支援

いもスレは文化

兄（なんか変な子と出会っちゃったな…そろそろすきを見て警察に電話しよう）

兄（それが一番だろ。このまま会話してたって解決するわけじゃないしな）

兄「…ふぅ、じゃあちょっと俺はトイレに──」

メイド「はい。行かれてどうぞ」

兄「──……」

兄「え？」

メイド「……」

兄「は、なに、えっと…」

女「はわわわ…！」

メイド「ご機嫌麗しゅう。お嬢様」

兄（いつの間に──気が付かなかった、目の前に座ってる）

私怨

面白いよ

メイド「探しましたわ。人狼家一族に攫われた後、作戦ポイントに車が到達せず」

メイド「──まさかこのような下賎な場所にて食事を取られているとは」

メイド「一生の不覚であります」ぺこり

女「な、なぜここにっ…！」

メイド「わたくしの情報網です」

女「ううっ…」

兄「……」

メイド「御仁、お嬢様を救出していただき誠に感謝を申し上げます」

メイド「あとはわたくし達にお任せください。お嬢様は無事に城へとお連れします」

兄「…その失礼だと想いますが」

メイド「なんでしょうか」

兄「その、女さんとは…どのような御関係で？」

メイド「見ての通り、主従関係であります」

メイド「お嬢様に仕えさせていただいおります──名前は『マミー』」

メイド「ですが気軽にメイド、とお呼びください」

兄（どこがどう気軽なんだ）

メイド「さてお嬢様」

女「…なんなのだ」

メイド「お遊びはここまでです。さあ、帰りましょう」

女「………」

メイド「帰ってからは幾つかの儀式を行わければ。清めは大切な日課ですよ」

女「…いやだ」

メイド「？」

メイド「もしや──今、『いや』と言いましたか？」

女「っ……」

メイド「まさか、そのようなことはないでしょう。ではもう一度」

メイド「帰りますよ。お嬢──」

女「い、嫌だといってるのだ！！」ばんっ

メイド「──……」

女「わ、わたしはっ…絶対にかえらん、あの城には絶対に…！」ぷるぷる

兄（ああ、机を叩いて手が痛いんだろうな）

女「私はまだ、なにも見ていない！　空には雲が張られっ…私はただ…それだけのを…っ！」

兄「…？」

メイド「………」

メイド「各捕獲部隊、展開」

ザザザ！！

兄「うぉおお！？　な、なんだ！？　客が全員…！？」

女「……！」

メイド「お嬢様、我儘はいけません。しかしそれ以前に──」

メイド「──『太陽』をみることは決して許されてはおりません」

メイド「先代のお父様の遺言ではありませんか」

女「ぐっ…そんな、そんなものは知ったことではない！　私は見たいのだ！」

女「太陽をっ…この目で、確かに見たいのだ…！！」

メイド「……」

メイド「捕獲」

ばっ！！

女「ううっ…！」

女「助けて……───」

めきぃい！！

メイド「……！」

女「……？」

「──あ、すいません」

兄「勢いで、その、机を割っちゃいました」

メイド「……」

兄「あはは。普通はここ、皿とかカップなんでしょうけどね…よいしょっと」パラパラ

メイド「…貴方は」

兄「待った！」

メイド「…」

兄「…なにか勘違いされてるようですけど、違うんです」

兄「別にそこのお嬢様を助けたいとか、そういうことを目論んでるわけじゃなく」

兄「…ただちょっと、一言言いたいなぁと」

メイド「なんでしょうか」

兄「ありがとうございます。えっと、あのー…そいつってただ太陽を見たいだけ、なんですよね」

メイド「……」

女「っ…っ…！」こくこくこく！

兄「どのような過程でダメなのか、ていうのはさっぱりですけど」

兄「それぐらい良いんじゃないですか？」

メイド「……貴方は」

メイド「お嬢様からは何か、話を聞かれたのですか」

兄「いやぁ得には。別段なにも聞かされてるわけじゃないです」

兄「…あ、敷いてあげればヴァンパイアの───」

兄「──」シュ！

ビュゴォ！

兄「…何するんですか、いきなり殴ろうとするなんて」

メイド「い、今……なんと言ったのですか」ぷるぷる

兄「えっ」

うんこ

いもぺろしえん

ほ

はよ

うんこながいな

メイド「今、今、今！　貴方はっ…ああ、なんてことを…！」

兄（あーなにかヤバイ感じがする）

メイド「──黒服達!　まずはこの男を捕まえなさい!!」

黒服「御意」

ザザザザザ

兄「……」

兄「…はぁ、あのさ。お前なに俺に言ったんだよ」

女「す、すまん」

兄「そのせいで墓穴掘ったみたいだろ…
　　とりあえずアンタの手助けぐらいはーなんて思ってれば」

黒服「…大人しく来てもらおうか」

兄「嫌だ」

兄「家で妹が飯を作ってるんだよ、帰らせてもらう」

メイド「構いません。やりなさい」

黒服「…」すっ

兄（身体ゴツイなぁ、格闘やってるよなどう見ても──）

兄「──じゃあ手加減はナシだな」くんっ

黒服「えっ」

兄「とぅ」

ぐるん！

黒服「ぐぇっ！？」

兄「ザ・一本背負い…案外軽いなぁ、肉食べろよ肉を」

兄「さて、あんまり暴力ってのは好きじゃあない。鍛えてるけど、それは別に喧嘩のためじゃあないんでね」

兄「俺は俺でやりたいことをやらせてもらう。別に止めてもいいけど……ま、それなりの」

兄「覚悟、決めろよ」

prrrr

妹「はい、もしもし」

『──あー俺俺、いま何やってる？』

妹「昼ドラ見てるけど」

『そうか、なんにも無いならそれでいいや。お、やるなぁアンタ』

妹「…ちょっと、なにやってるの？」

『ん？　喧嘩喧嘩…うわぁ！？　刃物はナシでお願いします！』

妹「………」

『…おい、呆れるなよ。俺だってやりたくてやってるわけじゃあないから』

妹「…逃げればいいじゃない」

『逃げたいよ、だけどなかなかやるもんだからさ…ふむ、こんなもんか』

妹「嘘つき」

『嘘じゃあない。喧嘩は好きじゃないって知ってるだろ、ただ巻き込まれるだけって話で』

妹「…ま、そうだよね。いっつも周りに巻き込まれてるだけだもんね」

『怒るなって、いの一番に早く家に帰ろうと思ってるんだからさ』

妹「早くしないと、ご飯冷めちゃうよ」

『了解。数分で戻る』

ぴっ

妹「……」

妹「なにやってるのよバカ兄貴…」

～～～～

兄「ふぅ…」

兄「こんなもんか」パッパッ

黒服「ううっ…」

メイド「………」

女「おおっ！　流石だな化け物！」

なんだこいつ…

兄「…なんていうか素晴らしく連携とれてたけど、個々がダメだな」

兄「なんて、カッコつけてみる」

女「いいや、かっこよかったぞ！　惚れてしまうところだった！」

兄「はっはっは、だろだろ」

兄「さて、帰るんであとは宜しく」

女「ええぇー！？」

兄「…なんだよ、いいか？　勘違いするな、別に俺はお前のために喧嘩したわけじゃない」

女「ついでに助けてくれてもよかろー！」

兄「やだよ。なんで面倒事背負い込まなきゃけないんだ」

女「いいではないかー！　いいではないかー！」だきっ

兄「あーもうひっつくなよ…服がどんどんボロくなって、い──」

ヒュン！

無双しとるｗｗｗｗｗｗ

兄「……」

メイド「……」

兄「…アンタどうやって今、っ！？」

ヒュンヒュン！

兄「なっ…！？」タラリ

兄（血が出て…頬に傷？　いつの間に、）

メイド「気にすることはありません」

兄「っ…どういうことだ」

メイド「それすらも気にする必要ないでしょう」

メイド「──後悔やら苦悩、全ては関係無く散っていくもの」

ヒュン

兄「痛ぁ！？」ズキ！

兄（わ、わからん！　なにされてるんだ俺！　…とにかく切られてるってことは、なんとなく理解したけど…）

服破れた言ってるけどズボンは無事なんだろうな
某マンガの野菜人さんですね

メイド「──何をどうやっているのでしょうか」

兄「はい？」

メイド「…無意識ですか、驚異的な反射能力ですね」

兄「だから何を言って、うぉおお！？」ひょい

兄「っ…なんだよ意味がわからない！　なんで怪我してるんだ俺！」

メイド「……殺しはしません」

メイド「ですが、瀕死状態にはします。ご覚悟を」

兄「こええ！」

女「おい！　化け物！」

兄「化け物言うな！　なんだよ、こっちは今立て込んでて──」

女「えいっ」ぽいっ

兄「うおっ！？　な、なんだこれ…ケチャップ…？」

女「今だ！　目の前に投げるのだ！」

兄「はぁ？　ま、いいけど」

兄「えいっ」

ぱしゃああああああああ！！

兄「うわぁあああ！？　なになに！？　はじけ飛んだ！？」

メイド「っ…！」

兄「って、え？　これなんだ…空中に模様っていうか…線…？」

女「ピアノ線だ化け物！　それを高速に撓らせ、皮膚を裂き血を流させる！」

兄「お、おお…」

女「そのメイドはお前の死角から何十本ものの薄い糸で攻撃しているのだ！」

女「得意は暗器！　糸使いのマミーなのだ！　気をつけろ！　次が来るぞ！！」

メイド「…っ」ぐいっ

シュババババ！！

兄「うぉおおお！！」ずさぁ！

兄（周りのものが次々に真っ二つに…！）

メイド「…先ほどのわたくしの登場に、驚いていらっしゃったようですね」

兄「…あ、ああ。それがどうした」

メイド「わたくしは訓練により、『人の視界』というものを読むとることが出来るのです」

メイド「仕草、眼球の動き、対話する人間、性格性、性別、体格」

メイド「それらを踏まえた上で稼働できる視界を判別し、把握することが出来る」

兄「……！」ひゅん！

兄（いつの間に…っ！）たらり

メイド「──このように、貴方は今その程度の視界でしか物事を捉えきれていない」

メイド「今はその驚異的な反射と勘で避けているようですが、それもここまでです」

妹が守っているのかと思ったら違った

私の兄貴が死ぬわけない

なんか普通に面白いんだが

メイド「貴方も周りのものと同じく、真っ二つにする覚悟で──糸を振るいます」

メイド「お命、ご覚悟せず散ってください」

シュババババ！！

兄「………」

兄（…ケッチャップのお陰で糸の軌跡は追えるけど、結局はその死角やらから攻撃されるのか）

ひゅん！

兄「うっ？！」ずぱっ！

兄「くっ…こりゃきついな…なんだよこのトンデモ展開は…」

女「ば、化け物…！　頑張れ化け物ー！」

兄「もっとマシな応援しろよ！」

女「っ…じゃあなんて応援すればいいのだ！？」

兄「…いや何か応援してもらうのも変な話だから、やっぱ無しで」

女「ううっ…だって応援したいぞ私はっ…」

兄「んだよ、そんなに応援したい感じ？」

女「うん…」

兄「んーじゃあそうだな。こんなのはどうだ『頑張れおにいちゃーん』とか、えへへ」

女「…なんかキモイから嫌だって思うぞ…」

兄「キモイって言うな！　じゃあ頑張ってやらないぞ！？」

女「ぐぬぬ」

兄「いいのかなー？　このままだと俺、内蔵ぶちかまして死んじゃうんだけどー？」

兄（あれ、なんで俺こんなテンションなんだろ…気持ち悪…）

メイド「えらい余裕なのですね」ヒュバ!

兄「うぎぃっ！？」ズバァッ！

兄「耳！　なんか耳がとれた気する！　なんか！」そっ…

女「ええぇっ！？」

兄「あ、取れてない…よかった…」

女「び、びっくりさせるでない！」

兄「俺もびっくりしたんだよ！　とれちゃったと思ったんだよ！」

女「そんなすぐ取れるわけなかろう！　キモイぐらいに頑丈なのだろうが!」

兄「うっせー！　いくらなんでも俺でも取れるかもしれないだろ！」

メイド「………」

メイド「…………………叱！！」

ババババババババババ！！！

兄「──っ～～～～～！？」

メイド「…いい加減にしましょうか。お嬢様、貴方は今、どのような立場であるか理解できているのですか」

女「ひぁ…うっ…」

メイド「貴方はこのような場所にいてはいけない。
　　　　それはお嬢様が一番深く理解しているはずでしょう」

女「…っ…」

メイド「わたくしの全てはお嬢様、そして先代のお父様のためにある。
　　　　この生命が尽きるまで、使える所存です」

メイド「──『糸使いマミー』……わたくしは全身全霊をかけ執行します」

兄「………」

メイド「貴方に何も恨みはありませんが、死んでもらいます」

兄「…だっせーなアンタ」

メイド「…なにを？」

兄「だせーって、言ったんだよ。メイドさん」

メイド「だせー……とは？」

兄「しょうもないってことだ。惨めというか、小さいというか」

兄「いくらなんでも、馬鹿すぎる」

メイド「…口は慎みなさい、死後にて後悔しますよ」


兄「ごめんけど、死なないわ。多分、アンタじゃ俺は殺せない」


メイド「何を世迷言を…」

女（かっくぃの…）

兄（やべぇ…今の俺かっこいいかもしれん…）

メイド（なにか策でも…まさか、そんなわけが）

兄「…俺は別にソイツをかわいそうだとか、哀れんでる訳じゃない」

メイド「……」

兄「だけどさ、今の感じだと正直…可哀想だと思うわ」

兄「こんなにも過保護だと、まぁ馬鹿に育ちそうだなって」

女「……馬鹿ってなんだろうか！？」

兄「そのままの意味だよばーか」

女「失礼であろう！？　あって間もないというのに！？」

兄「そっか、そうだったな。だけどそれだけでもわかるものは、わかるさ」

兄「…信号の渡り方わからなかったそ、個々に来るまで」

兄「あと注文の頼み方もわかってなかった。トイレの使い方も理解できてない」

兄「……踏み込むべきところじゃないってわかってる、だけどさ」

兄「それがもし──仮にもし、だ」

兄「常識はずれなまでに常識から外れてる理由が…」

兄「その先代の人のせい、だったりしたら……うん」

兄「うん、そうだな……」

メイド「だと、したら？」

兄「……」

兄「今決めることを、一つだけ作る」

メイド「…？」

兄「決めるということは、人生の中でトップスリーに入るぐらい重要なことだ」

兄「だってそれは絶対にやらなくちゃいけないことだから」

兄「なによりも、俺はそれを優先する。妹の、昼ごはんよりも」

メイド「…意味がわからないことを。この世に残す言葉はそれだけですか」

兄「おい、アンタ」

女「えっ…あ、うん…」

兄「血縁っていうか、なんていうかさ、そういったもんから……」

兄「助けて欲しいか？　手を差し出して欲しいか？」

女「……」

女「それは…」

『──お前は一生、この城に入るべきだ。可愛い可愛い娘よ』

女「っ……助けて、欲しい！　救ってほしい！　私は太陽を…！」

女「──太陽をこの目で！　見たいから！」

兄「……」

兄「…よし、まかせろ」ぐっ

メイド「死になさい」ビュン！

兄「それでいいんだ、やっと後悔なく出来る」

女「あぶなっ…！」

兄「この世で一番大切なのは──『決める』こと…」すっ…


兄「今決めたこと一つ目ェッ！！」グギュッ！


兄「──超我慢！！！」ビキビキビキビキ！！！


メイド「っ…！？」

兄「コォオ…ハァァアア…知ってるか、人っていうのは我慢すると…」

兄「自然と身体も硬くなる。病は気から、っていうだろ？」

メイド「なにをっ…馬鹿なッ！」ビュン！

兄「ふんッ！」ビッシィイ！

メイド「…え？」

兄「何度も試そうとするなよ、意外と痛いんだからな」

メイド「い、痛い…？」

兄「うん。痛い」

メイド「そのようなことはッ…皮膚を裂き肉を絶ち、骨を折る程の威力を…っ！？」

兄「我慢してるし」

メイド「ふ、ふざけるなっ！　我慢などで防げるものではないはずですっ！」

兄「あ、そう。じゃあもう一発やればいいだろ」

メイド「言われなくてもッ…！」びゅっ

兄「──そこか」がしぃいい！

メイド「なっ！」

兄「丸見えだって、糸の動き。もうちょっと冷静になろうか」ぎゅっ！

メイド「は、離しなさいっ…というか何故指が切れ落ちないのですかッ…?!」

兄「超我慢だ。我慢に限界はない、故に人生は苦悩あり…だっ！」グンッ！

メイド「ひぁっ…！」

兄「ということで──寝とけ、ちょっと」ぐぐっ

ドッスン！

メイド「ごげぇッ!」

兄「今決めたこと、２つ目……容赦無い腹パン」

女「……メイドぉー！？　大丈夫か！？」

兄「完全勝利…ふふ…」

ごはんくう

おう

保守

捕手

見てる

メイド「」

女「おまっ、おまえっ！　なんてことしてくれたのだ！」

兄「勝ちを手に入れた」

女「もっとやり方というものがあるだろう!?　化け物のお前に殴られたら死ぬではないか！？」

兄「ちゃんと手を抜いたって…」

女「ううっ…大丈夫かメイドぉ…」

兄「……」

兄「とにかく」ひょい

女「ひゃっ！？」

兄「ここから逃げるぞ、増援はどうせ来るだろうし」

女「………」

兄「なんだよ、逃げたいんだろ？」

女「…う、うむ」

兄「まずは、そうだな。家に帰りたいってところだが、どうもバレてるっぽいし」

女「…それがいいだろうな。メイドは情報通だからな」

兄「まぁ、妹は大丈夫だろ。とにかく身を隠せて、時間を潰せる場所を探すか」

女「あ、あの…」

兄「ん」

女「…あ、ありがとうな」

兄「いいって、決めたことは絶対に守る」

兄「今決めたこと３つ目、絶対にアンタに太陽を見せてやる」

兄「…どうだ、見えてくる気がしてきただろ？」

女「……」

女「…よろしくたのむ」

兄「うっし、じゃ。いっちょ逃げるぞ！」だだだだ