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    元スレ杏子「さやか、――あんたを殺す」

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    みんなの評価 :
    タグ : - アイドルたち + - 佐倉杏子 + - 魔法少女まどか☆マギカ + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    201 = 198 :

    「本気なの!?」

    上体を下げて躱すさやか。
    穂先に連動して跳ね上がった柄も避けるが、杏子の後ろ蹴りがさやかの腹に命中。
    体をくの字に折るさやか。
    杏子は身をひるがえした。

    「ぐ……杏子……っ、待ってよ……!」

    激しさを増す雨のなかを二人が駆ける。
    すぐに住宅街を抜け、小学校を越え、田園を通る。
    さやかが追いつくたびに杏子は槍を構え、さやかを攻撃した。
    だが、さやかは諦めない。
    何度傷つこうと、再び追いかけ、追いつく。

    「杏子! あんたの話を聞かせてよ! あんたの、あんたの気持ちを聞かせてよ!」

    二人がたどりついたのは廃ビルであった。
    建設途中で計画が頓挫したのか、中途半端なコンクリートの構造が足場に囲まれて立っている。


    202 :

    さやさやあんあん

    203 :

    さやさや

    204 = 198 :


    「もう放っとけよ……。アタシなんか、追いかける価値ねーよ。もう、諦めろよ!」

    俯いたまま叫ぶ杏子。

    「諦めないよ」

    さやかが近づく。

    「あたし、諦めない。だって、あたしは杏子がいなくなるのはいやだから」

    「………。だめだ……、アタシはひとりにならなくちゃだめなんだ……!」

    「だめじゃないよ」

    さやかがもう一歩近づく。

    「さやか、――あんたを殺す」


    205 :

    さやか「友達になりたいんだ」

    206 = 203 :

    あんあん……

    207 = 198 :

    さやかを睨む杏子の目は赤かった。
    杏子が槍を構え直す。

    「杏子! どうして!」

    振り抜かれた槍をサーベルで受け止めたさやかの首に杏子の左足がめりこむ。

    「がッ!」

    倒れ込むさやかの胸倉を掴んで、杏子はそのまま廃ビルに投げ飛ばした。
    コンクリートがぶち貫かれ、粉塵が舞う。

    「あああああああッ!」

    提げた槍で地面をえぐりながら杏子が疾駆。
    粉塵に飛び込んで槍を突きこむ。

    「終わらせてやる! なにもかも!」

    雷撃のような突きをサーベルで防いださやかの目に炎が映った。
    槍の穂先から爆熱がほとばしる。

    208 = 202 :

    どうなってしまうんや

    209 :

    210 = 198 :

    「杏子ぉっ!」

    爆発を切り裂いて襲い掛かったサーベルを槍で受け止めた杏子はそれをぶん回した。
    槍の柄がさやかの側頭部に当たり、彼女はどさりと倒れる。
    さやかはひどい有様だった。
    打撲、骨折、内臓損傷、重度の火傷。
    だが、立ち上がる。
    治癒の魔法陣がいくつも展開していく。

    「この、ばか杏子……! あたしは、諦めが、悪いんだ、知らなかった?」

    荒い息のさやか。杏子も同様だ。

    「知ってるさ……だから、もう、殺すしかないじゃんか!」

    上段から打ちかかる槍をサーベルで受けたさやかの懐に、槍を手放した杏子が飛び込んでいた。
    反応しようとするさやかの軸足を杏子が払い、さやかの体勢がさらに崩れる。
    流れていくさやかの視界のなか、杏子は小さく、しかし勢いよく回転した。


    212 = 198 :

    「杏――」

    回転の勢いを乗せた杏子の左足がさやかの胸に激突、言葉と呼吸を途絶させて上へと吹き飛ばす。
    天井と床を何枚も突き破ったさやかは降りしきる雨のなかに放り出された。
    空中で姿勢を立て直し、縦に張り出した鉄骨に獣のように着地。
    なんとか呼吸を再開するさやか。

    「はッ……はッ……、ぜえ……ぜえ、にゃろう……」

    ざあざあと雨に濡れていく。
    さやかは濡れそぼったマントを脱ぎ捨てた。

    かんかんかんかんかん!

    直立した鉄骨を駆け上がってくるのは杏子。
    さやかも駆け出す。落ちるよりも速く、下へ。

    「はッ!」

    気合い一閃、杏子が鉄骨を斬る。
    崩れ落ちていく鉄骨を蹴ってさやかが跳んだ。
    杏子が構えるより早く剣を投擲。
    空中に身を投げ出してそれを避けた杏子が多節棍を伸ばしさやかを搦め捕る。


    213 = 203 :

    さやさや

    214 = 211 :

    さやかちゃん歩くサンドバッグ状態

    215 = 198 :

    「おあああああッ!」

    振り回されたさやかは成す術もなくコンクリートに叩きつけられた。
    杏子の追撃を辛くもサーベルで受け止めるが、床のほうが耐え切れずに崩落する。
    自由落下する杏子によって蹴飛ばされ、打ちつけられた瓦礫がさやかを襲うが、そのことごとくを空中で打ち払う。
    ぱん、と杏子が両手を組んだ。

    「杏子! もっぺん聞くよ! あんたなんでいなくなろうとすんのよ!」

    落ちながら叫ぶさやかの直下、廃ビルの基礎から壁から鉄骨からざくざくざくと赤銅色の鎖が弾け飛び出てくる。
    それらすべてが空間を埋め尽くすように上空へと、さやかを串刺しにせんと伸びる。
    さやかはとっさにサーベルを近くのコンクリート壁に突き立ててスピードを殺し、鉄骨を走って鎖を回避。

    「決まってんだろ! アタシみたいな無法者は、あんたらと一緒にいるべきじゃねーんだ!」

    「無法者……?」

    さやかが見上げる。杏子は鉄骨に張った鎖のうえに立っている。

    「そうさ! 使い魔に人間を喰わせたのはアタシだ! パクりも騙しもやってきた。
     そんなアタシが、いまさら正義の味方面したりできねーんだよ!」

    「………」

    「自分のためだけに生きてきたやつが、幸せを望んじゃだめだろ。
     あんたらはひとのために戦ってきたけど、アタシはそうじゃない。もう取り戻せねーんだよ、過去も、罪も!」


    216 = 203 :

    あんあん……

    217 = 198 :

    だらりと槍を提げたまま、杏子が鎖を蹴る。

    「なんか間違ってるかよ! アタシは!」

    雨とともに落ちる杏子が空中で槍を回転させ、さやかに向かって突き出す。
    穂先が突き立ったのは、さやかの右肩。
    その手からサーベルがこぼれ落ちる。

    「さやか、オイ、なんで!」

    動揺した杏子の腕をさやかの左手が掴む。

    「やっと捕まえた……」

    さやかが笑った。

    「泣かないでよ、あたしがひどいことしたみたいじゃん」

    「なっ、泣いてねーっ」

    「まだ聞いてないことがあってさ」

    治癒の魔法をかけながら、さやかが槍を抜いて捨てた。
    杏子は目許を拭っている。

    「あたしは杏子と一緒にいたいんだ。あんたはどうなの?」


    218 :

    ガンダムWスレかと思った

    219 = 202 :

    あんあんこ

    220 = 198 :

    「そんなの……決まってるだろ……っ」

    嗚咽交じりの杏子のせりふ。

    「一緒にいたい! さやかと一緒にいたいよぅ!」

    涙をぼろぼろとこぼす杏子をさやかが抱き寄せた。

    「ひとりぼっちはさみしいもんね。一緒にいようよ、杏子」

    「でもっ、アタシ、ぐすっ、ぜんぜん正しくないのにっ、間違ったのに、ひぐっ、さやかたちと、いっしょに、いられないよっ」

    「あたしだってたくさん間違ったよ。杏子だけじゃないよ。間違ったなら一緒に償おう? 一緒にやり直そう?」

    「いいの、かな、ぐす、アタシ、さやかと一緒に、いて、いいのかな」

    「いいよ」

    「うあ、うああああああん!」

    大きな声をあげて泣く杏子。
    さやかはその頭を優しく撫でる。
    雨が、止んだ。

    221 = 202 :

    ほう

    223 = 200 :

    思いの外あっさりだな

    224 = 198 :

    ◆◆◆ ◆


    水溜まりを避けてまどかとほむらが廃ビルに駆け付けた。

    「はぁっ、はぁっ、あ、マミさん?」

    傘をさしたままのマミが振り返る。

    「ああ、鹿目さんと暁美さん。ここがわかったのね」

    「ひどい魔力の撒き散らされ方だったもの。結界の外で全力で魔法を使うとあんなになるのね」

    「それで、杏子ちゃんは」

    傘を閉じながらマミが微笑む。

    「王子様が助けてくれたみたいね」

    もはや原形を留めていない廃墟からふたりが歩いてくる。
    まどかが駆け寄り、

    「杏子ちゃん! さやかちゃん!」

    225 = 203 :

    さやさやあんあん!

    226 = 198 :

    「おーまどか」

    さやかはへらっと笑った。

    「ごめ、ひぐっ、ごめんなさい、ごめんなさいっ」

    まだ泣きじゃくっている杏子の肩をマミがそっと抱き寄せた。

    「いいのよ、佐倉さん。私たち、仲間じゃない。一緒にいていいのよ」

    「マミさあああん」

    「あらあら」

    マミも瞳に涙を浮かべている。
    そんな様子を見て、まどかはひとつ頷いて微笑んだ。

    「えへへ。大団円、かな?」


    ◆◆◆ ◆


    陽光が差し込みだした空に対して、ほむらの胸中は曇ったままだった。
    そのソウルジェムが、濁り出すのはもう少し先の話―――



    おしまい

    227 = 202 :

    おつ!!!
    さーて後日談はよ

    228 :

    乙タヴィアちゃん

    229 = 222 :

    素晴らしい

    230 :

    ほむら編はいつだよ!

    231 :





    と言いたい所だが、最後の意味深な一文についてkwsk

    232 = 198 :


    ありがとうございました。
    レスしてくれたかた、嬉しかったです。
    次はほむらちゃんの話を考えてます。


    意見とか、感想とか、気になったところとか、あったら教えてくれると助かります。

    233 = 203 :

    乙乙乙

    234 :

    続きはまた……か

    235 :

    236 = 211 :

    乙っちまどまど

    続編投下はまだ先になりそうなんかえ?

    237 = 198 :

    >>27のいうとおり、まどかの願いが本編とは違う形で叶えられてます。


    >>43
    読んでくれたでしょうか。
    個人的にはさやかちゃんはヒーローです。


    >>52
    プロローグは、設定の説明というか、前提を出しとこうと思ったのです。


    238 :

    こんなヒーローを書きたい気持ちがあるんだけどうまくはいかないなあ。>>1は素晴らしい。最大級の賛辞を送らせてもらう。乙です!

    239 = 198 :

    レスするまえにみっつばかし。


    ほむらの話はまだ考えてるだけで、
    この杏子の話も書くのに2カ月弱かかってるので、
    まだ当分先になると思います。
    また見かけたら読んでくれるととてもうれしいです。



    地の文付きということについて言及された方がいましたが、
    どうだったでしょうか。
    地の文なしで伝えきる自信がなかったので今回は付けました。
    もともと地の文なしということを考えてなかったというのもありますが…



    「」の前に発言者の名前がないことについても言及されましたが、
    わかりにくい、不便、読む流れを悪くする、などなかったでしょうか?
    最後まで付けようか迷いましたが、今回は無しで行きました。

    240 :


    なんだかんだでスレ閉じずに読み切っちゃった俺はきっとどこかでいい役貰ってるかもって期待しちゃってたんだろうね
    そして期待は裏切られなかった
    よかったよー

    241 = 198 :

    >>131
    この言い回し、自分でも気にいってますwwww


    >>162
    謙遜するわけじゃないですが、自分の技量というよりも
    これは原作の力だと思います。
    気をつけてはいますが。


    >>193
    きょうきょういいですねー。
    でも個人的には二人は友達が似合う感じ。


    >>199
    その通りです。
    素晴らしい的確な要約です。


    >>223
    あっさりしすぎたかもしれませんね。
    ただ最初から杏子は離れたいわけではなかったのです。



    >>238
    SSを投下したのは初めてですが、
    そんなふうに言われてすごく嬉しいです!
    乙と言ってくれた方もありがとうございます。

    242 :

    読みやすいし重厚で良かった
    おつおつあんあん

    243 = 242 :

    緊張感もあったし

    244 :

    投下終わったら黙って去れ
    あんあんを見習えよ

    245 :



    このまま自分のやりたいようにやればいいと思うよ

    246 = 198 :

    >>240
    ありがとうございました。
    ほむらの次はさやかですのでご期待を。


    >>242
    読みやすいということには気を使ったつもりだったので、
    そう言われると安心します。
    ありがとうございました。




    楽しかったです。
    書いて、投下して本当によかったです。
    もう誰もいないと思うので、
    こっそり宣伝しておきます。
    自分のサイトです。
    http://chihaya0yukino.web.fc2.com/


    ありがとうございました!
    おやすみなさい。

    247 = 209 :

    >>1
    面白かった

    248 :

    自分のサ・・・は?
    いっそブラクラ貼ったほうがましだな

    249 :

    自サイト晒しとかほむかの人と似た匂いがする
    二度とVIPから出て行け

    250 :

    「」は無くても分かるくらい描き分けできてるからok
    地の文も良いんじゃね、会話形式のみで良いだろって内容でも無いしな
    ただ最初期待したのに最後結局えー…普通な展開かよ…と残念


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