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    元スレ剣士「大丈夫かい、アンタ」女剣士「なぜ助けたのです?」

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    1 :

    酒場──

    ギャハハハ……! ワイワイ……!

    剣士(さっきの仕事、どうすっかな……)

    剣士(引き受けるべきか、断るべきか……)

    剣士(話を聞いた限り、一人だとちょっとキツイかもな)

    剣士(どっかにそれなりに腕が立つ剣士はいないものか……)チラ…

    「そしたらよぉ~」 「え~マジっすか!?」 「もっと酒持ってこい!」

    剣士(ま、ろくな奴がいないわな)

    剣士(こんな酒場で探す方がおかしいってもんだ)グビッ

    剣士「……ん」

    4 = 1 :

    チンピラ「げへへ、姉ちゃんよ」

    チンピラ「一人でミルク、ツマミにチーズなんて寂しすぎるにも程があんだろ!?」

    チンピラ「どうよ、俺がちょっと付き合ってやろうか!?」

    剣士「結構です」モグモグ…

    剣士「全く寂しくなどありませんし、仮に寂しいとしても──」

    剣士「あなたとご一緒するぐらいなら、寂しい方がマシですから」モグモグ…

    チンピラ「な、な、な……!」

    剣士「分かったら、お引き取り下さい」

    チンピラ「ざけんじゃねえ! このアマ、ブッ殺してやるッ!」

    5 :

    剣士A(さっきの仕事、どうすっかな……)

    剣士B(引き受けるべきか、断るべきか……)

    剣士C(話を聞いた限り、一人だとちょっとキツイかもな)

    剣士D(どっかにそれなりに腕が立つ剣士はいないものか……)チラ…

    「そしたらよぉ~」 「え~マジっすか!?」 「もっと酒持ってこい!」

    剣士E(ま、ろくな奴がいないわな)

    剣士F(こんな酒場で探す方がおかしいってもんだ)グビッ

    剣士G「……ん」

    6 :

    剣士「あ、兄さん、こんなとこで会うなんて奇遇だね」
    チンピラ「おい、お前・・・」
    剣士「また、そんなことしてるんだ、前にわかれた時と全く変わってないね」
    チンピラ「う・・・」
    剣士「母さん心配してたよ、家戻って仕事継げば?」

    7 = 1 :

    剣士「やめとけって」

    チンピラ「あァ!?」

    剣士「なんなら、俺がお付き合いしてやろうか?」

    チンピラ「うるせ──」

    ドシュッ!

    チンピラ「ひっ……!」

    剣士「おおっと……突き合いどころか一発で終わっちまうとこだったな」

    剣士「次は頬をかすめるだけじゃなく、刺しちまうぞ」

    チンピラ「う、ぐっ……! く、くそっ……!」ダッ

    剣士「大丈夫かい、アンタ」

    8 = 1 :

    剣士「なぜ助けたのです?」

    剣士「は?」

    剣士「あの程度の暴漢、私一人でも十分制圧することができました」

    剣士「なのになぜ、余計な手出しをしたのですか?」

    剣士「私が女だからと、侮っているのですか?」

    剣士「いや……そんなんじゃねえって」

    剣士「悪いことしてない奴が一方的に絡まれてんなら、助けるのが人間ってもんだろ」

    剣士「果たして、本当にそうでしょうか」

    剣士「……どういうことだよ」

    9 = 1 :

    剣士「例えばもし、私がぶ厚い鎧をつけた筋骨隆々の大男だったら」

    剣士「あなたは助けましたか?」

    剣士「いや、それは……」

    剣士「でしょう? やはりあなたは私を侮っていたのです」

    剣士「…………」

    剣士「……でもさ」

    剣士「はい?」

    剣士「筋骨隆々の大男に、絡み酒をするチンピラはいねえだろ」

    剣士「…………」

    剣士「…………」

    剣士「……たしかに、そうですね」

    剣士「だろ」

    12 = 1 :

    剣士「…………」

    剣士「なるほど、どうやら舌戦は私の敗北のようです」

    剣士(舌戦ってほどのことでもない気がしたが……)

    剣士「ですが私とて剣士のはしくれ、このままでは収まりがつきません」

    剣士「舌で敗れた一敗、この剣で取り戻すことといたしましょう」チャキッ

    剣士「は?」

    剣士「表に出て下さい」

    剣士「勝負です」

    剣士(コイツ……大人しそうなツラしてえらい好戦的だな……!)

    13 = 1 :

    酒場の外──

    剣士「さて、始めましょうか」

    剣士「剣を使う者同士、正々堂々と戦いましょう」

    剣士(なんでこんなことになってんだ……!?)

    剣士(しかもこの女……)

    剣士(構えで分かる……。実力は間違いなく本物……!)

    剣士「では──」シュッ

    ギィンッ!

    剣士(力はさほどじゃないが、速いっ!)

    キィンッ! ギィンッ! ギンッ!

    剣士「──くうっ!」ギンッ

    剣士「…………」キンッ

    14 = 1 :

    キィンッ! キンッ!

    剣士(くそっ、こっちからも攻めに出たいが……)

    剣士(激しく動いたら酔いが回ってきやがった……! クラクラしやがる!)クラッ

    剣士(しかも女の方はどんどんペースを上げてきたし……ヤバイ!)

    剣士(もうこっちから攻撃なんて絶対無理だ! 絶対斬られる!)

    キンッ! キィンッ!

    剣士(女のスタミナが切れるまで、凌ぎ切れるかっ!?)

    剣士「……なるほど、そういうことですか」スッ

    剣士「やめにしましょう」

    剣士「え?」

    剣士「攻撃に転じず、勝負なしにしようというおつもりですね」

    剣士「あくまでも、あなたは私を侮られているのですね」

    剣士(い、いや違うんだけど)

    15 = 1 :

    剣士「侮られて黙っていられるほど気は長くありませんが」

    剣士「戦意のない者に刃を向け続けるほど、愚かでもありません」

    剣士「先ほどのチンピラへの突き、手加減したものでしょうがかなりの鋭さでした」

    剣士「あなたとは是非とも全力で戦ってみたかったのですが、残念です」

    剣士「さようなら……」ザッ

    剣士(た、助かった……)ホッ

    剣士(でも……なんだか後味悪いな)

    剣士(それに剣の実力は俺に引けを取らない……)

    剣士「待てっ!!!」

    剣士「はい?」クルッ

    剣士「なあ、俺と一仕事やってみないか?」

    剣士「!」

    剣士「俺はアンタを侮ってなんかいないし」

    剣士「ましてや侮ってる奴に、仕事の協力を頼むほどバカじゃねえ……」

    剣士「どうだ?」

    16 :

    面白そう

    17 = 1 :

    剣士「どうだ、といわれても」

    剣士「え?」

    剣士「仕事の内容を聞いてもいないうちから、とても返事などできません」

    剣士「あっ……そ、そりゃそうだよな、悪かった」

    剣士「えぇっと……かいつまんで説明すると、ある商人の商品保管庫が」

    剣士「ならず者集団に占拠されちまったから、追っ払ってくれって依頼なんだ」

    剣士「妙ですね」

    剣士「そんな商売の命運にも関わるような一大事、なぜ国の兵士に頼まないのです?」

    剣士「……実は商人っていうのは、武器商人なんだ」

    剣士「かなり非人道的な、法に違反するような刀剣類も取り扱ってるらしい」

    剣士「国なんかに頼んだら、自分の首を絞めることになりかねないんだ」

    剣士「それでなくとも、今王国軍は無数の派閥ができてゴタついてるって聞くしな」

    剣士「そういうことでしたか」

    18 = 1 :

    剣士「腕自慢が危険な刀剣が山ほどある武器庫を占拠……厄介なのは間違いない」

    剣士「かといってせっかく来た話、断るのももったいない」

    剣士「最近は俺たちみたいな稼業に、国の目も厳しくなってるしな」

    剣士「だから、一緒に戦える心強い相棒が欲しかった」

    剣士「そこにアンタが現れてくれた……」

    剣士「さて、これで俺は話すべきことは話したぜ」

    剣士「もう一度聞こう。どうだ?」

    剣士「いいでしょう」

    剣士「女である私との直接対決を望んでいないあなたに」

    剣士「私の実力を示すいいチャンスでもありますしね」

    剣士(それは誤解なんだが……まあいいや)

    剣士「決まりだな」

    剣士「んじゃあ明日、俺と商人の屋敷に同行してくれ」

    剣士「分かりました」

    20 = 1 :

    商人の屋敷──

    商人「さて約束通り、一晩待ったが、返答はいかがかな?」

    剣士「引き受けましょう」

    商人「おお、ありがとう!」

    剣士「ただし、報酬を二人分用意して欲しいのですが」

    商人「二人分?」

    剣士「はじめまして」

    商人「ほう、女性の剣士とは……珍しい」

    剣士「昨夜酒場で──」

    剣士「この方とは何度も仕事をこなしており、女ではありますが腕は保証いたします」

    商人(二人か……ま、大丈夫だろう)

    商人「分かった。こちらとしても早いところ商売を再開したいのだ」

    商人「奴らを撃退してくれたら、報酬は二人分用意しよう!」

    21 = 1 :

    剣士「首尾よくいったな」

    剣士「でも、なんで俺と何度も仕事をこなしたなんて、ウソをついたんだ?」

    剣士「あの商人は私が女ということで、怪訝な表情をしていました」

    剣士「それでなくとも、昨日今日あなたと知り合った人間に、追加で金を出すほど」

    剣士「商人も甘くはないでしょうから」

    剣士「あ、なるほど……」

    剣士「ウソをつくのは本意ではありませんが、仕事で真実にすればいいだけのこと」

    剣士「さっそくあの商人の武器庫に向かいましょう」

    剣士「武器庫は国の目をくらます意味もあって、町外れの森の奥にある」

    剣士「さっさと行って、とっとと追っ払っちまおう」

    22 = 1 :

    武器庫──

    槍使い「オイ、また商人に雇われたバカが来たぜ」

    槍使い「今回は二人だ」

    赤目「ほぉう、珍しいですね」

    赤目「あの手の野良犬は、たかがならず者退治など一人で十分だと」

    赤目「過信と功名心から単独で動くことが多いのですがね」

    首領「慎重な野良犬も、中にはいるということだ」

    首領「だが、俺たち三人が出るまでもあるまい」

    首領「キサマらでケリをつけろ」

    「はっ!」 「了解しました!」 「必ずや!」

    23 = 1 :

    剣士「おっ、ゾロゾロ出てきやがった」

    剣士「大それたことをしただけあって、一応統率は取れているようですね」

    ならず者「何の用だ?」

    ならず者「まさか俺たちを倒そうなどと、寝言をほざくつもりではあるまいな?」

    剣士「そのつもりだが」

    剣士「あいにく寝てはおりません」

    ならず者「チッ、野良犬風情が……!」

    剣士「ふん、他人の物置を占拠するお前らよりはマシだろ」

    ならず者「あいにくここにある武具の数々は、俺たちの今後に必要なのだ」

    ならず者「明け渡すわけにはいかん」

    剣士「大量の武器で何かよからぬことを企んでいるようですが」

    剣士「私たちがここに来た以上──」

    剣士「あなたたちの野望は、ここで頓挫する運命ということですね」

    24 = 1 :

    ならず者「かかれぇっ!」バッ

    ワアァァァァァ……! ウオォォォォォ……!

    剣士「どいつもこいつも、見たこともない武器で武装してやがる」

    剣士「気をつけろよ」チャキッ

    剣士「今の言葉、そっくりお返しします」チャッ



    キィンッ! ザクッ! ズバッ! ブオンッ! ギインッ!

    ヒュンッ! ドサァッ! ビシュッ! キンッ! ドゴッ!

    25 = 1 :

    武器庫──

    バタンッ!

    ならず者「た、大変ですっ!」

    ならず者「今回の二人組……つ、強すぎます!」

    ならず者「もうすでに30人のうち、20人以上が……」

    槍使い「はぁ? マジかよ!?」

    赤目「おやおや、だらしないですねぇ……」

    首領「なかなか優秀な野良犬のようだな」

    首領「だがいくら強かろうとしょせんは野良犬、駆除される定めにある」チラッ

    槍使い「たしか男女のコンビだよな? 女は俺がもらうぜ」スクッ

    槍使い「一度女の肉にコイツを突き刺してみたかったんだ」

    赤目「では私はもう一人を相手しましょう」スクッ

    赤目「どんな猛者をも一撃で死に至らしめる、この剣でね」

    26 = 11 :

    やべえステキな感じに厨二っぽい

    27 = 1 :

    剣士「ふぅ~……団体さんは片付いたな」

    剣士「倒した人数は私が17、あなたは13、私の方がやや上ですね」

    剣士「ぐっ……」

    剣士「アンタのが剣が速いんだから、当然だろ」

    剣士「ところで、一応全員生かしてるか?」

    剣士「とりあえずは」

    剣士「そろそろ手強いのが出てくる頃合い──」

    槍使い「おうおう、よくもやってくれたな! 次は俺たちが相手だ!」

    赤目「この剣の威力、試させてもらいますよ」

    剣士「……やっぱな」

    剣士「この二人がリーダー格のようですね」

    28 = 1 :

    槍使い「そっちの女、俺のタイプのツラしてやがるぜ」ヒヒッ

    槍使い「コイツを、てめえの柔らかそうな肉に刺したらどうなるかなぁ~?」ブオンッ

    剣士(なんだ、あのデカイ槍は……)

    剣士(しかも先端の刃、刺すってより“刺しえぐる”って感じだな)

    剣士(あんなもんで刺されたら、もし助かっても一生傷は回復しねえだろう)

    剣士「オイ、ヤツとは俺がやる。アンタはあの真っ赤な目をしたのを頼む」

    剣士「槍使いは、私がやります」

    剣士「だが、腕力のある俺の方が、あのデカイ槍には相性がいいし──」

    剣士「私がやります」

    剣士「わ、分かった、分かった」

    剣士「んじゃ、そっちの赤い目の野郎は俺が相手してやるよ」

    赤目「相手……になればいいですがねぇ」

    30 = 1 :

    槍使い「オラオラァッ!」

    ブオンッ! ビュウンッ!

    槍使い「女! てめえの細腕じゃよォ、俺の槍を受けたら剣ごとぶっ飛んじまうぜ!」

    ビュバッ! ブウンッ!

    剣士(口だけではない……)

    剣士(懐に斬り込むには、一工夫いりますね)



    赤目「では、参りますかねぇ」

    ヒュッ……!

    ガキンッ!

    赤目「ほう、私の初太刀を受け止めるとはなかなか……」

    剣士「そっちこそな、ちょっとヒヤッとさせられた」

    剣士「──ん!?」

    31 = 1 :

    グジュグジュ……

    剣士(な、なんだ……!? 俺の剣が……黒く……!?)

    剣士「毒剣か!」

    赤目「おや、博識ですね。野良犬には気づかれまいと侮っていましたよ」

    剣士「博識といっても剣限定、だけどな」

    剣士(特殊な製法で刃に毒を染み込ませ)

    剣士(たとえ敗れても、一太刀浴びせてれば勝者を半月後には死に至らしめるという)

    剣士(いや……俺の剣の腐食具合から見て、そんな生易しい毒じゃねえな)

    剣士(ほんの切り傷でももらったら、一時間と持たず死ぬだろう)

    剣士(あっちのえげつない槍といい……ったく、とんでもねえ依頼人だな)

    赤目「おやおや……冷たそうな汗をかいていますね」

    赤目「理解できたからでしょう? この剣に少しでも斬られれば、死ぬと!」

    シュバァッ!

    32 = 1 :

    ブオンッ! ビュバッ! ボッ!

    槍使い「すばしっこいなァ、オイ!」

    剣士「あなたが遅いだけですよ」

    槍使い「まともに突きを当てるのは、難しそうだ」

    槍使い「だったらァ!」ブンッ

    ドスッ!

    剣士(槍を地面に?)

    槍使い「このえぐるような刃は、こんな使い方もできるんだぜ!?」

    ドバァッ……!

    剣士(槍で土を巻き上げ──視界をっ!)

    槍使い「オラァッ!」ギュルッ

    ドゴォッ!

    剣士「ぐぁ……っ!」ゲホッ

    槍使い「い~い声で鳴くじゃねえか! 次は柄じゃなく、刃をぶち込んでやるぜ!」

    33 = 29 :

    うむ

    34 = 1 :

    槍使い「オラ、もう一丁!」

    ドスッ! ドバァッ……!

    剣士(たしかに私では、土を掘り返し目くらましにするような技は不可能……)

    剣士「ですが」

    剣士「舞い上がった土であれば、私にも利用できます」

    バシッ!

    槍使い(土を弾いた!?)

    パサッ……

    槍使い「あぐぁっ、目に! このアマァ!」

    ブオンッ! ブウンッ! ブァオンッ!

    剣士「そんな大きい槍を、がむしゃらに振り回すものではありませんね」

    剣士「懐ががら空きです」ダッ

    ザシィッ!

    槍使い「うごぉぉ……っ!」ドザァッ

    35 = 1 :

    赤目「どうしました、避けるだけでは勝てませんよ?」ヒュバッ

    赤目「もっとも、受けてしまっても勝てませんがねぇ……」ヒュンッ

    剣士「毒剣……あまりに非人道的なため、現在では製造・流通が禁止されている」

    赤目「おやぁ? 劣勢になったとたん相手の得物を非難とは、情けない」

    剣士「だが、闇に葬られた理由がもうひとつ」

    赤目「は?」

    剣士「そいつは扱いが難しい、諸刃どころじゃねえ剣だってこった!」シュッ

    ガッ!

    赤目(私の持ち手に──蹴り!?)

    サクッ

    剣士「あ~あ、剣が頬をかすめちまったな」

    赤目「ひっ! ──ど、ど、毒がァ! わわわわわっ!?」

    36 = 1 :

    赤目「よ、よ、よくもぉぉぉ!」

    剣士「んなもんに頼ったお前が悪いんだ、諦めろ」

    赤目「くっ!」ジャラジャラ…

    剣士(錠剤……解毒剤か……!? えらく準備がいいな……)

    赤目(これを飲めば──)ゴクン

    赤目「ふぅ……あいにくでしたねぇ、さぁ勝負はここから──」

    ガツンッ!

    赤目「!?」ドサッ

    剣士「戦闘中にお薬……ま、隙だらけだわな」

    赤目「あが、が……」ピクピク

    37 = 29 :

    やるじゃん

    38 = 1 :

    ザッ……!

    剣士&女剣士「!」

    首領「これまで幾人もの野良犬が挑戦してきたが」

    首領「この二人をのしてみせたのは、キサマらが初めてだ」

    首領「さすがは歴戦のコンビといったところか」

    剣士「歴戦ってわけでもないがな……昨日知り合ったばかりだしよ」

    剣士「ようやく親玉のお出ましですか」

    首領「だが、男の方は自慢の剣を毒でだいぶ腐らされ──」

    首領「女の方は槍使いから手痛い一撃をもらっている」

    首領「計画に支障はない」

    首領「この俺が二人まとめて片付けてやる」

    40 :

    格好いい

    41 :

    なんかSAOっぽい

    42 = 1 :

    首領「俺の武器はこれだ」ズンッ

    剣士「巨大ハンマーか」

    剣士(ハンマーの頭部に、刃が二つついてるのが気になる……)

    剣士(アレにも、なにか仕掛けがあるのかもしれねえな)

    剣士「オイ、アイツは俺が相手する」

    剣士「いえ、私がやります」

    剣士「まあ聞け」

    剣士「あのハンマー、絶対になんらかのカラクリがある」

    剣士「もし初見で避けられないようなカラクリだった場合──」

    剣士「性質を見抜ける可能性は、俺よりもアンタのが高いだろう」

    剣士「ここはまず俺にやらせろ。もしやられたら次は頼む」

    剣士「分かりました」

    剣士「…………」

    剣士「気をつけて下さいね」

    剣士「おう」

    43 :

    剣士かっこいい
    俺みたいだな

    44 :

    >>43

    45 = 1 :

    首領「はああああっ!」

    ブオォンッ! ブウゥンッ!

    剣士(あんなでかいハンマーを軽々と……やるな。剣じゃとても受けられねえ)

    剣士(だが斬り込むスキがないわけじゃねえ!)ダッ

    首領「…………」ニヤ

    シュバッ!

    剣士「──つっ!」

    剣士「なんだ!? ハンマーについてる刃が動いた!?」

    首領「そのとおり」

    首領「コイツは……俺が振るうだけでなく、自分で攻撃する機能もあるのだ」

    剣士「自分で攻撃する武器……!?」

    首領「さあ続きだ!」

    ブオォンッ! ブウゥンッ!

    46 :

    首領「俺の武器はこれだ」ズンッ

    剣士「巨大ハンマーか」

    くすっと来た

    47 :

    これは右腕が疼くスレですね
    支援

    48 = 43 :

    せっかくの特性を自分でしゃべっちゃったよ
    見抜こうとしてた女が可哀想

    49 = 1 :

    ブオォンッ!

    剣士(かわす!)サッ

    ザシッ!

    剣士「……ぐっ」

    首領「これで傷五つ」

    首領「俺のハンマーはかわせても、ハンマーの刃まではかわしきれないようだな」

    剣士(くっ、なんでだ……なんであの刃をかわせない!?)

    首領「そして六つ目!」ブオッ

    ザシュッ!

    剣士(しまった──足を!)

    首領「これでもう素早く動けまい……まずは一人!」

    50 = 1 :

    剣士「はあっ!」シュッ

    首領「ぬっ!」ブオッ

    ザシュッ!

    「も、う……や、だ……」

    剣士「ぐっ……!」ドサッ

    剣士(今一瞬聞こえたのは……まさか)ググッ…

    首領「助けに入ったのはいいが、代償は大きかったな。その傷、かなり深いと見た」

    剣士「えぇ……私としたことがうかつでした」ヨロ…

    剣士「すまねぇ、大丈夫か!」

    剣士「大丈夫です……そしておかげで……あのハンマーの秘密が分かりました」

    剣士「!」

    首領「ほう……?」


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