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元スレ暴君「俺に逆らう奴は、どいつもこいつも死刑だ!」
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< 寝室 >
暴君の朝は早い──
ザバァァァッ!
暴君「ぶっ!? ぶっ……ぶふっ」ペッペッ
メイド「朝ですよ」
暴君「メイド……俺に水をかけやがったのはお前か!」ビショビショ…
メイド「おはようございます、陛下」
暴君「おはよう、じゃねえよ!」
メイド「笑えませんか?」
暴君「どこの世界に朝っぱらから水ぶっかけられて笑う奴がいるんだ!」
暴君「ふざけやがって……死刑だ! 死刑にしてやる!」
暴君の朝は早い──
ザバァァァッ!
暴君「ぶっ!? ぶっ……ぶふっ」ペッペッ
メイド「朝ですよ」
暴君「メイド……俺に水をかけやがったのはお前か!」ビショビショ…
メイド「おはようございます、陛下」
暴君「おはよう、じゃねえよ!」
メイド「笑えませんか?」
暴君「どこの世界に朝っぱらから水ぶっかけられて笑う奴がいるんだ!」
暴君「ふざけやがって……死刑だ! 死刑にしてやる!」
メイド「かしこまりました」
暴君「よし、早く死ね! 今死ね! すぐ死ね!」
メイド「では、この果物ナイフで──」チャッ
メイド「この場で頸動脈を切り裂き、真っ赤な血を盛大に噴き出しながら」
メイド「地獄の亡者のような断末魔を上げて息絶えたいと存じます」
メイド「目が覚めたばかりの陛下には、少々ヘビーな見世物になるかもしれませんが」
メイド「陛下に重大なトラウマができようができまいが」
メイド「これから死にゆく私には関係ないことですので」
メイド「では──」スッ
暴君「ま、待て!」
暴君「よし、早く死ね! 今死ね! すぐ死ね!」
メイド「では、この果物ナイフで──」チャッ
メイド「この場で頸動脈を切り裂き、真っ赤な血を盛大に噴き出しながら」
メイド「地獄の亡者のような断末魔を上げて息絶えたいと存じます」
メイド「目が覚めたばかりの陛下には、少々ヘビーな見世物になるかもしれませんが」
メイド「陛下に重大なトラウマができようができまいが」
メイド「これから死にゆく私には関係ないことですので」
メイド「では──」スッ
暴君「ま、待て!」
メイド「なんですか?」
暴君「いや……たしかに朝っぱらから血しぶきを見るのはキツイ」
暴君「死刑は、やめだ」
メイド「まるで昼間や夜なら耐えられる、といわんばかりの口ぶりですね」
メイド「なにも、たかが召使い相手に見栄をはることはないかと」
暴君「うるせえ!」
暴君「とにかく……朝食だ!」
暴君「大食堂に向かうぞ」
メイド「かしこまりました」
メイド「陛下は健康な若者ですし、朝だから仕方ありませんが」
メイド「そのパジャマの下でそそり立っているものが落ちついたら、向かいましょう」
暴君「ほっとけ!」ビィーン
暴君「いや……たしかに朝っぱらから血しぶきを見るのはキツイ」
暴君「死刑は、やめだ」
メイド「まるで昼間や夜なら耐えられる、といわんばかりの口ぶりですね」
メイド「なにも、たかが召使い相手に見栄をはることはないかと」
暴君「うるせえ!」
暴君「とにかく……朝食だ!」
暴君「大食堂に向かうぞ」
メイド「かしこまりました」
メイド「陛下は健康な若者ですし、朝だから仕方ありませんが」
メイド「そのパジャマの下でそそり立っているものが落ちついたら、向かいましょう」
暴君「ほっとけ!」ビィーン
< 大食堂 >
暴君「なんだこれは!?」
暴君「パンと……味噌汁!?」
暴君「なぜ、パンと異国のスープ料理を混ぜる!?」
暴君「シェフを呼べ!」
暴君「シェフをこの俺自ら、断罪してやる!」
暴君「こんなふざけたメニューを出したらどうなるか、見せしめのためにな!」
暴君「なんだこれは!?」
暴君「パンと……味噌汁!?」
暴君「なぜ、パンと異国のスープ料理を混ぜる!?」
暴君「シェフを呼べ!」
暴君「シェフをこの俺自ら、断罪してやる!」
暴君「こんなふざけたメニューを出したらどうなるか、見せしめのためにな!」
シェフ「お呼びでしょうか、陛下」
暴君「お呼びでしょうか、じゃねえ!」
暴君「なんだこのふざけたメニューは!? 死刑にしてやる!」
シェフ「陛下、パンと味噌汁は非常にマッチするのですよ」
暴君「なんだと!? ウソをつくな!」
シェフ「では、パンをちぎって味噌汁につけて、食べてみて下さい」
暴君「ふむ……」チョチョイ…
暴君「…………」モグ…
暴君「こ、これは!?」
暴君「お呼びでしょうか、じゃねえ!」
暴君「なんだこのふざけたメニューは!? 死刑にしてやる!」
シェフ「陛下、パンと味噌汁は非常にマッチするのですよ」
暴君「なんだと!? ウソをつくな!」
シェフ「では、パンをちぎって味噌汁につけて、食べてみて下さい」
暴君「ふむ……」チョチョイ…
暴君「…………」モグ…
暴君「こ、これは!?」
暴君「美味い!」
暴君「スポンジのように味噌汁を吸い込んだパンが──」
暴君「これまでにない、まったく新しい味を誕生させている!」モグモグ…
暴君「でかしたシェフ、死刑は取りやめだ!」
~
メイド「なんであんなメニューを出したのです?」
シェフ「昨夜、私の家の夕食が味噌汁だったんだが、作りすぎて余ってしまってね」
シェフ「捨てるのももったいないから、試しに出してみた」
シェフ「好評なようでよかったよ」
シェフ「では、我々は普通にパンとスープで朝食を取るとしよう」
メイド「そうですね」
暴君「スポンジのように味噌汁を吸い込んだパンが──」
暴君「これまでにない、まったく新しい味を誕生させている!」モグモグ…
暴君「でかしたシェフ、死刑は取りやめだ!」
~
メイド「なんであんなメニューを出したのです?」
シェフ「昨夜、私の家の夕食が味噌汁だったんだが、作りすぎて余ってしまってね」
シェフ「捨てるのももったいないから、試しに出してみた」
シェフ「好評なようでよかったよ」
シェフ「では、我々は普通にパンとスープで朝食を取るとしよう」
メイド「そうですね」
< 謁見の間 >
大臣「陛下、国民との謁見のお時間です」
暴君「なんで俺が、下等な愚民と顔を会わさなきゃならないんだ?」
大臣「陛下がおっしゃったんじゃありませんか」
大臣「“愚民に直々に俺の恐怖を教えるため、毎日国民のうちだれか一人と会う”と」
暴君「あ~……そんなこといったっけな」
暴君「分かった、すぐ部屋に入れろ」
大臣「はい」
暴君(国民との謁見か……)
暴君(面白い……)
暴君(少しでも落ち度があったら、死刑にしてやる!)
大臣「陛下、国民との謁見のお時間です」
暴君「なんで俺が、下等な愚民と顔を会わさなきゃならないんだ?」
大臣「陛下がおっしゃったんじゃありませんか」
大臣「“愚民に直々に俺の恐怖を教えるため、毎日国民のうちだれか一人と会う”と」
暴君「あ~……そんなこといったっけな」
暴君「分かった、すぐ部屋に入れろ」
大臣「はい」
暴君(国民との謁見か……)
暴君(面白い……)
暴君(少しでも落ち度があったら、死刑にしてやる!)
国民「はじめまして、陛下……」ビクビク…
暴君(震えているな……まあ当然か)
暴君(君主と愚民が向き合って話をするなど、これまでなかったことだ)
暴君(落ち度を見つけたら、即座に死刑執行だ!)
暴君「なんでもいい、いいたいことがあったらいってみろ」
国民「で、では……」オドオド…
国民「税を……下げていただけないでしょうか?」
国民「どうやりくりしても、今の税では生活が苦しくて……」
暴君(来た!)
暴君「この俺を前に税を下げろだと!? なんという無礼千万!」
暴君「死刑だ! お前は死刑だ!」
国民「やっぱり……無理だったか……」ガクッ
暴君「無理だと!?」
暴君(震えているな……まあ当然か)
暴君(君主と愚民が向き合って話をするなど、これまでなかったことだ)
暴君(落ち度を見つけたら、即座に死刑執行だ!)
暴君「なんでもいい、いいたいことがあったらいってみろ」
国民「で、では……」オドオド…
国民「税を……下げていただけないでしょうか?」
国民「どうやりくりしても、今の税では生活が苦しくて……」
暴君(来た!)
暴君「この俺を前に税を下げろだと!? なんという無礼千万!」
暴君「死刑だ! お前は死刑だ!」
国民「やっぱり……無理だったか……」ガクッ
暴君「無理だと!?」
暴君「なんという無礼千万!」
暴君「俺に無理などない! 愚民の分際で、俺を挑発するつもりか!」
暴君「いいだろう、税を下げてやろうじゃないか!」
国民「え?」
暴君「大臣、税を下げろ!」
大臣「よろしいのですかな?」
暴君「当たり前だ!」
大臣「ちなみにいつから下げますか?」
暴君「今からに決まってるだろ! ゴチャゴチャぬかすとお前を死刑にするぞ!」
大臣「分かりました。ではただちに」
暴君「愚民よ、お前の死刑は撤回だ。俺の恐ろしさを、世に伝える役目を与える」
国民(ありがとうございます、陛下……!)グスッ…
暴君「俺に無理などない! 愚民の分際で、俺を挑発するつもりか!」
暴君「いいだろう、税を下げてやろうじゃないか!」
国民「え?」
暴君「大臣、税を下げろ!」
大臣「よろしいのですかな?」
暴君「当たり前だ!」
大臣「ちなみにいつから下げますか?」
暴君「今からに決まってるだろ! ゴチャゴチャぬかすとお前を死刑にするぞ!」
大臣「分かりました。ではただちに」
暴君「愚民よ、お前の死刑は撤回だ。俺の恐ろしさを、世に伝える役目を与える」
国民(ありがとうございます、陛下……!)グスッ…
暴君「あの愚民め、俺の恐ろしさに怯え、涙を流していやがった」
大臣「しかし、よろしいのですかな?」
大臣「税を下げると臣下はともかく、陛下の生活レベルをも落とすことになります」
暴君「俺がちょっと食うモノが安くなったり、着るモノが安くなったりしたぐらいで」
暴君「弱っちまうようなヤワな君主に見えるのか!?」
大臣「見えませんな」
暴君「愚民に恐怖を与える楽しみに比べれば、その程度どうということはない」
暴君「ハッハッハッハッハ……!」
大臣「まあ、あなたがそれでいいとおっしゃるのなら、かまいませんが」
大臣「しかし、よろしいのですかな?」
大臣「税を下げると臣下はともかく、陛下の生活レベルをも落とすことになります」
暴君「俺がちょっと食うモノが安くなったり、着るモノが安くなったりしたぐらいで」
暴君「弱っちまうようなヤワな君主に見えるのか!?」
大臣「見えませんな」
暴君「愚民に恐怖を与える楽しみに比べれば、その程度どうということはない」
暴君「ハッハッハッハッハ……!」
大臣「まあ、あなたがそれでいいとおっしゃるのなら、かまいませんが」
< 城下町 >
暴君「クックック……」
暴君「愚民どもをひれ伏させるために、町を視察だ!」
暴君「もちろん、俺に無礼を働いたり、俺に逆らう奴は、どいつもこいつも死刑だ!」
暴君「今日一日で何人を死刑台に送れるか……楽しみで仕方ない!」
暴君「行くぞ、メイド!」
メイド「はい、陛下」
暴君「クックック……」
暴君「愚民どもをひれ伏させるために、町を視察だ!」
暴君「もちろん、俺に無礼を働いたり、俺に逆らう奴は、どいつもこいつも死刑だ!」
暴君「今日一日で何人を死刑台に送れるか……楽しみで仕方ない!」
暴君「行くぞ、メイド!」
メイド「はい、陛下」
果物屋──
店主「へ、へ、陛下!?」
暴君「お前ら愚民がしっかり仕事をしているか、視察に来てやった」
暴君「リンゴをもらうぞ」パシッ
ガリッ! ガリッ! ガリッ!
暴君「ふむ……」ムシャムシャ…
暴君(まずかったら死刑にしてやろうと思ったが、案外美味いな)ムシャムシャ…
暴君「見逃してやる」ポイッ
メイド「陛下、お代は? あとリンゴの芯は、きちんとゴミ箱に捨てませんと」
暴君「なんだと!?」
暴君「俺に向かって注意するだと! 死にたいのか、メイド!?」ギロッ
店主「へ、へ、陛下!?」
暴君「お前ら愚民がしっかり仕事をしているか、視察に来てやった」
暴君「リンゴをもらうぞ」パシッ
ガリッ! ガリッ! ガリッ!
暴君「ふむ……」ムシャムシャ…
暴君(まずかったら死刑にしてやろうと思ったが、案外美味いな)ムシャムシャ…
暴君「見逃してやる」ポイッ
メイド「陛下、お代は? あとリンゴの芯は、きちんとゴミ箱に捨てませんと」
暴君「なんだと!?」
暴君「俺に向かって注意するだと! 死にたいのか、メイド!?」ギロッ
店主「そうですよ……陛下からお代など受け取れません」
暴君「なにぃ!?」
暴君「キサマ、俺がリンゴ一個の代金も払えないほどの、貧乏人に見えるのか!?」
店主「え!? いや、そうじゃなくて──」
暴君「払ってやる……リンゴの代金をな!」チャリン…
暴君「どうだ!? ぐうの音も釣り銭も出まい!」
店主「ちょ、ちょうどいただきました。ど、どうも毎度あり~」
暴君「ついでにこのリンゴの芯は、袋に入れて城に帰ってから処分してくれるわ!」
暴君「ハッハッハッハッハ……!」
メイド「すみませんね、お仕事のジャマをしまして」
店主「い、いや、かまわんがね」
暴君「なにぃ!?」
暴君「キサマ、俺がリンゴ一個の代金も払えないほどの、貧乏人に見えるのか!?」
店主「え!? いや、そうじゃなくて──」
暴君「払ってやる……リンゴの代金をな!」チャリン…
暴君「どうだ!? ぐうの音も釣り銭も出まい!」
店主「ちょ、ちょうどいただきました。ど、どうも毎度あり~」
暴君「ついでにこのリンゴの芯は、袋に入れて城に帰ってから処分してくれるわ!」
暴君「ハッハッハッハッハ……!」
メイド「すみませんね、お仕事のジャマをしまして」
店主「い、いや、かまわんがね」
< 町外れ >
少女「…………」ポツン…
暴君「なんだ、あの小娘は?」
メイド「あれは奴隷ですね」
メイド「買い手がつかなかったので、商人に捨てられたのでしょう」
暴君「ほう……無様なものだな」
暴君(ああいう不幸のどん底の小娘を、追い打ちをかけるように虐げてこそ)
暴君(俺の恐ろしさがますます下々に伝わるってもんだ)
少女「…………」ポツン…
暴君「なんだ、あの小娘は?」
メイド「あれは奴隷ですね」
メイド「買い手がつかなかったので、商人に捨てられたのでしょう」
暴君「ほう……無様なものだな」
暴君(ああいう不幸のどん底の小娘を、追い打ちをかけるように虐げてこそ)
暴君(俺の恐ろしさがますます下々に伝わるってもんだ)
暴君「オイ、小娘」
少女「は、はいっ!」
暴君「ほう、俺のことは知っているようだな」
暴君「ならば、俺の靴を舐めろ」
暴君「舐めて舐めて舐めまくって、地面に頭が埋まるくらい俺にひれ伏せ」
少女「…………」
暴君「どうした、なぜ舐めない!?」
暴君「俺の命令が聞けないってのか!?」
メイド「無駄ですよ」
メイド「この国には、奴隷は貴族の体に触れてはならない、という法があるのです」
メイド「貴族よりも偉い陛下なら、なおさらでしょうね」
暴君「なんだとォ~!?」
少女「は、はいっ!」
暴君「ほう、俺のことは知っているようだな」
暴君「ならば、俺の靴を舐めろ」
暴君「舐めて舐めて舐めまくって、地面に頭が埋まるくらい俺にひれ伏せ」
少女「…………」
暴君「どうした、なぜ舐めない!?」
暴君「俺の命令が聞けないってのか!?」
メイド「無駄ですよ」
メイド「この国には、奴隷は貴族の体に触れてはならない、という法があるのです」
メイド「貴族よりも偉い陛下なら、なおさらでしょうね」
暴君「なんだとォ~!?」
暴君「だれだ!? そんなふざけた法律を作ったのは!?」
メイド「存じ上げません」
メイド「陛下のご先祖のうちの、どなたかではないでしょうか?」
暴君「ふざけやがって……」
暴君「よし、決めた! 奴隷制は廃止だ!」
メイド「え」
暴君「俺の名で撤廃すれば、もはやだれも文句はいえまいし、いわせんぞ!」
暴君「あと、この小娘にはたっぷりと地獄を味わわせなければならん!」
暴君「メイド、コイツを拾って城でこき使ってやれ!」
メイド「かしこまりました」
メイド「存じ上げません」
メイド「陛下のご先祖のうちの、どなたかではないでしょうか?」
暴君「ふざけやがって……」
暴君「よし、決めた! 奴隷制は廃止だ!」
メイド「え」
暴君「俺の名で撤廃すれば、もはやだれも文句はいえまいし、いわせんぞ!」
暴君「あと、この小娘にはたっぷりと地獄を味わわせなければならん!」
暴君「メイド、コイツを拾って城でこき使ってやれ!」
メイド「かしこまりました」
< 城 >
暴君「町を歩いていたら、疲れた!」
暴君「大臣、ワインを用意しろ!」
大臣「城内では、昼間はワインを飲んではいけないという規則がありまして」
暴君「なんだと!?」
暴君「いったいそんな規則を作ったのはだれだ!? 死刑にしてやる!」
大臣「…………」
暴君「なにを黙っている!? 死にたいのか!?」
大臣「どうしても聞きたいですか?」
暴君「早くしろ! お前も死刑にするぞ!」
大臣「陛下です」
暴君「町を歩いていたら、疲れた!」
暴君「大臣、ワインを用意しろ!」
大臣「城内では、昼間はワインを飲んではいけないという規則がありまして」
暴君「なんだと!?」
暴君「いったいそんな規則を作ったのはだれだ!? 死刑にしてやる!」
大臣「…………」
暴君「なにを黙っている!? 死にたいのか!?」
大臣「どうしても聞きたいですか?」
暴君「早くしろ! お前も死刑にするぞ!」
大臣「陛下です」
暴君「なんだと! どういうことだ!?」
大臣「先月のことですが、陛下が昼間からワインを飲んでる城兵を」
大臣「お叱りになったことがあったでしょう」
大臣「結局、陛下もワインを飲みまくって酔っ払って二日酔いになりましたが……」
大臣「よほど頭痛がひどかったのか、苛立ちが頂点に達した陛下が」
大臣「“城内でワイン飲むのは日が沈んでから!”と規則を作られたのでございます」
大臣「おかげで城内の雰囲気がだいぶ引き締まりましたな」
暴君「なんだと!? 俺が作ったのか!」
暴君「おのれぇ~、なんということだ!」
暴君「こうなれば、俺を死刑にしろ!」
大臣「分かりました。ではただちに」
大臣「先月のことですが、陛下が昼間からワインを飲んでる城兵を」
大臣「お叱りになったことがあったでしょう」
大臣「結局、陛下もワインを飲みまくって酔っ払って二日酔いになりましたが……」
大臣「よほど頭痛がひどかったのか、苛立ちが頂点に達した陛下が」
大臣「“城内でワイン飲むのは日が沈んでから!”と規則を作られたのでございます」
大臣「おかげで城内の雰囲気がだいぶ引き締まりましたな」
暴君「なんだと!? 俺が作ったのか!」
暴君「おのれぇ~、なんということだ!」
暴君「こうなれば、俺を死刑にしろ!」
大臣「分かりました。ではただちに」
< 処刑台 >
兵士「これは、こっちでいいですか?」ガタッ
大臣「うむ」
メイド「この部品は、ここでよろしいですか?」カチッ
大臣「うむ、オーケーだ」
暴君「…………」
大臣「お待たせしましたな」
大臣「あとはこのレバーを引けば、陛下の首はスパッと飛びます」
大臣「君主の命による死刑執行には、この最高級の処刑台を使うのですが」
大臣「陛下の代になってから、勅命による死刑執行は行われていなかったので」
大臣「セッティングに苦労しましたよ」
暴君「…………」
神父「陛下、最期になにか言い残すことはございますか?」
兵士「これは、こっちでいいですか?」ガタッ
大臣「うむ」
メイド「この部品は、ここでよろしいですか?」カチッ
大臣「うむ、オーケーだ」
暴君「…………」
大臣「お待たせしましたな」
大臣「あとはこのレバーを引けば、陛下の首はスパッと飛びます」
大臣「君主の命による死刑執行には、この最高級の処刑台を使うのですが」
大臣「陛下の代になってから、勅命による死刑執行は行われていなかったので」
大臣「セッティングに苦労しましたよ」
暴君「…………」
神父「陛下、最期になにか言い残すことはございますか?」
暴君(──ん?)
暴君(どうしてこうなったんだ?)
暴君(なんで俺は全身を拘束され、今まさにこの世から旅立とうとしてるんだ?)
神父「言い残すことは、特にないようです」
兵士「そうですか」
大臣「では、執行開始といきますかな」スッ
メイド「陛下、お元気で」
暴君「ちょっ……」
暴君「ちょっ、ちょっと待て! 待て待て待て待て待て!」
暴君「死刑中止! 中止! 俺は死にたくなぁ~~~~~い!!!」
大臣「分かりました。ではただちに中止しましょう」
暴君(どうしてこうなったんだ?)
暴君(なんで俺は全身を拘束され、今まさにこの世から旅立とうとしてるんだ?)
神父「言い残すことは、特にないようです」
兵士「そうですか」
大臣「では、執行開始といきますかな」スッ
メイド「陛下、お元気で」
暴君「ちょっ……」
暴君「ちょっ、ちょっと待て! 待て待て待て待て待て!」
暴君「死刑中止! 中止! 俺は死にたくなぁ~~~~~い!!!」
大臣「分かりました。ではただちに中止しましょう」
暴君「ハァ、ハァ、ハァ……」
大臣「もう少しで陛下の首が飛ぶところでしたよ。大丈夫ですか?」
暴君「大丈夫なわけあるか!」
メイド「お水です」
暴君「よこせ!」パシッ
暴君「…………」グビグビ…
暴君「──っぷはぁっ!」
暴君(口が滑ったせいで、危うく死ぬところだった……)ハァハァ…
暴君「よし、決めた!」
暴君「これからは俺といえど、あまりホイホイ処刑できないようにしよう!」
大臣「いつからにしますか?」
暴君「今からだ!」
大臣「分かりました」
大臣「もう少しで陛下の首が飛ぶところでしたよ。大丈夫ですか?」
暴君「大丈夫なわけあるか!」
メイド「お水です」
暴君「よこせ!」パシッ
暴君「…………」グビグビ…
暴君「──っぷはぁっ!」
暴君(口が滑ったせいで、危うく死ぬところだった……)ハァハァ…
暴君「よし、決めた!」
暴君「これからは俺といえど、あまりホイホイ処刑できないようにしよう!」
大臣「いつからにしますか?」
暴君「今からだ!」
大臣「分かりました」
暴君「いや、待てよ」
暴君「だいたい俺が何でもかんでも決められるってのが、そもそもおかしい!」
暴君「なんたって、そのせいで死にかけたんだからな!」
暴君「これからは重大な事案に関しては、臣下も交えた話し合いで決めることとする!」
大臣「つまり、権力を分散すると……?」
暴君「そうだ!」
大臣「しかし、そうなると陛下の権威が──」
暴君「ふざけるな、その程度のことで権威が落ちるような俺ではないっ!」
暴君「ハッハッハッハッハ……!」
大臣「分かりました」
暴君「だいたい俺が何でもかんでも決められるってのが、そもそもおかしい!」
暴君「なんたって、そのせいで死にかけたんだからな!」
暴君「これからは重大な事案に関しては、臣下も交えた話し合いで決めることとする!」
大臣「つまり、権力を分散すると……?」
暴君「そうだ!」
大臣「しかし、そうなると陛下の権威が──」
暴君「ふざけるな、その程度のことで権威が落ちるような俺ではないっ!」
暴君「ハッハッハッハッハ……!」
大臣「分かりました」
< 大食堂 >
暴君「ほう……今日はおかゆか」ベチャ…
暴君「たまには悪くないな」
暴君「これはキャビアか……」プチッ
暴君「ふん、悪くない味だ」
暴君「文句をつけてやろうと思ったが……今日は文句のつけようのない夕食だな」
~
メイド「なんですか、このベチャベチャなご飯は?」
シェフ「うっかりしていて、水加減を間違えてしまってね……」
シェフ「しかも、イクラをイカ墨が入ったバケツに落としてしまった」
メイド「陛下相手だからよかったようなものの」
メイド「もっとしっかりして下さいね、シェフ」
シェフ「面目ない」
暴君「ほう……今日はおかゆか」ベチャ…
暴君「たまには悪くないな」
暴君「これはキャビアか……」プチッ
暴君「ふん、悪くない味だ」
暴君「文句をつけてやろうと思ったが……今日は文句のつけようのない夕食だな」
~
メイド「なんですか、このベチャベチャなご飯は?」
シェフ「うっかりしていて、水加減を間違えてしまってね……」
シェフ「しかも、イクラをイカ墨が入ったバケツに落としてしまった」
メイド「陛下相手だからよかったようなものの」
メイド「もっとしっかりして下さいね、シェフ」
シェフ「面目ない」
< 寝室 >
暴君の夜は早い──
暴君「さて、寝るか」
メイド「おやすみなさいませ」
暴君「なにが、おやすみなさい、だ」ジロッ…
暴君「どうせ、ようやく横暴な君主の世話から解放されると喜んでいるんだろうが」
メイド「はい」
暴君「ふん、相変わらず馬鹿正直で無愛想な奴だ」
暴君の夜は早い──
暴君「さて、寝るか」
メイド「おやすみなさいませ」
暴君「なにが、おやすみなさい、だ」ジロッ…
暴君「どうせ、ようやく横暴な君主の世話から解放されると喜んでいるんだろうが」
メイド「はい」
暴君「ふん、相変わらず馬鹿正直で無愛想な奴だ」
暴君「しかし、お前はいつも仏頂面でいるが、人生楽しくはないのか?」
暴君「たまには笑ったらどうだ?」
メイド「陛下こそ──」
暴君「ん?」
メイド「いえ、なんでもありません」
メイド「あなたが寝ないと私も就寝することができませんし」
メイド「陰口も叩けないので、とっとと寝て下さい」
暴君「寝るよ! 寝りゃいいんだろ!」ガバッ
暴君(くそっ……やっぱり死刑にする権限を手放さなければよかった!)
暴君「たまには笑ったらどうだ?」
メイド「陛下こそ──」
暴君「ん?」
メイド「いえ、なんでもありません」
メイド「あなたが寝ないと私も就寝することができませんし」
メイド「陰口も叩けないので、とっとと寝て下さい」
暴君「寝るよ! 寝りゃいいんだろ!」ガバッ
暴君(くそっ……やっぱり死刑にする権限を手放さなければよかった!)
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