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    元スレ岡部「未来へ……か」 鈴羽「リンリーン!」

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    タグ : - Steins;gate + - 岡部 + - 鈴羽 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    1 :

    2010年 8月20日

    ~ラジ館屋上~



    あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!


    岡部「おれは ラジ館屋上で、2036年へと帰還する鈴羽を見送ったと
        思ったら いつのまにか、鈴羽を再び目にしていた」


    な… 何を言っているのか わからねーと思うが。

    おれも 何をされたのか わからなかった…。

    頭がどうにかなりそうだった… 催眠術だとか超スピードだとか。

    そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ。

    もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ…。

    3 :

    世界一かわいいよ

    4 = 1 :

    岡部「おい鈴羽! これは一体どういうこと──」

    鈴羽「話は後にして! 未来が大変なことになってるんだって! だからリンリンの力を借りたいの!」

    岡部「は?」

    鈴羽「いいから早く乗って!」

    岡部「ま、待て! そ、その前に教えろ!」

    鈴羽「だから、待てないんだってば! ほら、行くよリンリン!」 ガシッ

    岡部「だから、そのリンリンというのはなんだーーーーっ!」


    鈴羽は、俺の叫びを華麗にスルー。
    俺は流されるままタイムマシンの中へと連れ込まれる。

    こうして俺は──不本意ながらも──飛ぶこととなった。




    岡部「未来へ……か」

    鈴羽「リンリーン!」                       



    世界線変動率 3.372329%

    6 :

    鈴羽「リンリーン!」

    で満足してもうた

    7 = 1 :

    ~タイムマシン内~



    岡部「これがタイムマシンの内部か、実に興味深い」 キョロキョロ

    鈴羽「起動完了っと」 ポチッ



    鈴羽「2036年へのタイムトラベルは、大体6時間くらいかかるからゆっくりしててよ」

    岡部「2036年……6時間……」

    岡部(意外に時間がかかるな……。
       いやしかし、26年という歳月を跳躍するのだからそれを考えると短いものか)

    鈴羽「リンリーン」

    岡部(まさかダルと由季の仲を取り持つために走り回るだけで終わらず、2036年にまで連れて行かされるとはな)

    岡部(どうやら、俺はこいつにまた振り回されねばならんようだ)
       
    岡部「……」

    岡部(しかしまあ、それも悪くはないかもしれない)

    8 = 1 :

    鈴羽「ねえ、リンリンってば」

    岡部「……だからその呼び方は一体何だ。俺はパンダかなんかか!」

    鈴羽「パンダ? 違う違う。ほら、君さー、前におじさんって呼ぶなって言ったでしょ?」

    岡部「当然だ、俺は決しておじさんではないからな」

    鈴羽「2036年の君を呼び捨てするのも気後れするじゃん?」

    岡部(2036年だと、俺は44か45か。
       確かに18かそこらの小娘に呼び捨てにされるのも……。
       いやしかし──)

    岡部「だからといってリンリンはないだろリィィンリィンは!」

    鈴羽「岡部”倫”太郎のリンと”鈴”羽のリンでリンリン、あはは、かわいいでしょ」

    岡部「かわいくないわっ!」

    岡部(というかそれだと、自分の名前も呼んでいることになるだろ)

    9 = 1 :

    にしても──
    ついさっき帰っていった鈴羽と、随分印象が違う。
    二つのおさげは後ろ側でまとめられており、服装も迷彩色の──まるで軍人のような──服。

    そして、少しだけ憂いを帯びた表情。
    2036年から来たということは、あの”コミケ騒動”の時の鈴羽と変わらないはずだが……。
    それとも世界線が変動したのか?

    俺はその疑問を投げかける。


    鈴羽「違う違う、世界線は変わってない……と思うよ」

    鈴羽「厳密に言えば、タイムマシンに乗って時間跳躍した際にわずかに変動するんだけど、それは誤差みたいなものだから」

    鈴羽「あたしは2010年8月20日から2036年8月20日に帰還して、一ヶ月経過した後」

    鈴羽「つまり2036年9月20日から来た阿万音鈴羽……っと今は橋田鈴羽で問題ないのかな」

    岡部「ほう……だからさっき俺がラジ館の屋上にいることも分かったわけだ」

    鈴羽「そうそう、さすが察しがいいね」

    10 = 1 :

    鈴羽「んで、このおさげは、その……オシャレみたいなもの、かな」

    岡部「オシャレ?」

    鈴羽「2036年に帰還した翌日、リンリンが会いに来てくれてさ……」

    岡部(早速会いに行ったのか、未来の俺)

    鈴羽「それで……」

    岡部「それで?」


    鈴羽は頭をポリポリとかく。
    これは照れている証拠だ。


    鈴羽「……い、いきなりギュって」

    岡部「ギュ?」

    岡部(俺が鈴羽の髪をギュ?)

    11 = 1 :

    鈴羽「そ、その……ダキッて……」

    岡部「ダキ?」

    岡部(俺が鈴羽の髪をダキ……唾棄?)

    岡部「おい、さっぱり分からんぞ」

    鈴羽「……ええとその……」

    鈴羽「だ、抱きしめられちゃった」

    岡部「は?」

    鈴羽「い、いきなりリンリンにギュって! ダキって! 抱きしめられちゃったんだってばっ」

    岡部「なんだとぅ!?」

    鈴羽「会うなりいきなりだよ? もうびっくりしたんだからー」

    鈴羽「だから、その……あたしも頑張ってみようかなーって思って、髪型変えてみたり、お化粧勉強してみたり……」 ボソボソ

    岡部(なんてこった……)

    13 = 1 :

    岡部(傍から見れば、ただのロリコンオヤジではないか。
       しかも相手は友人の娘、なんてことをしてくれる、未来の俺)

    鈴羽「あぁもう! こんなことリンリンにも話してないのに!」


    頭をかく速度があがる。
    おい、そんなにかくとハゲるぞ。


    鈴羽「まっ、あたしとリンリンの仲が良いこと、父さんは複雑に感じてるみたいだけどさ」

    岡部(そりゃそうだ、ダルにしてみれば、父親のポジションを取られたと感じてるに違いない)

    岡部(そう……だよな?)

    14 :

    いい

    15 = 1 :

    岡部「で? その服はなんだ? 戦争にでも行く気かお前は」

    鈴羽「……」

    岡部「……?」

    岡部(まずい、地雷を踏んだか?
       いやいやいや、でも突っ込まざるを得ないだろ)

    岡部「…………」

    岡部「ふ……む」

    岡部「そのおさげ! 中々似合ってるではないかブァイト戦士よ!」

    鈴羽「えっ?」

    岡部「しかし、さながらポンデリングを二つに割って装着したかのような髪型だなこの、スイーツめっ!」

    鈴羽「ポッ、ポンデェ!? な、なにおうー!」

    岡部「……」

    岡部「ククッ、甘い、甘いぞバイト戦士。貴様はドーナツのように甘々だ!」

    鈴羽「な、なんなのさ……いきなり」

    岡部「未来のことを話すのは禁則事項、そうだったな」

    16 = 1 :

    岡部「しかし、俺は2036年でもミズドが健在だということを察した!」


                 サイズハング
    岡部「これぞ我が能力【カマかけ】! いいか、俺は全てお見通しなのだフゥーハハハ」


         カラーリングジェントルマン     サイズハング
    岡部(【顔色窺いは大人のたしなみ】からの【カマかけ】の禁断コンボ、相手は死ぬ)

    岡部「だから……遠慮などしていないで話すがいい」

    岡部(もっとも、これから未来に降り立つのだから、禁則事項もクソもないのだがな)

    岡部「ちなみに俺はポンデリングは嫌いではないぞ」

    鈴羽「ぷっ……」

    18 = 1 :

    鈴羽「あは、あはは……」

    岡部「む……」

    鈴羽「やっぱり君って優しいね」

    岡部「や、優しさなどではない! 俺に隠し事は無意味だということだ!」

    鈴羽「そうだよね、話さないわけには……いかないよね」


    そう言って鈴羽はうつむく。

    やはりこいつ、強がっていたか。
    明るく振舞おうとしてたようだがこの鳳凰院凶真の目は欺けない。


    鈴羽「この服は……戦闘服」

    岡部(せんとう? せんとう……銭湯?)

    鈴羽「あたしたちタイムトラベラーの任務は、ロストテクノロジーを回収するため……前にそう言ったよね?」

    岡部「あぁ……覚えている」

    19 :

    ひよれんでは欲求不満だったのでイチャイチャ頼む

    20 = 1 :

    鈴羽「でさ、時代と場所によっては、危険なミッションとなり得るから特殊な訓練を積んでいるわけ」

    鈴羽「装備もある程度充実した物を支給される。それがこの服とか、その他諸々」

    鈴羽「見てくれはただの迷彩服だけど、結構性能いいんだ」

    岡部「ふむ……」

    岡部(実際過去へタイムトラベルするとなると、色々な問題が出てくるのだろうな……)

    岡部(そういった問題を解消しつつミッションを遂行するには──
       質のいい装備とよく訓練されたベトコン……じゃない、エージェントでなくてはならないと言うわけか)

    鈴羽「で、ここからが本題」

    鈴羽「2036年9月20日に……つまりあたしたちがこれから飛ぼうとしてる日に」

    鈴羽「父さんと君が……誘拐された」

    岡部「な……に?」

    21 = 1 :

    岡部(ゆうかい? ゆうかい……融解!?)

    岡部(銭湯で融解!? 俺とダルが融ける!? しかも尊敬語!?)

    岡部(ってアホか俺は、戦闘と誘拐に決まっているだろ)

    岡部「それは……本当なのか?」

    鈴羽「嘘言ってどうするのさ」

    岡部「だが、大の大人を誘拐などと……」

    鈴羽「……タイムマシン」

    鈴羽「犯人は、二人とタイムマシンとを引き換え……そう要求してきたんだよ」

    鈴羽「……許せない、父さんたちが頑張って作り上げたタイムマシンをこんな卑怯な手で……」

    岡部(そうか……タイムマシンの存在)

    岡部(時間を支配することは世界を支配することだって難しくないかもしれない)

    岡部(それを考えれば、研究者をとっ捕まえて研究させ……いや、完成されているのであればタイムマシンを横取りの方が早い……か)

    22 = 1 :

    鈴羽「タイムマシンの存在は、父さんや君を含めて、ごく一部の人間にしか知られてないのに……」

    岡部「となると……犯人はかなり絞られるのでは?」

    鈴羽「それが……あたしも開発に関わってた人全員と面識があった訳じゃないんだ」

    鈴羽「相手がタイムマシンを要求してきてる以上、警察とかに頼ることもできないし……」

    岡部「なるほど、確かにいたずらと思われても仕方ないだろうな」

    岡部「……そうだ、誘拐について紅莉栖は何と言っている?」

    岡部(あいつはタイムマシンに関して否定的ではある。
       しかし、好奇心旺盛の実験大好きっ子。
       俺たちがタイムマシンの開発をしているのであれば、あいつも俺たちの近くで開発に関わっているはず)


    鈴羽「えー……えっとそれが……」


    ばつが悪そうに目を泳がす鈴羽。
    おい、なんだよ。

    23 = 1 :

    鈴羽「つ、つまり……その……」


    しどろもどろ。


    岡部「三行にまとめると──」

    岡部「由季から俺達が誘拐されたことを聞く。
       頭が真っ白になる。
       気づいたらタイムマシンに乗っていた」

    鈴羽「あ、あはは……」

    岡部「……これでいいか?」

    鈴羽「う、うん……」

    岡部「お前、本当に特殊な訓練を受けたのかっ!?」

    鈴羽「だ、だってー、二人が誘拐されたって聞いて、拷問とかされたんじゃないかって思ったらいてもたってもいられなくって……」

    岡部(うっ、拷問か……なくはないな)

    岡部(タイムマシンのために誘拐までする犯人だ、情報を吐かせるためには拷問もためらわないだろう)

    鈴羽「そ、それに! 困ったらいつでも俺を頼れ、って言ったのはリンリンでしょー!?」

    岡部「いや、言っとらんわ!」

    24 = 1 :

    岡部「くっ…………それで? 紅莉栖は開発には携わっているのか?」

    鈴羽「……一応ね」

    岡部「一応?」

    岡部(紅莉栖ならばタイムマシン開発の中心にいてもおかしくない、そう思ったのだが)

    鈴羽「タイムトラベル理論に関しては、リンリンの功績が大きい。父さんはそう言ってた」

    岡部「…………」

    岡部(ほう……)

    岡部(ほぉおぅ……」

    岡部「……」

    鈴羽「?」

    岡部「ククク……ははは、ふはは」

    25 = 1 :

    岡部「フゥーハハハッ!」

    鈴羽「えっ?」

    岡部(さすがは鳳凰院凶真、SERNはおろか、あの天才少女・牧瀬紅莉栖すらも出しぬいたというのか!)

    鈴羽「リ、リンリン?」

    岡部「リンリンではなぁい! 俺は! 鳳凰院凶真だっ! フゥーハハハ!!」

    岡部(紅莉栖に話を聞くのは、2036年に着いてからでも遅くはあるまい)

    岡部(今は未来の情報、主にタイムマシンの情報を、少しでも聞きだしておくとしよう)



    岡部(待っていろ未来の俺、この灰色の脳細胞を持つ鳳凰院凶真が貴様を華麗に救出してくれるわフゥーハハハ!!)

    26 :

    誘拐直前にとべばよかったのに

    支援

    27 = 1 :

    2036年 9月20日



    鈴羽「着いたよ」

    岡部「ここが……」

    鈴羽「そう、2036年の秋葉原」

    岡部「ってラジ館の屋上に出るんじゃなかったのか? ここはどこかの研究室のようだが」

    鈴羽「何言ってんのさ……って、あぁそっか」

    鈴羽「ラジ館は一度建て直されてるんだよ、ここは新ラジ館9階」

    岡部「な、なるほど、つまりこの場所は旧ラジ館の屋上に当たる、というわけか」

    鈴羽「そういうこと、ちなみに今は10階まである」

    岡部「この一室を借りてタイムマシン研究というわけか、しかし……元が屋上なだけあって広いな、ラボとは比べ物にならん」

    鈴羽「違う違う、ラジ館自体君の会社のものらしいよ」

    岡部「は?」

    岡部(どれだけ儲かってるんだうちの会社)

    29 = 1 :

    岡部「ん? 何してるんだ?」

    鈴羽「ちょっとね」


    鈴羽がタイムマシン外部に取り付けられたパネルを操作すると──


    岡部「た、タイムマシンが消えたっ!?」

    鈴羽「消えた訳じゃないよ、透過処理ってやつ? なんていったかな、未来ガジェットの……」

    鈴羽「そうそう、攻殻機動迷彩ボール! あれの技術を応用したって言ってたかな」

    鈴羽「全体を覆うように取り付けられたモニタと、そのモニタの直角且つ外側を向くように取り付けられた超小型C-MOSカメラ」

    鈴羽「それによる、擬似的光学迷彩って感じ、詳しいことは分かんないけど」

    岡部「空間移動のできないタイムマシン故にカモフラージュが必要、というわけか」

    鈴羽「……機密性はできるだけ高くしないとね、でないと悪い奴らに利用──」

    鈴羽「……っ」

    岡部「…………」

    30 = 1 :

    鈴羽「そ、そうだ!」

    岡部「……ん?」

    鈴羽「い、一応さー。何かあった時のために、指紋認証からパスコード認証に変えとくねっ、パスは──」

    岡部「……」

    鈴羽「……メ、メモ……わ、渡しとくね……”ま、万が一の時”のために……」

    岡部(泥沼……)

    31 = 1 :

    岡部「あー、それで犯人は何と言ってきている?」

    鈴羽「そ、それがその……」

    鈴羽「母さんから誘拐の話を聞いてすぐ飛び出してきちゃったから、詳しいことは何も……」

    岡部(……まじか)

    岡部「……そう言えば、移動のできないこのタイムマシンで少しだけ過去に戻るとどうなるのだ?」

    岡部(VGLシステムによって同じ空間座標にタイムトラベルしたら、飛んだ先には当然タイムマシンがあるはず)


    俺の脳裏に、タイムマシンがめり込んだラジ館の光景が浮かんでくる。


    鈴羽「当然の疑問だよね。でも大丈夫。VGLシステムで計算する空間座標処理にほんの少し手を加えればいいんだよ」

    鈴羽「今のコンピューターの処理能力なら難しいことじゃないんだ」

    岡部「となれば、数時間前に飛んで由季の話を──いや、誘拐を阻止すれば!」

    鈴羽「だめだよ……近い過去や未来に飛ぶことは禁止されてるんだ」

    岡部「……? なぜだ」

    32 = 1 :

    鈴羽「数時間前に飛んだら、当然その時間軸にもあたしがいる」

    鈴羽「万が一あたしがあたしに接触してしまうと、深刻なタイムパラドックスが生じる可能性がある、父さんはそう言ってた」

    鈴羽「何が起こるかは、不明……」

    鈴羽「もしかしたらあたしという存在は世界に消されてしまうかもしれない……」

    鈴羽「いや、あたしが存在する世界すら崩壊するかもしれない……」

    鈴羽「だからあたしが生まれる2017年以降の過去に飛ぶことはできないんだ……」

    岡部(2017年以降の過去……変な言葉だ)

    鈴羽「あたしみたいな若年者がタイムトラベラーに選ばれるのもそういった理由もあるんだ」

    岡部「だから2010年に飛んで、俺に助けを求めてきたというわけか」

    鈴羽「うん……」

    岡部(ってちょっと待て)

    33 = 1 :

    岡部(この時代の俺はまだ生きてるわけだろ? その俺と今の俺が接触したらどうなるんだ?)

    岡部(パラドックスが生まれるのでは?)


    その疑問をぶつけてみる。


    鈴羽「あ、あはは……」

    鈴羽「もうダメダメだ……あたしは戦士失格だね……」

    岡部(特殊な訓練とはいったい……うごごご!)

    鈴羽「ど、どうしよう……」

    鈴羽「……」 ジワッ

    34 = 1 :

    岡部「……」

    岡部(やれやれ……世話のやける)

    岡部「…………フフフ、フハハ」

    岡部「フゥーッハハハ!」

    鈴羽「リ、リンリン?」

    岡部「らしくないなバイト戦士ぃ! 貴様にはっ! 俺というブレェェェンがついているではないかっ!」

    岡部「一流の戦士である貴様とこの俺が組めば、怖いものなどありはしないのだっ!」

    岡部「パラドックス? その程度の問題など些細な事──」

    岡部「いや、むしろ犯人にハンデを持たせてやらねばなっ」

    岡部「卑怯な犯人の野望なぞっ! この狂気のマッドサイエンティスト鳳凰院凶真が打ち砕いてやるっ!」

    岡部「フゥーハッハッハッ!!」

    鈴羽「……」

    岡部「……だが、当然貴様にも動いてもらわねばならん。俺は頭脳労働向きなのだからな」

    36 = 1 :

    鈴羽「…………」

    鈴羽「……リンリンに励まされてばっかだなぁ。そうだね、あたしもしっかりしないと」

    岡部「だから、リンリンではなぁぁい!」

    鈴羽「分かったよ岡部倫太郎。必ず二人を救出しようね!」

    岡部(いつもの鈴羽に戻ってくれたようだな)

    岡部「あぁ……そのためにもまず由季の話を聞かねばな。どこにいるのだ?」

    鈴羽「母さんなら、旧ラボにいるはず」

    岡部「旧ラボ? 大檜山ビルのラボのことか?」

    鈴羽「そうだよ」

    岡部「まだあったのか」

    鈴羽「みんなの思い出の場所だからね」


    岡部(ラボか……。そういえばミスターブラウンは健在なんだろうか。
       60も近いはずだが)

    37 = 1 :

    ────
    ───
    ──


    外に出てみると9月の終わりにしてはやや不快な熱気と、どんよりとした鈍色の空が俺たちを待ち受けていた。
    今にも一雨きそうである。


    岡部「街並み自体はあまり変わらないな。相変わらずの趣都といった感じだ」


    もっとも、割合中年が増えた印象。
    オタク連中も高齢化とは。

    たたかわなくちゃ、げんじつと。


     ブロロー


    岡部「2036年でも変わらず、車は走っているのだな」

    鈴羽「? 当たり前じゃん」

    岡部(車もしばらく空を走る予定はなさそうだ)

    38 = 1 :

    ────
    ───
    ──


    ~大檜山ビル前~



    鈴羽「さ、着いたよ」

    岡部(うん……ボロい。よく生き残ってこれたな大檜山ビル)


    ブラウン管工房は、相変わらず健在だった。
    店内には2010年以上に暇を持て余していたミスターブラウンと思わしき人物の姿がある。
    年をとったせいだろうか、少し線が細くなったような気がした。
    とはいえ元気そうで何よりだ。

    少し安心しつつ、俺たちはラボへと急ぐ。
    今は彼と話をしている場合ではない。

    39 = 1 :

    ~ラボ~

     ガチャリ

    岡部「おぉ……」

    鈴羽「どう? 26年後のラボは」

    岡部「家具などは変わっているようだが……配置はあまり変えていないのだな」

    岡部「それに小奇麗にしていると言った印象だ」

    鈴羽「今でも母さんやあたしはお邪魔させてもらってるし」

    岡部「そうなのか……しかし、由季はどこにいった? いないようだが」

    鈴羽「おっかしいなー、あたしがラボを飛び出してから、そんなに時間は経ってないはずなんだけど」

    鈴羽「母さーん、どこー?」


    開発室やシャワールームを探しに行く鈴羽をよそに、俺はラボ内を見渡していた。
    ふと棚に、ラボに似つかわしくない見慣れぬ物が──

    おい……これって……。
    間違いない、某修羅の国でたびたび問題視される”あれ”だ。

    棚の隅で怪しい光を放つ、卵ほどの大きさのそれを見て、背筋が寒くなる。

    40 :

    さるくらうぞ

    41 :

    鈴羽は可愛いなあ!!!!

    42 = 40 :

    TENGAだな

    43 = 1 :

    鈴羽「だめ、母さんどこにもいないや」

    岡部「お、おいっ……鈴羽、これって……しゅ……しゅりゅ……」

    鈴羽「ん? どうしたの?」

    岡部「今の日本ではこんなもの所持するのが許されるのかっ? 世紀末なのかっ? ヒャッハーなのかっ!?」

    鈴羽「あぁ、これのこと?」

    岡部「ば、ばかやめろ! 持つな! 爆発でもしたらどうするっ!」

    鈴羽「大丈夫だってば」 ポン ポン

    岡部「よ、よせ! 乱暴に扱うな!」

    鈴羽「それより……どうしよう……母さん見当たらない……」

    岡部「それよりって……」

    岡部(2036年の日本は修羅の国に実効支配された模様、ご了承ください)

    44 = 1 :

    鈴羽「もしかして一人で……? そんな!」

    岡部「お、落ち着け、まだそうと決まったわけでは……」

    岡部(そんな物を持ちながら取り乱さないでほしい、というか一旦置け!)

    岡部「……なぁ、俺と親しい人間にも犯人から連絡が来ている可能性は?」

    鈴羽「え?」

    岡部「考えてもみろ、お前や由季はダルの家族だ、家族となれば人質としての効果は十分」

    岡部「となれば……その、俺の家族とかにも接触があってもおかしくは……」

    岡部(未来のことについて、詳しく聞くつもりはないが、が今はそんなことを言ってる場合ではない)

    岡部(少しでも事件の真相に近づかなくては)

    鈴羽「その……あたしもついひと月前に再会したばっかだから、未来の君についての詳細は知らないんだよね」

    岡部「そうか……」

    鈴羽「こ……恋人はいたって話だけど……」

    岡部「恋人っ!?」

    45 :

    しえん

    46 = 1 :

    岡部(誰だ、誰なんだ)

    岡部「な、なあおい……そ、それは一体誰なのだ……?」

    岡部(……聞きたいような聞きたくないような)

    鈴羽「そんなこと、あたしが知るわけ無いじゃん」

    鈴羽「誰だか知らないけど、とある女の人とかーなり親密な関係なんだってさ!」

    岡部「なぜふてくされる!」

    鈴羽「この~、あたしというものがありながら~……」

    岡部「ま、待て、何の話だ!」

    鈴羽「忘れたとは言わせないよ! あんなことしておきながら!」

    岡部「わ、忘れるも何も、俺はまだ知覚すらしていないはずだがっ!!」

    鈴羽「むー……」 ジロリ

    岡部「……っ」

    岡部(ヤバい、一体何をしてくれたんだ、未来の俺)

    47 = 1 :

    岡部(このままじゃ爆殺されかねん!)

    岡部「え、えっと、そのっ……あ、謝る! 謝るから!」

    鈴羽「……」

    鈴羽「……あっはは、ごめんごめん」

    岡部「へっ?」

    鈴羽「冗談だよ、冗談。君があんまり動揺してたからさ」

    岡部「き、貴様……この俺にサイズハングを……」

    岡部(じょ、冗談か……)

    岡部(どうやらふざける余裕くらいは出てきたようだな──ってどこからどこまでが冗談なんだ?)

    鈴羽「ともかく、恋人に関してはさ、父さんと母さんが話してるのを聞いただけだからあたしは知らないんだ」

    岡部(恋人がいたっていうのは本当だったのか。
       よかった、魔法使いにクラスチェンジしていたらどうしようかと……)

    岡部(しかし……とある女……一体誰なんだ……? まゆり? もしかして紅莉栖?)

    岡部「そ、そうだ! 紅莉栖! 紅莉栖に連絡を取ってみるんだ」

    48 :

    昨日から見てる
    しえん

    49 = 1 :

    鈴羽「っと、そ、そうだよね、今はこんなことしてる場合じゃないや」

     ツー

    鈴羽「…………」

    鈴羽「だめ、出ないや……」

    鈴羽「母さんの携帯にもかけてみたけど、だめだった……」

    岡部「くっ、こんな時に何をやっているんだ」

    鈴羽「──!」

    鈴羽「しっ……誰か……登ってくる」

    岡部「何も聞こえないが……」

    鈴羽「あたしには聞こえる」

    岡部「由季が戻ってきたのでは?」

    鈴羽「母さんなら足音を消して登ってきたりしないよ」

    鈴羽「……隠れよう」



    開発室の奥で、俺たちは息を殺し、じっと身を潜める。
    カチャリ、扉が静かに開けられた。

    50 = 1 :

    一呼吸開け、何者かが入ってくる。そんな気配を感じ取る。
    頬を流れる汗は暑さのせいだけじゃないだろう。


    ──「橋田鈴羽、隠れているのは分かっている。大人しく出てこい。それと白衣の男もだ」


    聞きなれないドスの聞いた男の声。しかも俺たちの存在はバレている。
    どうする?
    出ていっても大丈夫なのか?
    何者だ?


    ──「タイムマシンについて話をしよう」


    こいつ──


    鈴羽「出ていくしか……ないみたいだね」


    鈴羽は開発室から出る。それに俺も続く。
    男は黒のスーツに身を包み、サングラスをかけていた。
    その右手には拳銃。
    ピリピリと伝わってくる殺気。どう考えても堅気の男ではない。


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