元スレちなつ「仕方ないから傍にいてあげる、あかりちゃん」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ☆
51 = 1 :
あかりちゃんはポテトの最後の数本に手を伸ばし、やっぱり私と同じようにぽつりとそう漏らした。
そういえば、こんなふうにあかりちゃんの話を聞くことはほとんどなかったことを思い出す。
いつも私が一方的で、そしてあかりちゃん自身ほとんど私に自分自身のことは話してくれなかった。そんなあかりちゃんがこうして話してくれているのだから、
少しでも力になりたいと思う。思ってしまう。
他の中学校の頃の友達にも時々会うけれど、「またメールするね」とか「また遊ぼうね」なんていう言葉が果たされることなんてほとんどない。
そういうものだと思うし、これからだってきっとそうなのだろうけど。
でも、離れたくない友達だって、いるのだ。
ちなつ「また今度、遊ぼうよ」
あかり「え、いいの?」
ちなつ「私、なんの部活も入ってないし。いつでも誘って」
昔から入る気満々だった茶道部は、結局入らなかった。それは諦めたとか飽きたとかそういう理由ではなく、ただうちの学校にその部活が
なかったからというだけなのだけど。
そしてあかりちゃんも今はなんの部活にも入っていないと聞いていた。
53 = 1 :
ごらく部なんてものを京子先輩がまた高校で作るのかと思っていたけれど、そんなことはなかったみたいで。
京子先輩は京子先輩でなにか別の部活に入っているらしいから、あかりちゃんも今はあまり話さないのだという。
というよりも、だんだんと結衣先輩と京子先輩の距離が離れていくにつれあかりちゃんや私との距離も微妙に変わっていってしまったから。
今では私も、京子先輩と連絡をとることはほとんどない。
あかり「えへへ、ありがとう」
私の言葉に、あかりちゃんは心底嬉しそうに笑ってくれた。
54 = 29 :
ちょっと切ない
55 = 1 :
◆
次の日から、徐々にあかりちゃんと会う時間が多くなっていった。
結衣先輩と一緒に帰れないこともある。というよりも、きっとそっちのほうが大きいけれど。理由としては、あかりちゃんだって同じだと思う。
寂しさの埋め合わせ。
ちなつ「あかりちゃん、今どこ?」
あかり『今、学校から出るところだよぉ』
ちなつ「じゃ、いつものコンビニのとこいるから待ってるね」
最近ではそんな通話も当たり前になってきていて。
いつものコンビニというのは、家の近くのコンビニだった。駅から家に帰る途中のあかりちゃんもちょうど立ち寄れる場所だから、
会いたいなと思ったときはそこで落ち合うことがほとんど決まりのようになっていた。
56 = 1 :
携帯の通話を切って、思うのは結衣先輩のこと。それから最近は徐々にあかりちゃんのことを思うことも増えてきた。
――たぶん、別に変な意味ではなくって。
中学生の頃からあかりちゃんも可愛かったけど、今はなんというか、やっぱりすごく大人びているように見える。
一度、あかりちゃんに訊ねてみたことがある。
「あかりちゃん、高校で好きな人できた?」なんて。
するとあかりちゃんは「い、いないよぉ」と少し赤くなっていた。昔のあかりちゃんなら、好きな人というのが恋愛としての意味だというのを
きっとよくわかっていなかったと思う。だから、そんな反応に、あかりちゃんもそういう恋愛ごとというのを意識しはじめたんじゃないだろうかとか。
57 :
しえしえ
58 :
入口のドアが開いて、私は新作のお菓子に伸ばしかけていた手を止めて顔を上げた。
あかりちゃんがきょろきょろとしているのが見えたので私はよいしょと鞄を背負いなおすとあかりちゃんに駆け寄る。
あかり「あ、ちなつちゃん」
あかりちゃんは私を見つけると、必ずと言っていいほど嬉しそうな顔をする。
それを見ると、私まで嬉しい気持ちになってしまうのだから性質が悪いというかなんというか。
一緒にいる時間が増えるにつれて、昔の思い出話より今についての話のほうが多くなっていく。
私とあかりちゃんの距離も、当たり前みたいにまた縮まっていって。
学校が違うことに、もどかしいくらいの距離に、いやになってしまう。仕方ないとはわかっていても。
結衣先輩のことで頭がいっぱいなのに、あかりちゃんといると、ただ、一緒にいるだけで心が満たされていってしまう。
そのことに気付いたのはもうすっかり秋の色が見え始めてきた頃だった。
59 = 58 :
そんなある日。
今日は結衣先輩と帰れるかな、という雨の日だった。雨はざあざあ降りで、そう簡単には止みそうに見えない。
放課後になっても、私はぼんやりと教室の机に座っていた。
結衣先輩からのメールを待ってるより、自分からメールした方が早いというのはわかっているけれど、
最近あかりちゃんと一緒にいるせいかメールする時間がだんだん減ってきていたために少し自分からメールするのが気まずかった。
最初の頃は、時々結衣先輩が教室まで迎えに来てくれていたからもしかして、なんて。そんな淡い期待を抱いていた。
突然、携帯が震えた。
ぱっと顔を上げ、携帯を覗き込む。
ディスプレイに流れた名前は結衣先輩ではなくあかりちゃんだった。
60 :
ちなあかはもっと増えるべき
61 = 58 :
ちなつ「あ……」
あかりちゃんから電話をくれるのは、そういえば珍しい。
なんだかんだ言いながらもあかりちゃんから電話をかけてくることもメールを送ってくることもなくて、遊ぼうと誘うのは専ら私のほうだった。
どうしよう。
私はその時、そんなふうに迷ってしまった。
別に悪いことをしているわけではない。
昔の友達と、また仲良くしているだけなのだから。
結衣先輩に対しても、悪いことをしているわけではないはずなのに。
罰が当たったような気がしたのはどうしてだろう。
ちなつ「……ゆい、せんぱい」
62 = 58 :
窓の外。
あの黒い傘は。その傘から覗く優しそうな笑顔、は。
間違いなく結衣先輩で。
どれだけ遠くたってわかってしまう。だって、いつでも結衣先輩の姿を追いかけていたのだから。
結衣先輩は誰かお友達と帰っているんだ、なんてわかってる。
私がメールすれば、結衣先輩はきっとここに迎えに来てくれた。それは確実だ。それ以外、ありえない。
けれど私がなにも動かなかったから。結衣先輩だってもう私が帰ってると思ったのだ、きっとそう。
ちなつ「……はい」
だから、私は携帯を開け通話ボタンを押した。
出た声は、少しだけ震えていたけどきっと、あかりちゃんにはばれていない。
63 = 58 :
>>62
>窓の外。
→ふと目をやった窓の外。
66 = 58 :
あかり『ちなつちゃん』
それに。
あかりちゃんの声のほうが、よっぽど震えていたから。
あかり『ちなつちゃん……あのね』
ちなつ「あかりちゃん……?」
あかり『……あのね、あかり』
その声が、いつもとは違ったから。
なにかあったのだということは、大体察しがついた。なにがあったのかは、わからないけれど。結衣先輩のことは気になるのに、きっとこのときだけは、
ただあかりちゃんのことを考えた。
67 :
あんたが書くSSは毎回京子ちゃんの扱い雑だから斜め読みしかしないけど
今回もひどいな
68 :
嫌なら見なければいい
ばいばい
69 = 58 :
ちなつ「あかりちゃん、今どこ?」
あかり『いつもの公園……』
いつもの、公園。
というのはコンビニの前にある小さい公園のことだろう。時々あそこのベンチで二人、おしゃべりをすることがある。今日はけれど、こんなにも
天気が悪いのに。
ちなつ「待ってて、すぐ行くから」
私はそう言うとあかりちゃんの返事も聞かずに通話を切り、それから鞄を手に持つと教室を飛び出した。
今だけは、今だけは、だ。今だけはただ、あかりちゃんのことだけを考えていたくて。
70 = 58 :
◆
電車を乗り継いで、雨で滑りそうになりながらも私はあかりちゃんのもとへ急いだ。
それでも息も切れ切れにあかりちゃんの言った場所に辿り着いたのは、その電話から数十分経った頃で。
ちなつ「あ……」
雨はますます強くなってきていた。
その中を走ってきたせいで、制服はすっかりびしょ濡れで。けれど、見つけたあかりちゃんの姿は、私なんか比にならないくらいに濡れて、
そこのベンチにただぼんやりと座っていた。
ちなつ「……あかりちゃん、風邪引くよ」
71 :
わざわざちなちゅに京子の悪口言わせたり京子の性格悪くしたりなら嫌だけど
出番ないくらいなら別に
72 = 58 :
なんて声をかけるべきかわからなくて、結局そんな当たり障りのない言葉になってしまった。
それでもなにかあったの、なんて単刀直入に聞くのは違う気もしたし、これが一番いいような気がした。
あかりちゃんの頭上にそっと傘を差し掛けると、あかりちゃんは「あ」とやっと気付いたかのように顔を上げて。
あかり「……ちなつちゃん」
ぼんやりとしたあかりちゃんの目が、徐々に私を捉えていくのがわかった。
それからおもむろにふらりと立ち上がって。
そんな自分自身にハッとしたように、あかりちゃんは「ちなつちゃん、あかりね!」と電話のときと同じような声でそう言って私の肩を強く強く掴んだ。
74 = 58 :
ちなつ「ちょ、ちょっと、あかりちゃん!?」
あまりに突然だったから、持っていた傘を落としてしまった。
それで結局、私たち二人ともが強い雨に打たれてしまう。これじゃあもう、傘の意味はない。
ちなつ「あかりちゃん、大丈夫だから、一旦落ち着いて」
こういうとき、私はどうすればいいんだろう。
ふとそんなことを考えれば、出てきたのはやっぱり結衣先輩だったことに少しだけ痛みを感じながらも。結衣先輩ならきっと、こんなふうに
優しくあかりちゃんに声をかけるはずだから。
あかりちゃんは、私の肩を掴んでいた手をのろのろと離すと、今にも泣きそうな顔で謝った。
あかり「ご、ごめんね……」
ちなつ「もう、すごくびしょびしょじゃない」
わざと私はそんなふうに言うと、落ちた傘を拾い上げてあかりちゃんの手を掴んだ。ぎゅっと。
それから、「帰ろう」と。私はそう言って、「ね?」とあかりちゃんを安心させるみたいに笑ってみせた。
75 = 58 :
―――――
―――――
びしょ濡れのままあかりちゃんを家に送り届けるわけにもいかなくて、まだ近い自分の家にあかりちゃんを連れて行った。
高校生になってからうちの親は一日中留守のことが多くなった。お姉ちゃんも今は一人暮らしだから、家には誰もいない。
だから私は「こ、こんな恰好じゃ上がれないよぉ」と慌てたように帰ろうとするあかりちゃんを引っ捕まえて無理矢理お風呂に放り込んだ。
ちなつ「着替えとかは適当に出して置いとくからね」
あかり「う、うん……」
ごめんね、と申し訳なさそうに言うあかりちゃんを無視して、私も乾いたタオルで自分の頭を拭う。
あかりちゃんよりは濡れていないので、私は後から入ればいいだろう。さすがに一緒に入るのは憚られたから、昨日出したばかりのストーブの前で
暖をとりながら思う。
77 = 58 :
あかりちゃんが出てきたのは数十分後、シャワーをあびてだいぶ自身を落ち着かせていたのだろう、私の身体もすっかり温まり、髪もだいぶ乾いてしまった頃だった。
「ちなつちゃん、ありがとぉ」と言ったあかりちゃんの表情は暗いものの、声はさっきよりもだいぶいつものあかりちゃんに戻っていた。
ちなつ「どういたしまして」
あかり「え、っと……」
うちに来るのはほとんど一年ぶりくらいだろうあかりちゃんは、久々に会ったあの日と同じように少しだけよそよそしい感じで部屋に
入ってきた。
その様子が少しおかしくて笑ってしまう。
78 = 58 :
すみません離席します
朝には戻る
79 = 57 :
そんなぁ
80 :
朝って離籍ってレベルじゃねえwww
81 = 68 :
なんだって……!!
82 :
俺は寝て3:50に勉強ずるからついでに保守する。朝まで勉強してるから
お前ら2:30持たせろ。それ以降はここは何分毎に保守ればいいんだ?
83 = 71 :
3日保守の悪夢を思い出してしまった
84 = 80 :
2回ほどあったよな
この人のSSでは
85 = 57 :
どうせ5時くらいまでは起きてる
86 :
夜ちゃんと寝るのはいいことだ
しえn
88 :
相変わら書きだめしてないのか
89 = 86 :
どうせ支援するならただ支援するより短いSSで埋めたくなるがゆるゆり読み込んでないので無理だorz
90 :
保守目的だとしても乗っ取り紛いの行為はやめておけ
91 = 71 :
保守するくらいなら原作読み込んでこい
1ページ1分はかけてじっくりとだ
95 :
む
96 :
今追いついたと思ったら朝までないなんてやだー!いいところだったのにー
97 = 82 :
えんご
98 :
ひ
99 = 64 :
ほ
100 = 98 :
逃さん
みんなの評価 : ☆
類似してるかもしれないスレッド
- あかね「こんなはずじゃなかったのに」あかり「!?」 (175) - [58%] - 2012/2/10 22:30 ★
- ちなつ「あかりちゃんってぶん殴りたくなりますよね」 (116) - [56%] - 2013/3/22 14:45 ○
- まどか「からあげにレモンかけといたよほむらちゃん!」 (227) - [55%] - 2013/12/21 8:30 ☆
- ちなつ「あかりちゃんの泣き顔がクセになっちゃった」 (124) - [54%] - 2013/11/3 10:15 ☆
- まどか「クールになりたかったほむらちゃん」 (115) - [53%] - 2013/11/9 17:45 ○
- まどか「わたしの初恋のひと、ほむらちゃん」 (286) - [53%] - 2011/8/26 14:00 ★
- まどか「かっこつけられないほむらちゃん」 (204) - [52%] - 2011/8/26 20:15 ★
- まどか「ほむらちゃんのぬいぐるみつくっちゃった」 (1001) - [52%] - 2011/8/11 1:00 ★★★
トップメニューへ / →のくす牧場書庫について