私的良スレ書庫
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元スレ北斗「趣味はヴァイオリンとピアノかな☆」
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千早(いつもの余裕そうな顔が、少し力なく見える)
千早(私は何もできないけれど、音楽を愛したこの人の道が閉ざされていないことを祈りたい)
千早(ピアニストの夢がもし叶ったのならば、その演奏を聞きたい)
千早(その時……きっと私は、この人に希望を見る)
千早(……私、やっぱり伊集院さんをサンプルにしようとしているのかもしれないわね。『もし私から歌という夢を取り上げられたら』)
千早(歌が歌えなくなったことが私は、ある。その恐怖は、冷たさは今でも忘れられない)
千早(音楽に神様がいるのなら。優れた才に試練を与えることはよくあると、誰かが――武田さんだったかしら?――言っていた)
千早(でも乗り越えてほしい。……それは本心。あの冷たさは誰にも持ってほしくない)
千早(どうか――神様)
――
――――
千早(私は何もできないけれど、音楽を愛したこの人の道が閉ざされていないことを祈りたい)
千早(ピアニストの夢がもし叶ったのならば、その演奏を聞きたい)
千早(その時……きっと私は、この人に希望を見る)
千早(……私、やっぱり伊集院さんをサンプルにしようとしているのかもしれないわね。『もし私から歌という夢を取り上げられたら』)
千早(歌が歌えなくなったことが私は、ある。その恐怖は、冷たさは今でも忘れられない)
千早(音楽に神様がいるのなら。優れた才に試練を与えることはよくあると、誰かが――武田さんだったかしら?――言っていた)
千早(でも乗り越えてほしい。……それは本心。あの冷たさは誰にも持ってほしくない)
千早(どうか――神様)
――
――――
――――
――
千早「それでは、みなさん『如月千早のミュージックライフ』、また来週にお会いしましょう――――」
春香「お疲れー! 千早ちゃん」
P「ああ、ずいぶん滑らかになったぞ」
千早「ええ、そうですね……はぁ」
P「何を悩んでいるんだ?」
千早「後一か月と少しでバレンタインデーですよね……」
P「おいおい、あの企画千早も乗り気だったろ? 『自分で歌を作って披露できるなんて!』って」
千早「それがバレンタイン企画のプレゼントソングなんて知らなかったからです……
男性に喜んでもらうための歌なんて、私……」
P「そう難しく考えるな、千早。ファンはお前が真摯に作った歌が聞きたいんだ。ムリに媚びたりする姿を見たいわけじゃない」
千早「プロデューサー……」
P「誰かを喜ばせたいとか、応援したいとか、そういう気持ちを素直に歌えばいい。幸いフレーズさえ示せば、曲は作ってもらえるんだからな」
千早「想いのままに、ですか」
――
千早「それでは、みなさん『如月千早のミュージックライフ』、また来週にお会いしましょう――――」
春香「お疲れー! 千早ちゃん」
P「ああ、ずいぶん滑らかになったぞ」
千早「ええ、そうですね……はぁ」
P「何を悩んでいるんだ?」
千早「後一か月と少しでバレンタインデーですよね……」
P「おいおい、あの企画千早も乗り気だったろ? 『自分で歌を作って披露できるなんて!』って」
千早「それがバレンタイン企画のプレゼントソングなんて知らなかったからです……
男性に喜んでもらうための歌なんて、私……」
P「そう難しく考えるな、千早。ファンはお前が真摯に作った歌が聞きたいんだ。ムリに媚びたりする姿を見たいわけじゃない」
千早「プロデューサー……」
P「誰かを喜ばせたいとか、応援したいとか、そういう気持ちを素直に歌えばいい。幸いフレーズさえ示せば、曲は作ってもらえるんだからな」
千早「想いのままに、ですか」
春香「ね、歌作り、いっしょにやろっか千早ちゃん」
千早「え?」
春香「私達、歌詞を作ったことあるんだよ! 頼ってよ!」
千早(…………『約束』)
千早「あの時は、ありがとう春香。私あのまま夢をあきらめていたかもしれない……」
春香「だーかーら、言いっこなしなし!」
千早「ふふ。そうだったわね。歌詞作り、みんなの助けをまた借りようかしら」
P「ははは、よし、事務所に戻るぞ」
春香「はーい!」
千早「はい」
P「っと!?」ドン!
冬馬「あ、すまねえ……」
春香「ああっ! ジュピターの!」
冬馬「なんだお前らかよ。前見て歩けって言ってるだろうが!」
千早「え?」
春香「私達、歌詞を作ったことあるんだよ! 頼ってよ!」
千早(…………『約束』)
千早「あの時は、ありがとう春香。私あのまま夢をあきらめていたかもしれない……」
春香「だーかーら、言いっこなしなし!」
千早「ふふ。そうだったわね。歌詞作り、みんなの助けをまた借りようかしら」
P「ははは、よし、事務所に戻るぞ」
春香「はーい!」
千早「はい」
P「っと!?」ドン!
冬馬「あ、すまねえ……」
春香「ああっ! ジュピターの!」
冬馬「なんだお前らかよ。前見て歩けって言ってるだろうが!」
P「これから収録か?」
冬馬「まぁよ」
翔太「こんにちはー!」
北斗「……こんにちは」
千早「伊集院さん!」
千早(久しぶりに会う……)
春香「ねえ、千早ちゃん……」
千早「ええ」
冬馬「まぁよ」
翔太「こんにちはー!」
北斗「……こんにちは」
千早「伊集院さん!」
千早(久しぶりに会う……)
春香「ねえ、千早ちゃん……」
千早「ええ」
千早(うまくいったの? 腱は大丈夫なのかしら)
千早(表情は平静。に、見える)
千早(この人らしくいたずら心で隠しているか……あるいは)
千早(聞くのが、恐いわね……)
千早「あ、あの!」
北斗「なにかな?」
千早「け、検査は……腕は……?」
北斗「ああ、あれかい?」
北斗「駄目だった。治る見込みはないそうだ」
千早(表情は平静。に、見える)
千早(この人らしくいたずら心で隠しているか……あるいは)
千早(聞くのが、恐いわね……)
千早「あ、あの!」
北斗「なにかな?」
千早「け、検査は……腕は……?」
北斗「ああ、あれかい?」
北斗「駄目だった。治る見込みはないそうだ」
春香「え!」
千早「そ」
千早「そんな――――――――――――――」
・
北斗「……」
冬馬「行くぞ北斗」
翔太「大丈夫?」
北斗「ああ、平気だよ」
千早「そ」
千早「そんな――――――――――――――」
・
北斗「……」
冬馬「行くぞ北斗」
翔太「大丈夫?」
北斗「ああ、平気だよ」
北斗「分かってたからね。微妙な部位が傷ついてて、高校生の時に再建はほとんど不可能だって言われてたから」
翔太「北斗くん……」
北斗「趣味で続けたり、一曲披露するぐらいならば今まで通り大丈夫なんだ。なにも変わっちゃいないさ」
冬馬「そういうことだな。……っし! 行くぞ」
翔太(冬馬くんは気付いてなかったみたいだけど、北斗くん、検査結果を伝える時、ほんの、ほんの少し声が震えてた)
翔太(分かってたからって平気な訳がないよね。駄目だって言われた時が怖かったんだから、検査から足が遠のいてたんだから)
翔太(ショックに決まってる)
冬馬「控室で最後の打ち合わせだ! まず北斗、お前から俺に話を振ってくるんだぞ! 集中しろよ!」
北斗「ああ」
冬馬「頭ん中をぜーんぶ、それに注ぎこめよな……っ!」
翔太(……冬馬くん? そっか、これ冬馬くんなりの気遣いか。悲しんでること、ちゃんとわかってたんだ……)
翔太「二人ともっ、急ごっ!!」
翔太「北斗くん……」
北斗「趣味で続けたり、一曲披露するぐらいならば今まで通り大丈夫なんだ。なにも変わっちゃいないさ」
冬馬「そういうことだな。……っし! 行くぞ」
翔太(冬馬くんは気付いてなかったみたいだけど、北斗くん、検査結果を伝える時、ほんの、ほんの少し声が震えてた)
翔太(分かってたからって平気な訳がないよね。駄目だって言われた時が怖かったんだから、検査から足が遠のいてたんだから)
翔太(ショックに決まってる)
冬馬「控室で最後の打ち合わせだ! まず北斗、お前から俺に話を振ってくるんだぞ! 集中しろよ!」
北斗「ああ」
冬馬「頭ん中をぜーんぶ、それに注ぎこめよな……っ!」
翔太(……冬馬くん? そっか、これ冬馬くんなりの気遣いか。悲しんでること、ちゃんとわかってたんだ……)
翔太「二人ともっ、急ごっ!!」
P「ひどい顔だな千早。車酔い……じゃないよな」
千早「えっ」
P「そんな顔するなよ。せっかく可愛い顔してるのに」
千早「なっ、なにを言っているんですかプロデューサー!」
P「おっと、悪い悪い」
春香「ねえ、私、伊集院さんのことは千早ちゃんが気に病むことはないと思うんだ」
千早「春香……」
春香「伊集院さんはアイドルの道が残されている。それで人を笑顔にできること、忘れてないよ」
千早「……そうね」
春香「全部全部夢が消えたわけじゃない。きっとどこかで道はつながるよ、ね?」
千早「うん……」
千早「えっ」
P「そんな顔するなよ。せっかく可愛い顔してるのに」
千早「なっ、なにを言っているんですかプロデューサー!」
P「おっと、悪い悪い」
春香「ねえ、私、伊集院さんのことは千早ちゃんが気に病むことはないと思うんだ」
千早「春香……」
春香「伊集院さんはアイドルの道が残されている。それで人を笑顔にできること、忘れてないよ」
千早「……そうね」
春香「全部全部夢が消えたわけじゃない。きっとどこかで道はつながるよ、ね?」
千早「うん……」
P「ジュピターのマネージャーさんの三条馬さんと車に乗る前、少し話したんだ」
千早「えっ?」
P「千早が、報告を聞いて落ち込むようなら心配しないでと伝えてってな」
P「今だってピアノをスタジオを借りて弾いているって」
千早「そう、なんですか」
春香「好きなものは、簡単に投げないよ。千早ちゃん。だから安心していいと思う。伊集院さんはピアノをやめちゃったりしてないんだから」
千早「……そうね。そう……ありがとう、春香」
春香「えへへっ! 元気が欲しいならいつでも言ってね! それにしても伊集院さん、ピアノ好きだね! 検査受けてからもすぐにやってるみたいだし」
千早(……確かに。家やレッスン前の空き時間にやっていたのに、今ではスタジオまで借りて…………)
千早(! 焦っている? 心がやはり、揺れているんじゃ……)
千早「――あの、プロデューサー。そのスタジオの場所わかりますか?」
千早「えっ?」
P「千早が、報告を聞いて落ち込むようなら心配しないでと伝えてってな」
P「今だってピアノをスタジオを借りて弾いているって」
千早「そう、なんですか」
春香「好きなものは、簡単に投げないよ。千早ちゃん。だから安心していいと思う。伊集院さんはピアノをやめちゃったりしてないんだから」
千早「……そうね。そう……ありがとう、春香」
春香「えへへっ! 元気が欲しいならいつでも言ってね! それにしても伊集院さん、ピアノ好きだね! 検査受けてからもすぐにやってるみたいだし」
千早(……確かに。家やレッスン前の空き時間にやっていたのに、今ではスタジオまで借りて…………)
千早(! 焦っている? 心がやはり、揺れているんじゃ……)
千早「――あの、プロデューサー。そのスタジオの場所わかりますか?」
三条馬「は~い、じゃっ、二時間だけね! それ終わったらドラマの収録送るから」
北斗「いつもありがとうございます。静さん」
三条馬「……やっぱり、一人で弾いてたい?」
北斗「すいません。これは活動とは関係ないから」
三条馬「あーらら。北斗くんが、麗しきレディと同席を拒否かー」
北斗「あははは。これは失礼。でも、とても麗しきレディに聞かせるようなものでもなくて……悩ましい問題です」
三条馬「はいはい。じゃあ1時間経ったら差し入れでも持ってくるから。くれぐれも手に負担をかけすぎないこと!」
北斗「そうします。ありがとう、静さん」
三条馬「じゃあ、ちゃおっ!」
北斗「チャオ☆」
バタン
北斗「さぁ、掬いあげるか……!」
北斗「いつもありがとうございます。静さん」
三条馬「……やっぱり、一人で弾いてたい?」
北斗「すいません。これは活動とは関係ないから」
三条馬「あーらら。北斗くんが、麗しきレディと同席を拒否かー」
北斗「あははは。これは失礼。でも、とても麗しきレディに聞かせるようなものでもなくて……悩ましい問題です」
三条馬「はいはい。じゃあ1時間経ったら差し入れでも持ってくるから。くれぐれも手に負担をかけすぎないこと!」
北斗「そうします。ありがとう、静さん」
三条馬「じゃあ、ちゃおっ!」
北斗「チャオ☆」
バタン
北斗「さぁ、掬いあげるか……!」
――♪! ♪♪! ~♪~!!
北斗「違う……こんなんじゃない。叙事曲的な色合いに、薄く痛みの濁りがあるような……」
北斗「痛み、か……」
北斗(目を閉じて、本心を感じる)
北斗(この曲に、それが必要だと感じるのは、今の俺がそうだから)
北斗「――――……ふふっ、ああ、くそ」
北斗「消えて、くれないなぁっ……、この、いたみ……!」
叩きつけた掌に、大きな淀んだ音が跳ね返る。
逃げるな。
見据えろ。
この俺自身の、夢を、傷を、諦めを、みじめったらしい未練を、だからこそ見つけた光を、それらに満足する俺を――――
千早「……………………………………あの」
北斗「違う……こんなんじゃない。叙事曲的な色合いに、薄く痛みの濁りがあるような……」
北斗「痛み、か……」
北斗(目を閉じて、本心を感じる)
北斗(この曲に、それが必要だと感じるのは、今の俺がそうだから)
北斗「――――……ふふっ、ああ、くそ」
北斗「消えて、くれないなぁっ……、この、いたみ……!」
叩きつけた掌に、大きな淀んだ音が跳ね返る。
逃げるな。
見据えろ。
この俺自身の、夢を、傷を、諦めを、みじめったらしい未練を、だからこそ見つけた光を、それらに満足する俺を――――
千早「……………………………………あの」
北斗「え……!?」
千早「すいません、練習中に」
三条馬「1時間だよ、北斗くん」
北斗「静さん。……千早ちゃん」
千早「――それで、あなたを傷つけてしまったのなら、私にも責任があると思って……」
北斗「あはは、そんなことをわざわざ気に病んでいたのかい? 千早ちゃん」
千早「はい」
北斗「もし俺が傷ついていると思って、慰めに来たのだったら、『あなたとデートがしたいです』とでも言ったら効果的だよ」
千早「は!?」
千早「すいません、練習中に」
三条馬「1時間だよ、北斗くん」
北斗「静さん。……千早ちゃん」
千早「――それで、あなたを傷つけてしまったのなら、私にも責任があると思って……」
北斗「あはは、そんなことをわざわざ気に病んでいたのかい? 千早ちゃん」
千早「はい」
北斗「もし俺が傷ついていると思って、慰めに来たのだったら、『あなたとデートがしたいです』とでも言ったら効果的だよ」
千早「は!?」
千早「なにを! ……あの、でも、それが望みなら、プロデューサーも同伴してもらって……」
北斗「いやいや、ジョークだよ、千早ちゃん」
三条馬「ごめんねー北斗くんって女の子を見るといつもこれ」
北斗「静さんもあらかじめ千早ちゃんが来るって教えておいてくれないと。もっと万全に迎え入れられたのに」
三条馬「素の姿でも魅力的だよ」
北斗「これは万全の伊集院北斗じゃありませんよ」
三条馬「あら? いついかなる時も女性のことを忘れないのが北斗くんじゃなかったの? この時間はそれを忘れてしまうのかしら」
北斗「あはは、痛いなぁ。いじめないでくださいよ」
千早「……作曲してるんですね」
北斗「ああ、そうだよ」
千早「……大事な曲なんでしょうか」
北斗「そうだね、大事といえば大事――でも、趣味の曲さ。誰かに聞かせるものでもないよ」
千早「聞きたいです。できている所まででいいですから」
北斗「おっと…………」
北斗「いやいや、ジョークだよ、千早ちゃん」
三条馬「ごめんねー北斗くんって女の子を見るといつもこれ」
北斗「静さんもあらかじめ千早ちゃんが来るって教えておいてくれないと。もっと万全に迎え入れられたのに」
三条馬「素の姿でも魅力的だよ」
北斗「これは万全の伊集院北斗じゃありませんよ」
三条馬「あら? いついかなる時も女性のことを忘れないのが北斗くんじゃなかったの? この時間はそれを忘れてしまうのかしら」
北斗「あはは、痛いなぁ。いじめないでくださいよ」
千早「……作曲してるんですね」
北斗「ああ、そうだよ」
千早「……大事な曲なんでしょうか」
北斗「そうだね、大事といえば大事――でも、趣味の曲さ。誰かに聞かせるものでもないよ」
千早「聞きたいです。できている所まででいいですから」
北斗「おっと…………」
北斗(本当に誰にも届けるつもりがない曲なんだよ、千早ちゃん)
千早「……」
北斗(しかし、この子はこの曲から何かを感じていた。最初の時点で。…………それは、嬉しく感じることだ)
北斗(純粋な音楽的興味……しょうがない)
北斗「千早ちゃんになら、いいよ」
千早「あ、ありがとうございます!」
♪
千早「……」
北斗(しかし、この子はこの曲から何かを感じていた。最初の時点で。…………それは、嬉しく感じることだ)
北斗(純粋な音楽的興味……しょうがない)
北斗「千早ちゃんになら、いいよ」
千早「あ、ありがとうございます!」
♪
♪ ♪
♪ ♪ ♪
千早(この曲……やっぱり不思議)
千早(歌えなくなったことを思い出してしまう。調べが、傷をなぞっている?)
♪ ♪ ♪
♪♪ ♪ ♪
千早(哀切。受容。諦観。悲叫。祈り。希望。痛み。感謝。疾走。再生。祝福。思慕。――それに決意)
千早(あふれ出る感情が、螺旋を描いて錯綜している)
♪ ♪
千早(この曲……一体……)
千早(これが、沈んでしまうしかないなんて…………)
――――――――♪!
♪ ♪ ♪
千早(この曲……やっぱり不思議)
千早(歌えなくなったことを思い出してしまう。調べが、傷をなぞっている?)
♪ ♪ ♪
♪♪ ♪ ♪
千早(哀切。受容。諦観。悲叫。祈り。希望。痛み。感謝。疾走。再生。祝福。思慕。――それに決意)
千早(あふれ出る感情が、螺旋を描いて錯綜している)
♪ ♪
千早(この曲……一体……)
千早(これが、沈んでしまうしかないなんて…………)
――――――――♪!
>>72ゲット
北斗「……ご清聴ありがとうございました」
千早「あ、はい!」
北斗「ふふ。ああ、女の子にはもっとふさわしい曲を贈りたかったな」
千早「とても聞きごたえがありました。あの、まだ途中ですけど、この曲…………」
北斗「ん?」
千早(言葉が、難しい)
千早(探すんじゃなくて、感じたままに)
千早「なんというか……」
千早「――――――魂のような曲ですね」
千早「あ、はい!」
北斗「ふふ。ああ、女の子にはもっとふさわしい曲を贈りたかったな」
千早「とても聞きごたえがありました。あの、まだ途中ですけど、この曲…………」
北斗「ん?」
千早(言葉が、難しい)
千早(探すんじゃなくて、感じたままに)
千早「なんというか……」
千早「――――――魂のような曲ですね」
北斗「!」
北斗(この子今、俺の曲のことを………………そうか)
北斗(魂、か)
三条馬「あれ! どうしたの北斗くん!?」
北斗「え」
三条馬「涙……」
北斗「あっ」バッ
北斗「参ったな」
千早「あ、すいません! なにか私……っ!」
北斗「君のせいじゃないさ。……そうか、そう感じ取るんだね。不意をつかれちゃったね」
千早「あの、この曲……その、タイトルはなんていうんですか?」
北斗「千早ちゃん。君が気に入ってくれたのは嬉しいけど、この曲にタイトルはないんだ。これからもつける必要が、ないだろうね」
千早「そんなっ」
北斗(この子今、俺の曲のことを………………そうか)
北斗(魂、か)
三条馬「あれ! どうしたの北斗くん!?」
北斗「え」
三条馬「涙……」
北斗「あっ」バッ
北斗「参ったな」
千早「あ、すいません! なにか私……っ!」
北斗「君のせいじゃないさ。……そうか、そう感じ取るんだね。不意をつかれちゃったね」
千早「あの、この曲……その、タイトルはなんていうんですか?」
北斗「千早ちゃん。君が気に入ってくれたのは嬉しいけど、この曲にタイトルはないんだ。これからもつける必要が、ないだろうね」
千早「そんなっ」
千早「この曲、私は……」
北斗「あはは。気にかけてくれて本当にうれしい。でも……いいんだよ。千早ちゃん」
北斗「俺はもうピアニストになれないし」
北斗「趣味でいいと納得してる」
千早「……なら! なぜあんなに鬼気迫るほど集中して曲作りを? あなたはまだ」
北斗「もういいんだ」
千早「……!」
北斗「もう、いいんだよ。気遣いありがとう」
千早「…………やっぱり、謝ります」
北斗「え?」
千早「そんな顔されたら、傷ついてるって、誰でもわかります。そして傷つけたのは、検査を勧めて、絶望を叩きつけてしまった私です」
千早「本当にすいません」
北斗「君のせいじゃないと言ったじゃないか」
北斗「あはは。気にかけてくれて本当にうれしい。でも……いいんだよ。千早ちゃん」
北斗「俺はもうピアニストになれないし」
北斗「趣味でいいと納得してる」
千早「……なら! なぜあんなに鬼気迫るほど集中して曲作りを? あなたはまだ」
北斗「もういいんだ」
千早「……!」
北斗「もう、いいんだよ。気遣いありがとう」
千早「…………やっぱり、謝ります」
北斗「え?」
千早「そんな顔されたら、傷ついてるって、誰でもわかります。そして傷つけたのは、検査を勧めて、絶望を叩きつけてしまった私です」
千早「本当にすいません」
北斗「君のせいじゃないと言ったじゃないか」
北斗「心配をかけてごめんね。ピアノを弾いているとね、自分が揺さぶられて……訳もなく哀しくなるんだ」
北斗「よくあることなんだよ……未熟なのさ。男としても、ピアノ弾きとしても」
千早「……だから。もういい、と言うんですか」
北斗「ああ……、もう諦めているよ」
千早(いつもの姿からは信じられないくらい、弱々しい……)
千早(夢が、絶たれた、人)
千早(あの曲が、どこにも繋がらないなんて…………)
北斗「…………」
千早(決めた)
千早「伊集院さん! 私、あなたの心、元気になってほしいと、そう思います」
北斗「え?」
千早「2月14日の、私のラジオ……『如月千早のミュージックライフ』。聞いてくれますか」
北斗「よくあることなんだよ……未熟なのさ。男としても、ピアノ弾きとしても」
千早「……だから。もういい、と言うんですか」
北斗「ああ……、もう諦めているよ」
千早(いつもの姿からは信じられないくらい、弱々しい……)
千早(夢が、絶たれた、人)
千早(あの曲が、どこにも繋がらないなんて…………)
北斗「…………」
千早(決めた)
千早「伊集院さん! 私、あなたの心、元気になってほしいと、そう思います」
北斗「え?」
千早「2月14日の、私のラジオ……『如月千早のミュージックライフ』。聞いてくれますか」
千早「プロデューサー、お待たせしました」
P「ああ。何事も無かったみたいだな」
千早「すいません。お付き合いさせてしまって」
P「何を言うんだよ。アイドルのスキャンダルの芽を摘むことはプロデューサーとして当然のことだ。
北斗に謝って、気持ちの整理をつけてもらいたかったしな」
千早「はい……スタジオ、わざわざマネージャーさんに連絡して調べてもらって感謝しています」
P「ああ。それで気持ちが落ち着いたか?」
千早「はい。あの、プロデューサー。私、どんな曲を届けたいか、固まりました」
P「おっ! それはバレンタイン企画の曲のことか!?」
千早「はい。救われるような、前に進むための歌。…………私も作りたいんです」
P「それはよかった! 実はな、そろそろ取りかかってもらいたいなと思ってたんだ」
P「ああ。何事も無かったみたいだな」
千早「すいません。お付き合いさせてしまって」
P「何を言うんだよ。アイドルのスキャンダルの芽を摘むことはプロデューサーとして当然のことだ。
北斗に謝って、気持ちの整理をつけてもらいたかったしな」
千早「はい……スタジオ、わざわざマネージャーさんに連絡して調べてもらって感謝しています」
P「ああ。それで気持ちが落ち着いたか?」
千早「はい。あの、プロデューサー。私、どんな曲を届けたいか、固まりました」
P「おっ! それはバレンタイン企画の曲のことか!?」
千早「はい。救われるような、前に進むための歌。…………私も作りたいんです」
P「それはよかった! 実はな、そろそろ取りかかってもらいたいなと思ってたんだ」
・・・
・・
千早「『涙あふれて』。『見失った旋律を』……『この日の出会いがまた依り直す』」
あずさ「うん。フレーズの尺にちょうどよく合うわ」
雪歩「あ、でも、『また依り直す』より『また紡いでく』の方が私はいいと思うなぁ」
千早「ええ。……ええ、そうね! その方がぴったりとくるわ! ありがとう萩原さん」
雪歩「えへへ」
・
千早「La――La――la――La――――! ♪」
音楽スタッフ「OK。こうかな」――♪ ♪ ♪♪――~♪ !
千早「ピアニシモになってからのアチェレランドはもっと哀切を帯びています!」
音楽スタッフ「おおぅ! もっと痛々しい速さか……難しい顔をしてるなぁ、これ……」
千早「す、すいません。でもここの一小節はとても重要なんです」
・・
千早「『涙あふれて』。『見失った旋律を』……『この日の出会いがまた依り直す』」
あずさ「うん。フレーズの尺にちょうどよく合うわ」
雪歩「あ、でも、『また依り直す』より『また紡いでく』の方が私はいいと思うなぁ」
千早「ええ。……ええ、そうね! その方がぴったりとくるわ! ありがとう萩原さん」
雪歩「えへへ」
・
千早「La――La――la――La――――! ♪」
音楽スタッフ「OK。こうかな」――♪ ♪ ♪♪――~♪ !
千早「ピアニシモになってからのアチェレランドはもっと哀切を帯びています!」
音楽スタッフ「おおぅ! もっと痛々しい速さか……難しい顔をしてるなぁ、これ……」
千早「す、すいません。でもここの一小節はとても重要なんです」
三条馬「バレンタインデー&北斗君誕生日イベント……2月14日は忙しくなるわ」
北斗「そうですよね。当然」
三条馬「でも、大丈夫。ちゃんと聞ける時間ぐらいは取れるわ。いえ、取って見せる」
北斗「静さん」
三条馬「千早ちゃん、その日君の誕生日だってこと知ってたのかなー? キミに送る曲があるのかも」
三条馬「楽しみなんでしょ。北斗君」
北斗「……ふ」
北斗「当たり前じゃないですか。あの千早ちゃんがどんな贈り物をくれるのか」
北斗「楽しみじゃない男なんていませんよ」
北斗(強き者よ、汝の名は女なり――か。千早ちゃん。誰かのために動ける君は強いね。そして今、俺はその『誰か』に成る栄光に浴している……。男冥利だ)
北斗(ありがたいと、思おう)
――
――――
千早「―― ♪」
千早(やった。やっと……完成、した……!)
パチパチパチパチ
千早「あっ」
P「おめでとう。とってもいい曲だ。誇っていいぞ」
真「へへっ! 僕たちも手伝ったかいがあったよ! 雪歩もすっごくがんばってたしね!」
雪歩「うん。この曲に関われて、私、幸せだよ……」
あずさ「少し、泣きそうになっちゃったわ~」
千早「みんな……」
春香「えへへっ! 千早ちゃん! ホントになんていうか、その、強くなったね!」
千早「え?」
春香「人のためにがんばろうって意思がびりびり伝わってきて、私、嬉しくなっちゃった」
――――
千早「―― ♪」
千早(やった。やっと……完成、した……!)
パチパチパチパチ
千早「あっ」
P「おめでとう。とってもいい曲だ。誇っていいぞ」
真「へへっ! 僕たちも手伝ったかいがあったよ! 雪歩もすっごくがんばってたしね!」
雪歩「うん。この曲に関われて、私、幸せだよ……」
あずさ「少し、泣きそうになっちゃったわ~」
千早「みんな……」
春香「えへへっ! 千早ちゃん! ホントになんていうか、その、強くなったね!」
千早「え?」
春香「人のためにがんばろうって意思がびりびり伝わってきて、私、嬉しくなっちゃった」
響「あはは、保護者みたいなこと言うなー春香は」
千早「そう、かしら」
真美「おおっ!? 千早お姉ちゃん顔赤いよーっ!」
亜美「照れなくていいのにー!」
伊織「こらこら、茶化すんじゃないの」
千早(本当にありがとう、みんな……)
千早(仲間に貰った暖かさと、強さ)
千早(どうかこの光を、聴いてくれる人達に届けたい――)
千早(いや、届けてみせる!)
――
――――
――――――
千早「そう、かしら」
真美「おおっ!? 千早お姉ちゃん顔赤いよーっ!」
亜美「照れなくていいのにー!」
伊織「こらこら、茶化すんじゃないの」
千早(本当にありがとう、みんな……)
千早(仲間に貰った暖かさと、強さ)
千早(どうかこの光を、聴いてくれる人達に届けたい――)
千早(いや、届けてみせる!)
――
――――
――――――
2月14日
ファン「キャーッ!! 誕生日、おめでとう北斗くん!」
北斗「サンキュー☆ エンジェルちゃん!」ギュッ
北斗(あと、三時間ぐらいでラジオが始まるか……っといけないいけない。目の前のエンジェルちゃんとの出会いは一度だけだというのに)
女子「あ、あの! わたしライブ全部行ってるんです! 961時代から!」
北斗「ホントに! うれしいなぁ! こんな可憐な乙女のおみ足に負担を強いるなんて、俺も悪い男だねっ」
女子「それで、あの! 前のライブのピアノ良かったです! 今度はもっと長く聞きたいですっ」
北斗「……ん。そうかい! そうと決まれば今日からレッスンしないとね!」
北斗(長く、か。それは少しばかり厳しいな、お嬢さん)
北斗「はっ―――っ……!」バン!
翔太「おつかれー北斗くん……ってうわ! なにその紙袋の束! バーゲン帰りのお姉ちゃんみたい!」
三条馬「全部チョコと誕生日プレゼントよ。もう、すごい大盛況」
ファン「キャーッ!! 誕生日、おめでとう北斗くん!」
北斗「サンキュー☆ エンジェルちゃん!」ギュッ
北斗(あと、三時間ぐらいでラジオが始まるか……っといけないいけない。目の前のエンジェルちゃんとの出会いは一度だけだというのに)
女子「あ、あの! わたしライブ全部行ってるんです! 961時代から!」
北斗「ホントに! うれしいなぁ! こんな可憐な乙女のおみ足に負担を強いるなんて、俺も悪い男だねっ」
女子「それで、あの! 前のライブのピアノ良かったです! 今度はもっと長く聞きたいですっ」
北斗「……ん。そうかい! そうと決まれば今日からレッスンしないとね!」
北斗(長く、か。それは少しばかり厳しいな、お嬢さん)
北斗「はっ―――っ……!」バン!
翔太「おつかれー北斗くん……ってうわ! なにその紙袋の束! バーゲン帰りのお姉ちゃんみたい!」
三条馬「全部チョコと誕生日プレゼントよ。もう、すごい大盛況」
三条馬「私だけじゃ持ち切れないから、北斗くんにも持ってもらわなきゃいけないくらい……」
北斗「ラジオは?」
冬馬「ここにある。もう流してるぞ」
三条馬「もう、落ち着きなさい。お茶入れてあげるから」
北斗「ありがとう。……確かにこんな心持ちで聴いたら失礼だね」
三条馬「ふっふ~ん! マリアージュフレール『ジュンパナ アッパー マスカットフレーバー』。このダージリン・セカンドフラッシュ、当たり年よ~!」
冬馬「マネージャー。余計な情報いらねえから」
翔太「落ち着かせてあげようよ」
三条馬「あなた達、もう少し食いついてくれてもいいんじゃないかしら」
『――』
北斗(バレンタイン企画ということで、新曲を披露するのか)
北斗「ラジオは?」
冬馬「ここにある。もう流してるぞ」
三条馬「もう、落ち着きなさい。お茶入れてあげるから」
北斗「ありがとう。……確かにこんな心持ちで聴いたら失礼だね」
三条馬「ふっふ~ん! マリアージュフレール『ジュンパナ アッパー マスカットフレーバー』。このダージリン・セカンドフラッシュ、当たり年よ~!」
冬馬「マネージャー。余計な情報いらねえから」
翔太「落ち着かせてあげようよ」
三条馬「あなた達、もう少し食いついてくれてもいいんじゃないかしら」
『――』
北斗(バレンタイン企画ということで、新曲を披露するのか)
スタジオ
千早「私は、いつも誰かに支えられ、ここに至りました」
千早「仲間やファンの存在がなければ、私は夢を無くしていたかもしれません」
千早「この世界には当人にはどうしようも無い理由で夢を無くしてしまった方だっています」
千早「私は幸運です。だからこそ、そうした失意の中にいる人になにかしたいと思いました」
千早「『この曲』で。潰えた夢は終わっていないと、伝えたいと思います」
千早「……お願いします」
~♪ ♪
千早(信じて。歌が持つ力……)
千早(あのフレーズに、希望を、乗せてみせる……!)
・
翔太「! 北斗くんこれ!」
千早「私は、いつも誰かに支えられ、ここに至りました」
千早「仲間やファンの存在がなければ、私は夢を無くしていたかもしれません」
千早「この世界には当人にはどうしようも無い理由で夢を無くしてしまった方だっています」
千早「私は幸運です。だからこそ、そうした失意の中にいる人になにかしたいと思いました」
千早「『この曲』で。潰えた夢は終わっていないと、伝えたいと思います」
千早「……お願いします」
~♪ ♪
千早(信じて。歌が持つ力……)
千早(あのフレーズに、希望を、乗せてみせる……!)
・
翔太「! 北斗くんこれ!」
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