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元スレ北斗「趣味はヴァイオリンとピアノかな☆」
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『~♪ ♪』
北斗「これは…………俺の、……!!!」
疾走。快活なテンポで、野を行く一匹の兎。純真を帯びるアレグロ。
その音は次第に装飾を重ね。
潜んだ影がうねりを伴い表層に浮かび、哀切の響きをもたらしていく。
転調。しかしそこに在るのは悲痛さだけではなくて――――
煌いて、輝いて、不屈で、強くて、素晴らしくて、元気で、まっすぐな、
希望が乗っている。
北斗「これは…………俺の、……!!!」
疾走。快活なテンポで、野を行く一匹の兎。純真を帯びるアレグロ。
その音は次第に装飾を重ね。
潜んだ影がうねりを伴い表層に浮かび、哀切の響きをもたらしていく。
転調。しかしそこに在るのは悲痛さだけではなくて――――
煌いて、輝いて、不屈で、強くて、素晴らしくて、元気で、まっすぐな、
希望が乗っている。
歌。――そう歌だ。
綴られていく世界は、夢見る幼い子どもの希望と試練。
零れる寒さと、暗き道。
宝物を見失い、寄る辺なく漂って。
それでも手を取り歩き出す。
光。――――光。光。光。
前進する。憂いに涙が溢れても。
背中が熱い。
それは来し方。かつての夢からの熱い風。
背を押され。手に導かれ。――――そうこの道こそ。
綴られていく世界は、夢見る幼い子どもの希望と試練。
零れる寒さと、暗き道。
宝物を見失い、寄る辺なく漂って。
それでも手を取り歩き出す。
光。――――光。光。光。
前進する。憂いに涙が溢れても。
背中が熱い。
それは来し方。かつての夢からの熱い風。
背を押され。手に導かれ。――――そうこの道こそ。
『――――――――――あの日私が求めた世界』
――おいっ! 北斗! どこに行くんだ!
――待ってよ! ねえ!
――おいっ! 北斗! どこに行くんだ!
――待ってよ! ねえ!
千早「それでは。また来週お会いしましょう……」
千早(作曲されてない後半部分。私はその空白に仲間に貰った暖かさと、強さを入れた)
控室
千早「ふう。……やれたわ。私」
P「やったな! 千早!」
春香「千早ちゃん!」ギュッ!
千早「わ、春香!」
春香「えへへ。生歌聴いてたらなんかすっごく千早ちゃんありがとーって気分になっちゃって」
千早「そう……」
春香「伝わってるといいね」
千早「うん。伝えられた、と思う」
P「そろそろ控室出るぞ。事務所でささやかな打ち上げでも……」
バン!
北斗「……はっ……はっ……ッ!」
千早(作曲されてない後半部分。私はその空白に仲間に貰った暖かさと、強さを入れた)
控室
千早「ふう。……やれたわ。私」
P「やったな! 千早!」
春香「千早ちゃん!」ギュッ!
千早「わ、春香!」
春香「えへへ。生歌聴いてたらなんかすっごく千早ちゃんありがとーって気分になっちゃって」
千早「そう……」
春香「伝わってるといいね」
千早「うん。伝えられた、と思う」
P「そろそろ控室出るぞ。事務所でささやかな打ち上げでも……」
バン!
北斗「……はっ……はっ……ッ!」
P「うおっ! 北斗!? お前女性アイドルの控室に……」
千早「伊集院さん!? あの――」
北斗「――――『なんてことを』」ツカツカ
北斗「してくれたんだっ!!!」ガシッ!!
千早「きゃっ……!」
春香「わわっ!?」
P「なっ!」
千早「伊集院さん!? あの――」
北斗「――――『なんてことを』」ツカツカ
北斗「してくれたんだっ!!!」ガシッ!!
千早「きゃっ……!」
春香「わわっ!?」
P「なっ!」
千早「え、あの」
北斗「人の曲をっ!! 勝手に!! あんな風に歪めて…………っ!!!」
千早「か、肩、い、痛……い……!!」
P「!! 北斗! 千早を放せ!」ガッ!
北斗「あの曲はっ、あんなんじゃない!! あんな意味を持っていない!! あんな! あんなあんな!!!」
北斗「あんな…………曲じゃっ…………!」
千早「う……ぁ……」
冬馬「北斗ォォォッッッー――!!!」ドガッ!!!
北斗「ぐっ!?」
春香「冬馬くん!?」
北斗「人の曲をっ!! 勝手に!! あんな風に歪めて…………っ!!!」
千早「か、肩、い、痛……い……!!」
P「!! 北斗! 千早を放せ!」ガッ!
北斗「あの曲はっ、あんなんじゃない!! あんな意味を持っていない!! あんな! あんなあんな!!!」
北斗「あんな…………曲じゃっ…………!」
千早「う……ぁ……」
冬馬「北斗ォォォッッッー――!!!」ドガッ!!!
北斗「ぐっ!?」
春香「冬馬くん!?」
冬馬「てめぇ……!! なにやってやがる!!」
北斗「こいつは……俺の、俺だけの曲を、奪い去ったんだよ! 冬馬!!」
P(! あの北斗が女性を『こいつ』呼ばわり……!?)
千早「はっ、はぁ……」
春香「千早ちゃん大丈夫!?」
千早「奪い、去った……?」
北斗「あの曲は……俺がピアニストを目指してた頃から作って……その夢が挫折してからも作って……もう二度と作れない、過去を閉じ込めた曲なのに……!!」
千早「――え」
北斗「最後をあんな曲調にして……どんなアナリーゼだ……っ!! 無責任に希望をばら撒くような安易な曲にして……っ!」
北斗「よくも……!!」バッ
三条馬「ぜはっ! 北斗くんストーップ!! 落ち着いて!」
P「マネージャーさん!」
北斗「こいつは……俺の、俺だけの曲を、奪い去ったんだよ! 冬馬!!」
P(! あの北斗が女性を『こいつ』呼ばわり……!?)
千早「はっ、はぁ……」
春香「千早ちゃん大丈夫!?」
千早「奪い、去った……?」
北斗「あの曲は……俺がピアニストを目指してた頃から作って……その夢が挫折してからも作って……もう二度と作れない、過去を閉じ込めた曲なのに……!!」
千早「――え」
北斗「最後をあんな曲調にして……どんなアナリーゼだ……っ!! 無責任に希望をばら撒くような安易な曲にして……っ!」
北斗「よくも……!!」バッ
三条馬「ぜはっ! 北斗くんストーップ!! 落ち着いて!」
P「マネージャーさん!」
北斗「たった一つ、たった一つしか無かったのに……」
千早「い、伊集院さん。私は……夢が繋がっていることを伝えようと――」
北斗「そんなことは知っている!! あの曲に入れるな!」
千早「!! …ぁ…あぁ……」
冬馬「北斗止まれバカ野郎!! おい! あんた手伝ってくれ!」
P「わ、分かった!」
翔太「うわ、わわ! どういう状況これ? とりあえず、北斗くん止めた方がいいよね!」
三条馬「部屋どっか借りてくる!」
千早「私……私は……」
春香「落ち着いて!」
千早「取り返しのつかないことを……」
千早「い、伊集院さん。私は……夢が繋がっていることを伝えようと――」
北斗「そんなことは知っている!! あの曲に入れるな!」
千早「!! …ぁ…あぁ……」
冬馬「北斗止まれバカ野郎!! おい! あんた手伝ってくれ!」
P「わ、分かった!」
翔太「うわ、わわ! どういう状況これ? とりあえず、北斗くん止めた方がいいよね!」
三条馬「部屋どっか借りてくる!」
千早「私……私は……」
春香「落ち着いて!」
千早「取り返しのつかないことを……」
――
――――
冬馬「北斗……お前……」
P(どうにかこうにか部屋に連れ込んだと思ったら、北斗顔に手を当てて突っ伏してしまったな)
翔太「これ……」
三条馬(泣いている、わよね)
北斗「――……」
前の検査から、ほとんど腱の再建は不可能だと言われていた。
だから今回精密検査を受ける前から、ピアニストの夢はもう二度と蘇らない予感はしていた。
だが自分のためのピアノを見つけ、絶たれた夢のための曲を伊集院北斗は創っていた。
――――
冬馬「北斗……お前……」
P(どうにかこうにか部屋に連れ込んだと思ったら、北斗顔に手を当てて突っ伏してしまったな)
翔太「これ……」
三条馬(泣いている、わよね)
北斗「――……」
前の検査から、ほとんど腱の再建は不可能だと言われていた。
だから今回精密検査を受ける前から、ピアニストの夢はもう二度と蘇らない予感はしていた。
だが自分のためのピアノを見つけ、絶たれた夢のための曲を伊集院北斗は創っていた。
それは北斗が夢に向けて綴る葬送の曲であり、ピアノと出会えた感謝を表す曲であり、これからもピアノを愛することに誓いを立てる曲だった。
どこにも繋がらなくてもいい、伊集院北斗とその夢とピアノが捧ぐ、ミューズへの届かぬ恋文。
――自分と夢と音楽へのけじめの曲。
それが、きらめく少女達の手に渡り。希望を積まれ、未来への前進の意思を注がれ、弱っている人に響くようにと。
――――応援曲に『整形』させられていた。
もう二度と作れない、あの日の閃きによって成る曲。
静粛に自分に向き合い彫琢した音階。
続きを作曲しようと思っても、この日歪められたという記憶が、その指針を見失わせる。
新たに入ってきた失望と、憤激と、悲哀。そして、変形した完成版の曲調。
心からそれを排除して作曲は、望むべくもないだろう。
この日。伊集院北斗だけのあの曲は、失われた。――再建しようがないほどに。
どこにも繋がらなくてもいい、伊集院北斗とその夢とピアノが捧ぐ、ミューズへの届かぬ恋文。
――自分と夢と音楽へのけじめの曲。
それが、きらめく少女達の手に渡り。希望を積まれ、未来への前進の意思を注がれ、弱っている人に響くようにと。
――――応援曲に『整形』させられていた。
もう二度と作れない、あの日の閃きによって成る曲。
静粛に自分に向き合い彫琢した音階。
続きを作曲しようと思っても、この日歪められたという記憶が、その指針を見失わせる。
新たに入ってきた失望と、憤激と、悲哀。そして、変形した完成版の曲調。
心からそれを排除して作曲は、望むべくもないだろう。
この日。伊集院北斗だけのあの曲は、失われた。――再建しようがないほどに。
765プロ
律子「着いたわよ。千早……」
律子(プロデューサーから連絡が合って千早と春香を迎えに行ったものの……)
千早「うっ……うぅぅっ……」グスッグスッ
律子(こんな風に泣いてるなんて……)
律子(ジュピターとはプロデューサーが話をつけるとして、問題はどう千早を慰めるかね)
春香「千早ちゃん泣かないで」
千早「ひぐ……っ……ぅぅ」
あずさ「ほら。よしよし。伊集院さん怖かったわね?」
千早「違うんです! 悪いのは……私なんです……っ」
千早「盗作です…………侮辱です……っ!」
春香「要所要所のフレーズだけでしょ? 思い出してもらえるようにって……」
千早「それが、歪めているってことなのよ!!」
やよい「千早さん……っ」
律子「着いたわよ。千早……」
律子(プロデューサーから連絡が合って千早と春香を迎えに行ったものの……)
千早「うっ……うぅぅっ……」グスッグスッ
律子(こんな風に泣いてるなんて……)
律子(ジュピターとはプロデューサーが話をつけるとして、問題はどう千早を慰めるかね)
春香「千早ちゃん泣かないで」
千早「ひぐ……っ……ぅぅ」
あずさ「ほら。よしよし。伊集院さん怖かったわね?」
千早「違うんです! 悪いのは……私なんです……っ」
千早「盗作です…………侮辱です……っ!」
春香「要所要所のフレーズだけでしょ? 思い出してもらえるようにって……」
千早「それが、歪めているってことなのよ!!」
やよい「千早さん……っ」
千早「自分に勝手に重ね合わせて! 夢は続いていくなんて……なんて無責任なおせっかいを!」
千早「そのせいで、そのせいで……彼が心の大事な部分で守っていた、たった一つの宝物を……私は汚してしまったんだ……!」
千早「あの人は。もう……覚悟を決めていたのに!」
千早「久遠に在る音楽の神様が微笑んでくれなくても、その後ろ姿をずっと追いかけるって……
自分の夢を無かったことにしないって、そうやって、しっかり乗り越えていたのに!」
千早「あの人だけの曲を、あの人だけの痛みを……こんな、まるで違う風に歪めて……っ!!
私……最低だ……」
千早「なんてことを……して、しまったのかしら……っ」
失礼>>128は誤爆
冬馬「――そういうことか。そんな大事な曲ならよ、趣味だなんて言ってごまかさなきゃ良かったんだよ」
翔太「ちょっと冬馬くん」
北斗「……」
冬馬「誰にも触れてほしくない、一人でやりたい、そんな言い方もあったはずだぜ。自業自得だ」
P「おい……そんな言い方、北斗があまりに……」
北斗「……そうだな」
北斗「なんてことはない。俺のせいだ」
P「千早はな、声出なくなったことがあるからさ、お前をほっとけなかったんだと思うんだ」
P「それで希望を持ってもらいたいって……その想いは純粋で、本当なんだ。そこは分かってくれ」
北斗「……はい。ひどい真似をしてしまいました」
P「ああ。どうだろう。今回歌ったこの曲、CDに収録するのやめるから、この件に対しては……」
北斗「問題にする気はありませんよ。CDに収録して下さっても結構です。あれはもう、彼女の曲になっている」
彼女は、あの曲が表に出ないと知って、拾いあげてくれようとしたんでしょう…………」
三条馬(北斗くん。声に起伏がない……)
北斗「こちらこそ乱暴してしまって。謝罪します」
P「いや、こちらこそ……」
翔太「ちょっと冬馬くん」
北斗「……」
冬馬「誰にも触れてほしくない、一人でやりたい、そんな言い方もあったはずだぜ。自業自得だ」
P「おい……そんな言い方、北斗があまりに……」
北斗「……そうだな」
北斗「なんてことはない。俺のせいだ」
P「千早はな、声出なくなったことがあるからさ、お前をほっとけなかったんだと思うんだ」
P「それで希望を持ってもらいたいって……その想いは純粋で、本当なんだ。そこは分かってくれ」
北斗「……はい。ひどい真似をしてしまいました」
P「ああ。どうだろう。今回歌ったこの曲、CDに収録するのやめるから、この件に対しては……」
北斗「問題にする気はありませんよ。CDに収録して下さっても結構です。あれはもう、彼女の曲になっている」
彼女は、あの曲が表に出ないと知って、拾いあげてくれようとしたんでしょう…………」
三条馬(北斗くん。声に起伏がない……)
北斗「こちらこそ乱暴してしまって。謝罪します」
P「いや、こちらこそ……」
P(男の意地、みたいなもんか)
P(正直、気持ちは分かる)
P(もし765プロが無くなって、アイドル達が離れて行っても……俺はプロデュースをやめないだろう)
P(最後に残った一人に全てをかけて、輝かせようとするだろう)
P(それは仕事というより、自分自身と不可分になってしまった営みなんだろうな)
P(男の自己満足……とも言えるが。その頂点に肉薄しようとする気持ちとかは、全然馬鹿に出来ない)
P(それは、本当に純粋な思いだから)
P(千早もそれがわかるだろう。だからこそ、傷ついてしまうんだろうな……)
P(問題は、千早のケアか)
P(正直、気持ちは分かる)
P(もし765プロが無くなって、アイドル達が離れて行っても……俺はプロデュースをやめないだろう)
P(最後に残った一人に全てをかけて、輝かせようとするだろう)
P(それは仕事というより、自分自身と不可分になってしまった営みなんだろうな)
P(男の自己満足……とも言えるが。その頂点に肉薄しようとする気持ちとかは、全然馬鹿に出来ない)
P(それは、本当に純粋な思いだから)
P(千早もそれがわかるだろう。だからこそ、傷ついてしまうんだろうな……)
P(問題は、千早のケアか)
――
――――
北斗「…………」
北斗(ピアノの前に座ったはいいものの……全然作曲する気にならない)
北斗(だが、涙が出てこなくは、なった)
北斗(喪失感には慣れたか。ようやく)
北斗(千早ちゃんとの話し合いの時刻。まだ時間があるが……)
北斗(もう、やれることはないだろう)
北斗「……行くか」
北斗「謝らないとね」
――――
北斗「…………」
北斗(ピアノの前に座ったはいいものの……全然作曲する気にならない)
北斗(だが、涙が出てこなくは、なった)
北斗(喪失感には慣れたか。ようやく)
北斗(千早ちゃんとの話し合いの時刻。まだ時間があるが……)
北斗(もう、やれることはないだろう)
北斗「……行くか」
北斗「謝らないとね」
――
千早「すいませんでした!」
北斗「っ!」
P「本当にすまなかった北斗」
千早「私! 本当にとんでもないことを! あなたの人生に土足で踏み行って! どうお詫びしていいか……!!」
北斗「待ってくれ千早ちゃん」
千早「は、はい」
北斗「まず、一つ。あの時乱暴な真似をしてすまなかった。伊集院北斗にあるまじき行為……いや男として間違った振る舞いだった。傷ついたのなら許してほしい」
千早「…………っ! あれくらい当然です! 私があなたの立場だったらもっとひどいことをしています!」
P「おい、千早!」
三条馬「まあまあ、お互い悪いって思ってるんなら、話は早いわ! 765プロさん。この度は本当に……」
P「いえいえジュピターさんの方にも……」
千早「――わかってるんです。私が謝ってもあなたのあの曲は帰ってこない……」
北斗「もうその話は無しだ千早ちゃん。俺の振る舞いが悪かったんだよ」
千早「すいませんでした!」
北斗「っ!」
P「本当にすまなかった北斗」
千早「私! 本当にとんでもないことを! あなたの人生に土足で踏み行って! どうお詫びしていいか……!!」
北斗「待ってくれ千早ちゃん」
千早「は、はい」
北斗「まず、一つ。あの時乱暴な真似をしてすまなかった。伊集院北斗にあるまじき行為……いや男として間違った振る舞いだった。傷ついたのなら許してほしい」
千早「…………っ! あれくらい当然です! 私があなたの立場だったらもっとひどいことをしています!」
P「おい、千早!」
三条馬「まあまあ、お互い悪いって思ってるんなら、話は早いわ! 765プロさん。この度は本当に……」
P「いえいえジュピターさんの方にも……」
千早「――わかってるんです。私が謝ってもあなたのあの曲は帰ってこない……」
北斗「もうその話は無しだ千早ちゃん。俺の振る舞いが悪かったんだよ」
千早「あなたが許しても、私自分で自分を許せません!」
北斗「千早ちゃん……そう自分を追い詰めちゃダメだよ。俺は女性にそんな顔をしてもらいたくはないんだ」
北斗「格好、つけさせてくれ。頼む……」
千早「……あなたが、そんな悲しい目をしてることが私には耐えられません」
千早「責任の取り方ずっと考えたんです。あなたの音楽的な失望につり合うのはどんなことかって……」
千早「悩んで悩んで、決めました。伊集院さん」
千早「私――――あなたに言われた曲を封印します」
P「千早……! それは保留だと言っただろ!」
北斗「君の歌声が聴けなくなることに、メリットはないよ。むしろデメリットに感じる」
千早「私も……あなただけの、あの曲が完成しなかったら、悲しいと思います。だから、です。こうしないと釣り合わない……!」
北斗「千早ちゃん……そう自分を追い詰めちゃダメだよ。俺は女性にそんな顔をしてもらいたくはないんだ」
北斗「格好、つけさせてくれ。頼む……」
千早「……あなたが、そんな悲しい目をしてることが私には耐えられません」
千早「責任の取り方ずっと考えたんです。あなたの音楽的な失望につり合うのはどんなことかって……」
千早「悩んで悩んで、決めました。伊集院さん」
千早「私――――あなたに言われた曲を封印します」
P「千早……! それは保留だと言っただろ!」
北斗「君の歌声が聴けなくなることに、メリットはないよ。むしろデメリットに感じる」
千早「私も……あなただけの、あの曲が完成しなかったら、悲しいと思います。だから、です。こうしないと釣り合わない……!」
北斗(この子…………本気だね)
千早「――!!」
北斗(なんて、音楽にひた向きな……全身全霊をかけていないと、こんな償い方出てこない……)
北斗(許す……か。俺はどうやったらこの子を許せる。問題は……そこだ)
遠く響いていたBGMが、この喫茶店の個室の沈黙の上に積もっていく。
北斗(これ、ブルックナーか……)
北斗(小さな時から、好きだったな)
北斗(あの時の純心を……まだ残していたのが、あの曲の冒頭なんだった……)
あの曲を思い出す。そしてそれは連鎖して、耳に残るバレンタインデーのあの千早の歌を否応なしに思い出させる。
北斗(そう、あの歌は……この子が作ったんだ)
千早「――!!」
北斗(なんて、音楽にひた向きな……全身全霊をかけていないと、こんな償い方出てこない……)
北斗(許す……か。俺はどうやったらこの子を許せる。問題は……そこだ)
遠く響いていたBGMが、この喫茶店の個室の沈黙の上に積もっていく。
北斗(これ、ブルックナーか……)
北斗(小さな時から、好きだったな)
北斗(あの時の純心を……まだ残していたのが、あの曲の冒頭なんだった……)
あの曲を思い出す。そしてそれは連鎖して、耳に残るバレンタインデーのあの千早の歌を否応なしに思い出させる。
北斗(そう、あの歌は……この子が作ったんだ)
北斗(女のことが歌を贈ってくれた。それ自体は、嬉しいことだ)
北斗(そして、女性の思いを無碍にするのは、伊集院北斗のするところじゃない)
北斗(人生に降ってわいたこの出来事)
北斗(それが悪いことか、いいことか。決断しなきゃならないのは…………俺か)
北斗(女の子の決意がかかってる)
北斗(そんな時。俺の出す、答えは……?)
あの時のように。目を閉じて、本心を感じる。
北斗「……………………」
北斗「…………」
北斗「……」
北斗(愛が、なければ)
北斗(そして、女性の思いを無碍にするのは、伊集院北斗のするところじゃない)
北斗(人生に降ってわいたこの出来事)
北斗(それが悪いことか、いいことか。決断しなきゃならないのは…………俺か)
北斗(女の子の決意がかかってる)
北斗(そんな時。俺の出す、答えは……?)
あの時のように。目を閉じて、本心を感じる。
北斗「……………………」
北斗「…………」
北斗「……」
北斗(愛が、なければ)
北斗(愛がなければ、あんな曲はできないよな。誰かから与えられた愛が、誰かのための愛に。俺のあの曲は千早ちゃんの愛を受けた……)
北斗「アモーレこそ伝えるべき気持ち……」
P「え?」
北斗「言われてみれば、原点だ……千早ちゃん」
千早「はい!」
北斗「封印は無しだよ」
千早「でも!」
北斗「代わりに」
北斗「ピアノを始めてくれ」
千早「――――え?」
北斗「アモーレこそ伝えるべき気持ち……」
P「え?」
北斗「言われてみれば、原点だ……千早ちゃん」
千早「はい!」
北斗「封印は無しだよ」
千早「でも!」
北斗「代わりに」
北斗「ピアノを始めてくれ」
千早「――――え?」
・・・
・・
冬馬「うっし! 今日のところはこれで解散だ」
翔太「おつかれ――」
北斗「ああ、お疲れ」
翔太「また、行くのー?」
北斗「ああ。自分で決めたことだからね」
冬馬「北斗」
北斗「ん?」
冬馬「また、『見つけろ』よ」
北斗「…………ふ、言われるまでも、無く」
・・
冬馬「うっし! 今日のところはこれで解散だ」
翔太「おつかれ――」
北斗「ああ、お疲れ」
翔太「また、行くのー?」
北斗「ああ。自分で決めたことだからね」
冬馬「北斗」
北斗「ん?」
冬馬「また、『見つけろ』よ」
北斗「…………ふ、言われるまでも、無く」
北斗(結局、俺は……うやむやにしたんだろうな)
北斗(あの曲を失ったの痛みを、女性への対応の範疇に押し込めたんだ)
北斗(それでは、あの曲が報われないと知りながら)
北斗(でも、でもだ)
北斗(あの歌詞のように。希望を持ってしまうことさえ――――あの曲に対する裏切りだろうか?)
北斗(まだ、答えは出ない)
北斗(だから、この選択に責任を持って進む。そして…………音楽の神のジャッジを待つ。)
北斗(俺に出来るのはそれくらいしかない)
千早「先生! お待ちしていました」
北斗(あの曲を失ったの痛みを、女性への対応の範疇に押し込めたんだ)
北斗(それでは、あの曲が報われないと知りながら)
北斗(でも、でもだ)
北斗(あの歌詞のように。希望を持ってしまうことさえ――――あの曲に対する裏切りだろうか?)
北斗(まだ、答えは出ない)
北斗(だから、この選択に責任を持って進む。そして…………音楽の神のジャッジを待つ。)
北斗(俺に出来るのはそれくらいしかない)
千早「先生! お待ちしていました」
北斗「週一で見てるか見てないかってぐらいなのに、先生なんて呼ばなくていいよ……あ、これ差し入れです」
P「おお、ありがとう」
北斗「がんばるね、千早ちゃん」
千早「……私。先生を満足させるまでやめません」
北斗「あぁ、だからさ、それはもういいって……」
千早「それに、私とてもピアノが好きになっているんです」
北斗「――それは良かった! そうじゃないと」
千早「本当の音は出てこない、ですよね。……課題曲。なんとか、最後まで弾けるようになりました」
北斗「そういうこと、わかってるね☆ ……じゃあ聞かせてくれるかな」
P「おう、聞かせてやれ! 千早」
千早「はい!」
千早「――!」~♪ ――♪♪
P「おお、ありがとう」
北斗「がんばるね、千早ちゃん」
千早「……私。先生を満足させるまでやめません」
北斗「あぁ、だからさ、それはもういいって……」
千早「それに、私とてもピアノが好きになっているんです」
北斗「――それは良かった! そうじゃないと」
千早「本当の音は出てこない、ですよね。……課題曲。なんとか、最後まで弾けるようになりました」
北斗「そういうこと、わかってるね☆ ……じゃあ聞かせてくれるかな」
P「おう、聞かせてやれ! 千早」
千早「はい!」
千早「――!」~♪ ――♪♪
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