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    元スレれんげ「のんのんばあとウチ」

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    1 :

    それは雨降りの帰り道の出来事だったん──


    プシュー…ブロロロロ…

    ポツポツ…ザァァァァ…!


    夏海「うわっ!バス降りた途端に大降りかよ…ついてないなー」

    小鞠「今朝はよく晴れてたのにね…」

    「れんちゃんはえらいなぁ。天気予報でも言ってなかったのにちゃんと傘用意してて」

    れんげ「エッヘン!ウチはいつだって備えを欠かさないのん!」

    夏海「おぉ!流石れんちょん、出来るオンナ!」

    れんげ「と、言いたいところだけど実はこの傘、この間学校に忘れて帰ってただけなのでしたん」

    夏海「なぁんだ…」

    夏海「でもどうすっかなぁ。ここで雨宿りしててもたぶん止まないよ、これ」

    小鞠「まぁ別に走って帰ってもいいんだけどねぇ…蛍も大丈夫そう?」

    「あ、はい。服が濡れても着替えればいいだけですから」

    れんげ「のんのん。それじゃみんな風邪をひくん。ひとまず家にくれば傘くらい貸したげるん」

    2 = 1 :

    小鞠「そう?じゃあお言葉に甘えよっかな」

    夏海「いや、でもれんちょんの傘子供用だし、四人で差すのは流石に無理があるんじゃ…」

    れんげ「ふっふっふ。心配ご無用。ウチにいい考えがあるん」

    れんげ「ほたるん、ウチを肩車して欲しいのん」

    「えっ?」


    ザァァァァ…


    夏海「なるほどね。一番背の高いほたるんがれんちょんを肩車して、れんちょんが傘を差すと…」

    れんげ「そしてなっつんとこまちゃんがなるべくほたるんにくっついて歩けば、四人とも雨をしのげるのん」

    れんげ「どうですか、ウチが編み出したこの完璧なフォーメーションは」

    夏海「いやぁ、御見それしましたれんげさん!」

    夏海(それでもウチは半分くらい濡れちゃってるんだけどなぁ…こういう時ばっかりはちっこい姉ちゃんが羨ましいよ)

    小鞠「ごめんね蛍…私の歩幅に合わせてたら歩きづらいよね?」

    「いいえ~、濡れるといけないからもっとくっついて下さいね、先輩」ポワ~ン

    3 = 1 :

    ザァァァァ…


    れんげ「あっめっあっめっふっれっふっれ♪ねえねえのー♪」

    夏海「ヘイ♪」

    れんげ「糸目の奥が笑ってないー♪」

    小鞠「あぁ、わかるわかる」

    「たまに恐い時ありますよね」

    れんげ「ぴっちぴっち♪ちゃっぷちゃっぷ♪」

    れんげ「あっ…ほたるん、ストップするん」

    「…どうしたの、れんちゃん?」

    れんげ「あそこ、柿の木のところ…」

    4 :

    れんげ「裸のおじさんがみてるのん」

    5 = 1 :

    お婆さん「んしょ…しょっと…」ピョンピョン

    夏海「あらら、お年寄りが傘も差さずに…」

    れんげ「あれじゃばぁばも風邪ひくん」

    小鞠「柿の実が採りたいのかな。でもあんなお婆ちゃんこの村にいたっけ。夏海、知ってる?」

    夏海「うんにゃ、初めて見るね」

    れんげ「じゃあきっとほたるんみたいに都会から来たんな?」

    「どうだろう…東京で見かけるお婆さんはあんなに昔話チックじゃなかったかな…」

    夏海「いやいや、ここらの爺ちゃん婆ちゃんでもあそこまで時代がかってないでしょう」

    小鞠「ちょっと二人とも、聞こえるってば」

    お婆さん「そげだなぁ。口は災いのもとだけん」

    四人「ビクッ!」

    6 = 1 :

    夏海「あちゃー…聞こえちゃってたぽいね…」

    「ご、ごめんなさいお婆さん…失礼な事を言って…」

    お婆さん「まぁ若い娘さん方がこげな年寄りを気にかけて下さったのはありがたいこと…」

    お婆さん「それに、妙な格好はお互い様だがな」

    「あ、これには事情がありまして///」

    小鞠「え、えへへ///」

    お婆さん「てっきり傘が化けて出とるのかと思ったがな」

    夏海「はは…面白い婆ちゃんだなぁ」

    れんげ「ばぁばもこっち来て傘に入るん。雨に濡れると身体に悪いん」

    お婆さん「あぁ、気にせんでええ。この柿をもいでしまったらすぐに帰るけん…よっと」

    7 = 1 :

    れんげ「…ばぁば、その柿はもう時期じゃないんよ?」

    れんげ「それに、そうやってワザと枝に残してある実は【木守柿】って言って
        来年またたくさん実がなるようにっておまじないしてるん。採らない方がいいん」

    夏海「へぇ~、れんちょん物知りだなぁ。ウチそんなの初めて聞いたよ」

    小鞠「いや、昔からお母さんも言ってるし学校でも習ったでしょうが…」

    お婆さん「ははは…まだ小さいのによう知っちょる。でもこの話は知っとんさるかな?」

    お婆さん「収穫されずに放っておかれた柿の実はそうで(そのうち)に【たんころりん】になる…」

    れんげ「たんころりん…?」

    お婆さん「そげだ。熟れた柿のように赤い顔をした入道姿の妖怪でな。柿の種を撒きながら村を徘徊するだが」

    れんげ「よう、かい…なのん…?」

    夏海「あははっ!婆ちゃん今時妖怪って!それになんだよ【たんころりん】って!すっげー間抜けな名前…ウケるぅ!」

    「そんな、笑っちゃ悪いですよ夏海先輩…」

    夏海「だってさぁ、種撒きながら歩き回るだけの妖怪ってなんなのさ。全然こわくねー!あはははっ!」

    お婆さん「たんころりん自体は別になんの悪さもすりゃせん。ただ村のもんが夜道で出くわして腰でも抜かすといけんだでな」

    夏海「それはどうもご親切に……あはははっ!」

    8 :

    ぬ~べ~でいたな

    9 = 1 :

    小鞠「あの、その為に柿を採ろうとしてたんですか?」

    お婆さん「そげだが、背がとわん(届かない)のだがな」

    れんげ「……」

    れんげ「ほたるん、ウチらで採ってあげようと思うん。いいんな?」

    「うん、いいよ。ちょうど肩車してるしね」

    プチッ プチッ プチッ

    れんげ「全部採れたーん!」

    お婆さん「おぉ、すまんのぉ」

    夏海「でも良かったの?その柿の実って村の人がワザと残してたやつなんでしょ?」

    お婆さん「なぁに、この柿の木はオラの家のものだけん。誰も文句なぞ言わんよ」


    夏海「あ、あれ…?」

    「さっきまでここに家なんて…」

    小鞠「なかった、よね…?」

    三人「ゾワーッ」

    10 = 1 :

    お婆さん「ほら、お嬢さん方、あがって柿食ってけ。年寄りには食いきれんけぇ」

    れんげ「食べるーん!」タタタ…

    小鞠「あ、こらっ れんげ!」

    小鞠「家の中、入っちゃった…」

    夏海「う、ウチらはどうしよ…」

    小鞠「どうするって、ねえ…」

    「だけどこのお家、だいぶ怪しくありませんか…?」

    「明らかに今さっき現れたの、先輩たちも見ましたよね?」

    夏海「う、うん。でもさ…気のせいかもしれないじゃん…?霧も出てるし、ウチらって注意力ないから見逃してただけかも…」

    小鞠「ちょっと!注意力がないのは夏海だけでしょ!私たちまで一緒にしないでよ」

    「あの、口喧嘩してる時じゃ…」

    れんげ「みんなどうしたーん!はやく来るーん!」


    夏海「…まぁ、入ってみよっか」

    小鞠「そだね。あのお婆ちゃんも変わってるけど悪い人じゃなさそうだし」

    「お、お邪魔しまーす…」ソローッ

    11 = 1 :

    夏海「…なんだ。だいぶ年季は入ってるけど普通の田舎住まいだね」ギシギシ

    小鞠「いちおう電気も通ってるみたいだし…戦時中みたいな裸電球だけど」ギシギシ

    「きゃっ!」バキィ!

    「ご、ごめんなさいお婆さん…床、踏み抜いちゃいました…」

    お婆さん「気にせんでええ。そこらじゅう穴だらけだで。ほれ、こっち来てお座り」


    れんげ「みんな来るの遅いん。何してたん?」ハムハム

    「う、うん…ちょっとね。失礼しまーす…」

    12 = 1 :

    夏海「よっこいしょ…わっ、あれ火鉢ってやつ?」

    小鞠「いちおう家の物置にもあるけど現役で使ってるとこは初めて見たね」

    お婆さん「ほれ、お嬢さん方も。だいぶ熟れとる柿だけん、匙で掬ってお食べ」

    小鞠「あ、ども…」ペコッ

    「いただきまーす」

    夏海「ところで婆ちゃんさぁ、見ない顔だけどこの村の人じゃないよね?」モグモグ

    「方言もこのあたりの人とは違うようですし…どちらからいらしたんですか?」

    お婆さん「はて、えーと…どこだったかな…」

    「?」

    13 = 1 :

    れんげ「ばぁば、ウチはれんげっていうん!ピカピカの一年生なん!」

    お婆さん「おぉ…れんげちゃん、なぁ」コクコク

    夏海「あぁそうだ…ウチは越谷夏海、こっちの小さいのが姉ちゃんの小鞠」

    小鞠「小さいってゆーなっ!」

    「一条蛍です。お婆さん、お名前は…」

    お婆さん「名前?うーむ…さて…」

    夏海「……」

    夏海「姉ちゃん、これは俗に言う痴呆症ってやつですか?」ヒソヒソ

    小鞠「ちょっと!そういう事言うのよしなさいよ!」ヒソヒソ

    14 :

    のんのんばあ懐かしい

    16 = 1 :

    お婆さん「…………のんのんばあ」

    のんのんばあ「そう、呼んでくれたらええ」


    れんげ「のんのんばあ…?」

    れんげ「ウチの喋りかたと同じなのん!」ぱぁぁ

    「そういえば…れんちゃんや村の人が使うのんのん、ってなにか意味があるんですか?」

    小鞠「いや、語尾が訛ってるだけで別に意味とかはないんだけどねぇ」

    のんのんばぁ「なぁに、ひとげ(他人の家)の仏壇やら神棚をのんのん拝んで小銭を稼ぐケチな婆さんだから、そう呼ぶんじゃよ」

    夏海「祈祷師みたいなものってこと?なんかカッコイイじゃん!」

    「さっきのお話も面白かったですよね。柿が妖怪になるとか」

    れんげ「そう!それ聞いときたかったん!のんのんばあ、妖怪ってなんなのん?」

    17 = 1 :

    のんのんばあ「そげだなぁ…妖怪というのは…」

    のんのんばあ「れんげちゃん達も不思議に思わんかな?風もないのに揺れる窓、夜道で背後から感じる気配、誰がつけたか分からない天井のシミ…」

    小鞠「はぅ…」ゾクゾク

    のんのんばあ「そういった摩訶不思議なことを人間の生活の陰に潜んで引き起こすものを、オラはひっくるめて【妖怪】と呼んどるけどな」

    れんげ「ほほぅ…」ワクワク

    夏海「いやいや婆ちゃんさぁ、あんまりうちのこまちゃんをおどかさないでよ。ほら、すっかり怯えちゃって」

    小鞠「お、怯えてないっ!あとこまちゃんじゃないっ!」

    夏海「またまたぁ、ほら、早くその柿食べちゃわないと妖怪に化けちゃうんだってよ?あ、今ちょっと動いたかも」

    小鞠「ひゃあぅ!もう!変なこと言わないでよ!全部食べちゃえば恐くないんでしょ!もう!」パクパク

    のんのんばあ「そげだそげだ。食べてやる事が供養になるだ。食べてもらえん柿の無念がたんころりんにさせるだけん」ニコニコ

    18 = 1 :

    れんげ「……」

    れんげ「のんのんばあ、この柿ひとつ貰って帰っていいん?」

    のんのんばあ「かまわんが、お母さんにお土産かな?」

    れんげ「これ、このまま置いとけばたんころりんになるのんな?」キラキラ

    「れ、れんちゃん…話の流れ的に、食べちゃわないとって思わない?」

    れんげ「だってウチ、たんころりん見てみたいん!」

    れんげ「べつに悪いことする妖怪じゃないって、のんのんばあ言ったんな?」

    のんのんばあ「まぁ、そうだが…れんげちゃんは好奇心の強い子だなぁ」

    のんのんばあ「…はは、しげーさんとよう似ちょる」

    「…息子さんの名前ですか?」

    のんのんばあ「さぁて…」ニコニコ

    19 :

    うわまた懐かしいものを

    20 :

    しげさん…
    TOKIOのことかな?

    21 = 1 :

    夏海「あらあら、れんちょんもすっかり信じちゃってまぁ」

    「いいじゃないですか。無邪気で可愛いですし」

    れんげ「フスーッ」

    22 = 1 :

    小鞠「あ、雨止んでる…でももう真っ暗だ…」

    夏海「婆ちゃん、柿ごちそーさん」

    「遅くまでお邪魔しました」ペコッ

    れんげ「のんのんばあ、また来ていいん?今度はもっと妖怪の話聞かせてほしいん!」

    のんのんばあ「おぅ。オラもれんげちゃん達とはまた会える気がするよ」

    夏海「…?」

    夏海(なんか妙な言い方だなぁ…)

    れんげ「じゃあウチ帰るん!のんのんばあ、また遊ぶーん!」ブンブン

    23 = 1 :

    一穂「柿の木のある家のお婆さん?それって通学路にある大きな柿の木のこと?」

    れんげ「そうなん。ねえねえものんのんばあの事知ってるん?」

    一穂「いや、れんちょんさ…確かにあの場所にはお家が建ってたけど、それってウチがれんちょんくらいの時の話だよ?」

    れんげ「ねえねえ何言ってるのん?実際ウチはのんのんばあのお家でお喋りして、この柿も貰ってきたんよ?」

    一穂「お、うまそう。ねえねえにくれるの?」

    れんげ「あげないのん。これは食べないでウチの机に飾っとくん」

    一穂「なんでまたそんなもったいないこと…」

    れんげ「ふっふっふ。今にわかりますん」

    一穂「でもおっかしいなぁ。誰かが越してきたなんて話は聞かないし、そもそも柿の木の前だったらウチだって毎日通ってるし…」ポリポリ

    れんげ「ねえねえの思い違いじゃないのん?」

    一穂「いや、そんな事は…あっ、そういえば…」

    25 = 1 :

    れんげ「なにか思い出したん?」

    一穂「うん…でもこれ子供に話しちゃっていいのかな…」

    れんげ「いいから話すん!」

    一穂「…その場所にあったお家ってね、短い間に一家全員が死んじゃったんだよね」

    れんげ「!」

    一穂「まだ若いご夫婦と、小さいお子さんと…お婆さんもいたな、そういえば」

    れんげ「そんな…」

    一穂「まず奥さんが川で水死してさ、立て続けに旦那さん達も変な死に方しちゃって」

    一穂「村のお年寄りは祟りだのなんだの…ウチも子供だったから恐かったの覚えてるなぁ」

    れんげ「だってウチ、今日たしかにのんのんばあと遊んだん…」

    26 = 1 :

    一穂「……」

    一穂「ねえ、れんちょん。その後もちろんその家は取り壊されたんだけど、どうして柿の木だけが残ってるか、わかる?」

    れんげ「…?」

    一穂「昔からね、柿の木っていうのは神聖なものだと思われてて、人の魂が宿ると考えられてるんだって」

    一穂「だから柿の木を切るとよくない事が起こるって言われてるの。事件が事件だったから当時の村の人達も縁起をかついどきたかったみたいでさ」

    一穂「それ以来あの木だけはずっとそのままにしてあるんだよね…」

    れんげ「じゃあウチが会ったのは…」

    一穂「柿の木に宿った、あの家のお婆さんの幽霊…だったんじゃないかな」

    れんげ「な、なんですとー!?」

    27 :

    うんうん

    28 = 1 :

    一穂「あっはっは!そんなに真に受けないでよれんちょん」

    一穂「そりゃ、さっきの事件の話は本当だけど、実際れんちょんはそのお婆さんの家にお邪魔して柿までご馳走になったんでしょ?」

    一穂「きっとどこか他所の柿の木のあるお家と勘違いしてるんだって。すごい雨だったし、慣れた道でも混乱しちゃったんじゃないの?」

    れんげ「……そんなはず、ないん」ボソッ

    29 = 1 :

    次の朝


    れんげ「なっつん、こまちゃん、にゃんぱすー」

    夏海「…おっす、れんちょん」

    小鞠「おはよ」

    れんげ「なっつん、昨日ねえねえから聞いたんだけど…」

    夏海「うん…とりあえずほたるんと合流してから話そっか」


    「あ、おはようございます」

    夏海「うん、おはよ」

    夏海「ほたるん、あのさ…昨日の婆ちゃん家があった場所、覚えてる?」

    「…?もちろん覚えてますけど…」

    31 = 1 :

    「……そんな事って!」

    夏海「うん。ウチだってまだ信じられないけどさ、かず姉も母ちゃんも同じこと言ってるんだ。あそこにそんな家あるはずがないって」

    れんげ「昔あった家では初めに奥さんが川で溺れて死んじゃって、あとの家族もみんな死んでしまったらしいのん」

    小鞠「家のお母さんの話だと、奥さんの次にその家の男の子も同じ川で溺れて、旦那さんは自殺…」

    小鞠「そしてお婆さんは、熊の爪にでもやられたみたいにグチャグチャに切り刻まれて死んでたんだって…」

    「やだ…」ソワゾワ

    夏海「ねぇ、もう一度あの柿の木の場所にみんなで行ってみない?」

    小鞠「ちょっと、学校はどうするのよ!もうすぐバス来ちゃうわよ?」

    夏海「…姉ちゃんは気にならないの?」

    32 = 1 :

    小鞠「そりゃ気になるわよ、ものすごく」

    小鞠「昨夜も怖くて眠れなかったんだから…」

    夏海「まぁいいや。いい子ちゃんは置いといて三人で行こうぜ」

    れんげ「おーっ!」

    「あ、小鞠先輩ごめんなさい…私達は遅れるって先生に伝えておいてもらえますか…」

    小鞠「うぅ…」

    小鞠「待ってよ!ひとりにしないで!」タタタ…

    33 = 1 :

    「そんな……」

    夏海「家なんて…どこにもない…」

    小鞠「確認するけど、この場所で間違いなかったよね…?」ブルブル

    夏海&小鞠&蛍「……ゴクッ」

    夏海&小鞠&蛍「「「ウワ──────ッ!!!」」」


    れんげ「……」

    れんげ「のんのんばぁ…」

    34 = 1 :

    小鞠「どどどど、どうしよどうしよ!お化け屋敷に入っちゃった!お化けと喋っちゃった!祟られたりしないかな…」ガクガクブルブル

    「せせせ先輩!おおお落ち着いてくだひゃい!私が付いてまひゅから!」ガクガクブルブル

    夏海「き、昨日は笑ったりしてすいませんでしたっ!どうか成仏してください!」ナンマイダーナンマイダー

    れんげ「……」


    『のんのんばあもれんげちゃん達とはまた会える気がするよ』


    れんげ「ウチもまた会える気がするん…!」

    夏海&小鞠&蛍「「「もう会いたくないっ!」」」


    なっつん達の願いむなしく、ウチらは再会することになるん。
    のんのんばあとウチらの、のんのんで、のんのんな日々はこの時からはじまったん──

    35 :

    のんのんってなんなん

    36 = 1 :

    ■べとべとさん


    夜道を歩いていると、ふと後ろから誰かがつけてくる気配がして、やがてそれに足音が伴いだす。
    しかし、振り返っても誰もいない。これは【べとべとさん】と呼ばれる妖怪の仕業である。
    足音をさせるというだけで人間に危害をくわえるような事はないが、不気味に感じるのであれば道の脇に寄って
    「べとべとさん、先にお越し」と唱えて道を譲れば、気配は去っていくと言われる。

    昔の奈良県によく出没したとされ、ある男が提灯を下げて暗い夜道を歩いていると、背後からヒタヒタという足音が聞こえ
    「べとべとさん、先にお越し」と道を譲った。しかし闇の中から声がして「先に行くと暗くて歩けない」と答えた。
    そこで男が自分の提灯を差し出すと、己の手をすっと離れて夜道に浮かんだまま先に行ってしまった。
    翌日、男の家の扉の前に提灯が返されていたという。

    べとべとさんの正体は犬猫の霊とも人間の霊とも言われるが、姿が見えないためはっきりしない。

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    37 = 1 :

    「…妖怪の本?」

    れんげ「そうなん。学校の図書室にはドラキュラとかフランケンシュタインの本しかなかったん」

    「日本のお化け限定ってことか…そういうニッチな本はうちじゃ扱ってねえなぁ」

    「どうしてもって言うなら取り寄せるけど…図鑑みたいなのだと結構な値段になるぞ?」

    れんげ「本だったら勉強になるから、ねえねえがお金出してくれるって言ったん」

    「そっか、じゃあ探しとくよ。入荷したら電話するからな」

    れんげ「よろしく頼むん!」


    「さて、妖怪大百科…みたいなのでいいのかな」カタカタ

    「…やっぱ、妖怪といえばこの人だよなぁ」ポチッ

    38 = 27 :

    続けるのん

    39 = 1 :

    一穂「うんうん。それでれんちょんったら、すっかり妖怪にはまっちゃってね」

    一穂「まぁ、あの子なりに不思議体験しちゃったんだから無理もないんだけどねぇ」

    ひかげ『ふーん…そうなんだ。でもさ、それって本当にれんげの勘違いなの?』

    一穂「おやおや、ひかげまで妙なこと言いだしたぞ。あるわけないじゃない、幽霊屋敷なんて」

    ひかげ『いや、姉ちゃんさ…世の中って結構わかんないもんだよ。私らの信じてる常識なんてほんの一面でしか…』

    一穂「おぉおぉ、今日はやたら都会風が吹きますなぁ。電話越しなのに寒い寒い…」

    ひかげ『ちがっ///そうじゃなくてさ』

    一穂「てかあんた、そっちで妙な宗教にはまったりしてないでしょうね?」

    一穂「ダメだよ?そういうとこってお金いっぱい取られちゃうんだかんね」

    ひかげ『はまってねーよ!もういい!おやすみっ!』プチッ

    一穂「…やれやれ、ウチの妹どもは。そろって不思議ちゃんかぁ?」

    41 = 1 :

    半月後


    れんげ「本とどいたーん♪」タタタ…


    れんげ『み、みずき?しげる…』

    『おお、誰もが知ってる妖怪の大御所だぞ』


    れんげ「はーやくかえってよーかいのー♪」タタタ…

    れんげ「おべんきょ……」ピタッ


    れんげ「なんと!のんのんばあのお家が復活してるではありませんか!」

    43 = 1 :

    れんげ「のんのんばあーっ!いるーん!?」ガラッ


    シ───ン…


    れんげ「のんのんばあ…?」

    れんげ「おじゃまするん…」ヌギッ ポイッ


    れんげ「のんのんばあ、れんげ来たのん」ガラッ

    れんげ「ここにも…」ガラッ

    れんげ「ここにもいないん…」ガラッ

    れんげ「留守なん?」シュン

    れんげ「…あ、まだ二階があるん!」


    ギィ…ギィ…ギィ…


    れんげ「人の気配がする…きっとこの部屋なん」ガラッ

    44 = 1 :

    「……」

    れんげ「あ、勝手にあがって申し訳ないん…いちおう玄関で声はかけたのん…」

    「……」

    れんげ「ウチ、のんのんばあと遊びにきたん…」

    「……」

    れんげ「のんのんばあの家族の人なん?」

    「……」

    れんげ「ところでおっちゃん…」








    れんげ「なんで天井からロープでぶら下がってるん?」

    45 = 24 :

    うわああああああああああ

    46 = 1 :

    ギィ…ギィ…ギシ…ギシ…


    れんげ(誰か階段を上ってくるん…)


    ギィ…ギィ…ギシ…ギシ…

    ギシ…ギシ…


    ガラッ

    47 = 1 :

    のんのんばあ「れんげちゃん、こっちにおいで」

    れんげ「あ!のんのんばあ!やっぱりいたんな!」

    のんのんばあ「年寄りは耳が遠くていけんだがな。ともかくこっちにおいで」

    れんげ「でも…友達の家に遊びに行ったらお家の人にもきちんと挨拶しなさいってねえねえに言われてるん」

    のんのんばあ「ええけ(いいから)…子供の見るもんじゃないが」

    「……」

    れんげ「…だけど、取りあえず降ろしてあげた方がいいと思うのん」

    のんのんばあ「……ええけ」

    れんげ「…おっちゃん、バイバイな」

    「……」




    「……」スウーッ…

    48 = 1 :

    れんげ「のんのんばあ、あの後どこ行ってたん?ウチずっと会いたかったんよ」

    のんのんばあ「すまんなぁ。少しばかり調べ物があってな。家を空けとっただがな」

    れんげ「そういえばあの柿、まだたんころりんにならないんだけど、どうなってるん?」

    のんのんばあ「焦らん焦らん。子供のうちは時間がたっぷりあるだけ。お楽しみは後にとっとくだが」ナデナデ

    れんげ「そういえば!今さっき妖怪の本買ってきたん!のんのんばあ、これ読んでほしいのん!」

    のんのんばあ「あれ、困ったなぁ。のんのんばあは字が読めんのだがな」

    れんげ「…大人なのに読めないのん?」

    のんのんばあ「昔はな、家が貧しくて学校に通えん子供がようけおっただけん」

    れんげ「そうなん…」シュン

    49 = 1 :

    のんのんばあ「…でもまぁ、絵を見ればその妖怪の話くらいできるかもなぁ。どれ、のんのんばあに見せてみ」

    れんげ「のんのんばあ、流石なん!」

    のんのんばあ「おぉ、立派な本だなぁ。外国の本みたいだが。れんげちゃんのお家は金持ちかいな」

    れんげ「…普通の家なん」

    のんのんばあ「どれどれ…」ペラッ

    のんのんばあ「……」

    れんげ「……」じぃーっ

    50 = 1 :

    のんのんばあ「……」

    れんげ「…本読んでって頼んだら自分だけ読んで『はい、読んだ』っていうネタならねえねえに散々やられて飽きてるのん」

    のんのんばあ「…お、おぉスマンスマン。なんだかこの絵を見ていると懐かしくてなぁ」

    れんげ「懐かしいのん?」

    のんのんばあ「よぉ見覚えのあるような…はて、おかしな気分がするなぁ…」

    のんのんばあ「まぁええ。れんげちゃん、オラの膝にお乗り。妖怪の話したるけん」

    れんげ「わくわくするん!」ストン

    のんのんばあ「お、これは【垢なめ】だな。この妖怪はな……」


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