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    元スレ千早「(声が出なくなった……)」

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    101 :

    頑張れ

    102 = 1 :

    翌日

    -某病院-

    千早「…………」

    千早「…………」

    ――タッタッタッタ

    春香「――千早ちゃん!?」

    律子「千早、大丈夫!?」

    千早「! ……」

    伊織「千早ァ! アンタっ……」

    千早「…………」パサッ トントン

    『如月千早、トップアイドルの夢叶うも一日だけ』

    春香「……ウソでしょ」

    伊織「あ、アンタまさか……」

    千早「………」フルフル

    105 = 1 :

    春香「う、ウソだよね? また千早ちゃんの声聞けるよね?」

    千早「……」スッ カキカキ

    律子「あ……」

     ごめんなさい

    伊織「なんで……なんでアンタが謝んのよ! 悪いのはあのプロデューサーでしょ!?」

    千早「……」フルフル

    ガラッ

    ベテランP「! ……いらしたのですか、伊織様」

    伊織「! ァ……アンタねぇ!!」

    パァンッ!

    ベテランP「……」ヒリヒリ

    伊織「アンタが! アンタが千早に無茶苦茶させたから!! アンタのせいでっ……!?」グイッ

    千早「…………」フルフル

    伊織「なによ……なんでアンタがかばうのよ! アンタ声でなくなっちゃったのに!!」

    106 = 1 :

    ベテランP「伊織様。みなさんも、叱咤は後ほどお伺いします……千早」

    千早「……」

    ベテランP「今、お前は間違いなくトップアイドルだ。君は誰のためにうたっていた?」

    伊織「ちょっと……!」

    律子「シッ。伊織」

    千早「……」カキカキ……

     優の ため

    ベテランP「……。君は……自分を、許せたかい?」

    千早「……」カキカキ……

    春香「……千早ちゃん」

    107 = 1 :

    ベテランP「……」

    千早「……」スッ

     わからない
      もう 私にできる
     ことはありません

    ベテランP「……そうか」

    春香「う……千早ちゃあん!」ガバッ

    千早「! ……」

    ベテランP「……以前、伊織様のおっしゃった噂ですが」

    伊織「!」

    ベテランP「あの話は事実です。私は、自分が指導していた者を……殺したことがあります」

    千早「……!?」

    108 = 1 :

    伊織「アンタやっぱり……!」

    律子「伊織、聞きなさい」

    ベテランP「千早にも話していなかったことだ。今後の活動をどうするかを考えるうえで、きいてくれるといい」

    千早「……」



    ベテランP「――私には娘がいた。ちょうど生きていたときは君たちくらいの年齢だった。もうずいぶん前のことだ」

    ベテランP「彼女はしかし、生まれつき『声』が出なかった。もし彼女がうたえたなら千早のような美しい歌をうたってくれたろう」

    ベテランP「彼女は、ピアノが好きだった。だから、自然と彼女はピアニストとしての道へ進んだ」

    ベテランP「私は、できるだけ生まれつき不自由な娘の希望を叶えたかった。彼女は容姿も美しかったから、声の出せないピアニストタレントとして、芸能事務所に所属することになった」

    ベテランP「そこで私は、自分の娘を精一杯プロデュースした。彼女のピアノには誰もが魅了されていたものだ……私はそれが誇らしかった」

    109 = 62 :

    111 = 1 :

    ベテランP「周囲に期待され、そして成長していく中で彼女はよく言っていた。『もしピアノが弾けなくなったら終わりだね』と」

    ベテランP「……その言葉は、現実になってしまった。彼女は不運な事故で、両腕を失った。それは、彼女が国際コンクールで優勝を果たした直後だった」

    ベテランP「皆、希望を失った。娘は何も、何もできなくなった……誰も彼女に別の道を示すことができなかった」

    ベテランP「その時、彼女の方針を決めなければならなかったのは私だ。父として、プロデューサーとして彼女を支えてやるべき立場の私は……ピアニストの道を絶たれた彼女に、何もさせてやれなかった」

    ベテランP「……それからほどなくして、彼女は自殺した。遺書には、『ごめんなさい』とだけ……」

    ベテランP「世間は私を責めた。娘にプレッシャーを与え、自殺に追い込んだ張本人だと……その通りだ」

    ベテランP「道を……示してやれなかった! 娘さえ救えない自分が一番許せなかった……!」

    ベテランP「……ゆえに私はせめてもの罪滅ぼしと称して、こうして娘ではない誰かの道を示す手助けをしている。だから、私が娘を殺したというのは事実なのです」

    伊織「……」

    112 = 1 :

    ベテランP「つまらぬ話で申し訳ありません伊織様。今回、私が千早を導くなかでこんなことになったのも、私の責任です。水瀬家との契約は切られても仕方ありません」

    伊織「……別に、私は」

    千早「……」カキカキ……

    春香「千早ちゃん……?」

     あなたのせいじゃない

    ベテランP「……」

    伊織「千早……」

    千早「……」カキカキ

     ごめんなさい……
     彼と二人にしてください
     来てくれてありがとう

    律子「……行くわよ、二人とも」

    伊織「でも! ……わかったわ」

    113 = 1 :

    春香「千早ちゃん、またくるからね?」

    千早「……」ニコ

    バタン……

    ベテランP「……」

    千早「……」

    ベテランP「……どうして、神様はこういう仕打ちばかりするんだろうな」

    千早「……」

    ベテランP「私がいけないのか……? 本当に私がいけないのか!? 別れた妻はまだ世間の風評に苦しんでる……! 私は精一杯やってきた! なぜ許されない!? なぜっ……」

    千早「……」

    ベテランP「なぜ……私はこんなにも私を許せないのだろう。すまない千早……お前の声を……奪ってしまったのは」

    千早「……」カキカキ

     ちがう

    114 = 10 :

    もす?

    115 = 1 :

     きっとあなたは
        もう許されてる

    ベテランP「しかし……私は」

    千早「……」カキカキ

     私を救ってくれた

    ベテランP「……違う。君を救ったのは君自身だ」

    千早「……」フルフル

     あなたがいたから
     声が出なくても もういい
     
    ベテランP「……千早」

     次はあなたが救われる番

    千早「……」カキカキ

    ベテランP「……?」

     私 ピアノが 少し弾けます
     次は あなたのために
     うたわせてください

    ベテランP「……っ!」


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