私的良スレ書庫
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元スレ穏乃「憧!増水してる川見にいこ!」 憧「濡れるからやだ」
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バタンッ
憧「しず!」
憧「うわあああ、しず、しず!」ギュー
穏乃「く、苦しい」
憧「ほんと心配したんだからね!全く二週間も目を覚まさないから」
玄「穏乃ちゃん」ウルッ
灼「全て解決だね」
宥「またみんなで麻雀できる~」
穏乃「……」
>>52
アコチャー
アコチャー
「あなた、この子の学校の」
赤土「ええ、この子らの顧問を務めています。赤土です。連絡ありがとうございました」
「お話があります……本当は御両親へ報告を優先するべきなのですが、状況が状況なので」
赤土「ええっと、いったい……?」
玄「穏乃ちゃん、何か食べたいものある?一週間もご飯食べてなかったもんね」
穏乃「……」
憧「ほらしず、遠慮いらないから。別にラーメンでも、」
穏乃「……ああ、」
穏乃「私の名前、しずのって言うんだ」
赤土「ええ、この子らの顧問を務めています。赤土です。連絡ありがとうございました」
「お話があります……本当は御両親へ報告を優先するべきなのですが、状況が状況なので」
赤土「ええっと、いったい……?」
玄「穏乃ちゃん、何か食べたいものある?一週間もご飯食べてなかったもんね」
穏乃「……」
憧「ほらしず、遠慮いらないから。別にラーメンでも、」
穏乃「……ああ、」
穏乃「私の名前、しずのって言うんだ」
◇◆◇◆◇◆
灼「憧、学校来てないって。今日で三日目」
玄「そうだよね、親友に敬語使われて名前聞かれたらきついよ」
灼「初めて会ったって顔してたね……」
玄「まさか、誰のことも覚えてないとは……」タハハ…
灼「長期記憶障害、必要最低限は生活ができるみたい」
玄「でも、お箸の持ちかたも忘れてた。記憶を戻す方法ってないのかな」
灼「ものすごく可能性が低い……らしい」
赤土「お、二人ともいるな。宥は?」
玄「今日は予備校行ってます」
赤土「三麻もつまらんし、しずの見舞い行くよ」
灼「憧も呼ぶ?」
赤土「憧はダメだ。もうちょっと落ち着いてから会わせる。それに会いたがらないと思うし」
病院は山の中腹に建っていて、道行く車はほとんどが病院を利用する人たちでした。
春絵さんの車が坂を登っているとき、ちらちら見える白い壁と日光を弾くガラス窓がやけに不気味で、
あそこにいる穏乃ちゃんが自分達とは少しだけ違う存在に思えました。
現実と隔離され、二度と下界には降りれないような厳重な要塞。
私は口には出さないものの、無意識に感じたことがあります。
以前の高鴨穏乃はもうこの世にいないのだと。
死んだ精神は肉体から剥離し、炭酸の泡のように細かく千切れ浮いていき、最後は消えてしまうのです。
憧ちゃんを励ました言葉がまるっきり逆です。私は嘘をついてしまった。
じゃあ、あの体に入ってるのは誰だろう。
高鴨穏乃に似た全く違うなにかでしょうか。
それとも新しく生まれた高鴨穏乃でしょうか。
この問いに答えられるヒトはいるのでしょうか。
私は、
『玄さん。ばいばい』
玄「え?今誰か呼んだ?」
赤土「いや?」
灼「私も何も言ってないよ」
玄「?」
実は賢いけど口が付いてこないせいで支離滅裂になってる玄チャー可愛い
コンコン
「!」
赤土「しず、入るよ」
「どうぞ」
赤土「調子はどう?頭いたいの治った?」
穏乃「食欲もでてきましたし、これといった不自由はないです」
穏乃「ただ、トイレの水の流し方とか髪の毛の洗い方とか覚えていなくて、そのへんちょっと手間取りますね」
赤土「記憶は……全然?」
穏乃「すいません」
玄「穏乃ちゃん。みんなの名前、言える?」
赤土「おい、玄」
穏乃「赤土春絵さん、松実玄さん、鷺森灼さん」
穏乃「マフラーを巻いていたのが玄さんのお姉さんの宥さん」
穏乃「それで、あのツインの子が新子、」
玄「新子憧」
穏乃「……すいません」
玄「……ちょっと、おトイレ行ってきます」
赤土「おい、玄」
穏乃「赤土春絵さん、松実玄さん、鷺森灼さん」
穏乃「マフラーを巻いていたのが玄さんのお姉さんの宥さん」
穏乃「それで、あのツインの子が新子、」
玄「新子憧」
穏乃「……すいません」
玄「……ちょっと、おトイレ行ってきます」
漫画版レジェンドみたいな感じで、玄ちゃんも何かの拍子に映画版ジャイアン化するのかも…
日常生活に支障をきたす程の記憶障害か
大概トイレの流し方とか体が覚えてるんだけど
大概トイレの流し方とか体が覚えてるんだけど
ジャー バシャバシャ
玄「これからどうなっちゃうんだろ」
玄「あ、」
穏乃「玄さん」
玄「どうしたの?トイレ?」
穏乃「玄さんが三人の中で一番長い付き合いだって聞いたので、」
玄「?」
穏乃「以前の私ってどんなやつでした?」
穏乃「玄さんのこと『玄さん』って呼んでました?」
穏乃「好きな食べ物は何でした?口癖はありましたか?」
穏乃「私、こんなに涙もろかった、ですか?」
玄「穏乃ちゃん」
穏乃「怖いんです。みんなの視線が、誰だこいつって感じで、私だって誰なのかわからないのに」
穏乃「誰が知り合いで誰が親で誰が親友かなんて、ぜ、全然覚えてないっ」
玄「落ち着いて」
穏乃「私、誰?」
無意識で抱きしめました。
穏乃ちゃんは苦しげによじれた声を漏らし、私の胸に額を押し付けました。
私は何か慰めにもならないような、から回った言葉を二、三回口走ったと思います。
それでも次第に大きくなる泣き声に無力感を覚えました。
私が何を言おうが何をしようがどうにもならないような気さえして、ただただ綺麗に手入れされた穏乃ちゃんの髪を撫でました。
穏乃ちゃんがそうしてほしいからではなく、不甲斐ない自分を誤魔化すためです。
結局は自分が可愛くて、病的に他人を思うことができない。
私は、憧ちゃんにはなれないのです。
穏乃「誰が知り合いで誰が親で誰が親友かなんて、ぜ、全然覚えてないっ」
玄「落ち着いて」
穏乃「私、誰?」
無意識で抱きしめました。
穏乃ちゃんは苦しげによじれた声を漏らし、私の胸に額を押し付けました。
私は何か慰めにもならないような、から回った言葉を二、三回口走ったと思います。
それでも次第に大きくなる泣き声に無力感を覚えました。
私が何を言おうが何をしようがどうにもならないような気さえして、ただただ綺麗に手入れされた穏乃ちゃんの髪を撫でました。
穏乃ちゃんがそうしてほしいからではなく、不甲斐ない自分を誤魔化すためです。
結局は自分が可愛くて、病的に他人を思うことができない。
私は、憧ちゃんにはなれないのです。
赤土「おかえり」
玄「遅くなりました」
穏乃「……」グスッ
灼「しず」
穏乃「なんで、しょう」
灼「これあげる」
穏乃「小学生マージャン入門?」
赤土「ルールも全然覚えてないんだろ?」
灼「マージャン、私達同じ部だから、学校来れるようになったらすぐ打ちたいし」
穏乃「……」
穏乃「これをやって記憶もどりますか」
赤土「可能性はある」
穏乃「!!」
赤土「お前が記憶を失う前に一番のめり込んでいた趣味だ。過去の行動の反復は治療が進みやすいらしい」
灼「麻雀牌も一応もってきたよ。置いておく?」
穏乃「はい!」
赤土「気長に頑張ろう。よくなりゃ憧も元に戻る」
穏乃「新子さんですか……」
赤土「お前の意識が戻るまで毎日ここを通ってたんだ」
穏乃「でも、新子さんあの日からずっときてないです」
赤土「憧はお前の親友だ」
穏乃「だから私が名前を聞いたとき、あんな顔して……」
赤土「最初は悪い冗談だと思ったみたいだが、――いや、やめようこんな話」
穏乃「赤土さん!私頑張ります!」
赤土「おう」
穏乃「あ、あと頼みたいことが」
灼「麻雀牌も一応もってきたよ。置いておく?」
穏乃「はい!」
赤土「気長に頑張ろう。よくなりゃ憧も元に戻る」
穏乃「新子さんですか……」
赤土「お前の意識が戻るまで毎日ここを通ってたんだ」
穏乃「でも、新子さんあの日からずっときてないです」
赤土「憧はお前の親友だ」
穏乃「だから私が名前を聞いたとき、あんな顔して……」
赤土「最初は悪い冗談だと思ったみたいだが、――いや、やめようこんな話」
穏乃「赤土さん!私頑張ります!」
赤土「おう」
穏乃「あ、あと頼みたいことが」
◇◆◇◆◇◆
望「おーい、憧!そんなとこ登るなー!」
憧「……」
憧母「憧ちゃんどうしちゃったんだろ」
望「うちの御神木に登ったのは、小学生のとき遊びに来たしず以来だよ」
憧母「しずちゃん以来、か」
望「あーこー」
憧「もうちょっといさせて」
望「落ちるなよー」
憧「……」
憧「ここ、遠くまで良く見える」
憧(しずは一体ここで何を見ていたんだろう)
憧「そろそろ学校、行かなきゃ」
二週間後
赤土「退院おめでとう」
玄「おめでとー」
灼「おめでとうしず」
穏乃「ありがとうございます」
赤土「明日から学校来れるんだって?」
穏乃「午前か午後、どちらかにしろって先生に言われてるんで、どっちにしようかなーって」
穏乃「まだリハビリが残ってるし」
玄「じゃ、じゃあ午後! ほら、部活にこれるよ」
灼「先生がよければそっちがいい」
穏乃「そうですね、あとで相談してみます」
穏乃「あ、赤土さん。例の物を」
赤土「ああ、大会のDVDか。ちゃんと持ってきたぞ。ごめんな遅くなって」
玄「どういうこと?」
穏乃「以前の私ってどういうやつなのか、自分で自分を勉強しようと思って」
穏乃「先週から母が持ってきてくれた昔のホームビデオ見てるんですよ」
穏乃「そしたら、いつも、いっつもですよ? 新子さんが映ってるんです」
穏乃「すごい仲良さそうで……。自分に嫉妬しました」
穏乃「あんな友達忘れるなんて、私ってすごいアホですよね」アハハ
穏乃「だから新子さんも、」
赤土「憧だよ。画面の中のお前も『憧』って呼んでいたでしょ?」
赤土「呼び捨てで呼んでやって。それがあいつに対しての謝罪になるはず」
赤土「ついでに私のことはハルエさんって呼んでね」
穏乃「はい、あか――ハルエさん!」
赤土「ごーかく」ニコ
◇◆◇◆◇◆
憧(こんなに学校に来るのつらいなんて思わなかったな)
憧(早く、しず、)
ワイワイ
憧(あれ?隣の教室騒がしいな)
ガラッ
穏乃「!」
穏乃「あ、憧!」
憧「!!っ あんた学校来て大丈夫なの?」
穏乃「うん、無理いって一日行っていいかお願いしてね。先生から許可だしてもらったんだ」
憧「……」
憧「き、記憶は?」
穏乃「……ごめん、まだ全然なんだよね」
こんな展開になるとは思ってなかったな。ネタssかと。
なんにせよとってもすばらです!
なんにせよとってもすばらです!
憧「そうだよね。そんな都合よくないよね。ごめんね変に期待しちゃった」
穏乃「憧」
憧「大丈夫穏乃のせいじゃないから」
憧「私、教室戻るね」
穏乃「え、でも」
憧「ごめん。話しかけてこないで」
穏乃「……」
「なにあれひどくない?」
「友達がやっと学校これたのにね」
穏乃「私は大丈夫だから、ね。だから憧のことは悪く言わないで。おねがい」
「気にしすぎだよー」
穏乃「……憧」
放課後
赤土「今日からまたしずが復活だ。あ、ルール覚えた?」
穏乃「点棒計算とかはまだですけど、とりあえずは役とルールは」
赤土「ならばよし!」
赤土「今日は憧もきてるし、私以外の四人で打ちな」
穏乃「よろしくお願いします」
玄「よろしくー」
灼「よろしく」
憧「……」
穏乃「ええっと、これで和了りかな?」パタ
玄「うんうん! リーツモピンフで1300オールだね」
穏乃「やったー! これでビリじゃなくなった」
玄「ふふふ、まだまだ南二局。勝負はこれからです」←ビリ
憧「おめでと」
穏乃「うん!ありがとう」
憧「……っ、」
穏乃「細かい点棒がないな、あ、あたら――憧、こっちの千点を」
憧「新子さんでいいよ」ニコ
灼「」ゾクッ
穏乃「え、あ、ごめん。でも、これからはさ、下の名前で」
憧「無理しなくていいよ」
憧「高鴨さんは、私にそんなに気を使わなくていいよ」
憧「無理すると体に悪いだろうし、変に気を使われるとこっちも困る」
憧「だから、下の名前で呼ばないで」
穏乃「……けるなよ」プルプル
穏乃「ふっざけんなよ!」
穏乃「あんたは私の親友じゃなかったのかよ!」
穏乃「記憶なくなって、私があんたのこと何一つ覚えてなかったら、そっからただの赤の他人か!」
穏乃「私がどんだけ苦しんでこの三週間過ごしてきたか……っ」
穏乃「何もかもわからない、何が正解で自分は誰なのか」
穏乃「てめえ、見覚えのない人に母親だって名乗られて耐えられんのかよっ」グイ
穏乃「なんとか言え!」
憧「……」
>>1
こんなSS書いてて恥ずかしくないの?
こんなSS書いてて恥ずかしくないの?
穏乃「帰る」
赤土「ちょっと待ってくれしず。こいつは今」
穏乃「もうここにはきません。短い間でしたがありがとうございました」
穏乃「さようなら、新子憧」
バタンッ
憧「ハルエ」
憧「私を死ぬほどボコボコにして」
赤土「そうしたいけどな。そうするとしずが悲しむ」
憧「しずは、もういない」
赤土「あいつはしずだ」
憧「……」
赤土「今日はもう帰りな」
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