元スレ猫「今日もまた雨か……」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ☆
1 :
――ポツポツ ポツポツ
猫(……雨か)
猫(今日もまた長く降りそうだ気配だな)
猫(餌探しはヤメて宿探しに変更しよう)
2 :
もしがどんだけやれるのか見てやろう
3 :
>>1はスレ立て代行頼みました。
ありがとうございます。
以下、本編を始めます。
4 = 3 :
▼公園・公衆トイレ前
――ザァァ。
猫(そういや、あの時もこんな雨だったか)
猫(濡れたダンボール箱、少量の餌)
猫(あの人何か言いながら俺の首輪を外してた)
猫(いくら鳴き続けてもあの人は戻って来なくて)
猫(そうして三日経ってようやく)
猫(捨てられたんだって気づいたんだっけな……)
5 = 2 :
もういいや
6 = 3 :
猫(もうやめよう。考えるだけ不毛だ)
猫(あの頃と俺は違う)
猫(寝床も餌も自分で探せる)
猫(俺はもう一人で生きていける)
猫(一人で、生きていけるんだ……)
7 = 3 :
猫(ん? 誰かやって来る)
タッタッタ
女「…………ふぅ」
猫(なんだ? コイツも雨宿りか?)
猫(まぁ俺には関係無いけどな)
8 = 3 :
女「……キミも雨宿りかい?」
猫「……」
女「耳、破れてる。痛そうだね……」
猫「……」
女「雨、早く止むといいね。キミも早く家に帰りたいだろう?」
猫「……」
女「え~っと。私の声、聞こえてるかな?」
猫「……」
女「……無視されちゃったか。ごめんね」
9 = 3 :
猫(何か言われた気がするが……)
猫(気にしたって何も聞こえないし、どうでもいいか)
猫(しかし音の無い世界ってのはずいぶんと不便で退屈だ)
猫(雨音すらも全然聞こえねぇ。どんな音だったっけな)
猫(まったく退屈だ。こう体が濡れてちゃ毛づくろいもする気も起きねぇ……)
10 = 3 :
女「……ねえ?」
猫「……」
女「もしかして、本当に聞こえてないの?」
猫「……」
女「……」スタスタスタ
猫「……」
11 = 3 :
猫(雨なんて結局、避ければ濡れずに済むんだ)
猫(つまり当たらなければどうということはない)
猫(俺の運動神経なら軽く避けられんじゃないか?)
猫(右左右右左右左右左左左右)
猫(うん。やっぱり俺ならいける。いつか試して――)
女「ねえ?猫君?」
猫「!?」ビクッ
12 = 3 :
猫(何だコイツ!いつの間にこっちに来たんだ!?)
女「やっと気づいてくれた。やっぱり耳が聞こえないんだね」
猫(ハァ?何喋ってんだ?こっちは聞こえねんだよ)
女「驚いても逃げないなんて、キミはきっと強い猫なんだね」
女「あっ、そうだ!」ゴソゴソ
猫(なんだよ。何しようってんだよ)
女「ほら。お昼ごはんの残りだけどあげるよ」
13 = 3 :
女「こんなのしか持ってないけど、食べる?」
猫(なんだアレ……)
猫(真っ白くてツヤのある謎の物体だ)
猫(どことなく魚の良い匂いはするが……)
女「かまぼこだよ。ほら、食べれるよ」パクッ
猫(うわ、口に含んだ……。食えるのか、それ)
14 = 3 :
女「ほら。食べなよ」ポイッ
猫(こっちに投げた)
猫(……くれるってことか?)
女「……」モグモグ
猫(そういや、この雨で餌探し出来なかったもんな……)
女「……」モグモグ
15 = 3 :
猫『……すまない。恩に着る』
「ニャー」
女「おっ。ようやく喋ってくれたね」
猫「……」パクッ
女「意外とカワイイ声だね。目つき悪いのに。ふふっ」
猫「……」モグモグ
女「キミを見てると、昔飼ってた猫を思い出すよ」
猫「……」モグモグ
17 = 3 :
女「ねぇ。少し聞いてもらえるかな?」
女「……って言ってもキミには聞こえないんだろうけど。あはは」
猫「……」モグモグ
18 :
不 凍 液 in かまぼこ
19 = 3 :
女「私ね、子供の頃にキミみたいな猫を飼ってたんだ」
女「ムックって名前の猫」
女「真っ白なのに、お母さんがムックって付けちゃったんだ」
女「おかしいよね。でもね、なんか妙に合ってて」
女「気が付いたらみんなそう呼んでたんだ」
20 = 3 :
女「ご飯を食べる時も寝る時もずっと一緒でね」
女「私、ムックと一番の仲良しだったんだよ」
女「私あまり友達がいなかったから」
女「学校から家に帰るのが毎日楽しみでしかたなかった」
女「ムックと一緒にいる時間が大好きだったんだ」
21 = 3 :
女「けれどその時間も3年しか、たったの3年しか続かなかった」
女「ムックはね、病気で死んじゃったんだ」
女「あの時は散々泣いたなァ」
女「何ヶ月も本当に何もする気力が無かった……」
女「思い出すと今でも胸が苦しくなるよ……」
22 :
女「でもね、悲しかったことより今は楽しかったことを思い出すように――」
猫「……」チョコン
女「あれ、もう食べ終わってた?」
猫「……」
女「ごめんね。話が長かったね」
女「聞いてくれてありがとう」
猫「……」
23 = 3 :
猫(何かまた色々喋ってたようだけど)
猫(俺、アンタが何言ってるのかわからんのよ)
猫(ただ、飯はうまかった)
猫『ごちそうさま』
「ニャアー」
女「“ごちそうさま”って言ってるのかな?」クスッ
24 = 3 :
猫(実はかなり腹ペコだったんだ。助かったよ)
猫『ありがとさん』
「ニャーオ」
女「今度は“ありがとう”かな?」クスッ
女「どういたしまして」
25 = 3 :
猫(アンタは良い奴なんだな)
猫(この一飯のお礼、俺は忘れないぜ)
女「あの……かまぼこあげた代わりにさ」ウズウズ
女「ちょっと撫でてもいいかな?」ソ~ッ
猫(おっと。だからって気易く触らせはしないぜ)ヒョイ
女「あっ。避けられた……」
26 = 3 :
――ポツリ、ポツリ。
女「ようやく雨が止みそうだね」
猫(雨そろそろ止むか)
猫(しかし、腹が膨れて今は動きたくねぇ)
女「……あのさ」
女「またキミに会いに来ても……いいかな?」
猫「……」
27 = 3 :
女「またご飯持って来るから」
女「触れなくてもいいから」
女「また来てもいいかな?」
猫「……」
女「……なんて。キミからすれば、私なんて興味無いよね」
女「それじゃ、バイバイ」スタスタ
28 = 3 :
猫(ん? アンタ帰るのか?)
猫『気を付けて帰れよ』
「ニャー」
女「!?」
猫『図々しくて悪いが、次もまた何かくれると助かる』
「ニャー、ニャー」
女「……うん。ありがとう、また来るよ」
女「またね。“ムック”」バイバイ
29 :
あげます
30 = 3 :
猫(……そしてまた一人か)
猫(人との交流は久しぶりだな)
猫(むしろ飼い主以来か?)
猫(そういえば、俺の飼い主はどんな人だったけか)
猫(……全然思い出せん)
猫(そりゃそうだ。俺もまだ子猫だったしな)
猫(唯一覚えているのは、最後の雨の日だけか……)
31 = 3 :
▼後日……
女「ムック」
猫『おぉ。アンタか』
「ニャー」
女「ようやく覚えてくれたみたいだね」
猫『アンタの顔覚えたぜ。相変わらず何言ってるかはわからないがな』
「ニャァー。ニャー」
女「そろそろ触らせてくれるかな……」ソ~ッ
猫(だが、まだ触れさす程俺は甘くない)ヒョイ
女「うぅ~。イジワルだね、キミは……」
32 :
しええ
33 :
これって仕事しろとか書いていた人?
34 = 3 :
猫「……」パクッ モグモグ
女「ホント、ムックは小柄なのに良く食べるよね」
女「野良なのに毛並みも悪くないし」
女「元々どこかの飼い猫だったのかな」
女「……それでも、こうして生きているキミはたくましいね」
猫「……」モグモグ
35 = 3 :
猫『ごちそうさま』
「ニャー」
女「ムックは食べ終わると必ず鳴くんだね。お礼なの?」
猫『今日の飯は美味であった』
「ニャー」
女「ふふっ。どういたしまして」クスッ
女「それじゃ、また来るね。ムック」
猫『気をつけて帰れよ』
「ンニャー」
女「またね」バイバイ
36 = 3 :
猫(まさか、あの日から毎日来るとはな)
猫(ずいぶん酔狂な人間もいたもんだ)
猫(いや、大変ありがたい。大いに助かる)
猫(しかし、狩りの仕方を忘れてしまいそうだ)
猫(たまには自分で餌を取りに行かねばな)
37 = 32 :
ムックは猫種はなんだろう
38 = 3 :
猫(人間と触れ合うのがこうも幸せなことだとは)
猫(全く思いもよらなかった)
猫(こんな感じ初めてだ……)
39 = 3 :
猫(おそらく俺はアイツに名前を付けられている)
猫(よくわからないが“ 、 、 ”と呼ばれているのはわかる)
猫(名前か。俺の元の名前は何だったんだろう)
猫(あの時。首輪を外される時、何か言われてたけど)
猫(アレは名前を呼んでたんじゃない)
猫(アレはおそらく……懺悔だ)
40 = 3 :
猫(そして、あの日から俺は一人になった……)
猫(いや、俺はもう一人じゃない)
猫(今はあの、酔狂なアイツがいてくれるんだ)
猫(……)
猫(まぁ。そろそろ触れさせてやってもいいかな)
猫(やれやれ。俺も甘くなったもんだ)
41 = 32 :
獣姦フラグ
42 = 3 :
▼翌日
――ザァァァ。
猫(今日は一日中雨か)
猫(どうにも雨は好きになれない)
猫(身体が濡れるのが嫌なのもあるが)
猫(やはりあの日のトラウマが大部分か)
43 = 3 :
――ザァァァ。
猫(……)
猫(……)
猫(……)
猫(……)
猫(……アイツ、遅いな)
猫「……」
44 = 3 :
▼翌日
――ザァァァ。
猫(……今日もまた一日中雨か)
猫(結局アイツ来なかったな)
猫(まぁそういう日もあるだろう)
猫(この雨だ。ここへ来るのも一苦労だろうしな)
猫(……決して、寂しいわけではない)
45 = 3 :
▼翌日
――ポツリ、ポツリ。
猫(……)
猫(三日続けて、今日もまた来る気配は無い)
猫(良い奴だと思ったんだが)
猫(やはり気まぐれだったのか……)
猫(まぁ慣れたもんだろ。捨てられるのは)
猫(擦れられるのは……)
46 = 32 :
鬱展開か…
47 = 3 :
「訂正」
×:猫(擦れられるのは……)
○:猫(捨てられるのは……)
48 = 3 :
猫(わかってたハズだ)
猫(人間ってのは所詮そんなもんだってこと)
猫(都合が悪くなれば簡単に捨てることも)
猫(……所詮俺は野良猫だ)
猫(元から頼るものは何もない。何も頼らない)
猫(そうだよ。そうなんだよ……)
49 :
猫ジェラシー
50 = 3 :
――ザァァァ。
女「ムックー!」
女「ねぇ!ムックー!」
猫「……」
女「よかった、そこにいたんだ」
猫「……」
女「ゴメンね、何日も来れなくて。今日も御飯持ってきたよ」
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