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元スレ雪歩「私の中のジャイアント・キリング」

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千早「分かってると思うけど、水瀬さん。私達は崖っぷちなのよ」
千早「去年までのやり方じゃ勝てない……実際勝てなかった」
春香「そ、それは私が頼りなかっ……」
千早「違うわ。春香は黙ってて」
春香「………!」
千早「チームで戦うために、そういうやり方にこだわるのが悪いとは言わないけど」
千早「私達は変わらないといけない。そうでしょう?」
千早「今までのぬるいやり方じゃ、結果なんて残せるはずないわ」
あずさ「千早ちゃん、なんだか怖いわ……」
真美「千早お姉ちゃんがあそこまで言うことなんて今まであった…?」ボソボソ
亜美「分かんない…」ボソボソ
伊織「……どの口がいうんだか」
千早「……何かしら」
雪歩「………!」
真「(これ、ヤバい空気なんじゃないかな…?)」
春香「………」
P「この流れは…一波乱ありそうだな」ボソボソ
律子「何悠長なこといってるんですか、止めないと…!下手したらホントに喧嘩になりますよ…!?」ボソボソ
P「いいんじゃね?」ボソボソ
律子「!?」
P「如月も水瀬も言ってることは正しい。チームでやるということをちゃんと分かってる」
P「意見はどんどんぶつけ合えばいいんだよ」
律子「で、でも………」
P「もう少し様子を見るぞ」
伊織「千早、アンタそんな偉そうなこと言って……」
伊織「色んなプロデューサーに、歌がらみの仕事以外受けたくないだとかなんとか言いまくってたわよね」
千早「………」
伊織「それが何?今になって急に」
千早「………変えられると思ったからよ」
伊織「へぇ?」
真「二人とも、その辺で…」
千早「水瀬さんだって分かってるでしょう。今度のプロデューサーは今までの人とは違う」
千早「私はあの人となら、私達自身と今の事務所の状況をなんとかできると感じたの」
伊織「ずいぶん信用してるみたいじゃない。あんなだらしない奴を」
P「俺ってそんなだらしない?」
律子「シッ!」
伊織「…それとも」
伊織「歌にしか興味がなくて、ほとんどのプロデューサーが面倒になって投げ出したあんたを」
伊織「あの時新ユニットの候補として使ってくれたからかしら?」
千早「………」
伊織「それで歌以外にも力を入れようと決めたって訳?」
伊織「………やっすいプロ根性だこと」
千早「!!」
春香「伊織っ!!」
千早「だから言ってるでしょう!私達が変わらないといけないのよ!」
千早「それの何が悪いっていうの!?」
伊織「ただの日和見じゃない!!Fランクの癖に生意気言ってんじゃないわよ!!」
真「伊織!いくらなんでも言い過ぎ……」
伊織「真はコイツとプロデューサーの肩を持つわけ!?」
千早「そのFランクにまとめて負けたのはどこのどちらさんだったかしら!?」
やよい「ち、千早さん……それは言い過ぎで……!」
伊織「このっ………!」バッ
真美「いおりん!!」
P「あらー……」
律子「プロデューサー……これも考えがあってのことなんですか…!?」
律子「ああやって喧嘩させてるのも作戦のうちなんですか……!?」
P「………いや、あの」
律子「………!?」
伊織「もう許さないわ!!」
千早「上等よ、いつでも来なさい!」
春香「やめてっ!!何馬鹿なことしてるの二人ともっ!!!」
あずさ「大変……律子さんを呼ばないと……」
真「二人とも!やめろよっ!!」
雪歩「どっ……どうすれば……」オロオロ
やよい「やめてくださぃぃ~……」オロオロ
亜美「に……兄ちゃん呼んでこよっか?」
真美「そのほうが良いかも……」
P「その……止めるタイミングはずした」
律子「もうっ……!!」バッ
「あれ?なんか随分にぎやかなの。何かあった?」
伊織「!!」
千早「!!」
春香「!!」
真「……!」
あずさ「………」
やよい「………」
雪歩「………」
亜美「………」
真美「………」
律子「…………!?」
P「…あ、お前」
ガチャ
P「おっと」ステーン
律子「きゃっ」ドスン
美希「事務所にお昼寝しに来ようと思ったら、なんかここが騒がしくて様子を見に来たんだけど」
美希「デコちゃんと千早さんが喧嘩なんて、珍しいね」
春香「美希……!?」
美希「春香、久しぶりー。って言っても一週間位だけど」
律子「美希、あんた何でここに…?フェアリーが練習に合流するのは明日からのはず」
美希「それは分かってたんだけど、どうせ家にいても暇だし」
美希「それに、新しいプロデューサーさんがどんな人か気になったから遊びに来たの!あはっ☆」
真「…そうなんだ」
P「………」
美希「あ、もしかしてそのプロデューサーさん?」
P「うん」
美希「へー、そうなんだ」
美希「若いね。カントクさんって聞いてたから、もっとおじさんかと思ってたの」
美希「はじめまして!ミキは星井美希だよ」
美希「みんなにはミキとかミキミキって呼ばれてるから、プロデューサーもそう呼んでね」
P「…………」
P「達海猛、35歳。みんなには『タッツミー』って呼ばれてる」
真「(誰も呼んでない……!)」
律子「(何中学生相手に張り合ってんだか……)」
美希「よろしくね、プロデューサー。タッツミーって呼んだほうがいいの?」
P「いや、どっちでも」
美希「そっか。まあはじめはプロデューサーって呼ぶね」
美希「で、今日からみんな集めて合同レッスンなんだよね。何してるの?」
律子「プロデューサーの考えで……今日は自主練なの」
美希「へ?」
美希「あははっ!わざわざみんな集めて自主練してるの!?」
春香「まあ……あはは…」
真「なんか恥ずかしい……」
伊織「………」
美希「じゃあミキも自主練ってことで、明日に備えてお昼寝しとくね!事務所に小鳥いる?」
亜美「朝会ったからいると思うけど」
美希「ありがと、亜美。久しぶりにムネマクラでもしてもらおっかなー」
律子「…まあ、あなたはどうせ明日からの予定だし問題ないけど」
美希「じゃ、プロデューサー。また明日ねー」
バタン
P「律子。あいつが…」
律子「すみません、礼儀知らずで……彼女が星井美希です」
律子「今急速に人気を上げている3人組ユニット……『プロジェクト・フェアリー』のリーダー」
P「なるほどね」
律子「おそらくアイドルとしての才能はウチの中でもピカイチです……が」
律子「努力が嫌いなタイプといいますか……天才肌なんで、全部感覚で済ませちゃうところが多くて」
P「ふーん…」
律子「責任感を持たせようと、リーダーの立場に立たせたんですが……そっちの方は今ひとつってところですね」
律子「ただ、実力だけは折り紙つきで。一緒に活動してる響や貴音すら、一目置いているんです」
P「…現在ファン数は29万人……Cランク目前って所か」
律子「はい。…私自身、美希の伸びしろに毎日驚嘆するばかりですよ」
P「……そっか」
P「(それにしても)」
P「(アイツが来ただけで、喧嘩が収まった………不思議な奴だな)」
春香「ところで、プロデューサーさんはドアに張り付いて何してたんですか?」
P「何も?」
律子「………」
──────
チュン……チュン……
P「……もう朝の7時………」
P「はぁ………結局徹夜しちまった」
P「一次予選の対戦相手なんて、データが少なすぎるんだよな……もっと資料が欲しいんだよなぁ……ふぁ」
P「……今日も全員でレッスンだぁ~ねみ………ぃ」
P「………レッスンルーム開けとくか」
P「………あれ。しまった、昨日戸締り忘れてたんだっけ」
P「律子に怒られるなーこりゃ………」
P「…………?」
P「まじーなこれ、誰かいるっぽいぞ」
カチャ…
P「(こんな所に何の用だ………?)」
「響、こんな時間から訪ねては事務所に迷惑がかかるというもの…」
「良いんだよ、自分たちも事務所の一員なんだから!貴音だってなんだかんだでついて来たくせに」
「ですが……」
「隠さなくてもいいさー。新しいプロデューサーがどんな人か気になるのは、自分だって一緒だもん」
「む……」
「それに、プロデューサーにやる気のあるところを見せるならこうやって早く来たほうがいいに決まってるよ!」
P「(………何を話してるのかはよく聞こえないけど……あいつら多分あれだな……)」
P「……侵入者。不審者って奴だな」
響「うわっ!?」
貴音「!?」
P「律子に…いやその前に警察か?」
響「うわぁっ!?ま、待って待って!!自分はここの…765プロのアイドルで…!」
貴音「け、決して怪しいものではありません……!」
P「………?」
P「あ、お前ら」
響「えっ?」
貴音「あなた様は…?」
──────
律子「え、響と貴音にもう会ったんですか?いつの間に……」
P「あいつら朝っぱらから勝手にレッスンルームにいやがったんだ。それで出くわした」
律子「なるほど……実はプロデューサーがここに来てから、一度電話をもらったんです。二人から」
P「そうなの?」
律子「ええ。新しいプロデューサーの方針はどんな感じかとか、フェアリーのことをどう思ってるのかとか」
P「ふーん」
律子「…響は沖縄出身で、単身上京してここでアイドルをやってるんです」
P「うん。それは知ってる」
律子「実力も十二分にあります。特にダンスは…うちの事務所では一番レベルが高いんじゃないでしょうか」
P「そいつが、電話でどんな話を?」
律子「プロデューサーのことを悪く言うつもりはないはずですけど、やっぱり色々と不安があったんでしょうね」
律子「貴音は……出身がどこかは実は分からないんですけど、彼女はフェアリーの真のリーダーと言っていい存在です」
律子「能力は他の二人に比べるとバランス型ですね。他にはない独特のオーラといいますか…キャラクターといいますか」
P「確かに…髪は銀色で背も高いし、物腰も柔らかい感じがしたけど」
律子「貴音の魅力の多くはあのミステリアスな雰囲気から生まれていると言っていいでしょう」
P「…そうだね」
律子「響や美希みたいな元気な子達と並べるといいコントラストになってます」
律子「あなたが今の自分達に合うプロデューサーなのかどうか、とても真剣に聞いてきたんですよ」
P「確かに、あの3人の中じゃ一番しっかりしてそうだな」
律子「それだけ、二人ともプロデューサーに期待してるってことですよ。この間の初日レッスンのこと話したらすごく面白そうに聞いてましたよ」
P「…今日からあいつらも参加するんだよな?」
律子「はい。……プロデューサー、こういうのもなんですが……フェアリーの3人は本物です」
律子「3人とも人気以上の実力を持ってます。最近は営業先でもそういう評価をよく頂くんです」
P「ほう……」
律子「あの3人が一緒になってやってくれるとなれば、他のメンバーにもきっといい影響があるはずです」
P「わかった。今日やることももう決めてあるし、上手くやるよ」
律子「ええ。頑張っていきましょう!」
律子「…ところで。さっき二人が『勝手にレッスンルームにいた』って言いましたよね?」
P「……あ」
律子「一応聞いときますけど……昨日戸締りしました?」
P「あー……うん…たぶん」
律子「……しとけってちゃんと言いましたよね……?え?」
P「(………こえー)」
──────
律子「1、2、3、4、ターン………雪歩!遅れてる!」
雪歩「ひっ…ごめんなさい…!」
伊織「しょうもないミスしてるんじゃないわよ!」
雪歩「ご、ごめん……」
伊織「全く……」
春香「雪歩、しっかり!ここは確かに難しいけど、落ち着いて。ね?」
真「雪歩、だんだんと良くなってると思うから……もう一回頑張ろう」
雪歩「うぅ……ありがとう………」
春香「………」
律子「じゃあいっぺん通しでやってみるわよ。雪歩、さっきのところ気をつけてね」
雪歩「は、はい」
~♪
P「律子。これどう思う?」
律子「はい?何ですかこの紙……」ペラ
律子「…なるほど。IUのためのユニットってわけですね」
P「年齢ごとに分けないとダメだから、これ以外に組み合わせがないんだけどな」
律子「中学生組が美希、伊織、亜美真美にやよい……悪くないと思いますよ」
P「んでもって高校生組が天海、我那覇、菊地、如月に…萩原」
律子「で、シニア組に貴音とあずささんですか…この二人はデュオになるんですね」
律子「…いいバランスだとは思いますけど……ただ一人、ちょっと心配なのよね」
P「アイツか?」
伊織「雪歩!またなの!?同じところで何回も失敗しないで!」
雪歩「ふぇぇ……ごめんなさぃぃ……」
真「伊織、そんなにイライラしなくても…雪歩、ゆっくりやってみようよ」
春香「確実に、まずは体で覚えて……」
伊織「……そんな悠長にやってる時間ないっての………」
律子「伊織!あせらない!一旦深呼吸しなさい!」
伊織「なんで私が……」
雪歩「うぅ…グスッ、私、やっぱりダメダメですぅ……」
P「……むー」
律子「そうです……少なくとも、今日の雪歩の調子はあまり良いとは言えない」
律子「今までもムラの激しい子ではあったんです。できる日はよくできるんですよ」
P「なるほど……この前もだ」
律子「……あれですか?」
P「紅白戦をやったとき」
律子「…そうですね。私が言うのもなんですが……私、あの子があんなに輝いてる瞬間を見たことありません」
P「Fランク組の中ではひときわ目立ってた……いや」
P「あの一瞬だけは、あの場にいる全員の中で群を抜いてたんじゃないか」
律子「………」
ガチャ
美希「みんなーおはようなのー」
律子「…お、来たわね。フェアリー」
P「あ、さっきの不審者」
響「だ、だから違うって!誤解ならさっきちゃんと解いただろっ!?」
律子「はいみんな一旦ストップ!集合してー!」
律子「というわけで、1週間の遠征から帰ってきたフェアリーの3人組も今日から参加します」
響「頑張るさー!」
貴音「よろしくお願いします」
あずさ「うふふ、そんなかしこまらなくても良いのに…みんなずっと一緒だったんですから」
真「響!レッスン終わった後で一緒にダンス特訓しようか!」
響「もちろんだぞ!」
P「………」
ジーノと違うのは美希には覚醒があるってところか…
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