のくす牧場
コンテンツ
牧場内検索
カウンタ
総計:126,368,790人
昨日:no data人
今日:
最近の注目
人気の最安値情報
    VIP以外のSS書庫はSS+をご利用ください。

    元スレほむら「まどかを助けることができた世界」

    SS覧 / PC版 /
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 :
    タグ : - 魔法少女まどか☆マギカ + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
    ←前へ 1 2 3 4 5 6 次へ→ / 要望・削除依頼は掲示板へ / 管理情報はtwitter

    101 = 93 :

    まどか「…」

    ほむら「…」

    102 = 93 :

    次にまどかが見た光景は、荒れ果て見る影もない見滝原。

    以前の平穏で長閑なそれは、もうどこにも無かった。

    ワルプルギスの夜はとっくに姿を消していた。

    まさしく台風のごとく。

    遊び疲れた子供が家に帰るように。

    遊び散らかした見滝原を残して。

    104 = 93 :

    まどか「…ほむらちゃん」

    ほむら「…」

    まどか「…ねぇ…これってどういうことなの…?」

    ほむら「…」

    まどか「…みんなは?」

    ほむら「…」

    まどか「街は…?」

    ほむら「…」

    106 = 93 :

    まどか「避難所は…?」

    まどか「みんなは…?」

    まどか「…パパ…ママ…ター君は…?」


    ほむら「…」

    まどか「…ねぇ…ほむらちゃん…」


    ほむら「……私は、救いたかった…」

    ほむら「…私は…弱すぎたの…」

    108 :

    ター君・・・


    誰だっけ

    109 :

    >>108

    ジャングルの王者

    110 :

    ほむらちゃん..

    112 = 93 :

    >>116
    訂正



    まどか「避難所は…?」

    まどか「みんなは…?」

    まどか「…パパ…ママ…たっくんは…?」


    ほむら「…」

    まどか「…ねぇ…ほむらちゃん…」


    ほむら「……私は、救いたかった…」

    ほむら「…私は…弱すぎたの…」

    113 = 93 :

    ほむら「…私は…あなただけでも救いたかった…」

    まどか「…」

    まどか「………」

    まどか「…………………………」

    114 :

    まどかはね「タツヤ」って呼ぶんだよ

    116 = 93 :

    まどかは泣いていた。

    力なくぺたりとへたりこんで。

    声を上げることもなく。

    瞳からはとめどなく涙を流して。

    その瞳は、もうどこも見ていなかった。

    何も映していなかった。

    118 = 93 :

    私はまどかとは反対に声を上げて泣いた。

    へたりこむまどかに後ろからしがみついて。

    わんわんと子供のように大泣きした。

    120 = 93 :

    私はほんとは泣き虫で弱虫でそのくせ自分勝手で。

    それでもまどかを助けたくって――。


    ――そんな言い訳じみた口上が喉元にこみ上げてくる。

    慈悲を請うような。

    赦しを願うような。

    救いを求めるような。

    122 = 93 :

    けれどそれらは口をついてでることはなく、代わりに言葉にならない泣き声と涙になって溢れ出る。

    言えるわけがなかった。

    許されていいわけがなかった。

    それでも、慰めが欲しかった。

    自己満足でも。

    だからこの時は、確かにこの腕の中に、守りたかった温もりがあることを感じていたかった。

    124 :

    あくしろよ

    125 = 93 :

    しばらく忘我のまま、恥も外聞もなく散々に泣き喚いた。

    涙も枯れ果てた頃、漸う我にかえった。

    まどかは、ただ静かに座っていた。



    ほむら「…まどか?」


    腕の中のまどかに小さく呼びかける。

    126 :

    ほむ

    127 = 93 :

    少し待っても、返事も、反応も無かった。



    ほむら「…ねぇ…まどか…」


    まどかの顔を見るのは怖かった。

    きっと私を恨んでいる。

    憎んでいる。

    129 = 93 :

    それでも、全ては私がしでかしたこと。

    たとえまどかに嫌われることになっても、受け入れなければならない。

    だから、目を逸らしちゃいけない。

    なけなしの勇気を振り絞って、まどかの正面へ回る。

    かがみこんで、まどかに相対する。



    ほむら「…まどか…」 



    どんな裁断も、受け入れる。

    131 = 93 :

    ほむら「…」








    まどか「…」








    ――そして、私はまどかが失ったものに気づいた。

    私がしたことを、悟った。

    133 = 93 :

    パリン、と小さく小気味いい音が響いた。

    音のした方を見ると、左手に備えてある盾からだった。

    よく見ると、埋め込んである砂時計が割れていた。

    そこから砂が漏れ出して、嫌に澄んだ空気へと溶けていった。

    135 = 93 :

    ――少し、離れたかった。

    見る影がなくなっても、まどかにとっての大事な思い出の地。

    今では、失った悲しさを呼び起こさせるだけの偲ぶ草。

    そんな場所にいたって、心が休まるはずがない。

    そう思えたから。



    私たちは、しばらく海沿いの別荘で静養することにした。







    ――――――――
    ――――――――――――――
    ――――――――――――――――――
    ――――――――――――――――――――――――
    ―――――――――――――――――――――――――――――――

    137 = 93 :

    ほむら「…うん、なかなかに上手くできたんじゃないかしら…」



    今晩はシチューだ。

    コーンとチーズ等をふんだんに使い、こくのあるまろやかな味わいになっていると思う。

    きっとまどかも喜んでくれる…。

    138 :

    ほむら「この鏡に向かって"お前は誰だ"って言い続けて」

    まどか「うん!」

    ~~~~~~

    まどか「・・・」

    ほむら「計画通りまどかが自我を失った」

    140 = 93 :

    コンコン



    ほむら「まどか、入るね…」

    返事はない。

    いつものことで、もう慣れている。



    ガチャッ




    まどか「…」

    142 = 93 :

    部屋は夕日が沈みきったあとの、独特のしっとりとした暗さで満たされている。

    そんな中、まどかは何をするでもなく、ベッドの上で上体を起こして窓の外を見ていた。

    確かにはじめこそは私もその景色に息を呑み、見蕩れたものだけど。

    今ではすっかり見慣れてしまい、なんの感慨もない。

    まどかは何を思い、外を見続けているのか。

    私にはわからない。

    144 = 93 :

    ほむら「…まどか、シチューを作ってみたの。冷めないうちに食べよ?」

    まどか「…」




    まどかは、答えない。





    ―――
    ―――――
    ――――――――

    146 = 93 :

    部屋は枕元にある小さなテーブルランプで優しい光に満たされている。



    ほむら「…こぼさないようにね」



    ベッドの近くにある椅子を引き寄せて、まどかと一緒に食事をとる。


    まどか「…」

    ほむら「…まだ少し熱いかもしれないから気をつけて…」

    まどか「…」

    148 = 93 :

    まどかはゆったりとした動きで、スプーンでシチューを掬い、もくもくと小さな口へと運んでいく。


    ――この暮らしをはじめた当初。

    最初こそは全く口をつけてくれないもので、本当に困り果てていたのだけれど。

    毎日の呼びかけ、献身が功をそうしたのだろうか。それも徐々に改善されていった。

    何はともあれ嬉しい変化だった。

    150 = 93 :

    まどか「…」

    ほむら「…」


    ちょっと前までは私が食べさせていたのだけれど、今ではちゃんと自分でスプーンを持って食べてくれている。



    ほむら「…」



    厚着してても肌寒く感じるようになった今日この頃。

    冷えた体を芯まで温めてくれるシチューは、格別においしく思えた。


    ←前へ 1 2 3 4 5 6 次へ→ / 要望・削除依頼は掲示板へ / 管理情報はtwitterで / SS一覧へ
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 :
    タグ : - 魔法少女まどか☆マギカ + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。

    類似してるかもしれないスレッド


    トップメニューへ / →のくす牧場書庫について