が龍門渕の中等部に転入し、
そこでわたくしたちと麻雀を打ってもらいます!」
いきなり何を言い出すんだ、この女は。全く意味がわからない。
純「初対面の相手にそんなことを言われて、ハイそーですかと頷く奴がいたら会ってみたいね」
透華「賭けをいたしましょう」
透華「麻雀勝負でわたくしが勝ったら、あなたは明日の今ごろ機上の人になっていただきます」
純「そいつは大変だな。で、もしオレが勝ったなら?」
透華「あなたの言うことを何でも聞いて差し上げますわ」
純「何でもってのは、具体的に何をしてくれるんだ?」
透華「龍門渕グループと、わたくし自身にできる事の全て」
純「・・・・・・」
透華「カバン持ちでもヌイグルミの裁縫でも迷子探しでも、なんでもござれですわ」
透華「校門の前にあなたの銅像を建ててさし上げてもよろしくってよ!」
純「初対面の相手にそんなことを言われて、ハイそーですかと頷く奴がいたら会ってみたいね」
透華「賭けをいたしましょう」
透華「麻雀勝負でわたくしが勝ったら、あなたは明日の今ごろ機上の人になっていただきます」
純「そいつは大変だな。で、もしオレが勝ったなら?」
透華「あなたの言うことを何でも聞いて差し上げますわ」
純「何でもってのは、具体的に何をしてくれるんだ?」
透華「龍門渕グループと、わたくし自身にできる事の全て」
純「・・・・・・」
透華「カバン持ちでもヌイグルミの裁縫でも迷子探しでも、なんでもござれですわ」
透華「校門の前にあなたの銅像を建ててさし上げてもよろしくってよ!」
純(本気か?さっきの話、それで一体この女になんのメリットがある?)
しかし数々の勝負で培った観察眼を持ってしても、冗談や駆け引きで言っているようには見えない。
その表情に浮かんでいるのは負けることなど微塵も考えていない純度100%の自信と、
自分以外の何かのために全力を尽くすという真摯さだけだった。
純「あー・・・っと、一応オレもギムナジウムの生徒でさ」
純「規則が厳しいことで有名なとこなんだが・・・」
透華「それなら心配ナッシング!先ほど学舎と市庁舎に寄ったついでに話は通して来ましたわ!」
透華「既に編入手続きの書類は揃えてあります」
透華「あとはご両親の承諾とあなたのサインがあれば、それでチョチョイのパッパと完全完了ですわ!」
バン!とテーブルにいくつかにまとめられた書類の束を放り出す。
そこには理事長やら校長やら寮長やら市議会長やら、
お偉いさんの署名が1ダースほど揃っていた。
純(・・・この女、マジでヤバい・・・)
しかし数々の勝負で培った観察眼を持ってしても、冗談や駆け引きで言っているようには見えない。
その表情に浮かんでいるのは負けることなど微塵も考えていない純度100%の自信と、
自分以外の何かのために全力を尽くすという真摯さだけだった。
純「あー・・・っと、一応オレもギムナジウムの生徒でさ」
純「規則が厳しいことで有名なとこなんだが・・・」
透華「それなら心配ナッシング!先ほど学舎と市庁舎に寄ったついでに話は通して来ましたわ!」
透華「既に編入手続きの書類は揃えてあります」
透華「あとはご両親の承諾とあなたのサインがあれば、それでチョチョイのパッパと完全完了ですわ!」
バン!とテーブルにいくつかにまとめられた書類の束を放り出す。
そこには理事長やら校長やら寮長やら市議会長やら、
お偉いさんの署名が1ダースほど揃っていた。
純(・・・この女、マジでヤバい・・・)
こんな冷や汗をかくのはいつ以来だろうか。
しかしこの緊張感も久しく感じていなかったものだった。
純「あー、分かったよ。どうも承諾しねーと帰って寝ることも出来なそうだ」
純「で?アンタとオレの差しウマ勝負でいいんだな?」
透華「ええ、ちょうどあちらのテーブルが卓割れして似たようなモブ顔が二人残っています」
透華「シンプルに半荘一回勝負で得点の多かった方の勝ち、でどうですかしら?」
純「ああ、それでいい」
しかしこの緊張感も久しく感じていなかったものだった。
純「あー、分かったよ。どうも承諾しねーと帰って寝ることも出来なそうだ」
純「で?アンタとオレの差しウマ勝負でいいんだな?」
透華「ええ、ちょうどあちらのテーブルが卓割れして似たようなモブ顔が二人残っています」
透華「シンプルに半荘一回勝負で得点の多かった方の勝ち、でどうですかしら?」
純「ああ、それでいい」
純『悪いな、アンタらオレ達と一勝負付き合ってくれ』
座っていた二人に事情を掻い摘んで説明し、全自動卓の賽を回しながら聞いてみる。
純「なあ、日本にはお前みたいな奴が多いのか?」
透華「何を仰いますやら!わたくしはオンリー・ワンにしてスペシャル・ワン!」
透華「龍門渕透華ですわ!!」
純「はっ、だと思ったよ」
思わず苦笑する。
純(オレが望んでいた変化 ・・・)
純(それを持ってきたのが、まさか日本から来た妙な金持ちのお嬢ちゃんとはねえ・・・)
純「じゃあ、やろうか」
座っていた二人に事情を掻い摘んで説明し、全自動卓の賽を回しながら聞いてみる。
純「なあ、日本にはお前みたいな奴が多いのか?」
透華「何を仰いますやら!わたくしはオンリー・ワンにしてスペシャル・ワン!」
透華「龍門渕透華ですわ!!」
純「はっ、だと思ったよ」
思わず苦笑する。
純(オレが望んでいた変化 ・・・)
純(それを持ってきたのが、まさか日本から来た妙な金持ちのお嬢ちゃんとはねえ・・・)
純「じゃあ、やろうか」
東:モブA(25000) 南:透華(25000) 西:純(25000) 北:モブB(25000)
ルール:東南戦 アリアリ・赤3・ダブロン,トリロン無
東1局 15巡目
透華「ツモ!タンヤオ・ドラ1・赤1 1000・2000!」パラララ
純(フーン・・・)
東2局 親:透華
モブA:23000 透華:29000 純:24000 モブB:24000
モブA『テンパイ』透華「テンパイですわ」モブB『ノーテンです』純「・・・ノーテンだ」
ルール:東南戦 アリアリ・赤3・ダブロン,トリロン無
東1局 15巡目
透華「ツモ!タンヤオ・ドラ1・赤1 1000・2000!」パラララ
純(フーン・・・)
東2局 親:透華
モブA:23000 透華:29000 純:24000 モブB:24000
モブA『テンパイ』透華「テンパイですわ」モブB『ノーテンです』純「・・・ノーテンだ」
東2局1本場
モブA:24500 透華:30500 純:22500 モブB:22500
純「お前、麻雀をはじめたのはいつ頃だ?」
透華「・・・? 今年の春からですが、それがどうかしまして?」
純(なるほどな。東1局では手の進みが遅いと見るや平和三色手から喰いタンに移行・・・)
純(東2じゃ、上家のテンパイ気配を察してニ副露からの回し打ち)
純(教科書通りの綺麗な打ち方だ)
純(親番維持の期待値と、他家への振込の危険性もきっちり考慮に入れてある)
純(まだ甘いところもあるみたいだが、実際に卓をかこんで場数をこなせば
近い将来相当な打ち手になるだろう。けどな!)
モブA:24500 透華:30500 純:22500 モブB:22500
純「お前、麻雀をはじめたのはいつ頃だ?」
透華「・・・? 今年の春からですが、それがどうかしまして?」
純(なるほどな。東1局では手の進みが遅いと見るや平和三色手から喰いタンに移行・・・)
純(東2じゃ、上家のテンパイ気配を察してニ副露からの回し打ち)
純(教科書通りの綺麗な打ち方だ)
純(親番維持の期待値と、他家への振込の危険性もきっちり考慮に入れてある)
純(まだ甘いところもあるみたいだが、実際に卓をかこんで場数をこなせば
近い将来相当な打ち手になるだろう。けどな!)
伸ばしていた脚を交差させ、甲を腿の上に置く。
_仏教における座法の一つ「結跏趺坐」
純は集中するとき、自然とこの形になる。
純「ポン!」
純(荒れ場の経験が浅いデジタルなんて、オレにとっちゃ絶好の的だぜ!)タンッ
一(オタ風の西ポンのあと手出しの西切り?)
純「それだ、お嬢ちゃん。ロン。一通・ドラ1・赤1 3900は4200」パラララ
一(・・・!メンホンも見えた手で、この人は何をやっているの?)
純(いつも以上に流れがよく見える。ジイちゃん、今日のオレは絶好調みたいだぜ・・・)
―――――
――――――――――
_仏教における座法の一つ「結跏趺坐」
純は集中するとき、自然とこの形になる。
純「ポン!」
純(荒れ場の経験が浅いデジタルなんて、オレにとっちゃ絶好の的だぜ!)タンッ
一(オタ風の西ポンのあと手出しの西切り?)
純「それだ、お嬢ちゃん。ロン。一通・ドラ1・赤1 3900は4200」パラララ
一(・・・!メンホンも見えた手で、この人は何をやっているの?)
純(いつも以上に流れがよく見える。ジイちゃん、今日のオレは絶好調みたいだぜ・・・)
―――――
――――――――――
祖父は僧侶だった。
元は国交省の官僚だったのが、出向先で寺院の住職と意気投合、土地に住み着き
最終的にその寺を継いでしまった。5年前に他界した大酒飲みでギャンブル狂いの生臭坊主。
井上家の変わり者としてお堅い職揃いの親戚一同からは奇異の目で見られていたが、
オレはこの破天荒な祖父が好きだった。よく寺に遊びに行っては花札や麻雀を教わったものだ。
純ジイ「純、勝負ごとには流れってえもんがあるんだ。流れを見極められるようになれ」
純ジイ「おめえには、その才がある。 もし流れが悪いなら、相手に押し付けろ」
純ジイ「反対に相手の流れが良さそうなら無理やりこっちに引き寄せちまえばいいんだ」
純ジイ「それが出来るようになったら・・・」
ショタ純「出来るようになったら・・・?」
純ジイ「どんな勝負であれ、おめえに勝てる奴はそうそういねえだろうよ」
――――――――――
―――――
元は国交省の官僚だったのが、出向先で寺院の住職と意気投合、土地に住み着き
最終的にその寺を継いでしまった。5年前に他界した大酒飲みでギャンブル狂いの生臭坊主。
井上家の変わり者としてお堅い職揃いの親戚一同からは奇異の目で見られていたが、
オレはこの破天荒な祖父が好きだった。よく寺に遊びに行っては花札や麻雀を教わったものだ。
純ジイ「純、勝負ごとには流れってえもんがあるんだ。流れを見極められるようになれ」
純ジイ「おめえには、その才がある。 もし流れが悪いなら、相手に押し付けろ」
純ジイ「反対に相手の流れが良さそうなら無理やりこっちに引き寄せちまえばいいんだ」
純ジイ「それが出来るようになったら・・・」
ショタ純「出来るようになったら・・・?」
純ジイ「どんな勝負であれ、おめえに勝てる奴はそうそういねえだろうよ」
――――――――――
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東3局 親:純
モブA:24500 透華:26300 純:26700 モブB:22500
純「チー!」タンッ
一(今度は平和も一盃口も捨てての両面喰い!意図的に荒れ場を作り出してる!?)
純「ツモだ。チャンタ・ドラ3。4000オール」パラ
一(まただ、本来透華のツモだったドラ牌を連続して引き入れての満貫和了)
一(凄い・・・。昔ボクが自ら閉ざしてしまった世界)
一(あれから先の世界にはこんな人達がいるんだ)
一(ボクもこの人達と本気で麻雀を打てたら・・・)
モブA:24500 透華:26300 純:26700 モブB:22500
純「チー!」タンッ
一(今度は平和も一盃口も捨てての両面喰い!意図的に荒れ場を作り出してる!?)
純「ツモだ。チャンタ・ドラ3。4000オール」パラ
一(まただ、本来透華のツモだったドラ牌を連続して引き入れての満貫和了)
一(凄い・・・。昔ボクが自ら閉ざしてしまった世界)
一(あれから先の世界にはこんな人達がいるんだ)
一(ボクもこの人達と本気で麻雀を打てたら・・・)
東3局1本場 ロン 4200:純 放銃:モブB
モブA:20500 透華:22300 純:42900 モブB:14300
東3局2本場 ツモ 1800・3400:モブB
モブA:18700 透華:20500 純:39500 モブB:21300
東4局 ロン 5200:純 放銃:透華
モブA:18700 透華:15300 純:44700 モブB:21300
モブA:20500 透華:22300 純:42900 モブB:14300
東3局2本場 ツモ 1800・3400:モブB
モブA:18700 透華:20500 純:39500 モブB:21300
東4局 ロン 5200:純 放銃:透華
モブA:18700 透華:15300 純:44700 モブB:21300
南1局 親:モブA
透華(きいーっ!ちーっっとも和了れませんわ!)
透華(井・上・純~~!妙な鳴きばかりしくさりますわね!)
透華(こんなことでは、こんなことでは衣を抱えることなど出来ませんわ!!)
透華が麻雀を始めた理由。
それはとりもなおさず、自分がまず衣の遊び相手になることだった。
――
____
透華「わたくし、透華といいます。・・・あなたの従姉妹ですわ」
衣「・・・・・・トーカ・・・・・・?」
透華(きいーっ!ちーっっとも和了れませんわ!)
透華(井・上・純~~!妙な鳴きばかりしくさりますわね!)
透華(こんなことでは、こんなことでは衣を抱えることなど出来ませんわ!!)
透華が麻雀を始めた理由。
それはとりもなおさず、自分がまず衣の遊び相手になることだった。
――
____
透華「わたくし、透華といいます。・・・あなたの従姉妹ですわ」
衣「・・・・・・トーカ・・・・・・?」
初めて衣と会った時のことを思い出す。
世の中の一切に興味をなくした目、保護された先からも怖れられ
半ば軟禁されるように与えられた一室が、その頃の彼女の世界の全てだった。
あのとき自分は誓ったのだ、この子の支えになると。
自分は、衣がいる場所へ行かねばならない。今のままではまだ遠い。
強くならなければ。その為に、ここで負けていては・・・
・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・
・・・・ ・・・・・・・・
・・・・ ・・・・
・・・・ ・・
・・・・
・・
・
世の中の一切に興味をなくした目、保護された先からも怖れられ
半ば軟禁されるように与えられた一室が、その頃の彼女の世界の全てだった。
あのとき自分は誓ったのだ、この子の支えになると。
自分は、衣がいる場所へ行かねばならない。今のままではまだ遠い。
強くならなければ。その為に、ここで負けていては・・・
・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・
・・・・ ・・・・・・・・
・・・・ ・・・・
・・・・ ・・
・・・・
・・
・
純「ツモ。1300・2600だ」
南2局 親:透華
モブA:16100 透華:14000 純:49900 モブB:20000
透華「・・・・・・」
純(まあ、こんなとこか。すっかり大人しくなっちまったな)
南2局 親:透華
モブA:16100 透華:14000 純:49900 モブB:20000
透華「・・・・・・」
純(まあ、こんなとこか。すっかり大人しくなっちまったな)
透華「・・・・・・ ・・・・・・・」
純(しっかし極端な奴だな。いくらヘコまされたとはいえ、あれだけ喧しかったのが)
純(さっきから余計な戯言どころか、ポンやリーチの発声さえも・・・)
純(・・・?いや、ちょっと待て。そういえば、他家もオレもいつから鳴いていない?)
純(必要が無かったからと言えばそれまでだが・・・)
純(よくよく思い出してみれば、ここ数局鳴ける機会自体が無かった)
純(他の奴ならいざ知らず、オレがいる卓で
ここまで場が静かだったことが今までに一度でもあったか・・・?)
ゾワッ!
純(何かとんでもないものが出てきたような悪寒!なんだ?何が起こっている!?)タン
透華「・・・ロン。・・・ピンフ・一盃口・・・2900・・・・」
純(しっかし極端な奴だな。いくらヘコまされたとはいえ、あれだけ喧しかったのが)
純(さっきから余計な戯言どころか、ポンやリーチの発声さえも・・・)
純(・・・?いや、ちょっと待て。そういえば、他家もオレもいつから鳴いていない?)
純(必要が無かったからと言えばそれまでだが・・・)
純(よくよく思い出してみれば、ここ数局鳴ける機会自体が無かった)
純(他の奴ならいざ知らず、オレがいる卓で
ここまで場が静かだったことが今までに一度でもあったか・・・?)
ゾワッ!
純(何かとんでもないものが出てきたような悪寒!なんだ?何が起こっている!?)タン
透華「・・・ロン。・・・ピンフ・一盃口・・・2900・・・・」
純「・・・っ!・・・はいよ・・・・」チャラッ
南2局1本場
モブA:16100 透華:16900 純:47000 モブB:20000
透華「・・・門前自摸・タンヤオ・・・1100オール・・・」
純(・・・駄目だっ、何も出来ねえ。流れが消えた?いや、消えたんじゃない!)
純(まるで河の堰に穏やかに均されたような、そんな静かな感覚 ・・・こんなのは初めてだ!)
南2局2本場
モブA:15000 透華:20200 純:45900 モブB:18900
透華「・・・ロン。・・・七対子・・・3000・・・」
一(いつもの透華とは全く違う、ドライアイスのような冷たさ・・・)
一(周りが身動きすることさえ拒むようなこの感覚は、まるであの月夜のような・・・)
一「透華、キミは一体・・・」
南2局1本場
モブA:16100 透華:16900 純:47000 モブB:20000
透華「・・・門前自摸・タンヤオ・・・1100オール・・・」
純(・・・駄目だっ、何も出来ねえ。流れが消えた?いや、消えたんじゃない!)
純(まるで河の堰に穏やかに均されたような、そんな静かな感覚 ・・・こんなのは初めてだ!)
南2局2本場
モブA:15000 透華:20200 純:45900 モブB:18900
透華「・・・ロン。・・・七対子・・・3000・・・」
一(いつもの透華とは全く違う、ドライアイスのような冷たさ・・・)
一(周りが身動きすることさえ拒むようなこの感覚は、まるであの月夜のような・・・)
一「透華、キミは一体・・・」
南2局3本場
モブA:15000 透華:23200 純:42900 モブB:18900
純(・・・和了れる気もズラせる気も、まるでしねえ。一体どうなってんだ・・・)
タンッ
純(・・・!しまっ・・・!)
不用意に切った牌に対して透華が、またも手牌を倒そうとする
透華「ロ・・・
モブA『ロン。発のみ。1300は2200。頭ハネです』パラ
純(うおっ!た、助かったぜ・・・)
純(けど、ともかくこれで親の連荘は終わった。残り2局、逃げ切らせてもらう!)
モブA:15000 透華:23200 純:42900 モブB:18900
純(・・・和了れる気もズラせる気も、まるでしねえ。一体どうなってんだ・・・)
タンッ
純(・・・!しまっ・・・!)
不用意に切った牌に対して透華が、またも手牌を倒そうとする
透華「ロ・・・
モブA『ロン。発のみ。1300は2200。頭ハネです』パラ
純(うおっ!た、助かったぜ・・・)
純(けど、ともかくこれで親の連荘は終わった。残り2局、逃げ切らせてもらう!)
南3局 親:純
モブA:17200 透華:23200 純:40700 モブB:18900
透華はハッと気がついて卓上を見ていた。
なんだか随分と局が進んでいる。点棒も増えているようだ。
透華(寝落ち?寝落ちですの!?)
透華(冗談じゃありませんわ。徹夜の3日や4日で意識が飛ぶとは、わたくしもまだまだですわね)
透華(真正面から相手の器を測り、その器ごと受け入れるのが高貴なるアイドルの務め!)
透華(それが「よく覚えていませんでした」では、それこそ衣の家族は務まりません!)
そうだ、この程度でつまづいていては、とてもあの子の闇は抱えられない。
透華(井上純!あなたの器見せていただきますわよ!)
透華「リーチですわ!」ピシィッ
モブA:17200 透華:23200 純:40700 モブB:18900
透華はハッと気がついて卓上を見ていた。
なんだか随分と局が進んでいる。点棒も増えているようだ。
透華(寝落ち?寝落ちですの!?)
透華(冗談じゃありませんわ。徹夜の3日や4日で意識が飛ぶとは、わたくしもまだまだですわね)
透華(真正面から相手の器を測り、その器ごと受け入れるのが高貴なるアイドルの務め!)
透華(それが「よく覚えていませんでした」では、それこそ衣の家族は務まりません!)
そうだ、この程度でつまづいていては、とてもあの子の闇は抱えられない。
透華(井上純!あなたの器見せていただきますわよ!)
透華「リーチですわ!」ピシィッ
純「っ‥ポンだ!」タン
純(ようやく一つ鳴けた。・・・だが、これは・・)
透華(一発を消されたくらいヘッチャラですわ!わたくし実は、とっても執念深いんですのよ!)
純(ズラしても、後から後から吹き出てくる怒涛のような流れ。・・・なんなんだ、こいつは!)
2巡後
透華(いらっしゃいまし!)カッ
透華「リーチ・ツモ・混一色・・・裏2!3000・6000いただきですわ!」パラララッ
透華「さあ!オーラスでしてよ!」
オーラス 親:モブB
モブA:14200 透華:35200 純:34700 モブB:15900
純(ようやく一つ鳴けた。・・・だが、これは・・)
透華(一発を消されたくらいヘッチャラですわ!わたくし実は、とっても執念深いんですのよ!)
純(ズラしても、後から後から吹き出てくる怒涛のような流れ。・・・なんなんだ、こいつは!)
2巡後
透華(いらっしゃいまし!)カッ
透華「リーチ・ツモ・混一色・・・裏2!3000・6000いただきですわ!」パラララッ
透華「さあ!オーラスでしてよ!」
オーラス 親:モブB
モブA:14200 透華:35200 純:34700 モブB:15900
純(ジイちゃん、こいつはビックリだぜ。オレの鳴きがまるで通じねーよ・・・)
____
――
純ジイ「そりゃあ!コイコイ!」パシ-ッ
ショタ純「あめしこう!」ペイッ
純ジイ「なにィ!?チキショー、またジジイの負けだ!ホレ、檀家からの高級饅頭食えっ!」
ショタ純「エヘヘ。ジイちゃんは弱いなー。今度オレがコツを教えてあげるよっ」
純ジイ「・・・純、・・・純。おめえには流れを読む才がある。そいつはおめえの宝モンだ」
純ジイ「でもな、こいつだけは覚えとけ」
純ジイ「世の中にはどうにも変えられないような、とんでもねえ流れを作り出す奴が稀にいるのよ」
ショタ純「えーっ!?それじゃ負けちゃうよ!そういうときは、どうすればいいのさ?」
純ジイ「そうさなあ、そんなときはいっそのこと・・・」
____
――
純ジイ「そりゃあ!コイコイ!」パシ-ッ
ショタ純「あめしこう!」ペイッ
純ジイ「なにィ!?チキショー、またジジイの負けだ!ホレ、檀家からの高級饅頭食えっ!」
ショタ純「エヘヘ。ジイちゃんは弱いなー。今度オレがコツを教えてあげるよっ」
純ジイ「・・・純、・・・純。おめえには流れを読む才がある。そいつはおめえの宝モンだ」
純ジイ「でもな、こいつだけは覚えとけ」
純ジイ「世の中にはどうにも変えられないような、とんでもねえ流れを作り出す奴が稀にいるのよ」
ショタ純「えーっ!?それじゃ負けちゃうよ!そういうときは、どうすればいいのさ?」
純ジイ「そうさなあ、そんなときはいっそのこと・・・」
――
____
純(そうだな、こんなときは・・・)
純(そいつの作った流れに乗ってみようかっ!)
純「ポン!」タンッ
透華「ポン!」タンッ
鳴きを入れても奴は止まらず、むしろ勢いはますます加速していく。
だが、オレの流れも止まらない。
純「チー!」タンッ
透華「ポンですわ!」タンッ
____
純(そうだな、こんなときは・・・)
純(そいつの作った流れに乗ってみようかっ!)
純「ポン!」タンッ
透華「ポン!」タンッ
鳴きを入れても奴は止まらず、むしろ勢いはますます加速していく。
だが、オレの流れも止まらない。
純「チー!」タンッ
透華「ポンですわ!」タンッ
牌を晒すたびに、どんどん自分が軽くなっていく感覚。
自分の中にあったゴミみたいなこだわりが、消し飛んでいく。
気づけばオレも奴も手元にあるのは一牌だけになっていた。
裸単騎・・・オレの待ちは、東。
そして恐らく奴の待ちも・・・
…パタ…
3巡後、卓上に現れた東と同時に静かに奴の手牌が倒された。
透華「・・・ツモ。中・トイトイ・三色同刻 2000・4000!ですわ!」
自分の中にあったゴミみたいなこだわりが、消し飛んでいく。
気づけばオレも奴も手元にあるのは一牌だけになっていた。
裸単騎・・・オレの待ちは、東。
そして恐らく奴の待ちも・・・
…パタ…
3巡後、卓上に現れた東と同時に静かに奴の手牌が倒された。
透華「・・・ツモ。中・トイトイ・三色同刻 2000・4000!ですわ!」
――
____
モブC『お疲れさん、噂の彼はどうだったよ?』
モブA『あー、もうっ!ほんっと、疲れた!!』
モブA『和了りも振込みもゼロの半荘干渉せずってなら楽勝だけどさ!』
モブA『サシ勝負に影響しないような適度な打ち回しって結構神経使うんだから!』
モブB『それも意図的に場を荒らす人がいるんだから大変だよー』
モブB『今度はニーマンが打つ役やってよねー』
モブC/ニーマン『だってアタシ日本語わからねーし。お前らの方が適任だって』
モブA/ブルーメンタール姉『あいつは、ずっとドイツに住んでるってーの!』
モブB/ブルーメンタール妹『でも噂通り、なかなか面白い打ち方の人だったねー』
____
モブC『お疲れさん、噂の彼はどうだったよ?』
モブA『あー、もうっ!ほんっと、疲れた!!』
モブA『和了りも振込みもゼロの半荘干渉せずってなら楽勝だけどさ!』
モブA『サシ勝負に影響しないような適度な打ち回しって結構神経使うんだから!』
モブB『それも意図的に場を荒らす人がいるんだから大変だよー』
モブB『今度はニーマンが打つ役やってよねー』
モブC/ニーマン『だってアタシ日本語わからねーし。お前らの方が適任だって』
モブA/ブルーメンタール姉『あいつは、ずっとドイツに住んでるってーの!』
モブB/ブルーメンタール妹『でも噂通り、なかなか面白い打ち方の人だったねー』
ブル姉『まあね。打牌のスタイルもそうだけど、あのタフさはちょっとばかり面倒そうだったわ』
ブル姉『選抜戦でうちの州とやるなら、マークすべき相手だったと思うけどさ』
ブル姉『あいつ、この国出ちゃうみたいよ?』
ブル妹『本番でお手合わせしてみたかったけどねー』
ブル妹『それに気になる人がもう一人いたしー・・・』
ブル姉『・・・あの金髪ジャパニーズ、よく分かんなかったわね』
ブル姉『妙に素人くさいと思ったら急に隙なくなったり、バカみたいにツキまくったりさ』
ブル妹『でもお姉ちゃん、途中でちょっと本気になったでしょー』
ブル妹『あの頭ハネ、ホントは直撃したかったんじゃないー?』
ブル姉『選抜戦でうちの州とやるなら、マークすべき相手だったと思うけどさ』
ブル姉『あいつ、この国出ちゃうみたいよ?』
ブル妹『本番でお手合わせしてみたかったけどねー』
ブル妹『それに気になる人がもう一人いたしー・・・』
ブル姉『・・・あの金髪ジャパニーズ、よく分かんなかったわね』
ブル姉『妙に素人くさいと思ったら急に隙なくなったり、バカみたいにツキまくったりさ』
ブル妹『でもお姉ちゃん、途中でちょっと本気になったでしょー』
ブル妹『あの頭ハネ、ホントは直撃したかったんじゃないー?』
ブル姉『るっさい!どの程度やれるのか、ちょっと見てみただけよっ!』
ブル姉『まあまあだったわねっ』プイツ
ニーマン『まあお互い麻雀やって勝ち続けてれば、そのうち当たることもあるだろうよ』
ブル姉『・・・そうね、そのときは改めて叩きのめしてあげるわよ』
ブル姉『どちらにしろ、誰が相手だろうと、私たちブルーメンタール姉妹に・・・敵はないわっ!』
ブル妹『ないわー』
ブル姉『まあまあだったわねっ』プイツ
ニーマン『まあお互い麻雀やって勝ち続けてれば、そのうち当たることもあるだろうよ』
ブル姉『・・・そうね、そのときは改めて叩きのめしてあげるわよ』
ブル姉『どちらにしろ、誰が相手だろうと、私たちブルーメンタール姉妹に・・・敵はないわっ!』
ブル妹『ないわー』
-翌日-フランクフルト空港
透華「オーッホッホッホ!待っていなさい衣!」
透華「あなたの遊び相手、もうすぐ連れていきますわよ!」
純「だから誰だよ、衣って・・・」
スーツケースの山の前で高笑いする透華を遠目に収めながら純はボヤいた。
純「あいつ、たった数日の滞在にあれだけの荷物を持ってきてたのか・・・」
まったくもってワケの分からないお嬢様だ。
対する自分は、足元に置いてある小さな手さげバッグ1つ。
これから住む国を変えようとする人間の荷物とは別の意味で思えない。
純(まあ、これでいいさ )
透華「オーッホッホッホ!待っていなさい衣!」
透華「あなたの遊び相手、もうすぐ連れていきますわよ!」
純「だから誰だよ、衣って・・・」
スーツケースの山の前で高笑いする透華を遠目に収めながら純はボヤいた。
純「あいつ、たった数日の滞在にあれだけの荷物を持ってきてたのか・・・」
まったくもってワケの分からないお嬢様だ。
対する自分は、足元に置いてある小さな手さげバッグ1つ。
これから住む国を変えようとする人間の荷物とは別の意味で思えない。
純(まあ、これでいいさ )
純「まさか、こんな形で日本に戻るとはなあ」
勝負が決まるやいなや、出国・転出・転入と透華はあっという間に手続きを済ませていた。
実家に戻った純が荷造りがてら「日本に行くことになった」と簡素極まる報告をしたのが今朝の話だ。
母さんは半ば呆れて声も出ない感じだったが、今夜辺り出張から帰ってきた親父と
馬鹿娘の処遇について話し合うのかもしれない。だが純はもう考えを変えるつもりは無かった。
久方ぶりの母国へ、まだ見ぬ世界へ、そこで自分は何を見つけるのだろうか・・・
勝負が決まるやいなや、出国・転出・転入と透華はあっという間に手続きを済ませていた。
実家に戻った純が荷造りがてら「日本に行くことになった」と簡素極まる報告をしたのが今朝の話だ。
母さんは半ば呆れて声も出ない感じだったが、今夜辺り出張から帰ってきた親父と
馬鹿娘の処遇について話し合うのかもしれない。だが純はもう考えを変えるつもりは無かった。
久方ぶりの母国へ、まだ見ぬ世界へ、そこで自分は何を見つけるのだろうか・・・
一「寂しい?」
柄にもなく物思いに耽っていると声をかけられ、近づいてくる人影に顔を上げる。
純「いいや、別にそんなことはねーぜ。学園裏のブルストが食えなくなるのは、ちっと惜しいけどな」
一「ハハ、まあ日本にも美味しい食べ物はあるし、退屈はしないと思うよ。色々な意味で・・・」
一「でも楽しいんじゃないかな。ううん、きっとそうなるよ」
一「改めてよろしくね、井上純くん。ボクたちは家族になるんだ」
純(家族・・血や家柄とは違う絆でつながった、もう一つの家族、か・・・)
純「ああ、これからよろしくな。国広くん」
握手を返し、バッグを肩に担いで入場ゲートに歩いて行く。
純(これでしばらくはこの国も見納めか)
搭乗ゲートの前、何となく振り向いた視線の先、だがそこに立っていたのは・・・
純「親父・・・」
柄にもなく物思いに耽っていると声をかけられ、近づいてくる人影に顔を上げる。
純「いいや、別にそんなことはねーぜ。学園裏のブルストが食えなくなるのは、ちっと惜しいけどな」
一「ハハ、まあ日本にも美味しい食べ物はあるし、退屈はしないと思うよ。色々な意味で・・・」
一「でも楽しいんじゃないかな。ううん、きっとそうなるよ」
一「改めてよろしくね、井上純くん。ボクたちは家族になるんだ」
純(家族・・血や家柄とは違う絆でつながった、もう一つの家族、か・・・)
純「ああ、これからよろしくな。国広くん」
握手を返し、バッグを肩に担いで入場ゲートに歩いて行く。
純(これでしばらくはこの国も見納めか)
搭乗ゲートの前、何となく振り向いた視線の先、だがそこに立っていたのは・・・
純「親父・・・」
純パパ「帰りの便がちょうど近かったのでな」
どうも出国時間のアタリをつけて待っていたらしい、父の姿がそこにあった。
妙に言い訳がましく一度咳払いをしてから続ける
純パパ「純、お前が決めたお前の人生だ、好きにするがいい。
純パパ「私はここで私の務めを果たすだけだ、そこにはお前の父という務めも入っているがな」
純パパ「お母さんにも言っておく。気丈に振舞っていても
あれで心配症だから、たまには顔を見せに帰ってきてやれ」
純パパ「・・・それと、日本に行ったら爺さんの墓参りを忘れるなよ」
純パパ「お前に似て大食らいだったから、お供えの饅頭は多めに持っていけ」
純「・・・ああ、世界チャンピオンになって帰ってくるわ」
ニッと笑い片手を上げながら幾分軽くなったように
思えるバッグを担いでゲートをくぐる。今度は振り返らなかった。
そして純は慣れ親しんだドイツを後にする。
向かう先には、またいくつかの新たな出会いが・・・。
どうも出国時間のアタリをつけて待っていたらしい、父の姿がそこにあった。
妙に言い訳がましく一度咳払いをしてから続ける
純パパ「純、お前が決めたお前の人生だ、好きにするがいい。
純パパ「私はここで私の務めを果たすだけだ、そこにはお前の父という務めも入っているがな」
純パパ「お母さんにも言っておく。気丈に振舞っていても
あれで心配症だから、たまには顔を見せに帰ってきてやれ」
純パパ「・・・それと、日本に行ったら爺さんの墓参りを忘れるなよ」
純パパ「お前に似て大食らいだったから、お供えの饅頭は多めに持っていけ」
純「・・・ああ、世界チャンピオンになって帰ってくるわ」
ニッと笑い片手を上げながら幾分軽くなったように
思えるバッグを担いでゲートをくぐる。今度は振り返らなかった。
そして純は慣れ親しんだドイツを後にする。
向かう先には、またいくつかの新たな出会いが・・・。
~一ヶ月後。日本・長野~
透華「ただいま戻りましたわ!」
見たこともないような大きな門を通り、案内されるがまま
これまた呆れるような広さの部屋に通されると、私と同年代のメイドが二人出迎えた。
一「お帰りー透華。その人がゲームで会った人?」
純「うわ、ほんとにそのまま連れてきたよ。相変わらず強引な奴・・・」
???「・・・・・・・・・」
透華「ただいま戻りましたわ!」
見たこともないような大きな門を通り、案内されるがまま
これまた呆れるような広さの部屋に通されると、私と同年代のメイドが二人出迎えた。
一「お帰りー透華。その人がゲームで会った人?」
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