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    元スレ女「…」男「なんでアイツ、いつも手袋してるんだろ?」

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    1 :

    授業中

    「…」カキカキ
    「あら、消しゴムが…」

    コロコロ

    「…」スッ

    「はい」

    「あ、ありがとさん」

    「いえいえ」カキカキ

    「…」カキカキ

    (なんで手袋してるんだろ…)

    2 :

    金属アレルギーとか潔癖症か厨二病か

    3 :

    鬼の手か

    4 :

    あるいは手に醜い火傷の痕が……

    5 :

    邪鬼眼

    6 :

    女友「でねー、それでね!」

    「うんうん」

    俺のクラスメイトであるあの子は、いつも手袋をしている。寒がりだと言っても、今は夏だし、潔癖症かと思えばこの前普通に係のトイレ掃除を苦にもせずしていた。

    「なんでだろう」

    自分に聞いたところでわからない。そもそも、あの子とはあまり接点もなくて、こじつけるにしても、席が近い、それだけの話なのである。

    女友「うひひーっ!あ、男ー。何いやらしい目でこっち見てんのさー?」

    「なにニヤケた面でこっち見てんのさー」

    女友「スケベー」

    こいつはあの子と仲がいいらしく、俺と中学も同じだったので、他の女子よりは話しやすい

    7 :

    義手の流れktkr!!!!

    9 = 6 :

    そうこうしているうちに、次の授業のチャイムが鳴った。

    「別に、女友ちゃんは本気で君のこと、スケベとか思ってないよ!多分」

    「わかってるさ」

    俺は彼女と他愛もないキャッチボールをする。ほどなくして、厳つい数学教師がのっそりと教室に入り込んできた。

    彼女は、多分真面目な類の人間である。

    授業中は、いつも前を向いて、私語もしない。

    今の俺みたいに、ウトウトなんて絶対しない。

    10 :

    エナメルやサテンの長手袋が好きでたまらない

    11 :

    授業参観、恋の予感

    12 = 6 :

    女友「おーいスケベー…」

    「んぁ?」

    親友の声が俺の目蓋をこじ開けた。どうやら、もう授業は終わり、HRも済んだらしい

    女友「帰るよ、スケベ」

    この呼び方がいたく気に入ったらしく、コイツは俺の頭をペチペチ叩きながら、スケベスケベ言う。

    「俺はスケベじゃねーよ」

    女友「さ、スケベ、さっさと帰ろうか!」

    「だからぁ…」

    コイツと、俺の家は近い。なんせ中学で同じ校区なのだから、高校からもあるていど同じ方向に帰るからだ。

    女友「はやく~、私見たい夕方ドラマあるんだから」

    下足場に向かう途中、コイツは色々不満を漏らす。いつものことだ。
    「再放送だろ?」

    女友「なにか問題でも?」

    コイツはなんだかんだで待ってくれる。下足場に差し込んでくる斜陽が、寝ぼけ眼をこれでもかと刺激する。

    13 :

    包帯つけたじゃがんよりまし

    14 = 6 :

    「あのさぁ」

    近所の子供たちが、遊び跳ねる帰り道で、俺は訪ねた。

    「女さんって、なんでいつも手袋してんの?」

    女友「しらぬ」

    即答。

    「本当に?」

    女友「んー、実は私も気になってるんだよね~。知りたいけど、コンプレックスを隠してたりしたら…」

    「コンプレックス?」

    女友「火傷とか?」

    なるほど、女の子が手を火傷しては一大事だ。なんとなく納得して、俺は「あぁ」と声を出した。

    女友「確かに気になるねぇ~、前に聞いたら『あ、あ…いや、別に』とか言ってたし」

    親友は即座に彼女の物真似をしてみせた。彼女のか細い声も微妙に再現できているから、つい吹き出してしまった。

    女友「ちょっとー、笑うとか不謹慎なんですけどー」

    「お前はシリアスだったのかよ」

    その後、2、3の雑談をしながら俺たちはそれぞれの家路についた。昼間の蝉の音も、帰宅するころには鴉の声に変わっていた。

    15 :

    アレだわ、ロケットパンチだわ

    16 :

    支援してやるからな

    17 = 6 :

    翌朝、教室についた女友はいつも通り彼女と雑談をしていた。俺がまだ教室に着いていない時の話である。

    女友「それでさー、そのボーカルの子がねー」

    「あはは、そうなの?」

    女友「それが本当なんだよ!あははは!」
    女友「ところでさ、女ちゃん…なんでいつも手袋してんの?前にも聞いたけど」

    「え、あ、いや」

    彼女は、女友の質問への動揺を顔に表した。本人に自覚はないらしいが。

    女友「あ、いや、その…嫌なら言わなくていいんだよ!?だからさ、その…」

    「う、うん…でも…」

    手袋の事例に関して、女友は徐々にに間合いを詰めていく。対して、女は答えを渋り、間合いをとらせまいと苦心している。

    俺が教室に入ったのは、その時だった。

    女友「痛いっ!?」

    頭に俺チョップを受けた女友が思わず声をあげた。

    18 = 6 :

    「お前、昨日は手袋のことは遠慮するとか言ってたじゃん!即効破るとか、もう…もう…」

    上手い言い回しが見つからない。咄嗟に出した言葉がこれだ。

    「ぎ、ぎ、…偽善者か!」

    女友「えぇぇええ……」
    俺の言葉が鉛の錘となり、女友にのしかかった。その重みなのか、コイツはガクリと膝をつく。

    女友「ひどい……中学から、私は男をずっと信じてきたのに…偽善者だなんて…」

    女友はヨヨヨとわざとらしく泣き始めた。

    「ちょ、ちょっと男くん。別に私のことはいいから、女友ちゃんをそんなふうに言わないで…?」

    「あ、ご…ごめん」

    俺が謝ったとき、女友の口もとからチロリと舌が出たのが見えた。やはり嵌められた。
    今回は俺の負けだ。

    19 :

    ひとしきり、「茶番」を済ませた女友はこちらに向き直り、太陽のような眩しい笑顔でこう言った。

    女友「そういえば、今日はプールだよスケベ!」

    「ここぞとばかりにスケベ呼ばわりするな」

    まるで俺が覗きでもするかのような口振りだ。

    「ふふっ本当に二人って仲がいいのね」

    女友「あたぼうよ!」

    「腐れ縁だよ、腐れ縁」

    女友「…あ?」

    「すみません、大の仲良しです」

    漫才を続けているうちに、教室の時計が始業を示した。

    20 :

    女友「なぁ…スケベしようや…」

    22 = 19 :

    英語の授業も終え、待ちに待ったプールの時間がやってきた。天気は快晴、夏の灼けつきも相まってプールへの期待がより一層高まる。

    更衣室に向かう途中、女友から、ジェスチャー信号を受信した。中学時代に二人で開発したものが、今でも現役を貫いている。

    ワカッテイルナ?プールノトキ、テブクロハ

    メッセージ受信後、俺は素早く返信する。

    リョウカイ。オマエモ、コウイシツノ ジテン デ サリゲナ~ク チェック シロ。 こんぷれっくすテキナ モノナラ スルー。

    俺の信号に、女友は親指を立てた。

    23 :

    >>22
    爆笑問題かよ

    24 = 19 :

    いよいよ男女ともに更衣が終わったようで、男子更衣室、女子更衣室からそれぞれ水泳着に着替えた生徒が姿を現した。
    予想以上に厳しい日光の下、俺は入場してくる女子の群れから、彼女を探した。

    途中、俺と目を合わせた女友がこちらに信号を送った。

    ナニ コッチ ミテルノ? スケベ。

    理不尽なコメントに軽く舌打ちをしながらも、俺は彼女を探した。

    いない。

    「…あれ?」

    もう一往復、女子を見渡す。
    やはりいない。

    25 = 19 :

    もしやと思い、プールサイドにある見学者用ベンチに目をやると、そこに制服を着た彼女がちょこんと乗っかっていた。
    しっかりと黒い皮手袋をはめて。

    「なんてこった…」

    俺は膝をついた。

    「おい!男子は整列しているぞ!お前は何をしている!」

    「すみません!」

    教師からの注意も受け、ばつが悪いことこのうえない。

    26 :

    ネウロか

    27 = 19 :

    女さんは、肌が白い。だから、日光にあたりすぎるとよくないのではないかと心配になりながら、俺は5回目のクロールを泳いだ。

    休憩中、これまた5回も女友のスケベ信号を受信した。

    日差しもとどまらず、体育は無難に終わった。

    28 :

    気になる展開

    29 :

    厨二になりそうな気がするけどいいや

    30 = 19 :

    帰りのHRのことだった。先生が女友に意地の悪い、からかうような視線を送った。
    「一昨日、そして昨日も掃除をサボったな」

    女友「へ、へへぇ」

    「ペナルティーとして、今日はお前だけで掃除。終わるまで返さんぞ?」

    女友「そ、そんなぁお頭!殺生な!」

    「誰がお頭だ!私は教師だ」

    罰掃除を食らった女友を少しざまぁ見ろと思った。


    それでもいざHRが終わると、こうして廊下で女友を待ってしまう俺である。これも腐れ縁の弊害なのかもしれない。

    「ねぇ、男くん?」

    「え、ん?何?」

    32 = 19 :

    「女友を、待ってあげてるんだ」

    「あ、うん。そうだよ」

    「いいなぁ。」

    「よくないよ、こうして待たされてさぁ」

    「ううん、男くんに待ってもらってるのが羨ましいの」

    「ん?」

    「…もう、言うね。男くん」

    彼女がゴクリと喉を鳴らした。周りがやけに静かに感じる。

    「男くんが好きです!…でも、付き合いたくありません!」

    奇妙な告白をされた。

    34 :

    みてる

    35 :

    とすると手袋の件は...

    36 = 19 :

    「…え?」

    「ごめんね、男くん」

    「え?」

    「これで、私の恋に決着がついたわ」

    「え?」

    「自分勝手で…本当にごめんなさい」

    「え?」

    どれだけ頑張っても、口からは「え」しか出てこない。俺の周り数センチは、あまりの驚愕で時が止まっていた。

    「じゃ…また明日、学校でね」

    告白されたのに振られた気分になる。人生とは希有な経験もあったものである。

    37 :

    キリギリさんじゃないのか

    38 :


    とある王国の幽閉されてた王弟の一人娘で
    紅い鎧を着てたり、趣味が読書の
    父親が作った傭兵部隊の方ですね?

    39 :

    アサヒハルカか

    40 = 19 :

    女友「ええーーーーーー」

    「その締まりのない口を閉じろ」

    帰り道、親友にこのことを話すと、コイツは大きな口を最大限に広げた。

    女友「で、で!?」

    「なんか、付き合いたくないってさ」

    女友「なんでぇええええ!?」

    女友は青天の霹靂の真っ只中に突入した。開いた口が塞がらない、とはこのことを言うのだろうか。

    「なんでって…俺にもわかんないよ。聞けばよかった」

    女友「スケベ」

    「なんでこのタイミングで!?」

    女友「なんとなく」

    43 = 19 :

    なにはともあれ、翌日学校で聞いてみることにした。彼女は人をあんな風にからかう人間ではないから、それなりの理由があるのだろう。

    「な、なぁ女さん」

    「な、なななななな何?」

    あまりに噛みすぎて、彼女の声がDJのラップに聞こえないこともない。
    「昨日のことなんだけどさ…」

    「え、あ、う…」
    彼女は火を出しそうなほど、顔を赤くしだした

    「よかったら、理由、教えてくれないかな?」

    「あ、あ、…あの、えっと…何の理由、ですか?」

    「そ、そりゃ、女さんが俺と付き合いたくない理由だよ」

    女さんの顔から火が出た。
    「あ、あわ…あの、それはですね、男くんが、私と付き合うつもりだったとか、その…」

    44 :

    俺は射精した

    45 :

    efかと思った

    確か
    手袋をしてた理由は........

    46 :

    >>44
    早すぎるよ

    47 = 19 :

    「あ、あれはですね…その…」

    顔の火は鎮火したが、未だに女さんの顔は湯気を吹き出している。

    ふと目をやると、女さんは両手でモジモジと互いの手袋を摘んだり、撫でたりしていた。

    つい、俺は口走ってしまった。

    「もしかして、その手袋と関係あるの?」

    女さんの肩が、俺の言葉で大きく跳ねた。

    49 = 42 :

    両手だったのか

    50 = 19 :

    俺は「あっいや…」と、すぐに訂正を試みたが、覆水盆に返らず。女さんは黙って、うつむいていた。

    「…だよね…。好きな人に言うんだから…当たり前、だよね」

    一人ごとのようにブツブツ呟いたあと、女さんは手袋越しに俺の手を引っ張った。女さんはその華奢な体に合わせて、手もかなり細いとわかった。
    教室から聞こえる女友がうだる声を背に、女さんはただひたすら俺を引っ張った。


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