元スレQB「少しくらい、本当の奇跡が起こってもいいじゃないか」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★
151 = 1 :
QB「どうやら、ここの主に見つかってしまったみたいだ」
まどか「そ、それって……まさか」
QB「ああ、多分……」
――アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!
QB「……ワルプルギスの夜が来た」
153 = 1 :
ズズン…
まどか「きゃっ……!」グラグラ
ほむら「まどか!」ガシッ
まどか「あ、ありがとう……」
QB「……まさか、僕らが元居た世界を放り出して、ここに帰ってくるなんてね」
ほむら「どういうこと? 奴の目的は、世界を戯曲に変えて回ることじゃないの!?」
QB「多分、彼女は魔法少女との対決を求めて来たんだろう」
QB「魔法少女と敵対する存在、魔女こそが……この物語での、彼女の役割なんだから」
ほむら「そうか……あの町にはもう、まどかが居ない……!」
154 = 1 :
QB「……ふう」
QB「どうやら……ここで終わりみたいだね」
まどか「え? キュゥべえ……?」
ほむら「…………」
QB「……ほむら、時間を巻き戻すんだ」
まどか「えっ……あ、諦めろって言うの!?」
ほむら「…………」
QB「仕方が無いよ……今から手を打とうにも遅すぎる」
QB「おそらくその前に、この病院ごと破壊されてしまうだろうね」
まどか「そんな……」
155 = 1 :
QB「もしそんなことになれば、全ておしまいだ」
QB「ここに至るまでの苦労も、犠牲も……全て水の泡になってしまう」
QB「……それなら、君だけでも時間を巻き戻して、この時間軸を脱したほうが良い」
ほむら「…………」
まどか「……ほむら、ちゃん」
ほむら「…………」クルッ スタスタ…
QB「ほむら?……何をやっているんだい」
QB「早く能力を使って、時間を巻き戻すんだ! 間に合わなくなるよ!?」
ほむら「……その必要はないわ」
QB「なっ……」
156 = 1 :
QB「……まさか、戦うつもりかい?」
ほむら「ええ、手持ちの武器ならまだいくつか残っているし」
QB「そんな装備で、倒せるはずが無いじゃないか……」
ほむら「……何を言っているの?」
ほむら「私は、時間を稼ぐだけで良いんでしょう?」
QB「えっ?」
ほむら「……あなたが、その対抗手段とやらを試すまでの時間を」
QB「………!」
157 = 104 :
ほ
158 = 1 :
QB「……僕を信用するというのかい? 君が?」
ほむら「勘違いしないで」
ほむら「ただ、それしか手が無いだけよ」
QB「わけが……わからないよ」
QB「どうしてそこまで、この時間軸にこだわるんだい?」
QB「君は既に、ワルプルギスの夜に対して大きな知識を得ている」
QB「それを持ち越して、次の機会に活用した方が効率的じゃないか」
159 :
よくわかんねえ
160 = 1 :
QB「なぜわざわざ、危険な賭けに……」
ほむら「…………」
ほむら「……私の後ろに、まどかが居て」
まどか「………!」
ほむら「彼女を守れる可能性が、少しでもあるのなら……」
ほむら「……そこが私の、戦場だから」
バッ!
161 = 1 :
………………………………………
まどか「……行っちゃったね」
QB「止めないんだね? ……少し意外だったよ」
まどか「…………」
まどか「……信じてるから」
まどか「ほむらちゃんも、キュゥべえも」
QB「…………」
まどか「……それに、マミさんも」
QB「え?」
まどか「わたし、思ったんだ……わたし達が、この結界に連れてこられた理由はさ」
まどか「……マミさんが呼んだから、なんじゃないかな、って」
162 = 127 :
ほむら…
163 = 1 :
QB「マミが、僕らを……?」
まどか「そう……ワルプルギスの夜じゃなくて、この、マミさんが」
まどか「ワルプルギスの夜を止めてもらいたくって……呼んだんじゃないかな?」
QB「…………」
まどか「マミさんはきっと、希望を振りまく魔法少女が見たかっただけで」
まどか「こんな……こんな魔女ができることは望んでない」
まどか「だから、わたしと、ほむらちゃんと、キュゥべえに……」
まどか「……助けてもらうために、呼んだんじゃないかな?」
164 = 1 :
まどか「だから、キュゥべえなら……絶対できるよ!」
まどか「マミさんを、助けてあげられるよ! きっと!」
まどか「……わたしは、そう信じてるから」
QB「……君の言うことは、いつもそうだね」
QB「不確かで、想像の域を出ない夢物語ばかりだ」
165 = 1 :
まどか「…………」
QB「……でも」
QB「その確率も……0じゃないね」
まどか「……っ!」
QB「こんな状況、最初で最後だろうし……」
QB「……僕も賭けてみようか、その希望に」
……………………………………………………
166 = 1 :
――ドガッ!
ほむら「くっ……! うあああっ!!」ゴロゴロ…
ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハハハハハ…」
ほむら「はあっ、はあっ……ぐっ!」スクッ
ほむら「……まだ、終わらないわよ」ジャキッ!
ドガガガガガガッ!
168 = 1 :
ほむら(……ここで終わるなんて、そんなの認めない!)ポイッ
ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハハハハ…」
ほむら(私はまどかを助けて……一緒に、幸せに生きたい!)ズッ…
……ジャキンッ!
ほむら(助けられればそれで良いなんて、そんなの嘘)カチッ
ガガガガガガガガガッ!
ほむら(やりたいことも、話したいことも……まだ一杯ある!)ポイッ
169 = 1 :
ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハハハ…」
ほむら(終わるどころか、まだ始まってすらいないのに!)ズッ…
ジャキンッ!
ほむら(同じ所をぐるぐる回り続けるのは……もううんざりよ)バッ!
ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハ…」
ほむら「だから今! ここで!……あなたを倒す!」ジャキッ
ドガンッ!
170 = 145 :
ほむう
171 = 1 :
…………………………………………………
――病院
まどか「……でもキュゥべえ、どうやってワルプルギスの夜を倒すつもりなの?」
QB「……ワルプルギスの夜は、マミが聞かされた物語を元に世界を塗り替えている」
QB「でもおそらく、その物語が完結する前に……彼女は魔女になってしまったんだろう」
QB「だから最後にどう振舞っていいのかわからず、永遠に回り続けているのさ」
まどか「あ……じゃあ、そのお話を完結させれば」
QB「……それに沿った内容に、行動を変化させられるかもしれない」
まどか「なるほど……それなら、なんとかなるかも!」
QB「……でも、これには問題があってね」
172 = 1 :
QB「彼女にこの物語を語って聞かせていたのは……あくまで医師のキュゥべえだ」
QB「僕は、その代替物としては不十分かもしれない」
まどか「あ……」
QB「そもそも、マミが僕の作ったストーリーを受け入れてくれるかもわからないのに」
QB「感情もろくに無い僕が、物語を作るなんて……」
まどか「……わたしが、代わりに考えようか?」
QB「駄目だろう……あくまで、キュゥべえが語った物語でないと意味がない」
まどか「そっか……」
QB「……でも、やるしかないさ」ピョン
まどか「……うん、そうだね」
QB「じゃあ、始めるよ」スッ…
173 :
―――――――――――――――
僕は、だらんと投げ出されたままになっているマミの手に、前足を載せた。
その瞬間、マミの人差し指が三回動く。
確か……これは、キュゥべえへの挨拶だ。
彼女は、僕が語り始めるのを待っているんだろう。
……本物のキュゥべえなら、きっとすぐに語り出せたに違いない。
彼女の頭を優しくなでてやったりしたに違いない。
でも情けないことに、僕は頭の中でストーリーをまとめるのに精一杯だった。
174 :
思えば、僕はマミに対して何もしてこなかったね。
マミだけじゃない、他の魔法少女にもそうだ。
何もせず、語らず……ただ淡々と、仕事をこなしてきた。
僕は今、そのツケを払わされているのかな?
契約したばかりのころ……夜眠れずに、僕の所に来た君に。
それこそ毎日、物語でも語って聞かせればよかったのかな?
そうすれば……君たちの感情というものを、少しは理解できたのかな?
……そんなこと、今更後悔したって仕方が無いか。
175 = 173 :
よし、内容は大体決まった。
後は、語って聞かせるだけだ。
僕は筆のような形をした尻尾を使って、マミの小さな手のひらに文字を書き始めた。
テレパシーでは意味がない。
キュゥべえはこうやって彼女と会話していたんだから。
――やあ またせたね
――さびしかったかい?
マミの指先が、小さく二回、震えた。
176 = 173 :
―――――――――――――
……さて、お話の続きをしようか。
時を止める黒い魔法少女、ほむらは、ついに最大の魔女の元にたどり着いた。
その名はワルプルギスの夜。
魔法少女の、最大にして最後の敵さ。
なのに、戦える魔法少女はほむらだけだった。
他の魔法少女たちは皆戦えなくなり、倒れてしまっていたんだ。
皆の中で一番強かった、まどかでさえね。
―――――――――――――
177 = 173 :
ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハハハハ…」
ほむら「……っ、あ」ヨロッ
ほむら(次の、武器を……)ズッ…
ほむら「……え?」
ほむら「もう……武器が、無い?」
ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハハハ…」スイッ…
ほむら「……っ!」
178 = 173 :
―――――――――――――
……勝てないと思うかい?
そうだね、ほむらは一番弱い魔法少女だったから、そう思っても無理はないね。
体が弱くて、内気で、泣き虫で、すぐに逃げ出して……いつもまどかの後ろに隠れていて。
唯一、戦うための武器を持っていない魔法少女……それがほむらだった。
……でもね。 それは彼女の本当の姿じゃなかったんだ。
戦えないまどかを背に、堂々と敵に立ち向かった彼女は……
その時初めて、真の魔法少女になった。
―――――――――――――
179 = 173 :
ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハ…」ズオオオ…
ほむら「っ!?」
ほむら(……まずい)
ほむら(病院のある方に……向かってる!)
ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハ…」
ほむら「……だ、め」ヨロッ
ほむら「あそこには……まどかが居るのに……っ!」
――カッ!
ほむら「……っ!?」パアアアア…
180 = 173 :
―――――――――――――
……背中には一対の巨大な翼が生え、左手には盾の代わりに弓を持っている。
本当のほむらは、まるで天使のような姿をしていた。
もう時を止める必要も、巻き戻す必要もない。 他人から借りた武器も必要ない。
ただ、目の前の敵に矢を放てば良い。
なんたって彼女は、絶望の中にいる魔女を救い、人々に希望を振りまく――
――魔法少女なんだからね!
―――――――――――――
181 :
ほ
182 = 173 :
ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハ… ハハ」
ワルプルギスの夜「…………ハ?」
真ほむら「…………」バサッ…
ワルプルギスの夜「アハ… ハハハハハハハ!」
ゴッ!
真ほむら「…………」グッ…
ドガガガガガガガガガガッ!!
ワルプルギスの夜「…………!?」ビキビキビキッ!
183 :
おお…
184 = 173 :
ワルプルギスの夜「……アハハ……」フラッ…
ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハハハハッ!!!」ゴッ!!
真ほむら「…………」
真ほむら「……はっ!」バサッ!
ブワッ!!
ワルプルギスの夜「ハ………」グラッ…
…ズズン
真ほむら「……次で最後よ」グッ…
185 = 173 :
ワルプルギスの夜「ハ……ハ……」
真ほむら「ワルプルギスの夜……」ググッ…
真ほむら「……いえ、巴マミ」ギリギリギリッ…
ワルプルギスの夜「……ハ……」
真ほむら「あなたも、今までずっと一人で……辛かったでしょうね」
186 = 173 :
ワルプルギスの夜「…………………」
真ほむら「……だから」
…ギリッ
真ほむら「……もう、これで最後にしましょう」
ワルプルギスの夜「………………フフ」
真ほむら「……ティロ・フィナーレ!!」バッ!
――バキッ!!
187 :
なんと言うご都合主義
だが、それも良い
188 = 183 :
マミさん…
189 = 173 :
―――――――――――――
ほむらの放った最後の矢は、ワルプルギスの夜を粉々に砕いた。
彼女はついに、その親友を守りぬいたのさ。
僕には想像もつかないけど、二人にはこれからきっと……幸せな未来が待っているんだろうね。
……これでおしまいだ。
そう、これでこの話は終わり。 フィナーレだよ。
ああ……ありがとう。
君に会えてよかったよ、マミ。
―――――――――――――
190 = 173 :
まどか「……っ!」
まどか「ほむらちゃん……すごい、天使みたい……」
QB「どうやら、成功したようだね」ヒョコッ
まどか「キュゥべえ!」
まどか「……マミさんは?」
QB「一応納得してくれたよ」
QB「陳腐で、打ち切りみたいな終わり方だけど……」
QB「……一応ハッピーエンドだから、許すってさ」
まどか「……キュゥべえは――」
…グラッ
191 :
このてぃろふぃなーれは物理
192 = 173 :
まどか「っ!? ……な、何? 今の」
QB「大丈夫さ、もうワルプルギスの夜は居なくなった」
QB「今の揺れは、この結界が揺らいだために起こっただけだよ」
まどか「揺らいだって……もしかして、ここは」
QB「ああ……もうすぐ崩壊するんじゃないかな」
まどか「!!」
QB「主人を失ったんだ、当然だろう?」
まどか「で、でも……そしたら、マミさんは?」
193 :
クアンタムバースト!
194 = 173 :
QB「この時間軸ごと、無かったことになるだろうね」
まどか「…………」
QB「仕方ないさ……ワルプルギスの夜を生み出した時点で、いつかはこうなる運命だった」
QB「それでも、最後に君たちに会えて幸せだっただろう」
まどか「そう、かな……」
QB「どうせ確認する時間なんて無いんだ、そう思っておけばいいさ」
まどか「……もう、すぐそういうこと言うんだから」
195 = 173 :
QB「僕の言葉に変な期待をしないほうが良いよ」
まどか「ふふ……わかってるよ」
…グラッ
まどか「あ、また……」
QB「……そろそろ、時間切れだね」
196 = 173 :
まどか「…………」
QB「さあ、君ももう行くといい」
まどか「……え?」
QB「多分何の害も無いとは思うけどね」
QB「一応、ほむらの近くに居た方が安全だろう……」
QB「今の彼女なら、何が起ころうとも危険は無いはずだから」
まどか「いや……そうじゃなくて」
まどか「キュゥべえは……? 一緒に来ないの?」
QB「……当たり前じゃないか」
QB「僕はあくまで、マミの願いによって生み出された存在……いわば役者側なんだから」
QB「この世界と……マミと共に、消えるよ」
197 = 173 :
まどか「……っ!」
QB「……わけがわからないね、どうして君がそんな顔をするんだい?」
QB「これでもう、魔法少女が生まれることは無い……」
QB「……君にとっては喜ばしいことだろう?」
まどか「……いじわる」
まどか「そんな風に、思えるわけ……ないじゃない」
QB「…………」
まどか「……うっ、ぐすっ……」
…グラッ
198 = 173 :
QB「……まどか」
QB「もう、僕のことなんて忘れてしまったほうが良い」
まどか「………!」
QB「僕は所詮、君たちの敵だ……覚えていたってどうにもならないよ」
まどか「そんなこと……」
QB「事実さ」
QB「君がどれだけ僕のことを知ろうとそれは変わらない」
QB「僕が契約をしてきたことが、無かったことになるわけじゃない」
まどか「…………」
199 = 173 :
QB「……そんなことよりも、君は先のことについて考えるべきだ」
まどか「え……?」
QB「これからどうやって生きていくのか、困難に当たったらどうすればいいのか」
QB「それを、考えていくんだ」
QB「それこそ……僕やマミには、もう出来ないことなんだからね」
まどか「……あっ」
QB「都合のいい奇跡や魔法は使えなくなるよ」
QB「でも君には良い友人も居るし、歩くことも話すこともできる」
QB「……もう、インキュベーターなんて必要ないんだ」
QB「そうだろう? まどか」
まどか「……うん!」グシグシ
200 = 173 :
…グラッ
QB「……わかったのなら、もう行くんだ」
まどか「うん……」
まどか「……ばいばい、キュゥべえ」
QB「……さようなら、まどか」
タッ タッ タッ タッ タッ タッ…
…………………………
…………………
………
みんなの評価 : ★★
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