元スレほむら「まどかを助けることができた世界」

みんなの評価 : ☆
101 = 93 :
まどか「…」
ほむら「…」
102 = 93 :
次にまどかが見た光景は、荒れ果て見る影もない見滝原。
以前の平穏で長閑なそれは、もうどこにも無かった。
ワルプルギスの夜はとっくに姿を消していた。
まさしく台風のごとく。
遊び疲れた子供が家に帰るように。
遊び散らかした見滝原を残して。
104 = 93 :
まどか「…ほむらちゃん」
ほむら「…」
まどか「…ねぇ…これってどういうことなの…?」
ほむら「…」
まどか「…みんなは?」
ほむら「…」
まどか「街は…?」
ほむら「…」
106 = 93 :
まどか「避難所は…?」
まどか「みんなは…?」
まどか「…パパ…ママ…ター君は…?」
ほむら「…」
まどか「…ねぇ…ほむらちゃん…」
ほむら「……私は、救いたかった…」
ほむら「…私は…弱すぎたの…」
108 :
ター君・・・
誰だっけ
109 :
>>108
ジャングルの王者
110 :
ほむらちゃん..
112 = 93 :
>>116
訂正
まどか「避難所は…?」
まどか「みんなは…?」
まどか「…パパ…ママ…たっくんは…?」
ほむら「…」
まどか「…ねぇ…ほむらちゃん…」
ほむら「……私は、救いたかった…」
ほむら「…私は…弱すぎたの…」
113 = 93 :
ほむら「…私は…あなただけでも救いたかった…」
まどか「…」
まどか「………」
まどか「…………………………」
114 :
まどかはね「タツヤ」って呼ぶんだよ
116 = 93 :
まどかは泣いていた。
力なくぺたりとへたりこんで。
声を上げることもなく。
瞳からはとめどなく涙を流して。
その瞳は、もうどこも見ていなかった。
何も映していなかった。
118 = 93 :
私はまどかとは反対に声を上げて泣いた。
へたりこむまどかに後ろからしがみついて。
わんわんと子供のように大泣きした。
120 = 93 :
私はほんとは泣き虫で弱虫でそのくせ自分勝手で。
それでもまどかを助けたくって――。
――そんな言い訳じみた口上が喉元にこみ上げてくる。
慈悲を請うような。
赦しを願うような。
救いを求めるような。
122 = 93 :
けれどそれらは口をついてでることはなく、代わりに言葉にならない泣き声と涙になって溢れ出る。
言えるわけがなかった。
許されていいわけがなかった。
それでも、慰めが欲しかった。
自己満足でも。
だからこの時は、確かにこの腕の中に、守りたかった温もりがあることを感じていたかった。
124 :
あくしろよ
125 = 93 :
しばらく忘我のまま、恥も外聞もなく散々に泣き喚いた。
涙も枯れ果てた頃、漸う我にかえった。
まどかは、ただ静かに座っていた。
ほむら「…まどか?」
腕の中のまどかに小さく呼びかける。
126 :
ほむ
127 = 93 :
少し待っても、返事も、反応も無かった。
ほむら「…ねぇ…まどか…」
まどかの顔を見るのは怖かった。
きっと私を恨んでいる。
憎んでいる。
129 = 93 :
それでも、全ては私がしでかしたこと。
たとえまどかに嫌われることになっても、受け入れなければならない。
だから、目を逸らしちゃいけない。
なけなしの勇気を振り絞って、まどかの正面へ回る。
かがみこんで、まどかに相対する。
ほむら「…まどか…」
どんな裁断も、受け入れる。
131 = 93 :
ほむら「…」
まどか「…」
――そして、私はまどかが失ったものに気づいた。
私がしたことを、悟った。
133 = 93 :
パリン、と小さく小気味いい音が響いた。
音のした方を見ると、左手に備えてある盾からだった。
よく見ると、埋め込んである砂時計が割れていた。
そこから砂が漏れ出して、嫌に澄んだ空気へと溶けていった。
135 = 93 :
――少し、離れたかった。
見る影がなくなっても、まどかにとっての大事な思い出の地。
今では、失った悲しさを呼び起こさせるだけの偲ぶ草。
そんな場所にいたって、心が休まるはずがない。
そう思えたから。
私たちは、しばらく海沿いの別荘で静養することにした。
――――――――
――――――――――――――
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137 = 93 :
ほむら「…うん、なかなかに上手くできたんじゃないかしら…」
今晩はシチューだ。
コーンとチーズ等をふんだんに使い、こくのあるまろやかな味わいになっていると思う。
きっとまどかも喜んでくれる…。
138 :
ほむら「この鏡に向かって"お前は誰だ"って言い続けて」
まどか「うん!」
~~~~~~
まどか「・・・」
ほむら「計画通りまどかが自我を失った」
140 = 93 :
コンコン
ほむら「まどか、入るね…」
返事はない。
いつものことで、もう慣れている。
ガチャッ
まどか「…」
142 = 93 :
部屋は夕日が沈みきったあとの、独特のしっとりとした暗さで満たされている。
そんな中、まどかは何をするでもなく、ベッドの上で上体を起こして窓の外を見ていた。
確かにはじめこそは私もその景色に息を呑み、見蕩れたものだけど。
今ではすっかり見慣れてしまい、なんの感慨もない。
まどかは何を思い、外を見続けているのか。
私にはわからない。
144 = 93 :
ほむら「…まどか、シチューを作ってみたの。冷めないうちに食べよ?」
まどか「…」
まどかは、答えない。
―――
―――――
――――――――
146 = 93 :
部屋は枕元にある小さなテーブルランプで優しい光に満たされている。
ほむら「…こぼさないようにね」
ベッドの近くにある椅子を引き寄せて、まどかと一緒に食事をとる。
まどか「…」
ほむら「…まだ少し熱いかもしれないから気をつけて…」
まどか「…」
148 = 93 :
まどかはゆったりとした動きで、スプーンでシチューを掬い、もくもくと小さな口へと運んでいく。
――この暮らしをはじめた当初。
最初こそは全く口をつけてくれないもので、本当に困り果てていたのだけれど。
毎日の呼びかけ、献身が功をそうしたのだろうか。それも徐々に改善されていった。
何はともあれ嬉しい変化だった。
150 = 93 :
まどか「…」
ほむら「…」
ちょっと前までは私が食べさせていたのだけれど、今ではちゃんと自分でスプーンを持って食べてくれている。
ほむら「…」
厚着してても肌寒く感じるようになった今日この頃。
冷えた体を芯まで温めてくれるシチューは、格別においしく思えた。
みんなの評価 : ☆
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