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元スレQB「君と契約して、インキュベーターになろうかな!」
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QB「…………」
まどか「……何にそんなに驚いているんだい?」
QB「……君の格好がいきなり変わっていて、おまけに武器まで持っていることに」
振り向くと、まどかの服装は制服から白いドレスに変わっていた。
血のように赤い円環状の模様が、なんとも不気味なデザインだ。
いつの間に着替えたのか……なんて考える人は居ないだろう。
彼女はこの一瞬で身体中の色素が抜け去り、さらに髪が腰まで伸びていた。
しかもその髪留めが……完全に、重力を無視している。
まどか「……変身したに決まっているじゃないか」
QB「そんな軽々しく言われても困るね」
まどか「魔法少女のこと、ほむらから聞いているんじゃないのかい?」
QB「まさか……本当に居るとは思わないよ」
まどか「……そうやって、人間はいつも自分の知識だけが現実だと思い込む」
まどか「わけがわからないよ」
QB「…………」
まどか「納得できないのかい?」
QB「……当然さ」
まどか「なら……見せてあげようか?」
QB「っ!」
無造作に伸ばされたまどかの手が、僕の額に触れた。
そこから頭全体へ、電気が走ったような感覚が広がっていく。
まどか「ほむらの……魔法少女たちの戦いを」
………………
その数秒間、僕の頭の中で、様々な映像が流れては消えていった。
事故にあい、燃え盛る車の中から必死で手を伸ばすマミ。
学校の屋上で幼馴染のことを想うさやかと、それを心配そうに見つめるまどか。
ボロボロの教会に一人佇む、あれは……佐倉杏子か。
その周りに現れる、白い生き物には見覚えがある、気がする。
彼女たちの痛ましい戦いと、無情な死。
そして……その全てを繰り返して戦い続けるほむら。
……僕はようやく、彼女の苦しみを知った。
…………………
QB「……っ!」
QB「はあっ、はあっ……」
まどか「……見終わったようだね」
まどか「ちょうど、こっちも全部終わったところだよ」
QB「?……って、なんだいこれは……」
辺りを見回すと、さっきと同じ魔獣の死体が山のように積み上がっていた。
剣や槍で磔にされたもの、光の矢でハリネズミのようになったもの。
中にはリボンで締め上げられたまま蜂の巣になっているものもある。
まどか「今日は瘴気が濃いね……次から次へと湧いてくる」
QB「全部、君一人で?」
まどか「僕は時間を止められるからね、このくらい一瞬あればわけないさ」
QB「…………」
QB「……ほむらたちに関する全てを見ても、まだわからない事がある」
まどか「…………」
QB「映像には、魔法少女と魔女、そしてインキュベーターが出てきた」
QB「でも、君のやっていることはそれじゃあ説明が付かない……」
QB「……君は一体何なんだい?」
まどか「…………」
QB「まどかじゃないことはわかる。 でも、キュゥべえである筈もない」
QB「……君は、魔法少女なんだろう?」
まどか「いや、僕は魔法少女じゃない」
QB「……? じゃあ……」
まどか「インキュベーターでも無いし、人間でも無い」
まどQ「「私と僕……魔法少女とインキュベーターの、成れの果てさ」」
………………………
―――――――――――――――――――
QB「……数多の世界の運命を束ね」
QB「因果の特異点となった君ならば」
QB「どんな途方のない望みだろうと叶えられるだろう」
まどか「……本当だね」
QB「……さあ、鹿目まどか」
QB「その魂を対価にして、君は何を願う?」
まどか「すう……はあ……」
まどか「……私は――」
―――――――――――――――――
まどQ「……すべてのインキュベーターを、人間に変えたい」
まどQ「それが私の願いだった」
QB「……消し去りたい、じゃなくて……人間に?」
まどQ「うん……」
まどQ「……インキュベーターは、人類の文明の発展に大きな影響を与えてきた」
まどQ「それを無かったことにしないための、私なりの工夫だよ」
QB「……随分と穴がありそうだけど……」
QB「その試みは、成功したのかい?」
まどQ「まあね……ただ、やはり少しは遅れてしまったみたいだ」
まどQ「今でこそ田舎呼ばわりされる群馬だけど、あの時間軸では随分発展していたから」
QB「……想像がつかないね」
まどQ「まあ、インキュベーターは人間となった後も、知識や技術は有していたし……」
まどQ「今の文明自体が無くなってしまうといった、最悪の事態は避けられた」
がはっ、また書き溜めてる途中で似たような設定のSSを…
俺毎回時代に取り残されすぎワロリン
とかく支援
俺毎回時代に取り残されすぎワロリン
とかく支援
まどQ「……それよりも、失策だった……というか予想外だったのは」
まどQ「矛盾した願いを叶えようとした時……この魂がどうなるのかってことさ」
QB「……キュゥべえが人間になれば、まどかの願いは無かったことになる……」
QB「確かに……矛盾してるね」
まどQ「……インキュベーターである僕が残ったとしても、それは一個体のみだ」
まどQ「しかも、その時はほむらに殺されたばかりで誰の願いも叶えていない……」
まどQ「それくらいなら、問題ないと思ったんだけど」
>>121
有る意味問題無かったようだ
有る意味問題無かったようだ
QB「でも、そうはならなかったんだろう……」
QB「……何が起こったんだい?」
まどQ「魔法少女としてのまどかと、インキュベーター……」
まどQ「2つの存在は互いを打ち消しあい、やがて始まりも終わりもない円環状の存在となった」
まどQ「相反する2つのものを、無理矢理存在させたいなら……一つにまとめてしまえばいい」
まどQ「……つまり僕らは、完全に同一化してしまったのさ」
QB「…………」
まどQ「……悲しそうな顔をしてるね」
QB「君は……悲しくないのかい?」
まどQ「悲しい、ような気はするけど……わからないよ」
まどQ「私の感情は、もう半分しか残っていないから……」
QB「…………」
まどQ「……でも、悪いことばかりじゃないよ」
まどQ「宇宙の彼方に居るインキュベーターも、同じく人間となった……」
まどQ「もう、魔法少女も魔女も生まれることは無いだろう」
QB「君は? ……君は魔女にならないのか?」
まどQ「……僕の側から私の感情を操作できるから、魔力は無限にある」
まどQ「魔女にはならないし、戦いも苦じゃないよ」
QB「……じゃあ、僕に何を頼むつもりだったんだい?」
まどQ「…………」
まどQ「……ほむら……ちゃん、のことだよ」
まどQ「彼女は時間を操る能力を持っていたから……全ての記憶を留めている」
QB「…………」
まどQ「だから、もし……まどかと、キュゥべえが」
まどQ「ほむらちゃんが守ろうとしていた者と、憎むべき敵が……一つになったと知ったら?」
QB「……そうか」
QB「君は、ほむらを絶望させたくないんだね」
QB「……それが君の、まどかの……最後の人間性というわけだ」
まどQ「そうかもしれないね……」
まどQ「……だけどそのために、あなたには……」
QB「…………」
QB「……わかってるよ」
QB「おかしいとは思っていたんだ……一族の中で、僕だけが何故こんな容姿なのか」
まどQ「…………」
QB「奇跡か魔法でもない限り、こんなことは無いと言われていたんだよ」
まどQ「……一緒に学校に行って、普通に暮らしていたら確実にボロが出る」
まどQ「だから……病院に押しこむしか無かった」
QB「それで、僕を悪役に仕立てたってわけかい?」
まどQ「……ごめんなさい」
QB「謝らなくて良いよ……君には色々と感謝してるから」
まどQ「………?」
QB「……マミの命を救ったのは、君だろ?」
まどQ「…………」
>>133
ドワォ
ドワォ
>>133
全てを理解するのには永劫のときを要するのだ
全てを理解するのには永劫のときを要するのだ
QB「彼女が助かった時も、同じ事を言われてた……」
QB「……これは奇跡だ、ってね」
QB「あの娘が僕にだけはなついたのも、まどかと仲良くなったのもそれが原因だろう」
QB「白い髪、肌に赤い目……君の格好は、まるで僕のコスプレじゃないか?」
まどQ「…………」
QB「何か間違ったことを言ってるかい?」
まどQ「……ああ、確かにそうだよ」
まどQ「僕がそういうことをするのは……意外かな?」
QB「……インキュベーターの仕事は奇跡を起こすことだ」
QB「別におかしなことはしてないよ」
QB「思えば、さやかの幼馴染を治したのも、佐倉杏子を助けたのも……」
QB「僕の周りだけでも、いろんな奇跡が起こってる」
QB「それに比べれば、僕の人生なんて安いものさ」
まどQ「あなたには、関係ない話じゃないか……」
まどQ「……わけがわからないよ」
QB「……君にもいつか、わかる時が来る」
まどQ「………?」
QB「まあいいさ……それより、僕は青鬼役を続ければいいんだね」
まどQ「……いいのかい?」
QB「ああ、ほむらは僕の患者だ」
QB「彼女のためにできる事ならなんだってするよ……あっ」
まどQ「……?」
QB「そういえば……」
QB「……確か、君と契約すれば、願い事をひとつ叶えてくれるんだったね?」ニヤッ
……………………
病院
カツ カツ カツ…
……結局、僕らは負けたんだろう。
魔女でも、インキュベーターでも無い何かに。
まどか「3、1、5……大丈夫、ここで合ってるよ」
マミの家族はもう帰らないし、さやかは友人と同じ幸せを共有することはない。
杏子の父親は真に理解されたわけじゃなく、宇宙はだれかを犠牲にすることでしか救えない。
まどか「……ほむらちゃん、入って良い?」
ほむら「……どうぞ」
ガララララララ…
本当は奇跡なんて無いのかもしれない。
誰もが幸せになったように見えても、何処かで誰かが犠牲になっている。
そう、例えば僕が……
まどか「……具合、どう?」
ほむら「……悪く無いわ」
まどか「そ、そう? なら良かっ……」
さやか「やっほー、元気ー?」ズカズカ
ほむら「……たった今悪くなったけど」
さやか「ああん? 何よ、厭味ったらしいわね」
杏子「まあまあ落ち着けって……せっかく見舞いに来たんだからさ」トテトテ
さやか「えー?」
ほむら「……まどか、これは……」
マミ「あら……あなたが暁美さんね? 噂はよく聞いてるわ」スタスタ
ほむら「…………」
マミ「あなた、魔法について興味があるんでしょう? 実は私も結構好きでね……」
ほむら「…………」
マミ「今日はたっぷり話を聞こうと思って来たのよ!」
ほむら「………ハア」
杏子「あ、それあたしも聞きたい」
さやか「え? あんたもそういうのに興味あるんだ……へー」
杏子「……何だよ? 悪いかよ……」
さやか「いや? ちょっと意外だなー、と思って」ニヤニヤ
杏子「くっ……」
マミ「あらそう? 佐倉さんってそういうイメージがあったけど……」
マミ「ほら、十字架が入った服着てるし」
杏子「!?……っち、違う! これは親父が……」
さやか「良いじゃん、認めちゃいなよー」
杏子「さやか、てめえ……!」
さやか「やーいやーい」
杏子「」ブチッ
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