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元スレ杏子「さやか、――あんたを殺す」
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「てめえにゃ関係ねー」
「杏子。君に絶望されると困るんだよね。祈りのエネルギーが回収できなくなっちゃうじゃないか」
「うるせーよ」
「どうしてもここを離れるっていうのかい? なら、美樹さやかと一緒にというのはど――」
どうかな、と言い終わる前に、杏子の槍が周りに見えないようにキュゥべえを貫いた。
「うるせーっつってんだろ」
「わかったよ。やれやれ、まったく君は本当に僕のいうことをきいてくれないよね」
ぬるりと滲みでるように現れた二匹目が自身の死骸を食う。
「うぜえ。もっかいイッとくか、あ?」
「急用を思い出したよ。それじゃあね、杏子、まどか」
「キュゥべえ。わたしのことは内緒だよ」
沈黙したまま頷いたキュゥべえは、するすると物陰に消えた。
「杏子。君に絶望されると困るんだよね。祈りのエネルギーが回収できなくなっちゃうじゃないか」
「うるせーよ」
「どうしてもここを離れるっていうのかい? なら、美樹さやかと一緒にというのはど――」
どうかな、と言い終わる前に、杏子の槍が周りに見えないようにキュゥべえを貫いた。
「うるせーっつってんだろ」
「わかったよ。やれやれ、まったく君は本当に僕のいうことをきいてくれないよね」
ぬるりと滲みでるように現れた二匹目が自身の死骸を食う。
「うぜえ。もっかいイッとくか、あ?」
「急用を思い出したよ。それじゃあね、杏子、まどか」
「キュゥべえ。わたしのことは内緒だよ」
沈黙したまま頷いたキュゥべえは、するすると物陰に消えた。
「……で、なんの話だっけか」
「杏子ちゃんが隠れるのはね、――上條くんの家だよ」
◆◆◆ ◆
周囲に気を配り、魔法少女がいないことを確かめながら歩いて、杏子は上條家にたどり着いた。
すこし身体が冷えた。
それでも軽々と塀に飛び乗り、闇にまぎれて屋根へと移る。
「部屋は、っとぉ……」
方角を確かめて、2階のある窓の前に降り立つ。
明かりが点いている。
ここが上條恭介の部屋であった。
からりと、躊躇なく杏子は窓をひらいた。
「杏子ちゃんが隠れるのはね、――上條くんの家だよ」
◆◆◆ ◆
周囲に気を配り、魔法少女がいないことを確かめながら歩いて、杏子は上條家にたどり着いた。
すこし身体が冷えた。
それでも軽々と塀に飛び乗り、闇にまぎれて屋根へと移る。
「部屋は、っとぉ……」
方角を確かめて、2階のある窓の前に降り立つ。
明かりが点いている。
ここが上條恭介の部屋であった。
からりと、躊躇なく杏子は窓をひらいた。
「よう――」
顔を合わせたこともほとんどないような相手の部屋に、夜更け、しかも窓から入るというシチュエーションで、
杏子はなんと挨拶すればいいのかわからなかった。
だからただ一言だけそう言って、傲然と相手を見つめた。
「やあ、君が鹿目さんの言っていた――」
「佐倉杏子だ」
ひょひょいとブーツを脱いで杏子は部屋に入った。
「あんたがキョースケか」
名前はさやかから何度も聞いていた。
線の細い、なんとも貧弱そうな少年だった。
しかしその容姿に反して、瞳は揺るがず恐れず、しっかりと見返してきた。
顔を合わせたこともほとんどないような相手の部屋に、夜更け、しかも窓から入るというシチュエーションで、
杏子はなんと挨拶すればいいのかわからなかった。
だからただ一言だけそう言って、傲然と相手を見つめた。
「やあ、君が鹿目さんの言っていた――」
「佐倉杏子だ」
ひょひょいとブーツを脱いで杏子は部屋に入った。
「あんたがキョースケか」
名前はさやかから何度も聞いていた。
線の細い、なんとも貧弱そうな少年だった。
しかしその容姿に反して、瞳は揺るがず恐れず、しっかりと見返してきた。
「ずいぶん度胸があるな。もうちょっとビビるか、虚勢をはるかするかと思ったよ」
「これでも緊張しているんだけどね。それに佐倉さんこそ、堂々としているじゃないか」
恭介は椅子をすすめたが、杏子は断って壁際に腰をおろした。
「杏子でいい。……ま、アタシは遠慮とか、そーゆーのとは無縁の生き方をしてるからな」
薄ら笑った。
「なんにせよちょいと世話になる。よろしくね」
屈託なく笑って恭介は頷いた。
台詞の前に名前が無いとやっぱキャラの口調って大事だなって思う
もしキュゥべえ、織莉子、キリカ、マミで会話させたらややこしそう
もしキュゥべえ、織莉子、キリカ、マミで会話させたらややこしそう
>>159
どんな苦行だよww
どんな苦行だよww
机に向かっていた恭介はそうっと杏子を横目で見た。
ルービックキューブに奮闘している。
まどかに頼まれて彼女を匿うことは了承したが、詳しい事情は恭介も知らない。
詮索するのは無粋、とわかっていても気になるのであった。
「なあ」
立方体から顔をあげずに、杏子が口を開いた。
恭介はびくりと反応した。
「さやかはあんたのことが好きなんだろ」
まだ顔を上げない。
恭介は彼女に向き直った。
「鹿目さんの友達ということは、さやかとも友達ってことか……。そうだね、そう言われたよ」
「………」
手の動きが止まる。
「あんたはあいつを幸せにできるんだろ……?」
か細い声。
恭介は椅子から床へと腰を下ろした。
ベッドに背を預け、天井に顔を向ける。
「僕がさやかを幸せにできる保証はない。失恋するより辛いことになるかもしれない」
ふ、と恭介は息をはいた。
「なんて、言ってみたって、なんてことはない。僕には度胸がなかったのさ。
さやかの気持ちも、志筑さんの気持ちも、受け止める度胸が」
杏子が顔を上げた。
「逃げただけさ。情けないよね。どちらかを選ぶこともできなかった。大人ぶって別れを選んで、僕は逃げた。卑怯者だよ」
「逃げた……? 別れを選んだことが……? 卑怯だって?」
「杏子さん?」
か細い声。
恭介は椅子から床へと腰を下ろした。
ベッドに背を預け、天井に顔を向ける。
「僕がさやかを幸せにできる保証はない。失恋するより辛いことになるかもしれない」
ふ、と恭介は息をはいた。
「なんて、言ってみたって、なんてことはない。僕には度胸がなかったのさ。
さやかの気持ちも、志筑さんの気持ちも、受け止める度胸が」
杏子が顔を上げた。
「逃げただけさ。情けないよね。どちらかを選ぶこともできなかった。大人ぶって別れを選んで、僕は逃げた。卑怯者だよ」
「逃げた……? 別れを選んだことが……? 卑怯だって?」
「杏子さん?」
「てめえふざけんじゃねェっ!」
杏子は恭介の胸倉を掴んだ。
「ふざけんな……っ! アタシは、望んでなくても、決別しなくちゃなんねーと思って……!」
「ぐ……ぅ……」
「……ぁ。す、すまねぇ」
我に帰った杏子はぱっと手を離して、くたりと座り込んだ。
恭介が咳込む。
「杏子さん……もしかしてさやかとケンカでもしたのかい」
「……ちげーよ。アタシはあいつと一緒にいられない。胸張ってあいつの隣に立てない。正しいあいつの仲間になれない。ただ、そんだけだよ」
杏子は膝を抱えた。
「わりぃ、へんなこと言っちまった。忘れてくれ」
杏子は恭介の胸倉を掴んだ。
「ふざけんな……っ! アタシは、望んでなくても、決別しなくちゃなんねーと思って……!」
「ぐ……ぅ……」
「……ぁ。す、すまねぇ」
我に帰った杏子はぱっと手を離して、くたりと座り込んだ。
恭介が咳込む。
「杏子さん……もしかしてさやかとケンカでもしたのかい」
「……ちげーよ。アタシはあいつと一緒にいられない。胸張ってあいつの隣に立てない。正しいあいつの仲間になれない。ただ、そんだけだよ」
杏子は膝を抱えた。
「わりぃ、へんなこと言っちまった。忘れてくれ」
「相談も助言も、僕が出る幕じゃなさそうだ。でも、話を聞くだけならできるだろう」
恭介はほのかに笑った。
「なんであんたそこまでしてくれる……?」
「そんな泣きそうな顔してる子をほっとけないさ。それに、女の子には優しくしろとさやかに言われてるからね」
膝に顔を伏せる杏子。
「ばかだなあいつ……ホントばかだよ……」
「………」
「……ちょっと、トイレ借りるわ。それと、」
ありがとう。
勢いよく立ち上がって部屋を出ていった杏子の言葉に、恭介は微笑んだ。
「どういたしまして」
◆◆◆ ◆
同刻。
まどかはさやかを迎えていた。
「やーゴメンね突然! ちょっとお泊りでもしようかな! という衝動? 気持ちに素直になっちゃうさやかちゃんなのでした」
部屋に入る。
「さやかちゃんも眠れないんだね」
髪をひとつにまとめたまどかはふわふわと笑った。
「まどかも、だったの?」
「うん……ちょっとね」
「ってイヤイヤ、あたしってばもー眠くて眠くて、歩きながら寝ちゃうところだったのよ?
眠眠打破飲んじゃおっかなーってくらいですかね!?」
「さやかちゃんったら」
眉尻を下げて笑うまどか。
同刻。
まどかはさやかを迎えていた。
「やーゴメンね突然! ちょっとお泊りでもしようかな! という衝動? 気持ちに素直になっちゃうさやかちゃんなのでした」
部屋に入る。
「さやかちゃんも眠れないんだね」
髪をひとつにまとめたまどかはふわふわと笑った。
「まどかも、だったの?」
「うん……ちょっとね」
「ってイヤイヤ、あたしってばもー眠くて眠くて、歩きながら寝ちゃうところだったのよ?
眠眠打破飲んじゃおっかなーってくらいですかね!?」
「さやかちゃんったら」
眉尻を下げて笑うまどか。
さやかは笑いながら気配を探った。
……いない。
杏子の気配は感じられない。まどかではない。
「そういやー今日の魔獣はへんなやつだったなぁ。まともな人型してて、剣持ってて」
「そうなの?」
「うん。なんかさ、あたしにちょっと似てるかなーって感じ。魔獣にもリスペクトされちゃってますかねコレ!
待望のさやかちゃんの時代きちゃうのかな!」
「似てた……? うんと……」
まどかは思考に沈む。
「どしたの? さあて明日も張り切って杏子のばかちんを捜すために、さっさか寝ますかー」
いいながらさやかはベッドに潜り込んだ。
まどかも慌てて続く。
「わ、ちょ、さやかちゃん早いよう、ってもう寝てる!?」
……いない。
杏子の気配は感じられない。まどかではない。
「そういやー今日の魔獣はへんなやつだったなぁ。まともな人型してて、剣持ってて」
「そうなの?」
「うん。なんかさ、あたしにちょっと似てるかなーって感じ。魔獣にもリスペクトされちゃってますかねコレ!
待望のさやかちゃんの時代きちゃうのかな!」
「似てた……? うんと……」
まどかは思考に沈む。
「どしたの? さあて明日も張り切って杏子のばかちんを捜すために、さっさか寝ますかー」
いいながらさやかはベッドに潜り込んだ。
まどかも慌てて続く。
「わ、ちょ、さやかちゃん早いよう、ってもう寝てる!?」
杏子がいるなんて思っていなかったけれど、すこし残念だった。
でもまどかが匿っていたんじゃないということがわかって安堵もしたさやかであった。
さやか(もう……杏子のやつ。ホントにどこにいんのよ……このままさよならなんて、絶対にいやだからね……)
たった数時間前まで杏子がここに居たと知らないまま、さやかは眠りに落ちた。
まどか(ごめんね、さやかちゃん……本当にごめん)
◆◆◆ ◆
翌朝。
週末である。
空は濃灰色の雲で満たされている。
「さーて今日こそ杏子を見つけちゃいますからねーっ」
「その根拠はなんなの美樹さやか」
「あたしの右手が疼くからさ! くッ……鎮まれ……!」
「美樹さやかの新必殺技エターナルブリザード。あいてはしぬ」
「暁美さん、いいセンスしているわね」
集合したのは駅前。
「どこから捜していきましょうか?」
翌朝。
週末である。
空は濃灰色の雲で満たされている。
「さーて今日こそ杏子を見つけちゃいますからねーっ」
「その根拠はなんなの美樹さやか」
「あたしの右手が疼くからさ! くッ……鎮まれ……!」
「美樹さやかの新必殺技エターナルブリザード。あいてはしぬ」
「暁美さん、いいセンスしているわね」
集合したのは駅前。
「どこから捜していきましょうか?」
「実はここに佐倉杏子が潜伏していそうな場所をまとめたリストがあるわ」
「なにそれ!?」
「隠れられそうな場所に美樹さやかが探しそうにないという条件を付けて可能性の高い順にソートしてあるわ」
「すごいねほむらちゃん」
「褒めるには及ばないわ」
「それじゃあ、可能性の高い順に探していけば……」
「はいはいはい! 手分けして探せば効率的だと思います!」
「あら。美樹さやかにしてはいいことを言うわね。では、まどか。行きましょうか」
「えっ、ほむらちゃん、ちょっと待って、ああっ」
「じゃあ行きましょうか、美樹さん」
「ええマミさん!」
◆◆◆ ◆
「杏子さん、お昼ごはんだよ」
「待ってました!」
がつがつと昼食を食べる杏子と、静かに食べる恭介。
「杏子さんはこの部屋から出られなくて退屈じゃない?」
「まぐまぐ……ごくり。いや? キョースケの部屋は目新しいもんばっかでおもしろい」
「そうなんだ?」
「ああ。テレビもゲームもねーけど、退屈しねーな」
「よかったよ。杏子さんは休みのときとかなにしているんだい」
杏子(アタシは毎日が休みなわけだが……、それは黙っとくか)
「ゲーセンいってることが多いかな。体動かすのも好きだよ。ガキどもと遊んだりとか……」
「兄弟がいるんだ」
「杏子さん、お昼ごはんだよ」
「待ってました!」
がつがつと昼食を食べる杏子と、静かに食べる恭介。
「杏子さんはこの部屋から出られなくて退屈じゃない?」
「まぐまぐ……ごくり。いや? キョースケの部屋は目新しいもんばっかでおもしろい」
「そうなんだ?」
「ああ。テレビもゲームもねーけど、退屈しねーな」
「よかったよ。杏子さんは休みのときとかなにしているんだい」
杏子(アタシは毎日が休みなわけだが……、それは黙っとくか)
「ゲーセンいってることが多いかな。体動かすのも好きだよ。ガキどもと遊んだりとか……」
「兄弟がいるんだ」
◆◆◆ ◆
夕方。
ぽつぽつと雨が降り出す。
「ひゃあ降ってきたー」
「いったん傘を取りに行っておいて正解だったわね」
「さてさて次の場所は、………」
「美樹さん?」
「あ、いえ……」
「どうしたの? 次の場所はどこかしら」
「そ、その。ちょ、ちょっと休憩しませんか!」
「? ちょっと見せてもらえる? ……あぁ。なるほど」
夕方。
ぽつぽつと雨が降り出す。
「ひゃあ降ってきたー」
「いったん傘を取りに行っておいて正解だったわね」
「さてさて次の場所は、………」
「美樹さん?」
「あ、いえ……」
「どうしたの? 次の場所はどこかしら」
「そ、その。ちょ、ちょっと休憩しませんか!」
「? ちょっと見せてもらえる? ……あぁ。なるほど」
間違えた…
>>183の次これだった…
「んぁ? あぁちげー。近所のガキだよ。野球とか、サッカーとか」
「へえー、すごいね。子供が好きなんだね」
「ばりばり。んーべつに好きとかじゃないんだけどな。なんか懐かれるんだ」
「杏子さんが優しくていい人だってことが子供にはわかるんだろうね」
「はッ!? そんなことねー……げほげほ!」
「はいお茶」
「すまねえ……」
「ここにいる間は体を動かせないけど、そうだなぁダーツでもやるかい」
「ダーツかぁやったことないな。じゃあ喰ったらやってみるか」
「わりと楽しいよ」
恭介は箸を置いた。
杏子はまだ食べていた。
>>183の次これだった…
「んぁ? あぁちげー。近所のガキだよ。野球とか、サッカーとか」
「へえー、すごいね。子供が好きなんだね」
「ばりばり。んーべつに好きとかじゃないんだけどな。なんか懐かれるんだ」
「杏子さんが優しくていい人だってことが子供にはわかるんだろうね」
「はッ!? そんなことねー……げほげほ!」
「はいお茶」
「すまねえ……」
「ここにいる間は体を動かせないけど、そうだなぁダーツでもやるかい」
「ダーツかぁやったことないな。じゃあ喰ったらやってみるか」
「わりと楽しいよ」
恭介は箸を置いた。
杏子はまだ食べていた。
「いやその、別に嫌とかじゃなくてですね、ただ、ここにはいないんじゃないかなーと……え?」
「上条君の家なら、美樹さんは捜そうとしない。否、捜したくない。そういうことね」
「まさか……いやでも、恭介が、杏子を?」
「美樹さんがそう考えるってことは、けっこう有り得そうね」
「ちょ、ちょっと待ってください。ちょっとだけ」
「あらあら」
◆◆◆ ◆
「~♪」
恭介の演奏にあわせて、読書していた杏子は鼻唄を歌った。
しばらく弾いて恭介は手を止めた。
「杏子さん、なんか歌った?」
「あ? ん? あぁ無意識だった。や、なんか子供の時に聞いた讃美歌を思い出してた」
「讃美歌? こんなのとか?」
「おお! すげえな!」
「杏子さん、カトリックだったの?」
「親父が神父だったんだ。死んじまったけど」
「そうなんだ、ごめん。でも讃美歌もいいよね。信仰というのはやはりどこか美しいものだよ」
「久々に聴いたな。……もうちょっと、聴かせてくれるか?」
「ああ。お安い御用さ」
「~♪」
恭介の演奏にあわせて、読書していた杏子は鼻唄を歌った。
しばらく弾いて恭介は手を止めた。
「杏子さん、なんか歌った?」
「あ? ん? あぁ無意識だった。や、なんか子供の時に聞いた讃美歌を思い出してた」
「讃美歌? こんなのとか?」
「おお! すげえな!」
「杏子さん、カトリックだったの?」
「親父が神父だったんだ。死んじまったけど」
「そうなんだ、ごめん。でも讃美歌もいいよね。信仰というのはやはりどこか美しいものだよ」
「久々に聴いたな。……もうちょっと、聴かせてくれるか?」
「ああ。お安い御用さ」
恭介は無造作に讃美歌を連ねて弾いてみせる。
杏子は目を閉じて、演奏に聞き入った。
窓を叩く雨音が強くなっていく。
最後に長く余韻を残して、恭介が演奏を終えた。
「いやーすげーもんだな!」
ぱちぱちと拍手していた杏子は、だがぱっと顔色を変えた。
ブーツを掴んで窓を開ける。
戸惑う恭介。
「杏子さん!?」
「世話になったな!」
そう言い残して杏子が外に飛び出すのと同時に、部屋の扉が開いた。
「恭介!」
「さやか!?」
「あんた今杏子っていった? ――外か!」
開いている窓を見たさやかがためらいなく窓枠を越える。
「美樹さん! 屋根よ!」
玄関口からマミが叫んだ。
さやかが屋根にのぼると、雨のなか屋根の上を走り去っていく杏子の後ろ姿が見えた。
「逃がすかっての!」
屋根に飛び上がり、変身して駆けだすさやか。
屋根から屋根へと跳び移って逃げていく杏子との距離を徐々に詰めていく。
「さやか!?」
「あんた今杏子っていった? ――外か!」
開いている窓を見たさやかがためらいなく窓枠を越える。
「美樹さん! 屋根よ!」
玄関口からマミが叫んだ。
さやかが屋根にのぼると、雨のなか屋根の上を走り去っていく杏子の後ろ姿が見えた。
「逃がすかっての!」
屋根に飛び上がり、変身して駆けだすさやか。
屋根から屋根へと跳び移って逃げていく杏子との距離を徐々に詰めていく。
アパートの平らな屋根に着地した杏子は変身してさやかに向き直った。
「杏子ぉっ!」
「―――ッ!」
杏子が振り抜いた槍を、飛び込んできたさやかがサーベルで受け止める。
「杏子あんた、何考えてんのよ! なんで黙っていなくなったりすんのさ!」
「うるせえ!」
ばしゃばしゃと水を蹴立てて近づいてくるさやかに、杏子は穂先を突き付けた。
「もうさやかには関係ねーことだ。アタシは元通り一人で生きていく!」
「関係なくなんてない!」
「ないね!」
言い捨てると同時に杏子が踏み込む。
雨を斬り捨てて槍が疾る。
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