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元スレ春香「プロデューサーさん!赤紙ですよ、赤紙」
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戦争が終わればダンサー事務員募集の求人が新聞に繰り返し掲載される。
特殊慰安施設協会につかまりませんように。鬱展開には絶好だが
特殊慰安施設協会につかまりませんように。鬱展開には絶好だが
【1945年8月、満州国新京】
美希「ハニー…つらかったんだね…でももういいの…」
そう言うと、美希は俺の足に口付けしてくれた。
美希「ハニーが背負ってるものは美希も一緒に背負ってあげるから…だからもうハニーが独りで苦しむ必要なんてないの…」
俺はこいつのプロデューサーだった。少なくとも俺がいなきゃ駄目な奴だった。
それが今や俺の抱えているものを一緒に背負ってくれると言うまでに成長してくれた。
P「そうか…五年って長いんだな…美希がこんなに立派になっちまうなんて…」
俺がしみじみというと、律子もやれやれ、といった感じの仕草をして言った。
律子「そりゃあ長いですよ…小鳥さんなんかもう三十路なんですから」
律子「プロデューサー殿が復讐するなんて、死んだ方々も望んでないはずです」
律子「少なくともプロデューサー殿だけには昔のような平和な暮らしを望んでるはずですから。さて…そういうわけで日本に帰りましょうか!みんな待ってますよ」
美希「えへへ…今度こそずっと一緒だよ、ハニー?」
美希「ハニー…つらかったんだね…でももういいの…」
そう言うと、美希は俺の足に口付けしてくれた。
美希「ハニーが背負ってるものは美希も一緒に背負ってあげるから…だからもうハニーが独りで苦しむ必要なんてないの…」
俺はこいつのプロデューサーだった。少なくとも俺がいなきゃ駄目な奴だった。
それが今や俺の抱えているものを一緒に背負ってくれると言うまでに成長してくれた。
P「そうか…五年って長いんだな…美希がこんなに立派になっちまうなんて…」
俺がしみじみというと、律子もやれやれ、といった感じの仕草をして言った。
律子「そりゃあ長いですよ…小鳥さんなんかもう三十路なんですから」
律子「プロデューサー殿が復讐するなんて、死んだ方々も望んでないはずです」
律子「少なくともプロデューサー殿だけには昔のような平和な暮らしを望んでるはずですから。さて…そういうわけで日本に帰りましょうか!みんな待ってますよ」
美希「えへへ…今度こそずっと一緒だよ、ハニー?」
帰り支度をしている最中、急報が届いた。
ソ連が不可侵条約を破り、満州に侵攻したとのことだった。
ソ連軍が来る。もちろんここも安全ではないだろう。
美希「ハニー、急いで逃げるの!」
律子「プロデューサー殿!」
ここで逃げることは容易だと思った。しかし今の俺は傷痍軍人とはいえ日本兵だ。そしてそれ以前は美希のプロデューサーだった。
本分を果たそう。
こいつらを守ることこそ、俺の本分だ。
P「俺はここに残る。この体でも足止め位には役に立つだろ」
美希「いや!ハニーが死んじゃうの!」
律子「プロデューサー殿!馬鹿なこと言わないで下さい」
P「俺は死なないよ。」
にっこり笑って、美希のくれた千人針を指でつまんでみせる。
律子「美希、もうあきらめなさい。今のプロデューサー殿に何を言っても無駄よ」
俺の決意の固さを悟ったのか、律子は諦めきった顔をしていた。しかし美希は俺の翻意するように、必死になって説得し続けてくれた。
P「それじゃあ律子…美希を…みんなを頼む」
それだけを律子に言い残し、日本兵としての、そして何よりプロデューサーとしての戦場へ俺は向かった。
ソ連が不可侵条約を破り、満州に侵攻したとのことだった。
ソ連軍が来る。もちろんここも安全ではないだろう。
美希「ハニー、急いで逃げるの!」
律子「プロデューサー殿!」
ここで逃げることは容易だと思った。しかし今の俺は傷痍軍人とはいえ日本兵だ。そしてそれ以前は美希のプロデューサーだった。
本分を果たそう。
こいつらを守ることこそ、俺の本分だ。
P「俺はここに残る。この体でも足止め位には役に立つだろ」
美希「いや!ハニーが死んじゃうの!」
律子「プロデューサー殿!馬鹿なこと言わないで下さい」
P「俺は死なないよ。」
にっこり笑って、美希のくれた千人針を指でつまんでみせる。
律子「美希、もうあきらめなさい。今のプロデューサー殿に何を言っても無駄よ」
俺の決意の固さを悟ったのか、律子は諦めきった顔をしていた。しかし美希は俺の翻意するように、必死になって説得し続けてくれた。
P「それじゃあ律子…美希を…みんなを頼む」
それだけを律子に言い残し、日本兵としての、そして何よりプロデューサーとしての戦場へ俺は向かった。
スレタイきいたときはなにこれってなったのに
開いて見たら予想以上の良スレだった
開いて見たら予想以上の良スレだった
【1945年10月、新765プロ事務所(バラック小屋)】
こんにちは、萩原雪歩です。日本が負けたのは悔しいけど、プロデューサーが早く帰ってくるかと思うと嬉しくもあります。
亜美ちゃん真美ちゃんも無事帰ってきました。ピカの威力はすごいってきいていたから、二人が無事で本当に良かった…
大陸からは律子さんと美希ちゃんもちゃんと帰ってきたんですよ!
ただ、二人の暗い顔の理由が気になります。
それからあずささん!
髪をばっさり切って、またアイドルをはじめるそうです。どうしてまたやる気になったのか、後で聞いてみようっと。
それから…沖縄に帰った響ちゃんの安否は相変わらずわからないままです。
沖縄は未だにアメリカに占領されているから、流石の律子さんにも調べることができないんだって…
今日は社長からみんなに、今後の方針についてのお話がありました。
日本は負けたけど、765プロはまだ負けてない。
我々は日本復興を盛り上げる尖兵となるのだっていう社長の言葉には思わず感動しちゃいました
こんにちは、萩原雪歩です。日本が負けたのは悔しいけど、プロデューサーが早く帰ってくるかと思うと嬉しくもあります。
亜美ちゃん真美ちゃんも無事帰ってきました。ピカの威力はすごいってきいていたから、二人が無事で本当に良かった…
大陸からは律子さんと美希ちゃんもちゃんと帰ってきたんですよ!
ただ、二人の暗い顔の理由が気になります。
それからあずささん!
髪をばっさり切って、またアイドルをはじめるそうです。どうしてまたやる気になったのか、後で聞いてみようっと。
それから…沖縄に帰った響ちゃんの安否は相変わらずわからないままです。
沖縄は未だにアメリカに占領されているから、流石の律子さんにも調べることができないんだって…
今日は社長からみんなに、今後の方針についてのお話がありました。
日本は負けたけど、765プロはまだ負けてない。
我々は日本復興を盛り上げる尖兵となるのだっていう社長の言葉には思わず感動しちゃいました
社長の話が終わった後もみんな765プロに残っていました。再会を喜び合ったり、身の上話をしたり…
ただ、戦争がみんなの心に暗い陰を落としていることは明らかでした。
雪歩「あずささんはなんでまたアイドルをはじめようと思ったんですか?」
気になっていたことを私は尋ねました。
あずさ「天国にね、待たせている人がいるの…」
それからあずささんは、アイドルに戻るきっかけのことを話してくれました。
私も泣いてしまったけど、やよいちゃんが一番泣いていました。多分、大切な家族を戦争でなくす痛みを、やよいちゃんが一番よくわかっていたからでしょう。
あずさ「だけどね、私考えたの。天国で待ってくれてるあの人がその間どうしたら退屈しちゃわないですむかってことを」
あずさ「あの人は私のアイドル時代の話をすると、いつも楽しそうに聞いてくれたわ」
ただ、戦争がみんなの心に暗い陰を落としていることは明らかでした。
雪歩「あずささんはなんでまたアイドルをはじめようと思ったんですか?」
気になっていたことを私は尋ねました。
あずさ「天国にね、待たせている人がいるの…」
それからあずささんは、アイドルに戻るきっかけのことを話してくれました。
私も泣いてしまったけど、やよいちゃんが一番泣いていました。多分、大切な家族を戦争でなくす痛みを、やよいちゃんが一番よくわかっていたからでしょう。
あずさ「だけどね、私考えたの。天国で待ってくれてるあの人がその間どうしたら退屈しちゃわないですむかってことを」
あずさ「あの人は私のアイドル時代の話をすると、いつも楽しそうに聞いてくれたわ」
追いついたら終戦してた
南方戦線には行かないのかって思ったけど南方行ったらまず帰ってこられないか…
Pはシベリア抑留かな
南方戦線には行かないのかって思ったけど南方行ったらまず帰ってこられないか…
Pはシベリア抑留かな
あずさ「だから私がまたアイドルになって、有名になって」
あずさ「これから天国に行く人たちが、あの人に私の話をしてくれるようにならなくちゃ。だからアイドルを頑張って、私は有名にならないといけないのよ。あの人が退屈しないようにね」
やよい「私がアイドル頑張れば…天国の長介たちも退屈しないですむのかなぁ…」
あずさ「きっとやよいちゃんが頑張ってる話を聞けば、天国でも喜んでくれるわよ」
やよい「うっうー私今から頑張りますーピカで死んだ長介達が天国で喜んでくれるようなアイドルにならないと!」
あずさ「ふふふ、お互い長く待たせてあげましょうね」
社長のいうとおり、765プロはまだ負けません。
私達の戦いはこれからなんですから!
私も立派なアイドルになって、みんなの復興の役にたてるよう頑張ります!!
以上、萩原雪歩でした。
あずさ「これから天国に行く人たちが、あの人に私の話をしてくれるようにならなくちゃ。だからアイドルを頑張って、私は有名にならないといけないのよ。あの人が退屈しないようにね」
やよい「私がアイドル頑張れば…天国の長介たちも退屈しないですむのかなぁ…」
あずさ「きっとやよいちゃんが頑張ってる話を聞けば、天国でも喜んでくれるわよ」
やよい「うっうー私今から頑張りますーピカで死んだ長介達が天国で喜んでくれるようなアイドルにならないと!」
あずさ「ふふふ、お互い長く待たせてあげましょうね」
社長のいうとおり、765プロはまだ負けません。
私達の戦いはこれからなんですから!
私も立派なアイドルになって、みんなの復興の役にたてるよう頑張ります!!
以上、萩原雪歩でした。
【1947年1月、新765プロ事務所(バラック小屋二階)】
にひっ!スーパーアイドル伊織ちゃんよ!
少しずつ復興が進んで、仕事も少しずつ増えてきて、今じゃ大忙しよ。
実家の財閥は解体されちゃったけど、家族にばかりとらわれてた今までと違って、今は自分のためにアイドルをやってるからとても充実してるの。
伊織「誰かいるー?仕事でカステラ貰ったからお裾分けにきたわよ~!」
事務所のドアを開けたら、びっくりするわね。
亜美と真美がぐったりと倒れているじゃない。
伊織「ちょっと!?いつも元気なあんたたちが一体どうしたのよ!?」
そういえば、ピカの毒で健康だった人が急に死んだりすることがあるって兄様が最近言っていたわ。
伊織「あんた達…まさかピカの毒でやられたんじゃないんでしょうね…」
亜美「うわ→いおりんには何でもお見通しかぁ…」
真美「みんなには内緒にしといてね…」
亜美「だって亜美達、アイドルやってるときが一番楽しいんだから」
何も言えるわけないじゃない。
なんで戦争はもう終わったはずなのに、まだ苦しまなきゃいけないのよ、馬鹿…
にひっ!スーパーアイドル伊織ちゃんよ!
少しずつ復興が進んで、仕事も少しずつ増えてきて、今じゃ大忙しよ。
実家の財閥は解体されちゃったけど、家族にばかりとらわれてた今までと違って、今は自分のためにアイドルをやってるからとても充実してるの。
伊織「誰かいるー?仕事でカステラ貰ったからお裾分けにきたわよ~!」
事務所のドアを開けたら、びっくりするわね。
亜美と真美がぐったりと倒れているじゃない。
伊織「ちょっと!?いつも元気なあんたたちが一体どうしたのよ!?」
そういえば、ピカの毒で健康だった人が急に死んだりすることがあるって兄様が最近言っていたわ。
伊織「あんた達…まさかピカの毒でやられたんじゃないんでしょうね…」
亜美「うわ→いおりんには何でもお見通しかぁ…」
真美「みんなには内緒にしといてね…」
亜美「だって亜美達、アイドルやってるときが一番楽しいんだから」
何も言えるわけないじゃない。
なんで戦争はもう終わったはずなのに、まだ苦しまなきゃいけないのよ、馬鹿…
すまん
少し訂正が発見されたのでなおしてくる
保守してくれるとうれしい
少し訂正が発見されたのでなおしてくる
保守してくれるとうれしい
【1947年12月、765プロ事務所】
小鳥「千早ちゃん…よかった…本当によかった…」
終戦後入ってきたペニシリンという薬で千早ちゃんの結核は治りました。
と、いっても七年も闘病してたから体は大分弱っているようで、まだまだ歌うことはできないけど。
千早ちゃんはいつも歌いたそうにうずうずしてるけど、それを抑えるのが今の私の仕事です。
あ、私、天海春香です。
あれから律子さんがそうとう手を尽くしたようで、響も今日戻ってくるそうです。
真が嬉しそうに、そのことを私に教えてくれました。
これでようやく久々に、765プロのアイドルが全員揃うことになりました。
ただ、プロデューサーさんだけがいません。
小鳥「千早ちゃん…よかった…本当によかった…」
終戦後入ってきたペニシリンという薬で千早ちゃんの結核は治りました。
と、いっても七年も闘病してたから体は大分弱っているようで、まだまだ歌うことはできないけど。
千早ちゃんはいつも歌いたそうにうずうずしてるけど、それを抑えるのが今の私の仕事です。
あ、私、天海春香です。
あれから律子さんがそうとう手を尽くしたようで、響も今日戻ってくるそうです。
真が嬉しそうに、そのことを私に教えてくれました。
これでようやく久々に、765プロのアイドルが全員揃うことになりました。
ただ、プロデューサーさんだけがいません。
【1947年12月、765プロ事務所】
皆さん、如月千早です。
伊織のお陰で結核は完全に治り、体力も少しずつ戻ってきています。
それでもやはり、昔みたいに歌うのはブランクが長いせいかなかなかうまくいきません。春香からも止められています。
千早「体力つけなきゃね…」
響「千早は随分やせっぽちになったんだな~しっかり食べないとダメだぞ!プロデューサーだって…あっ!そういえばプロデューサーはまだ帰ってないのか?」
真「プロデューサー…なかなか帰ってこないんだよ…ちゃんと帰ってくるのかな…」
プロデューサーと聞いて全員が暗い顔になりました。
千早「プロデューサーは絶対帰ってくるわ」
雪歩「そうですぅ!だってちゃんと私と約束してくれたんですから!」
貴音「奇遇ですね、雪歩。私とも帰ると約束をしてくれました。今頃は、プロデューサーも私達と同じ月を見ていますよ。」
プロデューサー…
私は、待っています。歌を歌って、待っています。
プロデューサーが私との約束を果たしてくれるその日まで。
皆さん、如月千早です。
伊織のお陰で結核は完全に治り、体力も少しずつ戻ってきています。
それでもやはり、昔みたいに歌うのはブランクが長いせいかなかなかうまくいきません。春香からも止められています。
千早「体力つけなきゃね…」
響「千早は随分やせっぽちになったんだな~しっかり食べないとダメだぞ!プロデューサーだって…あっ!そういえばプロデューサーはまだ帰ってないのか?」
真「プロデューサー…なかなか帰ってこないんだよ…ちゃんと帰ってくるのかな…」
プロデューサーと聞いて全員が暗い顔になりました。
千早「プロデューサーは絶対帰ってくるわ」
雪歩「そうですぅ!だってちゃんと私と約束してくれたんですから!」
貴音「奇遇ですね、雪歩。私とも帰ると約束をしてくれました。今頃は、プロデューサーも私達と同じ月を見ていますよ。」
プロデューサー…
私は、待っています。歌を歌って、待っています。
プロデューサーが私との約束を果たしてくれるその日まで。
【1947年12月765プロ事務所】
皆さん、如月千早です。
結核は完全に治り、体力も少しずつ戻ってきています。
それでもやはり、昔みたいに歌うのはブランクが長いせいか、なかなかうまくいきません。春香にも止められてしまいますしね。
千早「体力つけなきゃね…」
響「千早は随分やせっぽちになったんだな~しっかり食べないとダメだぞ!プロデューサーだって…そういえばプロデューサーはどうしたんだ」
真「プロデューサー…なかなか帰ってこないんだよ…ちゃんと帰ってくるのかな…」
プロデューサーと聞いて全員が暗い顔になりました。
千早「プロデューサーは絶対帰ってくるわ」
雪歩「そうですぅ!だってちゃんと私と約束してくれたんですから!」
貴音「奇遇ですね、雪歩。私とも帰ると約束をしてくれました。今頃は、プロデューサーも私達と同じ月を見ていますよ。」
プロデューサー…
私は、待っています。歌を歌って、待っています。
プロデューサーが私との約束を果たしてくれるその日まで。
皆さん、如月千早です。
結核は完全に治り、体力も少しずつ戻ってきています。
それでもやはり、昔みたいに歌うのはブランクが長いせいか、なかなかうまくいきません。春香にも止められてしまいますしね。
千早「体力つけなきゃね…」
響「千早は随分やせっぽちになったんだな~しっかり食べないとダメだぞ!プロデューサーだって…そういえばプロデューサーはどうしたんだ」
真「プロデューサー…なかなか帰ってこないんだよ…ちゃんと帰ってくるのかな…」
プロデューサーと聞いて全員が暗い顔になりました。
千早「プロデューサーは絶対帰ってくるわ」
雪歩「そうですぅ!だってちゃんと私と約束してくれたんですから!」
貴音「奇遇ですね、雪歩。私とも帰ると約束をしてくれました。今頃は、プロデューサーも私達と同じ月を見ていますよ。」
プロデューサー…
私は、待っています。歌を歌って、待っています。
プロデューサーが私との約束を果たしてくれるその日まで。
【1948年春、シベリアのとあるラーゲリ】
春といってもロシアの春は雪に閉ざされ、花の一つもない。
ダモイ、ダモイ、と作業を急かす監視員の声だけがうるさく響く。
ダモイの意味は帰国だと誰かが言っていた。
だからどのラーゲリにも必ず手製のカレンダーがあり、一日の作業が終わると一日分の日付を消し、ダモイの日がまた近づいたことを喜ぶ。
だがここにいる日が長くなるほど、近づいているのはダモイの日ではなく己の死期だということに誰もが気づいていった。
病、寒さ、飢え。
ここでの死は戦場よりも自分に近く感じるのはなぜだろう。理由は簡単だ。その三つが全て自分を襲っているからだ。
そしてこの三つは誰にでも平等に襲いかかり、体の弱いものから順に死んでいった。
。
日本では桜がもう満開だろうか。
月はきれいだろうか。
白夜のロシアでは、月は日本と同じでは無かく、冷たい永久凍土では花も咲かない。
約束が何だったのかは、もう思い出せない。
春といってもロシアの春は雪に閉ざされ、花の一つもない。
ダモイ、ダモイ、と作業を急かす監視員の声だけがうるさく響く。
ダモイの意味は帰国だと誰かが言っていた。
だからどのラーゲリにも必ず手製のカレンダーがあり、一日の作業が終わると一日分の日付を消し、ダモイの日がまた近づいたことを喜ぶ。
だがここにいる日が長くなるほど、近づいているのはダモイの日ではなく己の死期だということに誰もが気づいていった。
病、寒さ、飢え。
ここでの死は戦場よりも自分に近く感じるのはなぜだろう。理由は簡単だ。その三つが全て自分を襲っているからだ。
そしてこの三つは誰にでも平等に襲いかかり、体の弱いものから順に死んでいった。
。
日本では桜がもう満開だろうか。
月はきれいだろうか。
白夜のロシアでは、月は日本と同じでは無かく、冷たい永久凍土では花も咲かない。
約束が何だったのかは、もう思い出せない。
青年「おい、邪魔だ!あんた。そこをどきな!」
男「そこのあんちゃんはびっこひきよるんじゃ…堪忍してやれ…」
凍ったライ麦パンの食事を弱々しい力で噛んでいると若い青年が怒声をあげながら絡んできた。
昨日うちのラーゲリに合流した新入りらしい。目を合わせると、彼は俺の顔をしばらくじっと見つめていた。
どうやら知り合いらしい。彼の顔は俺にも見覚えがあった。日本での記憶は遥かに遠く、思い出すことは容易ではなかったが。
P「もしかして961プロの天ケ瀬冬馬か…?」
冬馬「やっと思い出したぜ、あんた765プロのプロデューサーだったけか…胸くそわりぃぜ…」
かつての美青年の面影は最早ない。目は死に、髭はのびきり、頬のこけた貧相な男になっていた。
懐かしい顔と出会っても、喜ぶような心の弾力はとうにない。他人にはそんな俺の姿も彼と同じに見えることだろう。
彼は舌打ちをすると、長らく開けていない俺の雑嚢に蹴りをいれ、立ち去っていった。
男「そこのあんちゃんはびっこひきよるんじゃ…堪忍してやれ…」
凍ったライ麦パンの食事を弱々しい力で噛んでいると若い青年が怒声をあげながら絡んできた。
昨日うちのラーゲリに合流した新入りらしい。目を合わせると、彼は俺の顔をしばらくじっと見つめていた。
どうやら知り合いらしい。彼の顔は俺にも見覚えがあった。日本での記憶は遥かに遠く、思い出すことは容易ではなかったが。
P「もしかして961プロの天ケ瀬冬馬か…?」
冬馬「やっと思い出したぜ、あんた765プロのプロデューサーだったけか…胸くそわりぃぜ…」
かつての美青年の面影は最早ない。目は死に、髭はのびきり、頬のこけた貧相な男になっていた。
懐かしい顔と出会っても、喜ぶような心の弾力はとうにない。他人にはそんな俺の姿も彼と同じに見えることだろう。
彼は舌打ちをすると、長らく開けていない俺の雑嚢に蹴りをいれ、立ち去っていった。
彼が蹴り飛ばした雑嚢から、途切れ途切れに音楽がなった。
皆、音楽などずっと聴いていない。ラーゲリの皆の目は音の出所を探して動いていた。
雑嚢を開けるのは何年ぶりのことだろうか。ここでの生活は余裕がなく、今の今まで開けることすら忘れていた。
千早のくれたオルゴールを取り出し、発条を回す。
久々の音楽は、終わりのみえない抑留で疲れ果てていた皆の心を優しく癒やしてくれた。
そしてその曲の題名が『約束』であったことを俺は思い出した。
俺には何か約束があったはずだった。雑嚢の中の冊子を取り出し、頁をめくる。
几帳面に並べられた、紙面を彩る日本の春とその匂いは懐かしく、遠い日の約束を俺に教えてくれた。
雪歩「勲章なんていらないから絶対に生きてかえってくださいね、プロデューサー!」
生きねばならない。
思い出された遠い日の約束は、幻想のダモイよりも確実な生きる活力を俺にくれた。
必ず千里の果ての内地に帰り、あの日と同じ月を見る。
垢で汚れた千人針に縫い込まれた硬貨を握り締めて、俺は生きて帰ることを固く誓った。
~fin~
皆、音楽などずっと聴いていない。ラーゲリの皆の目は音の出所を探して動いていた。
雑嚢を開けるのは何年ぶりのことだろうか。ここでの生活は余裕がなく、今の今まで開けることすら忘れていた。
千早のくれたオルゴールを取り出し、発条を回す。
久々の音楽は、終わりのみえない抑留で疲れ果てていた皆の心を優しく癒やしてくれた。
そしてその曲の題名が『約束』であったことを俺は思い出した。
俺には何か約束があったはずだった。雑嚢の中の冊子を取り出し、頁をめくる。
几帳面に並べられた、紙面を彩る日本の春とその匂いは懐かしく、遠い日の約束を俺に教えてくれた。
雪歩「勲章なんていらないから絶対に生きてかえってくださいね、プロデューサー!」
生きねばならない。
思い出された遠い日の約束は、幻想のダモイよりも確実な生きる活力を俺にくれた。
必ず千里の果ての内地に帰り、あの日と同じ月を見る。
垢で汚れた千人針に縫い込まれた硬貨を握り締めて、俺は生きて帰ることを固く誓った。
~fin~
>>195の最後の行が見えない
読んでくれた人ありがとうございました
若干の時代考証の怠りとか誤字もろもろはご了承ください。
若干の時代考証の怠りとか誤字もろもろはご了承ください。
>>188ってどっか訂正する必要あったのか?
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