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    元スレ杏子「さやか、――あんたを殺す」

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    タグ : - アイドルたち + - 佐倉杏子 + - 魔法少女まどか☆マギカ + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    101 = 1 :

    ◆◆◆ ◆


    時間は一週間ほど前に遡る。
    杏子は廃教会で祈りを捧げていた。
    春の陽射しが杏子を照らす。
    しばらくして彼女は立ち上がり、振り返った。

    「なんか用か――まどか」

    教会の入口に、控えめにまどかが立っていた。

    「杏子ちゃんに、お話があって」

    まどかがひとりで来た意味を汲んで、杏子は頷いた。

    「少し出るか。電車に乗ろう」

    二人はそうした。

    102 = 4 :

    まどまど?

    103 = 1 :

    車両のすみのほうに二人は並んで座る。空いている。

    「で、どーしたの。悩み事かい? 杏子おねーちゃんに話してみな」

    「杏子ちゃんは優しいね」

    まどかはほんのりと笑った。

    「だっ、そんなんじゃねーよバカ!」

    まどかはくすくす笑っていたが、ぽつりと話しはじめた。

    「わたしの願いの話はしたよね? 契約をしたときにね、わたしの因果の大部分が概念となって世界に固定されたの」

    「どういうことだオイ」

    「んーっとつまり、過去から未来にかけてすべての魔法少女を救済するシステムに、わたしの一部がなったって感じかな。
     それでね、断片的にだけど、わたしはそのフィードバックを受けられるんだ」

    話の見えない杏子。

    「なにがいいたい?」

    105 = 14 :

    いいねいいね

    106 = 1 :

    「簡単にいうと、わたしには未来が見えるの」

    「……!」

    「わたし、見たんだ。杏子ちゃんがいなくなっちゃうとこを」

    「………」

    「杏子ちゃん、杏子ちゃんこそ、なにか悩んでるんじゃないの?」

    向き直るまどかから顔を逸らして、沈黙する杏子。

    「ダメだって思ってるわけじゃないよ。でも、杏子ちゃんの気持ちを知らないままお別れなんて、ぜったいにいやなの」

    杏子は沈黙を守っている。

    「杏子ちゃんはこの前、わたしの話を聞いてくれたよね。今度はわたしが杏子ちゃんの話を聞く番なんだよ」

    「……誰にもいうなよ」

    低い声で杏子がいった。
    まどかはにこりとして「もちろん」と応える。

    駅に着いたのでふたりは下車し、カフェにはいった。

    107 = 4 :

    まどまど

    108 = 1 :

    「うん……、なるほど。よくわかったよ。ありがとう、杏子ちゃん」

    まどかは紅茶をかきまぜる手を止めた。
    ことさら乱暴に、ばりばりと音を立ててクッキーを食べる杏子。

    「アタシは悩んでるんじゃねー。もう決めたこと、つーか、当然のことだよ。ただきっかけがあればここを出ていくだけさ」

    「それじゃあ、そのときはわたしも手伝うよ」

    平然とそういったまどかに、杏子はクッキーを取り落とす。

    「あんた、なにいってんだ……」

    「わたしはすべての魔法少女の呪いを受け止めるの。それに、杏子ちゃんは友達でしょ?」

    冗談めかして笑うまどか。

    109 = 4 :

    まどまど

    110 = 1 :

    だが杏子は語気を荒げた。

    「わかってんのか? アタシに手を貸すってことは、あんたもあいつらを裏切るってことなんだぞっ」

    「わたしは裏切るつもりなんてないよ」

    落ち着き払って紅茶を飲むまどかに、杏子も勢いを削がれる。

    「まどか。あんた、なに考えてる?」

    カップを置いて、まどかはほがらかに笑った。

    「みんなの幸せだよ。杏子ちゃん」


    111 = 1 :

    ◆◆◆ ◆


    サーカスのような結界内部。
    四肢のかわりに何本も人の手が生えた象の魔獣が5体。
    さやかは巨大な魔獣らにひとりで立ち向かっていた。

    「杏子を見つけなきゃいけないのに、邪魔してんじゃないわよ!」

    振り回される長大な鼻をかい潜りながら、さやかが剣を振るう。
    しかし巨体に細かな傷をつけても倒すことはできない。

    「邪魔だっつってんのよおぉっ!」

    さやかが魔獣の横っ腹に剣を突き立てる。

    「うあああああああああっ!」

    咆哮とともに魔獣を吹き飛ばし、もう一体にぶち当てる。
    ともに倒れる魔獣を見ることなくさやかは向き直る。
    肩が大きく上下している。疲労している。

    112 = 4 :

    さやさや

    113 = 1 :


    さやか(ちょっと……まずいかもね……でも、ピンチになったら杏子が助けに来てくれたりして……はは、ないか)

    剣を掴み直したさやかに巨体が迫る。
    そのとき。
    象のからだがまっぷたつに切り裂かれた。

    「……まさか、杏子!?」

    消えていく魔獣の向こうに見えた人影に向かって、さやかは弾んだ声で呼びかけた。


    115 = 1 :

    ◆◆◆ ◆


    ほむらはマミとともに走りながら考えている。

    ほむら(杏子は、自らの行いに向き合った。なのに私はみんなに甘えて過去から逃げている)

    唇を噛む。

    ほむら(私に杏子を追う資格なんてない……私もおなじように罪を背負っているのだから)

    「暁美さん?」

    「!」

    「だいじょうぶよ。佐倉さんは必ず見つけましょう。二度も彼女と別れるなんて、悲しすぎるもの」

    「巴マミ……」

    「もちろん貴女もよ、暁美さん」

    ふんわり微笑んだマミからほむらは目を逸らせた。

    (マミさん……私はいままで何度も貴女を切り捨ててきました。願いのために。まどかのために。
     私にはそんな資格ないんです。貴女に大切にされるような資格は)

    「……今は魔獣に集中すべきよ」

    「ふふっ。そのとおりね」

    116 = 57 :

    ほむほむ

    117 = 1 :


    二人はそれからしばらく走って、見つけた結界に飛び込んだ。
    ライトのせいか妖しい雰囲気の結界に入り様、二人の銃撃が象の魔獣に命中。
    地響きとともに倒れる巨体のうえを跳ねるさやかが見えた。
    いびつな象の死骸が切り裂かれ、人影が飛び出す。
    人影はそのままさやかに躍りかかり、その手に持った刀を振るう。

    「あれは……あれも魔獣!?」

    愕然としたマミの声に、ようやくさやかが気付いた。

    「マミさん! ほむらも! っと」

    甲高い音をあげてさやかと魔獣の剣が噛み合う。

    「あれは……、美樹さやか……!?」

    仮面こそしているものの、黒衣をまとったそれは髪型も武器もさやかに酷似していた。

    「うあッ!」

    腹を蹴飛ばされて体勢の崩れたさやかを魔獣の剣が襲う。

    118 = 4 :

    さやさや?

    120 = 1 :

    「美樹さん!」

    銃声。
    マミが魔獣の腕を撃ち抜いた。
    両腕を吹っ飛ばされた魔獣は跳びすさって距離をとる。
    さやかが即座に戦闘体勢に復帰。
    ほむらも銃を構える。
    魔獣の両腕がぞりぞりと再構成されていく。

    ほむら(なんなのこの魔獣は……。さやかに似過ぎている!)

    「来るわよ!」

    走り出した魔獣に向かってマミが攻撃。
    跳ね、躱し、弾いて距離をつめる魔獣。そこにさやかが突っ込んだ。

    「さやか!」

    さやかが防ぎそこなった魔獣の左刀を瞬時に移動したほむらが盾で受け止め吹き飛ぶ。


    122 :

    オクタヴィアちゃんかわいい

    123 = 1 :

    「――チェックメイト」

    呟きと同時に魔獣に着弾。
    一発に聞こえた二発が魔獣の頭と胸を貫通し、続いてさやかが振るった刀が両断する。

    「魔獣……世界の歪みが顕現したものじゃなかったの……?」

    崩れ落ちた魔獣を見ながらほむらが零す。

    「美樹さん、けがはない?」

    「もうだいじょうぶです、マミさん。ほむら、ゴメン助かった」

    結界が溶け消えていく。
    魔獣も同様に風化して消えた。

    「もう少し考えて動きなさい美樹さやか」

    変身を解いて髪を払うほむら。二人も変身を解く。

    「たはは……おっしゃる通り」

    「それで、佐倉さんの行方についてなにかわかったかしら?」

    「あぁ、さっきキュゥべえに会って――」

    「さやかちゃん!」

    まどかが追いついたので、三人にさやかは説明した。

    124 = 4 :

    さやさや

    125 :

    さやかちゃんはたははかわいい

    126 = 122 :

    まどまどま

    127 = 14 :

    ほむ

    128 = 1 :

    「佐倉杏子が手引きされている……?」

    ほむらは眉間にしわを寄せた。

    「佐倉さん、私たち以外にも仲間がいたのかしら」

    「ともかく、片っ端から捜しちゃうしかないよね」

    「美樹さん、すこしヒントのことを考えてみましょう」

    「とりあえず、杏子ちゃんはどこかに行ってしまったんじゃなくて、まだ近くにいるみたいだね」

    「読み取れる事実はあとふたつかしら」

    「美樹さん、いままでどこを捜したのかしら?」

    さやかはかいつまんで列挙した。

    「そこにはいないし、そもそも美樹さやかが捜しそうな場所にはいないのよね」

    「もしかしてあたしってば無駄足……? 濁るわー」

    129 = 4 :

    さやさや

    130 = 122 :

    ほむほむ

    132 = 1 :


    「いいえ。かなりの範囲で絞り込めるはずよ。インキュベーターもたまには役立つわね」

    「暁美さん。キュゥべえはいい子よ?」

    「今そのことについて議論する気はないわ。とにかく、今夜でもう二晩。そろそろ隠れ続けるのも厳しいはずよ。明日が勝負になる」

    「そうだね。明日は朝から集まろう?」

    「魔獣戦の疲れもあるし、今日は解散にしましょう。美樹さん?」

    さやかは考えこんでいたが、はっと顔をあげた。

    「あ、はいマミさん。それでおっけーです!」

    「しっかり休んでね。貴女がいちばん動いたのだから」

    「はいっ! お風呂はいってケーキ食べてゲームして寝ます!」

    「早く寝ましょうね」

    「美樹さやかは本当にどうしようもないわね」

    133 = 122 :

    さやさや

    134 = 125 :

    さやかちゃんはマイペースかわいい

    135 = 4 :

    さやさや

    136 = 1 :

    「じゃあ帰ろう!」

    まどかが踵を返し、マミもそれに続く。
    まどかに追いすがろうとしたほむらの腕をさやかが掴んだ。
    振り返る。

    「なにかしら」

    眉ひとつ動かさないほむらの首筋にさやかのサーベルが突き付けられている。
    そのさやかの腹に、ほむらは拳銃の銃口を押し当てていた。

    「正直に答えなさいよ。あんた、杏子を匿ってないでしょうね」

    「え? ……まったくなにを言い出すかと思えば」

    「杏子がいなくなったって言ったのはあんただよね。それが嘘だったらどうなのよ」

    ほむらはため息をついた。拳銃をしまう。

    「貴女、私の部屋に来たでしょう」

    「………。あ、そっか」

    さやかはサーベルを消した。

    137 = 4 :

    さやさや

    138 = 1 :

    「ひと一人くらい隠そうと思えば隠せるけれど……、見に来る?」

    「あーやめとく。なにも感じなかったし」

    「賢明ね。それこそ無駄足だわ」

    「でも……、じゃあ誰が杏子を隠してるんだろ」

    二人は並んで歩きだした。

    「私たちの知らない奴ならわかりようがないわね」

    「そうかなぁ。それならさっさとそいつのところに行けばいいじゃん。そうしないってことは、」

    「まさか、巴マミ……」

    「あたしはあんただと思ってたんだけど。あとはまどかだね」

    「まどか? 貴女、まどかを疑っているの?」

    心底呆れたというふうなほむら。

    139 :

    さやかちゃんバカだけど可愛くない

    140 = 1 :


    「可能性の話じゃん……。つかなにさ、まどかが杏子を隠してたらおかしいの?」

    「まどかはそんなことしないわ」

    「そんだけ? まどかを一日中見てるわけでもないんでしょ?」

    「一日中は、見ていないわ」

    「なんかひっかかる言い方だね。癖なの? それとも、まだなんか隠してる?」

    「……癖なの。気にしないで」

    「まぁいいや。あたしだって二人が隠してるなんて本気で思ってるわけじゃないよ。明日がんばって杏子さがそっ」

    そういってさやかはへへへと笑った。

    「明日こそ、見つかるといいわね」

    心中を押し隠して、ほむらは小さく微笑んだ。


    143 = 1 :

    ◆◆◆ ◆


    夜更け。
    静かに、まどかの部屋の窓から杏子は外に出た。

    「………」

    そっと辺りをうかがう。
    そして音もなく地面へ降りた。
    ブーツを履いて、無造作に歩きだす。

    杏子(さやかが捜そうとしないところ、か。たしかにあそこなら捜しづれぇ)

    からころと口のなかで飴を転がしながら杏子は先週のことを思い出す。

    145 = 77 :

    >>139 殺しますよ

    146 = 1 :

    ◆◆◆ ◆


    「たぶん、風見野に行くだけじゃ甘いって思うの」

    「甘い?」

    「さやかちゃんはぜったいに杏子ちゃんを捜すよ。見滝原だけじゃなく、風見野だって」

    「そう、かな……」

    「そうだね。マミさんもそれに協力する。ほむらちゃんはどうかな、もしかしたら諦めろっていうかも」

    「あいつクールだもんな」

    「そうでもないけどね。とにかく、ただここを立ち去るだけじゃ杏子ちゃんの目的は果たせない」

    「じゃあどうすんだよ」

    パンケーキにかぶりつく杏子。

    「隠れるんだよ」

    「あー?」


    147 = 1 :

    「さやかちゃんに見つからないとこに、隠れておくの」

    「いや、それ、いつまでも隠れてらんねーだろ」

    「かくれんぼだよ杏子ちゃん。たぶん、三日か、四日でほむらちゃんは諦めるよ。杏子ちゃんの意志を尊重しようとして。
     マミさんは不本意でもそうするかな。もしかしたら粘るかも」

    まどかはふと息をついた。

    「さやかちゃんは、諦めないかもしれない」

    「……じゃあどーすんだよ」

    「そのときは、わたしが説得するよ」

    「あんたにそれができんのか」

    ゆるりと微笑むまどか。

    「みんなが幸せになれるよう、がんばるよ」


    148 = 4 :

    まどまど

    149 :

    私怨

    150 = 1 :


    「……ま、賭けとしては悪くねー。逃げるのも隠れるのも性にあわないけど」

    「もし、杏子ちゃんが見つかったら――」

    「そんときゃぶっ潰してでも逃げるさ。そのほうがラクかもしんねー」

    「わたしは賛成しないけどね。どっちみちさやかちゃんには逆効果だよ」

    「はん。見つからなかったらいいんだろうが。で、どこに隠れろってんだ?」

    「とりあえずはわたしの家だね。二日目の晩には移動しよう」

    「どこに?」

    「さやかちゃんが捜そうとしないところだよ」

    「だからそれが、ってちょっと待て」

    いつのまにか、まどかの隣にキュゥべえが座っていた。

    「ふたりでなにを企んでるのかな?」



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