私的良スレ書庫
不明な単語は2ch用語を / 要望・削除依頼は掲示板へ。不適切な画像報告もこちらへどうぞ。 / 管理情報はtwitterでログインするとレス評価できます。 登録ユーザには一部の画像が表示されますので、問題のある画像や記述を含むレスに「禁」ボタンを押してください。
VIP以外のSS書庫はSS+をご利用ください。
元スレ京子「歳納京子です。今日からこの学校にお世話になります」
SS スレッド一覧へ / SS とは? / 携帯版 / dat(gz)で取得 / トップメニューみんなの評価 : ★★
レスフィルター : (試験中)
京子「みなさんはじめまして。よろしくお願いします」
結衣「京子……?」
結衣「(そんな、まさか)」
結衣「(本当に、京子!?)」
教壇に立つその姿を見て私は、
結衣「京子!」
京子「えっ!?」
思わず立ち上がり、その名前を叫んでいた。
でも。
京子「ええと……?」
結衣「京子……?」
結衣「(そんな、まさか)」
結衣「(本当に、京子!?)」
教壇に立つその姿を見て私は、
結衣「京子!」
京子「えっ!?」
思わず立ち上がり、その名前を叫んでいた。
でも。
京子「ええと……?」
全ての発端は、中学の2年も終わろうという時だった。
いつも通り、ごらく部の部室に集まった私たちに、
本当に、何の前触れもなく、
こう言ったのだった。
京子「そうそう。あのね、私転校するんだ」
京子「3年生からは、別の学校行くから」
京子「私がいなくなっても、ちゃんとごらく部を守るように!」
しばらくの間、息をすることも忘れていたのを、かすかに覚えている。
いつも通り、ごらく部の部室に集まった私たちに、
本当に、何の前触れもなく、
こう言ったのだった。
京子「そうそう。あのね、私転校するんだ」
京子「3年生からは、別の学校行くから」
京子「私がいなくなっても、ちゃんとごらく部を守るように!」
しばらくの間、息をすることも忘れていたのを、かすかに覚えている。
結衣「な、何の冗談だよ」
声が震えてる。
冗談だって、またくだらない嘘を、
そう信じたくて軽く返したつもりだったのに。
京子「これが冗談じゃないんだよねぇー」
結衣「そんな……!」
あかりも、ちなつちゃんも、
完全に言葉を失っていた。
京子「まあまあ、これでもう一生会えないってわけじゃな……」
京子の言葉もそこで途切れた。
京子の両目から溢れ出る涙が、冗談で言ってるわけじゃないってことだけは伝えてくれた。
声が震えてる。
冗談だって、またくだらない嘘を、
そう信じたくて軽く返したつもりだったのに。
京子「これが冗談じゃないんだよねぇー」
結衣「そんな……!」
あかりも、ちなつちゃんも、
完全に言葉を失っていた。
京子「まあまあ、これでもう一生会えないってわけじゃな……」
京子の言葉もそこで途切れた。
京子の両目から溢れ出る涙が、冗談で言ってるわけじゃないってことだけは伝えてくれた。
それからの日々は、本当にあっという間に過ぎた。
生徒会のみんなも一緒に遊んで、
笑って、
みんな無理してるってわかっていたけど、
楽しかった。
引越し先の地名は確かにとても遠くで、気軽に会いに来る、とはいかない距離だったけれど。
結衣「なあ、京子」
京子「んー? なぁに?」
結衣「引っ越してもまた、会えるよな」
京子「とーぜんじゃん!」
ちょっと遠いけど、また遊びにくるよ
春休みに入ってすぐ、
京子の引越しまであと3日に迫った日の夜、
同じ布団の中で、京子はそういって笑ってくれた。
生徒会のみんなも一緒に遊んで、
笑って、
みんな無理してるってわかっていたけど、
楽しかった。
引越し先の地名は確かにとても遠くで、気軽に会いに来る、とはいかない距離だったけれど。
結衣「なあ、京子」
京子「んー? なぁに?」
結衣「引っ越してもまた、会えるよな」
京子「とーぜんじゃん!」
ちょっと遠いけど、また遊びにくるよ
春休みに入ってすぐ、
京子の引越しまであと3日に迫った日の夜、
同じ布団の中で、京子はそういって笑ってくれた。
結衣「……どういうことだよ、これ」
お別れパーティーなんてやらなくていいよ! もう会えないみたいじゃん!
……なんて
京子が言っていた理由がわかったのは、その翌日の夕方だった。
朝、とりあえず家に帰る、なんて言って、
私の部屋を後にした京子から、届いた1通のメール。
結衣「なんで……なんでこんなことするんだよ、京子」
結衣「私、ちゃんと見送って」
結衣「笑顔で、また会おうって」
結衣「そう思ってたのに……!」
既に無人となった京子の家の前で、
私は……
お別れパーティーなんてやらなくていいよ! もう会えないみたいじゃん!
……なんて
京子が言っていた理由がわかったのは、その翌日の夕方だった。
朝、とりあえず家に帰る、なんて言って、
私の部屋を後にした京子から、届いた1通のメール。
結衣「なんで……なんでこんなことするんだよ、京子」
結衣「私、ちゃんと見送って」
結衣「笑顔で、また会おうって」
結衣「そう思ってたのに……!」
既に無人となった京子の家の前で、
私は……
すぐにあかりとちなつちゃんにも連絡して、
駆けつけた2人は私の部屋で、ずっと泣いていた。
綾乃たちにもそれを伝え、
悔しくて、悲しくて、苦しくて、寂しくて、でも、
私が泣くわけにはいかなかった。
電話で、メールで、問い詰めても、
京子は「ごめん」を繰り返すばかりだった。
電話の向こうから届く震えた声を聞いていると、
もうそれ以上何も言えなかった。
駆けつけた2人は私の部屋で、ずっと泣いていた。
綾乃たちにもそれを伝え、
悔しくて、悲しくて、苦しくて、寂しくて、でも、
私が泣くわけにはいかなかった。
電話で、メールで、問い詰めても、
京子は「ごめん」を繰り返すばかりだった。
電話の向こうから届く震えた声を聞いていると、
もうそれ以上何も言えなかった。
春休みの間に、借りていた部屋を引き払った。
京子との思い出が詰まった部屋だったけれど、
その分、そこに1人でいるのが耐えられなかった。
曖昧だった1人暮らしをしていた理由も、なんとなくわかる。
京子の前で強がりたいだけだったのかな。
気を張る相手がいなくなったら、私なんて、こんなにダメなんだって思い知らされた。
京子との思い出が詰まった部屋だったけれど、
その分、そこに1人でいるのが耐えられなかった。
曖昧だった1人暮らしをしていた理由も、なんとなくわかる。
京子の前で強がりたいだけだったのかな。
気を張る相手がいなくなったら、私なんて、こんなにダメなんだって思い知らされた。
結衣「綾乃も千歳も○○高校受かったんだ」
綾乃「ええ、まあ、やっと一息ついたわ」
結衣「やっぱりすごいよね、私には絶対無理だなぁ」
綾乃と千歳の2人は揃って、かなりレベルの高い高校への進学を決めた。
2人とも元々成績はすごくよかったし、受験勉強を頑張っていたから当然かもしれない。
私はと言えば、
ギリギリまで迷って……迷ったふりをして、ちょっと遠い女子高に進むことを決めた。
あかりたちにも聞いてみたら、4人揃って一番近くの高校を受ける予定らしい。
綾乃「ええ、まあ、やっと一息ついたわ」
結衣「やっぱりすごいよね、私には絶対無理だなぁ」
綾乃と千歳の2人は揃って、かなりレベルの高い高校への進学を決めた。
2人とも元々成績はすごくよかったし、受験勉強を頑張っていたから当然かもしれない。
私はと言えば、
ギリギリまで迷って……迷ったふりをして、ちょっと遠い女子高に進むことを決めた。
あかりたちにも聞いてみたら、4人揃って一番近くの高校を受ける予定らしい。
結衣「私は一人ぼっち、か」
去年の今頃思い描いていた未来には、少なくとも、
となりに大切な大切な、幼馴染が、いたのに。
結衣「最近、京子とも連絡とってないな」
結衣「なんか、連絡するの……怖い」
最初のうちこそ、電話したりメールしたりと連絡を取っていたけれど。
少しずつ京子からの返事のペースが落ちてきて、
今はもう、完全に途切れてしまっていた。
去年の今頃思い描いていた未来には、少なくとも、
となりに大切な大切な、幼馴染が、いたのに。
結衣「最近、京子とも連絡とってないな」
結衣「なんか、連絡するの……怖い」
最初のうちこそ、電話したりメールしたりと連絡を取っていたけれど。
少しずつ京子からの返事のペースが落ちてきて、
今はもう、完全に途切れてしまっていた。
高校に入って最初の一年間は、ただ慌しく過ぎていった。
部活に誘われたりもしたけれど断って、ただなんとなく勉強をこなしていた。
今の学校を選んで一番後悔したことといえば……
通学の時、あの、1人暮らしをしていた部屋の前を通ること。
新しい住人の気配があの部屋にあるのを見て、
もうあの頃には戻れないんだ、って
毎日、泣きそうになりながら、早足で通り抜けた。
1年経っても、慣れることは出来なかった。
そして今日から2年生が始まるという日、彼女は私の前に現れたのだった。
部活に誘われたりもしたけれど断って、ただなんとなく勉強をこなしていた。
今の学校を選んで一番後悔したことといえば……
通学の時、あの、1人暮らしをしていた部屋の前を通ること。
新しい住人の気配があの部屋にあるのを見て、
もうあの頃には戻れないんだ、って
毎日、泣きそうになりながら、早足で通り抜けた。
1年経っても、慣れることは出来なかった。
そして今日から2年生が始まるという日、彼女は私の前に現れたのだった。
京子「ええと……どこかでお会いしましたでしょうか」
結衣「え、え? なんで」
どういう状況かわからなかった。
金色の長い髪、青い瞳。リボンのカチューシャこそないけれど。
それは間違いなく京子なのに、
名前も『歳納京子』って言っているのに、
京子じゃ、ない……?
結衣「え、え? なんで」
どういう状況かわからなかった。
金色の長い髪、青い瞳。リボンのカチューシャこそないけれど。
それは間違いなく京子なのに、
名前も『歳納京子』って言っているのに、
京子じゃ、ない……?
女子A「歳納さんってどこから来たのー?」
京子「西の方から……といっても、昔から転校が多かったから方言は出ないですけど」
女子B「ふーん。授業の進み違うかもだから、わからなかったら聞きなよ」
京子「ええ、ありがとうございます」
転入してきた京子は、早速周りを取り囲まれていた。
その声も本当に、ずっと一緒に居た京子そっくりで、
別人だなんて信じられなかった。
結衣「……」
結衣「あの、京子。 ……さん」
京子「あ、はい、何ですか?」
結衣「私、結衣。船見結衣」
結衣「知り合いに、そっくりで、名前まで同じで」
結衣「だから間違えちゃった。ごめんね」
京子「西の方から……といっても、昔から転校が多かったから方言は出ないですけど」
女子B「ふーん。授業の進み違うかもだから、わからなかったら聞きなよ」
京子「ええ、ありがとうございます」
転入してきた京子は、早速周りを取り囲まれていた。
その声も本当に、ずっと一緒に居た京子そっくりで、
別人だなんて信じられなかった。
結衣「……」
結衣「あの、京子。 ……さん」
京子「あ、はい、何ですか?」
結衣「私、結衣。船見結衣」
結衣「知り合いに、そっくりで、名前まで同じで」
結衣「だから間違えちゃった。ごめんね」
結衣「京子、だろ、あれ」
その日の夜、私は布団の中で、
結衣「京子じゃなきゃ誰だって言うんだよ」
ずっと、泣いていた。
結衣「あの顔で、あの声で。なんで」
結衣「そうだ、電話」
結衣「電話で問い詰めれば早いじゃないか」
久しぶりに、本当に久しぶりに、携帯のメモリから京子の名前を選ぶ。
結衣「京子……」
『おかけになった番号は、現在使われて……』
結衣「そんな……」
その日の夜、私は布団の中で、
結衣「京子じゃなきゃ誰だって言うんだよ」
ずっと、泣いていた。
結衣「あの顔で、あの声で。なんで」
結衣「そうだ、電話」
結衣「電話で問い詰めれば早いじゃないか」
久しぶりに、本当に久しぶりに、携帯のメモリから京子の名前を選ぶ。
結衣「京子……」
『おかけになった番号は、現在使われて……』
結衣「そんな……」
結衣「京子さん、アイスって好き?」
京子「ええ、好きですよ。特に……チョコミントが好きですね」
結衣「ラムレーズン、とかは?」
京子「あ、ごめんなさい、あれはちょっと……苦手なんです」
結衣「京子さんってあまりファーストフードとか縁なさそうだよね」
京子「え、そう見えますか? そうでもないですよ」
結衣「そっか、ピクルスとかも平気?」
京子「ええ、特別好きという訳ではないですけど」
最初の一ヶ月くらいは、ちょっと距離をおきながら、
『京子さん』についていろいろと探ってみた。
京子じゃないなんて、信じられるわけがなくて。
京子「ええ、好きですよ。特に……チョコミントが好きですね」
結衣「ラムレーズン、とかは?」
京子「あ、ごめんなさい、あれはちょっと……苦手なんです」
結衣「京子さんってあまりファーストフードとか縁なさそうだよね」
京子「え、そう見えますか? そうでもないですよ」
結衣「そっか、ピクルスとかも平気?」
京子「ええ、特別好きという訳ではないですけど」
最初の一ヶ月くらいは、ちょっと距離をおきながら、
『京子さん』についていろいろと探ってみた。
京子じゃないなんて、信じられるわけがなくて。
結衣「そういえば、あいつも頭打って豹変したことがあったな」
結衣「ちょうど、京子さんみたいにおしとやかな感じだったよ」
京子「……そんなことがあったんですか、面白いですね」
京子「結衣さんのお話、いろいろあって、本当に楽しそうです」
夏も近付く頃、私は京子さんといる時間が長くなっていた。
最初はあまり自分のことを話さなかった京子さんも、少しずつ、話をしてくれるようになった。
温かい風に乗って、ふわりと感じるのは、微かな香水の匂いと……
結衣「ちょうど、京子さんみたいにおしとやかな感じだったよ」
京子「……そんなことがあったんですか、面白いですね」
京子「結衣さんのお話、いろいろあって、本当に楽しそうです」
夏も近付く頃、私は京子さんといる時間が長くなっていた。
最初はあまり自分のことを話さなかった京子さんも、少しずつ、話をしてくれるようになった。
温かい風に乗って、ふわりと感じるのは、微かな香水の匂いと……
京子「それで、私っていじめられやすいタイプみたいで」
京子「その度に、例えば今回も……引っ越して転校してるんですよ」
京子「でもここでは、結衣さんが守ってくれてるから安心できます」
結衣「……そっか」
確かにそうだった。
この妙に澄ました態度というか、やたらと丁寧な口調というか、
クラスの中でも、敵視するグループが出来始めていた。
私が傍にいて、壁になっていた。
結衣「いじめられやすいって言えば、京子……うん、私の幼馴染だった方の京子もね?」
私も、京子さんにいろいろな話をした。
京子、あかり、ちなつちゃんと遊んだこと。
綾乃のこと、千歳のこと、古谷さんや大室さんのこと。
でも、「ごらく部」という単語は絶対に出さなかった。
京子「その度に、例えば今回も……引っ越して転校してるんですよ」
京子「でもここでは、結衣さんが守ってくれてるから安心できます」
結衣「……そっか」
確かにそうだった。
この妙に澄ました態度というか、やたらと丁寧な口調というか、
クラスの中でも、敵視するグループが出来始めていた。
私が傍にいて、壁になっていた。
結衣「いじめられやすいって言えば、京子……うん、私の幼馴染だった方の京子もね?」
私も、京子さんにいろいろな話をした。
京子、あかり、ちなつちゃんと遊んだこと。
綾乃のこと、千歳のこと、古谷さんや大室さんのこと。
でも、「ごらく部」という単語は絶対に出さなかった。
夏が過ぎて、秋が来た。
休み時間は、ずっと京子さんと一緒に居るようになっていた。
帰る時も……学校の門を出るところまで、本当に短い距離だけど、一緒だった。
京子「私の家ですか? ええと……学校を出て西にずっと行って、○○町ってところです」
結衣「やっぱり私の家とは逆方向なんだね。もしかして1人暮らし?」
京子「ええ、そうなんですけど」
結衣「今度、行ってもいい?」
京子「え、私の部屋にですか? だ、ダメです……汚くて、恥ずかしいですから」
結衣「あはは、気にしないけどね」
結衣「……ね、京子さん」
京子「なんですか?」
結衣「私と一緒に居て、楽しい?」
京子「……ええ、とても」
結衣「そっか、よかった」
私と京子さんの間を、冷たい風が吹き抜けていく。冬も近い。
休み時間は、ずっと京子さんと一緒に居るようになっていた。
帰る時も……学校の門を出るところまで、本当に短い距離だけど、一緒だった。
京子「私の家ですか? ええと……学校を出て西にずっと行って、○○町ってところです」
結衣「やっぱり私の家とは逆方向なんだね。もしかして1人暮らし?」
京子「ええ、そうなんですけど」
結衣「今度、行ってもいい?」
京子「え、私の部屋にですか? だ、ダメです……汚くて、恥ずかしいですから」
結衣「あはは、気にしないけどね」
結衣「……ね、京子さん」
京子「なんですか?」
結衣「私と一緒に居て、楽しい?」
京子「……ええ、とても」
結衣「そっか、よかった」
私と京子さんの間を、冷たい風が吹き抜けていく。冬も近い。
京子「結衣さん」
結衣「ん、なに?」
京子「24日。空いてますか?」
季節は完全に冬に移り変わり、
ずっと私から話し掛けていた、そんな関係にも変化が起きていた。
最近は、京子さんの方から私に話しかけてくることが、多い。
結衣「クリスマスイブ? うん、空いてるけど」
京子「よかった。じゃあ、その、私と一緒に……」
結衣「……うん。一緒に遊ぼうか」
京子「ありがとうございます、楽しみにしてます!」
そうか。
もう2学期も終わりなんだな。
私たち、どうなるんだろう。
このままあと1年とちょっと一緒に居て、一緒に卒業、するのかな。
結衣「ん、なに?」
京子「24日。空いてますか?」
季節は完全に冬に移り変わり、
ずっと私から話し掛けていた、そんな関係にも変化が起きていた。
最近は、京子さんの方から私に話しかけてくることが、多い。
結衣「クリスマスイブ? うん、空いてるけど」
京子「よかった。じゃあ、その、私と一緒に……」
結衣「……うん。一緒に遊ぼうか」
京子「ありがとうございます、楽しみにしてます!」
そうか。
もう2学期も終わりなんだな。
私たち、どうなるんだろう。
このままあと1年とちょっと一緒に居て、一緒に卒業、するのかな。
23日の深夜。
ずっと部屋においてあったけれど、ずっと伏せていた写真立てを起こす。
ちょっと照れた感じの表情の私と、
隣で、まさに満開笑顔の京子の写真。
結衣「京子、明日はデートだよ」
結衣「クリスマスデートなんて、そんなイベントお前大好きそうだよな」
結衣「楽しめるだけ、楽しむつもりだから」
結衣「だから京子……!」
溢れ出す涙が、どうしても止められなかった。
ギリギリと、胸が痛む。
ずっと部屋においてあったけれど、ずっと伏せていた写真立てを起こす。
ちょっと照れた感じの表情の私と、
隣で、まさに満開笑顔の京子の写真。
結衣「京子、明日はデートだよ」
結衣「クリスマスデートなんて、そんなイベントお前大好きそうだよな」
結衣「楽しめるだけ、楽しむつもりだから」
結衣「だから京子……!」
溢れ出す涙が、どうしても止められなかった。
ギリギリと、胸が痛む。
結衣「……っく、う」
大声で泣き出したかった。
なぜかわからなかったけど、
泣いて、暴れて、近くのものを手当たり次第に壊してしまいたい、
そんな衝動に駆られて、それを押さえ込んで、
結衣「んう……?」
24日の朝、気付いたら目覚ましの音に起こされていた。
大声で泣き出したかった。
なぜかわからなかったけど、
泣いて、暴れて、近くのものを手当たり次第に壊してしまいたい、
そんな衝動に駆られて、それを押さえ込んで、
結衣「んう……?」
24日の朝、気付いたら目覚ましの音に起こされていた。
結衣「ごめん、ちょっと待たせちゃったかな」
京子「いえ、大丈夫です」
結衣「そっか。じゃ、まずどうしようか……」
どちらかというと、私が京子さんにリードされる形で、
服を見て回ったり、簡単な食事をしたり、
本当に2人でただ、遊びに来ただけ……そんな一日だった。
結衣「こんな風に遊びに来るの、本当に久しぶり」
京子「そうなんですか? じゃあ、いろいろ楽しみたいですね」
そう言った京子さんの笑顔が、痛かった。
この街、この風景の中に、
たくさんありすぎる京子との思い出が溢れて……
京子「いえ、大丈夫です」
結衣「そっか。じゃ、まずどうしようか……」
どちらかというと、私が京子さんにリードされる形で、
服を見て回ったり、簡単な食事をしたり、
本当に2人でただ、遊びに来ただけ……そんな一日だった。
結衣「こんな風に遊びに来るの、本当に久しぶり」
京子「そうなんですか? じゃあ、いろいろ楽しみたいですね」
そう言った京子さんの笑顔が、痛かった。
この街、この風景の中に、
たくさんありすぎる京子との思い出が溢れて……
あかり「なんか久しぶりだね、結衣ちゃん」
結衣「うん……」
あかり「どうしたの?」
翌日、私はあかりを呼び出した。
場所は、京子と、3人でよく遊んだ公園。
結衣「あのさ、あかり」
あかり「うん?」
結衣「もし、京子がこの町に帰ってきたら、どう?」
結衣「うん……」
あかり「どうしたの?」
翌日、私はあかりを呼び出した。
場所は、京子と、3人でよく遊んだ公園。
結衣「あのさ、あかり」
あかり「うん?」
結衣「もし、京子がこの町に帰ってきたら、どう?」
あかり「えっ……」
あかり「京子ちゃん、帰ってくるの!?」
結衣「あ、いや、そういうわけじゃなくて」
あかり「そっかぁ……残念」
結衣「ごめん」
あかり「ううん、でも」
あかり「会いたいなぁ……会いたいよねぇ」
あかり「またみんなで遊びたいなぁ」
結衣「あかり……私は……っ」
あかり「わわっ」
無意識に、本当に無意識で……
私は、あかりに抱きつき、泣いていた。
あかり「京子ちゃん、帰ってくるの!?」
結衣「あ、いや、そういうわけじゃなくて」
あかり「そっかぁ……残念」
結衣「ごめん」
あかり「ううん、でも」
あかり「会いたいなぁ……会いたいよねぇ」
あかり「またみんなで遊びたいなぁ」
結衣「あかり……私は……っ」
あかり「わわっ」
無意識に、本当に無意識で……
私は、あかりに抱きつき、泣いていた。
あかり「結衣ちゃん……」
結衣「う、うぅ」
あかり「大丈夫だよ」
あかり「結衣ちゃんが、信じてれば」
あかり「京子ちゃんのこと信じていれば、またきっと会えるよ」
結衣「あかり……でも、でも……!」
あかりはいつから、こんなに強くなったんだろう。
……違う。
私はいつから、こんなに弱くなったんだろう。
それとも。元から、こんなだったのかもしれない。
あと1年以上、この状態が続いたりしたら、私がきっと、壊れてしまう……
あかり「結衣ちゃん」
あかりは、こんな、どうしようもない私をそっと抱きしめて、
あかり「だから、がんばってね、結衣ちゃん」
そう言って、頭をなでてくれた。
結衣「う、うぅ」
あかり「大丈夫だよ」
あかり「結衣ちゃんが、信じてれば」
あかり「京子ちゃんのこと信じていれば、またきっと会えるよ」
結衣「あかり……でも、でも……!」
あかりはいつから、こんなに強くなったんだろう。
……違う。
私はいつから、こんなに弱くなったんだろう。
それとも。元から、こんなだったのかもしれない。
あと1年以上、この状態が続いたりしたら、私がきっと、壊れてしまう……
あかり「結衣ちゃん」
あかりは、こんな、どうしようもない私をそっと抱きしめて、
あかり「だから、がんばってね、結衣ちゃん」
そう言って、頭をなでてくれた。
冬休みが明けた。
3学期……あと1月、2月、3月をすごせば、京子さんと出会ってから、1年になる。
結衣「お正月には、家に帰ったの?」
京子「いいえ、1人でゆっくりしたかったので」
結衣「そっか」
京子さんと話すとキリキリと胸が痛む。
それでも、離れることはできなかった。
京子「結衣さんと会えない日が続いて、ちょっと寂しかったです」
結衣「はは……」
3学期……あと1月、2月、3月をすごせば、京子さんと出会ってから、1年になる。
結衣「お正月には、家に帰ったの?」
京子「いいえ、1人でゆっくりしたかったので」
結衣「そっか」
京子さんと話すとキリキリと胸が痛む。
それでも、離れることはできなかった。
京子「結衣さんと会えない日が続いて、ちょっと寂しかったです」
結衣「はは……」
3学期は、とにかく体感ですごく早く過ぎていくと思う。
気がつけばいつの間にか、期末テストも終わり、春休みを待つだけとなっていた。
結果は、そこそこ無難な点数に落ち着いた。
京子さんは私より結構いい点数を取っていて……
あの顔で、授業を居眠りもせずに真面目に受けているのは、1年経っても見慣れなかったけれど。
京子「屋上は、まだちょっと涼しいですね」
結衣「そうだな、風もあるし……」
薄曇りの空の下、
私たちは屋上に来ていた。
気がつけばいつの間にか、期末テストも終わり、春休みを待つだけとなっていた。
結果は、そこそこ無難な点数に落ち着いた。
京子さんは私より結構いい点数を取っていて……
あの顔で、授業を居眠りもせずに真面目に受けているのは、1年経っても見慣れなかったけれど。
京子「屋上は、まだちょっと涼しいですね」
結衣「そうだな、風もあるし……」
薄曇りの空の下、
私たちは屋上に来ていた。
京子「私、この1年間すごく楽しかったです」
京子「結衣さんに会えてよかった」
京子「本当に、ありがとうございます」
結衣「そんな大げさなものじゃないよ……きっと」
少し湿った、涼しい風の中、
長い髪をなびかせた京子さんは、私の目をじっと見据えていた。
京子「いつまでも隠していても仕方がないから、今日、言いますね」
京子「私、また引っ越すんです」
結衣「……っ」
心臓が、おかしな脈を打ち始めた。逆流を始めたかのように。
京子「結衣さんに会えてよかった」
京子「本当に、ありがとうございます」
結衣「そんな大げさなものじゃないよ……きっと」
少し湿った、涼しい風の中、
長い髪をなびかせた京子さんは、私の目をじっと見据えていた。
京子「いつまでも隠していても仕方がないから、今日、言いますね」
京子「私、また引っ越すんです」
結衣「……っ」
心臓が、おかしな脈を打ち始めた。逆流を始めたかのように。
結衣「そんな……京子さん」
京子「みんなには、内緒ですよ」
京子「それからもう一つ」
京子「私、結衣さんのことが好きです」
結衣「それは……」
京子「もちろん友達として、という意味ではなくて」
京子「大好きです」
京子「引っ越すまでに、もうほとんど時間はありませんけど」
京子「結衣さん、私と。お付き合いしていただけませんか?」
寂しそうな笑顔で、そう告げる京子さん。
私は。
結衣「京子さん」
結衣「ありがとう」
京子「みんなには、内緒ですよ」
京子「それからもう一つ」
京子「私、結衣さんのことが好きです」
結衣「それは……」
京子「もちろん友達として、という意味ではなくて」
京子「大好きです」
京子「引っ越すまでに、もうほとんど時間はありませんけど」
京子「結衣さん、私と。お付き合いしていただけませんか?」
寂しそうな笑顔で、そう告げる京子さん。
私は。
結衣「京子さん」
結衣「ありがとう」
答えは、決まっていた。
考える必要も無かった。
本当に自然に……私は返事をした。
結衣「でも、ごめんね。私、気付いたんだ」
結衣「私が好きなのは……」
結衣「大切な幼馴染で、ずっと一緒に居て」
結衣「弱くて泣き虫だったくせに、明るくて、楽しくて」
結衣「そうやって時間を共にしてきた京子なんだ」
結衣「今の京子さんじゃない」
結衣「だから、ごめん」
その返事に、京子さんは、
京子「……わかりました」
京子「それだけ聞けたなら……満足です」
それだけ言い残し、屋上を出て行った。
私は1人残された屋上で、いつまでも……泣いていた。
考える必要も無かった。
本当に自然に……私は返事をした。
結衣「でも、ごめんね。私、気付いたんだ」
結衣「私が好きなのは……」
結衣「大切な幼馴染で、ずっと一緒に居て」
結衣「弱くて泣き虫だったくせに、明るくて、楽しくて」
結衣「そうやって時間を共にしてきた京子なんだ」
結衣「今の京子さんじゃない」
結衣「だから、ごめん」
その返事に、京子さんは、
京子「……わかりました」
京子「それだけ聞けたなら……満足です」
それだけ言い残し、屋上を出て行った。
私は1人残された屋上で、いつまでも……泣いていた。
あかり「あ、結衣ちゃんお待たせ!」
結衣「ううん」
日曜日、私はあかりに呼び出されて、喫茶店に居た。
あかりから呼び出すなんて珍しいと思ったけれど……
あかり「結衣ちゃん、元気出たかなって。やっぱり心配だったし」
結衣「ご、ごめん心配かけて」
あかり「えへへ」
本当は、また泣きたかった。
あかりの胸を借りて、涙が枯れるまで泣きたかった。
結衣「ありがとう。優しいな、あかりは」
あかり「そんなことないよぉ。折角だから、今日はゆっくり結衣ちゃんとお話したいな」
結衣「うん……」
でも、もう情けないところは見せられない。
結衣「ううん」
日曜日、私はあかりに呼び出されて、喫茶店に居た。
あかりから呼び出すなんて珍しいと思ったけれど……
あかり「結衣ちゃん、元気出たかなって。やっぱり心配だったし」
結衣「ご、ごめん心配かけて」
あかり「えへへ」
本当は、また泣きたかった。
あかりの胸を借りて、涙が枯れるまで泣きたかった。
結衣「ありがとう。優しいな、あかりは」
あかり「そんなことないよぉ。折角だから、今日はゆっくり結衣ちゃんとお話したいな」
結衣「うん……」
でも、もう情けないところは見せられない。
残された3学期はあっという間に過ぎ去り、終業式を迎えた。
私と京子さんに残された時間もあと少し。
京子「結衣さん」
結衣「な、何……」
京子「引越しの日程、教えておきますね」
京子「ちょっとだけ手伝ってくれたら……嬉しいです」
結衣「え……」
京子「それから……前日の夜は、一緒の部屋で過ごしたいです」
結衣「……うん、わかった」
時間は特に決めませんから、そう言って京子さんは笑った。
私1人だけが、ぎこちない感じだった。
私と京子さんに残された時間もあと少し。
京子「結衣さん」
結衣「な、何……」
京子「引越しの日程、教えておきますね」
京子「ちょっとだけ手伝ってくれたら……嬉しいです」
結衣「え……」
京子「それから……前日の夜は、一緒の部屋で過ごしたいです」
結衣「……うん、わかった」
時間は特に決めませんから、そう言って京子さんは笑った。
私1人だけが、ぎこちない感じだった。
類似してるかもしれないスレッド
- 綾乃「歳納京子の自我が崩壊するほど快楽漬けにしたらどうなるか」 (487) - [44%] - 2012/7/19 6:15 ★★
- 綾乃「歳納京子……」千歳「また歳納さんの事考えてるん?」 (210) - [44%] - 2011/11/5 17:30 ☆
- 妹「ふつつか者ですが、今日からよろしくお願いします」 (1001) - [43%] - 2009/5/18 7:31 ★★★×7
- 京子「実はさ、私あかりのことが大好きなんだ」 (253) - [42%] - 2011/9/4 8:46 ★★
- 京子「ぐっすり寝ちゃってる結衣に安価でいたずらしよう」 (131) - [40%] - 2012/8/12 7:15 ☆
- 京子「幼馴染にレズだってことばれたんだけどどうしたらいいかな」 (114) - [40%] - 2012/12/8 3:15 ☆
トップメニューへ / →のくす牧場書庫について