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    元スレちなつ「仕方ないから傍にいてあげる、あかりちゃん」

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    タグ : - ちなあか + - ゆるゆり + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    1 :

    結衣「ちなつちゃん、大丈夫?私が持とうか?」

    ちなつ「ええ、そんな、平気です!結衣先輩は座っててください!」

    結衣「それくらいさせてよ、私たち、その、付き合ってるんだから、さ」

    きゅん。大袈裟なんかじゃない、本当に胸の奥がそんなふうに締め付けられて私はいてもたってもいられなくなってしまう。
    だってこれは夢じゃないのだ。私の夢でも、妄想なんかでもない。紛れも無い現実で。
    「そそそ、そんな、こんなところで……!」なんて一人じたばたしているうちに今買ったばかりのハンバーガーを乗せたトレーをひょいっと
    取り上げ結衣先輩が席を探しに歩いていく。その背中まで凛々しくてかっこいい。本当に、すてきだ。

    ちなつ「あぁん、結衣せんぱぁあい」

    慌てて追いかけながら、私は幸せな気持ちだけに浸っていく。
    本当に、すてきなのだ。私はきっと、今、世界で一番の幸せ者。

    2 :

    きゅん。って表記久々に見てなんか笑った

    支援

    3 = 1 :

    中学生の頃からずっと好きだった先輩と付き合い始めたのは、高校生になってすぐだった。
    告白したのは、結衣先輩が卒業する日。そしてその返事をもらったのが私が卒業する日。約一年越しだったから、もちろん戸惑った。
    ほとんど、諦めかけていたのだから。それが今こうして誰よりも近くにいられるのだ。

    ちなつ「……ふふっ」

    結衣「ちなつちゃん?どうしたの?」

    ちなつ「い、いえっ、ただ、すごく嬉しいなあって……」

    ちょうど放課後真っ盛りで小腹の空いた同じ学校の生徒でごったがえしている店内。
    その奥のあまり目立たない位置にある席に向かい合って座りながら、私はついニヤニヤとしてしまう。
    そんな私を見て、結衣先輩は「そっか、よかった」と優しく微笑んでくれた。

    4 :

    ちなあか久しぶりだな

    5 = 1 :

    結衣「ごめんね、最近あんまり一緒に帰れなくて」

    結衣先輩は高校生になってから、陸上部に所属するようになった。足が速いから、きっと結衣先輩にはぴったりだと思う。
    いつも凛々しくて時々可愛くて、こんなにも優しい先輩でおまけにスポーツだってできちゃって――だからもちろん、先輩のファンが沢山いるわけで。
    今だって視線を感じるのは気のせいじゃない。そしてこの視線が私に向けられてると思うほど、私だって自意識過剰ではないのだ。
    その視線は同じ女の子だったり、たまに男の子だったりもして。気にしちゃいけないとわかってはいても、どうしても気にしてしまう。

    ちなつ「し、しかたないですよ!もうすぐ大会、あるんですよね?私、ぜったい!見に行きますからね!」

    視線たちを振り払うように私はぶんぶんと首を振って言った。“ぜったい”に力を込めたおかげか、結衣先輩が「ありがとう」とおかしそうに
    笑ってくれた。
    これだけで、とてつもなく私の心は満たされていく。いいなあ、やっぱり。

    6 :

    ちなあかと聞いて

    7 :

    ちなあか!
    ここから?

    9 :

    アッカリン出てこねえwwww俺に見えてないだけか?

    10 = 1 :

    好き。
    何度となく、心の中で囁く。声に出しては言えないけれど好きなんですと、このどうにかなりそうなくらい大きな気持ちが結衣先輩に伝わって欲しい。
    そして、その優しい笑顔のままぎゅっと抱き締めてほしい。「大丈夫、私もだよ」なんて、そんなふうな言葉でキスして――
    そんな欲求が少しずつ、私の中に溜まっていってしまうけれど。

    結衣「今度の大会、さ」

    ぽつりと結衣先輩が漏らした。
    私は「はい?」と顔を上げる。結衣先輩はハンバーガーの最後の一口を飲み下すと、「すごく、大事だから」
    まるで言い訳するみたいな口調。私は「……はい」とまた小さく頷いてみせた。そんなこと、わかってます。そんな意味を、必死にこめて。

    ちなつ「私のことなんて気にしないでください、結衣先輩の走る姿、とってもかっこいいし!」

    11 = 1 :

    それにそれに、私の先輩なんだよってみんなに自慢しちゃえますよ!
    つい、早口になってしまう。あまり目立たないようにぼそぼそと話していたのに、これじゃあ意味がない。案の定周囲がざわついてしまって、
    結衣先輩が少し焦ったような表情になった。

    結衣「う、うん、ありがとね」

    ちなつ「……あ、す、すみません」

    慌てて声を小さくして身体まで萎縮させると結衣先輩は「嬉しかったから」とそう言ってくれるけど。俯いて見えないし、見たくもないけれどその表情はきっと
    苦笑に近いだろう。

    結衣「……そろそろ、出ようか」

    13 = 1 :

    こくん、と頷く。それから空になった袋をのせたトレーを持ち上げようとして、結衣先輩がまたもや私からそれを取り上げてしまった。
    「ちなつちゃんは先に出てて」
    そんな言葉を残して、私に背を向ける。

    ちなつ「……はい」

    もう一度、こくんと頷いた。

    14 = 1 :


    そろそろ夏も終わりに近付いていた。
    高校初めての夏休みは終わって二学期が始まり、ようやく狂っていた生活リズムが治ってきた頃。
    日が暮れるのも随分と早くなってきた。残っていた暑さもやがては寒気に変わってしまうと思うと、自然と身体がぶるっと震えてしまう。

    明るい店内から一歩出て、ぼんやり空を見上げた。
    オレンジ色はほとんどなくなり、だんだんと濃い暗さが見え始めている。これからこの季節が完全に終わってしまうまでは、結衣先輩と一緒に帰るチャンスは
    まったくと言っていいほどないだろう。夏休みに入る前もそうだったのだから、なんとなく予想はついている。

    私は結衣先輩の彼女だ。
    けれど、それでも私を一番に優先して、なんて言えるはずもない。結衣先輩は何にでも真面目だから、勧誘されて入ったとはいえ中途半端に活動するなんてはずないのだし
    そんな結衣先輩だから私はよけいに好きになった。最初は確かに一目惚れに近かったのかもしれないけど。

    15 :

    いつものちなあかの人か

    16 = 1 :

    結衣「それじゃ帰ろっか、ちなつちゃん」

    ほどなくして結衣先輩も店内から出てくる。私はぱっと振り返って「はい!」と出来るだけ明るく笑ってみせた。
    今日こうやって一緒に帰れたのはほんの偶然だ。
    たまたま結衣先輩たちの使っている練習場所が昨日降った雨でぐしゃぐしゃになっていたりしてオフになったのだという。それで校門を出たところで一緒になって。

    最近はメールばかりだったから、とても嬉しかった。
    だから暗い気持ちばかりになっていてはだめなのだ。こうやって先輩と寄り道もできたんだから、いいに決まっている。

    ちなつ「結衣先輩」

    結衣「うん?」

    欲張りなんて、しちゃいけない。
    私は少し先に立って歩く結衣先輩を呼び止めて。そして顔を振り向かせた結衣先輩の手に、自分の手を滑り込ませようとして。
    欲張りなんて、しちゃいけない。

    17 = 2 :

    京子ちゃん…

    18 = 1 :

    ちなつ「……あ、明日は晴れるといいですね!」

    結衣「今日も晴れてたけどね」

    小さく笑いながら、結衣先輩が言う。私も「それもそうですね」と笑い返しながら。
    知っているのだ、結衣先輩が周囲の目を気にしていることくらい。ずっと見ていたのだから、結衣先輩を。
    そんなこと、わかりきっている。だから私の気持ちをがむしゃらに押し付けてはいけない。それが少しばかり、苦しいけど。

    でも、仕方ない。
    結衣先輩は私を選んでくれたのだ。だから、自信を持ちなさいチーナ!

    19 = 1 :

    結衣「明日、雨が降ったらまた一緒に帰ろうか」

    ぽつり、と結衣先輩がそう言って。
    たったそれだけ。なのに私の心はふわふわと宙に浮いたような感覚に陥ってしまう。はいっ、と今度は元気たっぷりに頷いた。

    ―――――
     ―――――

    私の通う高校は、最寄の駅から数駅離れた場所にある。比較的にコンビニや大きなお店が立ち並んでいるところだから、寄り道はしやすい学校だと思う。
    けれど一人で帰るときはどうしてもどこか寄ろうという気はしなくて、いつもはさっさと学校を出て駅に向かうのだけれど。
    その次の日、なんの気紛れかふらりと近くの雑貨屋に入った。

    雨が降ったときのために傘を持って来ていたけど残念ながら降らなくて、だから私は結衣先輩と一緒ではないけど結衣先輩のことを考えながら
    先輩の応援をするためになにか購入しようと思ってのことだった。

    21 = 1 :

    先輩がいない日、私はいつも一人だ。
    クラスに馴染めていないわけでもないし、ましてやいじめられてるわけなんてない。むしろその逆で、どちらかといえば高校生活を楽しんでいるほうだろう。
    けれど同じ方向に帰る子はいないし、いたとしてもあまり一緒に帰りたいとは思えない。

    雑貨屋を一通り見たあと、無難だけど可愛いスポーツタオルを購入して店を出た。
    まだあまり遅くはない時間だからか、夕日は明るく照らしてくれている。雑貨屋のお洒落なピンクの袋を提げ、私は溜息を吐いたあと歩き出す。
    携帯で時間を確認する。電車はさっき行ったばかりだろう。帰宅部は放課後の電車の時間がなぜか自然と頭に入っているのだ。次に来るのはだいぶ先。
    ここから駅まではそう遠くないから、駅でだいぶ電車を待たなければならないだろう。どうしようかな、ぼんやりそんなことを考えていると。

    ちなつ「……あかりちゃん?」

    自然とそんな声が漏れていた。

    22 = 1 :

    >>21
    >まだあまり遅くはない時間だからか、夕日は明るく照らしてくれている。
    →まだあまり遅くはない時間だからか、夕日は周囲を明るく照らしてくれている。

    23 = 4 :

    しえすた

    24 = 1 :

    自然とそんな声が漏れていた。
    ふと視線を上げて、少し前のほうに見覚えのある後姿が見えたから。呟いた声は、きっと遠すぎて聞こえない。けれど、確かにあかりちゃんだ。
    たとえばあの頭のお団子や、あの歩き方。あかりちゃんに違いない。私はそう確信して、もう一度大きな声で「あかりちゃん!」と名前を呼ぶと
    走り寄った。

    あかり「え、ちなつちゃん?」

    振り向いたあかりちゃんは、目を丸くしつつも突然の私の突撃を受け入れてくれた。
    しばらく誰にも触れていなかったから、誰かの体温がひどくあったかい。

    25 = 1 :

    あかり「わぁ、ちなつちゃんだ!」

    ちなつ「あかりちゃん、久し振り!」

    きゃあきゃあと路上で喜び合えるのは女子高生の特権だと思う。言葉どおり本当に久し振りだから、つい声にまで嬉しさが溢れ、自然と握り合った手の
    力まで強くなる。

    ちなつ「え、どうしたの?あかりちゃん、なんで?」

    同じような問い掛けばかりになってしまう。
    積もりに積もった話だって沢山あるけれど、とりあえずあかりちゃんがどうしてここにいるのか訊ねるのが先だ。

    26 = 2 :

    JKあかり

    27 = 15 :

    OLあかねさん

    28 = 1 :

    中学校の頃、ずっと一緒に居たあかりちゃん。
    高校が離れてしまった今でも変わらず連絡を取り合ってはいるけれど、実際会ったのは入学式の日、お互いの制服を見せ合った以来だからかなり久々だ。
    あかりちゃんが行っている学校は確か、京子先輩と同じのはずだ。そのとおりセーラー服で、県内でもかなりトップクラスの高校に通っている。
    私はとてもじゃないけれどそんな学校には手が届くはずもなくて、おまけにぎりぎり受かるか受からないかの学校に結衣先輩がいたから追いかける目的で今の学校に入学した。

    ちなつ「なにかバイト?」

    言ってから、そんなはずはないと思い当たる。あかりちゃんの学校は確かバイトが禁止のはずだし、そもそも勉強でそんな時間なんてないと聞く。
    あかりちゃんが校則を破ってバイトするはずなんてないし。京子先輩ならありえるかもしれないけど。

    そういえば、どうして中学背の頃あんなに仲の良かった結衣先輩と京子先輩が違う学校に行ったのかはよくは知らない。
    「船見さんと歳納さんって、かなり仲いいよね……」
    ただ、二人の噂は時々私も耳にしていたから。
    そして、その噂が大きくなるにつれて二人がだんだん余所余所しくなっていく様子も見ていたから、だからなんとなくはわかっている。

    結衣先輩がどうしても噂を気にしてしまう理由だってわからないでもないし同じようなことになって結衣先輩を苦しめたくない。
    そしてそれでも結衣先輩は私と付き合うと言ってくれたのだし、ちょっとくらい我慢しなくちゃと私が思うのは、そういう理由もあるから。

    30 = 1 :

    あかり「あ、ううん、そうじゃないんだけどちょっと買物しようと思って」

    あかりちゃんが慌てて首を振る。
    そういえば、あかりちゃんたちの学校の周辺にはあまり高校生が寄り道できそうな場所はない。だからよくうちの学校の制服以外の学生の姿も見るので違和感は感じなかった。
    あかりちゃんはそれから、少し言い難そうに視線を迷わせたあと、「ちなつちゃん、今時間あるかなぁ」と。
    あかりちゃんから誘ってくるなんて珍しい。そうは思いながらも、私はあるよ、と頷いた。


    昨日と同じファストフード店の、結衣先輩と座った同じ席にあかりちゃんと一緒に座った。
    改めてあかりちゃんと向かい合ってみると、やっぱりしばらく会っていなかったせいで少し緊張したけれど、なにか適当な話題を見つけて話していれば
    もう最初のほうの「なにを話せばよかったっけ」という雰囲気はすっかりなくなってしまった。きっと、ずっと一緒にいたから。

    31 = 2 :

    鬱展開になりませんように…

    33 = 1 :

    私もあかりちゃんもお互いに、掴むべき距離感が見付かったみたいだった。

    あかり「えへへ、やっぱりちなつちゃんと話してると楽しいなぁ」

    ちなつ「そう?」

    あかり「うん、すごく楽しいよぉ」

    ちなつ「ありがと」

    真直ぐな言葉は相変わらず変わっていない。「私も楽しいよ」こうして答えられるのは私が大人になったからだろうか。
    それでも少しは照れるけど。あかりちゃんがそれを聞いて嬉しそうな笑みを溢したから、この恥ずかしさもまあいいかな、なんて思ってしまう。
    食べかけのポテト。これは二人で割り勘して、一番大きなサイズのものを買った。それをつまみながら、私は頬杖をついてあかりちゃんにぽつりぽつりと結衣先輩とのことだったりを話す。
    あかりちゃんの笑顔を見て、なんだか中学生の頃に戻ったみたいな錯覚に陥る。ただ一つ、昔と違うのは私と結衣先輩の関係だろうけれど。

    34 = 1 :

    卒業式の日、結衣先輩から来たメール。
    それを見て大いに戸惑った私の背中を押してくれたのは、ほかでもないあかりちゃんだった。
    どうして今さら、と思って中々踏ん切りがつかない私に、あかりちゃんは「それでもまだ結衣ちゃんのことが好きなんだよね?」と、普段と違う強い口調で。

    あかりちゃんは私のどんな話もちゃんと聞いてくれる。
    こくこく、と頷いて、時々一緒に笑ってくれたり一緒に悲しそうな顔をしてくれたり。あかりちゃんは今も昔も変わらず聞き上手だ。

    けれど。

    ちなつ「あかりちゃんは、どう?」

    あかり「え?」

    ちなつ「学校。楽しい?」

    35 = 1 :

    私ばかり話すのはあかりちゃんに悪い。私もそれくらいわかるくらいには大人になったはずで。本当のことを言えば、だんだん話すことに
    飽きてきたからなんだろうけど。
    訊ねると、あかりちゃんはそれまでの楽しそうな顔から一気に困ったような顔になった。

    あかり「あ、ええっと……」

    入学してからすぐは、あかりちゃんも新しい生活に慣れないながらも楽しんでいたみたいだったけど。
    この表情から察するに、今はあまり楽しくはないのだろうか。

    あかり「楽しいのは、楽しい、かなぁ」

    ちなつ「あー、あかりちゃんのとこ、勉強とかすっごい大変そうだもんね」

    36 = 2 :

    保って守るよ

    37 = 1 :

    フォローをいれるようにそう言うと、あかりちゃんは「うん」と頷いた。その表情は笑っていたみたいだけど、とてつもなく疲れているように
    思えた。
    あかりちゃんのこんな顔を見るのは初めてで、私は少しだけ戸惑ってしまう。

    私だけじゃない。あかりちゃんだって大人になったのだ。たった半年くらいしか、経っていないけれど。
    そうは思っても、少しだけ、戸惑ってしまうのだ。

    あかり「勉強のことも、あるのはあるんだけど……」

    ちなつ「違うの?友達いない……わけはないよね」

    あかりちゃんのことだから、友達ならすぐにでも作れそうだ。
    けれど、あかりちゃんは「いないというか……」と言葉を濁した。

    38 :

    ・・・まさかっ

    39 = 1 :

    ちなつ「い、いじめられてる!?」

    あかりちゃんの様子に、まさかとは思いつつガタッと椅子を蹴って立ち上がった。
    周囲の視線が一気に集まった気がするけれど、気にしない。
    あかりちゃんは「ええ!?そ、それはないけど」と困惑したような表情をしたのを見て、私はほっとして椅子に座りなおす。
    とりあえず、それだけで安心した。

    ちなつ「あかりちゃんをいじめられるのは私と京子先輩だけだもんね」

    あかり「それってどういう意味で!?」

    ちなつ「いい意味でだよ」

    41 = 2 :

    つまりこれはデキてますね

    42 = 29 :

    しえん

    43 = 29 :

    さるったかな

    44 = 1 :

    いい意味もなにもないよぉと膨れるあかりちゃんを見るのが久し振りすぎて、逆に新鮮に思える。
    もうちょっとこんなあかりちゃんを見ていたい気もしたけれど、ふとあかりちゃんは真顔に戻って。

    あかり「あかり、あの学校合わないのかなぁ」

    今度は私が「ええ!?」と声を上げる番だった。
    真面目なあかりちゃんに、真面目な校風の学校だからぴったりだと思うのに。そう言うと、けれどあかりちゃんは「ううん」と元気なさそうに
    首を振った。

    あかり「たぶん、合わないんじゃないかなって……」

    46 = 1 :

    ちなつ「合わないって、人が?」

    訊ねると、あかりちゃんはこくっと頷いた。
    あかりちゃんがそんなふうに言うなんて、少し意外だった。けれどこれは悪口とかなんでもなく、あかりちゃん自身が本当に困っているからなのだということは
    なんとなく伝わってくる。

    あかり「なんかね、あかりだけ場違いな気がしちゃう」

    ちなつ「そんなことないよ、あかりちゃんかしこいのに」

    あかり「そ、そういうことじゃなくって」

    じゃあどういうこと、と。
    そう訊ねようとして、けれど私もあかりちゃんの言いたいことがなんとなくわかるような気がした。

    47 = 1 :

    浮いているわけでもない。友達がいないわけでもない。
    けれど、やっぱりなんとなく違う、というような。妙な疎外感が、確かに私にも存在していて。

    あかり「……昔に戻れたらいいなぁ、なんて」

    そんなこと思っちゃうんだぁ、最近。
    あかりちゃんが苦笑交じりの弱弱しい笑顔を見せた。
    昔に戻れたら。その言葉に少なからずどきっとしてしまう。

    昔に戻ってしまったら、今結衣先輩との幸せな時間は振り出しに戻ってしまう。
    けれど、時々、思うのだ。振り出しに戻って、この関係をなかったことにしてしまえたら、なんてこと。
    本当に時々、だけど。
    結衣先輩のことで苦しくなってしまったとき、どうしても、付き合うなんてなかったことにしてしまいたい、と。

    そして、ざわざわとした今の空気ではなく、大好きな友達ばかりに囲まれた、そして今こうして一緒に居るあかりちゃんの隣で、笑っていたいと。

    49 = 1 :

    だから私は、「ちょっとわかるかも」
    そんなふうにぽつりと漏らした。あかりちゃんが「ちなつちゃん、今すごく楽しそうなのに」と言うから、かき消すようにすっかり冷めてまずくなった
    ポテトに手を伸ばすけど。

    なんだか、落ち着かない。
    毎日が忙しすぎて、ちゃんとした気持ちは届かなくて、誰かのことを深く知ろうとする時間すらない。そんな気がして、どうしても落ち着かなくて。
    何もなくったってひどく楽しかった中学生の頃が懐かしくて仕方がない。

    あかり「……でも、ちなつちゃんも同じ気持ちならちょっと、嬉しいかなぁ」

    50 :

    京子ちゃんはあかりをほっとかないと思います


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