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元スレあかり「ずっとずっと一緒にいられたらいいよね」
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◆
ちなつ「……」
リビングに戻った私は、ごろんとソファーに倒れこんだ。
普段やりなれないことをするとどうしても疲れてしまうものらしい。
汚れた台所は向日葵ちゃんにも手伝ってもらってなんとか綺麗になったけど、
そろそろお腹も減ってきた。
あかりちゃん、まだかな。
帰ってくる気配は、中々ない。
早く帰ってきてほしいのに。忙しいのかもしれないけど、晩ごはんまでには
帰ると言ってくれていたのに。
ちなつ「……」
リビングに戻った私は、ごろんとソファーに倒れこんだ。
普段やりなれないことをするとどうしても疲れてしまうものらしい。
汚れた台所は向日葵ちゃんにも手伝ってもらってなんとか綺麗になったけど、
そろそろお腹も減ってきた。
あかりちゃん、まだかな。
帰ってくる気配は、中々ない。
早く帰ってきてほしいのに。忙しいのかもしれないけど、晩ごはんまでには
帰ると言ってくれていたのに。
ちなつ「……電話は」
ポケットの携帯を探る。
開けてみても、なんの連絡も入っていなかった。
メールも、着信も、なにもない。
ちなつ「うー……」
暗いと、自然と不安になってくるのはどうしてなのだろう。
さっきまでのほかほかな気分が、嘘みたいに萎んでいってしまう。
あかりちゃんはいつも私より早く帰ってくることが多かったから、よけいにだ。
私はぽふっとソファーに顔を伏せた。
ポケットの携帯を探る。
開けてみても、なんの連絡も入っていなかった。
メールも、着信も、なにもない。
ちなつ「うー……」
暗いと、自然と不安になってくるのはどうしてなのだろう。
さっきまでのほかほかな気分が、嘘みたいに萎んでいってしまう。
あかりちゃんはいつも私より早く帰ってくることが多かったから、よけいにだ。
私はぽふっとソファーに顔を伏せた。
ふいに、この部屋の元の主だった人のことを思い出す。
私のお姉ちゃんである、吉川ともこ。
お姉ちゃんは大学を卒業してからしばらくは、この部屋に住んでいたのだ。
私たちがこんないい条件の部屋を簡単に借りることができたのもお姉ちゃんの伝が
あったから。
お姉ちゃんの集めていた家具も、少しだけだけど置いていってくれた。
今、お姉ちゃんは別の人の家で暮らしているから。
お嫁になんていきたくないわ。
お姉ちゃんは結婚前、よくそんなふうに私に漏らしていた。
お姉ちゃんには他に好きな人がいることを知っていた私は、「うん」と、そう言って
頷いてあげることしかできなかった。
私のお姉ちゃんである、吉川ともこ。
お姉ちゃんは大学を卒業してからしばらくは、この部屋に住んでいたのだ。
私たちがこんないい条件の部屋を簡単に借りることができたのもお姉ちゃんの伝が
あったから。
お姉ちゃんの集めていた家具も、少しだけだけど置いていってくれた。
今、お姉ちゃんは別の人の家で暮らしているから。
お嫁になんていきたくないわ。
お姉ちゃんは結婚前、よくそんなふうに私に漏らしていた。
お姉ちゃんには他に好きな人がいることを知っていた私は、「うん」と、そう言って
頷いてあげることしかできなかった。
今でもきっと、お姉ちゃんはその人のことが好きで。
その人もきっと、お姉ちゃんのことを想い続けている。
あかりちゃんが時々、「お姉ちゃん、早く結婚しろってお母さんがうるさいんだってまたメールしてきて」
と笑っているから。
ちなつ「……」
私たちは、どうなんだろう。
今朝見た、異性同士のカップル。私たち同性は、結婚できない。
それはきっと、私たちと同じ立場である結衣先輩や京子先輩だってわかっていることで。
今は、同じ気持ちでいられるんだから。
京子先輩の、魔法の言葉を心の中で反芻してみるけれど。
今の私には効果なんてあるはずなかった。
その人もきっと、お姉ちゃんのことを想い続けている。
あかりちゃんが時々、「お姉ちゃん、早く結婚しろってお母さんがうるさいんだってまたメールしてきて」
と笑っているから。
ちなつ「……」
私たちは、どうなんだろう。
今朝見た、異性同士のカップル。私たち同性は、結婚できない。
それはきっと、私たちと同じ立場である結衣先輩や京子先輩だってわかっていることで。
今は、同じ気持ちでいられるんだから。
京子先輩の、魔法の言葉を心の中で反芻してみるけれど。
今の私には効果なんてあるはずなかった。
大学には、男の人だってたくさんいる。
あかりちゃんは可愛いし、もしかしたら狙われちゃったりしているのかもしれない。
そう思うと、いても立ってもいられなくなるけれど。
すぐにでもあかりちゃんを探しに行きたいけれど。
今は幸せでも、未来はわからない。
結局お姉ちゃんたちのように、離れ離れになってしまうかもしれない。
ならなくたって、笑えなくなってしまうかもしれない。
――それならもういっそ。
あかりちゃんは可愛いし、もしかしたら狙われちゃったりしているのかもしれない。
そう思うと、いても立ってもいられなくなるけれど。
すぐにでもあかりちゃんを探しに行きたいけれど。
今は幸せでも、未来はわからない。
結局お姉ちゃんたちのように、離れ離れになってしまうかもしれない。
ならなくたって、笑えなくなってしまうかもしれない。
――それならもういっそ。
たまっていた不安が、突然あふれ出したみたいだった。
あかりちゃんが帰ってこないことも含めて、辛くて仕方が無い。
ちなつ「……」
やだな、私。
こんなに暗くなるはずなんて、なかったのに。
きっと寒いからだ、電気もストーブもつけないで、考え込むから。
早く、電気とストーブつけないと――
けれど、疲れてしまった身体は、重い。
それ以上の思考を避けるみたいに、次第に頭まで暗くなっていった。
あかりちゃんが帰ってこないことも含めて、辛くて仕方が無い。
ちなつ「……」
やだな、私。
こんなに暗くなるはずなんて、なかったのに。
きっと寒いからだ、電気もストーブもつけないで、考え込むから。
早く、電気とストーブつけないと――
けれど、疲れてしまった身体は、重い。
それ以上の思考を避けるみたいに、次第に頭まで暗くなっていった。
―――――
―――――
ガチャガチャ、と鍵のかかったドアを開けようとする音で私は暗闇の中、目を
開けた。
ずっとうとうととして、いつのまにか眠ってしまっていたのだ。
暗い部屋に馴れた目が、壁に掛かった時計を映し出す。
もうすぐで11時をまわるところだった。
ちなつ「……あかりちゃん?」
私は寝惚けた声のまま、呟いて立ち上がった。
玄関の鍵をカチャリと開けると、勢い良くドアが開いて。
その勢いのまま、あかりちゃんが倒れこんできた。
―――――
ガチャガチャ、と鍵のかかったドアを開けようとする音で私は暗闇の中、目を
開けた。
ずっとうとうととして、いつのまにか眠ってしまっていたのだ。
暗い部屋に馴れた目が、壁に掛かった時計を映し出す。
もうすぐで11時をまわるところだった。
ちなつ「……あかりちゃん?」
私は寝惚けた声のまま、呟いて立ち上がった。
玄関の鍵をカチャリと開けると、勢い良くドアが開いて。
その勢いのまま、あかりちゃんが倒れこんできた。
ちなつ「ちょ、ちょっと!?」
慌てて受け止める。
「ちなつちゃん……」私の名前を呼ぶあかりちゃんの声は、濡れていた。
あかり「ごめんね、遅くなっちゃって……」
ちなつ「あかりちゃん、それより……」
どうして泣いてるのか、わからなかった。
泣きたかったのは私のほうなのに、すっかり拍子抜けだ。
それになんだか、お酒の匂いがした。
ちなつ「……お酒、飲んだの?」
慌てて受け止める。
「ちなつちゃん……」私の名前を呼ぶあかりちゃんの声は、濡れていた。
あかり「ごめんね、遅くなっちゃって……」
ちなつ「あかりちゃん、それより……」
どうして泣いてるのか、わからなかった。
泣きたかったのは私のほうなのに、すっかり拍子抜けだ。
それになんだか、お酒の匂いがした。
ちなつ「……お酒、飲んだの?」
こくんとあかりちゃんは頷いて。
そのまま、眠ってしまったみたいに全体重を私に預けてきた。
そのせいで私はバランスを失って、あかりちゃんを抱えたまま玄関に尻餅を
ついてしまった。
ちなつ「いたた……」
あかり「ごめんね……」
ちなつ「え?」
眠ったのかと思っていたあかりちゃんは、小さな声でそう言った。
なにが「ごめんね」なのかわからずに、私はただ、あかりちゃんの次の言葉を
待つことしかできなくて。
そのまま、眠ってしまったみたいに全体重を私に預けてきた。
そのせいで私はバランスを失って、あかりちゃんを抱えたまま玄関に尻餅を
ついてしまった。
ちなつ「いたた……」
あかり「ごめんね……」
ちなつ「え?」
眠ったのかと思っていたあかりちゃんは、小さな声でそう言った。
なにが「ごめんね」なのかわからずに、私はただ、あかりちゃんの次の言葉を
待つことしかできなくて。
どういう意味?と訊ねることが精一杯だった。
あかりちゃんはごめんね、そう言ったきり、ただぎゅっと、なにかを待つように
私に抱きついてきたままだけど。
ちなつ「……あかりちゃん」
力をなくしてだらんとしたあかりちゃんの手から、なにかが落ちた。
レシートだ。
暗闇の中、なんの文字も見えなかったけど。きっと大学のサークルかなにかで
飲み会でもあったのかもしれない。それにあかりちゃんも誘われて――
ちなつ「ね、ねえ!あかりちゃん、どういう意味なの!?」
嫌な想像が頭を駆け巡った。
ぐったりしたようなあかりちゃんを見て、よけいに私の心が乱される。
あかりちゃんはごめんね、そう言ったきり、ただぎゅっと、なにかを待つように
私に抱きついてきたままだけど。
ちなつ「……あかりちゃん」
力をなくしてだらんとしたあかりちゃんの手から、なにかが落ちた。
レシートだ。
暗闇の中、なんの文字も見えなかったけど。きっと大学のサークルかなにかで
飲み会でもあったのかもしれない。それにあかりちゃんも誘われて――
ちなつ「ね、ねえ!あかりちゃん、どういう意味なの!?」
嫌な想像が頭を駆け巡った。
ぐったりしたようなあかりちゃんを見て、よけいに私の心が乱される。
あかり「……頭痛い」
けれどあかりちゃんが言ったのはその一言だった。
きっと、あかりちゃんは相当お酒に弱いのだろう。
ぐずぐずと鼻をすすりながら、小さく呻く。
私は慌ててあかりちゃんの身体を揺らすのをやめると、「水、飲む?」と
立ち上がろうとした。
あかり「……いらない」
けれどあかりちゃんは、そう言って私の身体を離さないというようにぎゅっと
腕をまわしてきた。
ちなつ「あかりちゃん……?」
けれどあかりちゃんが言ったのはその一言だった。
きっと、あかりちゃんは相当お酒に弱いのだろう。
ぐずぐずと鼻をすすりながら、小さく呻く。
私は慌ててあかりちゃんの身体を揺らすのをやめると、「水、飲む?」と
立ち上がろうとした。
あかり「……いらない」
けれどあかりちゃんは、そう言って私の身体を離さないというようにぎゅっと
腕をまわしてきた。
ちなつ「あかりちゃん……?」
つい、困惑してしまう。
こんなあかりちゃんは始めてだった。
お酒パワーというやつだろうか。
とりあえず、身動きがとれなくなった私はただ、あかりちゃんの頭に手を置いて
安心させるように撫でてあげることしかできない。
あかり「……あかり」
ちなつ「え?」
あかり「あかり、やっぱりちなつちゃんじゃなきゃだめみたい」
こんなあかりちゃんは始めてだった。
お酒パワーというやつだろうか。
とりあえず、身動きがとれなくなった私はただ、あかりちゃんの頭に手を置いて
安心させるように撫でてあげることしかできない。
あかり「……あかり」
ちなつ「え?」
あかり「あかり、やっぱりちなつちゃんじゃなきゃだめみたい」
突然の言葉に、私の心臓はどきんとはねた。
今さら緊張するなんてバカみたいだけど、つい肩に力が入ってしまう。
玄関に座り込んだ私にしがみついたまま、あかりちゃんは私を見上げてきた。
ちなつ「あかりちゃん……」
あかり「……今日、男の人もたくさんいたけど」
触られたり、変なことされて。
だんだん小さくなる声だけど、私の耳にははっきりと聞こえてしまった。
今度は嫌な感じに心臓が萎む。思わず歯軋りすらしたくなる話だ。
ちなつ「それで、あかりちゃんは」
あかり「……全然、嬉しくなかったしなにも感じなかったよ」
今さら緊張するなんてバカみたいだけど、つい肩に力が入ってしまう。
玄関に座り込んだ私にしがみついたまま、あかりちゃんは私を見上げてきた。
ちなつ「あかりちゃん……」
あかり「……今日、男の人もたくさんいたけど」
触られたり、変なことされて。
だんだん小さくなる声だけど、私の耳にははっきりと聞こえてしまった。
今度は嫌な感じに心臓が萎む。思わず歯軋りすらしたくなる話だ。
ちなつ「それで、あかりちゃんは」
あかり「……全然、嬉しくなかったしなにも感じなかったよ」
じっと、私を見詰めたままあかりちゃんが言う。
だからきっと、その言葉に嘘なんてないのだろう。
あかり「……それでね」
ふと、目を逸らされた。
あかりちゃんの目からまた、じわっと涙が溢れ出て私の胸元を濡らす。
あかり「……それで、一人の人に、これからホテルに行かないかって誘われた」
ちなつ「……う、うん」
つい、身体を強張らせてしまう。
あかりちゃんのことを、信じていないわけじゃないのに。
だからきっと、その言葉に嘘なんてないのだろう。
あかり「……それでね」
ふと、目を逸らされた。
あかりちゃんの目からまた、じわっと涙が溢れ出て私の胸元を濡らす。
あかり「……それで、一人の人に、これからホテルに行かないかって誘われた」
ちなつ「……う、うん」
つい、身体を強張らせてしまう。
あかりちゃんのことを、信じていないわけじゃないのに。
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