元スレ剣士「大丈夫かい、アンタ」女剣士「なぜ助けたのです?」
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51 = 1 :
女剣士「そのハンマーの中には……子供がいますね?」
剣士「え……?」
首領「正解だ」
首領「このハンマーの巨大な頭部の中には、孤児が一人仕込まれている」
首領「子供とはいえ、ヒト一人を振り回すわけだから並大抵の腕力では扱えぬ」
首領「この二つの刃は、中にいる子供の両腕と連動していてな」
首領「ハンマーの頭部をかわし体勢を崩した敵を、子供が切りつけるという仕組みだ」
首領「素人の攻撃というのは予測がつかず、意外によけにくいという性質も持つしな」
首領「一日一回食事を与えるだけで、回避困難のハンマーを維持できるというわけだ」
首領「仮に戦闘で中の子供が故障しても、代わりなどいくらでもいるしな」ニィッ
剣士「…………」
剣士「ふざけんじゃ」
剣士「ねええええっ!!!」ダッ
首領(やはりな……こういう類の話で怒る男だと予測していた!)
ブワオォンッ!
52 = 1 :
バキャアンッ!
剣士「ぐっ!」
首領(惜しい……だが剣を砕いた! 次は頭を潰してやる!)
女剣士「──私の剣を!」ブンッ
剣士「……サンキュー!」パシッ
首領「なにい!?」
剣士「お前らはもちろん、あの商人にも心底ムカついたが──」
剣士「まずは依頼を果たす……!」
ズバンッ!
ボトッ……
首領「ぎゃああああっ! み、右腕っ……!」
剣士「もう勝負ありだが……一発ブン殴っといてやる」
バキィッ!
首領「ぐはぁっ!」ドザァッ…
剣士「胸糞悪い武器を振り回しやがって……」
53 :
>>1
最近コードブレイカー見ただろ
54 = 1 :
ならず者「こ、こんな……これでは我々の計画が……!」
剣士「オイお前、こいつら一応全員生きてるはずだ」
剣士「とりあえず重傷そうな奴からでも、さっさと運んでとっとと消えろ」
剣士「で、二度とこの武器庫を使っての悪だくみなんて考えるんじゃねぇ」
剣士「分かったな!」ギロッ
ならず者「くうっ……!」ザッ
剣士「オイ、中の子供は無事か?」
女剣士「衰弱していますが、命に別状はなさそうですね」
剣士「そうか……よかった」
少女「うぅっ……」
剣士「女の子だったのか……!」
剣士「おい、もう大丈夫だぞ」
56 = 1 :
女剣士「この子は……どうしましょう?」
女剣士(できれば連れて行ってあげたいのですが……)
女剣士(今の私は、自分の身と生活を守るので精一杯な有様……)
剣士「……俺が何とかしよう」
女剣士「ですが、あなたは大丈夫なのですか?」
剣士「もちろん、ずっと養うってわけにはいかねえが」
剣士「これでも多少は蓄えがあるし、今回の報酬もあるし」
剣士「せめて、この子の身の振り方が見えてくるくらいまではな」
女剣士「…………」
女剣士「あなたは……優しいのですね」
剣士「オイオイ、やっと気づいたのかよ。さ、商人のところに戻ろう」
58 = 1 :
商人の屋敷──
商人「なんと!?」
商人「あのならず者集団を全部倒したのか!?」
剣士「ええ、どうにか」
女剣士「えぐる槍、毒剣、子供が入れられたハンマー」
女剣士「全て撃破いたしました」
商人「おおお……!」
剣士「雇われた身でいうことじゃないかもしれませんが」
剣士「今後は悪趣味な武器の取り扱いは控えることですね」
剣士「特にあのハンマー……あれだけは絶対許せない」
剣士「今後もしあんなものを取り扱ったら、俺はあなたを斬るかもしれない」
商人「わ、分かった……肝に銘じておこう」
59 = 1 :
剣士「ようやく終わったな」
女剣士「えぇ」
剣士「色んな意味でキツイ仕事だったが、アンタと一緒に仕事ができて、楽しかったよ」
剣士「またどこかで縁があったらいいな」
女剣士「…………」
女剣士「私も楽しくない、ということはなかったです」
剣士「回りくどいよ」
剣士「じゃな!」
女剣士「さようなら」
少女「さよ、なら……」
女剣士「お元気で。大丈夫、あの方なら信頼できますから」
60 = 1 :
首領「ぐぅぅぅ……! くそぉぉぉっ!!!」
首領「あと少しだったというのに……まさかこんなことになるとは!」
槍使い「ちくしょう……」
赤目「無念です……!」
首領「だが、まだ手は残っている!」
首領「この敗北が伝わる前に、あの二人を始末してしまえばいい」
赤目「ですが……どうやって?」
赤目「正攻法で敗れた上、あなたは片腕を失い、もう戦えないでしょう」
首領「……方法は考えてある」
首領「オイ、今すぐ奴に連絡を入れろ」
ならず者「はっ!」
61 = 1 :
剣士の小屋──
剣士「今日はいい魚が獲れたぜ」
剣士「どうだ、美味いか?」
少女「うん……」モソモソ
剣士「あれから数日経って、だいぶまともにしゃべれるようになってきたな」
剣士「あんな牢獄よりもひでえ場所に閉じ込められてたんじゃ、なぁ」
少女「こわかった……」グスッ
剣士「あ、悪かった。思い出させちまったな」
剣士(これぐらいしゃべれりゃ、とりあえず生きてくことはできるだろ)
剣士(どっかお手伝いさんでも探してる金持ちでもいりゃいいんだが──)
コンコン
剣士「ん?」
62 :
鬱はやめてくれよ?
63 = 1 :
召使「失礼します」
剣士「なんだ、アンタ」
召使「私は先日あなたを雇った商人の召使です」
剣士「商人が……何の用だ? 仕事は済ませたし、金ももらったはずだが」
召使「詳しいことはなにも……取り急ぎ屋敷まで来ていただけますでしょうか」
剣士「ああ、分かった」
剣士「悪いが、用ができた。お前は留守番しててくれ」
少女「うん……」
64 = 1 :
商人の屋敷──
商人「いやぁ、急な呼び出しですまなかったね」
剣士「いったいなんでしょう?」
商人「実は、追加で依頼したいことができてしまったのだよ」
剣士「はぁ……」
商人「先日君たちが追い払ってくれた、ならず者集団」
商人「彼らが、なんと私に挑戦状を叩きつけてきたのだ!」
剣士「挑戦状……?」
商人「彼らは武器庫から、武器のリストが記載された書類を盗み取っていてね」
商人「それを証拠に、非合法武器の数々を国にバラすというのだ」
商人「そして書類を返して欲しければ──」
商人「一対一の決闘に応じろ、というんだ」
商人「もちろん私には彼らと戦う力はないし、兵隊もいない……」
商人「頼む! もう一度私に力を貸してもらえないだろうか!」
65 = 1 :
剣士(正直この商人とは二度と関わりたくなかったが……)
剣士(こうなったのは、奴らを逃がした俺にも原因がある)
剣士(……仕方ない)
剣士「分かりました、引き受けましょう」
商人「おお、ありがとう!」
剣士「その代わり、というわけではないのですが──」
剣士「例えば家のお手伝いさん、などの仕事の斡旋は可能ですか?」
商人「お手伝いって、まさか君が?」
剣士「いえまさか! 私の知り合いなんですが……仕事を探しているのがいまして」
商人「そのぐらい顔が広い私にとってはワケないことだ」
商人「ただし、話は決闘が済んでから、でいいかね?」
剣士「もちろんです」
剣士(よかった……これであの子の今後は大丈夫そうだな)
66 = 1 :
剣士の小屋──
剣士「明後日、あの商人の依頼で決闘をすることになった」
剣士「相手はお前を武器にしていた連中だ」
少女「けっとう……?」
剣士「心配するな、俺はこれでも強いんだ」
剣士(俺が右腕を奪った首領格が出てくるとは考えにくい……)
剣士(相手はおそらく、槍使いか赤い目の男、だろうな)
少女「うん……」
剣士「あと、この戦いが終わればお前にも仕事を見つけてやれそうだ」
剣士「もう少しで、この汚い小屋から抜け出させてやれるからな!」
少女「うん……」
67 = 1 :
剣士「にしても、あの連中も全く懲りてねえな」
剣士「普通はあんだけやられたら、足を洗うなりなんなりするもんなんだが」
剣士「まあ、たしかにプライドが高そうな連中だったしな……」
少女「あの……」
剣士「ん、どした?」
少女「…………」
シャベッタラ
コロスカラナ
少女「な、なんでもない……」フルフル
剣士「そっか、心配事があったらなんでもいえよ!」
剣士「解決できるかまでは保証できないがな! ハッハッハ!」
少女「…………」
68 = 1 :
二日後──
剣士「そろそろ時間だな」
少女「決闘、どこでやるの……?」
剣士「町をちょっと出たとこにある荒れ地だ」
剣士「あそこも武器庫があった森と同じく、人が通るような場所じゃないしな」
剣士「あ、いっとくけど来るなよ。お前を利用してた連中が勢ぞろいしてるんだからな」
剣士「お前も奴らの顔なんか二度と見たくねえだろ」
少女「うん、でも……」
剣士「どうした?」
少女「……なんでもない」
剣士「夕方には戻るから、その辺にあるパンでも食って待っててくれ」
剣士「んじゃ、行ってくる」ザッ
少女「あ……」
69 = 1 :
荒れ地──
首領「……来たか」
商人「書類は持ってきておるだろうな?」
首領「ちゃんと持ってきてある。もちろん複製もしていない」パサッ…
商人「うむ……たしかに」
首領「では互いに代表者を一人ずつ、出そうではないか」
商人「分かった」
商人「出てきてくれたまえ」
首領「来てくれ」
剣士「とっとと始め──」ザッ
女剣士「早いところ始めま──」ザッ
剣士&女剣士「!!!」
70 = 1 :
剣士「なんで……!」
女剣士「どうしてあなたが……!」
剣士&女剣士「…………」
剣士「──っと、一度仕事を引き受けた以上、こんなことを聞くのは野暮だな」
女剣士「えぇ、そうですね」
女剣士「酒場で対決したばかりの私たちが、次の日には手を組んだのと同様に」
女剣士「共に仕事をした翌日、敵同士にもなりうるのが私たちの稼業です」
剣士「んじゃ、始めるか!」チャッ
女剣士「はい」チャキッ
ビュアッ!
──ガキィンッ!
72 = 29 :
どうなる?
支援
73 = 1 :
キィンッ! ガキンッ! キンッ!
剣士「はっ!」シュッ
キンッ!
女剣士「やりますね」スッ
ギィンッ!
剣士「しっ!」ドシュッ
キィィンッ!
女剣士「させません」シュバッ
キンッ!
ギャリンッ! キンッ! ガキンッ!
剣士(酒場の時とは全然ちがう……!)
女剣士(酒場の時とはまるでちがいますね……)
剣士&女剣士(やはりとてつもなく強い……!)
74 = 1 :
首領「予想通り、実力伯仲……だな」
槍使い「ああ、俺をやった女の方がスピードはあるが」
槍使い「パワーはやはり男が上、といったところか」
赤目「これは我々にとっては好都合ですね」ニィッ
──ギィンッ!
ザッ……
剣士「さすがだな」ハァハァ
女剣士「あなたこそ、前戦った時とは動きがまるでちがいますね」ハァハァ
剣士「だが、いい加減決着をつけねえとな」チャキッ
女剣士「ええ」チャッ
76 :
両者疲れたところを襲うと
77 = 1 :
剣士「勝負ッ!」ダダッ
ビュアッ!
女剣士「参ります」ダッ
ギュオッ!
首領(決まる!)
槍使い(さあ、どっちだ!)
赤目(まあ……どちらでもかまいませんがね)
女剣士(間合いに)
剣士(入った!)
ビュワァッ!
「待ってっ!!!」
78 = 1 :
ピタッ……
剣士「──なんでお前がここに!?」
女剣士「あなたはあの時、ハンマーに入れられていた……」
少女「よかった……間に合った……」ハァハァ
首領「バカな……」
槍使い「なんであのガキが!?」
赤目「まさか保護されていたとは……てっきりあの後野垂れ死にしたものかと……!」
商人(いったい何をしにここへ──まさか!)
少女「その人たちはただの悪者じゃない……現役の兵士なのよ!」
商人「こ……」
少女「商人さんとその人たちは、グルなのっ!」
剣士&女剣士「!」
商人「小娘を殺せぇっ!!!」
首領「かかれぇっ!!!」バッ
79 = 1 :
ワアァァァァァ……! ウオォォォォォ……!
ザシュッ! ビシュッ! ザンッ! ドズッ! ザンッ!
「ぐはぁっ!」ドサッ 「ぐおおっ……!」ドサッ 「がはっ!」ドサッ
商人「くっ……!」
首領「おのれ! あの人数をあっさりと……!」
少女「あたし、あの大きなハンマーに入れられるためにさらわれて」
少女「あの人たちの話、ずっと聞いてたの……」
少女「ごめんなさい……もっと早くに話してれば……」
少女「でもあの人たちにしゃべったら殺すって、脅されてて……ごめんなさい!」
剣士「謝ることなんかねえって」
剣士「ありがとよ」
女剣士「ええ、あなたは何も悪くありませんよ」
女剣士「ですがここは危ないですから、少し下がっていて下さい」
少女「うん……」タタタッ
80 = 1 :
剣士「なんとなく怪しい気はしてたが、まさかつるんでたとはな」
女剣士「えぇ、ですが思い返してみるとたしかに色々とおかしいところがありました」
女剣士「私たちを知りもしないはずのならず者が、私たちを歴戦のコンビといったり」
女剣士「依頼を達成したにもかかわらず、驚くだけで喜ばない依頼人……」
女剣士「前者は単なる思い込み──」
女剣士「後者は自分の武器が敗れたのがショックだったから、と解釈していましたが」
女剣士「前者は私にウソをつかれた商人から」
女剣士「私たちの情報を事前に受け取っていたから起こった勘違い」
女剣士「後者は単純に、商人は私たちに死んで欲しかったから、というわけですね」
81 = 1 :
剣士「──お前らが単なる無法者じゃなく、正規の兵士だとすると話も見えてくる」
剣士「今、王国軍は色々な派閥に分裂してると聞く」
剣士「お前らはその中の一派──」
剣士「非道な武器を使ってでも兵の強化をすべき、みたいな考えの連中ってとこか」
剣士「商人を依頼人にして、次々と傭兵稼業の連中をお前たちに挑ませていたのは」
剣士「上を納得させるには、実績がいるから……ってとこだろ?」
首領「ふん、察しの通り……」
首領「我々はこの商人と手を組み、違法武器を駆使する特殊部隊の設置を訴えていた」
首領「しかし、受け入れてはもらえず、兵士たちの支持も得られず」
首領「我々の一派は王国軍の中でも風前の灯だった」
首領「そこで我々はある条件を提示した。それは──」
首領「“非王国兵である職業戦士100人の首”」
首領「上の連中のほとんどは“兵は王に従うべき”という考えだから」
首領「キサマらのような連中を嫌っている」
首領「俺が出した条件は、快く受け入れてもらえたよ」
82 = 1 :
首領「そしてニセ依頼に釣られてくるバカどもを次々に抹殺し」
首領「100人まであとわずか、というところで……」
首領「キサマら二人に全てを台無しにされた!」
首領「もう少しで最凶の武具を身にまとう最強の兵団が完成したというのに!」
首領「同士討ちをさせてキサマら二人のうち勝った方を仕留める、という作戦も」
首領「その小娘のおかげで台無しになった」
首領「だが、もういい」
首領「俺はこのとおり、右腕を失ってしまったが」
首領「この前よりさらに強力な武器を装備した俺の部下が、この場でキサマらを葬る」
剣士「……無理だな」
剣士「武器に頼り切りじゃ、俺たちには通用しないってことを教えてやるよ」
女剣士「そうですね。彼らとの因縁、ここで決着をつけましょう」
83 = 1 :
槍使い「どぉ~だ、この槍!」ザンッ
槍使い「さらに刃が追加され、もう刺すどころかかするだけで肉をえぐるっ!」ブオンッ
赤目「私の剣も同様です」
赤目「この毒剣に染み込ませた毒の威力は、なんと以前の五倍!」ヒュッ
赤目「しかも、すでに解毒剤は飲んでおりますので自滅を誘う戦法は通じませんよ」ニヤッ
剣士「はぁ~……」
剣士「こいつら、全然分かってねえな」
女剣士「えぇ、あの敗北で目を覚ますどころか、さらにひどい悪夢を見ているようです」
槍使い「ほざくんじゃねえっ!」ダッ
赤目「すぐに毒に侵してあげましょう!」ダッ
84 = 1 :
ヒュンッ! ヒュバッ!
赤目「ハハハ、かわすので精一杯ですか!? ──ですよねえ!」
赤目「なんたって切り傷一つであなたは死ぬのですから!」シュバッ
剣士「…………」ザッ
ボバッ! ブオンッ!
槍使い「今度こそその柔らかい肉をえぐってやるぜ!」
槍使い「オラァッ!」バオッ
女剣士「…………」タンッ
85 :
熱い
87 = 1 :
剣士「毒剣……恐ろしい武器だ」
剣士「たった一撃与えれば必殺必勝が約束されるんだからな」
赤目「ふふふ、私はこの剣で王国軍をより強くしてみせますよ!」ビュンッ
剣士「だが、毒なんざ仕込むまでもなく剣ってのは元々そういうもんだろ」ヒュオッ
ザンッ!
赤目「ん……?」
赤目(急に足が……動かなくなった)チラッ
赤目(あれ……?)
赤目(私の上半身と下半身がずれ、て……る……)ズルッ
ドチャッ……
剣士「同じ一撃狙いとはいえ──」
剣士「切り傷狙いの野郎が、必殺狙いの俺に勝てるわけねえだろ」
88 :
かっこいい
90 = 1 :
槍使い「オラオラオラァッ!」
槍使い「グッチャグチャにしてやるよぉっ!」
ボッ! ブオンッ! ブウンッ!
女剣士「あなたは無駄が多すぎます」ス…
槍使い「あぁ?」
サクッ
女剣士「頸動脈をいただきました」
槍使い「え」ブシュッ
女剣士「さようなら」
槍使い「このア、マ」ブシュウウウ…
ドシャアッ……
女剣士「わざわざ肉をえぐらずとも、急所を的確に狙えば人は死ぬのですから」
91 :
程良く厨2
92 = 88 :
なにこのストーリー神すぐる
93 = 1 :
首領「な……なぜだ!」
首領「先日は敗れはしたが、実力は拮抗していたのになぜこうもあっさり……!」
剣士「俺はなるべく依頼人のご意向に沿うタイプでね」
剣士「こないだは商人から“撃退しろ”“追っ払え”としかいわれてなかったから」
剣士「なるべくお前らを殺さないように戦ってやってたんだよ」
女剣士「奇遇ですね」
女剣士「あの時は私もそのようにしておりました」
剣士「お、やっぱアンタもそうだったのか」
剣士「だが、あの死んだ二人も決して弱くはなかった」
剣士「まともな剣や槍でかかってきてれば、もっとマシな勝負になってただろう」
剣士「悪趣味な武器が……奴らの腕を腐らせたんだ」
95 = 1 :
女剣士「さてと、まずは私から……後始末を始めます」チャッ
首領「!?」ギョッ
首領「おい待て! 俺は丸腰だぞ! しかも右腕を失ってるんだ!」
女剣士「それがなにか?」
首領「俺は正規兵で、しかも王国軍では部隊長の身だ!」
首領「俺を殺せば……つまりは国を敵に回すことになるのだぞ!」
女剣士「それはないでしょうね」
女剣士「違法武器を扱う商人と手を組む兵士など、国にとっては大スキャンダル」
女剣士「表ざたにするはずがありません」
女剣士「もし100人斬りを達成し、あの商人の武器が軍に正式採用されていたら」
女剣士「話は違ったのでしょうが──」
女剣士「今のあなたは、国のお偉方にとっては兵士でもなんでもないのです」
首領「う、うぐぅ……」
96 :
よく考えてるなあ
97 :
何で女剣士はこんな奴らの依頼引き受けたんだよ
98 :
うぐぅわろた
99 :
女剣士「もっとも、仮に国を敵に回すとしても同じことですがね」
女剣士「あなたは“あの商人が改心しようとする自分たちに刺客を差し向けた”」
女剣士「“武器リストと引き換えに見逃して欲しいといっても聞き入れてもらえない”」
女剣士「“片腕では戦えないから、代わりに決闘して欲しい”と」
女剣士「私にウソの依頼をしました」
女剣士「私がもっとも残酷になれるのは、標的を狩る場面でなければ」
女剣士「自分や他人を守る局面、でもありません」
女剣士「依頼人に裏切られた瞬間ですから」
首領「お……おい近づくな、話せば分かる!」
首領「ま、待っ──」
ザシュッ!
ゴロン……
100 = 99 :
剣士「さてと、俺はアンタだ」
商人「あ、あわわ……」ガタガタ
商人「まあ落ちつけ、いくら欲しい!? 金ならいくらでも……!」
剣士「…………」
商人「そうだ、あの気の毒な小娘のために、金が必要だろう!?」
商人「あとで罰は受け入れる! だからこの場は見逃してくれっ! な、頼むっ!」
商人「これは神に誓ってウソじゃない!」
剣士「今度はウソじゃなさそうだな」
剣士「だけど俺も同じなんだ」
商人「へ……?」
剣士「俺が一番気がねなく人を斬れるのは、依頼人にはめられた時なんだよ」
商人「ひ、ひぃぃぃっ!」ダッ
ドズッ!
商人「えげぇ……」
ドチャッ……
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