元スレ京子「歳納京子です。今日からこの学校にお世話になります」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★
1 :
京子「みなさんはじめまして。よろしくお願いします」
結衣「京子……?」
結衣「(そんな、まさか)」
結衣「(本当に、京子!?)」
教壇に立つその姿を見て私は、
結衣「京子!」
京子「えっ!?」
思わず立ち上がり、その名前を叫んでいた。
でも。
京子「ええと……?」
2 :
ちなビッチ死ね
3 :
ホモスレ
4 :
ふむ
5 :
先生?
6 = 1 :
全ての発端は、中学の2年も終わろうという時だった。
いつも通り、ごらく部の部室に集まった私たちに、
本当に、何の前触れもなく、
こう言ったのだった。
京子「そうそう。あのね、私転校するんだ」
京子「3年生からは、別の学校行くから」
京子「私がいなくなっても、ちゃんとごらく部を守るように!」
しばらくの間、息をすることも忘れていたのを、かすかに覚えている。
7 = 1 :
結衣「な、何の冗談だよ」
声が震えてる。
冗談だって、またくだらない嘘を、
そう信じたくて軽く返したつもりだったのに。
京子「これが冗談じゃないんだよねぇー」
結衣「そんな……!」
あかりも、ちなつちゃんも、
完全に言葉を失っていた。
京子「まあまあ、これでもう一生会えないってわけじゃな……」
京子の言葉もそこで途切れた。
京子の両目から溢れ出る涙が、冗談で言ってるわけじゃないってことだけは伝えてくれた。
8 = 1 :
それからの日々は、本当にあっという間に過ぎた。
生徒会のみんなも一緒に遊んで、
笑って、
みんな無理してるってわかっていたけど、
楽しかった。
引越し先の地名は確かにとても遠くで、気軽に会いに来る、とはいかない距離だったけれど。
結衣「なあ、京子」
京子「んー? なぁに?」
結衣「引っ越してもまた、会えるよな」
京子「とーぜんじゃん!」
ちょっと遠いけど、また遊びにくるよ
春休みに入ってすぐ、
京子の引越しまであと3日に迫った日の夜、
同じ布団の中で、京子はそういって笑ってくれた。
10 = 1 :
結衣「……どういうことだよ、これ」
お別れパーティーなんてやらなくていいよ! もう会えないみたいじゃん!
……なんて
京子が言っていた理由がわかったのは、その翌日の夕方だった。
朝、とりあえず家に帰る、なんて言って、
私の部屋を後にした京子から、届いた1通のメール。
結衣「なんで……なんでこんなことするんだよ、京子」
結衣「私、ちゃんと見送って」
結衣「笑顔で、また会おうって」
結衣「そう思ってたのに……!」
既に無人となった京子の家の前で、
私は……
11 = 1 :
すぐにあかりとちなつちゃんにも連絡して、
駆けつけた2人は私の部屋で、ずっと泣いていた。
綾乃たちにもそれを伝え、
悔しくて、悲しくて、苦しくて、寂しくて、でも、
私が泣くわけにはいかなかった。
電話で、メールで、問い詰めても、
京子は「ごめん」を繰り返すばかりだった。
電話の向こうから届く震えた声を聞いていると、
もうそれ以上何も言えなかった。
12 = 1 :
春休みの間に、借りていた部屋を引き払った。
京子との思い出が詰まった部屋だったけれど、
その分、そこに1人でいるのが耐えられなかった。
曖昧だった1人暮らしをしていた理由も、なんとなくわかる。
京子の前で強がりたいだけだったのかな。
気を張る相手がいなくなったら、私なんて、こんなにダメなんだって思い知らされた。
13 = 1 :
結衣「綾乃も千歳も○○高校受かったんだ」
綾乃「ええ、まあ、やっと一息ついたわ」
結衣「やっぱりすごいよね、私には絶対無理だなぁ」
綾乃と千歳の2人は揃って、かなりレベルの高い高校への進学を決めた。
2人とも元々成績はすごくよかったし、受験勉強を頑張っていたから当然かもしれない。
私はと言えば、
ギリギリまで迷って……迷ったふりをして、ちょっと遠い女子高に進むことを決めた。
あかりたちにも聞いてみたら、4人揃って一番近くの高校を受ける予定らしい。
15 = 1 :
結衣「私は一人ぼっち、か」
去年の今頃思い描いていた未来には、少なくとも、
となりに大切な大切な、幼馴染が、いたのに。
結衣「最近、京子とも連絡とってないな」
結衣「なんか、連絡するの……怖い」
最初のうちこそ、電話したりメールしたりと連絡を取っていたけれど。
少しずつ京子からの返事のペースが落ちてきて、
今はもう、完全に途切れてしまっていた。
17 = 1 :
高校に入って最初の一年間は、ただ慌しく過ぎていった。
部活に誘われたりもしたけれど断って、ただなんとなく勉強をこなしていた。
今の学校を選んで一番後悔したことといえば……
通学の時、あの、1人暮らしをしていた部屋の前を通ること。
新しい住人の気配があの部屋にあるのを見て、
もうあの頃には戻れないんだ、って
毎日、泣きそうになりながら、早足で通り抜けた。
1年経っても、慣れることは出来なかった。
そして今日から2年生が始まるという日、彼女は私の前に現れたのだった。
19 = 1 :
京子「ええと……どこかでお会いしましたでしょうか」
結衣「え、え? なんで」
どういう状況かわからなかった。
金色の長い髪、青い瞳。リボンのカチューシャこそないけれど。
それは間違いなく京子なのに、
名前も『歳納京子』って言っているのに、
京子じゃ、ない……?
20 :
また頭打ったのか
21 = 1 :
女子A「歳納さんってどこから来たのー?」
京子「西の方から……といっても、昔から転校が多かったから方言は出ないですけど」
女子B「ふーん。授業の進み違うかもだから、わからなかったら聞きなよ」
京子「ええ、ありがとうございます」
転入してきた京子は、早速周りを取り囲まれていた。
その声も本当に、ずっと一緒に居た京子そっくりで、
別人だなんて信じられなかった。
結衣「……」
結衣「あの、京子。 ……さん」
京子「あ、はい、何ですか?」
結衣「私、結衣。船見結衣」
結衣「知り合いに、そっくりで、名前まで同じで」
結衣「だから間違えちゃった。ごめんね」
22 = 1 :
結衣「京子、だろ、あれ」
その日の夜、私は布団の中で、
結衣「京子じゃなきゃ誰だって言うんだよ」
ずっと、泣いていた。
結衣「あの顔で、あの声で。なんで」
結衣「そうだ、電話」
結衣「電話で問い詰めれば早いじゃないか」
久しぶりに、本当に久しぶりに、携帯のメモリから京子の名前を選ぶ。
結衣「京子……」
『おかけになった番号は、現在使われて……』
結衣「そんな……」
23 = 1 :
結衣「京子さん、アイスって好き?」
京子「ええ、好きですよ。特に……チョコミントが好きですね」
結衣「ラムレーズン、とかは?」
京子「あ、ごめんなさい、あれはちょっと……苦手なんです」
結衣「京子さんってあまりファーストフードとか縁なさそうだよね」
京子「え、そう見えますか? そうでもないですよ」
結衣「そっか、ピクルスとかも平気?」
京子「ええ、特別好きという訳ではないですけど」
最初の一ヶ月くらいは、ちょっと距離をおきながら、
『京子さん』についていろいろと探ってみた。
京子じゃないなんて、信じられるわけがなくて。
24 = 1 :
結衣「そういえば、あいつも頭打って豹変したことがあったな」
結衣「ちょうど、京子さんみたいにおしとやかな感じだったよ」
京子「……そんなことがあったんですか、面白いですね」
京子「結衣さんのお話、いろいろあって、本当に楽しそうです」
夏も近付く頃、私は京子さんといる時間が長くなっていた。
最初はあまり自分のことを話さなかった京子さんも、少しずつ、話をしてくれるようになった。
温かい風に乗って、ふわりと感じるのは、微かな香水の匂いと……
25 :
ほうほう
26 = 1 :
京子「それで、私っていじめられやすいタイプみたいで」
京子「その度に、例えば今回も……引っ越して転校してるんですよ」
京子「でもここでは、結衣さんが守ってくれてるから安心できます」
結衣「……そっか」
確かにそうだった。
この妙に澄ました態度というか、やたらと丁寧な口調というか、
クラスの中でも、敵視するグループが出来始めていた。
私が傍にいて、壁になっていた。
結衣「いじめられやすいって言えば、京子……うん、私の幼馴染だった方の京子もね?」
私も、京子さんにいろいろな話をした。
京子、あかり、ちなつちゃんと遊んだこと。
綾乃のこと、千歳のこと、古谷さんや大室さんのこと。
でも、「ごらく部」という単語は絶対に出さなかった。
27 = 1 :
夏が過ぎて、秋が来た。
休み時間は、ずっと京子さんと一緒に居るようになっていた。
帰る時も……学校の門を出るところまで、本当に短い距離だけど、一緒だった。
京子「私の家ですか? ええと……学校を出て西にずっと行って、○○町ってところです」
結衣「やっぱり私の家とは逆方向なんだね。もしかして1人暮らし?」
京子「ええ、そうなんですけど」
結衣「今度、行ってもいい?」
京子「え、私の部屋にですか? だ、ダメです……汚くて、恥ずかしいですから」
結衣「あはは、気にしないけどね」
結衣「……ね、京子さん」
京子「なんですか?」
結衣「私と一緒に居て、楽しい?」
京子「……ええ、とても」
結衣「そっか、よかった」
私と京子さんの間を、冷たい風が吹き抜けていく。冬も近い。
28 = 1 :
京子「結衣さん」
結衣「ん、なに?」
京子「24日。空いてますか?」
季節は完全に冬に移り変わり、
ずっと私から話し掛けていた、そんな関係にも変化が起きていた。
最近は、京子さんの方から私に話しかけてくることが、多い。
結衣「クリスマスイブ? うん、空いてるけど」
京子「よかった。じゃあ、その、私と一緒に……」
結衣「……うん。一緒に遊ぼうか」
京子「ありがとうございます、楽しみにしてます!」
そうか。
もう2学期も終わりなんだな。
私たち、どうなるんだろう。
このままあと1年とちょっと一緒に居て、一緒に卒業、するのかな。
29 :
着地点がみえない④
30 = 1 :
23日の深夜。
ずっと部屋においてあったけれど、ずっと伏せていた写真立てを起こす。
ちょっと照れた感じの表情の私と、
隣で、まさに満開笑顔の京子の写真。
結衣「京子、明日はデートだよ」
結衣「クリスマスデートなんて、そんなイベントお前大好きそうだよな」
結衣「楽しめるだけ、楽しむつもりだから」
結衣「だから京子……!」
溢れ出す涙が、どうしても止められなかった。
ギリギリと、胸が痛む。
31 = 1 :
結衣「……っく、う」
大声で泣き出したかった。
なぜかわからなかったけど、
泣いて、暴れて、近くのものを手当たり次第に壊してしまいたい、
そんな衝動に駆られて、それを押さえ込んで、
結衣「んう……?」
24日の朝、気付いたら目覚ましの音に起こされていた。
32 = 1 :
結衣「ごめん、ちょっと待たせちゃったかな」
京子「いえ、大丈夫です」
結衣「そっか。じゃ、まずどうしようか……」
どちらかというと、私が京子さんにリードされる形で、
服を見て回ったり、簡単な食事をしたり、
本当に2人でただ、遊びに来ただけ……そんな一日だった。
結衣「こんな風に遊びに来るの、本当に久しぶり」
京子「そうなんですか? じゃあ、いろいろ楽しみたいですね」
そう言った京子さんの笑顔が、痛かった。
この街、この風景の中に、
たくさんありすぎる京子との思い出が溢れて……
33 = 1 :
あかり「なんか久しぶりだね、結衣ちゃん」
結衣「うん……」
あかり「どうしたの?」
翌日、私はあかりを呼び出した。
場所は、京子と、3人でよく遊んだ公園。
結衣「あのさ、あかり」
あかり「うん?」
結衣「もし、京子がこの町に帰ってきたら、どう?」
34 :
歳納さんかと思った
35 :
①①①①
36 = 1 :
あかり「えっ……」
あかり「京子ちゃん、帰ってくるの!?」
結衣「あ、いや、そういうわけじゃなくて」
あかり「そっかぁ……残念」
結衣「ごめん」
あかり「ううん、でも」
あかり「会いたいなぁ……会いたいよねぇ」
あかり「またみんなで遊びたいなぁ」
結衣「あかり……私は……っ」
あかり「わわっ」
無意識に、本当に無意識で……
私は、あかりに抱きつき、泣いていた。
37 = 1 :
あかり「結衣ちゃん……」
結衣「う、うぅ」
あかり「大丈夫だよ」
あかり「結衣ちゃんが、信じてれば」
あかり「京子ちゃんのこと信じていれば、またきっと会えるよ」
結衣「あかり……でも、でも……!」
あかりはいつから、こんなに強くなったんだろう。
……違う。
私はいつから、こんなに弱くなったんだろう。
それとも。元から、こんなだったのかもしれない。
あと1年以上、この状態が続いたりしたら、私がきっと、壊れてしまう……
あかり「結衣ちゃん」
あかりは、こんな、どうしようもない私をそっと抱きしめて、
あかり「だから、がんばってね、結衣ちゃん」
そう言って、頭をなでてくれた。
38 = 1 :
冬休みが明けた。
3学期……あと1月、2月、3月をすごせば、京子さんと出会ってから、1年になる。
結衣「お正月には、家に帰ったの?」
京子「いいえ、1人でゆっくりしたかったので」
結衣「そっか」
京子さんと話すとキリキリと胸が痛む。
それでも、離れることはできなかった。
京子「結衣さんと会えない日が続いて、ちょっと寂しかったです」
結衣「はは……」
39 :
京子さん可愛い
40 = 1 :
3学期は、とにかく体感ですごく早く過ぎていくと思う。
気がつけばいつの間にか、期末テストも終わり、春休みを待つだけとなっていた。
結果は、そこそこ無難な点数に落ち着いた。
京子さんは私より結構いい点数を取っていて……
あの顔で、授業を居眠りもせずに真面目に受けているのは、1年経っても見慣れなかったけれど。
京子「屋上は、まだちょっと涼しいですね」
結衣「そうだな、風もあるし……」
薄曇りの空の下、
私たちは屋上に来ていた。
41 = 1 :
京子「私、この1年間すごく楽しかったです」
京子「結衣さんに会えてよかった」
京子「本当に、ありがとうございます」
結衣「そんな大げさなものじゃないよ……きっと」
少し湿った、涼しい風の中、
長い髪をなびかせた京子さんは、私の目をじっと見据えていた。
京子「いつまでも隠していても仕方がないから、今日、言いますね」
京子「私、また引っ越すんです」
結衣「……っ」
心臓が、おかしな脈を打ち始めた。逆流を始めたかのように。
42 = 1 :
結衣「そんな……京子さん」
京子「みんなには、内緒ですよ」
京子「それからもう一つ」
京子「私、結衣さんのことが好きです」
結衣「それは……」
京子「もちろん友達として、という意味ではなくて」
京子「大好きです」
京子「引っ越すまでに、もうほとんど時間はありませんけど」
京子「結衣さん、私と。お付き合いしていただけませんか?」
寂しそうな笑顔で、そう告げる京子さん。
私は。
結衣「京子さん」
結衣「ありがとう」
43 = 39 :
おおう……
44 = 1 :
答えは、決まっていた。
考える必要も無かった。
本当に自然に……私は返事をした。
結衣「でも、ごめんね。私、気付いたんだ」
結衣「私が好きなのは……」
結衣「大切な幼馴染で、ずっと一緒に居て」
結衣「弱くて泣き虫だったくせに、明るくて、楽しくて」
結衣「そうやって時間を共にしてきた京子なんだ」
結衣「今の京子さんじゃない」
結衣「だから、ごめん」
その返事に、京子さんは、
京子「……わかりました」
京子「それだけ聞けたなら……満足です」
それだけ言い残し、屋上を出て行った。
私は1人残された屋上で、いつまでも……泣いていた。
45 :
切ない……
46 = 1 :
あかり「あ、結衣ちゃんお待たせ!」
結衣「ううん」
日曜日、私はあかりに呼び出されて、喫茶店に居た。
あかりから呼び出すなんて珍しいと思ったけれど……
あかり「結衣ちゃん、元気出たかなって。やっぱり心配だったし」
結衣「ご、ごめん心配かけて」
あかり「えへへ」
本当は、また泣きたかった。
あかりの胸を借りて、涙が枯れるまで泣きたかった。
結衣「ありがとう。優しいな、あかりは」
あかり「そんなことないよぉ。折角だから、今日はゆっくり結衣ちゃんとお話したいな」
結衣「うん……」
でも、もう情けないところは見せられない。
48 = 1 :
残された3学期はあっという間に過ぎ去り、終業式を迎えた。
私と京子さんに残された時間もあと少し。
京子「結衣さん」
結衣「な、何……」
京子「引越しの日程、教えておきますね」
京子「ちょっとだけ手伝ってくれたら……嬉しいです」
結衣「え……」
京子「それから……前日の夜は、一緒の部屋で過ごしたいです」
結衣「……うん、わかった」
時間は特に決めませんから、そう言って京子さんは笑った。
私1人だけが、ぎこちない感じだった。
49 = 29 :
キマシテナイ
50 = 39 :
ハッピーエンド…ハッピーエンド…
みんなの評価 : ★★
類似してるかもしれないスレッド
- 綾乃「歳納京子の自我が崩壊するほど快楽漬けにしたらどうなるか」 (487) - [44%] - 2012/7/19 6:15 ★★
- 綾乃「歳納京子……」千歳「また歳納さんの事考えてるん?」 (210) - [44%] - 2011/11/5 17:30 ☆
- 妹「ふつつか者ですが、今日からよろしくお願いします」 (1001) - [43%] - 2009/5/18 7:31 ★★★×7
- 京子「実はさ、私あかりのことが大好きなんだ」 (253) - [42%] - 2011/9/4 8:46 ★★
- 京子「ぐっすり寝ちゃってる結衣に安価でいたずらしよう」 (131) - [40%] - 2012/8/12 7:15 ☆
- 京子「幼馴染にレズだってことばれたんだけどどうしたらいいかな」 (114) - [40%] - 2012/12/8 3:15 ☆
トップメニューへ / →のくす牧場書庫について