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    元スレ京子「歳納京子です。今日からこの学校にお世話になります」

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    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 : ★★
    タグ : - ゆるゆり + - 結京 + - 遊戯王 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    51 = 1 :

    結衣「引越し、引越し……か」

    結衣「また、私を置いて、どこか遠くに行っちゃうのか?」

    結衣「今度はどこに行くんだよ。ずっと、ずっと遠くなのかな」

    結衣「……なんで」

    結衣「なんでだよ……!」

     具体的な話を聞いて、引越し、それが現実だということをつきつけられた。 

     この枕は、どれだけ私の涙を吸ってきただろう。

    結衣「嫌だ……嫌だよ……」

     泣き虫な私なんて私らしくない、そう自分に言い聞かせても、もう止めることはできなかった。

    52 = 1 :

    結衣「えっと……前教えてもらった住所だと……うん、あれか」

     引越しの日の前日。

     私はちょっと迷いながら、そのアパートを何とか発見した。

     見るからに古くて、京子さんには似つかわしくなかったけれど。

    結衣「2階だったな、えーと」

     部屋番号を確認した後、携帯を見て時間を確認。

     まだ昼前というにも早いような時間だった。

     早すぎるかもしれないけど、でも、いいんだ。もうあまり時間はないんだから。

     たくさんお話して、一緒にご飯食べて、一緒に寝て。明日は笑顔で見送ろう。

    結衣「京子さーん?」

     呼び鈴を鳴らして、ドア越しに声をかける。

     ……反応はない。

     まだ寝てるのかな、さすがに昼過ぎくらいにした方がよかったかな……

     と、その時。ものすごく嫌な予感が、頭の中を貫いた。

    結衣「……まさか、あいつ」

    54 = 25 :

    ゴクリ

    55 = 1 :

    結衣「なに、やってんだよ」

    結衣「なにやってんだよあいつは」

    結衣「なにやってんだよ、私は……!」

     嫌な予感は、見事に的中した。

     管理人室に言って確認すると、

    管理人「ああ、あの金髪の子ねぇ」

    管理人「今朝早く、ああ、まだ早朝だよ、お世話になりました、って挨拶してね」

    管理人「荷物なんかもトラックに積み込んでね……」

     また、あの時と同じだった。

     日程をごまかして、嘘ついてまで、

     1人で、行ってしまった。

     きっと、遠く。ずっと遠くへ……

    56 = 1 :

    結衣「あの時と同じじゃないか……」

    結衣「早く気付けばよかったんだ」

    結衣「京子……」

    結衣「あれが京子じゃなきゃ誰だってんだよ」

    結衣「こんなに、私の心を引っ掻き回しておいて」

    結衣「勝手に……」

    結衣「京子ぉ……!」

    57 = 39 :

    追えー!

    60 = 1 :

    結衣「……ただいま」

     あれから、あちこち走り、探し回った。

     最寄の駅、学校、クリスマスデートで一緒に歩いた道……

     でももう、どこにも、その姿を見つけることはできなかった。

     諦めて……いや、諦められるはずも無かったけれど。

     ふらふらになりながら家に帰ったときにはもう、夕方も過ぎた時間だった。

    結衣「あらおかえり。どうしたの、最近元気ないみたいだけど」

    結衣「ん……」

    結衣「だからね、今日はご馳走作ったの。しっかり食べて元気出しなさい」

     とてもじゃないけれど、そんな気分になれなかった。

     部屋に閉じこもって泣き明かしたかった。

    61 :

    結衣・・・・・・・・・

    62 = 1 :

    結衣「ああ、それとね」

    結衣「お部屋に、お友達からのプレゼント? があるわよ」

    結衣「……え」

    結衣「大事なお友達からだと思うわよ?」

    結衣「それって……!」

    63 = 1 :

     もしかして。

     もしかして、京子から何かが。

     でも。

     そんな、最後の贈り物みたいなモノ、私は欲しくないのに。

     私が欲しいのは……!



     お母さんがまだ何か言っていたみたいだけど、ほとんど聞こえなかった。

     とにかく自分の部屋に急いで、ドアを思い切り開け放った。

     そこには。



    京子「よ、結衣ー」

    65 = 39 :

    きたあああああ

    66 = 1 :

    結衣「きょう、」

    京子「うん?」

    結衣「こ?」

    京子「うん、京子ちゃんだよ?」

    結衣「うぁ……」

    京子「ちょ、ちょっと結衣!?」

     視界が狭い、暗い、はっきりしない。

     一体何が何なのか……

    京子「ちょっ、結衣、なんか変な汗でてるけど!」

     世界が、意識が、

     遠くに……

    67 :

    ええええええええ

    70 :

    さすが正統派百合SS

    71 = 1 :

    結衣「ん……っ」

    京子「お、おぉ。よかった目覚ました」

    結衣「あ、あれ」

    京子「意識飛んでたよ、10秒くらい」

    結衣「そうか……、って京子!」

    京子「う、うん」

    結衣「なんで、なんでここに」

    京子「え、だからさ、言ったじゃん」

    京子「引越しの前日は一緒の部屋で過ごそうね♪ って」

    結衣「な、な、な」

    京子「どの部屋とは言ってなかったし」

     また飛びそうになった意識をなんとか掴んで、

    結衣「京子っ!」

    京子「うわ、ちょ、結衣、そんなにキツく抱きしめられたら苦し……」

     ただ、目の前の京子を抱きしめていた。

    73 = 1 :

    京子「と、とにかく結衣」

    京子「ちょっ、力、抑えて、苦し……」

    結衣「だ、だって」

    結衣「明日にはお前、また遠くに」

    結衣「うあぁ……京子ぉ……」

    京子「あ、いや、だから、うぐぐ」

    京子「別に遠くに行ったりしないからとりあえず、落ち着いて!」

    結衣「……へ?」

     体中から力が、ズルズルと抜けていった。

    74 = 45 :

    素晴らしい

    75 = 39 :

    いいよいいよ

    76 = 1 :

    結衣「とりあえず、全部教えてもらおうか」

    京子「お、怒らない?」

    結衣「怒らない……と思う」

    京子「う、うん」

    結衣「まずお前は誰だ」

    京子「歳納京子ちゃんです」

    結衣「どの?」

    京子「結衣の幼馴染で、リボンのカチューシャがトレードマークだった京子ちゃんです」

    結衣「……去年同じクラスに転入してきた京子さんは?」

    京子「あれも私です、ハイ」

    結衣「……」

    京子「うぐ、ちょっ無言で首に手かけないでぇ!」

    77 = 1 :

    結衣「それで? 引っ越すって話は?」

    京子「えっと、うん」

    京子「引っ越すは引っ越すんだけど」

    京子「ほら、あそこ……結衣が前1人暮らししてたところ」

    結衣「……はぁ!?」

    京子「部屋は違うんだけど、うん」

    京子「あそこに引っ越すことになりましたー……ははは」

    結衣「……」

    京子「首! 首!」

    78 = 39 :

    ウフフ

    79 :

    そろそろタワーを建てようじゃないか

    80 = 1 :

    結衣「だから、つまり」

    京子「う、うん」

    結衣「もう、どこにも行かないんだな?」

    京子「うん」

    結衣「ずっと、一緒に……」

    京子「うん、一緒に居るよ」

    結衣「京子……京子!」

     いろいろ聞きたいことはあったけれど、

     今はただ、京子にすがりつくようにして、泣くしか出来なかった。

     すぐにお母さんが呼びに来て、

     京子も一緒に、いつもより豪華な夕食を食べた。

     京子とお話しながら、その間も涙が止まらなかった。

     京子も、お母さんもお父さんも、何も言わずにいてくれたのが嬉しかった。

    82 = 39 :

    泣いた

    83 = 59 :

    ええお母さんやで

    84 :

    いそげ!木間市の住宅街を潰してでもタワーを建てるんだ!

    85 = 67 :

    京子ちゃんにいったい何が…

    86 :

    キマシタワー
    なんで真面目ちゃんになったかwkwk

    89 = 1 :

    京子「結衣ー、折角だし一緒にお風呂入ろうぜー」

    結衣「え」

    京子「いーじゃん。いろいろ言いたいこともあるんだ」

    結衣「う、うん」

     昔の私なら絶対に断っていたお誘いだったけれど。

     京子の話も、ゆっくり聞きたかった。

    90 = 39 :

    洗いっこ!

    91 = 1 :

    京子「半分は、その可能性もあったんだ」

     一緒にお風呂に入り、体を洗って。一緒にお湯に浸かっているとき、京子がふいにそう切り出した。

    京子「もっと遠くに引っ越すことになる可能性」

    京子「もう、本当に会えないかもしれない、かもって」

    京子「だからその前に1年だけでも結衣と一緒に居たい、そういって1人でこっちに戻ってきてたんだ」

     京子の言葉が、鎖のように心臓を締め上げていく。

    京子「結衣と離れ離れになってから、気付いたんだ」

    京子「自分がどれだけ結衣が好きなのかってこと」

    京子「気付いちゃったらもう、どうしようもなくなって」

    京子「でもほら、女の子同士じゃん」

    京子「普通じゃないじゃん……」

    92 = 1 :

    京子「だからね、怖かった」

    京子「結衣とメールなんかしてたら、電話なんてしてたら、つい言っちゃいそうで」

    結衣「京子……」

    京子「こっちに戻ってきてからも、1年でさよならするつもりだった。最初はね」

    京子「だからまぁ、その……別人、ってことにしようと思ったけど」

    京子「そしたら結衣も、不思議な体験だったな、って思い出で終わるかと思って……はは」

    京子「でもやっぱり、離れたくない。そう思っちゃって」

    京子「だからね、1年が終わる直前で、試してみたんだ。賭け、みたいなものだったけど」

    結衣「賭け……?」

    京子「うん。『京子さん』のままね。結衣に告白したんだ」

    94 = 45 :

    京子ちゃん……

    95 = 39 :

    やっぱりそういうことか

    96 = 1 :

    京子「もしそれで結衣がOKしたら、本当に……最後の数日を京子さんのままで恋人として過ごして」

    京子「……さよなら、するつもりだった」

    結衣「……」

    京子「でも結衣は、この私のことを好きだって言ってくれたね」

    京子「覚えてるよ、結衣の返事。『今の』京子さんじゃない、ってさ」

    京子「嬉しかった……」

    京子「嬉しかったよ、結衣ぃ……うぅ……ぐすっ……」

    結衣「ちょ、今更……今更泣くなよ」

    京子「結衣だって……結衣だってずっと泣いてるくせに」

    結衣「うるせ……」

    97 :

    なにこれ素晴らしいんだけど

    98 = 39 :

    キマシ……キマシ……

    99 = 1 :

    京子「ぐすっ……うぅ、あー……泣いた泣いた」

    京子「これ以上はのぼせちゃうね、上がろうか」

    結衣「そう、だな」

    京子「じゃあ最後にお願い」

    結衣「うん?」

    京子「私、引っ越すんだけどね」

    京子「……一緒に暮らさない?」


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