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    元スレ女「君はボクの何になってくれるんだい?」

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    101 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 01:22:55.10 ID:KfhsKJQw0 (+55,+30,-70)
    「お兄ちゃん、どこ行くの?」

    「げっ」

    見つかってしまった。

    「ちょっと、何その反応!」

    「いや、別になんでもない」

    「……それで、どこ行くの?」

    「別に、どこも」

    「じゃあなんで靴を履いてるの?」

    「出かけるから」

    「何もなくないじゃん!」
    102 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 01:25:28.56 ID:jY63qf2o0 (-22,-12,-1)
    保守
    103 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 01:26:32.15 ID:jY63qf2o0 (-22,-12,-1)
    保守
    104 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 01:29:25.89 ID:KfhsKJQw0 (+55,+30,-103)
    「いや、出かけるって言ってもアレだぞ。別にどこかに行くとかじゃなくてな」

    「……散歩ってこと?」

    「そーゆーこと」

    「お兄ちゃんって時々行くよね」

    最近は行ってなかったけど、と付け加えた。

    「外の風に当たりたいんだよ」

    「ほんとーは誰かと会ってるんじゃないの?」

    口の端を釣り上げている。
    105 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 01:32:30.59 ID:KfhsKJQw0 (+55,+30,-91)
    「会ってないよ。一人で歩いてんだ」

    「怪しいなぁー!」

    むふふ、と含み笑い。

    何が怪しいというのだ。

    「誰かと歩きたいならお前のこと誘うよ」

    俺は妹となら永遠に話せる自信があるぞ。

    「ふーん」

    反応薄っ!!
    106 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 01:32:42.40 ID:yRNG9q030 (-25,-15,+0)
    107 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 01:32:48.07 ID:jY63qf2o0 (-22,-12,-1)
    保守
    108 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 01:35:45.22 ID:jY63qf2o0 (-22,-12,-1)
    保守
    109 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 01:37:14.07 ID:KfhsKJQw0 (+55,+30,-78)
    「じゃあ一緒に行ってあげようか?」

    「今日はいいや」

    「ぶーぶー!」

    頬を膨らませて怒る妹。

    「また今度な」

    「こんな夜遅くに出て、危ないことしないでね」

    「危ないことって?」

    「例えば……ひ、非行に走るとか!」

    そんなこと心配してるのか。

    本当にプリティーなシスターだ。
    110 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 01:37:59.98 ID:jY63qf2o0 (-22,-12,-1)
    保守
    111 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 01:39:46.37 ID:jY63qf2o0 (-22,-12,-1)
    保守
    112 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 01:41:19.05 ID:jY63qf2o0 (+29,+29,-2)
    眠いから出来るだけ早く頼む、寝落ちしちゃう
    113 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 01:42:55.30 ID:jY63qf2o0 (-22,-12,-1)
    保守
    114 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 01:44:12.39 ID:KfhsKJQw0 (+55,+30,-68)
    「まあ、いつものルートだから安心しろ」

    「お兄ちゃんのいつものルートなんか知らないよ」

    そりゃそうか。

    一緒に行ったこと、あんまり無いし。

    「まあ、大丈夫ってことだ」

    「むーっ」

    「なんだ? まだ何かあるのか?」

    「何もないよーだ!」

    ベーッと、舌を出される。

    何かにつけて、可愛いやつだ。
    115 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 01:45:56.15 ID:KfhsKJQw0 (+55,+30,-86)
    「じゃあいってくる」

    「さ、先にお風呂入って寝てるからね! 寂しくて泣いても知らないから!」

    「それは悲しいな」

    お出迎えしてくれないと俺は死ぬ。

    「本当?」

    首を傾げている。

    「とか言いつつ待っててくれると俺は信じてるぜ」

    「待つわけないじゃん!」

    極めつけはプイッと、そっぽを向かれた。
    116 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 01:47:28.20 ID:jY63qf2o0 (-22,-12,-1)
    保守
    117 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 01:49:50.74 ID:jY63qf2o0 (-22,-12,-1)
    保守
    118 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 01:50:48.13 ID:KfhsKJQw0 (+55,+30,-39)
    結構時間を取られたが、やっと家を出る。

    久しぶりに、夜に散歩するな。

    だからといって、懐かしいとかそういう気持ちはない。

    「ブラっと行くだけだもんな」

    別に、深く何かをするという感情はない。

    だが、ルートはいつも同じ。

    数年経っても、それは同じだ。
    119 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 01:51:42.87 ID:jY63qf2o0 (-22,-12,-1)
    保守
    120 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 01:53:54.45 ID:jY63qf2o0 (-22,-12,-1)
    保守
    121 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 01:53:58.85 ID:KfhsKJQw0 (+53,+30,-70)
    数年前のわずかな記憶をたどってみると。

    街灯が増えていたりしたなとか。

    『犬の糞は持ち帰ってください』などのポスターとか。

    案外地味な変化がある。

    まあ、だからなんだと言われたらそれまでだ。

    「おや」

    「ん」

    目の前に現れたのは、

    「やあ、運命だね」

    ヤツだった。
    122 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 01:55:23.85 ID:jY63qf2o0 (-22,-12,-1)
    保守
    123 : 多分間隔もっと長 - 2013/09/08(日) 01:57:03.29 ID:KfhsKJQw0 (+55,+30,-108)
    「こういう時は偶然とか奇遇とか言うんじゃないのか?」

    「うん、それもいいかもしれないね」

    ヤツの隣には、小さな犬がいた。

    あれ、コイツ犬飼ってたか?

    「お前、それ」

    「ああ、この子は近所の人の犬なんだ。留守番中の散歩を頼まれていてね」

    そう言って、犬を軽く撫でた。

    なるほどな。

    だから電話に出なかったのか。
    124 : 了解した、自分の - 2013/09/08(日) 01:59:43.23 ID:jY63qf2o0 (-22,-12,-1)
    保守
    125 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 02:00:45.11 ID:KfhsKJQw0 (+55,+30,-78)
    「携帯電話、ちゃんと携帯しとけよな」

    「え?」

    キョトンとした声を上げて、ヤツは俺を見た。

    「もしかして、ボクに電話をかけたとか?」

    「まあ、そんなところだ」

    「うーん、惜しいことをしたなぁ」

    けれど。

    こいつが携帯を携帯していることって、あんまし無いんだよな。

    なんで買ったのか、わからないくらいだ。
    126 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 02:02:56.26 ID:jY63qf2o0 (-22,-12,-1)
    保守
    127 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 02:04:00.43 ID:KfhsKJQw0 (+53,+30,-91)
    「おや」

    犬が急に踏ん張り始めて。

    「ふふっ、ウンチだね」

    すかさずスコップで糞をすくって、袋に入れた。

    「こんな道端でできるなんて、犬は羨ましいね」

    「何を言ってんだ」

    「夜のテンションは人をおかしくするよ」

    お前はいつも通常運転だろ、それで。
    128 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 02:10:06.77 ID:KfhsKJQw0 (+45,+30,-53)
    「こんな時間に出会ってしまったんだ。青姦でも洒落込むかい?」

    「遠慮しておく」

    「遠慮は無用さ。この子も一緒にね」

    お前、正気か。

    「あはは、目が怖いよ」

    お前がそうさせたんだろ。

    獣姦とか、洒落にならん。
    129 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 02:13:53.25 ID:KfhsKJQw0 (+50,+30,-33)
    「それじゃあ」

    そう言って、俺の横を通り過ぎて、

    「また、明日」

    と、にこやかに言った。

    「おう」

    軽く手を振っているヤツを見届け、俺はまたゆっくりと歩き始めた。
    130 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 02:14:12.87 ID:yRNG9q030 (-25,-15,+0)
    131 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 02:15:48.85 ID:jY63qf2o0 (-22,-12,-1)
    保守
    132 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 02:19:49.11 ID:jY63qf2o0 (-22,-12,-1)
    保守
    133 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 02:20:37.69 ID:KfhsKJQw0 (+55,+30,-50)
    「おっ」

    そういえば、この散歩のルートには、

    公園があったな。

    「たまには行ってみるのも面白いかもな」

    でも、もし怖い人いたらどうしよう。

    ……とりあえず、確認してから中に入ろう。

    まったく、臆病者である。
    134 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 02:21:19.73 ID:jY63qf2o0 (-22,-12,-1)
    保守
    135 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 02:23:15.74 ID:jY63qf2o0 (-22,-12,-1)
    保守
    136 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 02:24:07.59 ID:KfhsKJQw0 (+50,+30,-34)
    「……」

    公園を覗いてみたけれど。

    暗くて全く見えない。

    「怖っ……」

    幽霊とかは信じないタチだが。

    不審者を怖がってしまう。

    「……大丈夫っぽいな」
    137 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 02:24:48.11 ID:jY63qf2o0 (-22,-12,-1)
    保守
    138 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 02:26:45.67 ID:UxQBXcxM0 (+24,+29,-3)
    怪異要素のない化物語みたいだな
    取り合えず支援
    139 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 02:27:58.06 ID:jY63qf2o0 (-22,-12,-1)
    保守
    140 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 02:28:29.64 ID:KfhsKJQw0 (+55,+30,-45)
    まあ、こんなに暗いんだし。

    人がいるなんてこと、無さそうだな。

    俺は中に入っていった。

    この公園は、結構馴染みの場所だ。

    「……懐かしいな」

    初めてアイツに会った場所だ。

    それに――。

    「うおっ」

    急に、携帯が鳴り出した。
    141 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 02:29:55.72 ID:jY63qf2o0 (-22,-12,-1)
    保守
    142 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 02:33:25.43 ID:jY63qf2o0 (-22,-12,-1)
    保守
    143 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 02:34:29.68 ID:KfhsKJQw0 (+55,+30,-63)
    「も、もしもし?」

    その電話は、クラスメイトの男子だった。

    こんな夜遅くに、連絡網が回ってきたようだ。

    『明日転校生が来る』、という内容だった。

    だからって、別にしなくてもいいだろうに。

    先生、本気で忘れてたんだな……。

    「やれやれ」

    そんな声を出して、俺は携帯をしまった。

    そして――。

    「……あの」

    と。

    か細い声が、聞こえた。
    144 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 02:35:35.28 ID:jY63qf2o0 (+24,+29,+0)
    ここにきて急展開!
    145 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 02:38:01.43 ID:KfhsKJQw0 (+50,+30,-24)
    「えっ」

    誰かいたのか。

    「……男、くん?」

    俺の名を、知っている。

    「そ、そうですけど……」

    「……やっぱり!」

    だ、誰だ……?
    146 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 02:38:54.96 ID:jY63qf2o0 (+6,+16,+0)
    ほう
    147 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 02:41:30.92 ID:KfhsKJQw0 (+55,+30,-64)
    「あの、どなた、ですか」

    「もう、忘れちゃった?」

    ピカっと、ライトが点く。

    携帯のライトだ。

    「私だよ、私」

    「……?」

    俺と同い年くらいの女の子。

    しかし、見覚えはある。

    「も、もしかして……」

    「……」

    「幼馴染か……?」
    148 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 02:48:23.74 ID:KfhsKJQw0 (+55,+30,-48)
    幼馴染(以下、幼)「えへへ、久しぶり」

    「お前……なんで?」

    「うーん、戻ってきた感じかな」

    こいつは俺の幼馴染だ。

    小学校の頃、こいつとよく遊んだ。

    それも、ほぼ毎日。

    「こんなところで会えるなんて、ビックリしちゃった」
    149 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 02:51:37.95 ID:O5+DIJos0 (-3,+11,+0)
    150 : 以下、名無しにか - 2013/09/08(日) 02:53:50.76 ID:KfhsKJQw0 (+55,+30,-77)
    「俺の方がビックリだ」

    「ここって、よく一緒に遊んだもんね」

    そうなんだよな。

    「私、着いたら絶対最初にここに行こーって思ってたの」

    「さっき着いたのか?」

    「うん」

    と、歯を出さずに微笑む幼馴染。
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