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    元スレ教師「今日からこの学校に赴任しました。趣味は妄想です」

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    53 = 1 :

    教師「ほんの出来心でやった万引きをきっかけに、悪に目覚めた君は──」

    教師「瞬く間に悪の才能を開花、ヤクザやマフィアに出入りし」

    教師「すぐさま独立して、悪の秘密結社を築き上げる!」

    平凡「悪の秘密結社……!?」

    教師「もちろん、君の目的は世界征服などではなく、世界の破滅!」

    教師「開花した悪の才をつぎ込んだ生み出した細菌兵器を世界中にばら撒き」

    教師「その犠牲者はなんと10億人!」

    平凡「10億!?」

    教師「そう! もし君が悪に目覚めていたら、10億人が死んでいた!」

    教師「つまり君は……その取り柄によって10億人もの人命を救ったんだ!」

    教師「ありがとう……! 本当にありがとう……!」グスッ

    教師「よかった……! 今俺が生きていられるのも、君のおかげだ……!」グスッ

    平凡(おいおい、本気で泣いてるよこの人……!)

    54 = 1 :

    平凡「お、おかしいでしょう!?」

    教師「え、なにが?」

    平凡「俺が悪者になってたら、10億人死ぬって……」

    平凡「アンタの妄想は突飛すぎるんだよ!」

    教師「そうか?」

    平凡「!」

    教師「俺の妄想に比べたら──」

    教師「さして悩みもせず自分には取り柄がないなんて決めつけたり」

    教師「たかが十数年の人生を材料に、残る何十年の人生を諦めてる君の方が」

    教師「よっぽど突飛だと思うけどな」

    平凡「…………!」

    55 :

    10億人の人生を捨てると考えたお前が言うか

    56 = 1 :

    平凡「じゃあ、先生……。俺は……どうすればいいですか?」

    教師「……君、理系だったよな?」

    平凡「まあ、一応」

    教師「まだ特にしたいことがないんなら、とりあえずノーベル賞でも目指したらどうだ?」

    教師「で、やりたいことが見えてきたら、それに切り替えればいい」

    平凡「ちょっ……! とりあえずノーベルって……」

    平凡「今まで色んな人に“まだ若い”“やればできる”“無限の可能性がある”」

    平凡「とかいわれてきましたけど──」

    平凡「……初めてですよ。真顔でノーベル賞目指せ、なんていわれたのは」

    教師「当たり前だよ、俺は本気だからな」

    平凡「ふっ……ハハハッ……!」

    教師「お、おい、他人の本気を笑うのはよくないぞ」



    この生徒は嬉しかった。

    表面上でなく、本気で「ノーベル賞を目指せ」といわれたことが──

    57 = 1 :

    <喫茶店>

    マスター「──アンタもセコイ男ねえ」

    マスター「生徒にばっか、むやみに高い目標押しつけてさ」

    マスター「アンタこそ、ノーベル賞目指したらどうなの?」

    教師「いや、だってほら、俺はもう教師だし」

    教師「あ~あ、ノーベル妄想賞とかあったら、毎年受賞する自信があるんだがなぁ」

    マスター「あるわけないでしょ、そんなもん」



                                     第四話 おわり

    58 :

    この先生の髪の毛もじゃもじゃしてそう

    59 = 1 :

    第五話「芸術は妄想だ」

    <美術室>

    キャンバスに向かう一人の女生徒。

    美術少「…………」

    美術少「はぁ~……いくらこうしてても、なにも浮かんでこない……」

    美術少「やる気が出ない……」

    美術少「絵画コンクールまで時間がないのにどうしたらいいんだろ……」

    60 :

    女マスターがいちいち俺の股間を刺激するしえん

    61 = 1 :

    <職員室>

    教師「──へぇ、そんなスゴイ子がいるんですか」

    美術教師「えぇ、複数の美大から推薦の話が来てるほどなんですよ」

    美術教師「ですが、最近スランプになってしまって……」

    教師「スランプ?」

    美術教師「燃え尽き症候群、とでもいうんでしょうか……」

    美術教師「なまじ認められたせいで、絵が描けなくなってしまったようで……」

    教師「なるほど、で俺にどうしろと?」

    美術教師「先生に、彼女にやる気を出させてもらえないか、と思いまして」

    教師(俺はカウンセラーじゃないんだけどな……)

    教師「分かりました。とりあえず今日、彼女と話をしてみます」

    62 = 1 :

    放課後──

    <美術室>

    教師「お、いたいた」

    美術少「……なんですか?」

    教師「いやなに、美術の先生から聞いたんだ。君がスランプだって」

    美術少「……別にスランプなんかじゃありませんよ!」

    美術少「放っておいて下さい!」

    教師「つれないな、せめて話ぐらい──」

    美術少「ここは創作のための場所です!」

    美術少「おしゃべりがしたいのなら、創作のジャマなので、出ていって下さい!」

    教師(カリカリしてるなぁ……)

    64 = 1 :

    教師「だったら俺も絵を描くよ」

    教師「それなら文句ないだろ?」

    美術少「……ええ、まあ」

    教師「絵を描くなんて久しぶりだな~」ガタッ

    教師「なんかワクワクしてきた!」

    美術少(なんなのよ、この人……)

    教師(よぉ~し、とりあえず今は自分が教師だってことは忘れて)

    教師(俺の妄想をキャンバスに思う存分表現してやる!)

    66 = 1 :

    教師「──よし、できた!」

    美術少(え、もう!?)

    教師「題して“メチャクチャ強い俺”!」

    キャンバスには、やたら筋骨隆々な教師の姿が描かれていた。

    教師「どうだ、俺の作品?」

    美術少「うっ……!」

    美術少(単なる願望じゃないのよ……)

    美術少(でも、意外とよく描けてるのが、ちょっと悔しい……)

    教師「絵画って面白いな~、この調子でどんどん描いていこう!」

    67 = 1 :

    その後も、教師は次々と絵を描きまくった。

    【おっぱい山】

    乳房の形をした山。

    【無限財布】

    万札が無限に出てくる財布。

    【金メダリストの俺】

    表彰台で笑顔で金メダルを噛んでいる教師。

    【宇宙戦艦トイレ】

    宇宙空間で戦争する空飛ぶ洋式トイレ。

    【最高のぜいたく】

    こたつの中でアイスを食べてる教師。



    教師「すごい、すごい! 次から次へと描けるぞぉっ! 芸術は楽しいなぁ~!」

    美術少「…………」

    68 = 65 :

    70 :

    きも

    71 = 1 :

    教師「さぁ~て次は、総理大臣になった俺でも描こう──」

    美術少「…………」ワナワナ…

    美術少「こんなの芸術じゃありませんっ!」

    教師「おわっ!?」ビクッ

    美術少「先生はただ自分の妄想を好き勝手に描いているだけ……」

    美術少「私、先生の絵が芸術だとは、断じて認めません!」

    教師「いや、あの」

    美術少「私は先生に負けない……負けてたまるもんですか!」

    美術少「絶対に!」メラメラ…

    教師(す、すごい気迫だ……!)

    72 = 1 :

    数日後──

    <職員室>

    美術教師「ありがとうございます、先生!」

    美術教師「どうやら彼女、ようやくスランプを克服したようです」

    美術教師「それどころか、かつての彼女にはなかった闘争心まで宿ったみたいで……」

    美術教師「次々に意欲的な作品を描くようになりましてねえ」

    美術教師「彼女はきっと、すごい画家になりますよ!」

    教師「そうですか」

    美術教師「ところで先生……いったいどうやって彼女に火をつけたんです?」

    教師「いや、一緒に絵を描いただけですよ」

    美術教師「またまたぁ~、そんなんでやる気が出たら苦労しませんよ~」

    教師(ホントなんだけどな……)

    73 = 1 :

    しばらくして──

    <喫茶店>

    「ふ~む、近頃の高校生はスゴイ絵を描くなぁ」バサッ

    マスター「どうしたの?」

    「いや、新聞に高校生絵画コンクールの最優秀作品が載ってるんだけどね」

    「絵の題名がなんと『妄想しまくる男』でな」

    「この若さで、しかも女の子が、よくもまぁこんな絵を描けるもんだ」

    マスター(……どっかのバカを思い出させるタイトルね)



                                     第五話 おわり

    75 :

    |∧∧
    |・ω・`) そ~~・・・
    |o④o
    |―u'
    | ∧∧
    |(´・ω・`)
    |o   ヾ
    |―u' ④ <コトッ
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    | ミ  ピャッ!
    |    ④

    これを見てふと疑問に思ったことがある
    まずは上の図を見て欲しい
    彼は自らが支援したいものに巡りあった時、切なげな表情を浮かべてこの
    しえんだまを置いていく。置き終わった後はどこかへ去っていってしまう
    ここで一つ疑問が生じる。このしえんだまの硬度についてだ
    彼の姿を描いたものは幾つかあるが、いずれにおいてもこのしえんだまを置く時の
    効果音は『コトッ』である
    『チョコン』でもなく『ボヨン』でもなくあくまで『コトッ』である
    それらはすべての場面においてすべてが共通である
    つまりこのしえんだまという謎に満ちた物体は、構成している物質が依然全くの謎であるにしろ
    硬度の面で見ると、そこそこの硬さを持った物質であることには違いないのであろうという
    一つの仮説が生まれるのである

    彼がこれをどこで手に入れ、また彼自身これをどこまで把握しているのかは知る由もない
    だが、今ここでこうしてしえんだまについての謎が一つ解けた
    これだけでも我々は大きな一歩を踏み出したといえるだろう
    しえんだまの未知なる部分への更なる解明を期待したい

    76 = 18 :

    なんかだんだんクセになってきた

    77 = 1 :

    第六話「宇宙規模妄想」

    夜──

    <学校>

    教師(ふう、やっとテスト問題を作り終わった……)

    教師(あ~……すっかり遅くなっちゃったな)

    教師(早く布団にもぐって、昨夜の妄想の続きを──)チラッ

    教師「……ん?」

    教師「屋上に……人……? 生徒か……?」

    78 = 1 :

    <屋上>

    内気(毎日毎日……もうイヤだ、たくさんだ)

    内気(死のう……)グッ

    教師「お~い、こんな時間になにやってるんだ?」ガチャッ

    内気「うわっ!?」

    内気(妄想の先生!? なんでこんなところに!?)

    教師「星でも眺めてたのか?」

    教師「いいよなぁ、星を眺めながらの妄想ってのもまた格別だ」

    内気「いや、ボクは……」

    教師「だけど、ここじゃ大して星なんか見えないだろ」

    教師「俺がもっといいところに連れてってやろう」グイッ

    内気「うわわっ……!」

    79 :

    何気に面白い
    あべちゃんで再生される

    80 :

    この教師を大統領にしたら、戦争はなくなる気がする

    82 :

    教師は車で、内気を近くの丘まで連れていった。

    <丘>

    教師「どうだ。町からちょっと出ただけで、星がたくさん見えるだろ」

    内気「はぁ……」

    教師「…………」

    内気「…………」

    教師「……いじめか?」

    内気「!?」ギクッ

    教師「分かりやすいな。で、いじめてくるのはクラスの連中か?」

    内気「えぇ、まぁ……」

    教師「そうか……」

    83 = 82 :

    教師「ま、イヤなことがあったら妄想に限る」

    教師「寝そべると、ひろ~い夜空が見られるぞ」ドサッ

    内気「は、はい……」ドサッ

    内気「…………」

    内気(たしかにスゴイ……近くにこんなにキレイに星を見られる場所があったなんて)

    教師「どうだ~?」

    教師「こうして宇宙を眺めてると、イヤなことなんて吹っ飛んじゃうだろ」

    内気「は、はい!」

    内気「この広い宇宙に比べたら、なんて自分はちっぽけなんだろうって……」

    内気「ボクがいじめられてることなんて、小さなことなんだなって……」

    教師「は? なにいってるんだ?」

    内気「え?」

    85 :

    読みたい・・・けど寝ないと・・・くっ

    87 = 82 :

    教師「俺はさ、こうやって宇宙を眺めるたび思うんだ」

    教師「こんな真っ黒で、真っ暗で、星がチラチラしてるだけの場所で」

    教師「毎日暮らしてやってる俺ってなんて偉いんだろうって」

    教師「俺ってなんて素晴らしいんだろうって」

    内気「えぇっ……!?」

    教師「こうしてると、俺は宇宙一偉いって気分になるんだよな~」

    教師「そうすると、イヤなこともさっぱり忘れられるんだ」

    教師「なんたって宇宙一なんだから、なにも怖くないからな」

    内気(宇宙一って……小学生かこの人は)

    内気(普通は自分という存在の小ささを認識する、とかじゃないだろうか……)

    88 = 82 :

    教師「……俺も昔、いじめられてたことがあるから分かる」

    教師「だから気休めはいわない」

    教師「いじめってのは、簡単にどうにかなるもんじゃない。ありゃ地獄だ」

    内気「はい……」

    教師「だから俺はやられるたびに、宇宙一偉くなった妄想をして」

    教師「妄想の中で、俺をいじめてた奴らを厳罰に処してやったもんさ」

    内気「ハハハ……先生らしいですね」

    内気「……先生はなんで、いじめられてたんですか?」

    教師「どうも連中は、妄想ばっかしてる俺が気に食わなかったらしい」

    内気(これまた先生らしい)

    89 :

    なんかこれ見てると

    「ああ、俺って妄想する能力すら大したことなかったんだな」

    というとっても謙虚な気分になれる
    つうか面白いなおい

    90 = 82 :

    教師「……だけど、それも今日までだ」

    内気「え?」

    教師「今日までは、俺が宇宙一だったけど」

    教師「今日からは君に宇宙一の座を譲ってやる」

    内気「えっ」

    教師「だからもう、死ぬなんて考えるなよ」

    教師「宇宙で一番偉いんだから」

    内気「先生……!」

    教師「──せっかくだ。宇宙一偉い君の命令を、一つだけなんでも聞いてやる」

    内気「本当になんでもですか?」

    教師「ああ、なんでもだ」

    内気「だったら……今日から妄想をやめて下さい」

    教師「ゴメン、無理」

    内気「ハハハ、やっぱり」

    二人はしばらく話した後、帰路についた。

    91 = 82 :

    翌日 昼休み──

    <学校>

    学校中に校内放送が流れる。

    教師『あ~……マイク、テステス』

    ザワザワ……

    「なんだ?」 「この声、妄想教師じゃね?」 「なにやってんだ?」

    内気(先生……!?)

    教師『全校生徒及び教員に告ぐ』

    教師『昨日付で、2年C組の内気は、宇宙一偉くなった』

    ザワッ……!?

    教師『よって、今後彼に手出しした者は宇宙二の俺が成敗するから覚悟するように』

    教師『以上』

    内気(せ、先生……!)

    ザワザワ…… ドヨドヨ……

    92 = 82 :

    <校長室>

    校長「うむむ、なんということを!」

    教頭「まったくですな。許可もなく校内放送を使うなど──」

    校長「校長である私を差し置いて、宇宙一、宇宙二だとぉ!? けしからん!」

    教頭「そこですか!?」



    その後、教師のこれまでの奇妙な実績の数々も手伝ってか、

    いじめはピタリと止んだという……。



                                     第六話 おわり

    93 = 82 :

    最終話「妄想の王道」

    <町>

    タッタッタ……

    警官「待たんかぁっ!」

    強盗「だれが待つかっ!」

    バキィッ!

    警官「ぐわぁっ!」ドサッ

    警官「くそっ、お、応援を……!」

    強盗「へっ、捕まってたまるかってんだ!」

    95 = 82 :

    強盗「はぁ、はぁ、はぁ……ここまで逃げれば大丈夫だろう」

    強盗(くそっ、警察め。あと少しってところで駆けつけてきやがって)

    強盗(おかげで金は手に入らなかった……)

    強盗(こうなりゃ、どこかの家に押し入り強盗でもやるか?)

    強盗(いや……どこの家が金持ってるかなんて分からねえもんな)

    強盗(……そういや、この辺りには高校があったな)

    強盗(最近のガキは一人っ子が多いから、けっこう金持ってるって聞くしな)

    強盗「ようし……」ニタリ…

    96 = 82 :

    <職員室>

    校長によって、全教員が集められる。

    校長「先ほど警察から、この近辺に強盗が逃げ込んだとの連絡が入った」

    校長「なんでもスーパーで強盗をはたらいていたところを、警官に食い止められたが」

    校長「その後、警官を殴り倒し、現在も逃走中らしい」

    体育教師「うむむ……!」

    美術教師「とんでもないヤツですねえ」

    先輩教師「これは……早いところ生徒たちを帰宅させた方が……」

    教頭「いや、強盗がどこにいるのかも分からんし」

    教頭「もし帰宅途中の生徒と強盗がはち合わせでもしたら大変だ」

    ザワザワ…… ドヨドヨ……

    教師「…………」ササッ

    職員室から抜け出す教師。

    先輩教師「あ、おいっ! どこに行くんだ!?」

    97 = 82 :

    すると──

    教師『あ~……マイク、テステス』

    先輩教師「教師の声!?」

    三学年教師「校内放送だ!」

    教師『全校生徒の諸君、たった今、この近くに強盗がいるという情報が入った』

    教師『もしかしたら、この学校を襲いにくるかもしれない』

    ザワザワ…… ガヤガヤ……

    美術教師「避難しろ、とでもいうつもりでしょうか?」

    教頭「勝手なことを! 生徒がパニックになったらどうするんだ!」

    教師『──これはチャンスだ!』

    ザワッ……!?

    100 = 82 :

    <放送室>

    教師「学校内に悪党が侵入……」

    教師「程度の差はあれど、これはだれもがやる、妄想シチュエーション……」

    教師「まさに妄想の王道!」

    教師「今こそ……」

    教師「今こそ!」

    教師「君たちの中に眠っている妄想力を爆発させるんだッ!!!」


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