元スレほむら「幸せのまどか様」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★
251 = 146 :
ほむほむ
252 = 1 :
――――
杏子「久しぶりだよな」
マミ「そうね、二人で戦うのはいつぶりかしら?」
ゆま「ゆまもいるよー」
杏子「そうだったな でも、あんまり前ににでるなよ」
ゆま「怪我したら直ぐに治すからね!」
杏子「なぁ、久しぶりに『アレ』をやるか」
マミ「できなくなったんじゃないの?」
杏子「大丈夫、今のアタシならできると思う――」
マミ「だったら援護するわ 一気に決めなさい!」
杏子「ゆま、アタシが必殺技を叫んだこと、他の皆にはナイショだぜ?」
ゆま「……?」
マミ「ティロ・ボレー!」
杏子「必殺 ロッソ・ファンタズマァアアアア!! 」
253 = 1 :
――――
扉を抜けた先にあった螺旋階段を私達は駆け上がる
この先にまどかが居るのだろうか そう思うと少しだけ胸が高鳴る
織莉子「あの三人、大丈夫かしら」
キリカ「マミさんと杏子はベテランだし、きっと大丈夫だよ」
ほむら「それで貴女達、これからどうするつもりなの?」
織莉子「どうするって…… 当初の計画どうり、まどか様に会うのよ」
ほむら「ねぇ、貴方達はどうやってまどかを神を辞めさせるつもりなの?」
キリカ「ずばり―― 色仕掛けだっ! 親友の頼みとあらば、神も断れまい!」
ほむら「……貴方たち正気なの?」
さやか「本気だよ」
ほむら「聞いたあたしが馬鹿だった……」
織莉子「だって他にいい方法が思いつかなかったんですもの」
ほむら「……」
ほむら「あははは はははははははは」
ほむら「ふざけないでよ! どうして私がこんなことに巻き込まれなくちゃいけないの?」
254 = 146 :
ほむほむ
255 = 1 :
ほむら「そんな方法、上手くいくわけないじゃない!」
織莉子「やってみないとわからないわ」
ほむら「馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿…… どいつもこいつも底なしの馬鹿!」
ほむら「何が私たちを巡り合せてくれた神さまを救いたい? 寝言は寝て言いなさい」
キリカ「本来なら魔女になる私を助けてくれた神様に、一言お礼がいいたかったんだ」
織莉子「私は謝らないと―― 殺してしまってごめんなさいって」
キリカ「あははは、それどう考えても許してもらえないよねー」
織莉子「そうよね…… 焼き土下座で許してもらえないかしら……」
キリカ「っていうかこの状況ってさ、RPGのラスダンっぽくて燃えない?」
織莉子「あーるぴーじーって何? RPG-7?」
ほむら「……もういい…もう何も聞かない……
さやか……どうしてこんな馬鹿に協力したの?」
さやか「……私も…馬鹿だから……かな」
ほむら「失望したわ…… 貴女とならうまくやっていけると思ったのに」
さやか「……ゴメンね…ほむら」
256 :
257 = 1 :
階段を上りきると、再び開けた空間に出た
最初の場所と同じように、不自然に大きな扉が一つあるだけだ
ここまできたら前に進むしかない……
私は目の前にそびえ立つ扉を見据える
織莉子「やる気になった?」
ほむら「……」
キリカ「嫌われちゃったね」
さやか「ねぇ、また何か出てきたよ」
上半身が騎士で下半身が人魚の魔女と
それに帽子を被った黒くて物質的な魔女
ほむら(この組み合わせ… 何か意図的なものを感じるわ)
キリカ「うわぁ…… なにあれ気持ち悪い……
死んでもあんな化け物にはなりたくないなぁ」
織莉子(ごめんなさいキリカ…… 私の所為で貴女は一度ああなっているのよ)
織莉子「そんなことは二度とさせないつもりだけれどね」
キリカ「え、何か言った?」
織莉子「キリカ、今は目の前の敵に集中しなさい」
258 :
>>256
杏子ちゃんぺろぺろ
259 :
黄色のうざさは異常
260 = 146 :
ほむほむ
261 = 1 :
さやか「ほむら、ちゃんとけじめをつけてきて まどかに…… その想いを届けてきて」
さやか(ほむらが笑顔になれるのなら、あたしはほむらに嫌われてもいい――)
さやか「それから、ちゃんと無事に帰ってきてほしい」
けじめをつける? 一体私に何をしろっていうの?
さやかたちが魔女をひきつけているうちに、扉の前まで走り抜ける
オクタ「 ―― 」
さやか「ほむらには指一本触れさせないよ!」
ほむら「……」
さやか「行ってきてほむら!」
さやか(二人がゆっくりと話し合える時間を、あたしが稼ぐんだ)
さやか「さぁさぁさぁ、 この正義の死者さやかちゃんが相手だっ!」
織莉子「暁美ほむら、忘れ物よ!」シュ
美国織莉子が帽子の中から何かを取り出して放り投げた
私がソレを受け取った瞬間、やわらかい感触が手に広がる――
QB「奇跡の伝道師、キュゥべえ参上! お題は世界へのラヴで!」グチャ
262 = 256 :
おい、こいつ死んでるじゃねぇか!
263 = 146 :
きゅっぷいきゅっぷい
264 :
誤変換のような気もするし間違ってないような気もする
265 :
なんという自虐
266 = 1 :
――まどか神結界 最深部――
先ほどまでの部屋よりもずっと狭い空間―― 中心に少女が一人佇んでいる
彼女の頭上には巨大な天使のわっかのようなものが、ふわふわと浮かんでいた
まどか「……久しぶりだね ほむらちゃん」
ほむら「本当に…まどか……なの」
まどか「大切な友達の顔、忘れちゃったの?」
ほむら「騙されないわ… あのときインキュベーターは言っていた
まどかの自我は無くなり、一つ上の次元の存在になったと……」
まどか「うーん…そのはずなんだけどね…… この結界の中――
というよりも魔法少女を導くその瞬間だけは、人の形になる必要があってね」
ほむら「……それじゃあ、貴女は本当に」
知らず知らずのうちに歩みを進めていた私は、彼女の目の前まで来ていた
間近で見るまどかは、あの頃とまったく変わらない姿で存在してる――
まどか「私の創り出した世界と供に歩んでくれるんじゃなかったの?」
ほむら「その……これには…深いわけがあって……」
ほむら「まどか……」
まどか「全部お終いにしよっか」
267 = 1 :
ほむら「え……?」
まどか「外で戦ってる皆が力尽きるのも時間の問題……」
まどか「みんなまとめて私は導いてあげる」
ほむら「まどか…… 私、貴女に謝らないと……」
まどか「ううん、ほむらちゃんは悪くないよ
まったく、さやかちゃんも杏子ちゃんもマミさんも馬鹿だよ……」
ほむら「でも、彼女達は貴女を――」
まどか「私がいなくなったら、一体だれが魔法少女を救うのかな?」
ほむら「それは……」
まどか「嬉しかったよ 皆が私のことを思って行動してくれて――」
美国織莉子は、私の説得によってまどかを引き摺り下ろすといっていたが、
そんなこと不可能だ いったい私にどうしろと言うのか……
さやかはけじめを付けろ、想いを届けろと言っていた――
今更まどかに何を伝えるというの…… 人間に戻れとでも言えばいいの?
QB「暁美ほむら…… ボクがいることを完全に忘れてないかい?」
ほむら「インキュベーター……」
268 = 1 :
QB「キミはイレギュラーな存在にもかかわらず
この世界のため、忠実に魔獣を狩ることに専念してくれていた」
ほむら「何が言いたいの?」
QB「初めて会ったとき、言ったよね ボクはキミと契約を交わした覚えはない、と」
ああ、そういうことなのか
美国織莉子―― 全て彼女の思惑通りだったわけだ
何が色仕掛けだ……私は彼女の手のひらで踊らされていただけじゃないか
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
キリカ「それで、肝心の作戦の内容は?」
織莉子「簡単に説明するとね――」
この作戦にはイレギュラーである暁美ほむらの協力が必要不可欠なの
でも、彼女に素直に作戦を話しても協力を得られるはずがないと思う
だから暁美ほむらのソウルジェムに穢れを溜めてまどかを呼び出すわ
そうすればイレギュラーの意思に関係なく作戦に巻き込むことができる
このとき光に向かって飛び込むことで結界内部に侵入できるはず
これはキリカが体験してることだから、きっと上手くいくと思うの
269 = 256 :
やだ、このQB格好良い
270 = 1 :
結界に侵入した以上、暁美ほむらは否が応でも行動に移すしかなくなるわ
進入が成功したら、実体化したまどかと暁美ほむらを引き合わせる
杏子が会った事態化したまどかには自我があった このまどかに会うことがポイントよ
あくまでも私たちの目的は鹿目まどかという人格のサルベージよ
円環の理システムを壊すことは避けなければならない
彼女の救ってくれた世界を再び壊すことは、彼女が一番望んでいない
そんなことになったら、たとえまどかを助けられたとしても何の意味もないわ
暁美ほむら 彼女はこの世界で魔法少女をやっているけれど、契約は執り行っていない
対価である奇跡を彼女は受け取っていない これは貴女が言っていたことよねキュゥべえ?
魔獣は強力な魔力の残り香に引かれているんだと思うわ
もしかすると鹿目まどかが、私達の存在に危機を感じて魔獣を差し向けているのかも
これは全て憶測よ…… だから、本当にどうなるか私にも分からないわ
それでもこんな作戦を実行しようと思ってしまった私達は愚かなのかもしれない
いえ、紛うこと無き愚か者…馬鹿の集まり―― でも、なんだかわくわくしない?
私たちを救ってくれた神様への恩返しができる希望が残っているっているんだから――
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
271 = 146 :
ほむほむ
272 = 1 :
ほむら(人の気持ちもしらないで……
馬鹿げた作戦によくも巻き込んでくれたわね……)
ほむら(押し付けがましいのは大嫌い――
私の考えは見透かしているから、了解を取らなくてもいいっていう考えなのね)
ほむら(気に入らないわ…… みんな、みんな気に入らない
美国織莉子 呉キリカ 佐倉杏子 巴マミ 千歳ゆま それに美樹さやか)ギュッ
まどか「どうしたの、ほむらちゃん?」
私は概念になったはずの―― 目の前に実体化しているまどかを強く抱きしめる
その感触は昔とかわらない、柔らかくて華奢な女の子のものだ――
ほむら「私ね、ずっと後悔してた あのとき願うべきだった想いは
まどかとの出会いをやり直すなんてことじゃない…… 私はの叶えたかった願いは――」
QB「ボクはキミの支払った魂の対価に見合う奇跡を叶えていない
さあ、暁美ほむら―― その魂の代価にして、君は何を願う?」
ほむら「叶えてよ、キュゥべえ! 私の願いは――」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
鹿目まどかと 仲間たちと一緒にいたい
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
273 = 1 :
――――
マミ「はぁ…はぁ…… 流石にこれ以上は相手できそうにないわね」
杏子「ん…… 何だ、魔女が消えていく――」
ゆま「これで終わりなの……? ゆまたちどうなっちゃうの?」
――――
キリカ「魔女は何処に行った――? うわっ!? 足場が崩れて――」
さやか「ほむら……」
織莉子「上手くいったのかしら―― 」
――――
まどか「キュゥべえ!? ほむらちゃん 一体何を―― 離して!」
ほむら「いいえまどか、私はこの手を二度と離さない!」
QB「契約は成立だ 君の祈りは、エントロピーを凌駕した」
白の結界が音を立てて崩れ始める
体を支えていた床が抜け、バランスを崩してしまう
それでも、この手は絶対に離さない――
さやかたちが繋いでくれたこの奇跡の糸を離してなるもか
274 = 265 :
まど神様の降臨じゃあ
275 = 1 :
――駅構内――
杏子「痛たた、一体どうなったんだ」
ゆま「眼が回るぅ……」
織莉子「ううん…ここは、駅のホーム……?」
マミ「私たち、無事に帰ってこれたのかしら」
キリカ「なんとか無事みたいだね」
さやか「ほむらはっ!?」
ほむら「まどかああああ 会いたかった…… ずっと会いたかった!」ギュッ
まどか「……痛いよほむらちゃん」
さやか「よかった……」
キリカ「あの子が神様の鹿目まどか?」
織莉子「元神様かしら 計画が上手く行っていればね……」
まどか「あれ? どうして私こんなところにいるの?
たしかキュゥべえと契約して神様になったはずじゃ……」
QB(滅茶苦茶する魔法少女たちだなぁ…… 本当に面白い生き物だよ、人間と言うヤツは)
276 = 219 :
VIPとは思えない良スレ
277 = 1 :
◆◇◆◇
鹿目まどかです ずっとは前は人間で、ちょっと前までは神様でした
今はまた魔法少女をやっています
私が再び人間世界に戻ってから半年が経ちました
最近はすっかり冷え込むようになり、なかなかベッドが出ることができません
詢子「まどかー さやかちゃん来てるわよー それに暁美さんもー」
まどか「うん、直ぐに行くから――」
私はまた鹿目まどかとして生きていくことになりました
といっても、神様だった間の記憶はほとんど無くなっていたので、あまり実感がわきません
だから未だに疑問に思うときがあります 私、本当に神様だったのかなぁ……
あの日―― 私が人間に戻った日は本当に大変でした
ほむらちゃんは泣いてばかりで、さやかちゃんは私達を見守っているだけで――
私には何が起こったかさっぱりわかりませんでした
そのうち、さやかちゃんも何かを思い出したかのような表情を浮かべたかと思うと
私に抱きついて、私の名前を叫びながらわんわんと泣き出してしまって――
そんな私達を杏子ちゃんとマミさんが笑顔で見守っていて
他にも知らない子が3人いたりと、全く状況把握出ませんでした
278 :
ほむほむ
279 = 1 :
――玄関――
まどか「お待たせ、二人とも」
さやか「遅いぞまどかーっ」
ほむらちゃんとさやかちゃんが泣き止むのを待っている間に
マミさんや織莉子さんに状況を説明してもらいました
どうやら私は彼女たちの手によって人間に引き戻されてしまったみたいです
危険を顧みず、私のことを助けようと頑張ってくれたみたいだけど
ちょっと冒険しすぎだと思いました 失敗したらどうするきだったんだろう……
まどか「ごめんね……」
ほむら「急ぎましょう、マミさんとキリカさんが待っているわ」
人間になった、といのは少し語弊がある表現です
システムと化していた私の感情を抽出して、ソウルジェムに流し込む――
こうすることで私は再び、個人としてこの世界に降り立つことができたわけです
作戦は完全に成功しました 円環の理は崩壊することなく継続していることが確認できました
だから今は魔法少女として、みんなと一緒に魔獣から世界を守っています
280 :
仕事が全く手につかん。
281 = 146 :
やったー!
282 :
こんなときに地震が・・
283 = 1 :
さやか「寒ぅ~ 早くマミさんちで温まりたーい」
ほむら「この季節を感じることができたのはどれくらいぶりかしら……」
初めて家に帰ったとき、ママは私を笑顔で迎え入れてくれました
私は最初からこの家で育った―― そういうことになっていたようです
その日夕飯はカレーでした パパの料理を再び食べられることが嬉しくて涙がでてしまいました
そんな私を見ながら食事をしていたママも泣き出してしまいました
『おっかしなぁ 別に悲しくもないのに、なんだか涙が止まらねぇ……』
そのうちパパも泣き出してしまい―― 嬉しいはずなのに、何故か何故かの涙の食卓です
その日はママたちの寝室で家族四人で一緒に寝ました。狭くて苦しいとママは苦笑いでした
まどか「マミさんの家に行く前に、ダダマートでお菓子を買っていかないとね」
さやか「杏子のヤツが来るから山盛りかって行かないと」
ほむら「織莉子が言うには、相変わらず健啖な生活を続けているみたいよ」
まどか「杏子ちゃんと織莉子さんに会えるのは久しぶりだねー」
284 = 1 :
ほむら「美国織莉子…… 私は別に会いたいなんて思ってないわ」
さやか「本当はすっごい感謝してるくせにぃ」ツンツン
ほむら「冷たっ さやか、ちょっとやめなさい!」
見滝原に増加していた魔獣も、日を追うごとに減少していきました
問題は解決されたんだけど、そのお陰でキューブの回収が困難になりました
キューブが枯渇するようになると、ゆまちゃんと杏子ちゃんと織莉子さんは他の街へ移り住みました
この街に縁も未練もないアタシたちが出て行くのが一番だと杏子ちゃんはいいました
本当はみんなと一緒にいたい 誰もがそう思っているんだけど――
実際問題、5人でもキューブのやりくりが非常に厳しいです
キュゥべえが私たちのために大きめの担当範囲を割り振ってくれているお陰でなんとかなっています
まどか「はやく皆に会いたいなー」
今日は月に一度開かれる魔法少女たちのお茶会です
マミさんの家に集まって夜遅くまでだらだらします
特になにもしません ただ集まってお菓子を食べてお話をする
ただそれだけなのに、そうしている時間が私にとってはたまらなく楽しいです
285 :
しえん
286 = 122 :
おりこ☆マギカ本編では想像もできない働きぶりの織莉子さん
287 = 1 :
――――
『私の娘から出て行けっ! 魔女め……よくも娘を誑かしてくれたな!』ドカッ
「アタシは魔女じゃないよ、父さんっ信じてよ
痛いよ…止めてよ…… ぶたないで…… お願いだから……」
『どうして私は気づいてやれなかったんだ…… すまない杏子……』
「何いってるのさ、アタシだよ? 杏子だよ? 父さんの娘の――」
『黙れ悪魔め、私の娘から出て行けっ 出て行けっ 出て行け』バギッ
――杏子と織莉子のアパート――
杏子「――」ガバッ
あぁ、またこの夢だ……
幻惑の魔力が戻ったの頃から、昔の夢を見るようになった
織莉子「……杏子、どうしたの?」
杏子「別に、何でもない」ガクブル
織莉子「嘘、震えているわ……」ギュッ
杏子「暑苦しいな…… 離れろよ」
織莉子「貴女が落ち着いたらね」
288 = 1 :
キューブの回収が困難になったアタシたちは見滝原を出た
見滝原よりもずっと北にある街…… そこで織莉子と二人で暮らしている
ここから少し離れたところに、ゆまが養子として貰われていった家もある
移住するに当たって、戸籍等の諸々の問題にアタシは魔法を使ってしまった
ゆまや織莉子が居なければ、こそ泥としてひっそりと生きていくつもりだったのに――
両親を失ってしまった、仲の良い姉妹―― そういう設定だ
我ながら馬鹿馬鹿しい嘘だと思う というか無理がありすぎるだろ……
杏子「一人のほうが気楽でよかった」
織莉子「強がりね」
杏子「そんなことない」
織莉子「一人ぼっちは寂しいくせに」
杏子「……」
織莉子「今日はキリカたちに会いに行く日でしょ? そんな顔で会いに行くつもり?」
杏子「分かってるよ……」
289 = 146 :
あんあん……
290 = 1 :
――――
織莉子「忘れ物はない?」
杏子「ああ……」
空から雪がちらちらと舞い降りてくる 外は一面の銀世界だった
どうせならもっと暖かい場所にいけばよかったな
織莉子「杏子、手袋は?」
織莉子の質問には答えない…… 厭な夢をみたせいで気分が優れない
寒さを紛らわすため、両手を上着のポケットにねじ込む
織莉子「困った子ね……」
そう言いって織莉子は自分のしていた手袋の片方渡してくる
いらないと断っても彼女は聞く耳を持たなかった
仕方なく左手に手袋をはめる――
その一瞬の隙を突いて織莉子にアタシの右手が捉えられる
織莉子「こうしていれば暖かいでしょ?」
素早く手を繋ぎ、二人分の手を織莉子はコートのポケットに仕舞い込む
ふわふわとしたポケットの中で、織莉子の指がアタシの指に絡んでくるのを感じた
杏子「うぜぇ…… 超うぜぇ……」
291 = 1 :
アタシの人間強度は酷く脆いものになってしまった 馴れ合いが過ぎたんだ
守りたい者が出来てしまったその時から、不幸は再び始まってるのかも知れない
家族の夢を見るようになったのも、きっとそのせいだ
織莉子「貴女は他人のために幻惑の魔法を使うことを拒んでいたのに――
今の生活があるのは杏子のおかげよ 本当にありがとね」
杏子「……べつに」
途中の自販機で一本だけ缶コーヒーを買い、二人並んで歩く
織莉子は半分まで飲み、残りを差し出してきた
杏子「回し飲みなんて、お前も変わったよな」
織莉子「そうね……」
杏子「……」ゴクゴク
織莉子「間接キスね」
杏子「だな」
織莉子「もっと感動してくれてもいいのに」
杏子「もう慣れたよ」
見滝原に行く前に、ゆまの家に寄っていく
皆で集まるときには一緒に連れて行くことになっている
292 :
このまどかはガンツの加藤が再生した際千手観音との戦闘時の記憶までしか残ってなかったけどそれと同じか
293 = 227 :
ゆりゆり
294 = 1 :
――――
ゆま「それじゃ、行って来ます!」
養父「佐倉さんの言うことをちゃんと聞くんだぞ」
――――
ゆまの家に着くと、ぱたぱたと小さい体が駆け寄ってくる
その手に異様なほど長いマフラーを持って――
織莉子「おはよう、ゆまちゃん」
ゆま「おはよー」
杏子「その無駄に長いマフラーはなんだ?」
ゆま「ぷれぜんとふぉーゆー」
織莉子「杏子と私、どちらにかしら?」
ゆま「ふたりに! こうやって二人ともいっぺんにぐるぐる巻いて――」
杏子「馬鹿ップルみたいでやだな……」
ゆま「ぐすっ、ゆまが一生懸命編んだのに」
織莉子「泣かすなんて最低ね、杏子」
杏子「……分かったよ、使えばいいんだろ?」
ゆま(計画通り)ニヤリ
295 = 1 :
杏子「……動きづれぇ」
織莉子「でもとっても暖かいわ ありがとね、ゆまちゃん」ナデナデ
ゆま「えへへー」
織莉子「それじゃあ駅に向かいましょうか」
杏子「おい、このまま歩いていくのか」
ゆま「……」ジーッ
無言の威圧感を放ってくる少女
これは絶対にとってはいけないという意思表示なんだろうな……
織莉子「ですって」
杏子「何も言ってないじゃん」
織莉子「一蓮托生、こけないように気をつけてね」
杏子「はいはい……」
ゆま「さぁ、早くキリカおねえちゃんたちに会いに行こうよー」
296 = 1 :
――――
がたんがたんと小気味好いリズムを刻みながら電車は走る
見滝原まではもう少し時間がかかりそうだ
織莉子「あれからもう半年も経ったのね」
ゆま「うん……」
半年―― アタシたちはあとどれくらいの時間をこうやって過ごすことができる?
あの時は大量にあったキューブのストックも、既に底を突いてしまった
いずれはキューブを取り合い、この二人とも対立するときが来るのかもな……
杏子「……」
ゆま「キョーコ、暗い顔してどうしたの? 厭な事でもあった?」
杏子「なんでもないよ」
織莉子「随分とアンニュイ入ってるみたいね」
杏子「……そろそろお前らも一人で魔獣を狩るようにしろよ」
ゆま「どうして?」
杏子「いつまでも馴れ合っていられる状況じゃないんだ 察しろ」
織莉子「杏子、ゆまちゃんの前でそんな話は――」
杏子「ゆまだって十分に一人でやっていけるようになったんだ
本来なら、魔法少女としての基本的な事を教えたら捨て置くつもりだったのに……」
297 = 1 :
ゆま「キューブは足りないし、キリカおねえちゃんたちと一緒にいられないけれど
ゆまは今こうしていられることが楽しいよ」
ゆま「あの時、魔獣に殺されていた命を救ってもらっただけじゃなくて
こんなにも楽しい時間を与えてくれたキョーコには感謝してるの」
織莉子「ゆまちゃん……」
ゆま「私達はいつか殺し合う仲になるのかもしれない――
けど、そのいつかはいまじゃない……」
ゆま「ゆまはキョーコやみんなを絶対に裏切ったりしないよ
キョーコは諦めちゃうの? みんなのこと嫌いになっちゃったの?」
杏子「嫌いになるわけなんてない
みんな馬鹿ばっかりだけど、アタシの大切な仲間だよ……」
ゆま「ゆまたちは世界に喧嘩を売って、勝ったんだよ」
ゆま「奇跡も魔法もあるんだよ?」
杏子「はぁ……」
杏子「……こんなチビに説教されるなんてアタシも焼きが回ったもんだよ」
織莉子「諦めたらそこでお終い―― ゆまちゃんの言うとおりね」
杏子「アタシもっとしっかりしないとな」ナデナデ
ゆま「うん、みんなずっと一緒だよ」
298 = 1 :
QB「いやぁ……青春してるねぇ」
織莉子「盗み聞きとは感心しないわ」
QB「ボクはどこにいてもミキたち魔法少女のことを
把握しておかなければならないからね」
杏子「魔法少女の観察が趣味なんだもんな」
QB「それがボクの生き様だよ」
ゆま「なんかカッコいい!」
杏子「ゆま、騙されるな…… コイツはただの少女趣味の変態だ」
QB「酷い言い草だね ボクがいなければキミたちは絶望に飲まれていただろうに」
ゆま「そうだよ、キュゥべえが居なかったら私達は出会えなかったんだから」
織莉子「それは一理あるわね」
QB「だろう? もっと褒めていいよ! さあ崇めよ奉れ!」
――――
織莉子(キュゥべえ、もしかしてこの場を和ますために態々来たの?)
QB(そんなつもりはないよ ボクはキミたちの監視を怠ってはいけないだけだ)
織莉子(貴方も本当に素直じゃないわね それなら姿を現す必用はないでしょうに)
299 = 146 :
きゅっぷいきゅっぷい
300 :
ミキたちワロス
みんなの評価 : ★★
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