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元スレ杏子「さやか、――あんたを殺す」

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「さぁ、鹿目まどか。その魂を代価にして、君は何を願う?」
「わたし……、」
「………」
「すべての魔女を、生まれる前に消し去りたい。すべての宇宙、過去と未来のすべての魔女を、――この手で」
「――! その祈りは……! そんな祈りが叶うとすれば、それは時間干渉なんてレベルじゃない!
因果律そのものに対する反逆だ! ……君は、ほんとうに神になるつもりかい……!」
「神様でもなんでもいい。今日まで魔女と戦ってきたみんなを、希望を信じた魔法少女を、わたしは泣かせたくない。最後まで笑顔でいてほしい。
それを邪魔するルールなんて、壊してみせる、変えてみせる。……これがわたしの祈り、わたしの願い」
「……!」
「さぁ、叶えてよ――インキュベーター!」
「わたし……、」
「………」
「すべての魔女を、生まれる前に消し去りたい。すべての宇宙、過去と未来のすべての魔女を、――この手で」
「――! その祈りは……! そんな祈りが叶うとすれば、それは時間干渉なんてレベルじゃない!
因果律そのものに対する反逆だ! ……君は、ほんとうに神になるつもりかい……!」
「神様でもなんでもいい。今日まで魔女と戦ってきたみんなを、希望を信じた魔法少女を、わたしは泣かせたくない。最後まで笑顔でいてほしい。
それを邪魔するルールなんて、壊してみせる、変えてみせる。……これがわたしの祈り、わたしの願い」
「……!」
「さぁ、叶えてよ――インキュベーター!」
杏子の頭ってこの時期はフケまみれなんだろうな
しかも風呂入ってないから臭いも凄そう
しかも風呂入ってないから臭いも凄そう
◆◆◆ ◆
冬の晴れた日、杏子は街中を歩いていた。結んだ髪とマフラーがなびく。
「ん?」
杏子の視界を横切っていく桃色の少女。
見知った顔である。
少女は足を止め、並んで歩いていた老婆に荷物を手渡し、手を振って別れを告げているようだ。
歩み寄る。
ひとりになった彼女は辺りを見回している。
「おおい――まどか」
「わ。杏子ちゃんだ。そのマフラーかわいいね」
「ばか、そんなんはどうでもいーんだよ。あんた、こんなところで何してる?」
まどかは眉尻をさげた。
話を聞くと、迷子を交番に届け、外国人に道を聞かれて案内し、老婆の荷物を持ってあげていたら知らない場所に来ていたらしい。
冬の晴れた日、杏子は街中を歩いていた。結んだ髪とマフラーがなびく。
「ん?」
杏子の視界を横切っていく桃色の少女。
見知った顔である。
少女は足を止め、並んで歩いていた老婆に荷物を手渡し、手を振って別れを告げているようだ。
歩み寄る。
ひとりになった彼女は辺りを見回している。
「おおい――まどか」
「わ。杏子ちゃんだ。そのマフラーかわいいね」
「ばか、そんなんはどうでもいーんだよ。あんた、こんなところで何してる?」
まどかは眉尻をさげた。
話を聞くと、迷子を交番に届け、外国人に道を聞かれて案内し、老婆の荷物を持ってあげていたら知らない場所に来ていたらしい。
マフラーも洗濯してないしフケだらけで油付きまくってるんだろうなぁ
杏子(この子らしいというかなんというか……)
「ねえ杏子ちゃん、ここ、どこかな。わたし、どうやって帰ればいいんだろ」
「ふふん。おねーさんに任せときな。とりあえず、茶でも飲むかい?」
二人は手近な喫茶店へ入った。
ほむら(出ていくタイミングを失ったわ……)
◆◆◆ ◆
「さて。ここはアタシのシマの街だよ。見滝原の隣町ってことになる」
「わたし、そんなに歩いてたんだ……」
「帰るのは簡単だ。杏子おねーさんが送ってやってもいい」
「杏子ちゃんは同い年だよね?」
「ねえ杏子ちゃん、ここ、どこかな。わたし、どうやって帰ればいいんだろ」
「ふふん。おねーさんに任せときな。とりあえず、茶でも飲むかい?」
二人は手近な喫茶店へ入った。
ほむら(出ていくタイミングを失ったわ……)
◆◆◆ ◆
「さて。ここはアタシのシマの街だよ。見滝原の隣町ってことになる」
「わたし、そんなに歩いてたんだ……」
「帰るのは簡単だ。杏子おねーさんが送ってやってもいい」
「杏子ちゃんは同い年だよね?」
喫茶店行っても金ないだろ
全部奢りなの?こんな臭いのに奢ってもらえるの?
全部奢りなの?こんな臭いのに奢ってもらえるの?
「いーんだよ細かいことは。とにかく、もちろん帰ることはできる。でもさ、せっかくだから遊んでかない?」
紅茶とケーキが運ばれてきた。
まどかは紅茶に角砂糖をひとつ落とした。
「今日は用事もないし、宿題もそんなにないから大丈夫だけど――どうして?」
もうひとつ落とす。かきまぜる。
杏子は手づかみでケーキにかぶりついた。
「むぐむぐ……まぁあれだね、あんたとはちゃんと話したことないしな。アタシもあんたの因果に興味あるのさ」
「そういえばそうだったね! わたしも、杏子ちゃんのこと知りたいな」
まどかはにこにこ笑った。
杏子もにやっとして紅茶をひとくち飲んだ。
ほむら(なによすごくいいふいんきなぜかryじゃない……)
紅茶とケーキが運ばれてきた。
まどかは紅茶に角砂糖をひとつ落とした。
「今日は用事もないし、宿題もそんなにないから大丈夫だけど――どうして?」
もうひとつ落とす。かきまぜる。
杏子は手づかみでケーキにかぶりついた。
「むぐむぐ……まぁあれだね、あんたとはちゃんと話したことないしな。アタシもあんたの因果に興味あるのさ」
「そういえばそうだったね! わたしも、杏子ちゃんのこと知りたいな」
まどかはにこにこ笑った。
杏子もにやっとして紅茶をひとくち飲んだ。
ほむら(なによすごくいいふいんきなぜかryじゃない……)
「……なるほどな。あんたのその願いで、魔法少女は魔力を使い果たせばふつうの人間に戻るようになったってことか」
杏子はパフェをぱくつきながら感心した。
「祈りから魔女は産まれなくなった。だけど、奇跡の代償は世界の歪みとして現れたの。それが魔獣」
「ふうん。まぁ魔女に比べりゃ面白みのないくらいよわっちいけどな。それでもソウルジェムを心配しなくていいのは助かる」
パフェを空にした杏子はごくごくと紅茶も飲み干した。
「そんで、あんたはその願いだけで魔力が尽きて今は一般人やってるってワケかい」
「テレパシーと感知能力くらいは残ってるけどね」
まどかは笑った。
魔女システムを破壊したあとに残ったのは、希望を抱きつづけることで振り撒かれる祈りのシステムだった。
インキュベーターはこの祈りのエネルギーのために、願いを叶えて生み出した魔法少女をできるかぎり絶望させないことが課題となった。
ほむら(なにを話しているのかしら……まどかに盗聴器をつけておくべきだったわね)
杏子はパフェをぱくつきながら感心した。
「祈りから魔女は産まれなくなった。だけど、奇跡の代償は世界の歪みとして現れたの。それが魔獣」
「ふうん。まぁ魔女に比べりゃ面白みのないくらいよわっちいけどな。それでもソウルジェムを心配しなくていいのは助かる」
パフェを空にした杏子はごくごくと紅茶も飲み干した。
「そんで、あんたはその願いだけで魔力が尽きて今は一般人やってるってワケかい」
「テレパシーと感知能力くらいは残ってるけどね」
まどかは笑った。
魔女システムを破壊したあとに残ったのは、希望を抱きつづけることで振り撒かれる祈りのシステムだった。
インキュベーターはこの祈りのエネルギーのために、願いを叶えて生み出した魔法少女をできるかぎり絶望させないことが課題となった。
ほむら(なにを話しているのかしら……まどかに盗聴器をつけておくべきだったわね)
「アタシもいつかはこの石ころとお別れして、ただの人間に戻っちまうのか。便利なんだがな魔法少女も」
杏子は指にはめたソウルジェムを眺めた。
「誰も呪ったり戦ったりしなくていい世界をつくろうとしたんだけど、キュゥべえが願いのすきまをねじって叶えたんだね。
だからみんなにはまだ戦ってもらわなくちゃならなくなった」
「いーんじゃないの。たいした負担でもねー」
杏子は藪睨みしていたが、ふっと口角を吊り上げた。
「……それに、予定どおりなんだろ? 実はさ」
にこにこしたままのまどか。
杏子はスプーンでそんなまどかを指した。
杏子は指にはめたソウルジェムを眺めた。
「誰も呪ったり戦ったりしなくていい世界をつくろうとしたんだけど、キュゥべえが願いのすきまをねじって叶えたんだね。
だからみんなにはまだ戦ってもらわなくちゃならなくなった」
「いーんじゃないの。たいした負担でもねー」
杏子は藪睨みしていたが、ふっと口角を吊り上げた。
「……それに、予定どおりなんだろ? 実はさ」
にこにこしたままのまどか。
杏子はスプーンでそんなまどかを指した。
「驚いてんだろ。おねーさんをなめんなよ。伊達に長いこと魔法少女やってねーぞ」
「驚いたね」
まどかは笑い声を漏らした。
「杏子ちゃんはノーマークだった。一番するどいと思ったほむらちゃんは案外すんなり信じてくれたし、油断してたよ」
杏子(あいつはまどかのいうことならなんでも鵜呑みにしそうだがな……)
「でも、杏子ちゃんが気づいたのは、わたしが嘘をついてるっていうことだけかな? 真実に、触れてる?」
紅茶に口をつけながら微笑むまどか。
はッ。
獰猛に笑いながら杏子はスプーンをパフェグラスに投げ入れた。からん。
「言ってほしそうだな。いいよ、言ってやる」
ほむら(相変わらず居丈高ね杏子……まどかに向かってなんて態度なの)
「驚いたね」
まどかは笑い声を漏らした。
「杏子ちゃんはノーマークだった。一番するどいと思ったほむらちゃんは案外すんなり信じてくれたし、油断してたよ」
杏子(あいつはまどかのいうことならなんでも鵜呑みにしそうだがな……)
「でも、杏子ちゃんが気づいたのは、わたしが嘘をついてるっていうことだけかな? 真実に、触れてる?」
紅茶に口をつけながら微笑むまどか。
はッ。
獰猛に笑いながら杏子はスプーンをパフェグラスに投げ入れた。からん。
「言ってほしそうだな。いいよ、言ってやる」
ほむら(相変わらず居丈高ね杏子……まどかに向かってなんて態度なの)
「――魔女を飼ってんだろ、あんた」
まどかの表情が変わった。笑顔のまま、中身が。
「飼ってるってのは正確じゃねーな。封じ込めてる、ていうのか。
すべての魔女の消滅を願った末に産まれる魔女が、すべての魔女を重ね合わせた最悪の存在になるのは想像に難くねー。
それに対抗できんのは魔女の消滅という祈りだけ。けど、その祈りが魔女を生み出す。あんたは魔女システムを無限連鎖に閉じ込めて、飲み込んじまったのさ。
魔力が尽きたんじゃないね、あんたは魔女システムを封印するために魔力を使いつづけてるんだ。戦闘に割り振れないほど、ほとんど全て」
そこで杏子はウェイターを呼んで注文した。
まどかは肩を震わせている。
笑っている。
「すごいね。杏子ちゃんはすごいよ。マミさんだってわたしの話に疑問こそ持ったけど、真相にはたどりつかなかった」
「………」
「正解だよ。わたしは祈りと呪いを内包してる。あらゆる魔女はわたしのなかにいる。もちろん、杏子ちゃんの魔女もね」
杏子は苦虫をかみつぶしたような顔になった。
まどかの表情が変わった。笑顔のまま、中身が。
「飼ってるってのは正確じゃねーな。封じ込めてる、ていうのか。
すべての魔女の消滅を願った末に産まれる魔女が、すべての魔女を重ね合わせた最悪の存在になるのは想像に難くねー。
それに対抗できんのは魔女の消滅という祈りだけ。けど、その祈りが魔女を生み出す。あんたは魔女システムを無限連鎖に閉じ込めて、飲み込んじまったのさ。
魔力が尽きたんじゃないね、あんたは魔女システムを封印するために魔力を使いつづけてるんだ。戦闘に割り振れないほど、ほとんど全て」
そこで杏子はウェイターを呼んで注文した。
まどかは肩を震わせている。
笑っている。
「すごいね。杏子ちゃんはすごいよ。マミさんだってわたしの話に疑問こそ持ったけど、真相にはたどりつかなかった」
「………」
「正解だよ。わたしは祈りと呪いを内包してる。あらゆる魔女はわたしのなかにいる。もちろん、杏子ちゃんの魔女もね」
杏子は苦虫をかみつぶしたような顔になった。
「魔女の代わりに現れたかのような魔獣は、ほんとうはわたしのなかにいる魔女から洩れだした呪い。使い魔みたいなものだね」
そーゆーこったろうな、と杏子は呟いた。
「はん。あんたはテメエで抑えきれなかったカスみてーなのをアタシらに始末させてるってことだろ」
ざらついた杏子の言葉にまどかの表情の温度が下がっていく。
「……言ったろ」
杏子はその三白眼でまどかを正面から睨んだ。
そして、
そーゆーこったろうな、と杏子は呟いた。
「はん。あんたはテメエで抑えきれなかったカスみてーなのをアタシらに始末させてるってことだろ」
ざらついた杏子の言葉にまどかの表情の温度が下がっていく。
「……言ったろ」
杏子はその三白眼でまどかを正面から睨んだ。
そして、
「――たいした負担じゃねーって。気にしてんなよ」
相好を崩した。
「杏子ちゃん……」
まどかも心の底からの笑顔を浮かべた。
ウェイターがクリームメロンソーダを運んできたので、杏子はそれを掲げた。
「ほれ」
「なんだかおかしいよ杏子ちゃん」
くすくすと笑いながらまどかが応じる。
かちん。
◆◆◆ ◆
二人はそれからしばらく談笑して、店を出た。
相好を崩した。
「杏子ちゃん……」
まどかも心の底からの笑顔を浮かべた。
ウェイターがクリームメロンソーダを運んできたので、杏子はそれを掲げた。
「ほれ」
「なんだかおかしいよ杏子ちゃん」
くすくすと笑いながらまどかが応じる。
かちん。
◆◆◆ ◆
二人はそれからしばらく談笑して、店を出た。
なんだろう…
さやかちゃんがろくでもない扱いになりそうな予感がする
俺はこのままスレを閉じた方が幸せなんだろうか
さやかちゃんがろくでもない扱いになりそうな予感がする
俺はこのままスレを閉じた方が幸せなんだろうか
「まどか。迎えにきたわ」
店の外に立っていたほむらが髪をかきあげる。
「ほむらちゃんずっと外で待ってたの?」
「なーにひとり我慢大会してんだヒマなやつだな」
ほむら(貴女のせいよ佐倉杏子)
「しかしたしかに冷えてきたな」
杏子はマフラーを巻きなおし、まどかははぁと両手に白い息をはきかけた。
「お店のなかはあったかかったから余計だね」
「あったけーもんが食べたくなってきたな。よし、今晩はマミんちで鍋にしようぜ!」
楽しそうに笑いながら杏子はまどかの手を掴んで走り出す。
「ちょっと、速いよ杏子ちゃんっ」
まどかも笑いながら、ぎゅっと、その手を握り返した。
店の外に立っていたほむらが髪をかきあげる。
「ほむらちゃんずっと外で待ってたの?」
「なーにひとり我慢大会してんだヒマなやつだな」
ほむら(貴女のせいよ佐倉杏子)
「しかしたしかに冷えてきたな」
杏子はマフラーを巻きなおし、まどかははぁと両手に白い息をはきかけた。
「お店のなかはあったかかったから余計だね」
「あったけーもんが食べたくなってきたな。よし、今晩はマミんちで鍋にしようぜ!」
楽しそうに笑いながら杏子はまどかの手を掴んで走り出す。
「ちょっと、速いよ杏子ちゃんっ」
まどかも笑いながら、ぎゅっと、その手を握り返した。
さやかが駆ける。
戦場を駆け抜けていく。
前方から雨あられと飛んでくる光弾を視認、よこっとびにそれらを回避。
一回転してから再び駆け出すさやかの右前方に杏子が猫のようにしなやかに着地、同時に、光弾を放った十を越える使い魔が爆散した。
「煉獄で目覚めなっ!」
手元で多節棍がその形を槍に戻す前に杏子は走り出す。
止まらない。
魔獣の一体に深く沈み込んだ穂先が爆裂を起こす。
肉片をぶちまけた魔獣を蹴飛ばしながら、杏子が両掌を組む。
赤銅色の鎖が張り巡らされ、周囲の使い魔ごと別の魔獣を床に縫い止めた。
戦場を駆け抜けていく。
前方から雨あられと飛んでくる光弾を視認、よこっとびにそれらを回避。
一回転してから再び駆け出すさやかの右前方に杏子が猫のようにしなやかに着地、同時に、光弾を放った十を越える使い魔が爆散した。
「煉獄で目覚めなっ!」
手元で多節棍がその形を槍に戻す前に杏子は走り出す。
止まらない。
魔獣の一体に深く沈み込んだ穂先が爆裂を起こす。
肉片をぶちまけた魔獣を蹴飛ばしながら、杏子が両掌を組む。
赤銅色の鎖が張り巡らされ、周囲の使い魔ごと別の魔獣を床に縫い止めた。
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