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元スレQB「君と契約して、インキュベーターになろうかな!」
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病院
カツ カツ カツ…
やあ、僕はキュゥべえ。 本名はインキュベーターだ。
少女と契約して奇跡を起こし、魔法少女にするのが仕事さ。
QB「……315号室、新しい病室はここだね」
魔法少女になった娘は、人知れず魔女と戦わなくてはならない。
魔女は人を襲い、場合によっては死をもたらす存在だからね。
QB「入っていいかい?」
QB「……返事が無いけど、入るよ」
ガラララララ…
それに、ソウルジェムを浄化するには魔女の落とすグリーフシードが必要だ。
彼女たちは自分のためにも、戦い続けるしかない。
もちろん、それに見合うだけの奇跡を起こしているんだから当然のことだ。
……しかし、例えば目の前の彼女のように、それを僕のせいにして恨む娘もいる……
QB「やあ暁美ほむら、具合は……」
ほむら「………っ!!」ブンッ!
QB「きゅっ!」
………………………
ほむら「ぜえ……ぜえ……」
QB「……ひどいじゃないか、いきなり枕を投げるなんて」
ほむら「うるさい……近づかないで」
QB「やれやれ……」
……というのは、みんな彼女の……暁美ほむらの妄想なんだけど。
QB「……改めて、具合はどうだい? ほむら」
ほむら「……どうもしないわ」
QB「いや……ついこの間まで心臓を悪くしていたんだ」
QB「あまり無理はしない方が……むきゅっ!」ボフッ
ほむら「……いいから出て行って」
QB「……やれやれ」
………………………………………
残念ながら、僕は宇宙からやって来た謎の生き物でもなんでもない。
確かに、僕は不自然な白髪に赤い瞳、白人のような肌を持っている。
でも、それは生まれつきの体質だ。
キュゥべえというあだ名も、僕の名前をもじっただけのもので、インキュベーターなど微塵も関係ない。
彼女が僕を見てあの妄想をふくらませたのか、僕がたまたま設定に合っていたのか……
どちらかは知らないが、困ったものだよ。
……僕は新米の精神科医で、彼女を治療しなければならない立場だ。
そのためには当然、彼女と会話し、その心の内を観察することが必要なんだけど……
QB「そういえば、君に伝えたいことがあったんだ」
ほむら「……何? それだけ伝えたら出て行ってちょうだい」
QB「まあまあ、そう構えずに話を聞いてうきゅっ!」ボフッ
QB「……まったく非合理的だよ、布団まで投げてどうすはきゅっ!」バシャッ
QB「ぷはっ……ほむら、相手に水をかけるというのは流石にむきゅっ!」ゴツン
痛い痛い。 いくら雑誌とはいえ、固いものを顔に向かって投げるなんてどうかしてるよ。
……このように、彼女とはまともに話すのすら難しい。
QB「いたたた、どうやらかどがぶつかったみたいだよほむら」
ほむら「知らないわよ、言うことがないならさっさと出て行ってくれるかしら」
QB「昔は気弱な娘だったという話なんだけど……どうしてこうなったのかな」
ほむら「…………」スッ
QB「待ってくれ、これはまどかに関する話だよ」
ほむら「っ……」
QB「気になるだろう? だからそのガンガンを下ろしてくれるかな」
ほむら「…………」スッ
QB「ふう、やっぱり人間が耐えられるのはジャンプまで……」
ほむら「いい加減にして」スッ
QB「ごめんごめん、今話すよ」
ほむら「……ふん、白々しい」スッ
ほむら「代わりならいくらでもあるんでしょう?」
QB「ああ、そうだったね……ところで、まどかだけど」
ほむら「…………」
QB「今日はお見舞いに来れないそうだよ」
ほむら「…………」ブンッ
QB「きゅっ!……やっぱりそうなるか」ゴツン
ほむら「出て行って」
QB「……わかったよ」ガタッ
ガラララララ… バタン
……と、いつもこんな感じなのさ。
ちなみにまどかというのは、ほむらの唯一の友人だ。
相当気に入っているようで、彼女にだけは心を許しているみたいだね。
……ちなみに、僕はまどかともちょっとした付き合いがある。
どうすればダメージ無しにほむらと話せるようになるのか、教えてもらおうと思ったんだ。
今のところ、成果は挙げられてないけど。
病室を出た僕は、昼食をとるために一階へと向かった。
そういえば、インキュベーターは使い終わったグリーフシードを食べるらしい。
また、死んだ……というかほむらに殺された場合、その死体を食べることもあるそうだ。
それで証拠隠滅をはかっているとか……随分と合理的で、この設定は結構気に入っている。
今はなぜか力を失っているが、彼女が魔法少女としてブイブイ言わせていたころは
僕を殺すのが習慣のようになっていた、とのことだけど。
そのインキュベーターとやらと違って、この体はひとつしか無い。
あまり粗末にされても、困るな……
さて、僕は食堂についた所で、ある顔見知りに出会った。
ヘアピンで止めたショートヘアが特徴的な、活発そうな女の子だ。
QB「やあ、さやかじゃないか」
さやか「え?……ああ、キュゥべえ先生! こんにちは」
QB「こんにちは……今日はどうしてここに来たんだい?」
彼女は美樹さやか。 まどかの友人で、よくこの病院に来る娘だ。
なんでも、幼馴染みが入院しているんだとか。
さやか「それはねー……えへへ」
QB「? なんだか妙に上機嫌だね」
さやか「それが……恭介の腕が、治ったんですよ」
QB「……なるほど、それはいい知らせだ」
QB「だからそんなに嬉しそうなんだね」
さやか「まあね……やっぱり嬉しいです」
さやか「また、あいつのバイオリンが聞けるんだなあ……って思うと」
QB「そうか……」
QB「……でも、どうしていきなり良くなったんだい?」
QB「現代の科学では治せない、と聞いたけど……」
さやか「さあ……担当の先生も首かしげてましたけど」
さやか「まったく奇跡としか言いようがない、って」
QB「へえ、そんなこともあるんだね」
さやか「奇跡ってあるもんなんですねー……あっ」
QB「? どうしたんだい?」
さやか「あー……もしかしたらアレが良かったのかなあ、なんて」
QB「アレ?」
さやか「アレですよ、最近話題の……ほら、アレ」
QBの台詞もじにするとしゃべり方がカヲルぽいよなぁ・・・。
あ、白髪じゃないこと意外はほぼカヲル君か。
あ、白髪じゃないこと意外はほぼカヲル君か。
さやかが指さした先には、食堂そなえつけのテレビがあった。
当然、テレビがアレというわけではないだろう。 ……どうやら、写っているのはニュース番組のようだ。
ちょっと前にいきなり人気が出始めた、とある新興宗教について取材している。
さやか「実は、私もお祈りに行ってきたんだよねー」
さやか「教祖様はいい人だったし、言ってることも結構まともだったよ」
さやか「娘さんとも仲良くなれたし、行ってよかったなあ……」
QB「へえ……でも、君がそんな所に行くなんて、ちょっと意外だね」
さやか「うん、私も最初は興味なかったんだけど……まどかがあんまり勧めるもんだからさ」
QB「まどかが……それも意外だ」
さやか「そう? それはいかにもって感じじゃない?」
QB「まどかはああ見えて現実的な所があるからね、神仏の類は信用しないと思ってたよ」
さやか「……そんな娘だったっけ?」
QB「……ほむらと比べて見るからそう思うのかもしれないね」
さやか「あー……ほむらねえ」
さやか「あいつ、まだ変なこと言ってるんですか?」
QB「言わなくなってたら苦労しないよ」
さやか「まったくしょうがないなあ……まどかもなんであんなのに肩入れしてるんだか」
QB「実は随分昔からの知り合いらしいからね、本人達にしかわからない事情があるんだろう」
さやか「え、そうなんですか?」
QB「ほむらがそう言ってたよ」
さやか「なーんだあ……」
QB「まあ、僕は随分と助かってるけど」
QB「まどかが居なければ、彼女と接するのはもっと大変だったろう」
さやか「ベッタベタだもんね、あいつ……まどかにだけは」
QB「彼女の話をまともに聞いてくれるのはまどかだけだからね」
さやか「ほっときゃいいのに……あ、明日は来るって言ってましたよ」
QB「それは良かった、ほむらも喜ぶよ……ところでさやか」
さやか「何?」
QB「……そろそろ食べないかい?」
………………………………………………
夜
ほむら「…………」ゴソゴソ
ほむら「……あった」
ほむら「ふう……やっぱり眼鏡が無いとよく見えないわね」
ほむら「…………」
ほむら(……ソウルジェムも、武器も、身体能力の向上も無い)
ほむら(やっぱり、今の私はただの人間なのね)
ほむら(おそらく美樹さやかや巴マミ、佐倉杏子も……)
ほむら(……そしてまどかも)
ほむら「…………」
ほむら(……最後の、ワルプルギスの夜との戦い)
ほむら(あの時、遠くにいて聞き取れなかったけど……まどかがキュゥべえに何かを話していた)
ほむら(時間を巻き戻した覚えはない……つまりあの時、まどかが何かをした)
ほむら(それで、この世界に来た……?)
ほむら「…………」
ほむら(……こうなることを望んでいた、はずなのに……なぜか不安になる)
ほむら(今までのこと、もしかしたら本当に……)
ほむら「無かった……なんて」
ほむら「…………」
ほむら「違う、よね……まどか……」
……………………………………………………
翌日
ガラララララララ
QB「やあほむら、調子はどうだい?」
ほむら「…………」
QB「……?」
……何も飛んでこない。
医者に枕を投げつける患者なんてそう居ないものだけど、彼女の場合はそれが普通だ。
枕に抱きついて丸くなっているのを見るに、どうやら随分落ち込んでいるようだけど……
ちょっと心配だな。
QB「どうしたんだいほむら、今日はあまり元気が無いね」
ほむら「…………」
QB「そんなに枕を抱きしめて……ようやく今までの無礼を詫びる気になったのかい?」
ほむら「……うるさい、出て行って」
QB「昨日まどかに会えなかったからって、あまりふてくされてもらっても困るよ」
ほむら「うるさいっ!」ブンッ!
QB「……おっと、おとなしく食らうと思ったら大間違いさ」ガシッ
ほむら「あっ……」
腕を掴んで枕投げを阻止すると、ほむらはどこか焦ったような顔で僕を見つめてきた。
その顔はやけに青ざめていて、掴んだ腕からは小刻みに震えが伝わってくる。
QB「……本当に大丈夫かい? もしかして具合が悪くなったんじゃ」
ほむら「やめてっ!!」バシッ
QB「っ!……」
ほむら「何で……」
QB「……ほむら?」
ほむら「……何で、何であなたが冗談なんて言うの!?」
ほむら「何で私の心配なんかするの!?」
QB「…………」
ほむら「これじゃあまるで……人間、みたいじゃない」
それは、人間だからね。 ……とは言い出せない雰囲気だ。
おそらく、彼女は今とても不安定になっているんだろう。
なんとかして安心させてあげたいが、どうやら人間らしい行動は逆効果らしい。
……こういう時は、あまり触れないのが一番だ。
QB「……わかった、そろそろ出ていくよ」
QB「そうそう、今日はまどかが来るらしいよ、楽しみに待っているといい」スタスタ
ガララララララ… バタン
ほむら「…………」
ところで、このきゅうべえがペコポン人スーツ着たQBで再生されるんだがどうすればいい?
……………………………………………
さて、そうこうしている間にまどかの下校時刻になったよ。
……その間ぼくが何をしていたか? それは、他の患者を診ていたけど。
基本的に、ぼくの仕事は流れ作業だ。 ほむらが特別面倒な娘なのさ。
まあ、彼女にかかりっきりになるのも悪くないけど……っと、来たきた。
……あれ? 隣に居るのは……
まどか「……先生! こんにちは!」
QB「やあまどか、待ってたよ」
QB「それと……久しぶりだね、マミ?」
さて、そうこうしている間にまどかの下校時刻になったよ。
……その間ぼくが何をしていたか? それは、他の患者を診ていたけど。
基本的に、ぼくの仕事は流れ作業だ。 ほむらが特別面倒な娘なのさ。
まあ、彼女にかかりっきりになるのも悪くないけど……っと、来たきた。
……あれ? 隣に居るのは……
まどか「……先生! こんにちは!」
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