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    元スレ令嬢「ご指導、よろしくお願いしますわ」武術家「よろしく」

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    102 = 2 :

    桐生「お前、1年だよな。名前は?」 
    松下「俺は松下 樹里(まつした じゅり)ポジションはキャッチャーだ」 
    桐生「松下か、よろしくな」 
    監督「え~お前ら聞いてくれ!彼が今日から野球部に入部する桐生翼だ! 
    パチパチパチパチ 
    監督「こいつはすごいぞ!さっき投げたボールが150キロを計測したからな!」 
    周り「150キロ!?すげえ・・・」 
    桐生「フン・・・」 

    103 = 95 :

    武術家「──ちょっと見ててくれ」

    令嬢「はい」

    武術家「…………」スゥ…

    サンドバッグの前で、深く息を吸い込む武術家。

    そして──

    武術家「はッ!」

    ドズゥンッ!!!

    サンドバッグがねじれるようにして、吹っ飛んだ。

    令嬢「す、すごい……!」

    104 = 2 :

    こうして野球部に入部した桐生 
    彼はセンスの塊で、ぐんぐん成長していった 
    そして迎えた夏の初戦・・・ 
    先発は桐生だった 

    105 = 2 :

    桐生がもらった背番号は10 
    1年生ながら名門零冥高校の2番手を任されていた(エースは3年生の村山 武志) 
    そして桐生の公式戦初球・・・150キロのストレート。絶好調だ。 
    そのまま1回戦の栗岡高校を15-0でコールド勝ち。桐生が浴びたヒットは0本。12奪三振の快投だった。 

    106 = 95 :

    武術家「これは俺が編み出した技なんだ」

    武術家「深く吸い込んだ息を爆発的に吐き出すと同時に、突きを繰り出す……。
        名づけて、深呼吸拳!」

    令嬢「そのままですわね」

    武術家「といっても、こんな技、実戦や試合じゃまず使えないけどな。
        深呼吸するヒマなんてまずないし、あってもタイミングがむずい」

    武術家「弟や親父、対外試合なんかでも試したことがあるが、まぁ当たらんわな」

    武術家「こんな技はどうでもいいが、
        戦いにおいて呼吸が重要だってことだけは覚えておいてくれ」

    令嬢「呼吸……」スーハースーハー

    令嬢(すごい突きでしたわ……)

    令嬢(前に私がお腹に受けたパンチなんて、
       武術家さんにとっては本当に軽いものだったということね……)

    107 = 2 :

    しかし思いもよらないことが桐生を待っていた 
    監督「桐生、お前は甲子園まで試合に出さん!それまでずっと練習だ!」 
    桐生「えーっ!?」 
    こうして桐生は甲子園まで練習をすることに決定した。 

    108 = 2 :

    そして迎えた甲子園、桐生はスライダーとフォークを覚えて帰ってきた 
    甲子園初戦の相手は広島学院 
    広島学院「おい、エースの村山じゃなくて背番号10だぜ。しかも1年生らしい。なめやがって!」 
    気合が十分入っていたが桐生はあっさりと完封した。 
    そうして桐生翼の名は全国に広まった。 
    そしてその後はエース村山の連続ノーヒットノーランなどもあり零冥高校は甲子園優勝を果たした。 
    桐生翼の甲子園成績 .625 5本 34打点 0.00 2勝0敗 30奪三振 

    109 = 2 :

    そして新キャプテンはセカンドの倉谷 満 
    松下「俺もレギュラー奪ったぜっ!」 
    そう、松下はキャッチャーのレギュラーを奪った 
    俺と松下の黄金バッテリーが誕生した 
    秋季大会、そして関東大会も順調に勝ち進んだ 
    そして選抜大会出場が決定された 
    桐生「当然だな」 
    松下「ああ!」 

    110 = 2 :

    選抜大会では1回戦から完全試合を達成するなど絶好調 
    球速も153キロまで上がった 
    しかし3回戦の倉山実業に人生初めての失点を許す 
    桐生は落ち込んでいたが松下の「点をとられないピッチャーなんていない」 
    という言葉に励まされ復活。以降は失点してでも勝ちにこだわるようになる。 
    こうして選抜大会も優勝して甲子園連覇を達成した零冥高校。 
    史上初の3連覇に向けて桐生は決意を新たにする。 
    桐生翼の甲子園成績 .604 6本 26打点 0.33 4勝0敗 53奪三振 

    111 = 95 :

    <東の道場>

    師範「……さてと、今日からワシは三ヶ月間城で武術指南役を務める。
       二人とも、留守は任せたぞ」

    武術家「おう」
    「うん」

    師範「弟、くれぐれも西の道場は相手にしないようにな」

    「分かってるって!」

    師範「武術家、引き続き令嬢さんの指導を任せたぞ」

    武術家「ああ」

    師範「ところで、令嬢さんはどうだ?」

    武術家「はぁ!? どうだって、なんだよ! あ、あんな女、どうもしねえよ!」

    師範「ん? なにをいってるんだ。ちゃんと上達してるのか?」

    武術家「え、あ……まあまあかな」

    師範(コイツが“まあまあ”ということは、かなり上達したようだな)
      「なによりだ。ではなにかあったら、連絡をよこすようにしてくれ」

    112 = 2 :

    小学校であった学級裁判を思い出しながら書きました。
    イジメっこがクラス中からフルボッコにされるアレです。
    オマケのほうは中学生がよくやる「無理矢理感動ごっこ」です。
    よくやるって言ってもうちのクラスの女子だけだったかもしれませんが、
    とにかく、クラス全部を巻き込んでいろいろやってましたね…。
    小さな問題を、デカくしてから、無理矢理いい話にして締めるってヤツ。
    第二次成長期の少女は何を考えてるのかわからないよ。

    113 = 95 :

    <豪邸>

    令嬢「すごいですわね! 王国軍の武術指南役だなんて……
       さすがは武術家さんのお父様!」

    武術家「昔は泣く子も黙るような格闘家だったらしいが、今じゃただの腑抜けだ。
        西の道場とやり合う気概もねえ」

    令嬢「西の道場?」

    武術家「ウチの道場より少し後にできたっていう道場だ」

    武術家「道場主が昔、親父のライバルだったからか、なにかと張り合ってきやがる。
        特に道場主の息子……アレは特にタチが悪い。
        もっとも商売上手なとこがあって、今じゃ俺たちの道場よりでかいけどな」

    令嬢「お強いんですか?」

    武術家「人数が多いだけで、大したことねえよ。
        一応油断できない奴はいるが、せいぜい二人か三人ってところだな」
       (ウチの道場は試合ができるかも怪しいヤツばっかだけどさ)

    令嬢「格闘技の世界も、色々あるんですのね」

    武術家「……おっと、おしゃべりしすぎた。さ、始めよう」

    令嬢「はい!」

    115 = 95 :

    稽古が終わり──

    <東の道場>

    武術家「おう、戻ったぞ」

    「…………」

    武術家「どうした?」

    「ごめん……兄ちゃん!」

    武術家「なんだよ、いきなり?」

    「俺……西の道場から看板を賭けた試合を申し込まれて……受けちゃったんだ!」

    武術家「──ハァ!? お前、なにやってんだ!?
        相手にすんなって、親父にあれだけいわれてただろうがよ!」

    すると、道場に残っていた門下生の一人がやってきた。

    門下生「若先生! 弟先生は悪くねえんです! 悪いのはオラたち門下生なんです!」

    「あ……バカ!」
    武術家「……どういうことだ」

    116 = 95 :

    門下生「今日の午後、西の道場の美形たちが看板を賭けての試合を
        申し込みにやってきたんです」

    門下生「もちろん、師範もいませんし、弟先生は断固として断ってたんですが──
        いつの間にか道場が向こうの門下生に囲まれてて……」

    門下生「それこそ断ったら、門下生全員で道場に殴り込むといわんばかりで……」

    門下生「そんでオラたち……ビビっちまって……稽古もせず、震えるような有様で……」

    門下生「オラたちを見かねた弟先生はやむなく、試合を承諾したんです……!」

    武術家「……そういうことか」

    「兄ちゃん……ごめんよ……!」

    武術家「…………」

    武術家「いや……受けちまったもんはもうしょうがない。今さら取り消せねえ。
        とにかく、試合をどうするか考えよう」

    「兄ちゃん……!」
    門下生「若先生、本当にすみません……!」

    武術家(してやられたな……)

    武術家(西の道場のヤツら、俺と親父がいない時を狙ってたんだな……)

    117 = 95 :

    門下生を帰宅させ、二人きりになる兄弟。

    「兄ちゃん」

    「俺、正直兄ちゃんにボコボコにされると思ってた」

    武術家「んなことするかよ、大人げねえ」

    武術家(……たしかに、以前の俺ならそうしたかもな。
        門下生は全員殴って、弟に至っては足腰立たなくなるぐらいにはしてた。
        んで、そのまま西の道場に殴り込みをかけただろう)

    武術家(だけど、今はちがう)

    武術家(昔は見えなかった、道場や門下生を必死に守ろうとした弟や、
        そんな弟をかばおうとする門下生の“心”が見えちまった……)

    武術家(これも……令嬢のおかげなのか?)

    武術家(──なにをバカな!)チッ

    武術家「……城にいる親父を呼び戻すわけにはいかねえ。
        親父のメンツが丸つぶれになっちまうからな」

    武術家「だからなんとしても……俺たち二人で何とかするんだ!」

    「うん!」

    119 :

    保守はどこ行った?

    120 = 95 :

    <西の道場>

    道場主「──な、なんだと!? 試合を承諾させた!?」

    美形「ボクにかかればちょろいもんさ」

    美形「アイツら、ボクたちが囲んだだけであっさり試合を承諾してくれたよ。
       ま、あの弟にあの状況をどうこうする知恵はないと分かってたけどね」

    美形「囲んだだけで脅し文句一ついってないし、ヤツらももう試合をするしかないさ」

    美形「あとはボクと、色黒、鉢巻で試合に勝利するだけ……」ニィッ

    道場主「し、しかし……お前そんな強引なやり方で……」

    美形「なんだよ」ギロッ

    美形「父さんだって東の道場を潰したかったんだろう!?
       だからボクは今までずっと──」

    道場主「わ、分かった! その話はやめてくれ! お前はよくやってくれている!」

    美形「やっと……やっと、東の道場をこの町から消すことができるんだ!
       ま、試合当日はここで朗報を待っていてくれよ」

    道場主「う、うむ……」

    121 = 95 :

    翌日──

    <豪邸>

    武術家「う~ん……」

    令嬢「どうかなさったの?」

    武術家「いや……二週間後に道場の看板を賭けた試合を行うことになってな……」



    【ルール】
    試合日は両道場の合意の後、14日後。

    道場は各三名ずつ選出し、団体戦を行い、どちらかが二勝した時点で決着とする。

    審判は王国から審判資格を得た第三者が行う。

    試合時間は10分、決着がつかなかった場合は審判による判定で勝負を決する。



    武術家「──とまぁ、こんな具合だ」
    令嬢「なるほど」

    武術家「ウチは当然俺と弟が出る。だが、問題は……三人目だ。
        ウチの道場の門下生は、健康のために道場に来てる人間ばかりだからな」

    令嬢「…………」

    122 :

    なんだこのスレは…

    123 = 95 :

    令嬢「あのう……三人目、私ではダメかしら?」

    武術家「なっ!?」

    武術家「ダ、ダメに決まってんだろ! アンタは稽古を始めてまもないし──
        なにより女じゃねえか!」

    令嬢「あら、稽古の初日に私を叩いて、格闘技に男も女もないといったのは
       どなただったかしら?」

    武術家「い、いや……あれは……」

    令嬢「それに……私も武術家さんのお力になりたいの……」

    武術家「!」ドキッ

    武術家(だが、冷静に考えてみると──
        たしかに運動の延長上で格闘技やってる門下生たちより、
        令嬢の方が期間は短いとはいえ、よっぽど実戦向けの稽古をしてる)

    武術家(だけどなぁ……)

    令嬢「……ダメ?」

    武術家「い、いやダメってわけじゃ……ちょっと考えさせてくれ!」

    124 = 95 :

    その夜──

    <東の道場>

    「ごめん兄ちゃん、まだ三人目が決まってなくて……。
      こうなったら棄権を前提に、だれかに出てもらうしか──」

    武術家「……その話なんだけどさ」

    武術家「令嬢に出てもらうってのはどうだ?」

    「令嬢さんに!?」

    武術家「短期間ではあるが、俺がマンツーマンで鍛えてるし、実際強くなってる。
        んで、本人も希望してるんだが……」

    「俺に兄ちゃんになにかをいう資格はないよ。ただ──」

    武術家「ただ?」

    「令嬢さんのお父さんが許すかどうか……」

    武術家「!」

    武術家(そのこと忘れてたぁ~!)

    126 = 95 :

    翌日──

    <豪邸>

    富豪「ほうほう、東の道場で女子同士の試合を行うのか」

    富豪「娘をその試合に? それで、しばらくここでなく道場で稽古したいと?
       もちろん、かまわんとも」

    富豪「トレーニングの成果を出したいと思うのは当然だろうし、
       道場の方がやはり稽古もはかどるだろうからな」

    令嬢「ありがとう、お父様!」
    武術家「ありがとうございます」

    富豪「私は事業の関係で、おそらく観戦にはいけぬだろうが、頑張るんだぞ!」

    令嬢「はいっ!」
    武術家「…………」

    武術家(これで一応、許しは得たってことでいいんだろうか)

    武術家(だけどウソついてよかったのかな……)

    武術家(とはいえ、道場の看板を賭けた真剣勝負に娘さんを出場させて下さい!
        なんていったら絶対許してもらえないからな……)

    武術家(バレないことを祈るしかねえか)

    127 = 95 :

    <東の道場>

    令嬢「ここが武術家さんの道場ね、素敵な場所ですわ」

    武術家「ボロ道場だよ」

    「あ……こ、こんにちは! 兄ちゃ……兄がお世話になってます!」

    令嬢「はじめまして、あなたが武術家さんの弟さんね」

    「は、はい! このたびは……本当に、こんなことに巻き込んでしまって……。
      ──すみませんっ!」

    令嬢「いえ、そんな……私から望んだことですもの。一緒に頑張りましょ」

    「はいっ!」

    武術家「なに顔赤くしてんだ、バカ弟」

    武術家「せっかく三人揃ったんだ。試合の対策について話し合おう」

    「うん!」
    令嬢「はい!」

    128 = 2 :

    そして優勝した桐生はすっかり有名人だ 
    すでに来年のドラフトの1位指名を決定してる球団もあった(ソフトバンク、阪神、ヤクルト) 
    そしてさらに桐生は1年生が入ってきて先輩となった 
    桐生は一人の男に目をつけていた 
    そいつの名は伊達 傑(だて すぐる) 
    なかなかいい顔つきをしている。体格もいい。 
    どうやらポジションはサードらしい 
    しかし俺は伊達にショートが向いていると思ったのでショートにコンバートさせた 
    そうして桐生の2年生生活がスタートした

    129 = 119 :

    やっと自動保守が戻ってきたか

    130 :

    あげとくわ

    131 = 95 :

    武術家「試合順はこれしかない」

    武術家「ずばり──俺と弟で先に二勝する。
        俺としても、やっぱ令嬢を試合に出したくないのが本音だからな」

    先鋒 弟

    中堅 武術家

    大将 令嬢

    「でも、これだと──」

    武術家「ああ、分かってる。暗黙のルールを破ることになる」

    令嬢「暗黙のルール?」

    武術家「道場同士の試合は、実力順にするのが通例なんだ。
        ようするに、こっちの一番弱い奴をあっちの一番強い奴にぶつけて
        勝ち星を稼ぐとか、そういう真似はやっちゃいけないとされてる」

    武術家「だから、なんらかの事情があって実力順にしない場合は、
        事前に相手道場に通達しなきゃならない」

    令嬢「なるほど、格闘家同士の“しきたり”というやつですわね」

    「西の道場への通達は、あとで俺がやっとくよ」

    132 = 95 :

    令嬢「ちなみに西の道場には、どんな方々がおりますの?」

    武術家「道場主の下に、息子である美形、あとは色黒と鉢巻が強い。
        んで、実力ナンバーワンは色黒、次いで美形、三番手が鉢巻っていわれてるな」

    武術家「つまり向こうの順番はこうなる」

    先鋒 鉢巻

    中堅 美形

    大将 色黒

    武術家「──ただし、もしかすると俺に色黒を当ててくる可能性がある。
        ま、なんにせよ俺たちが二勝してみせるから安心しな」

    令嬢「もしも……」

    武術家「ん?」

    令嬢「もし万が一のことがあっても……私、絶対に勝ちますわ!
       だからあまり気負わず、戦って下さいね!」

    武術家「分かってる、その時は全てアンタに託すよ」

    武術家(そんなことがあっちゃならねえんだけどな。東の道場の誇りにかけて!)

    133 = 2 :

    なんと1年生から伊達はレギュラーになってしまった 
    桐生「とんでもない潜在能力だ・・・」(実は桐生がショートにコンバートしたおかげで才能が開花w) 
    そうして2年目の夏が始まった。キャプテン倉谷にとっては最後の夏だ。 
    倉谷「絶対優勝するぞ!オオーッ!」 
    松下「1回戦の相手は開運高校だ」 
    こうして全試合15点差をつけて夏の甲子園出場が決定した 

    134 = 95 :

    令嬢「ハァ、ハァ……さすがは武術家さんの弟さん。
       武術家さんの苛烈な拳法とはまた一味ちがい、お強いですわ」

    「いやぁ……俺なんか……」

    武術家「弟なんざ、まだまだ俺の足元にも及ばねえよ」



    武術家「たしかにアンタの蹴りは武器になる!」

    武術家「──が、多用はするなよ! 読まれたら効果は半減しちまうからな!」

    令嬢「はいっ!」



    令嬢「シェフに習ったので、お料理には多少自信がありますの。どうぞ!」コトッ…

    武術家「おお~……!」

    「美味しそう……!」


    この日から、令嬢は道場に通うことになった。

    135 = 2 :

    2年生夏の甲子園 もちろんエースは桐生 
    冬を超えた桐生は球速が155キロまでアップ 変化球のキレも増した 
    1回戦の相手は村雨高校 
    伊達の3打席連続ホームランなどで試合を決定づけると桐生は完全試合を達成 
    また桐生伝説に新たな1ページを刻んだ 
    2回戦、3回戦は二番手投手の猿村が連続完封 
    そして準々決勝は桐生がノーヒットノーラン 
    さらに準決勝はスクイズで1点を奪われるものの1失点完投で決勝まで駒を進めた 

    136 = 95 :

    武術家『今日は寝技の特訓だ』

    令嬢『えっ? あなたの流派に寝技など──』

    ドザッ……!

    令嬢を力ずくで押さえ込む武術家。

    令嬢『なにをなさるの!?』
    武術家『これでもう逃げられねえ、叫んでも無駄だ』

    ビリビリッ!

    令嬢『ああっ! 道着を!?』

    武術家『さてと……まずはあの時乳首をつねられた痛みを返しておくぜ。
        あれは痛かったからなぁ……』

    令嬢の乳首に吸いつく武術家。

    令嬢『あ、あ、あ……!』ビクビクッ

    武術家『豪邸で会った時から目をつけてたんだ。“生娘キラー”とは俺のことよ!』

    ………
    ……


    令嬢「私ったら、なんてはしたない夢を……」ハァハァ…

    138 = 95 :

    令嬢『今日は私が寝技をお教えしますわ』

    武術家『なにいってんだ、お前?』

    ドザッ……!

    令嬢は巧みな技で、武術家を押さえ込む。

    武術家『なにしやがる!?』
    令嬢『弟さんはすでに始末しました。もう叫んでも無駄ですわ』

    ボキボキィッ!

    武術家『ぐああああっ! う、腕が……っ!』

    令嬢『今までよくもキツイ稽古で私をいじめてくれましたわね。
       いきなりビンタをしたり、腹を殴ったり……』

    武術家の足をへし折る令嬢。

    武術家『あ、あ、あ……!』ビクビクッ

    令嬢『だらしないですわね。そう、西の道場の刺客、“骨折りお嬢”は私のことよ!』

    ………
    ……


    武術家「俺はなんつう恐ろしい夢を……」ハァハァ…

    140 :

    なかなかいいぞ
    支援

    141 = 95 :

    翌日──

    <東の道場>

    武術家「なぁ……」

    令嬢「はい?」

    武術家「アンタ、もしかして寝技とか得意か?」

    令嬢「えぇ~っ!? ま、ま、まさか! 未体験ですわ、未体験!」
      (まさか……正夢!?)

    武術家「そうか! ならいいんだ……」ホッ…
       (ウソじゃなさそうだな……。よかった……正夢じゃなくて)

    武術家「んじゃ、今日も突きの稽古からだ」

    令嬢「え……あの……寝技……は……?」

    武術家「ウチの流派に寝技はねえぞ」

    令嬢「そう……ですわよね……」

    武術家(なんでガッカリしてんだ? 打撃だけじゃ不安になったのか?)

    試合までの二週間、二人は順調に稽古を重ねた。

    143 = 2 :

    決勝の相手は愛知の新宮連合高校 
    世間の予想は零冥の圧勝だったが現実は違った 
    1年間桐生の研究をしてきた新宮の打線が桐生に襲い掛かる 
    1回表に粘って連続四球で塁に出ると送りバントとスクイズで1点を先制する 
    さらに2回表、ショートへの内野安打、盗塁、そしてタイムリーで2点目をとられる 
    桐生は慌てたが、松下が桐生をフォローし、すぐに立ち直った 
    それからはしっかり抑えた 
    しかし新宮の投手は左のサイドスローから繰り出すシュートを武器にしており、零冥打線は苦戦を強いられた 
    だが桐生の満塁ホームランで逆転するとさらに伊達と杉原も続き、この回6得点 
    結局決勝戦を6-2で勝利した 史上初の甲子園3連覇である!! 
    桐生翼の甲子園成績 .731 5本 40打点 0.50 4勝0敗 

    144 = 2 :

    新キャプテンには名瀬 紲(なぜ きずな)が選ばれた 
    しかしこのままではダメだと思った桐生は変化球の精度を増すトレーニングに励む 
    毎日何球も何球も投げ込んだ 
    そして春の選抜出場が決定甲子園4連覇に向けて進みだした桐生 
    ちょうど1月にチェンジアップも習得し、投球の幅が増えた 
    変化球のキレもアップし、すでに手の付けられない投手になっていた 
    甲子園初戦を当たり前のように完封し、さらにその後もノーヒットノーラン 
    準々決勝と準決勝は二番手の猿村が投げ連続完封 
    決勝でも北氷高校に8回までパーフェクトに抑えていた 

    145 = 95 :

    そして試合前日──

    <東の道場>

    武術家「今日の稽古は終わりだ。令嬢、家の近くまで送っていくよ」

    令嬢「はい!」

    「明日は俺と兄ちゃんが必ず二勝するから、安心しといて下さい!」

    令嬢「あら、私も出番が欲しいですわ」

    武術家「……ふっ」



    <西の道場>

    鉢巻「この作戦なら、ウチの勝利はまちがいないッスね!」

    色黒「本当に……これでいいんですね?」

    美形「当たり前だ、勝つことが第一なんだからね」

    美形「もっとも──ボクは独自に他にも手を打ってあるがね。
       もしかすると、戦わずして勝利できるかもしれないよ」

    美形「明日、東の道場はこの町から姿を消す。やっと宿願が叶うんだよ、父さん……!」

    道場主「あ、ああ……」

    146 = 94 :

    流派の話で東と武道とくれば流派東方不敗が頭をよぎる…

    147 = 2 :

    しかし桐生には致命的な弱点があった 
    ―――そう、決め球がないのだ 
    その弱点に付け込まれ最終回に2失点 
    味方が11点とっていたから勝ったものの、今後に課題を残す投球となった 
    しかしなにはともあれ4連覇を達成した零冥高校!前人未到の5連覇に向けて桐生達は突き進むのであった・・・ 
    桐生翼の甲子園成績 .734 6本 45打点 0.28 3勝0敗 31奪三振 

    148 = 95 :

    ところが──

    <豪邸>

    富豪「……聞いたぞ」ギロッ

    令嬢「え?」

    富豪「お前たちがいっていた明日の試合、
       なんでも西の道場との真剣勝負だそうじゃないか!」

    令嬢「! ──な、なぜそれを」

    富豪「てっきり女子同士のお気楽な試合かと思いきや……
       あの武術家君もとんでもないことをしてくれたもんだ!」

    令嬢「お願い、お父様! 私が行かないと──」

    富豪「ならん! いいか、明日は召使に命じてお前を一歩も外に出さんぞ!
       ──よいな!」

    令嬢(試合は三人が揃ってなければならないのに……)

    令嬢(私が行かなければ、武術家さん兄弟は試合をすることもできない……)

    令嬢(どうすれば……!)

    149 = 2 :

    桐生「くそっ・・・!こんな球じゃダメだ!」 
    松下「おい、どうしたんだよ!いい球来てるぜ!」 
    桐生「松下・・・俺は決め球がほしい・・・誰にも打たれない最強のボールが投げたいんだ!!」 
    松下「桐生・・・」 
    監督「投げてみるか?」 
    桐生「監督!?そんなボールがあるんですか!?」 
    監督「ああ・・・だが失敗したらお前はもうピッチャーができなくなるかもしれない」 

    150 = 2 :

    令嬢「たしか道着は買っておいたはずですので……着替えてきますわ」ササッ

    武術家「あ……」

    武術家(くそっ、なに謝ってんだよ、俺は!
        バレエなんてお遊びだ! ってもう一発くらい引っぱたくべきだったんだ!)

    ガチャ……

    令嬢「お待たせしました」

    武術家「お、なかなか似合っ──」

    武術家「!」ハッ

    武術家「いいか! 次に俺が来た時点でまたドレスだったりしたら、
        今度ははり倒すからな!」

    令嬢「承知しましたわ」

    武術家(次ってなんだよ……俺は今日でクビになるつもりで来たんだろうが!)
       「……じゃあアンタのいうパンチ……突きから始めるか」

    令嬢「はいっ!」

    武術家(やりづれえ……)


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