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    元スレちなつ「仕方ないから傍にいてあげる、あかりちゃん」

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    152 = 64 :

    153 = 96 :

    うわああああああ

    155 = 111 :

    ちなつ「なに?」

    小さい声で答えると、「やっぱりもうちょっと話してたいなって」
    あかりちゃんも同じ、小さい声でそう言った。

    ちなつ「……あかりちゃんって結構甘えん坊だよね」

    あかり「そ、そんなことないけど……!」

    そんなことすごくあるよ。
    私は軽く笑って、起き上がった。

    156 = 147 :

    きたーー!!

    157 = 140 :

    来てたか

    158 = 111 :

    ちなつ「あかりちゃん、そっちいっていい?」

    あかり「え、いいけど……」

    その返事に、私はさっきのあかりちゃんと同じようにいそいそとあかりちゃんのいる布団に移動した。
    「一緒に寝てくれるの?」と嬉しそうなあかりちゃんに、「こっちのほうが話しやすいもん」と変な言い訳のようなこと。

    あかり「えへへ……」

    そんなに大きな布団ではないから、いつも以上に私たちの距離が近くなる。
    そういえば昔もこんなふうに一つの布団で寝たことがあるけど、高校生になった今は身体が成長したせいかほとんどくっつかなきゃいけない状態だ。

    159 = 111 :

    夜のテンションというやつと、そしてそのことも相俟ってか私はえいっとあかりちゃんの足に自分の足を絡めてみた。
    あかりちゃんが「きゃあ」と笑い反撃してくる。

    あかり「ちなつちゃんの足冷たいよぉ」

    ちなつ「あかりちゃんの足だってー」

    小さい子供みたいに布団の中でもぞもぞと足を絡めあう。
    こんなことをするのだって本当に久し振り。ついおかしくなって噴出したのは、ほとんど同時だった。

    161 = 111 :

    あかり「も、もう……ちなつちゃんのせいでちょっとだけ目覚めちゃった」

    ちなつ「むしろ感謝するとこでしょー」

    向き合ったまま、絡めた足は徐々にお互いの体温で温かくなっていく。
    こんなふうに一緒にいられるのはあかりちゃんだけなのだと、ふと、そんなことを改めて思った。

    どれだけ高校の友達がいたって、どれだけ結衣先輩が好きだって、どれだけ――

    布団の中を探る。見つけた手を、私はそっと握った。
    「どうしてかなぁ」とあかりちゃんが言う。

    あかり「どうして、ずっと一緒にいられるって思っちゃってたんだろう」

    162 = 111 :





    ――寂しいよ、ちなつちゃん




    164 = 111 :



    あかりちゃんにどこに行くの、と初めて訊ねたのは三年生になって何度目かの進路調査のときだったと思う。
    それまでも何度か受験や高校の話はしていたけど、具体的に学校名を訊ねるのは初めてで。

    その時は、別になんとも思わなかった。
    あかりちゃんの口から私じゃ冗談でも言えないような学校名が出てきたことに対して、
    わあ、あかりちゃんはやっぱりかしこいもんね、なんて。
    ただ、すごいなあと、そんなふうに考えただけで。

    きっと、よくわかっていなかったんだと思う。

    166 = 111 :

    私も、あかりちゃんと同じだった。
    一緒にいることが当たり前すぎて、学校が違ったって一緒にいられるなんて、そんなふうに思っていたのだろうか。
    だとしたら私はきっととんでもなくバカで。それとも私の感覚がマヒでもしていたのだ。

    「じゃあ、また明日ねあかりちゃん」

    「うん、また明日、ちなつちゃん」

    離れるということがどういうことなのか、ちゃんと気付いたのは高校に入学してしばらく経ってからのことだった。
    卒業式の日、その言葉で私たちは別れた。
    言わなきゃいけなかったさよならだったりありがとうだったりは、言うことなんてできなかった。そんなこと、思いもよらなかったから。

    けじめなんてつけられなかった。だから私たちは今でも、お互いに寄りかかったまま。

    168 = 111 :

    まだ、朝とは言えない明け方。
    カーテンの外はけれど少しずつ白みかけていて、雨はもうすっかり止んでいるのだとわかった。
    まだぼんやりしている頭で、気持ち良さそうに寝息をたてているあかりちゃんの寝顔を見詰める。

    あかりちゃんだったら、よかったのに。

    ふと、そんなことを思った私自身に驚いた。
    結衣先輩じゃなくってあかりちゃんだったら、なんて。でも、と言い訳するように私は枕に顔を埋め、そしてずっと握ったままだった手の
    力を、さらに強くした。

    でも、結衣先輩には触れられない。
    こうやって触れられるのはあかりちゃんだからだ。

    169 = 111 :

    ちなつ「……」

    そういえば昨日、結衣先輩にメールしてない。
    気付いたのは、あかりちゃんが目を覚ましてすぐだった。

    あかり「んん……っ」

    ちなつ「……あ、あかりちゃん」

    おはよ、と声をかけると、あかりちゃんは寝ぼけ眼のまま「おはよぉ」と答えた。

    175 = 111 :

    ―――――
     ―――――

    トーストと牛乳だけの朝ごはんを済ませ、昨日のうちに乾かしておいたそれぞれの制服に腕を通す。
    違う制服というのが少し変な感じだけど、そのことに違和感を感じることもだいぶなくなっていた。

    ちなつ「あかりちゃん、次の電車じゃなきゃだめなんだっけ?」

    あかり「うん、ちなつちゃんは?」

    ちなつ「私はその次の電車でも間に合うから平気」

    あかりちゃんの学校よりも、私の学校の方が比較的近い。
    「そっか」とあかりちゃんは言うと、先に靴を履いて玄関を出た。
    鍵をかけて追いかけると、あかりちゃんは「ごめんね、朝の時間までつき合わせちゃって」と申し訳なさそうに。

    177 = 111 :

    >>175
    ちなつ「私はその次の電車でも間に合うから平気」
    ちなつ「私はその次の電車でも間に合うから平気なんだけど」

    179 = 57 :

    さるったのか

    180 = 111 :

    ちなつ「私もたまには早く行きたいからいいよ」

    あかり「そっか」

    それに。
    あかりちゃんは学校の用意を取りに帰ることはせずに、一緒にいてくれようとした。
    話すことは、まだまだ沢山ある。ありすぎて、間に合わないくらいだから。
    私たちはそこからただ、黙って駅までの道のりを歩いた。

    駅に近付くにつれて、朝の空気が濃くなってくる。
    ざわざわとした改札口の近くで、私たちは立ち止まった。

    183 = 64 :

    一応さるよけ

    184 = 111 :

    向き合って、そのまま、私たちはなんと声をかけるべきか迷いあぐねていた。
    少なくとも私はそうで。

    ちなつ「……」

    あかり「……」

    絶対に会えなくなるわけじゃない。
    会おうと思えばいつでも会える。けれど会おうと思わなきゃ私たちはもう会えないのだ。

    じゃあ、また。
    正しい、正しくないというのはもうこの際きっと関係ない。じゃあ、また。そう言おうとした私をけれど、あかりちゃんはいとも容易く止めてしまった。

    185 = 111 :





    ちなつちゃん。
    あかりね、やっぱりだめだよ。ちなつちゃんと、ずっと一緒にいたい。



    187 = 111 :



    それはこの朝の空気には似合わないような、熱を孕んだ、言葉。
    私は視線を逸らした。あかりちゃんも、視線を逸らした。
    今度は、また明日も、じゃあまたも、なにも言えなかった。
    ただずっと、心の奥が締め付けられるような感覚に苦しさを覚えて、そして、私は。

    189 = 111 :



    京子と会ったんだ。

    ぼんやりとした頭に入ってきた結衣先輩の声は、確かにそう言っていた。
    私は「え?」とトレーに敷いてある紙に落としていた目を上げ、結衣先輩を見た。

    結衣「……なんかあいつ、べつになにも変わってないんだけど、なんていうか、その」

    そう言いあぐねている結衣先輩は、ひどく心配そうで辛そうで。
    そのことに、先輩自身はきっと気が付いていない。

    192 = 111 :

    あかりちゃんとは、お泊りの日以来もう数週間は会っていなかった。
    結衣先輩の陸上部の大会も終わって(結果は四位という微妙な位置だった)、また一緒に帰る日が増えたこともある。
    けれど、なによりあの日最後のあかりちゃんの言葉がずっと頭から離れないというのがきっと一番大きい。
    高校生になってから会わない日のほうが多かったはずなのに、しばらく会う日が続いてしまえば会わないことに少なからず変な気分を感じてしまう。

    ああ、だからだろうか。
    これもきっと、罰があたったのかもしれない。

    ちなつ「そ、そうですか……」

    彷徨う視線をとらえられないように、私は俯いた。
    いつもならなにか違う言葉を繋げられたのかもしれないけど、今はそれが精一杯だった。

    197 = 111 :

    ―――――
     ―――――

    時々、チカチカと光る携帯。
    メールボックスには未読のメールがたまっているけど、返事が返ってこない事を察したのだろう、ここ数日はもう新しいメールが入ってくることは
    なかった。

    ちなつ「……」

    あかりちゃんだったら。

    ふと、そんなことをまた、考えてしまう。
    あかりちゃんだったら、良かったのに。あかりちゃんだったら、私たちは、私は、こんなふうな気持ちにならなくてもよかった――のかどうかは
    やっぱりわからないけれど。

    199 = 111 :

    『ちなつちゃんのこと、ちゃんと好きだから』

    別れ際、最近よく、結衣先輩はそう言ってくれる。
    優しい声で、好きだと、そう囁いてくれるのだ。

    嬉しかったし、嬉しかったけど、「私もです結衣先輩」なんて答える気には到底なれなくて。
    それは奥底に京子先輩の影を感じるからなのか私自身が結衣先輩のことを――きっと、そんなわけはない。
    それでも結衣先輩への気持ちは確かでも、でも、なにか違う。そう思う私はなにが違うのか、わからなくて、だからよけいに、苦しくなって泣きたくなってしまう。

    その度に、傍にいてほしいと思うのはやっぱりあかりちゃんなのだ。

    200 :

    スレタイ「仕方ないからあかりちゃんの傍にいてあげる」にしろよ


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