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    元スレ憧「しずちょこ!」

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    1 :

    ID:v2niQyi70の代行でー

    2 :

     

    3 :

    ふぅ~む

    4 :

    >>1
    代理ありがとう!

    5 = 4 :

    【1】



    「割れないよう慎重に重ねて、っと」

    「よし!」

    「できたー! 手作りマカロン!」

    「ああー。思ったより手間取ったあー」

    「でもいい感じ。これならアイツも気に入ってくれそう!」

    「おっ、その様子だと完成したの?」

    「うん。あとはラッピングすれば完成ってとこ」

    「案外サマになってるじゃない」

    「美味しそうでしょー」

    7 = 4 :

    「どれ一つ味見を」

    「ちょ、お姉ちゃん!?」

    「なんてね。冗談よ」

    「もー……」

    「ごめんごめん」

    「ま、元々お姉ちゃんにもあげるつもりだったから、明日もらえなくてもいいってんなら食べてもいいけどさ」

    「あー……。そんなら、今食べるのはよしとこうかな」

    「それまたどうして?」

    「14日にもらえないってのもなんか寂しいじゃない」

    「ちぇ。今食べてくれれば一人分ラッピングの手間が減ったのに」

    「あはは。横着ねー」

    「そのぶん他の包装にエネルギー使いたいんだもん」

    「へー。他の包装に、ねえ」

    9 = 4 :

    「それじゃ。手元見られてると作業しづらいから、悪いけど少し離れててくれる?」

    「ははーん。なるほどねー」

    「なによそのニヤけ顔は?」

    「いやね。いくつか見るからに特別なマカロンがあるから何かと思ってたんだけど、そういうこと」

    「そっ、そういうことって何よ!?」

    「義理とは別に、時間をかけてラッピングしたいマカロンがあるんだなーって」

    「……もう! いいからあっちいってて!」

    「ファイトだ妹」

    「ったく、もおーっ」

    10 = 4 :

    苺色とチョコ色。
    2色の丸いマカロンがズラッと並ぶ中に、いくつか形の違う特別なマカロン。

    「ハートのマカロン」

    あたしの、本命チョコ……。

    「ちょっと左右のバランスがイマイチかな?」

    少し歪んだハートには、あたしの製菓スキルの低さが露骨に反映されてしまっている。
    でも要は気持ちと味だよね。
    そんな都合のいい理屈で自分を納得させた。

    「気持ち、届くといいなあ……」

    入れるかどうか迷った告白のメッセージカードは、けっきょくラッピングの中には封入できなかった。

    11 :

    初瀬用かー

    12 = 4 :

     ̄ ̄ ̄ ̄

    【2】


    翌朝。
    あたしはいつもより早い時間に目が覚めてしまった。

    「まだ5時台、ねえ」

    「二度寝するかなあ」

    一つあくびをすると、背を丸めて全身を布団の下に潜り込ませる。

    「……」

    「……」

    「……眠れない」

    まだ寝足りないはずなのに、一向に眠気が襲ってこない。
    あたしは自分が思っていた以上に、
    今日バレンタインという日に対し緊張していたのかもしれない。

    14 :

    どうしてマカロン

    16 = 4 :

    「しゃーない。起きるか」

    手櫛で髪を梳き梳き、上体を起こす。

    「ん―……。まだ学校まで時間あるけど何しよっかなあ」

    「ネットってのも、朝からって感じじゃないし」

    「かといってボーッとしてても、シズに本命を渡すことばかり考えちゃって落ち着かないし」

    「そうだなー」

    考えあぐねていると、不意に小鳥のさえずりが聞こえてきた。
    意識が屋外に向いたことで外を散歩するというアイデアが浮かんでくる。

    「散歩もたまにゃいいかな……」

    17 :

    福路美穂子ちゃんの美乳揉みたい

    19 :

    おしゃれやし、噛むと歯にべっちょりくっついて離れへんとこが憧ちゃんらしくてええやん

    20 = 3 :

    かわいい

    21 = 17 :

    憧かわいいよ憧

    22 = 11 :

    本命初瀬の可能性はまだ0じゃないし

    24 = 4 :

    コートを着込んで道をぶらぶら。
    冷えた空気に包まれて、頭がすっきり冴えていくような感覚を覚えた。

    「はあーっ……」

    「バレンタイン、か……」

    言葉の外殻は白いもやとなり空に消えていく。
    意味だけが心のなかに、ずしりと重く残った。

    「んー……」

    小学生の頃に利用していたバス停の姿が見えてきた。
    待ち合い用のベンチに意味もなく腰かけて、空を見上げてみる。

    「少し落ち着いてきた、かな」

    「そろそろ家に戻るか」

    雲1つない今日の早朝の空は、突き抜けるような青色の午後を予感させた。

    25 = 4 :

     ̄ ̄ ̄ ̄

    【3】


    いつもより早くに登校すると、あたしの下駄箱の中に平べったい箱が入っていた。
    有名な海外お菓子ブランドのロゴがプリントされた包みに、斜めにリボンがかけられている。
    封筒も添えられていた。
    ウサギのシールで封のされた、可愛らしい封筒だった。

    モブ「新子、さん……?」

    震えるような細い声。
    振り向くと、何度も会話した覚えのある、クラスメイトの少女がいた。

    「これ、○○さんが?」

    モブ「う、うん」

    彼女の頬は完熟したトマトよりも赤い。
    このチョコは、この子にとっての本命なんだなと察した。

    早起きの勢いそのままに登校した昇降口には、あたし達2人以外まだ誰もいなかった。

    26 = 14 :

    ほう

    27 :

    国語の授業の段落分け思い出す
    支援

    28 = 4 :

    モブ「新子さん……」

    「うん」

    モブ「あのね。あの……」

    モブ「わたし、引っ込み思案で……」

    モブ「だけど新子さん、こんなわたしに話しかけてくれて……、嬉しかったの」

    教室の隅でポツンとしているよな、そんなタイプの子だった。
    いつも本を読んでいたり、あるいは机に伏せていたり。
    体育で二人組を作ると余ってしまうような、いわゆるそういう子。

    『おはよ。なに読んでるの?』

    『えっ!? あ、えと、あの……』

    そんな彼女にあたしが話しかけたきっかけは、ほんの気まぐれだったように思う。
    なんとなく悪い子には見えなかったから。
    それと、寂しそうだったから。
    ただそれだけの理由。

    だけど。
    あたしにとっての気まぐれは、この子の中で大きな意味を持ってしまっていたようだ。

    29 = 3 :

    ふぅ~む

    30 = 4 :

    たとえ同一の事象であっても。
    眺める人間によってその意味合いは、大きく変わってしまう。

    モブ「だからね新子さん!」

    モブ「わ、わたっ、わたし……」

    こうして誰かに想いを寄せられることは、確かに嬉しい。
    胸がドキドキと脈を打つ。
    この子と付き合ったらどんなだろうと想像してしまう。

    モブ「好きです。付き合ってください」

    そして彼女は悪い子ではないのだろう。
    自分に向けられる真摯な眼差しに、ほんの少し心が揺らがないでもない。

    「○○さん」

    モブ「は、はい!」

    「……ごめんなさい」

    それでもあたしは、首を横に振った。
    鞄の中のハートのマカロンがそうさせた。

    32 = 4 :

    あたしに告白してくれたクラスメイトは、
    義理用にラッピングしたマカロンを受け取ると、そのまま泣きそうな顔で立ち去っていった。

    「……」

    心が痛む。
    だが、泣くほど辛い気持ちではない。

    「本当にごめんね……」

    同一の事象であっても。
    観測者によってその解釈は大きく変わり得る。

    それなら、シズにとってのバレンタインって一体どんなだろう?

    今日まさに本命チョコレートを渡そうと考えている私の心は重くなった。

    34 = 4 :

     ̄ ̄ ̄ ̄

    【4】



    穏乃「もしゃもしゃもしゃ」

    あんたはリスか。
    そうツッコミたくなるほど頬を膨らませたシズは、
    まさに幸せの絶頂といった表情を浮かべていた。

    「しっかり餌付けされてんわねー」

    穏乃「もがもがががもが?」

    「飲み込んでから喋る」

    穏乃「もごごご……、ごくん」

    穏乃「餌付けって?」

    37 = 4 :

    「今あんたの胃袋に消えていったそれよそれ」

    穏乃「あー。うん! いい日だよね、バレンタイン!」

    どこかマスコット的な容姿のシズは、昔から義理だけはよく貰う。
    完全に貰う側な姿勢のシズを見て、なんでこんなヤツ好きになっちゃったのかなと、
    なんだか無性にデコピンでもしてやりたい気持ちになるのだった。

    穏乃「あいたっ!? 何すんだよー!」

    「さあねー」

    穏乃「仕返しだ!」

    「きゃっ!? や、やったなー!」

    時刻は12時少し過ぎ。
    昼休みの頭。
    本命チョコは、未だ渡せずにいる。

    40 = 4 :

    「んじゃシズ。購買いこ、購買」

    穏乃「おうよ」

    廊下を歩いていると、今日は学内全体が浮わついているように感じられた。
    バレンタイン。女ばかりの空間。
    これら二条件の相乗効果なのかもしれない。

    「おーい!」

    と、向こうの方から見慣れた姿が手を振るのが見えた。

    穏乃「あ、玄さん!」

    「アクロじゃなくてクロだよ~」

    「こっんにっちはー、玄!」

    「うん、こんにちは」

    「それにしてもちょうど良かったー! 実は今から1年の教室に行こうと思ってたんだ!」

    そう言って玄は手に持ったかばんを漁ると、小さな包みを2つ取り出した。

    「ハイこれ。2人へのチョコだよ」

    41 = 14 :

    クロチャー

    42 :

    アーティストアクロって面白かったよな

    43 = 4 :

    穏乃「ありがとうございます玄さん!」

    「さんきゅ、玄!」

    「どういたまして」

    渡されたのは、整った形のチョコケーキにパウダーシュガーをかけたものを、
    柄付きの袋とピンクのリボンとで可愛らしくラッピングしたものだった。
    日頃料理をする玄らしく、見栄えは非常にまとまっている。

    「あ、そだ玄」

    「ふゅ?」

    「実はあたしからも玄にチョコがあるんだけど、あいにく今は教室に置きっぱでさ……」

    どのタイミングで玄にチョコを渡すのがスムーズかな。
    考えながら、次の言葉を探していると、

    穏乃「えっ……?」

    シズが小さく、不可解そうな声を漏らした。

    44 :

    あーこれはアカン奴や

    46 = 3 :

    ほう

    47 = 4 :

    「ん? どしたのシズ?」

    穏乃「……ううん。なんでも」

    「そー?」

    なんだか心に引っかかりを覚えはしたものの。
    まあいいかと、あたしは思考を玄へチョコを渡す方法に戻した。

    「それで、玄へのチョコなんだけどね」

    「うん!」

    「放課後はゴタゴタするかもだし、こっちの昼食が終わったら昼休み中に教室まで持っていくわ」

    「わざわざ届けにきてくれるの?」

    「うん。ついでに灼さんと宥姉、ハルエにも渡しちゃうかなって思ってる」

    穏乃「その3人にもチョコを……?」

    「そりゃ当然でしょうよ。大切な仲間なんだもの」

    48 = 14 :

    アコチャー…

    50 = 4 :

    「えへへ。憧ちゃんのチョコ楽しみだなぁ~」

    「ふっふっふ。玄には負けるけど、あたしも今年は頑張ったよー」

    穏乃「……」

    会話もそこそこに、あたし達はじゃあまた後でと玄と別れ、購買に向かった。

    穏乃「おなか空いたー」

    「あんたさっきチョコ食べまくってたでしょうよ……」

    穏乃「別腹別腹ー」

    シズへの本命チョコも玄達への義理ぐらい気軽に渡せたらな。
    隣で揺れるポニテを見ながら、ついそんなことを考えてしまった。


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