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    元スレ郁乃「末原ちゃん再生計画」

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    1 :


    ~1年前、東京~


    郁乃「あんた、面白い子やね」

    「――」

    2 = 1 :

    アナ「試合終了ー!」

    アナ「インターハイ準決勝、見事に決勝進出を果たしたのは臨海女子と清澄高校!」

    アナ「姫松高校大将の末原選手、一時は2位に躍り出たものの最後は清澄の宮永選手に逆転を許してしまいました」

    アナ「今大会台風の目と言われた有珠山高校の快進撃も残念ながらここまで、健闘しましたが決勝進出はならず!」

    アナ「しかし、お聞き下さいこの喝采を!」

    アナ「素晴らしい闘いを演じた四校に会場から大きな拍手が送られています!」

    アナ「これにより、明後日行われる決勝戦の組み合わせは――」


    臨海「アリガトゴザイマシタ」

    「ありがとうごました」

    有珠山「ありがとうございました」

    恭子「ありがとうございました」

    3 = 1 :

    恭子(……)

    スタスタ

    恭子(届かんかった……)

    恭子(あと一歩やったのに……)

    恭子(いや、そんなん思い上がりも甚だしいか……)

    恭子(一回逆転はしたものの、宮永が靴下脱いでからは結局何もできんかった)

    恭子(それに、一度だけ感じたあのぞっとするような異様な気配)

    恭子(あれは一体何やったんや)

    恭子(てか何やねん靴下脱いだら強なるて)

    恭子(ほんま訳分からんわ……)

    4 = 1 :

    恭子(でも……)

    恭子(これだけは胸張って言える)

    恭子(持てる力は全部出し切った)

    恭子(自分なりに最高の麻雀が打てた)

    恭子(悔しいけど代行のおかげやな……)

    恭子(高校最後の試合であんな化け物相手にこれだけの試合ができたんや)

    恭子(良い思い出になるってもんやで)

    恭子(……)

    5 = 1 :

    ~前日夜~

    トントン

    恭子「失礼します」

    郁乃「いらっしゃ~い、その辺自由に腰かけてくれてええよ」

    恭子「こんな時間にホテルの部屋に呼び出して何のつもりですか?」

    郁乃「いやな、末原ちゃんがあまりに可愛いからちょっとムラムラきてしもて」

    恭子「ほな失礼しました」

    郁乃「うそうそ冗談やんか~、つれへんな~」

    恭子「明日は準決勝でこっちはただでさえ緊張してんのに何言うてるんですか」

    郁乃「まあまあ、話っちゅうのはそのことなんやけど」

    郁乃「宮永咲ちゃんに勝つイメージは湧いた?」

    恭子「今日一日戒能プロに宮永を想定した打ち回ししてもろて段々感じは掴めましたけど……」

    恭子「それでも勝てる自信は正直あんまりないです……」

    6 :

    バラバラになった末原先輩を遺伝子工学の粋を結集し復活させるのかと

    7 = 1 :

    郁乃「末原ちゃんのことやからま~そんな事やろと思たわ」

    郁乃「大丈夫、末原ちゃんは強いんやからもっと堂々としたらええねん」

    恭子「そんな、急に言われても無理です」

    恭子「あんな麻雀されて、一日特訓したぐらいで自信もて言われても……」

    郁乃「それはちゃうで、末原ちゃん」

    恭子「……」

    郁乃「あんたが自信をもつべきなんは今の自分に対してやない」

    郁乃「今までの自分に対してや」

    恭子「……」

    郁乃「名門の姫松高校に入部して、三年間練習に励んで、団体戦の大将に選ばれて」

    郁乃「部員の誰もが末原ちゃんのことを信頼しとる」

    郁乃「もっと自信をもったらええねん」

    恭子「……」

    8 :

    俺得末原先輩スレ

    9 = 1 :

    恭子「大将に選んだのは代行やないですか。私は最初お断りしたはずです」

    郁乃「他に適任者おれへんし」

    恭子「主将でいいじゃないですか」

    郁乃「伝統やら何やらうるさい人が多いんよ」

    恭子「それでも……」

    恭子「やっぱり私には荷が重かったみたいです……」

    郁乃「そんなんじゃあの子に勝てへんで」

    恭子「自信をもったぐらいで何も変わりませんよ……」

    郁乃「そんなことないで。麻雀っちゅうのは精神面が大きく影響する競技や」

    郁乃「心が折れたモンには残酷な結果しか待ってへん」

    10 = 1 :

    郁乃「それは宮永咲ちゃんみたいな魔物と呼ばれる存在と対峙したときはより色濃く反映される」

    郁乃「魔物は人の心に巣食い、弱ったモンの心から容赦なく喰らいついてきよる」

    郁乃「去年うちらが負けた龍門渕の天江衣ちゃんの麻雀なんてまさにそんな感じや」

    恭子「……」

    郁乃「ああいう存在と渡り合うにはまず心を強くもたなあかん」

    恭子「でも、ほんまにそれだけで……」

    郁乃「例えばアマチュア時代にオカルトじみた和了りを連発して騒がれた選手でも、プロになって同じように活躍してるかというとそうでもない」

    郁乃「たとえ歪な能力を持たんでも、麻雀も心も強いモンの前では魔物かてそう簡単に暴れられるわけやない」

    郁乃「もちろん、そんなんものともせーへん気弱な顔した正真正銘の怪物もおるけど」

    11 = 1 :

    恭子「言うてることは分かりますけど……」

    郁乃「そんならもっと具体的な対策も教えとこか」

    郁乃「まず臨海と有珠山の大将、二人とも手強いけど宮永ちゃんほどやない」

    郁乃「基本的に場を支配するんは宮永ちゃんで間違いないわ」

    郁乃「そうなった時に対戦経験のある末原ちゃんは他の二校より優位に試合を進められる」

    恭子「……」

    郁乃「そんで、その宮永ちゃんには二つ弱点がある」

    恭子「えっ」

    郁乃「まず一つはプラマイゼロにするっちゅう能力や」

    恭子「どういうことですか?」

    恭子「あんなえげつない力の何が弱点やと……」

    12 = 1 :

    郁乃「確かに私も最初あの成績を見たときは正直ぞっとしたわ」

    郁乃「でも二回戦の宮永ちゃんの姿から推測するに、あれは余裕があって故意にやってるというより」

    郁乃「あれがあの子の一番得意なスタイルと呼んだほうが近い」

    恭子「スタイル……ですか」

    郁乃「ある程度その範囲は自分なりに設定できるようやけど、開始後数局の点数移動を見れば末原ちゃんならあの子の考えを分析できるはずや」

    郁乃「あんまり複雑なこと考える頭は持ってなさそうやし」

    郁乃「宮永ちゃんの思考を先読みして点数調整を狂わすことができればあの子の心を乱すことができるで」

    恭子「……」

    郁乃「二つ目の弱点は、今言うたように宮永ちゃんはまだ心が脆い」

    郁乃「まず会場でおうたときにガン飛ばしたったらええ」

    恭子「ちょっ、いきなり何言うてるんですか」

    13 :

    しえん

    14 :

    郁末ですか?

    15 = 1 :

    郁乃「私は大真面目やで~」

    郁乃「宮永ちゃんは直接ぶつけられる敵意にすぐ怯んでまうとこがある」

    郁乃「対局中も『あんたのこと警戒してるで』ってわざとアピールするんも効果的やな」

    恭子「ほんまですか、それ……」

    郁乃「まあ何でもやってみたらええ。怯んでくれたら儲けもんや」

    恭子「でも、そんな宮永ばっかに構って大丈夫ですか?」

    郁乃「基本的には今までの末原ちゃんの打ち方でええねん」

    郁乃「それで他の二人は十分対処できるはずや」

    郁乃「そんで、宮永ちゃんにぶつけるんは今日末原ちゃんが手にした新しい力や」

    恭子「新しい力……」

    16 = 1 :

    郁乃「仮想宮永ちゃんの戒能ちゃんと一日中打って身に付けた感覚」

    郁乃「そして、自分は強いんやっていう自信」

    郁乃「この二つを持って宮永ちゃんに臨めば、必ずあの子の麻雀に付け込むことができる」

    恭子「……」

    郁乃「まだ不安?」

    恭子「少しだけ……」

    郁乃「なら最後にこれだけ言うとくで」

    郁乃「私は今まで数えきれんぐらいたっくさんの人の麻雀、人の心を見てきた」

    郁乃「その中でも末原ちゃんはとびきり優秀や」

    恭子「……」

    17 :

    化物を倒すのはいつだって人間だ
    ってことで末原さんには頑張ってもらいたいんだけどなあ

    18 :

    >>17
    しかし最後には化け物に魂を売る末原さん……

    19 = 1 :

    郁乃「常に最悪のケースを想定して行動できる注意力」

    恭子「……」

    郁乃「その場で起こった事象から情報を収集して分析する力」

    恭子「……」

    郁乃「分析した結果から即座に対応する適応力」

    恭子「……」

    郁乃「折れそうでなかなか折れへん心」

    恭子「それ褒めてます?」

    20 = 13 :

    しえんやでー

    21 = 1 :

    郁乃「立派やん、堂々と戦ってきたらええんよ」

    恭子「分かりました。やれるだけやってみます」

    郁乃「あ~そうや、最後にこれも渡しとくわ」

    恭子「何ですかこれ?」

    郁乃「手に入れんの苦労してんで~。参考になるかどうかは微妙やけど」

    恭子「はぁ、それでは失礼します」


    ~~~~

    22 = 1 :

    洋榎「おう恭子、お疲れさん!」

    恭子「主将……」

    由子「お疲れなのよー」

    絹恵「お疲れ様です、末原先輩」

    「先輩めっちゃかっこ良かったですよ!」

    恭子「な、何やみんなして控え室の前で出迎えやなんて」

    恭子「負けたのにみっともないわ」

    洋榎「みっともないなんてそんな事あるかいな」

    23 = 1 :

    洋榎「誰が何と言おうと最高の試合やったで!」

    恭子(アカン)

    由子「そうなのよー」

    恭子(アカンて)

    絹恵「先輩らの分までうちらが来年絶対全国優勝しますんで」

    恭子(そんな言葉)

    「私も末原先輩みたいにもっと強くて頼りがいのある先輩になってみせますんで見といてください!」

    恭子(そんな言葉掛けられたら)


    ドサッ

    24 = 1 :

    洋榎「恭子……」

    恭子「すいません……」ポロポロ

    恭子「私が弱いから……」

    恭子「私のせいで負けてしもて……」

    由子「そんなこと……」

    恭子「ほんますいません……」

    絹恵「そんな、やめて下さい…先輩」

    恭子「もっと洋榎と、由子と、みんなと麻雀したかった……」

    恭子「ほんま、ごめん……」ポロポロ

    洋榎「うちはあんたと麻雀できて、うちらの大将が恭子でほんま良かったと思てる」

    洋榎「せやから胸張って帰ろ、な」

    恭子「うああああああああああああああああああああああああああああ」


    代行(………)

    25 = 1 :

    ~ホテル~


    洋榎「恭子の様子はどうや?」

    由子「だいぶ落ち着いたみたいやけど、食欲ないからごはんはいらないそうなのよー」

    洋榎「そうか」

    絹恵「末原先輩、大丈夫ですかね……?」

    「心配なんで、差し入れ持ってちょっと行ってきます」

    洋榎「やめとき、今は一人にしといたれ」

    「でも……」

    洋榎「責任感強い恭子のことやから今は凹んでるやろうけど」

    洋榎「あいつなら大丈夫や、そんなやわな奴やないで」

    「……分かりました」

    26 :

    咲さんを倒す可能性があるのは末原先輩だけ!

    27 = 1 :

    コンコン

    恭子「……」

    コンコン コンコン

    恭子「……」

    ガチャッ

    郁乃「邪魔するで~」

    恭子「ちょっ!」

    恭子「鍵かかってたはずですけど」

    郁乃「真瀬ちゃんのポケットからちょっと拝借してきて~ん」

    恭子「スリやないですか、それ……」

    郁乃「まあまあ、細かいことは気にせんと」

    恭子「……で、何か用ですか?」

    28 = 1 :

    郁乃「そりゃ~教え子の心のアフターケアしに来たんよ~」

    恭子「……」

    郁乃「どやった?今日の試合」

    恭子「すいませんでした。あれだけ色々してもろたのに、やっぱり私の力不足でした」

    郁乃「相手が相手やし力が及ばんかったんはしゃ~ない」

    郁乃「それでも、やっぱりあんたはようやったよ」

    恭子「……」

    郁乃「昨日は簡単そうにあれこれ言うたけど、ここまで実践できるんは末原ちゃんぐらいしかおれへん」

    恭子「でも、宮永が靴下脱いでからは結局何もできませんでした」

    郁乃「あれは予選決勝で天江衣ちゃんを倒した時に一度見せただけやったからね」

    郁乃「情報も少なかったしどれほどのモンか私でも分からんかった」

    郁乃「さすがにあれはお手上げや」

    29 = 1 :

    恭子「……」

    恭子「一つ、質問してもいいですか?」

    郁乃「何?」

    恭子「何で私を大将にしたんですか?」

    郁乃「昨日も言うたやん、末原ちゃんが一番適任やて」

    恭子「洋榎がおるやないですか」

    郁乃「おねーちゃんはエースやから。エースを中堅に置くんがここの伝統やし」

    恭子「そんな見え見えの嘘はやめてください」

    恭子「代行は伝統とか、ましてや周りの声なんて気にするような人やないでしょう」

    郁乃「……」

    恭子「分かっとったはずです。エースは先鋒に置くんがセオリーみたいに言われてますけど」

    恭子「勝ち進めば進むほど勝敗を直接決する大将戦が一番重要で、それだけ強力な選手が出てくることを」

    郁乃「……」

    30 = 13 :

    しえん

    31 = 1 :

    恭子「何で、洋榎を大将にしなかったんですか?」

    郁乃「確かに、末原ちゃんとおねーちゃんを入れ替えるんがこのチームの一番強い形やろね」

    恭子「それなら何で……」

    郁乃「こんなん言うたら末原ちゃんに嫌われるやろうけど……」

    郁乃「私はこのチームが全国優勝できるとは思ってなかったんよ」

    恭子「なっ…」

    郁乃「おねーちゃんは確かに強い、オカルトじみた能力を持たん打ち手の中では文句なくピカ一や」

    郁乃「それでも、全国大会の終盤で大将戦に出てくるような本物の魔物相手には勝てん」

    郁乃「今日の宮永ちゃん相手におねーちゃんやったら勝てたと思う?」

    恭子「それは……」

    32 = 1 :

    郁乃「そんなとき私みたいなんがどういうこと考えるか、末原ちゃんなら分かるんちゃう?」

    恭子「……」

    郁乃「負けたときの気持ちや」

    郁乃「プレーで引っ張ってきたんはおねーちゃんやけど、実質この部を仕切ってきたんは末原ちゃんや」

    恭子「……」

    郁乃「伝統を崩してまでエースのおねーちゃんを大将に据えて、魔物にやられて敗退するよりも」

    郁乃「みんなをまとめてきた末原ちゃんが大将を務めて、
       強敵相手に全力を出し切るも届かずってシナリオが一番きれいやと思った」

    恭子「……」

    郁乃「みんなが満足して清々しい気分で終われる一番良い形やと思った」

    郁乃「もちろん、誰よりも責任感が強い末原ちゃんが一人苦しむことになるやろうと分かっててや」

    恭子「……」

    33 = 14 :

    鬼畜代行

    34 = 1 :

    郁乃「どや、私のこと嫌いになったやろ」

    恭子「悔しいですけど、私にはそういう考え方分かりますんで……」

    郁乃「それに、末原ちゃんなら大丈夫やとも信じとるで」

    恭子「よう言いますわ」

    郁乃「おねーちゃんらも側におるし」

    恭子「……」

    恭子「最後に、一つだけいいですか?」

    郁乃「ん?」

    恭子「昨日指導してもろたとき、やっぱり負けるんは分かってはったんですか?」

    35 :

    こうゆう黒い考え方好きやわ

    36 = 18 :

    野球部の思い出代打っぽくて、部活の顧問としてはアリだと思う

    37 = 1 :

    郁乃「まあこうなるやろとは思っとった」

    郁乃「それでも、宮永ちゃんの心が想像以上に脆ければ」

    郁乃「万が一勝てる可能性はあるとも考えとった。末原ちゃんもおんなじ気持ちやったんちゃう」

    恭子「ふふ」

    恭子「そうですか」



    郁乃(とりあえずは大丈夫そうやね)

    郁乃(あとはあっちのほうも問題なければええんやけど――)

    38 = 1 :

    ~姫松高校~


    洋榎「おう恭子、これから麻雀部に顔出さへんか?」

    洋榎「由子も呼んどいたし、久しぶりにサンマやろーや」

    恭子「推薦もろてる洋榎と違ってうちは受験生やで」

    洋榎「たまにはえーやんか、息抜きも大事やで」

    恭子「はいはい、準備するからちょい待っててや」

    洋榎「それにしても良かったわ」

    恭子「何が?」

    洋榎「恭子がまた前みたいに名前で呼んでくれるようになって」

    恭子「は?」

    洋榎「うちが主将なってからずっと名前で呼んでくれへんし、部活中はうちにだけ敬語で喋るし」

    洋榎「実を言うとけっこう寂しかったんやで」

    39 = 1 :

    恭子「そ、それはええやんか。部活んときはメリハリつけよ思っただけや」

    洋榎「こんなん言うたらあれやけどあんときは嬉しかったで」

    恭子「あんときて?」

    洋榎「インターハイ準決勝が終わって恭子が控え室に戻ってきたときや」

    恭子「……」

    洋榎「泣きながらうちの名前呼んでくれたやろ。あんとき内心ドキっとしたわ」

    洋榎「ほんま罪な女やで、恭子は」

    恭子「は、恥ずかしいこと思い出させんといて。この話は終いや」

    洋榎「照れんでええって」

    恭子「早く行きますよ、主将」

    洋榎「うわー、ウソやウソ!すまんて恭子!」

    40 = 1 :

    ~麻雀部部室~


    ガラガラ

    洋榎「邪魔するでー」

    「あっ!来てくれたんですか、主将」

    恭子「こら漫ちゃん。洋榎はもう主将やないんやからその呼び方はやめ」

    「す、すいません先輩」

    洋榎「あんたさっき……」

    洋榎「まあ、今の麻雀部の主将は絹やしな」

    絹恵「正直まだムズがゆーてたまらへんわ」

    絹恵「ホンマにうちで良かったんですか?末原先輩」

    恭子「大丈夫やて。絹ちゃんやったら安心してうちらも引退できるわ」

    絹恵「ありがとうございます」

    42 = 1 :

    恭子「まあ、相変わらず頼りにならんのもおるけどな」ギロ

    「ひぃ!」

    洋榎「インターハイ終わって恭子みたいに頼もしなる言うたんはどの口や」ギュイー

    「ひゅ、ひゅいあへん、ほれからがんはりあすんで」

    由子「賑やかなのよー」

    洋榎「おう来たか!」

    洋榎「そんじゃ代行、空いてる卓一つ貸してもろてええですか!?」

    郁乃「もちろん、どうぞ好きに使ってや~」

    43 = 1 :

    ジャラジャラ


    恭子(牌触るんはインターハイ準決勝以来やな)

    ドクドク

    恭子(何や、久しぶりやからて緊張してんのか私は?)

    ドクドク

    ドクドク ドクドク

    ドクドク ドクドク

    恭子(何や、この感じ……)

    44 = 13 :

    おもろい

    45 = 1 :

    恭子「はぁ……はぁ……」

    洋榎「おい恭子、大丈夫か?」

    由子「顔色悪いのよー」

    恭子「はぁ……はぁ……はぁ……!」

    洋榎「恭子!」


    郁乃(………)


    恭子(麻雀が―――)


    恭子(怖い)

    46 :

    急展開

    47 = 1 :

    ~教室~


    洋榎「おう恭子、ちょっとええ?」

    恭子「どないしたん?」

    洋榎「何や放課後うちと恭子二人で監督室に来てくれって代行に頼まれてな」

    恭子「代行に?何やろ」

    洋榎「さあな、そこまでは聞いてへんけど」

    48 = 1 :

    スタスタ

    洋榎「なあ恭子、やっぱりまだ麻雀打つんは怖いんか?」

    恭子「……うん」

    恭子「ネト麻やったら動悸が少し早なるくらいでまだ大丈夫やねんけど」

    恭子「家で一人で牌並べただけでもごっつ胸が苦しなってくんねん……」

    洋榎「最後のあの試合が原因か?」

    恭子「……たぶん」

    恭子(たぶんどころやないわな)

    恭子(麻雀について考えてるとどうしても宮永の姿が心によぎる)

    洋榎「まあこういうんは時間が解決してくれるやろ」

    洋榎「元気なったらまた一緒に打とうや。いつでも待ってるさかい」

    恭子「うん。ありがとう、洋榎……」

    49 = 1 :

    コンコン

    洋榎&恭子「失礼します」

    郁乃「は~い、いらっしゃ~い」

    洋榎「話って何ですか?」

    郁乃「まあまあそう急かさんと」

    郁乃「あれから調子はどうや?末原ちゃん」

    恭子「やっぱりダメですわ……」

    恭子「牌に触ってるだけでも正直しんどいです……」

    郁乃「う~ん」

    洋榎「代行の人脈で何とかならんのですか!?」

    50 = 13 :

    さすが咲さん
    容赦ないぜ


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