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元スレ真「ファーストキスって、どんな味?」
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18:45/射的屋
P「許さんぞこのクマ吉……」
真「ちょ、ちょっとプロデューサー。もう何回目ですか?」
P「これでも俺は、高校時代に765第一高校のゴルゴとまで言われた男だぞ……」カチャ
真「今度からプロデューサーの背後に立たないよう気を付けますね」
P「まず落ち着け……深呼吸だ」スーハー
P「よーく狙って……」ガチャ
真「……ゴクッ」
P(馬鹿デカイあのヌイグルミを倒すには、頭部を狙わなきゃだめだ)
P(しかし、こんな玩具同然の銃じゃ……)
P(やっぱり、あの技を使うしかないか……)
P「真、ちょっと銃持っててくれるか」
真「は、はい。どうしたんですか?」
P「俺の真髄を、的屋のおっちゃんに見せてやろうと思ってな」
的屋「ほう?」
P「よし……準備は完了だ。銃を」
真「な、何をするんですか?」
P「そこでよく見てろ。俺はプロデューサーとして培ってきた全てを賭けて、あのクマを落としてやる」
真「あまり関係ないんじゃあ……」
P「行くぞ……淫乱テディベアがッ」ググッ
的屋「なっ!? あれはまさか……」
真「ぷ、プロデューサー!?」
プロデューサーは、一度銃を構えると、なぜか獲物に背を向けた。
自信に満ち溢れた表情で不敵に笑う、一人のハンター。
かつて、これほどまでに射的の景品に、闘志を燃やした男が居ただろうか。
P(この技を魅せるのは何時振りだろうか……)
銃を構えたまま、プロデューサーはどんどん身体を反らせてゆく。
まるでエビのように、人間の体構造を無視した、あまりにも衝撃的な曲線美。
真(プロデューサーって、体柔らかいんだなあ)パチパチ
突然の奇行に頭が働かず、呑気に拍手をする。
よくよく考えれば、この光景は物すごくシュールなのではないか。
P「届けッ! 俺の想いッ! 今こそ解き放てッ! 禁じられた力をッ!」
夏空に、高らかなプロデューサーの雄叫びが轟く。
何事かと集まる群衆に目もくれず、ボクは銃口から発する閃光に、思わず目を瞬いた。
的屋「そ、そんな……生きていたのか……」
何かよく分からないことを、射的屋のおじさんが口走った。
けれど、とてつもない轟音と共に一つの弾丸が飛び出すと、その声もかき消されてしまう。
かろうじてボクの双眸が捉えたのは、海老反りのプロデューサーが放ったソレが、クマの頭部を打ち抜く瞬間だった。
――――
――
19:10/かき氷屋
やよい「わあ、伊織ちゃん。かき氷ですよー」パアア
伊織「普段はそんなもの食べないけど、今日だけは特別よねっ」
美希「むう~、ハニーも居るって言うから浴衣着たのに~」
伊織「ほら美希! いつまでもぶー垂れてないで、行くわよ!」
美希「でこちゃ~ん。ミキのハニーはどこに居るの~?」ダキッ
伊織「だ、抱きつくな~。プロデューサーの私情なんて知ったこっちゃないわよ」フン
やよい「でも、今日来れなかったのって、律子さんと小鳥さん以外では、プロデューサーと真さんだけですよね~」
美希「そういえば、さっき雪歩が悲しそうにしてたの」
伊織「言われてみれば……。今日って、確かプロデューサーって真に付きっきりだったわよね?」
やよい「最近、真さん忙しそうです~」テクテク
美希「まさか……ハニーが」
伊織「プロデューサーと真が……?」
やよい「……どーしたんですか?」キョトン
伊織「まあ、考えすぎよね。ほら、置いてくわよ。美希」
美希「あ~ん、待ってよでこちゃ~ん」
伊織「でこちゃん言うなー!」ポカポカ
――――
――
19:15/型抜き屋台
真「それにしても、さっきのプロデューサー、凄かったですね!」
P「いやあ、久しぶりに本気出しちゃったよ」
真「射的屋のオジサン、びっくりしてましたよ? 終いには感動して泣いてたし」
P「とりあえず、このクマが取れて良かったよ」
真「そ、そんなに欲しかったんですか? それ」
P「え、俺のために取ったんじゃないぞ?」
真「へ……? じゃあ、お土産か何かですか?」キョトン
P「いや、真へのプレゼント」
真「……?」
P「真に、俺からのプレゼント。この、クマのぬいぐるみ」
真「そ、そんなの貰っちゃっていいんですか?」アセアセ
P「もちろん。だって俺の部屋に置くのも気持ち悪いだろ」
真「あ、ありがとございます。プロデューサー」パアア
P「おう。それじゃ、次は型抜きでもやるか?」
真「はいっ! どっちが速く、キレイに出来るか競争ですね♪」タッタッタ
P「…………」
―10分後―
P「なあ真」
真「何ですか? プロデューサー」ガリガリ
P「仕事、楽しいか?」
真「はい。忙しくなって、大変ですけどね」
P「まあ、売れっ子だからな」
真「じゃあ、何で周りの人はボクが『菊地真』だって気づかないんですかね」コショコショ
P「やっぱ、いつもと雰囲気違うからじゃないか?」
真「はは。それもそうですよね」
ガリガリ……、ガリガリッ……。
真「ボクって、男として生まれてきた方が良かったんですかね」
P「何でだよ」
真「父さんにもずっと言われてきましたし、ファン層のほとんどが女性ですから」
P「まあ……765プロの貴公子だからな」
真「でも、ボクの本心では、『女の子らしくしたい』っていう気持ちが確かにあるんです。幼い頃から許されなかった事だからこそ、この歳になっても夢を見てるんです」
P「不満なのか? 今の自分に」
真「いえ……。人に好かれるのは素直に嬉しいです。でも……」
P「……」
真「たまに、迷うことがあるんですよ」
真「もっと、違う生き方をしていたら、どうなっていたんだろう。普通の女の子みたいに、可愛い服を着て、趣味を持って、男の子と恋なんてしてみたり……」
真「そういうボクも、この宇宙の何処かに居るんですかね」
P「パラレルワールドってやつ?」
真「はい。出来ることなら、会って話がしたいです」
P「どんな話を?」
真「これまで生きてきて、幸せでしたか? って、聞きたいです」
P「なるほどね」
真「…………あっ」ガリッ
P「あーあ」
真「えへへ。失敗しちゃいました」テヘ
P「俺は堅抜き得意だからな。この勝負もらtt……」ゴリリ
真「…………」
P「…………」
真「……ぷっ」
P「真、りんご飴でも食いに行こうか……」
真「くくっ、そ、そうですねっ。行きましょう、プロデューサー」
P「笑いすぎ」コツン
真「す、すみません」トテテ
――――
――
19:30/リンゴ飴屋台
春香「あ、リンゴ飴だ。懐かしいな~」
千早「たまに食べたくなるのよね」トコトコ
亜美「真美! 亜美たちも食べよー」タタタ
真美「そだねっ! あずさ姉ちゃんもだよ?」グイグイ
あずさ「あらあら。何だか、子供が出来たみたいだわ~」
千早「あずささん、まだ21歳じゃないですか……」
春香「あはは。あ、見てみて千早ちゃん」
千早「なあに?」
春香「あのカップル、お面つけて歩いてる。楽しそうだね」クスクス
響「なんだかどこかの部族みたいだぞ……」
千早「ぷぷっ……くくく……」プルプル
亜美「いーなー! 亜美たちも買わなきゃッ!」
真美「行こ、あずさお姉ちゃん」
あずさ「ふふっ、好奇心が旺盛なのね~」
雪歩「わ、わたしはちょっと恥ずかしいと思いますう……」
貴音(はて……どこかで見たような浴衣ですね……)
――――
――
19:25/リンゴ飴屋台付近
真「ぷ、プロデューサー! 見てください、あれっ」ビシッ
P「んー? って、春香達じゃないか」
真「いやいや、落ち着いてたらマズイですって。ボクたちがデートしてるの、バレちゃいますよっ」
P「あー、流石にそれは困るなあ。よし」
P「すんませーん」
お面屋「何だい?」
P「できるだけ顔を隠しやすいお面を下さい」
お面屋「はい?」
真「すみません、急ぎなんですっ!」
お面屋「じゃ、じゃあこれを……」
P「よし真、すぐに被るぞ」スッ
真「がってん承知です!」サッ
お面屋「あ、お代を……」
P「これを……! お釣りは要りません」
真「なるだけ自然体で行きましょうね」スタスタ
P「ああ。見つかったらジ・エンドだからな……腕が鳴るぜ……」スタスタ
お面屋「何だったんだ……って」
お面屋「諭吉……だと?」
――――
――
P「…………」ザッ
真「…………」ザッ
P(周囲からものすごい視線を感じるが……我慢だ)
真(もし美希にバレたりしたら……)
美希「あーあ、ハニーと来たかったの」
P「……!?」ビクッ
真「…………」ガクブル
伊織「あんた、まだ言ってるわけ? ほら、フランクフルトでも食べてなさい」
美希「ん……美味しい……の……」モグモグ
やよい「花火までもうすぐですねー」テクテク
伊織「……」ペラペラ
美希「……」ナノナノ
やよい「……」ウッウー
P「ふ、ふう……なんとか気づかれずに済んだな」
真「こ、このお面暑いですね……」ハアハア
P「まったく……って、よくよく考えたらさ」
真「はい」
P「どっかその辺に隠れていれば良かったんじゃないかな」
真「……今更ですね」
P「ああ」
真「…………」
P「さ、気を取り直して、リンゴ飴だ」
――――
――
19:40/ベンチ
P「お、ラッキーだな。座ろう、真」
真「はい。プロデューサー」
P「リンゴ飴、美味いか?」
真「……はい」ペロペロ
P「なあ、さっきの話なんだけどさ」
真「……?」キョトン
P「もしも、真が女の子っぽく過ごしていたらってやつ」
真「……」
P「俺はさ、実は結構……真のそういうところ、見てるんだよな」
真「え……?」
P「人なんてさ、分からないことだらけだろ? 他人の事、自分自身の事さえ、本当に理解しているやつなんて居ない」
真「…………」
P「真は、自分のことを、男っぽい、可愛くないと思っているかもしれない」
P「でもさ、少なくとも……俺から見れば、真はちゃんと、可愛い女の子だと思うよ」
真「……ど、どんなところが、ですか?」カアア
P「お化けとか苦手だったり、可愛いもの好きなところとか」
真「……そんなの……。男の人にだって当てはまるじゃないですか」
P「そうやって、自分で思い込んでるだけだよ」
P「今日の浴衣だって、女の子らしいよ。艶やかっていうの?」
真「そ、それは……嬉しいです///」
P「案外、無防備なところあるよな。真って」
P「多分、周りの人間に求められるままに、カッコイイ真をどこか、演じていたんだと思う。だから、本心では違うんだって、時々苦しくなる」
真「…………」
P「でも、嬉しくもあっただろ? ファンの皆を喜ばせることが出来る。その力が真にはあるんだから」
真「はい……。仕事だって、楽しくやれてます」
P「もしかしたら、誰も理解してくれないって、悩んでいたかもしれないけど」
P「少なくとも、俺はずっと見てたし、わかってたよ」
真「プロデューサー……」
P「多分、律子や小鳥さんもな」
真「敵わないなあ……」
P「プロデューサーだからな、俺は」
真「えへへ。ちょっと、カッコよかったです」テレ
P「何言ってんだ。お、もう少しで花火上がるぞ」スタッ
真「もうそんな時間ですか」
P「さ、移動しよう。実は穴場、知ってるんだよ」
真「ホントですか? 綺麗に見えますかね?」パアア
P「ああ。ひょっとしたら泣くレベルだ」
真「それは……すごい、ですね」グスッ
P「…………」
真「あの……プロデューサー」
P「ん?」
真「手、つないでもいいですか?」モジモジ
P「ほら」
真「……ありがとう、ございます」ギュッ
20:00/高台の公園
夏の夜空はとても明るかった。
お祭りと花火のおかげで、たくさんの光が届いているからだろう。
プロデューサーの言う穴場は、河畔から少し離れた階段を登った途中にある公園だった。
何の変哲もない公園だけれど、河の方から打ち上げられる花火を見るには、まさに打って付けの場所だ。
真「うわあ……綺麗ですね。プロデューサー」
P「そうだなあ。こうして花火を見てると、子供の頃を思い出すよ」
夏の風物詩、打ち上げ花火が空に咲く。
ボクがずっと憧れていた、華のように美しく、綺麗な花火。
それらは、次々と空へと舞い上がり、いくつもの模様と色で人々を魅了する。
真「子供の頃のプロデューサーって、どんなカンジだったんですか?」
P「まあ、悪ガキだったよ。少なくとも、品の良い子供じゃなかった」
真「あはは。何となく想像がつくかも」
P「おい」ポカ
真「いてて……」
パーン、パラララ。ドーン、シャラララ。
夜空に、一輪のナツノハナが咲く。
まるで、ボクの抱く恋心のように、少しずつ、少しずつ大きくなって、広がってゆく。
真「ねえ、プロデューサー」
P「んー?」
真「さっき、ボクのこと、見てるし、わかってるって言ってましたよね?」
P「ああ。まあ、大体のことはな」
真「それじゃあ、ボクが今、何を考えているか、わかりますか?」クルリ
P「それは流石に分からないな」
真「ちぇっ」
P「拗ねるなよ」
ボクがプロデューサーを好きだと言うこと。
もしバレていたらどうしようと思いながらも、同時に伝えたいという欲もあった。
でも、この先へ進む事が出来るのだろうか、と不安は募るばかり。
何よりも、プロデューサーを困らせる事になる。そんな顔を見たくはなかった。
我ながら矛盾しているなあと、思わず苦笑をする。
P「なあ、真」
真「……何ですか?」
P「どうして、俺を誘ったんだ?」
ドキリと、心臓が飛び跳ねる。
不慣れな格好をしているせいで、危うく転びそうになってしまう。
どうして、聞いてしまうんだろう。答えるには、気持ちを伝えるしか無いというのに。
真「知りたい……ですか?」
P「…………」
一度、深く呼吸をして、プロデューサーの方に向き直る。
夜空には続けて、ナツノハナが咲き誇る。その音、色、形……。
すべてに背中を押されるように、ボクは口を開いた。
真「ずっと……言いたかったんです」
真「女の子扱いして欲しくって、これまで、何度もプロデューサーを困らせちゃったけど」
真「泣けるくらいに、あなたの事が、好きなんです」
P「真……」
ああ。やっぱり、プロデューサーは困った顔をしてる。
自制しきれなかった事を思わず悔やんでしまう。けれど、もう後の祭りだ。
夏の夜空には、ナツノハナ。
先ほどまで味方だと思っていた花火は、鮮やかに空を彩ると、役目を終えたように散ってゆく。
たまらず、逃げ出したくなってしまった。
力の入らない足で、プロデューサーから離れようと背を向ける。
真「す、すみません!」
P「……! ま、真」
ボクは馬鹿だ。どうしてあんな事を言ってしまったのだろう。
分かっていたのに。プロデューサーを困惑させるだけだって、知っていたのに。
抑えようとしても、出来なかった想いが、ゆっくりと溢れて止まらない。
真「こんなに……好き、なのに……」
とうとう、砂利にぺたりと座り込む。
限りあるこの時間の中で、ただ、隣で笑っていたかった。
ただ、想い続けていられれば、それで良かったのに。
欲張ったばかりに、ボクは失ってしまう。
初めての恋が、この手からすり抜けてゆく。
P「真……!」
背後から、プロデューサーの声が聞こえる。
きっと、怒っているだろうな。ずっと、迷惑ばかり掛けてきたのだから。
真「ぷろ、でゅーさー」
忘れてください、と言おうとした。
でお、言葉がつかえて出てこない。みっともなく泣きじゃくる。
その時、背中に暖かく、大きなものに包まれるような感触があった。
P「ごめんな……真」
耳元で、プロデューサーが囁く。
どうして謝られるのだろう。困らせたのはボクの方なのに。
P「俺だって……、どうすれば良いか。わからなかった」
真「…………」
P「真を傍でずっと見ている内に、俺はお前に惹かれていた。憧れてさえ、いたかもしれない」
真「プロデューサー……?」
P「間違った事だって、言い聞かせてきたけど」
P「もう、無理だよ。真」
P「俺もお前のこと、好きだ」
真「……!」
振り向こうとした瞬間、唇が、優しく、柔らかなものに塞がれる。
ファーストキスはレモンの味だと聞いたことがあったけれど。
でも、それは間違いだ。だって、こんなにも甘くて、ちょっとしょっぱい。
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