元スレ億泰「幻想御手…? こいつぁ違うぜぇ~」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★★
101 :
きたああああああああああああああああああああああああああああああああああ
102 = 14 :
うほっ
103 = 98 :
御坂「…アンチスキルが…全滅。 …初春さんと佐天さんは?」
そう呟いてあたりを見回す御坂に返ってきたのは静かな答え。
木山「安心していい。 彼女たちは一番向こうにある私の車の中だ」
横倒しになり黒煙をあげている護送車の影から堂々と姿を現す木山春生。
逃げも隠れもしないその態度を見て御坂美琴は警戒を強める。
御坂「…まさかアンタが能力者だったとはね」
パシリと御坂美琴の周囲の空気が帯電をはじめだす。
だが、それを見た木山の口元には不敵な笑みが浮かんだ。
木山「学園都市に七人しかいないレベル5。エレクトロマスター、『超電磁砲』か」
最強の能力者を相手にしても木山が余裕を失うことはなく。
木山「私のネットワークにレベル5は含まれていないが…」
木山「君に一万の脳を統べる私を止めることができるかな?」
その言葉がゴングだった。
104 = 101 :
助手席じゃないか?
105 = 98 :
戦いの中で主張をぶつけあう二人の能力者。
電撃を放ち、水弾で迎撃し、磁力で垂直な壁に貼りつき、重力子の加速で爆弾をつくり、それを反射波で感知し…
二転三転する勝負はさながらお互いのカードを次々と切っていく消耗戦だった。
そして…先に誤った手札を切ったのは木山春生。
相手の能力を読み違えていたというそれは決定的な敗因とイコール。
全身に電撃を流され、動くことも出来なくなった人が倒れ伏す。
だが、御坂の顔は酷く青ざめていた。
御坂「いまの…なに?」
御坂美琴の脳裏に流れた他人の記憶。
それは間違いなく目の前にいる木山春生の悲しい記憶だった。
木山「…観られたのか?」
乱れた息を整えようともせずに立ち上がろうとする木山。
御坂「なんで? 自分の教え子を助けるためなら…こんなことしなくたって…」
木山がレベルアッパーで何をしようとしているのか…その目的を察した御坂は恐る恐るそう語りかける。
だが、そんな御坂の問いかけは悔しさのこもった叫びで塗りつぶされた。
106 = 56 :
私怨
107 = 98 :
木山「私が何回[樹形図の設計者]に申請したと思っている!」
普段の冷静さが嘘のように自分の中の激情を吐き出す木山。
木山「統括理事会がグルなんだ! アンチスキルに頼ったところでどうになるわけがない!」
電撃を受けたショックが抜けきれず足元をふらつかせながら立ち上がる。
木山「あんな悲劇二度と繰り返させはしない!」
自らを導いてくれた子供たちはどれほど時を重ねようと木山の胸の中心にいた。
木山「そのためなら私はなんだってする!」
例え他人から罵られようとなんら気にするつもりはなかった。
木山「この街の全てを敵にまわしても!」
木山「私は止まるわけにはいかないんだっ!」
その瞬間だった。
109 :
なんか今回は前回より展開走ってね?気のせい?
110 :
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
112 = 109 :
レクイエムだ…あれは木山先生のレクイエムだ!!
113 :
紫煙
114 = 76 :
経産婦
115 :
>>109
原作まんまのとこはぶったぎってるんじゃね?
117 :
ミチケタゾ
118 = 101 :
飯食ってんのかな?
120 :
パパとママを守るんだどッ
122 = 87 :
え
123 :
外出中
自力ほ
124 = 123 :
自ほ自ほ
125 :
保守してやるッ
スカッとキレまくって保守してやるッ
127 :
喜んで『保守』するぜ…
128 :
>>111
■幹線道路・高架上
佐天「なにあれ…赤ちゃん? …それにしてもグロいなぁ~」
高架の上からこっそりと覗きながら素直な感情に口にする佐天。
眼下ではノイズが混じったような罅割れた泣き声をあげながら無差別に触手を振り回しはじめる巨大な嬰児がいた。
その触手の先には佐天のよく知る人物、御坂美琴がいた。
佐天「御坂さんっ! 危ない!」
何も無い宙に氷塊のような塊が突如生成され、勢い良く御坂に向かい降り注ぐ。
だが…
佐天「うわ…御坂さん凄ぉ… なんか大きい塊を楽々砕いてるよ!」
御坂美琴にとって、それはさしたる障害ではなかったようだ。
爆発を磁力で生成したシールドで防ぎながら巨大な幻想猛獣に攻撃を加えていく御坂を見て興奮する佐天。
129 = 128 :
初春「佐天さーん、ちょっとは手伝ってくださいー」
そんな佐天に困ったような初春の声がかかる。
木山と戦闘し、気絶したアンチスキルを道路の端に引きずって避難させていたのだ。
佐天「ごめんごめん 今行くからー」
そう言って立ち上がろうとした佐天の視界に見覚えのある人物が映った。
佐天「……あれって」
初春「ここは危ないですよ佐天さん…って、どうしたんですか?」
とりあえずではあるが、アンチスキルを遠方に避難させた初春が佐天の隣に並ぶ。
佐天「ねぇ初春… あそこにいるのってさ」
佐天が指さした先を見てアッと驚いた声をあげる初春。
初春「…虹村さん!?」
そこには虹村億泰が驚いたような顔をして立ち尽くしていた。
131 = 128 :
■幹線道路・高架下
億泰「……なんだぁ~!?」
幻想猛獣を見て素っ頓狂な声をあげる億泰。
億泰の目の前でブヨブヨに膨れ上がった幻想猛獣が御坂美琴を捕らえようと触手を伸ばしている姿だった。
伸びくる触手を電撃で焼き尽くし砂鉄のブレードで切断をする御坂。
バチバチと雷を操りながら危なげ無く攻撃を加えている御坂を見て嫌なものを思い出しかのように眉をひそめる億泰。
億泰「あいつ……『電気』をつかうのかよぉ~…」
複雑そうな顔をしたまま棒立ちになった億泰にようやく気付く御坂。
御坂「ちょっ! アンタなんでここにいんの!?」
億泰がレベルゼロだということを知っていた御坂は苦虫を噛み潰したような顔になる。
御坂「危険だから逃げて! アイツはあたしが引きつけるから!」
そう叫びながらバシンと電撃を幻想猛獣に叩きつける御坂。
その時だった。
ブヨブヨと膨れ上がった幻想猛獣がぶるりと身震いをしたかと思うと体表に幾つもの眼球が生えてくる。
同時に怨念のようなくぐもった様々な声が大気を震わせた。
132 = 128 :
――――――――――――――――――――――――――――――
「幾千幾万の努力がたったひとつの能力に打ち砕かれるのが現実だ」
「能力を数値化してどっちが優秀かハッキリさせちゃうなんて…残酷よね」
「出鱈目に高くて分厚い壁。 …突破なんて出来るわけないじゃないか」
「…上を見上げず前を見据えず下を見て話そう」
「力のある奴はいつだってそうだ…」
「何をやったってねじ伏せられてバカにされる」
――――――――――――――――――――――――――――――
御坂「なに…これ…?」
泥のように吐き出される大量の感情に驚く御坂。
それはレベルアッパーを服用した一万人の学生達の苦悶の…恨みの…諦観の声だった。
同時に手当たりしだいに周辺を攻撃しだす幻想猛獣。
御坂にはそれがまるで自暴自棄になり自らを傷つけるようにも見えた。
御坂「…苦しんでる…の?」
133 :
レッチリ…
京兆…
134 = 128 :
■幹線道路・高架上
初春「……」
頭に響く卑屈な感情に思わず声を失う初春。
彼等の気持ちはレベル1の初春にとっても人ごとではなかった。
気が抜けたように立ち尽くした初春の後ろにこっそりと立つ少女。
佐天「うーいはるーぅ!」
バサァ! と盛大に初春のスカートをめくったのは佐天涙子だった。
初春「……へっ!? なっ何するんですか佐天さん!!」
スカートをめくられ真っ赤になって佐天に抗議する初春だったが…
佐天「なーにぼんやりしてるのさ?」
そう言って笑う佐天を見て言葉を失った。
135 :
ふがふが
136 = 128 :
佐天「あたしたちは御坂さんや…アイツみたいにあのオバケの前に立つことはできないけどさ」
佐天「それでもあたしたちに出来ることは絶対あるって!」
初春「佐天さん…」
元気づけようとしてくれた佐天を見て初春の瞳に力が戻る。
初春「そっそうですよね! ボーっとしてる場合じゃないですよね!」
自分に言い聞かせるようにコクコクと首を振る初春。
すっかりといつもの調子を取り戻した初春を見て佐天が口を開く。
佐天「とりあえずはさ…あの赤ん坊をどうすればいいのか… あそこにいる生みの親に話を聞きに行こうよ」
佐天の視線の先にはボンヤリと幻想猛獣を見つめている木山の小さな背中が見えた。
佐天「ホラ! 行こう!」
そう言って初春に右手を差し出す佐天。
初春「はっはい!」
元気よく返事をしながらその手を握り共に駆け出す少女たち。
137 = 135 :
ふがふが
138 = 128 :
■幹線道路・高架下
暴れまわる幻想猛獣を見て深いため息を吐く木山。
木山「もはや…ネットワークは私の手を離れ…あの子達を回復させることも叶わなくなったか…」
取り出した拳銃をこめかみに突きつけ自嘲する。
木山「…もうおしまいだな」
教え子たちに詫びながら自らの生涯の幕を閉じようとしたまさにその時だった。
初春「ダッダメェ―――!!」
佐天「なに考えてんですかー!」
勢いのついた二つのタックルが木山に叩き込まれる。
木山「なっ!?」
飛び込んできたそれを受け止めることができずそのままゴロゴロと転がる木山。
きゅう、と目を回した木山にまたがるのは佐天涙子と初春飾利だった。
139 = 135 :
ふがふが
140 = 128 :
タックルで痛んだ腰と喉をさすりながらも問われるままに現状を説明する木山。
初春「虚数学区?」
聞き慣れない言葉に眉をひそめる初春。
そんな佐天に木山が丁寧に説明をしだす。
木山「虚数学区… それはAIM拡散力場の集合体だ」
木山「アレもおそらく原理は同じだろう」
そう言ってチラリと暴れ狂う幻想猛獣を目にする。
佐天「AIM力場の集合体って言っても… どこにそんなのが…」
疑問をそのまま口にする佐天。
木山「あぁ。 レベルアッパーのネットワークによって束ねられた一万人の拡散力場が触媒さ」
佐天「触媒って… そもそもあんな拡散力場の塊をどうやってシミレーションなんかに使うつもりだったんです?」
141 = 128 :
そう問いかけた佐天に静かに答える木山。
木山「あのAIMバースト…便宜上幻想猛獣とでも呼ぼうか。 あれは…ネットワークの暴走が原因だ」
木山「まず幻想猛獣に自我があるとは考えにくい。 が、ネットワークの核であった私と一万人のマイナス方向のイメージが表面化しているんだろうな」
初春「じゃあ…どうすれば止めることができるんですか?」
それは最も聞きたかったこと。
その初春の言葉を聞いて木山がポケットの中に手を伸ばす。
木山「あれはネットワークの怪物だ。 ならばネットワークそのものを破壊すれば止められるかもしれない」
木山「…当然、治療用のプログラムも私が持って…いる…」
その木山の言葉を聞いてホッとする佐天。
佐天「なーんだ。 だったら早くそのプログラムを起動しましょうよ!」
そこまで言って佐天は気付く。
ダラダラと嫌な汗を流している木山がそこにいた。
142 = 135 :
ふがふが
143 = 128 :
初春「…あ、あの?」
異様な表情の木山を気遣うよう初春。
そんな少女たちの視線を受けてそろそろとポケットの中にいれていた手を開く木山。
木山「………すまない」
木山の手のひらの上にはまっぷたつに割れた小さなデータカードがチョコンと乗っていた。
佐天「…え゛?」
木山「負けるつもりはなかったのだが…」
電気信号の塊であるデータカードは静電気ですら致命傷になりうる。
ポケットの中に剥き出しの精密機器を入れたまま『超電磁砲』と闘ったのだ。
144 = 135 :
ふがふが
145 = 128 :
木山「その…まさか私もこんな展開になるとは予想もつかなくてな……悪かった」
親に叱られた子供のように佐天と初春から目を逸らしながら謝る木山。
初春「…それじゃあ」
木山「あとは…力尽くしかないな」
佐天「だ、だったらさ! 今は一旦皆で逃げてアンチスキルに後を任せたりとかだって!」
次の解決策を提示した佐天だったが、それはバッサリと木山に否定された。
木山「…そんな猶予はないだろうな。 幻想猛獣の向こうに見える建物…あれが何か判るかい?」
木山が指さした先を見ると確かに幻想猛獣が大きなプラントのような施設に向かい動き出していた。
146 = 128 :
木山に問われるもさっぱり見当がつかない佐天。
佐天「えっと…」
木山「あれは原子力実験所だ。」
そんな佐天に恐ろしい事実を告げる木山。
佐天「…嘘」
木山「嘘ではない。 もはやあの巨体のどこかにある20cm弱三角柱の形をした核を破壊するくらいしか手はないだろう」
初春「20cm弱の核?」
遠くに見える幻想猛獣は今や15メートル近くの巨体となっていた。
あの中から手のひらほどの核を破壊することなど可能なのだろうか?
それは佐天と初春にとっては笑ってしまうくらい絶望的な難題に見えた。
しかし、目の前には御坂美琴がいる。 虹村億泰がいる。
ならばきっと何とかしてくれる。
二人の少女はそう信じていた。
147 = 128 :
絶望的な状況であるはずなのに諦めているとは思えない少女たちを見て木山春生は首をひねる。
この少女たちは自分の話を聞いて、なおかつ疑いもしていないのだ。
木山「ところでひとつ聞きたいのだが… なぜ私の話を信用する?」
不思議そうにそう問いかけてくる木山を見て佐天と初春が顔を見合わせて微笑んだ。
佐天「なぜって… 判っちゃったからとしか言いようがないですねー」
木山「判った… いったいなんのことだ?」
初春「木山先生が…嘘をつかないっていうことですよ」
屈託の無い瞳を眩しがるように足元を見つめる木山。
木山「…本当に。 根拠もなく人を信用する子供の相手は苦手だ…」
そう呟いた木山の口元には静かな笑みが浮かんでいた。
148 :
億泰分が不足してきた
149 :
億泰に惚れそう
150 = 128 :
木山「治療用のプログラムは失われ、アンチスキルの増援が到着するまであとどれくらいかかるのかも判らない」
暴れまわる幻想猛獣を見て淡々と現状を整理していく木山。
木山「もはや…エレクトロマスター…学園都市の第三位『レールガン』御坂美琴に賭けるしか打つ手がないということか」
そう呟いた木山に力強い否定が返ってきた。
初春「御坂さんだけじゃありませんよ?」
木山「?」
顔を上げた木山の目に飛び込んできたのは強い意志の光。
佐天「あそこにいるノッポでガラの悪いアイツもきっと何とかしてくれる。 …あたしたちはそう思ってますし」
初春「私も佐天さんと同じ意見です!」
そう言って頷き合う少女たち。
佐天涙子と初春飾利の願いにも似た希望は数分後、たやすく踏みにじられることとなる。
みんなの評価 : ★★★
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