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    元スレ小鳥「まるで、花が咲くように」

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    みんなの評価 :
    タグ : - アイドルマスター + - 小鳥 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    202 :

    砂糖吐いてもいいですか?

    203 = 188 :

    可愛い

    205 = 167 :

    小鳥さんマジ正妻

    206 = 56 :

    保守ありがとうございました 再開する

    208 = 56 :

     
      *  *  *


    小鳥(それから、私たちは……)

    小鳥(しばらくの間、無言で抱き合っていました)


    小鳥(……私はただ、返事をするだけで良かったのに)

    小鳥(ただ一言、『私も好きです』と伝えるだけで良かったのに……)

    小鳥(なんだか、随分とカッコ悪くなってしまいました気がします。情けないですね……)

    小鳥(……でも、それもまた、私らしいのかもしれません)


    小鳥(……それに)

    小鳥(プロデューサーさんが言ってくれたように、私たちにはまだ、たくさんの時間があります)

    小鳥(いまはまだ、この気持ちのかけらを伝えただけ……)

    小鳥(この想いのすべてを伝えるには、これからゆっくりと、でいいんです)

    小鳥(……だから……ずっとずっと、私に付き合ってくださいね。プロデューサーさん……)

    209 :

    頼むからぴよぴよの妄想or夢オチはやめろよ…!

    210 = 56 :

    >>208日本語おかしいので訂正
    ×小鳥(なんだか、随分とカッコ悪くなってしまいました気がします。情けないですね……)
    小鳥(なんだか、随分とカッコ悪くなってしまった気がします。情けないですね……)
    でオナシャス

    211 = 56 :

     
    小鳥(そして今、私たちは……駅へと続く道を、ふたり並んで歩いています)

    小鳥(……右手にはもちろん、あなたの左手)


    テクテク……

    小鳥「……ふふっ」

    P「どうかしたんですか?」

    小鳥「こんなに幸せで、いいのかなって思って……」

    P「……」


    ぎゅっ……


    小鳥「! えへへ……もう、そんなに強く握らなくても、私は羽ばたいて飛んでいったりしないですよ」

    P「……いいんですよ、幸せになっても」

    小鳥「え……?」

    P「だって、これまで、あなたは……ずっとずっと、頑張ってきたんですから」

    小鳥「……!」

    212 = 56 :

     
    小鳥「頑張ってきた、って……?」

    P「ずっとあなたのことを見てきたから、俺はちゃんと知っています。だから……、いいんです」

    P「……ときには自分のこと以外、何も考えずに幸せになったって……誰も、あなたのことを責めません」

    小鳥「…………」ウルウル

    P「……!? こ、小鳥さん……」

    小鳥「……え、えへへ……あ、あれ? なんでかなぁ……な、涙、が……」


    ポロッポロポロ……


    小鳥(……そんな風に言ってくれて、とっても……嬉しいはずなのに)

    小鳥(春香ちゃんからも、同じことを言われて……あのときは、こんな気持ちにはならなかったのに)

    小鳥(まるで、さっきまでの私と、今の私は……全然、違うみたいで……)

    小鳥(そ、それに……! 私はもう、涙は我慢できるくらい、大人になったはずなのに……!)


    ボロボロ……


    小鳥「……ひぐっ! ……う、うぇぇえぇ……!!」

    213 :

    小鳥さんスレ発見

    214 = 56 :

     
    ──────
    ────
    ──

    P「……落ち着きましたか?」

    小鳥「はい……」グズッ


    小鳥(まさかこの年で号泣することになるとは……)

    小鳥(……だけど、プロデューサーさん……泣き止むまで、頭、撫でてくれた……嬉しい)


    小鳥「……あれ?」

    P「どうかしましたか?」

    小鳥「……なんだか、私……今何か、大切なことを聞き流しちゃったような……」

    P「!」ドキッ

    小鳥「うーん……なにかしら、モヤっとする……」

    P「さ、さぁ……なんでしょうね、『音無さん』。あはは……」

    小鳥「んー……?」

    215 = 56 :

     
    小鳥「……そんなことよりっ、プロデューサーさん。いまのは、ずるいと思います!」

    P「へ? ずるい?」

    小鳥「そうですよ……私くらいの年齢の女性っていうのはですね、そういうものなんです」

    P「……どういうことですか?」

    小鳥「……つまりですね。……す、好きな男性に……」テレテレ

    『僕は知ってるよ ちゃんと見てるよ 頑張ってる君のこと』

    小鳥「なーんて言われたら……そりゃあ、いくら我慢しようとしたって、こうなるってものなんですっ!」

    P「そ、そういうものなんですか……」

    小鳥「そうです、そういうものなんです!」

    P「でも俺、そんな風に言ったっけかな……?」

    小鳥「ある程度乙女歴が長いと、脳内で勝手にそう変換されてしまうんですよ。ふふふ」

    P「なるほど……」

    216 :

    乙女だもんな
    仕方ないな

    217 = 56 :

     
    小鳥「……でも、私もごめんなさい。また格好悪いところ見せちゃいました」

    P「……いいんですよ。格好悪くなんかないし……むしろ、嬉しいです」

    小鳥「嬉しい?」

    P「そういう弱いところを見せてもらえるのは、彼氏冥利に尽きるっていうか」

    小鳥「かっ、かれひっ!?」

    P「えっ!?」

    小鳥「…………」プシュー

    P「……い、一応聞いておきますけど……そう、ですよね?」

    小鳥「そ、そう……ですけど……」

    小鳥「……もう、なんでそんなこと、サラっと言えちゃうのかなぁ……」

    P「あははは……」

    小鳥「…………ふふっ。でも……」

    小鳥「私は、あなたのそういうところ……大好きですよ」

    218 = 56 :

     
    P「……改めて、幸せだなって思います。音無さんにとっての大切な存在になれたこと」

    小鳥「……私もです。でも私は、こうなる前から、あなたのことは大切な存在だって思ってましたよ」

    P「え……」

    小鳥「だってあなたは……かけがえのない、仲間でしたから」

    P「……仲間、か。確かに、それはそのとおりですね!」


    小鳥(……だから私は、こう思う)

    小鳥(プロデューサーさんはさっき、『アイドルになろうとは思わなかったんですか?』と私に聞いたけど)

    小鳥(私は、アイドルをやっている自分ではなくて──)


    小鳥「……プロデューサーさん。私、いまの自分のことが、一番好きです」

    P「いまの自分、ですか?」

    小鳥「はい!」

    219 = 56 :

     
    小鳥「これまで歩んできた、決して短くない人生の中で……私なりに、いろいろとあったけれど」

    小鳥「いまの私の隣には、あなたがいてくれる……」

    小鳥「そしていつだって……アイドルのみんなが、仲間がいてくれる」


    小鳥「やっぱり私は……みんなが持つ、ひとりひとつの光を、何より愛しているから」

    小鳥「だからきっと……これ以上の幸せは、ありません」

    220 = 97 :

    かわいい

    221 = 56 :

     
    小鳥(だからね、春香ちゃん……)

    小鳥(春香ちゃんはさっき事務所で、こう言ってくれたけど……)


    ──────────────────────────────────────────────

     ……小鳥さんも、絶対、幸せになってくださいねっ!

     小鳥さんってば、何かにつけて私達のことばっかり気にかけてくれるんですから

    ──────────────────────────────────────────────


    小鳥(……いまなら、あなたの言葉に、胸を張ってこう答えられる)




    小鳥「……私はいま、本当に……幸せです」

    小鳥「大好きな仲間が、隣にいてくれるから……だからこそ私は、最高に幸せなんだって思います」

    P「……小鳥さん」

    小鳥「……うふふっ、さぁ、プロデューサーさん! 行きましょう?」

    P「……はい!」

    222 = 56 :

     
    ──────
    ────
    ──

    小鳥(……駅に、着いちゃった)

    小鳥(私の右手に繋いだ、この左手を、離さないといけません……)


    小鳥「……」キョロキョロ

    P「どうしたんですか? 何か探しものでも……」

    小鳥「……あのっ、プロデューサーさん。お願いがあるんですけど……」

    P「お願い?」

    小鳥「いまなら……その、まわりに誰もいないから……」


    小鳥「……も、もう一度、最後に……ぎゅってしてくれませんか……?」

    223 = 56 :

     
    P「そ、そりゃあ、もちろんいいですけど……」

    小鳥「……」ドキドキ

    P「……それじゃあ……」


    ぎゅぅっ……


    小鳥「……んっ……」

    P「……」

    小鳥「……んふふふ……。ありがとうございま──」



    ……ちゅっ



    小鳥「!!!!?!!?」

    224 :

    squallを聞きながらニヨニヨしてしまう

    225 :

    「!!!!?!!?」

    226 = 56 :

     
    P「……」

    小鳥「あ、あぇ……? い、今……えっと……」

    P「……あはは、可愛かったから、つい」

    小鳥「…………────~~~!!!!」プシュー


    小鳥(……私の、ファースト・キスは)

    小鳥(プロデューサーさんがいじわるをするせいで、よくわからないまま、終わってしまいました)

    小鳥(こ、こんなの……全然、長年思い描いていたような……、ロマンチックなキスじゃないわ……!)



    小鳥「うぅうぅぅうぅうぅうぅぅううぅう…………!!!」

    P「お、落ち着いて……どう、どうどう……」

    小鳥「……も、もう一回! もう一回してくださいっ!」

    P「え!?」

    小鳥「今の! よくわかんなかったから! せめてもう一回ぃぃぃぃ!!」

    227 = 56 :

     
    P「わ、わかりました、それじゃあ……」

    小鳥「…………」ドキドキ


    ちゅっ……


    P「……今のは、どうでしたか?」

    小鳥「……いまのも、よくわかんなかった……」

    P「……そ、それなら、もう一回やるしかないですかね」

    小鳥「そ、そうですね! しかたない、しかたない……」

    P「で、ではいざ……!」




    小鳥(ここからは恥ずかしいので少し省略します)




    小鳥「うえっへへへっへ……♪」

    P「……へ、へへ」

    228 = 56 :

     
      *  *  *


    小鳥「それじゃあ……もういい加減、私も行きますね」

    P「ええ。帰り道、気をつけてくださいね。こんな夜更けですし」

    小鳥「プロデューサーさんも。それに、ちゃんとあったかくして寝てください。風邪なんて引かないでくださいよ?」

    P「……はい」

    小鳥「……ふふっ、そんな顔しないでください」

    小鳥「また、明日になれば……会えるんですから!」

    P「……あはは、そうですね!」


    小鳥(プロデューサーさんとは、今日はまた、お別れです)

    小鳥(でも……私の胸には、さっき別れたときとは、全然ちがう気持ちが芽生えていました)

    小鳥(明日になれば、また会える。それがどんなに幸せかっていうことが……わかったから)

    229 = 56 :

     
    小鳥「それじゃあ……おやすみなさい」

    P「おやすみなさい……」

    小鳥「……」


    テクテク……

    ──ピタ


    小鳥(……駅のホームへと続く階段に足をかけた瞬間、ふと振り返ると……)

    小鳥(やっぱりプロデューサーさんは、まだそこにいてくれました)



    小鳥「……プロデューサーさーん!」ブンブン

    P「はーい! どうしたんですかーっ?」

    小鳥「えへへ……。また……また明日っ!」

    P「……はいっ! また……」


    「「また明日っ!」」

    230 :

    これは、!砂糖の甘さじゃない!

    231 :

    ああ^~

    232 = 56 :

     
    P「……行ったか……」

    ピピピピ

    P「ん? メールが……」

    P「! 音無さんじゃないか……なになに」

    ピッ

    P「……な、なんだこれ……!?」


    ……………………………………………………
    From:音無小鳥
    Sub:待ち受け画面にしちゃいました♪


    かわいい!


    添付ファイル:寝顔♪
    ……………………………………………………


    P「……あははは……はぁ。いつの間に撮られたんだ……?」

    233 = 56 :

    ……──♪

    『……My Blue Bird どこにいるのかな……♪』

    ヴーヴー……


    小鳥「……あ、メールのお返事かしら? ふふふっ……」


    『夢になって 愛になって 誰かと……♪』


    小鳥「……」ピッ


    ……………………………………………………
    From:プロデューサーさん
    Sub:消してください


    それか、小鳥さんの寝顔も撮らせてください。
    ……………………………………………………


    小鳥「えぇっ!? そ、それって、ヤバイ意味じゃないわよね……?」

    小鳥「……ん? ていうか……」

    小鳥「…………『小鳥さん』?」

    234 = 56 :

     
    小鳥「……」ボッ

    小鳥「……さっきからたまにあった違和感は、これね……堂々と呼んでくれればいいのに、もう……」

    小鳥「……き、『機会があれば、寝顔くらい、いつでもどうぞ』っと……」ピッ



    小鳥「なーんて! なーんて!」

    金髪ツインテ「……」ピピッ

    小鳥「うえへへ、な、何言ってるのかしら、私……ったら……」

    金髪ツインテ「……駅のホームでひとりでハシャいでる酔っ払い発見なう、っと……」

    小鳥「…………」

    金髪ツインテ「あ、さっそくELLIEセンパイから……ん? なんか視線を感じるわネ」

    小鳥「……えーっと……あなたたしか、お花屋さんのバイトの……」

    金髪ツインテ「……」



    金髪ツインテ「」ダッ

    小鳥「ちょっちょっと!?」

    235 = 56 :

     
    小鳥「も、もう……!」


    小鳥(で、でもだめね、私ったら。こんなことで、いちいちこんなに舞い上がっちゃって)

    小鳥(お姉さんっぽく、お姉さんっぽく……落ち着きを持って行動しないと)

    小鳥(……でも……)


    小鳥「……ふふっ♪」

    236 = 56 :

     
    小鳥「……よーし! 明日もがんばるぞー!」


    小鳥(……ううん。明日だけ、じゃないですね)

    小鳥(それがいつになるかは、まだわからないけど……)

    小鳥(私たちならきっと……それを、叶えられるはずだから)



    小鳥「……だから、その日まで。ずっと、ずっと……」

    小鳥「いっしょに、がんばっていきましょうね……プロデューサーさんっ!」


    ──────
    ────
    ──

    237 = 155 :

    ピヨピヨ

    238 = 56 :

     
    【翌日、765プロ事務所】

    ガチャッ

    P「おはようございますっ、こと──」

    律子「おはようございまーす」

    P「……律子さん」

    律子「なーに、またさん付けしちゃって。それに、私の名前はことりつこじゃなくて律子ですよ」

    P「あ、あははは! ごめんごめん、ちょっと寝ぼけてたみたいで!」

    P(そうだった……)

    P(今日は、いつもみたいに小鳥さんが事務所を開けるんじゃなくて、律子になっていたんだった)


    律子「しかしまぁ、ふーん……」ニヤニヤ

    P「……なんでしょうか」

    律子「音無さん、じゃなくて、小鳥さんですか。一晩で随分仲良くなったものね~」

    P「い、いいだろ別にっ! 一応もう、了承も取ったんだから!」

    P(あのあと、メールでだけどな……)

    240 = 56 :

     
    ──────
    ────
    ──

    テクテク……

    春香「……ふふっ、そっか……」

    春香「おめでとうございます小鳥さん、私も、とっても嬉しいです……っと」ピピッ

    ──パタンッ

    春香「……あっ! 千早ちゃ~んっ!」

    千早「……? あぁ、はる──」

    春香「って、うあっ、うわわわっ!」

    ドンガラガッシャーン!

    千早「……」

    春香「あいたたた……うぅ~、また転んじゃったぁ~……」

    千早「おはよう、春香。……大丈夫?」

    春香「う、うん……えへへ、私、こういうの慣れてるからねっ!」

    241 = 56 :

     
    千早「はい、これ。落としたわよ」スッ

    春香「あ、携帯……ありがとう」

    千早「……ねぇ、春香」

    春香「どうしたの?」

    千早「今拾うときに、待ち受け画面が見えてしまったんだけど……あれって」

    春香「あうっ! あ、あ……み、見ちゃった?」

    千早「……ええ、ごめんなさい」

    春香「……もう変えるから、小鳥さんには内緒にしてね?」

    千早「それは構わないけど……でもどうして、音無さんに?」

    春香「そりゃあもちろん……私は、ふたりとも、大大大好きだからだよ。えへへ……」

    千早「……そう」

    242 = 56 :

     
    千早「まぁ、春香がそれで良いなら、私は何も言わないけど……」

    春香「えへへっ、いーんです!」

    春香「……あっ! そんなことより、見て見て千早ちゃんっ!」

    千早「え? なに?」

    春香「ほら、向こうから貴音さんと響ちゃんも歩いて──」

    「まぁ……ごきげんよう、ふたりとも」シャララン

    春香千早「「えっ」」

    243 :

    えっ

    244 = 56 :

     
    ──────
    ────
    ──

    P(俺が出勤するのを確認した律子は、『じゃ、あとはお願いします!』と言って外へ行ってしまった)

    P(いま事務所には俺ひとりだけ……はやく小鳥さん来ないかな)

    P(っと、いけないいけない。公私混同してはダメだよな……気をつけないと)


    P「……ふーんふふーん ふふふーんふーん……♪」トントン


    ガチャ……

    高木「……ウォッホン! 今日の君は、随分と上機嫌のようだね」

    P「うわぁっ、しゃ、社長!? すみませんっ、真面目に働きます!」

    高木「いやいいんだよ、まだ女の子達も来ていないようだしね」

    P「あははは……えーっと、おはようございます」

    高木「ああ、おはよう。……うん? しかし、いまの歌はどこかで……」

    P「へ?」

    高木「……もしかしてそれは……『光』か?」

    245 = 56 :

     
    P「確かに、今のはそうですけど……。社長、この歌のことをご存知なんですか?」

    高木「……うむ。しかしそれを説明する前に、だね……君は、どこでそれを?」

    P「こと……じゃなくて、音無さんが歌っているのを、偶然耳にしたんです」

    高木「音無君が……ああ、そうか、そうだったのか……!」

    P「? なんだか、随分と嬉しそうですね」

    高木「はっはっは、嬉しくもなるよ。いや、実に懐かしいねぇ」

    P「懐かしい……? ……というか社長、この歌はオリジナルだと聞きましたが」

    高木「ん? オリジナルだって?」

    P「ええ、音無さんがそう言っていました」

    高木「……なるほど、彼女はそう伝えていたのか。まぁ無理もないかもしれないが」

    P「彼女っていうのは……それは、音無さんのことですか?」

    高木「……いや、ちがう。本来その歌を歌うはずだった、とあるアイドルのことだよ」

    P「あ、アイドル!? それに、歌うはずだった、って……」


    P(あの歌は小鳥さんの母親が考えたもので、もちろん発表もされていないって聞いたけど……違うのか?)

    246 = 56 :

     
    P「…………」

    高木「確かにその歌は、CDにもレコードにもなっていないし、今ではどこにも記録は残っていないだろう」

    高木「だが私は、その歌のことはよく覚えている……」

    高木「……忘れることもできない、と言った方が正しいのかもしれないが」

    P「……それは……一体どうして?」

    高木「はは……それを歌うはずだったアイドルのプロデューサーが、何を隠そうこの私だったのだからね」

    P「えっ!?」


    P(いろいろと驚くことはあるけど……何より、まずこれだ……)

    P(……社長、本当にプロデューサーだったのか……!)

    P(いつも何をしているかわからないから、てっきり適当なことを言っているものかと……)

    247 = 59 :

    社長涙目

    248 = 56 :

     
    P「……高木社長がプロデュースした、アイドル」

    高木「うむ。君も聞いたことがあるかもしれないな。かつて『空』や『花』という歌を歌った歌手のことを」

    P「! まさか、それって……いやでも、名前が……」

    高木「……君が知っているその名前は、彼女の芸名だ。だから、音無君の名前とはなんの関係もない」

    P「あ……そ、そうか……」

    高木「いやはや……世界は、広いように見えて、実はとても狭いのかもしれない」

    高木「私も、初めて彼女の『娘』に出会ったときは目を疑ったものだよ。まるで生き写しのようだったからね」


    ──────────────────────────────────────────────

     ……あの歌は……子守唄なんです

     小さい頃、母が私に歌ってくれた……子守唄

    ──────────────────────────────────────────────


    P(……かつて社長がプロデュースしたという、『空』や『花』を歌ったアイドル……)

    P(そして本来、『光』を歌うはずだったその人が……)

    P(それが、小鳥さんの母親なのか……?)

    249 = 56 :

     
    高木「その歌、『光』はね……彼女が引退前、最後にリリースするはずだった楽曲なのだよ」

    高木「しかし……、それが完成され世に出る直前に、彼女は私の元を去ってしまったのだ」

    P「去ったって……どうしてまた?」

    高木「今でも、はっきりとした理由はわからない。しかし彼女は最後に、私にこう言っていたな……」


    『この歌を歌うのに、今の私はふさわしくありません』


    高木「……彼女は、私の見ていないところで、随分と悩んでいるようだった」

    高木「ははは、今になってこんなことを言っても、もう遅いがね……」

    P「社長……」

    高木「何十年も昔の話だよ。……とにかく、それから私は、色々と考えを改め直すことになった」

    高木「プロデューサーがアイドルの心の支えとなり、二人三脚で様々な困難を乗り越えていく……」

    高木「そうした先に、私が求めるアイドルの理想形があるんだ……とね」

    P「……理想のアイドル……?」

    高木「ああ……私が黒井と袂を分けたのは、ちょうどその頃だったかな」

    250 = 56 :

     
    高木「音無君を初めて見たときは、これが天のめぐり合わせかと思ったものだったが……」

    高木「だが、考えを改めたところで、それを実現するには私は少し年を取りすぎていたようだ」

    高木「もう少し早く、君のような若者に出会っていれば……音無君もあるいはまた……」

    P「……!」

    P(それって……)

    P(社長の言い方だと……、もしかして小鳥さんも……?)


    高木「……いやしかし、君には本当に感謝しているよ。よくぞここまで、アイドル諸君を成長させてくれた」

    P「……いや、まだです。俺達は、まだまだこれから、さらに上を目指していきますよ!」

    高木「おお、そうか!」

    P「もっともっとあの子達を輝かせて、そして……必ずや、みんなまとめてトップアイドルにしてみせます!」

    高木「うむ! やはり君の言葉には、勢いがあって実に頼もしいな!」


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