元スレ男「サラリーマンとは、闘い也!」

みんなの評価 : ★★
51 = 25 :
VSブラックかむねあつ
52 = 1 :
< ブラック企業 >
社畜A「メェ~……メェ~……」テキパキ
社畜B「モォ~……モォ~……」テキパキ
社畜C「ブゥ~……ブゥ~……」テキパキ
社畜に言葉は無い!
言語を失念するほどの無心でただただ働き続ける、ロボット以上のロボットなのだ!
男(なんとむごい! ……むごすぎる!)
男(これは……社長のブラック魔術にて自我を奪われているッ!)
男(社長を倒せば、彼らも元に戻るはず!)
男(待っていろ! この私が必ずや邪知暴虐社長の悪行を滅するッ!)
53 = 1 :
< 黒社長室 >
黒社長「フォフォフォ……今日も社畜を酷使したおかげで人件費ゼロだわい」
男「貴様ッ!」シュザッ
黒社長「何奴!」
男「私は貴様の行いを許せぬサラリーマン!」
男「ブラック企業の長たる貴様を……労働基準法に代わって成敗にしに来たッ!」
黒社長「フォフォフォ……愚かなことよ」
黒社長「おぬしも我がブラック魔術で、社畜に生まれ変わらせてやろう」
黒社長「サビ斬ッ!」シュッ
ザンッ!
男「ぬっ!」
男(斬られた箇所から……体が錆びていく!?)
ブラック魔術──サビ斬!
この手刀で肉を斬られれば、たちまちのうちに全身が錆びついてしまう!
54 = 25 :
サビ斬いいね
55 = 1 :
男(体が……うまく動かん……)ギシギシ…
黒社長「フォフォフォ、あっけないのう。もうまともに動くことすらできまい」
黒社長「そして、思い知るがいい」
黒社長「使うことすら許されず、溜まりに溜まった形ばかりの有休の怨念をッ!」
使用されずに消え去った有給休暇は怨念と化す!
凝縮された怨念は健康な肉体にまとわりつき、社畜へと転生させてしまう!
ウオォォォン……!
黒社長「フォフォフォ、これを浴びて社畜にならなかった社員は皆無!」
男「ぐああああ……っ!」ミシミシミシ…
黒社長「企業とは悪! 労働とは絶望! 闇こそがサラリーマンの本質よ!」
男「ちっ、違う!」ミシミシ…
男「断じて否ッ!」ミシミシ…
56 = 1 :
男「企業は希望! 労働は誇り!」グググ…
黒社長(バカな!? 錆びついた体であの怨念を受けて、動けるのか!?)
男「サラリーマンとはッ!」
男「いかなる闇にも屈さぬ、閃光ッ!!!」カッ
社 員 閃 光 ( シ ャ イ ン シ ャ イ ン ) ! ! !
黒社長「ぐおおおおっ!?」
黒社長「なんだこの凄まじい光はッ!?」
黒社長「我が闇が……呑ま……れ、る──……」ボシュッ…
男が放った闇を圧する閃光は、ブラック企業をビルもろとも粉砕!
これぞまさしく──
物 理 的 倒 産 ! ! !
57 = 25 :
すげえ・・・
58 = 1 :
白社長「フォフォフォ……君の光で目が覚めた。素晴らしい気分だわい」
白社長「社畜──いや社員たちにはこれまで払っていなかった給料をまとめて払い」
白社長「今後は最上級の福利厚生を約束しよう!」
男「うむ」
男(操られていた社畜たちも、どうやら自我を取り戻したようだ)
かくして『ブラック企業』は『ホワイト企業』に生まれ変わった!
後に「世界一給料が高く、世界一労働時間が短い企業」としてギネスに乗るのだが、
それはまた別の話。
係長「みごとだ。みごとな社員閃光(シャインシャイン)だったよ」
男「恐れ入ります」
係長「さて、いい準備運動になったろうし、『一流企業』へと向かおう」
男「はいッ!」
59 = 1 :
< 一流企業 >
受付とは、闘い也!
己の名と用件を伝え、案内を待つわけだが──
大企業であればあるほどプライドの高きことエベレストの如し!
弱者を応接する気、さらさら無し!
資格無き者は、門前払いどころか門前撃滅!
受付嬢「……なるほど、本日は商談で参られたのですね?」
係長「はい」
受付嬢「では──我が社に足を踏み入れる『資格』を示してみよッ!」ゴゴゴ…
係長「分かりました」
男「係長、私が──」スッ
係長「いや、君がブラック企業で受けた傷は軽くないはず」
係長「ここは上司であるぼくを、頼ってくれ」ザンッ
60 = 1 :
受付嬢、歓迎100%の受付スマイルから、殺戮100%の般若スマイルに変貌!
受付嬢「キエエエェェェッ!」バオッ
ズドォッ!
係長「ぐおぉっ!」ドザァッ
受付嬢は美しい! 心も肉体も美しい!
なにより打撃が美しい!
完璧フォームから放たれるビューティフルキックは、敵を醜く破壊する!
係長「どうやらアレを……使わざるをえない相手のようだ」ヨロッ…
係長「来い!」ピピッ
男(早くもアレを!? あの受付嬢、やはり超一流の実力者ッ!)
61 = 25 :
この受付嬢・・・田村ゆかりか
62 = 1 :
係長はホワイトボートの達人!
係長の議事録の完成度に皆が魅せられ、会議が中断するのは日常茶飯事!
しかし、ホワイトボードは戦車として使われて初めて真価を発揮する!
タイヤ付きホワイトボートを、サーフィンのように乗りこなす係長!
その全開タックルは、最高速ダンプカーを真正面から粉末と化す性能!
係長「ホワイトボード……アタックッ!」ガラガラガラ…
ズドォォォンッ!
ふっ飛んだ受付嬢、受け身も取れず壁にダイレクト衝突!
受付嬢「『資格アリ』です」ニコッ
受付嬢「案内の者が参りますので、あちらの席におかけになって、お待ち下さい」
受付嬢「ごふぅぅぅぅぅっ!」ブバァァァッ
きちんと受付嬢の業務を果たしてから、吐血! これぞ受付嬢の矜持!
63 = 1 :
一流社員「お待たせしました。応接室までご案内します」スッ…
係長「これはどうも」
男(この社員……かなりの実力者ッ!)ゾクッ
男(今日の我々の相手は、この社員なのか!?)
係長「ちがうよ」
係長「今日の相手はここの部長さんだ。彼よりもずっと強い」
男「!」
案内役の平社員ですら、男を焦燥させるほどの闘気を放つ!
これが一流企業のレベルなのだ!
もう一度言おう!
これが一流企業のレヴェルなのだ!
64 = 25 :
係長のネーミングセンス・・・
65 = 1 :
< 応接室 >
商談とは、闘い也!
社の看板を背負いし企業戦士が、鍛えた心と技で覇を競い合う晴れ舞台!
係長(バ、バカな……! 何故この人が……!?)
係長(一流企業からすれば、さほど大きな商談でもないのに、何故!?)
係長「今日私どもがアポイントを取っていたのは、部長殿だったはずですが……?」
女社長「あら……」
女社長「女性が商談相手では不満かしら?」クスクス…
今日の商談相手──まさかの展開!
一流企業の首領(ドン)、女社長!
男尊女卑大いに結構! そのぐらいのハンデがなくば男は女(わたし)に勝てぬ!
と豪語する女傑である!
66 = 1 :
係長(マズイ……マズイぞ!)
係長(部長ならばぼくでも僅かに勝ち目はあった! しかし、彼女が相手となると──)
男「女社長殿」ズイッ
男「今日の我々の相手は、あなたですか?」
女社長「いいえ……だけどとびっきりの相手を用意してあるわ」
女社長「まだ若手だけど、アタシのお気に入りのオ、ト、コ」
女社長「入ってきて~!」パチンッ
ガチャッ……
エリート「どうも、失礼します」ペコッ
男「!?」
ビビビッ!
まさかの再会!
朝の電車で味わった完全敗北、あの尻と心の痛みが数千倍になってカムバック!
68 :
エリートktkr
69 = 1 :
エリート「おや? アナタは今朝電車で会った──まだお尻は痛いですか?」ニコッ
男「貴様……ッ!」ギリッ…
係長「彼が我々の相手をするのですか? 温和そうな若者ですが──」
女社長「そうよ~」
女社長「ちなみにね彼、あなたたちが会う予定だった部長、一撃で倒してるから」クスッ
係長(なんだと!? こんな大人しそうな若者が、あの部長殿を!?)
男「係長ッ!」
男「私にッ! 私にやらせて下さいッ!」
係長「ダメだ。ぼくがやる」
男「係長ッ!」
係長「上司命令だ」
上司命令! サラリーマンにとって絶対厳守の四字熟語!
命じられた男の全身、カチンコチンに硬直す!
70 = 1 :
係長(おそらくぼくではまず勝てまい……だが君なら勝機はある)
係長(だから、あのエリート社員に少しでもダメージを与えて──君に託すッ!)
係長の悲壮なる決意!
男を信じていないわけではない。
信じているからこそ、男の勝率をコンマ1でも増やすべく先に出陣!
この心意気、心読めぬ男にも光ファイバー以上の正確さで伝わった!
係長「まずはぼくからだ」
エリート「おや? ボクは二人同時でもかまいませんよ」
係長「結構、ぼく一人で十分だ」
愛ホワイトボートに乗る係長!
いざ、ホワイトボートアタック!
ガラガラガラガラガラ……!
71 = 25 :
死亡フラグ
72 = 1 :
エリート「へぇ~ホワイトボード使いとは珍しい」
エリート「たしかに素晴らしいスピードだ。まともにぶつかればタダじゃすまない」
エリート「だけど──」スッ
エリートは爆走するホワイトボードの側面に回り込んだ!
ホワイトボードの側面、すなわち白板にパンチング!
エリート「ホワイトボード最大の弱点……薄いから横からの攻撃ですぐに横転する!」
係長「しまっ──」グラッ…
ドッシャァンッ!
係長onホワイトボート、堕つ!
係長の血がべっとりとついたホワイトボード、まるで日本国旗のようだ!
73 = 1 :
男「係長ッ!」ガシッ
係長「す、すまない……役に立てなくて……」
係長「だが……君なら……勝て、る……頼んだ……よ……」ガクッ
男「係長ォォォォォォォォォォッ!!!」
しかし、今は商談中! いつまでも係長にすがってはいられない!
エリートに向き直った男の眼光は、数秒前までとは次元が違った!
三次元から四次元へ!
四次元アイズ!
エリート「強い……。朝、電車で会った時の甘さが、まるでなくなっている」
女社長「あら、勝つ自信ない?」
エリート「いいえ、常勝こそがエリートの条件ですから」
エリート「今のボクの心境は、いい声で吠える猫を見かけた虎、といったところです」
74 = 25 :
係長・・・
75 :
男「勝負ッ!」ダダダッ
ドゴォッ!
助走をつけ、全体重を乗せた右ストレート!
防御に使ったエリートの腕をきしませる!
だが、エリートに浮かぶは余裕かもし出す笑み!
エリート「いいパンチだ……猫からイリオモテヤマネコに昇格しよう」ビリビリ…
エリート「だが、しょせんはイリオモテヤマネコ!」
エリート「虎には勝てないッ!」
76 :
ほ
77 = 76 :
エリートもアホだったか・・・
78 = 75 :
エリート「会釈ッ!」ブンッ
ガッ!
エリート「敬礼ッ!」ブオンッ
ガツンッ!
エリート「最敬礼ッ!」ブワオンッ
ドゴォンッ!
15度、30度、45度!
お辞儀と同時に頭突きを放つ三段攻撃! 礼儀と暴力の一体技!
礼を尽くした頭突きを喰らわば、喰らった相手は霊となる!
エリート「社長、終わりました。もう永遠に立てないでしょう」
女社長「いいわぁ~、あとで特別ボーナスあげるわね」
男(なんという強烈な頭突き……私は死ぬ、のか……)
79 = 75 :
キュゥ~~~ッ!
エリート「!?」
女社長「きゃっ!」
男「!」ガバッ
突如発生した謎の怪音!
意識のない係長が、マーカーをホワイトボードにこすりつけたのである!
この音が気付けとなり、男は三途の川ツアーをかろうじて免れた!
男(係長……無意識にもかかわらず、私のことを助けてくれたのですね……)
男(ありがとうございますッ!)
80 = 75 :
エリート「せっかく拾った命、無駄にしない方がいい。今度は本当に死んでしまう」
男「死ぬ死なないを問うなら、情けをかけられた時点で私はもう死んでいるッ!」
男「もはや私は死人ッ!」
男「しかし、クビが飛ぶまでは私はサラリーマンだッ!」
男「サラリーマンである以上、私は戦うッ!」
エリート「!」ゾクッ
女社長(さっきの係長といい、彼といい、小さいながらなかなかの会社じゃない……)
エリート「なるほど……これまで本気を出していなかった非礼を詫びさせてもらう」
エリート「アナタはボクの武器で、全力を以って倒すッ!」スッ…
エリートが懐から取り出したるは、名刺入れ!
そう、エリートの本領は徒手空拳に非ず!
エリートは、名刺使いだったのだ!
エリート「名刺とは命刺(めいし)ッ! 命を刺し殺す殺人兵器ッ!」
81 = 76 :
そういや名刺出てなかったか
82 = 75 :
名刺交換とは、闘い也!
サラリーマンは先方の名刺を、絶対に避けてはならない! 受け止めるべし!
エリート「七枚投げェッ!」
シュバババババババッ!
男「頂戴いたしますッ!」
右手でキャッチ! 左手でキャッチ! 右足でキャッチ! 左足でキャッチ!
右まぶたでキャッチ! 左まぶたでキャッチ!
しかし、残る一枚──
ザクゥッ……!
男「が、はっ……!」
頸動脈、直撃す!
83 = 75 :
男「まだだッ! 首は斬れても、首は落ちていないッ! クビではないッ!」
ブシュウゥゥゥ……!
エリート「!?」
頸動脈から噴き出る血を、目潰しに使用!
さしものエリートにも、コンマ数秒のスキが爆誕!
男「うおおおおおおおおおッ!!!」
ドゴンッ! ドンッ! ズドンッ! ボゴンッ! ズガンッ!
ボガンッ! ズギャンッ! ドカンッ! ズドッ! グシャンッ!
一撃必殺の拳が、十撃入った!
エリートの皮膚、筋肉、血管、骨、内臓、プライドが、砕かれる!
エリート「が、がふっ……ごふっ……!」ガクガク…
84 = 75 :
エリート「……素晴らしい」ゴフッ
エリート「アナタならば──」
エリート「受け取れるかもしれない」
エリート「このボクの、真の名刺をッ!」
男(真の名刺!?)
女社長「ちょ、ちょっと! やめなさい! あの名刺は使うなといったはずよ!?」
エリート「すみません、社長」
エリート「ですが、この人ならボクの全力を受け切れるかもしれない!」
エリート「ならボクは全力を出したい……たとえ街を滅ぼすことになろうとも!」
女社長「……バカ」
ゴゴゴゴゴ……
『一流企業』ビルの真上に、巨大な直方体が降りてきた!
これぞ、禁断の名刺といわれた──
メ テ オ 名 刺 ! ! !
85 = 76 :
星が滅ぶな・・・
86 = 75 :
< 一流企業屋上 >
衛星軌道より飛来した巨大名刺、メテオ名刺!
エリートは空中へ飛び上がり、降りてきたメテオ名刺の上に乗る!
ゴゴゴゴゴ……
エリート「さあ、受け取ってもらおうかッ!」
エリート「この質量100万トンを誇る──ボクの名刺をッ!」
男「無論ッ!」
男「名刺を差し出されれば、必ず受け取るのがサラリーマンッ!」
男「頂戴いたしますッ!」
ズドォォォォォンッ!!!
降りてきた名刺を、両手で必死に支える男!
支えきれなくば、100万トンの名刺が街を木端微塵に消滅させる!
今や男が命綱、大黒柱!
87 :
頑張れ
88 = 75 :
男「うおおおおっ!!!」グググ…
エリート「さぁ、受け取れるかい!」
エリート「ボクの会社と所属と名前が書かれた、ボクの名刺(プライド)を!」
ズゥゥゥゥン……!
男(なんという巨大質量!)ガクンッ
男の全身がきしみ、歪み、ねじ曲がり、穴という穴から血が噴き出す!
肘は折れ、膝は曲がり、大黒柱だった男は偽装建築柱にランクダウン!
男(ダ、ダメだ……)ググッ…
男(お、押し潰される……)グググ…
男(もう……体が……)ググッ…
女社長(やはり無理ね……残念だけど、この街は消滅するわ)
女社長(アタシたちのビルもろともね)
89 :
エリートでも電車通勤なんて世知辛いな…
90 = 76 :
姉歯www
91 = 75 :
しかし!
この時、男の目にホワイトボードの赤い文字が見えた!
係長の血で書かれた『まけるな』という激励(メッセージ)!
男(係長……!)ググッ…
女社長(ほんの1ナノメートルだけど、わずかにまた持ち上がった!)
エリート「だが、所詮は一時しのぎ!」
エリート「やはり無理なのかッ! ボクの名刺を受け取ってはくれないのかッ!」
エリートの苦悩……。
生まれつき容姿端麗、才色兼備、文武両道、完全無欠……。
LV99、所持金マックス、最強装備でゲームスタート……。
ゆえにエリートの全力を受け止められる漢はいなかった!
強敵に出会うたびコイツならばと胸をときめかし、数十秒後には失望! この繰り返し!
今回もそうなってしまうのか!?
92 = 76 :
ベリーイージーモードか・・・
93 = 75 :
すると──
課長「さっきの企画書は社長まで通った! こんな“通過点”で負けてくれるな!」
同僚「お前がいなくなったら、俺が楽勝で若手ナンバーワンになっちまうじゃねえか!」
OL「お願い……勝って! また一緒に仕事しようよ!」
コピー機『我を目覚めさせた者が、これしきの試練でくたばるはずがない!』
『一流企業』に出向いた二人を案じ、駆けつけてきた同胞たち!
彼らの声援が、男の五臓六腑に新たな力を生む!
男(課長……! 同僚……! OLさん……! コピー機まで……!)ミシミシ…
男「ぐっ……ぐおお……っ!」グググッ…
エリート(また少し持ち直した!)
エリート「だが、一時的に期待させてくれる敵ならこれまでいくらでもいた!」
エリート「ぬか喜びは結構! どうせ失望させるなら、早いところ沈んでしまえッ!」
94 = 76 :
コピー機・・・!
95 = 75 :
男「が……ぐ……っ!」ミシミシ…
男「ぐおぁぁっ……!」ギシギシ…
『あなた……』
男「!?」
『あなた、愛していますわ』
男「!」
男(これは我が妻の声ではないか……!)
男(なにゆえ、家にいるはずの妻の声が……!?)
幻聴か!? 妄想か!? 奇跡か!?
突如男の脳に響く、妻の声!
いったいどういうことなんだ、教えてくれ!
96 = 75 :
< 自宅 >
妻「あなた……」ムニャ…
妻「あなた、愛していますわ」ゴロン…
なんと妻は昼寝中!
怠惰ゆえではない!
年収百億円の価値があるといわれる、超高速精密家事を駆使した妻!
夜中に帰宅する夫を万全の態勢で出迎えるべく、絶賛回復中!
いわばこれ、超積極的昼寝!
死の淵に立つ夫と、夢の奥に眠る妻! ゆえに二人は繋がった!
幻聴でも、妄想でも、ましてや奇跡でもなんでもない!
愛ゆえの直結! 愛ゆえの直通! 愛ゆえのラブ・ホットライン!
97 = 76 :
愛があれば何でもできる!
98 = 75 :
< 一流企業 >
男(妻よ、私は必ず帰る!)
男(仲間よ、私は必ず勝つ!)
男(エリートよ、私は必ず受け止める!)
男「があああああああああっ!!!」グンッ
エリート「なにいいいっ!?」
メテオ名刺、静止。
100万トンを誇る超巨大質量は地上に到達することなく、
一人のサラリーマンの手によってみごと受け止められた。
エリート「う、受け止める……とは……」
男「いい……名刺、ですね……」ニコッ
99 = 75 :
ズオォォォ……!
宇宙(そら)に還ってゆくエリートのメテオ名刺!
これすなわち、メテオ名刺が男を新たな持ち主と認めた何よりの証拠!
エリート「ハハ、ハハハ……!」
エリート「み、みごと……! みごとだ!」
エリート「これはもう、完全にボクの負け──」
男「ま、まだ……」ヨロッ…
エリート「え?」
男「まだ……名刺交換は……終わって……な、い……」
100 = 75 :
男「わ、私の名刺を──」スッ…
エリート「ちょ、頂戴いたします……!」スッ
家に戻るまでが遠足であるように!
名刺交換は、互いの名刺が互いの手に行き渡るまでが名刺交換である!
今たしかに、互いの名刺は互いの手に渡った!
名刺交換、終了!
男「今後とも、よろ、し……く……」ヨロ…
エリート「よ、よろしくお願いします!」
女社長「…………」
女社長「エリート君、アナタの完敗ね」ポン…
エリート「はい……!」ボロボロ…
みんなの評価 : ★★
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